“Lyrics” (2001) Henryk Miskiewicz & Simple Acoustic Trio
Henryk Miskiewicz (Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Bass Clarinet)
Marcin Wasilewski (piano) Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)



 ポーランドのベテランサックス奏者Henryk Miskiewicz、同じくポーランドの当時の若手ピアノトリオSimple Acoustic Trioとの共演作。
 哀愁の漂うワンホーンジャズカルテット。
 ポーランド系、どうもKomeda、Tomasz Stankoのイメージが強くて、沈痛な感じがあるのですが、本作は明るくて上品な感じ。
 哀愁系の楽曲揃いですが、カラッとしていてアメリカンな感じすらあります。
 サックスは少々歪んだ音ながらスムースな音使い、少々の激情系。 オーソドックスながら表現力は抜群でエキサイティングな演奏。
 “Upojenie” (2002) Anna Maria Jopek, Pat Methenyにも参加していて、ポーランドではファーストコールな管楽器奏者なのでしょう。
 音使いからするとフュージョン系の人かもしれません。
 Simple Acoustic Trioも本作ではオーソドックスなジャズピアノトリオに徹しています。
 フィーチャーされるスペースも大きいのですが、楽曲との関係もあるのでしょうが、なぜかオーソドックスな演奏。
 それでも単なる伴奏者ではなく、只者ではない感が漂っています。
 終始とても落ち着いた演奏。
 おそらくリーダーとは親子ほどの年齢差があるのでしょうが、一番やんちゃに聞こえるのはリーダー。
 楽曲はリーダーの作品中心、他にMaria Schneider、ソプラノサックスとピアノのDuoでの”Thema From Spartakus”などはシンプルながら絶品。
 ジャンピーなナンバーから切なげなバラードまで、わかりやすい哀愁のメロディの連続。
 ヨーロピアンコンテンポラリージャズ的、あるいはECM的な妖しさはありません。
 Simple Acoustic Trioな音楽ではなく、Henryk Miskiewiczのオーソドックスなコンテンポラリー系ジャズ作品、哀愁系として楽しむのが吉。




posted by H.A.