吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

European

【Disc Review】“All the Dreams” (2016) Sara Serpa / André Matos

“All the Dreams” (2016) Sara Serpa / André Matos
Sara Serpa (voice, piano, Fender Rhodes) André Matos (guitar, electric bass, percussion)
Pete Rende (synthesizer) Billy Mintz (drums, percussion)

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 ポルトガルの女性ボーカリストSara Serpaと、おそらく彼女のパートナーであろうギタリストAndré Matosのジャジー、あるいはフォーキー、南米の現代フォルクローレ的な色合いのポップス。

 ジャズな編成でのコンテンポラリージャズな“Praia” (2008)でも共演していたお二人ですが、本作ではDuo+αの演奏を中心にもっと穏やかで静かな音作り。
 4ビート的でも先端ジャズ的でもなく、あくまでフォーキー。
 但し、電子音、Bill Frisell的不思議系ギターなど含めて、少々先端的、現代的な新しい感じ。
 Sara Serpaの楽曲はやはりメカニカルな感じですが、本作で中心となるAndré Matosのメロディはどこか懐かし気でフォーキーです。
 っても十分に複雑で不思議系で先端的なのですが・・・
 たっぷりなエコーが効いた儚げなボイスに漂うようなギター。
 ブラジル感もたっぷり漂いつつの、無国籍、ノンジャンルな質感。
 爽やかなようで少々スモーキーで湿り気のある空気感は、まるで朝靄のよう。
 とても心地よいフワフワした時間。





posted by H.A.


【Disc Review】“Praia” (2008) Sara Serpa

“Praia” (2008) Sara Serpa
Sara Serpa (voice)
André Matos (guitar) Vardan Ovsepian (piano) John Lockwood (bass) Nick Falk (drums) Greg Osby (alto sax)

Sara Serpa
Inner Circle Music
2008-01-01


 ポルトガルのボーカリストSara Serpaのコンテンポラリージャズ。
 どうもあのごっつい変拍子ファンクM-Base、Greg Osby閥の人だったようで、彼も参加しています。
 が、ごっつい感じでもCassandra Wilson的なディープな感じでもなく、フワフワとした柔らかい空気感。
 裏声を中心とした儚げなボイスのスキャットと、明らかに凄まじい演奏力の現代の手練れの演奏が交錯する柔らかなコンテンポラリーなジャズサウンド。
 ピアノトリオ+サックスはアメリカ系、リーダーのパートナーなのであろうギターはBill Frisel的、あるいはロック的。
 ポルトガル語が前面に出るわけではないのですが、ボーカル、全体のムードはブラジル的。 
 が、リーダーが書くオリジナル曲は極めてテクニカルでメカニカルで先端的。
 後のブラジリアンTatiana Parra諸作に通じる感じかもしれません。
 と思っていたら、ピアニストは“Lighthouse” (2014) Tatiana Parra & Vardan Ovsepianのアルメニアン。
 なるほど・・・
 複雑怪奇にアップダウンするボイスとギターのユニゾン。
 これでもかこれでもかと動くメロディと、合間々に挟まれる先端的、現代的ジャズなインプロビゼーション。
 これは確かに新しい。(っても十年以上前ですが・・・)
 現代アメリカ、ヨーロッパ、南米が交錯する新しい質感のジャズ。





posted by H.A.


【Disc Review】“The Study of Touch” (2017) Django Bates' Beloved

“The Study of Touch” (2017) Django Bates' Beloved
Django Bates (piano)
Petter Eldh (double bass) Peter Bruun (drums)

The Study of Touch
Django Bates
Ecm Records
2017-11-10


 イギリスのフリージャズ系ピアニストDjango Bates、ECMでのリーダー作。
 ECMでは客演で“So I Write” (1990), “Exile” (1993) Sidsel Endresen, “Eréndira”(1985), “Cantilena”(1989) First Houseなどがありますが、リーダー作としては初めてでしょう。
 ECMとDjango Bates、ソロ、変則コンボ・・・何でもありそうないかにも危険な組み合わせですが、本作はオーソドックスな編成のピアノトリオ、“Confirmation” (2012)など、超弩級に激しく過激なジャズバンドDjango Bates' Belovedでのアルバム。
 1970年代ECMならいざ知らず、その激烈なジャズが現代のECMに合うのかなあ・・・と思いながら・・・
 さすがECM、厳しいご指導があったのでしょうかね?
 ほどほど静かなDjango Bates' Beloved。
 トレードマークの変幻自在、予測不能、複雑怪奇なジャズの色合いははそのまま。
 が、激烈さは影を潜め、穏やかなサウンド。
 激しくは弾かれないピアノと、それに合わせるような暴れないバンド。
 このバンドの流儀と思しきジャズスタンダードをグチャグチャに解体するのではなく、何となくジャズっぽい感じのオリジナル曲。
 メカニカルでピキピキパキパキとしつつも、ECMのお約束、ルバートでのスローバラードなども交え、近年のECM的な淡いサウンドに近づけようとしているようにも聞こえます。
 それでもフワフワとした感じにならず、なんだかんだでDjango Batesのパキパキした感じ、ECM諸作の中ではジャズ寄りのサウンドでしょうかね。
 直近の客演“Blue Maqams” (2017) Anouar Brahemでは、もう少しフワフワしていて、ECMっぽかったようにも思うのですが・・・?
 なんだかんだで過激ではない、上品で上質なピアノトリオジャズ。
 ECM移籍第一作目は淡い色合いになる、の法則は、鬼のようなベテラン激烈ピアニストにも当てはまる・・・かな?




posted by H.A.

【Disc Review】“Unloved” (2017) Maciej Obara Quartet

“Unloved” (2017) Maciej Obara Quartet
Maciej Obara (alto sax)
Dominik Wania (piano) Ole Morten Vågan (double bass) Gard Nilssen (drums)

Unloved
Maciej -Quartet- Obara
Ecm Records
2017-11-10


 ポーランドのサックス奏者Maciej ObaraのECMでの第一作。たぶん。
 静かで美しいジャズバラードを中心としたアルバム。
 Charles LoydeのECM名作諸作を想い起こすような音。
 サックスは、サブトーンがしっかり効きながらも艶のある極めて美しい音、ゆったりとした吹きっぷり。
 アルトがテナーのように聞こえます。
 冒頭からECMの定番、今にも止まりそうなルバートでのスローバラード。
 周囲の景色がゆっくりと溶けていくような音。
 そんな演奏が何曲か。
 ビートが定まっても、繊細に鳴るシンバルとピアノの高音がペースを作る静かな演奏。
 長くはありませんがアップテンポの場面では、バンドが一体となった強烈な疾走感。
 Maciej Obaraのサックス、ブチ切れたり妙な音使いはせず、上品で硬軟織り交ぜた素晴らしい表現力。
 さらにピアニストDominik Waniaは漂うような音から疾走まで、一聴してタダモノではないことが分かるスーパーピアニストの片鱗。
 いかにもヨーロピアン、いかにもECMな素晴らしい演奏。
 ドラムとベースもフリーと強烈なグルーヴを使い分けつつ、縦横無尽の素晴らしいサポート。
 このピアノトリオのメンバーも遠からずECM御用達の人になるのでしょう。
 オリジナル中心の楽曲は、いかにもポーランドジャズな少々沈痛系の哀し気なメロディ、ECMでありがちな抽象的なそれではありません。
 ビートもなんだかんだで4ビートが中心、ECMには珍しく、いかにもジャズ。
 さらに、高い透明度とたっぷりのエコーが加わった、こちらはECM的な素晴らしい録音。
 ピアノもサックスもベースもドラムも、極めて上品な最高に心地よい音。
 20世紀型ジャズ、20世紀型ECMといえばそうなのかもしれませんが、極めて上質なジャズサックスカルテット。
 普通のジャズファンも大喜びの名作でしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico

“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico
Savina Yannatou (Voice)
Kostas Theodorou, Michalis Siganidis (Double Bass) Kostas Vomvolos (Kanun, Accordion) Harris Lambrakis (Ney) Yannis Alexandris (Oud, Guitar) Kostas Theodorou (Percussion) Kyariakos Gouventas (Violin, Viola)

Songs of an Other (Ocrd)
Savina Yannatou
Ecm Records
2008-09-09


 ギリシャの女性ボーカリストSavina Yannatouの地中海エスニック~クラシックな音楽。
 正直、ギリシャ、地中海のエスニックな音がどんな音なのか、いつの時代の音楽をイメージしたのかはよくわかりません。
 また、Savina Yannatou自身がクラシックの人なのか、伝統音楽の人なのか、はたまたジャズ、ポップ畑の人なのか、あるいはこの音楽がギリシャ的なのかどうかもわかりません。
 “Siwan” (2007,2008),“Nahnou Houm” (2017) Jon Balke、"Arco Iris" (2010) Amina Alaouiなどの北アフリカ色、あるいはアラブ~中近東が混ざり合うような少々妖しげで悲しげな音の流れ。
 ギリシャといえばエーゲ海の陽光のイメージをしてしまうのですが、地理的にはトルコ~アラブ、あるいはアフリカ、そしてヨーロッパの結節点。
 実際はいろんな要素が入り混じる複雑な空気感の地域なのかもしれません。
 それらのエスニックな空気感にヨーロッパ的な優雅でクラシカルな空気感、宗教的な敬虔な空気感が加わった音。
 楽曲を見ると、ギリシャ、イタリアに加えて、セルビア、アルメニア、ブルガリア、カザフスタンなどの伝統曲。
 エスニックで耳慣れない弦と木管、アフリカンなパーカッションの響きと朗々としながらも悲しげな女性ボイスの絡み合い。
 静かながらハイテンションで非日常的なメロディと演奏。
 ときおりの演劇的なアヴァンギャルドなボイスパフォーマンスは、Maria Joao、Iva Bittováあたりを想い起こします。
 敬虔で少々深刻なムードは宗教的な意味合いもありそうですが、それらが祈祷、祝祭、儀式、その他、何の音楽なのかはわかりません。
 ちょっと怖いような、哀しいような、それでいて懐かしいような・・・
 いずれにしても現代日本の日常の中では感じることができない空気感。
 きっと古代~中世の地中海~北アフリカ~中近東のムードなのでしょう。
 強烈な非日常感を味わえるトリップミュージック。




posted by H.A.

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