“Lontano” (2019) Anja Lechner, François Couturier
Anja Lechner (Cello) François Couturier (Piano)
ドイツのチェロ奏者Anja LechnerとフランスのピアニストFrançois CouturierのDuo。
“Nostalghia” (2005)などTarkovsky Quartetでの共演が続くコンビ。
Duoでは“Moderato Cantablie” (2013)以来でしょうか。
そちら、Anja Lechner の前作にあたるギターとのDuo“Franz Schubert: Die Nacht” (2018)はクラシックのECM New Seriesからでしたが、本作はECM Recordsから。
クラシカルな色合いで静かに高音を敷き詰めていく美しいピアノ、それと絡み合うクールながらまろやかなチェロ。
二人のオリジナル曲を中心にフランス、アルゼンチン、グルジア、さらにチュニジアのAnouar Brahem曲の再演など、多国籍、無国籍な楽曲群。
いずれもセンチメンタルな表情。
特に印象に残るのは序盤に収められたフォルクローレ?曲。
二人の美しい音で奏でられていく南米的な哀愁、それも、穏やかでほのかに哀しいSaudade系ではなく、図らずとも涙腺が緩む胸締め付けられる系。
哀感の強弱は付きつつも、それをピークとして、全編を包み込む哀し気な表情。
とてもメロディアス。
派手なインプロビゼーションはなく、深層を覗き込むような怖さ、現代音楽的な気難しさもありません。
クールで淡々とした印象。
が、とても哀しく美しいメロディと静かな抑揚、ジワジワくる系。
François Couturier, Tarkovskyな不思議感、迷宮感よりも、ストレートな哀感が勝る本作。
とてもセンチメンタル。

posted by H.A.