吉祥寺JazzSyndicate

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ECM_records

【Disc Review】“Angular Blues” (2019) Wolfgang Muthspiel

“Angular Blues” (2019) Wolfgang Muthspiel

Wolfgang Muthspiel (guitar)
Scott Colley (bass) Brian Blade (drums)

Angular Blues
Wolfgang Muthpiel
ECM
2020-03-20


 Wolfgang Muthspiel、トリオでのコンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 近年毒気や過激さが影を潜め、オーソドックスなジャズに寄った感もありますが、本作もその流れ、スッキリ系のコンテンポラリージャズ。
 少しだけ哀し気なメロディ、ちょっと複雑な展開、しっかりジャズ。
 ECMでの諸作そのままの空気感、同じくトリオの”Driftwood” (2014)よりもキリっとした感じでしょうか。
 数曲のアコースティックギターに、エレキギターは例のPat Metheny以降のふわりとしたクリーントーン。
 ちょっとクラシカルな感じの音の動きもちりばめながら、あちこちに飛び回りながら疾走するギター、バンド。
 各曲、ジワジワと盛り上がりつつ、終盤にテンションが最高潮に達するドラマチックな演奏群。
 が、どこか醒めた感じのクールネス。
 紛うことなくジャズなのですが、一筋縄ではいきません。
 二曲取り上げられたジャズスタンダードもきちんとそれらしく聞こえるのですが、なんだか不思議感たっぷり。
 その源泉はギターのフレージングなのか、複雑な楽曲の展開なのか、ビートの作り方なのか。
 明後日の方向に行くわけではなく、かといって落ち着いているわけでもなく。
 静か過ぎずうるさ過ぎず、甘すぎず辛すぎず、ぶっとび過ぎず、でも普通ではない感たっぷり。
 全編に漂うクールネス、ハードボイルドネス・・・
 そんなバランスが通好み、ってな感じの現代ギタージャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

Julia Hülsmann (Piano)
Marc Muellbauer (Double Bass), Heinrich Köbberling (Drums)
Uli Kempendorff (Tenor Saxophone)

Not Far from Here
Hulsmann, Julia -Quartet-
Ecm
2019-11-01


 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、2019年作。
 レギュラーなのであろうトリオにサックスを迎えたカルテット編成。
 本作もこの人らしい質感の落ち着いたコンテンポラリージャズ。
 いかにも現代のヨーロピアンジャズ、明るい系。
 オーソドックスにスッキリと聞こえながらも凝りまくったアレンジ、展開。
 ときおり混沌に突っ込むか・・・、あるいは漂い続けるか・・・、沈痛系か・・・、と思わせながらも、そうはなりません。
 サックスも同じような動き、神経質な音の流れ、あるいは激情系か、と思わせながら、あくまで上品にまとまっていきます。
 いかにも近年のECMレコードのサックスらしい、艶やかで美しい音。
 いつもながらに美しいピアノの音との絡みがこれまた美しい。
 天井が高い空間で鳴っているような極上のリバーブが効いた美しい録音。
 楽曲、演奏を含めてダークさはなし、明度高め。
 いかにも女性らしい、あるいはかつてのECMらしくない優しい音ですが、繊細というよりは骨太な感じでしょうか。
 いろんな新たな仕掛けや奇をてらった作品も多い中(そうゆうのを好んで探しているのではありますが・・・)、スッキリとしたヨーロピアンジャズらしいジャズ。
 とても安心して聞ける一作、ってな感じがよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Cracked Mirrors” (1987) Harry Pepl, Herbert Joos, Jon Christensen

“Cracked Mirrors” (1987) Harry Pepl, Herbert Joos, Jon Christensen

Harry Pepl (Guitar, MIDI Controller, Piano)
Herbert Joos (Flugelhorn) Jon Christensen (Drums)

Cracked Mirrors
ECM Records
2009-06-12


 ドイツのギタリストHarry Peplの変則トリオでのコンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 フリージャズ、フュージョンの色合いも混ざる妖しいジャズ。
 スペーシーなギターと電子音、静かにヒタヒタと迫ってくるようなドラム、漂うトランペット。
強い浮遊感の中のしばしばの強烈な疾走。
 ギターはジャズがベースだと思うのですが、Bill Frisell的な不思議感たっぷり、あるいは疾走する場面はJohn McLaughlinのようでもあるし、現代の先端系のようでもあるし。
 冒頭は風の音と静かで妖しい疾走ギター、漂うミュートトランペット。
 牧歌的な感じもしばしば、静かな場面は“In a Silent Way”(Feb.1969) Miles Davisのようでもあるし、Ornette Coleman的な疾走曲があったり、クラシカルでメロディアスな局面があったり・・・
 ヒタヒタと迫るビートが刻み続けられ、変幻自在のギターとトランペット。
 哀しい表情、ほどほどの緊張感。
 激情に走るわけでも、耽美にはまるわけでも無く、淡々とクールに音楽は進んでいきます。
 最後は前向きでメロディアスなピアノ演奏で締める組曲風。
 “Cracked Mirrors”なんて、サスペンスにもSFにもオカルトにもなりそうなカッコいいタイトルですが、オカルト臭無しのSFサスペンス映画のサントラってな感じ。
 あるいは繊細で陰鬱なWeather Reportってな感じ。
 とてもカッコいいと思います。

※近い時期の演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“... And She Answered” (1988) AM4: Wolfgang Puschnig, Linda Sharrock, Uli Scherer

“... And She Answered” (1988) AM4: Wolfgang Puschnig, Linda Sharrock, Uli Scherer

Wolfgang Puschnig (Alto Saxophone, Alto Flute, Hojak, Shakuhachi) Linda Sharrock (Vocals) Uli Scherer (Piano, Prepared Piano, Keyboards)

... And She Answered
ECM Records
2008-10-14


 オーストリアのサックス奏者Wolfgang Puschnig、ピアニストUli Scherer、アメリカのボーカリストLinda Sharrockのプロジェクト、1988年、ECMレコードでの制作。
 静かで妖しいフリー混じり、あるいはアバンギャルド混じりのジャズ。
 名前からしてちょっと怖い感がありますが、難解な音が並んでいるわけではなく、あくまでメロディアス。
 静かに流れるビート、ときにエスニック、電子が入り混じるゆったりとした動きの中を漂うウイスパーなヴォイスとサックス。
 余白の多い空間の中、耳元で囁くようなヴォイスとリバーヴがたっぷり効いたサックスの心地よい響き、ときおり聞こえる透明度高く美しいピアノの音。
 どこか遠い所から聞こえてくるような、遠い所を眺めているような音の流れが続きます。
 妖しい空気の中、唐突に流れる”Lonely Woman”、そして”Over The Rainbow”。
 とても穏やかですが、油断しているとどこかいけないところへ引きずり込まれそうな、そんな感じ。
 尺八が聞こえても、喘ぎのような声が聞こえても、空気は平穏なまま。
 隠されているかもしれない狂気は最後まで表出することなく、穏やかにエンディング。
 何事もなかったように時間は過ぎますが、何かが憑いたんじゃないなあ・・・とか思ったり、思わなかったり・・・
 とにもかくにも、とても穏やかな、とても素敵なトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Psalm” (1982) Paul Motian

“Psalm” (1982) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Bill Frisell (electric guitar) Ed Schuller (bass)
Joe Lovano (tenor sax) Billy Drewes (tenor, alto sax)

Psalm
ECM Records
2000-11-16


 Paul Motian、1982年作。
 前作“Le Voyage” (1979)からまたまた全メンバーを交代し、本作は二管サックスクインテット。
 ここでBill FrisellJoe Lovanoが参加し、後々まで続くトリオのメンバーが揃います。
 例のスペーシーなギターの音が聞こえると、とても幻想的、あのトリオな音。
 ドロドロとしたジャズな感じに未来感も加わりつつの尖端サウンド。
 物悲しさはそのまま、全編ルバートのスローバラードの時間もたっぷり。
 ロックなビートもディストーションなギターもたっぷり。
 かといって、1980年代流行りのスッキリ系ゴージャズ系のフュージョンになる由もなく、妖しくダーク、過激で複雑怪奇なジャズ。
 強烈な緊張感、沈痛さも強まって、少々ヘビー。
 怖いかも・・・と思っていると、例の能天気なカントリーっぽいギターが聞こえてきたり、もう何が何だか・・・
 桃源郷か、はたまた地獄の一丁目か、この世ではないどこかを彷徨っている感たっぷりのトリップミュージック。
 この後、本作のメンバーを絞り定番トリオ、ECMでは“It Should've Happened a Long Time Ago” (Jul.1984)、へと続いていきます。

※後の演奏から
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Dance” (1977) Paul Motian

“Dance” (1977) Paul Motian

Paul Motian (drums, percussion)
David Izenzon (bass)
Charles Brackeen (soprano, tenor sax)

Dance
Motian, Paul
Ecm Import
2008-11-18


 Paul Motian、”Conception Vessel” (1973)、“Tribute” (1974)に続くECMレコードでの第三作。
 前作から全メンバーが交代したピアノレスサックストリオ編成。
 Ornette Coleman所縁のドラマーに、知る人ぞ知るフリー系サックス。
 ダークなトーンと物悲しい空気感はそのまま。
 ベースの重心が上がって、サックスがソプラノ中心になった分、少し軽くなった感じですが、妖しさはそのまま、フリー度高め。
 音量も下がった分、クールさも助長された感じもします。
 常時前面に出てクダを巻きつつ、ときおり狂気と激情を発するサックス、例の漂うビート、明後日の方に向かって進んでいるようにも聞こえるリズム隊。
 陰鬱、沈痛とまではいかずとも、ただ事ではない空気感たっぷり。
 そんな強い緊張感の中、ちょっとすっよぼけたような演奏もありますが、これまた後々まで続くこの人の色合い。
 全部あわせて、フリー度高めのクールなジャズ。
 これまたハードボイルド。

※次のバンドの演奏から。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Tribute” (1974) Paul Motian

“Tribute” (1974) Paul Motian

Paul Motian (drums, percussion)
Sam Brown (acoustic, electric guitars) Paul Metzke (electric guitar) Charlie Haden (bass)
Carlos Ward (alto sax)

Tribute
ECM Records
1993-11-01


 Paul Motian、”Conception Vessel” (1973)に続くリーダーでの第二作、ECMレコードでの制作。
 Charlie Hadenと二人のギターに、楽曲によってサックスが加わる編成。
 ECM、あるいは後のPaul Motian Trioのお約束、とても静かで妖しい、全編ルバートでのスローバラードがてんこもり。
 物悲しい音を奏でるギターに沈み込むベース、その中を漂う刃物のように鋭いサックス。
 そして、ときにパコーン、ポコーン、チーン・・・、ときにバシャバシャ・・・、ビートを出しているのか出していないのか、何なのかよくわからないドラム。
 それがカッコいい。
 あの“Death and the Flower” (1974) と同時期、音楽の色合いは違いますが、当のKeith Jarrettが加わればあのバンドになりそうなメンバーになんだから、カッコよくて当たり前。
 それと雰囲気が違うのは、終始前面に出るギターとクールな質感、後のTrioと違った感じがするのは、サイケと寂寥の間を行き来するギターと下の方で激しく蠢くベースゆえでしょうか。
 “Liberation Music Orchestra” (1969) Charlie Hadenに近い感じがしないでもないですが、もっとクール。
 全編を通じたダークなトーンもあわせて、とてもハードボイルドな妖しいジャズ。
 あまり話題にならないアルバムなのかもしれませんが、紛うことなき名演、名作。

※近い時期、近いメンバーでの演奏から。雰囲気は違いますが・・・


posted by H.A.


【Disc Review】“The Third Decade” (1994) The Art Ensemble of Chicago

“The Third Decade” (1994) The Art Ensemble of Chicago

Lester Bowie (trumpet, fluegelhorn)
Joseph Jarman (saxophones, clarinets, percussion, synthesizer) Roscoe Mitchell (saxophones, clarinets, flute, percussion) Malachi Favors Maghostut (bass, percussion) Don Moye (drums, percussion)

Third Decade
Art Ensemble Of Chicago
Ecm Import
2000-09-12


 The Art Ensemble of Chicago、ライブ録音を挿んでECMでのスタジオ録音第三作。
 本作も摩訶不思議な音がてんこ盛り、でも穏やかな音が中心。
 冒頭はスペーシーなシンセサイザーの響きと穏やかな木管楽器のアンサンブル。
 続くは明るい色合いのファンクチューン。
 さらにはノスタルジック風味のジャズバラード。
 いろんな不思議な音が飛び交い、ぶっ飛んでいくような、ぶっ壊れていくようなムードを醸し出しつつも、落ち着いたところに納まっていくアンサンブル。
 後半に入ると、鐘の音を中心とした摩訶不思議なアンサンブルが入り、それらしくなりますが、続くはBlue Noteっぽささえも漂うようなバップチューン。
 キリッとしたウォーキングベースに整然としたソロ回し。
 それなりによじれた感じではあるのですが、その普通のジャズ感が逆に摩訶不思議。
 締めはようやく登場、アフリカンなパーカッション群に導かれた、怒涛のコレクティブフリーインプロビゼーション。
 激烈で沈痛な面持ち。
 そこに至るまでの明るさを想い出すと、これまた摩訶不思議。
 ファンタジックで明るくて穏やか・・・、って感じには落ち着かない、Art Ensemble of Chicagoワールド。
 摩訶不思議。




posted by H.A.


【Disc Review】“Avant Pop” (1986) Lester Bowie, Brass Fantasy

“Avant Pop” (1986) Lester Bowie, Brass Fantasy

Lester Bowie (trumpet)
Rasul Siddik, Malachi Thompson (trumpet) Stanton Davis (trumpet, flugelhorn) Frank Lacy, Steve Turre (trombone) Vincent Chancey (French horn) Bob Stewart (tuba) Phillip Wilson (drums)

Avant Pop
Lester Bowie
Ecm Records
2000-09-12


Lester Bowie、Brass FantasyでのECM制作。
ブラスセクションのアンサンブルを中心として、ソウル、ファンク、ポップスを演奏しよう、ってなスタイルのバンドだったのでしょう。
本作も半数はソウル、ポップス、オリジナル曲もソウル、ファンクな感じ。
演奏自体は、現代ジャズとニューオリンズな感じのオールドスタイルジャズとフリー混じりのコレクティブインプロビゼーションをフュージョンさせたようなサウンド。
混沌の時間はほとんどなく、また、ポップな楽曲が多く取り上げられ、わかりやすい音。
が、やはりどこかよじれています。
コミカルにも妖しくも聞こえるチューバのベースライン、ときおり素っ頓狂にも響くホーンアンサンブル、過剰なまでのドラマチックな感じな演出も織り込みつつのサウンド。
が、前面に出るのは端正なジャズのインプロビゼーション。
なんだか不思議なバランスです。
これはきっと何かあるぞ、と思わせつつ、オーソドックスにも聞こえてしまうビッグバンド風ジャズ。
素直にスウィンギーで楽しそうな演奏を楽しめばいいのかな、と思いつつも、それだけだともったいないような、裏の何かを見落としてしまうような不思議な感覚。
さておき、このジャストなジャズ、ソウルな感じはECMとはちょっとミスマッチだなあ。
 それも含めて、やはり摩訶不思議。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Great Pretender” (1981) Lester Bowie

“The Great Pretender” (1981) Lester Bowie

Lester Bowie (trumpet)
Donald Smith (piano, organ) Fred Williams (bass, electric bass) Phillip Wilson (drums) Hamiet Bluiett (baritone saxophone)
Fontella Bass, David Peaston (vocals)

Great Pretender
Lester Bowie
Ecm Records
2000-09-12


 Lester Bowie、ECMでのソロ名義リーダー作。
 ピアノトリオに二管のオーソドックスな編成、ときおりのコーラス隊。
 これまた不思議感たっぷりのジャズ。
 タイトル曲は16分を超える長尺な演奏。
 ゴスペルチックなバラードから、徐々に激しい系へ遷移していく音。
 かといって長い混沌フリーに突入するわけでも、激しいインタープレーに突っ込むわけではありません。
 壊れそうで壊れない、常に美しくポップなメロディが流れている不思議なバランス。
 端正なトランペットがぶっ飛んでいきそうなバンドを抑えているようにも聞こえます。
 他にはニューオリンズ風のぶっ飛んだアンサンブルやら、超高速フリージャズだと思ったら実は古いポップス・・・やら、ラテンやら、静かに漂う淡いバラードやら、ゴーストの歌声サウンドやら・・・
 摩訶不思議な感じを含めて、Art Ensemble of Chicagoに近い印象ではあるのですが、ピアノが入っていることで少し違う表情になっているかもしれません。
 そのピアノがぶっ飛んでいて、とてもカッコいい。
 あの手この手の表現力たっぷり、キリッとしたトランペットが、最初から最後まで鳴りっぱなし。
 Lester Bowieを最初に聞くならこれ、って感じでよろしいのでは。




posted by H.A.


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