吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Eliane_Elias

【Disc Review】“Fantasia” (1992) Eliane Elias

“Fantasia” (1992) Eliane Elias
Eliane Elias (Piano, Vocals)
Eddie Gomez, Marc Johnson (Bass) Jack DeJohnette, Peter Erskine (Drums) Nana Vasconcelos (Percussion) Amanda Elias Brecker, Ivan Lins (Vocals)

Fantasia
Eliane Elias
Blue Note Records
イリアーヌ イリアス

 Eliane Elias、Jobim他、ブラジリアンナンバーを演奏したピアノトリオ作。
 普通のジャズボッサかなと思いきや、なんだか少し変わった感じ。
 フワフワした変拍子ボッサ、といったイメージが印象に残る作品。
 ドラムとベースはあのECMの泣く子も黙る鬼のようなハウスリズム隊が二組。
 さらにはゲストにNana Vasconcelosの名前もあります。
 音からは全くイメージできないので忘れがちですが、考えてみればECM人脈に近い人だったのですねえ。
 ECMのようなごっつい演奏があるわけではありませんが、やはり素直にオシャレにボサノバを演奏するような人たちではありません。
 変拍子もさることながら、強烈にいきたくていきたくて・・・
 でもそれなりに抑えてしまう・・・、なんだか微笑ましい感じ。
 フュージョン時代の彼女の演奏は知らないのですが、ブラジル系を演奏する彼女のピアノは、オーソドックスなようでフワフワとした不思議系。
 意外なところでタメが入ったり、急加速してみたり、走り気味になってみたり、遅れそうになってみたり・・・
 ビート感に独自のモノがあるのでしょうかね。
 それがなんとも優雅で不思議。
 変り種のジャズボッサ、ピアノトリオ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Dreamer” (2004) Eliane Elias

“Dreamer” (2004) Eliane Elias
Eliane Elias (Piano, Electric piano, Vocal)
Marc Johnson (Bass) Paulo Braga (Drums) Guilherme Monteiro, Oscar Castro-Neves (Guitar) Paulo Braga (Percussion) Michael Brecker (Tenor saxophone) Michael Mainieri (Vibraphone) and Strings

Dreamer
Eliane Elias
RCA Victor
2004-05-01
イリアーヌ イリアス

 Eliane Elias、これまたクールなボサノバボーカルアルバム、バラード集。
 ECMでの夫君の作品“Shades of Jade” (2004) Marc Johnsonへの客演と同時期。
 当たり前ですが、全く違う音楽です。
 ビックリするぐらい・・・
 ベースはいつもMarc Johnsonなのだけど、忘れてしまうなあ・・・
 さておき、いつものトリオにストリングス、その他のゲストを迎えていますが、妙な仕掛けは一切なし。
 豪華になりすぎないオーソドックスでシンプルなアレンジにクールな歌声。
 しっとりとしながらも微かにハスキー、沈み込むような歌い方はいつも通りですが、本作ではウイスパー成分が多い感じ。
 やはりボサノバはウイスパーでないと・・・
 とかあらためて思ったりします。 
 また、ほとんどピアノが前面に出てこない“Bossa Nova Stories” (2008)に比べると、ピアノのスペースもまずまず確保されています。
 かつての“Fantasia” (1992)のような不思議系ピアノではありませんが、フワフワした感じは出ていて、いい感じの味付け。
 楽曲はボサノバ定番曲に加えてポップス、スタンダードなど。
 ほぼ全編ゆったりとしたバラード。
 かつての義弟Michael Breckerも彼らしくなく慎ましやかに好サポート。
 しっかりと効いたエコー含めてAORな感じも醸し出しています。
 ボーカリストとしてのEliane Elias、ピアニストとしてのEliane Elias、両方を聞くならこのアルバムが一番いいかもしれません。
 また、私が知る限り、Eliane Eliasの中ではこのアルバムが一番オシャレです。
 ん?この修飾句はダサいのかな・・・?
 名作です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bossa Nova Stories” (2008) Eliane Elias

“Bossa Nova Stories” (2008) Eliane Elias
Eliane Elias (vocals, piano)
Marc Johnson (bass) Paulo Braga (drums, percussion) Oscar Castro Neves, Ricardo Vogt (guitar) Toots Thielmans (harmonica) Ivan Lins (vocal) and Strings

Bossa Nova Stories
Eliane Elias
Bluen
2008-08-22
イリアーヌ イリアス

 Eliane Elias、豪華ストリングスを従えたボサノバボーカルアルバム。
 本格的にボーカルを始めたのは“Eliane Elias Sings Jobim” (1998)あたりからでしょうか。
 そのアルバムとも収録曲が何曲か被りますが、本作ではすっかり落ち着いた歌い方。
 声はしっとりしたハスキー系。
 ウイスパー系といった感じでもないですが、低い声で少し沈んだクールな印象。
 いかにもブラジルなボイスですが、このクールで落ち着いたイメージ、ひんやりとした質感の人は他にはいないかも。
 以前は雰囲気で勝負するイメージもあり、それもよかったのですが、本作では安定感、表現力が段違いにアップしているように思います。
 一方、アレンジは一時期の不思議系が全く無くなり、極めてオーソドックスな現代的ボサノバな音作り。
 ピアノも不思議なビート感、節回しが影を潜め、オーソドックスにまとめた印象。
 楽曲はJobimをはじめとして、Stevie Wonder, Ivan Lins, João Donato, João Gilberto, Caetano Veloso, João Donatoなどにスタンダードを少々。
 これは売りにきましたねえ・・・と書くといやらしいのですが、多くの人に好まれそうな典型的な現代ボサノバ。
 もちろんJobimナンバーも良いのですが、Ivan Lins特有のベタッとした哀愁の塊のようなメロディをクールにサラリと突き放したように歌ってしまうのが、なんともカッコいい。
 演奏はいつものメンバー、もちろん一級品。
 シンプルな演奏ながら、上品なグルーヴとこれまた上品なストリングスの音。
 前面に出るvoiceはしっとりとしたクール系。
 ボーカリストとしてのEliane Elias、このアルバムが一番まとまっていて馴染みやすいかも。




posted by H.A.

【Disc Review】“Light My Fire” (2011) Eliane Elias

“Light My Fire” (2011) Eliane Elias
Eliane Elias (Vocals, piano)
Marc Johnson (Bass) Paulo Braga (Drums) Rafael Barata (Drums, percussion) Marivaldo Dos Santos, Paulo Braga (Percussion) Pedrito Martinez (Congas) Oscar Castro-Neves, Romero Lubambo (Acoustic guitar) Ross Traut (Electric guitar) Randy Brecker (Trumpet, Flugelhorn) Lawrence Feldman (Flute) Amanda Brecker, Gilberto Gil (Vocal)

Light My Fire
Eliane Elias
Imports
2011-09-13
イリアーヌ イリアス

 Eliane Elias、“Swept Away” (2010)と近い時期の録音と目されるBlue Noteでの作品。
 ECMにしては明るすぎる“Swept Away” (2010)でしたが、こちらはさらに比べようもないほどの明るく健全なブラジリアン~ラテンジャズ。
 一般的な人気は圧倒的にこちらなのでしょうねえ。
 超一流メンバーによる現代的なボッサアレンジの華やかな演奏。
 ブラジリアンというよりもアメリカンな質感。
 少しスモーキーなこちらはブラジリアンなボイス、低めのトーン、少し沈み気味な歌い方。
 いつもながらのEliane Eliasの世界。
 この人の選曲にはいつも意外なモノがさりげなく混ぜられています。
 Dorival Caymmi, Gilberto Gil, Stevie Wonder ぐらいまでは想定の範囲としても、Kenny Dorham、”Take Five”、さらにはタイトル曲はもちろんDoors。
 一見、脈絡が無さそうでも、完璧にアレンジして完璧な演奏。
 原曲のままというよりも、コレあの曲かなあ・・・、と途中で気付くぐらいにひねったアレンジ。
 どれも違和感なくいい具合に自分の色に変わっていて、アルバムとしての一貫性もバッチリ。
 よく出来すぎなんじゃないとか、これはジャズではないとか、ボッサではない、ぐらいしかケチのつけようがない完成度。
 ここまで来ると予定調和というよりも名人芸。
 やっぱりECMには合いませんよね、これは・・・
 なおこの時期のEliane Eliasのアルバム、Co ProduceにあのPat Metheny GroupのSteve Rodbyのクレジットがあります。
 それっぽくはないんですがね・・・




posted by H.A. o:p>

【Disc Review】“Swept Away” (2010) Marc Johnson, Eliane Elias

“Swept Away” (2010) Marc Johnson, Eliane Elias
Marc Johnson (double bass) Eliane Elias (piano)  
Joe Lovano (tenor saxophone) Joey Baron (drums)

Swept Away
Johnson
Ecm Records
マーク ジョンソン
イリアーヌ イリアス


 Marc Johnson, Eliane Elias夫妻名義のECM作品。
 コンテンポラリー風味のオーソドックスなジャズ。
 5年以上も空いていますが、“Shades of Jade” (2004) Marc Johnsonとほぼ同じメンバー。
 ProduceのクレジットからManfred Eicherの名前が消え、この夫婦のみ。
 前作と同様に7割方がEliane Eliasの曲、イニシアティブを取ったのはEliane Eliasなのでしょう。
 これは夫婦で好きに作らせてもらったのでしょうね。
 前作にも増して明るくなった音、ECMらしからぬ平和なジャズ。
 半数の曲にJoe Lovanoの参加はありますが、主役はピアノトリオ。
 冒頭のタイトル曲はもろBill Evans。が、それらしいのは冒頭だけ。
 明るく前向きなムード。キャッチーなメロディ。
 Eliane Eliasのピアノはフワフワした質感。
 エッジが曖昧というか、タッチがソフトというか、不思議なピアノ。
 手数は多めで疾走感も強いのだけど、なぜか柔らかでふわりとした美しいピアノ。
 少し渋く枯れた感じのテナー。
 端正ながら推進力の強いベース。
 かつてのECMでは無さそうな音だけど、近年には合うのかな?
 どうせここまでECMっぽくないのならば、いかにもブラジルっぽい曲を歌って欲しかったなあ・・・
 それだとBlue Note諸作と同じになるのか・・・
 その後ECMから彼女の作品が出る雰囲気はありません。
 イメージは全く合いませんが、シリアスな感じで作ったら結構いけそうな予感はあるのだけど・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Shades of Jade” (2004) Marc Johnson

“Shades of Jade” (2004) Marc Johnson
Marc Johnson (double bass)
Joe Lovano (tenor saxophone) John Scofield (guitar) Eliane Elias (piano) Joey Baron (drums) Alain Mallet (organ)

Shades of Jade
Marc Johnson
Ecm Records
マーク ジョンソン



 Marc Johnson、ECMでの久々?のリーダー品。
 ProduceにManfred Eicherに加えて、奥方のブラジリアンEliane Eliasのクレジット。
 ピアノはもちろん、彼女の曲が半数以上。
 ブラジル風味こそありませんが、ECMとしては異色なアメリカンなジャズ。
 ジャケットは暗いですが、音は明るめ。
 オーソドックスな4ビートに端正な演奏。
 曲者Joe Lovano、John Scofieldも同様に端正な演奏。
 一番目立っているのはやはりEliane Eliasでしょう。
 他レーベルでのブラジル系諸作ではフワフワした感じ、と思っていましたが、このアルバムではキリッとしたジャズピアノ。
 もちろん激烈だったり、逆に沈み込んだりなんてことはありませんが、時折現れる強烈な疾走感、ドラマチックな展開などなど、只者ではない感は漂っています。
 このまま、ECMで制作を続けるかと思いきや、次の録音はかなり先。
 その間、Manfred Eicher、Marc Johnson、Eliane Eliasの三者が何を考え、何を相談して、どうなったのか、想像すると面白いなあ。
 コアなECMファンからは避けられそうな感は否定できませんが、Eliane Eliasファンの当方としては結構お気に入りのアルバムです。
 次作、“Swept Away” (2010)へと続きます。




posted by H.A.
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