吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Guinga

【Disc Review】“Japan Tour 2019” (2019) Guinga & Monica Salmaso

“Japan Tour 2019” (2019) Guinga & Monica Salmaso

Guinga (guitar, voice) Mônica Salmaso (voice)
Teco Cardoso (Sax, Flute) Nailor Proveta (Clarinet)

JAPAN TOUR 2019
Nailor Proveta
MUSAS


 ブラジルのギタリスト、シンガーソングライターGuinga、ボーカリストMonica Salmaso、日本でのライブ録音+α。
 繊細でミステリアス、儚い音の二人。
 そんな色合いそのまま。
 ギターと木管楽器二本、二人の声。
 弾き語り以上、コンボ未満。
 沈んだ感じのギターと柔やかな木管の二つが絡み合う、とても静かで穏やかな音。
 少人数の変則な編成ですが、計算し尽くしたのであろうアンサンブルはとても豊かに響きます。
 そんな音の流れの中を漂うスモーキーなミステリアスヴォイス×2。
 個々の楽器と声が絡み合い、少しずつズレ、漂いながら織り成していく綾。
 いつものノスタルジックなような、新しいような、メロディアスながらどこに動いていくのかわからない淡い色合いのメロディ、コードの流れ。
 もはや二人の声の区別ができなくなるような緩やかでまどろむような時間。
 ゆったりしたテンポの演奏が続きますが、いくらかのアップテンポではとてもノーブルなブラジリアジャズ。
 21世紀の大都会東京で録られた音ながら、19世紀なのか18世紀なのか、はたまたもっと前なのか、よくわからない空気感。
 耽美でアンニュイ。
 これまたトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Noturno Copacabana” (2003) Guinga

“Noturno Copacabana” (2003) Guinga

Guinga (guitar, voice)
Lula Galvão, Marcus Tardelli (guitar) Jorge Helder (bass) João Cortez (drums) Armando Marçal (percussion)
Carlos Malta (flute) Andrea Ernest Dias (flute, piccolo) Paulo Sérgio Santos (Clarinetes, alto sax, clarone) Nailor Proveta Azevedo (soprano, alto sax) Marcelo Martins (tenor Sax) Flavio Melo, Nelson Oliveira, Jessé Sadoc (trumpet) Jessé Sadoc (trumpet, flugelhorn) Sérgio de Jesus, Bocão (trombone) David Chew (cello) Gilson Peranzzeta (accordion)
Ana Luiza, Leila Pinheiro (voice) and others

Noturno Copacabana
Guinga
Universal Import
2003-02-12


 ブラジルのギタリスト、シンガーソングライターGuingaのMPB、2003年作。
 ジャズな色合いをベースに、ホーン陣、ストリングス、ゲストのボーカリストなど、さまざなな彩り。
 いつもの耽美的なメロディに、内省的・アンニュイな演奏・声に加えて、室内楽的な柔らかなホーンのアンサンブルがフィーチャーされる場面がたっぷり。
 アップテンポな演奏も多めでジャジー度高め。
 優雅さ、妖しさはそのまま。
 ギターと声中心だと静謐さゆえの儚さ、緊張感、沈痛感が強くなりますが、本作はのほほんとリラックスした感じにも聞こえます。
 半数ほどのインスツルメンタル曲もとても柔らかな空気感。
 少々ノスタルジックで洗練された音。
 ところどころに挿まれる耽美なスローバラードやギターのみの演奏、ワルツ~フォルクローレの奇数系ビートが、本作ではむしろアクセントのように響きます。
 楽曲ごとに違う編成ながら空気感は統一されています。
 ほのかな哀感を湛えたSaudadeな音。
 この人特有の危うさ、妖しさが希釈された感じのさり気なさ。
 それでいて部屋の空気がガラッと変わるパワー。
 スタイリストのジャジーさたっぷりなMPB。




posted by H.A.


【Disc Review】“Cheio De Dedos” (1996) Guinga

“Cheio De Dedos” (1996) Guinga

Guinga (Guitar, Voice)
Chano Dominguez, Itamar Assiere (Piano) Lula Galvão, Rogério Souza (guitar)
Armando Marçal, José Eladio Amat, Celsinho Silva (Percussion) Marcos Esguleba (Pandeiro) Pirulito (Ganzá) Rodrigo Lessa (Bandolim) Papito Mello (Bass)
Gilson Peranzzetta (Acordeon) Mário Sève (Flute, Soprano Sax) Carlos Malta (Soprano, Alto,Tenor, Baritone Sax, Flutes, Bass Flute) Sérgio Galvão (Soprano Sax) Paulo Sérgio Santos (Soprao, Alto Sax, Clarinette, Clarone) Paulinho Trompete (Flugelhorn)
Jorge Helder, Serafin Rubens Petion, Dener de Castro Campolina, Serafin Rubens Petion (ContraBass) Daniel Pezzotti, Cássia Menezes Passaroto, Marcus Ribeiro Oliveira, Romany Luis Cana Flores (Cello) Lula Galvão, Eduardo Roberto Pereira, Jairo Diniz Silva, Herbert Peréz Jones, Lesster Mejias Ercia (Viola) Angelo Dell'Orto, Antonella Lima Pareschi, Carlos Eduardo Hack, Glauco Fernandes, Léo Fabrício Ortiz, Luiz Carlos Campos Marques, Armando Garcia Fernandez, Antonella Lima Pareschi, Herbert Peréz Jones (Violin)
Chico Buarque, Ed Motta (Voice)

Cheio De Dedos
Caravelas
1996-01-01


 ブラジルのギタリストGuinga、1996年作。
 ボサノバでもサンバでもなく、ミナスでもショーロでもなく、ジャズっぽくもない、ポップスには渋すぎる・・・
 そんな要素が入り混じる、とても優雅で不思議なブラジリアンミュージック。
 たくさんの名前がクレジットされていますが、基本的にはギターを中心として、楽曲ごとにさまざまな編成、ストリング、ホーンのアンサンブルが加わる構成。
 ボーカル入りは数曲、インスツルメンタル中心。
 メロディアスで奇をてらったアレンジもないのですが、なぜか不思議感、幻想感たっぷり。
 わかりやすいセンチメンタリズムやキャッチーさはありませんが、全編に淡い儚さが充満。
 テンポが落ちてくるとどこかいけないところに引き込まれそうな感、たっぷり。
 基本的には都会的、現代的な感じなのだと思うのだけども、山奥的な感じがちらほらしたり、やっぱり夜の静寂な感じだったり、生暖かい空気感だったり、ベタついてみたり、涼しげだったり、ノスタルジックだったり。
 後の諸作の静謐、耽美って感じばかりではなくて、普通っぽいのになぜか妖しい。
 そして、21世紀直前の音にしてなぜかノスタルジック。
 不思議なメロディとサラサラと流れていく演奏の織り成す複雑な綾なのでしょう。
 さすがのスタイリスト、平和なようで深みに嵌められてしまいそうな音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Avenida Atlântica” (2017) Guinga + Quarteto Carlos Gomes

“Avenida Atlântica” (2017) Guinga + Quarteto Carlos Gomes

Guinga (guitar, voice)
Quarteto Carlos Gomes:
Claudio Cruz, Adonhiran Reis (violin) Gabriel Marin (Viola) Alceu Reis (cello)




 ブラジルのベテランギタリスト&ボーカリストGuingaのストリングスカルテットとの共演作品。
 直近のピアノとのDuo作品“Intimidade” (2017) Guinga, Stefania Talliniのような静謐でムーディーなバラード集を期待してしまうのですが、少々面持ちは異なります。
 基本的には本作もバラード集、漂うような音ではありながら、少しハイテンションなストリングスカルテットが前面に出るイメージ。
 折り重なるストリングスの音の合間からのぞくような、漂うギターとあの激渋スキャットボイス。
 楽曲はいつもの沈痛で悲し気なメロディのオリジナル曲。
 とても優美ながら、悲し気でセンチメンタル。
 ストリングスの色合い、静かなギターと囁くような哀し気なボイスも含めて、21世紀とは思えないようなノスタルジックな雰囲気。
 まるで1940年代のストリングス入りジャズボーカル、あるいは、フランスあたりのモノクロームな映画のサントラのよう。
 さらにとても素敵なジャケットのアートワーク。
 やはりこのオヤジのアルバムはとてもオシャレ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Intimidade” (2017) Guinga, Stefania Tallini

“Intimidade” (2017) Guinga, Stefania Tallini
Guinga (voice) Stefania Tallini (paino)

Intimidade
Tallini Stefania
Alfamusic
2017-03-24


 ブラジルのギタリスト&ボーカリストGuingaとイタリアのジャズピアニスト Stefania TalliniとのDuo作品。
 全曲スローテンポ、徹底的なまでの静謐な音。
 Guingaさんの作品、特に彼のボーカルが前面に出ると、あまりにもムーディーに過ぎて・・・・・・なのですが、このアルバム、もう、その極めつけ。
 ギターの登場場面はわずかで、ほぼ、美しく端正なピアノとボイスのみ。
 ギターとボイスのみの“Porto Da Madama” (2015), “Cancao da Impermanencia” (2016) と空気感は近いのですが、ピアノが徹底的に端正な分、カジュアルさがなくなった感じ。
 スーツとイブニングドレスで盛装したようなブラジリアンバラード集。
 Stefania Tallini、おそらくは何でも弾けてしまうジャズの人なのだろうと思いますが、本作ではあくまで終始抑制された静かな音、ゆったりとした静かなビート。
 優雅なブラジリアンクラシックな色合いのピアノ。
 Jobimその他のブラジルの巨匠の楽曲に本人のオリジナル。
 聞き慣れたはずのJobimナンバー、テンポを落としているだけで奇をてらったアレンジではないのだけども、何か違ったものに聞こえてしまいます。
 美人なピアニストStefania Talliniとのツーショットを見ている、ちょいワルおやじ、なんて死語?を思い出してしまうのですが、ここまでしっとりとしてしまうと、ちょっとあざと過ぎてねえ・・・
 ま、秋の夜長に低く流すには最高でしょう。
 いずれにしても静謐度100%、Chill度120%、唯一無二とも思える凄いアルバムです。




posted by H.A.


【Disc Review】“Cancao da Impermanencia” (2016) Guinga

“Cancao da Impermanencia” (2016) Guinga
Guinga (guitar, voice)



 ブラジル人ギタリストGuingaのソロ作品。
 アウトテイク集のようです。
 とてもそうとは思えません。
 とてもとても静かで穏やかなギターとボイス。
 静謐な音は神作品“João Voz é Violão” (2000) João Gilberto、あるいは”Rosa" (2006) Rosa Passosなどが思い浮かびますが、ボサノバではないことも含めて全く違う音楽。
 あるいは、ECMにたくさんありそうなガットギターのソロ作品のムード。
 それらよりもノスタルジックでセンチメンタル、より内省的。
 そんな感じの空気感。
 全曲オリジナル曲、穏やかなメロディ。
 静々と爪弾かれるギターと、優し気でちょっと悲し気なスキャットボイス。
 それだけ。
 渋さ120%。




posted by H.A.


【Disc Review】“Porto Da Madama” (2015) Guinga

“Porto Da Madama” (2015) Guinga
Guinga (guitar, voice)
Mônica Salmaso, Maria João, Maria Pia de Vito, Esperanza Spalding (voice)

Porto Da Madama
Various Artists
Sescsp
2015-09-16


 ブラジルのギタリストGuinga、さまざまなボーカリストを迎えた作品。
 ゲストボーカルは変幻自在のミラクルボイスのポルトガル人Maria João、元気なアメリカンEsperanza Spalding、ジャジーなようなクラシカルなようなイタリアンMaria Pia de Vito、深く沈み込むようなブラジリアンMônica Salmaso、いずれ劣らぬスーパーな人たち。
 偶然なのか狙ったのか、国籍もタイプもバラバラな声。
 それを束ねる激渋なギター。
 全曲スローテンポ、オリジナル曲を中心にブラジルの名曲が加わる構成。
 ギター一本を背景にして、彼女たちのボイスと一部のGuingaさんとのデュエット。
 ボッサではなく、ビートを出すタイプの演奏でもなく、アルペジオとコードを流す演奏を中心とした漂うような音の流れ、空白の時間の多いギター。
 そんな静謐で浮遊感の強い空気の中の色とりどりのボイス。
 ブラジル的しっとり系のMônica Salmasoはイメージ通り、Maria Joãoの魔女的なボイスはちょっと凄いものがあるし、本来ジャズ系であろう方々もとてもカッコいい。
 いろんな彩の静謐で上質な世界が、最初から最後まで続きます。
 さらにそんな静かな空気の中に、クールなようで激甘、ネトネトにも聞こえるGuingaさんのスキャットボイスが乗ってくると・・・
 涼しげなような暖かなような、乾いているような湿っているような、妖しいような穏やかなような、不思議で微妙なバランス。
 どの季節にもいけそうではありますが、夏の夜にはこれしかないような音。
 あまりにもムーディーにすぎて、健全ではない大人な世界、取扱注意・・・なのかもしれませんが。




posted by H.A.

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