“Roma” (2018) Enrico Rava, Joe Lovano
Enrico Rava (Trumpet) Joe Lovano (Tenor Saxophone, Tarogato)
Giovanni Guidi (Piano) Dezron Douglas (Double Bass) Gerald Cleaver (Drums)
イタリアン大御所Enrico Ravaと、ルーツはイタリアンなのであろう Joe Lovanoの二管クインテット、ローマでのライブ録音。
サポートは同じくイタリアンGiovanni Guidiを中心としたピアノトリオ。
御大お二人が二曲ずつに、ジャズ曲のメドレー、長尺な演奏が揃った全六曲のステージ。
面子から想像される通り、クールでハードボイルドなイタリアンジャズ。
冒頭はEnrico Ravaのバラード。
真骨頂、あのフィルムノアールな感じのハードボイルドな音。
徐々にテンションを上げ、激情を交えながらのバラード。
過度なセンチメンタリズムにも、混沌、激烈にも行かない、ハードボイルドネス。
曲が移りテンポが上がっても、Joe Lovanoのブルージーな楽曲に移っても、John Coltrane的なフリーな色合いが混ざっても、その空気感は変わりません。
Ravaさんは枯れた感じはなし、Joe Lovanoも一時期の枯れて幽玄な感じではなく、かつてのブヒブヒな感じが戻って来ています。
いずれにしても両者とも圧倒的な表現力。
世代の違うピアニストGiovanni Guidi、お二人の後ろでは遠慮気味な感じもしますが、対等にスペースが与えられ、あの柔らかい音で硬軟織り交ぜ、上品にぶっ飛んでいくインプロビゼーション。
最後に収められた名作“This Is the Day” (2014)のような漂うようなスローバラードも含めて、堂々たる弾きっぷり。
ベタな企画なようで、まさにその予想通りの音ながら、また普通にジャズなようで、なかなか他では聞けない上質さ、カッコよさ。
圧倒的な存在感、演奏力のなせる業なのでしょう。
イタリアンなオヤジたちのカッコよさ。

posted by H.A.