“Ida Lupino” (2016) Giovanni Guidi, Gianluca Petrella
Giovanni Guidi (piano) Gianluca Petrella (trombone)
Louis Sclavis (clarinet, bass clarinet) Gerald Cleaver (drums)
 
Ida Lupino
Universal Music LLC
2016-09-02
ジョヴァンニ グイディ

 イタリアンピアニストGiovanni Guidi、”City of Broken Dreams”(2013)、“This Is the Day” (2014)に次ぐECM第三作。
 前二作はオーソドックスなトリオ編成、ルバートでのバラードてんこ盛りの前作“This Is the Day” (2014)は私的大名作でしたが、本作はベースレスの変則のコンボ。
 Giovanni Guidiの作品としてみると作風は少し変った印象。
 Giovanni Guidi とGianluca Petrellaの共作クレジットの曲が多く、二人がリーダー、そのDuoにドラムがサポート、Louis Sclavisは客演で彩りを付ける役割といったイメージなのでしょう。
 Gianluca Petrellaは元Enrico Ravaバンドの人で “Tribe” (2011) で共演、おそらくイタリアン。
 Gerald Cleaverは “Wislawa” (2012) Tomasz Stankoなどに参加のアメリカン。
 Louis SclavisはECMにも諸作あるフリージャズ中心のフレンチ。 
 ベースレスの強い自由度、浮遊感は好みなのですが、ここまでの作品に参加してきた素晴らしいベーシストThomas Morganが参加していないのは残念なところ。
 冒頭からこの人の色合い、強い浮遊感、淡いメロディ。
 が、ビートは複雑ながら明確。
 淡いピアノと柔らかなトロンボーンのインタープレーが続きます。
 二曲目、Louis Sclavisが加わると少しムードが変わります。
 フリーインプロビゼーションではありませんが、穏やかなフリージャズのムードが濃厚。
 穏やかながら聞き慣れない音階を多用したような不思議感の強い演奏が数曲続きます。
 が、中盤、タイトル曲Carla Bleyの“Ida Lupino”からは少しムードが変わってメロディアスな演奏が並びます。
 とてもドラマチックなイタリア曲“Per i morti di Reggio Emilia”、オリジナル曲“Gato!”、“La Terra”と素晴らしい演奏。
 哀愁漂うメロディとほのかに明るいムード。
 定まるような定まらないような漂うビートの淡い演奏。
 ピアノとトロンボーンの柔らかな音の絡み合い。
 ところどころの思索的なフレーズの繰り返しなど、柔らかなKeith Jarrettといった面持ちもあります。
 これは桃源郷。
 哀愁と柔らかなムードはこの人ならではの色合い、根底には哀愁と明るさが入り混じるイタリアンなムードが流れているのでしょう。
 が、8曲目以降は再び深刻なムードも漂う静かなフリージャズ色が強い演奏が再び始まります。
 最終曲で再びメロディアスな漂うなバラード。
 これが出てくるとホッとするというかとても優しい心持ちなる、そんな演奏。
 とても素晴らしいエピローグ。
 アルバム一枚で何かしらのメッセージがあるのかもしれません。
 が、これを冒頭にもってきて、曲順を変えるとアルバムの印象はガラッと変わるんだろうなあ。
 冒頭から聞いてあれれ?と思った人、フリーが苦手な人は、4~7曲目を中心に聞いてみましょう。
 それらのような演奏、あるいは“This Is the Day” (2014)の穏やかでメロディアスなルバートでのバラード路線を増やして欲しかったような気もしますが、それはやりたいことの一コマでしかないのでしょうね。
 その前後のフリー路線も怖かったり不快な感じだったりではないので、しばらく聞いていると慣れる、あるいは何か新しいモノが見えてくるのかな?
 さて?

 


 posted by H.A.