吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Folklore

【Disc Review】“Hermanos” (2013) Aca Seca Trio & Diego Schissi

“Hermanos” (2013) Aca Seca Trio & Diego Schissi
Juan Quintero (guitar, voice) Mariano Cantero (drums, percussion, voice) Andres Beeuwsaert (piano, keyboards, voice)
Diego Schissi (piano) Guillermo Rubino (violin) Santiago Segret (bandoneon) Ismael Grossman (guitar) Juan Pablo Navarro (contrabass)

エルマノス
アカ・セカ・トリオ+ディエゴ・スキッシ・キンテート
コアポート
2014-07-23


 現代フォルクローレのAca Seca Trioと現代タンゴのDiego Schissiのバンドの共演。
 現代アルゼンチン音楽の傑作ライブ。
 いずれもその界隈の第一人者。
 予想に違わない、とても柔らかでフォーキーな現代タンゴ、あるいはタンゴの香りがする現代フォルクローレ。
 現代的でフォーキーなボーカルが前面に出ている分、後者のイメージ方が強い感じでしょうか。
 Juan Quintero、Diego Schissiの楽曲を中心として、古今の南米の楽曲を加えた構成。
 いずれも優しい表情のメロディと優しい音。
 Aca Seca Trioの音楽をもっと優しくして、ベース、バンドネオン、バイオリンが加わって華やかになった印象。
 あるいは、Aca Seca Trioがゲストコーラスで入っていたDiego Schissiのライブアルバム”tipas y tipos – en vivo en café vinilo”(2012)をもっとポップにわかりやすくした感じでしょう。
 華やか、ポップといってもこの人脈の音ですので、とても穏やかで上品。
 浮遊感の強い音は、ときに幻想的でもあります。
 タンゴな曲、ロックな曲を含めて、ときおり強めのビートを織り込みながら、基本的には優し気な表情で進む音。
 いろんな人のいろんな楽曲が混ざっているようで、また、事実上、タイプの異なるバンドが一緒に演奏しているのに、何の違和感もない統一感。
 コーラスワークはもちろん、完璧なアンサンブルと、思い出したように前面に出るバンドネオン、バイオリン、ピアノがつつましやかでとてもカッコいい。
 優雅でもあり、若々しくもあるのですが、なぜか感じるノスタルジー。
 もちろん全編を通じた穏やかな郷愁感はこの人脈の共通した色合い。
 タイトルの意味は「同胞」のようです。
 なるほど、これが現代アルゼンチンの空気感なのでしょうかね。
 とてもとても素敵な空気、音だと思います。




posted by H.A.

【Disc Review】“Tongos” (2010) Diego Schissi Quinteto

“Tongos” (2010) Diego Schissi Quinteto
Diego Schissi (piano)
Guillermo Rubino (violin) Santiago Segret (bandoneon) Ismael Grossman (guitar)  Juan Pablo Navarro (contrabass)

Tongos
Diego Schissi
Sunnyside
2012-06-19


 現代タンゴのDiego Schissi、セカンドアルバムになるのだと思います。
 Astor Piazzolla Quintetoと同じ楽器構成。
 ギターが全編ガットギターなところは違うのですが、音楽そのものムードもAstor Piazzollaとは全く違う印象。
 もちろんさまざまなところにAstor Piazzollaの影響を感じるし、全体のイメージはタンゴに他ならないのですが、質感は異なります。
 フォルクローレな色合いも強く感じられる優しい音の流れ、さらにポップスなのか、ロックなのかよくわかりませんが、そんな現代的な色合いが混ざるタンゴ。
 後のライブ作品”tipas y tipos – en vivo en café vinilo”(2012)のようにボイス、コーラスまでは入りませんが、色合いは同様です。
 リーダーのピアノとベースが作る背景の上に、ガットギターが柔らかな空気を作り、バンドネオンとバイオリンがフロントに立つ。
 そんな感じでしょうか。
 もちろんタンゴらしく次々と展開するアンサンブル中心。
 インプロビゼーションの場面が少ないことも含めて、ジャズ的な色合いは強くは感じません。
 ビートはタンゴらしくそこそこ強めなのですが、なぜか柔らかなムード、そこそこ強い浮遊感。
 メロディは淡い色合い。
 Astor Piazzollaのような強烈な哀感はなく、むしろクールな感じ。
 ロック、ポップスを経て、現代の空気感を吸収した若者が作る音楽の共通点なのでしょうかね。
 フォーキーなギターが入るタンゴなんてあまりイメージできなかったもんね?
 こんな感じの音を21世紀型タンゴと呼ぶのかどうかはわかりませんが、時代は変わり、それに合わせて音も変わる、ってなことなのでしょうかね。
 優しく穏やか、ときどき少々の激情。
 あくまでクール。
 そんなタンゴ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ventanas”(2009)Aca Seca Trio

“Ventanas”(2009)Aca Seca Trio
Juan Quintero (guitar, voice) Mariano Cantero (drums, percussion, voice) Andres Beeuwsaert (piano, keyboards, voice)
Tatiana Parra, Liliana Herrero, Dante Yenque (voice) Juan Pablo Di Leone (flute) Fernando Silva (cello, contrabass) Javier Malosetti (bass) Victor Carrion (clarinette、soprano sax)

Ventanas
Aca Seca Trio
Imports
2011-09-20


 ネオ・フォルクローレのAca Seca Trioのデビュー第三作。
 優し気な音と男声ボイス、優雅なコーラスのバンド。
 前作“Avenido”(2006)と同様に歌とコーラスが中心ですが、管楽器、チェロ、女性を含めたゲストボーカルが加わる構成。
 さらに前作では無かったインスツルメンタル曲、あるいはインプロビゼーションのスペースも少々。
 豪華な編成、構成になっているとともに、心なしか前作よりも穏やかでしっとりとした雰囲気かもしれません。
 もちろん中核は歌とコーラス。
 アカペラでの堂々としたコーラス曲もあります。
 さらにピアノが前面に出る場面が増え、Andres Beeuwsaertの穏やかでしっとりとしたジャジーな雰囲気が強くなっているように感じます。
 同時期に“Dos ríos” (2008) Andrés Beeuwsaert、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008) Carlos Aguirre Grupoなど、穏やかな名作が制作されていて、そんな雰囲気が強くなっていた時期でもあるのでしょうかね?
 Juan Quintero、Andres Beeuwsaertのオリジナル曲に、アルゼンチンの古そうな曲、新しそうな曲を交えた構成。
 それらがフォルクローレなのか何なのか、よくはわかりませんが、いずれも優しい表情。
 6/8のフォルクローレビート、オーソドックスなビートはもちろん、いくらか強めのビート、現代的な変拍子的なビートの曲も含めてとても優雅な音の流れ。
 この系統のアーティスト、私の知る狭い範疇では、美しいのはCarlos Aguirre、しっとりしているのはAndres Beeuwsaertの単独リーダー作、瑞々しいのがQuiqueSinesi、ブラジルまで範囲を広げればジャズ~クラシックまで何でもありのAndre Mehmari、ハッキリしていてポップなのがこのバンド、ってな感じでしょうか?
 本作もそんな感じ、但し、少々しっとり系。
 とてもわかりやすいのだけども、非日常的。
 アルゼンチンの人にとっては日常的な音なのかもしれませんが、日本にいるとね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Avenido” (2006) Aca Seca Trio

“Avenido” (2006) Aca Seca Trio
Juan Quintero (guitar, voice) Mariano Cantero (drums, percussion, voice) Andres Beeuwsaert (piano, keyboards, voice)

アベニード
アカ・セカ・トリオ
オーマガトキ
2007-06-20


 ネオ・フォルクローレのAca Seca Trioのデビュー第二作?。
 ネオ・フォルクローレなのか、現代フォルクローレなのか、フォルクロレリックジャズなのか、何が何だかよくわかりませんが、とにもくかくにも現代アルゼンチンのアコースティックミュージック。
 あまりTVやラジオでは流れていない、ちょっと日本の日常とはズレた感じもある、とても優しい音楽。
 フワフワとした質感、とても優しい音の流れは、この系のアーティストの共通点ですが、このバンドはビート感が強めで、男声ボーカルを含めて押しが強い方、さらにポップス度強めかもしれません。
 メンバーのAndres Beeuwsaertの諸作は、ECMっぽい静謐さとジャジーさ、陰影も強いのですが、このバンドは元気で明るく素直な感じ。
 演奏は超一流ですが、あくまでボーカルと優しく優雅なコーラスがメインの音。
 多くの楽曲はこの系のアーティストの共通点のフワフワとした質感、優しく優雅なナチュラルでオーガニック(そろそろ死語?)な音。
 この系のアルゼンチン音楽、まんま森の中で録音した“acacia” (2013) Mery Murua & Horacio Burgos Trioなんてアルバムもありますが、それに近い感じで虫の声のみを背景にしたアカペラコーラス、なんてのも収録されています。 
 それら、強めのビートと優しくナチュラル&オーガニックな質感が交錯し、フュージョンする音。
 強いビートと強い声にあれれ?と思っていると、次の優し気な歌声とコーラスですっかり落ち着いてしまう・・・そんな流れのアルバムであり、そんなバンド。
 男声といってもあくまで優しげな声。
 さらに、美しくときに幻想的なコーラスのアンサンブル。
 それはこの系の元締めなのであろうCarlos Aguirreのムード。
 本作でも彼の美しい楽曲を二曲カバーしています。
 主役はそんな歌とコーラスと、現代的だけども、どこか懐かし気な感じのするメロディ。
 Andres Beeuwsaertのピアノはリーダー諸作通り優しくジャジーですが、インプロビゼーションの場面はほとんどありません。
 ギターも同様、あくまでアンサンブル中心。
 複雑な現代的なビートを作るパーカッションも柔らかに聞こえてしまうのは、南米の人の音ゆえでしょうか。
 激しいビートの演奏も、なぜか遠い所を眺めているような不思議な感覚。
 センチメンタルだけども、沈痛、ベタベタにはならないバランス。
 これもサウダージ、郷愁感ってやつでしょうかね。
 但し、かつてのサンバ、ボッサ、あるいはタンゴ、フォルクローレのそれではなく、現代の若者が感じるサウダージ、郷愁感は、こんな感じなのかもしれません。




posted by H.A.


【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (voice, guitar, piano, percussion) 
Silvina López (guitar, voice) Jorge Martí (guitar) Fernando Silva (bass) Silvia Gomez (percussion) 
Sebastian Macchi (piano) Notalia Damadian, Jorgelina Barbiero, Silvia Salomone (voice) and others
 


 アルゼンチン、現代フォルクローレのカリスマなのでしょう、Carlos Aguirreの2004年作。
 いずれ劣らぬ名作“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の作品。
 もちろんこちらも「ホッとする」、そんな音楽、癒しの大名作。
 水彩画のような淡い世界。
 三作の空気感は同じですが、その中ではこのアルバムが一番シンプルでナチュラル、スッキリ系かもしれません。
 私的な好みとしては、ジャズ的なノリが弱い音をついつい避けてしまうのですが、この人は別。
 近年のアルゼンチンの人でもQuique SinesiAndrés Beeuwsaertあたりは、きっとジャズを演奏していた人なんだろうなあ、といったニュアンスがあるように思うのですが、この人はそれがあまり強くありません。
 もちろんブラジル系とは違うし、タンゴ色もないし、クラシック的といえばそうかもしれないけども、それもそれほど強くはありません。
 文字通りの現代フォルクローレなのでしょうが、それにしては極めて洗練されているし、ポップス的といえばそうなのかもしれませんが何か違うし、極めて現代的な音なのだと思うのだけど、ノスタルジックな感じもするし・・・
 ・・・ってな感じでそれらが全部融合された微妙で繊細な音。
 ビート感がどうとか、インプロビゼーションがどうとかを超越した何かがあるように思います。
 その要因がメロディなのか、コードなのか、個々の楽器の音、アンサンブルなのか、あるいは声なのかはよくわかりません。
 それらを全部合わせて出来上がる穏やかな寂寥感なのでしょうかね? 
 パーカッションは色付け程度で、基本的にはギターとピアノ、ベースが繰り出す優しいビート。
 メロディは折り紙付きの淡い色合いの穏やかな動き。
 全編を漂う哀感、センチメンタリズム。
 寂寥感ってほど寂しくはない、やはり南米系、郷愁感ってな言葉がピッタリきます。
 ちょっと寂し気なボーカルと要所で入る女声コーラスの完璧なアンサンブル。
 瑞々しいギターを中心に、ときおりのピキピキピキーンといった透明度の美しいピアノ。
 なんとなくヨーロピアンにも近い上品な感じですが、キツさは微塵もない優しい音。
 全曲名曲揃いですが、最後に納められた"vidala que ronda”なんて、アルバムの締めはこれしかないというか、とても前向きな感じて、人生の最後を締めくくってもいいような?、そんなムード。どこかで聞いたソウルバラードのようだったりもして。
 寂し気なようでとても爽やか。
 春、新緑の季節になるとこの手の一連の作品が聞きたくなります。
 春は暑苦しい系や深刻系ジャズよりこっちの方がいいなあ。
 そんな音です。
 もう十年以上前の録音ですが、いまだに全く古くないエバーグリーンな一作。
 でも例によって廃盤かあ・・・




posted by H.A.

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