吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

ECM_records

【Disc Review】“Saudações” (2006,2007) Egberto Gismonti

“Saudações” (2006,2007) Egberto Gismonti
Alexandre Gismonti, Egberto Gismonti (Guitar)
Camerata Romeu, Zenaida Romeu (Conductor, Strings Orchestra)

Saudacoes
Egberto Gismonti
ECM
2009-10-20


 Egberto Gismontiの2017年時点での最新作。
 ストリングスオーケストラ作品と、ギターのDuoの二編成。
 この前の作品はオーケストラの“Meeting Point” (1995)。

 ストリングスオーケストラの作品は、クラシック音楽の色合い。
 メカニカルにアップダウンするアグレッシブでハイテンションな表情が中心ですが、優し気なコンボ作品“Sanfona” (Nov.1980,Apl.1981)、“Em Família” (1981)あたりを想い出す場面もたくさん。
 さらに、合間々にコミカルな表情も見え隠れする構成。
 前作と同様に、Egberto Gismontiミュージックの集大成、オーケストラバージョンといえるのかもしれません。
 いろんなところに過去の楽曲の断片も出てくるのも面白いところ。
 前作“Meeting Point” (Jun.1995)と比べると優し気で柔らかな空気感なのは、ホーンがいないせいかな?と思って、クレジットを見るとオーケストラは全員女性のようで、妙に納得。
 優し気なGismontiミュージック、ストリングス版。

 ギターのDuoは想像通りのGismontiミュージック、ギター編。
 どちらが父でどちらが息子なのかの判別はつきません。
 娘Bianca Gismontiと同様、天賦の才能とともに英才教育を受けてきたのでしょう。
 過去の名曲を含めて、ハイテンション系の演奏が並びます。
 が、1970年代ECM、“Sol Do Meio Dia” (Nov.1977)のRalph TownerとのDuoのように超ハイテンションな感じでは無くて、まずまず穏やかな音の流れ。
 もちろんボッサやジャズではなく、あくまでGismontiミュージック。
 本作に収められたソロでの演奏を聞く限り、息子さんの方はスパニッシュ系が得意なのでしょうかね?
 少し後の初リーダー作”Baiao de Domingo” (2009)はオーソドックスなブラジリアンジャズっぽい感じでしたが、さてこの後、父上のように求道的にいくか?、Bianca Gismontiのようにポップ系にいくか?
 本作がその予告編になるか・・・な?

 明るいようで陰影の強い、とても素敵なジャケットのポートレートは、とびきりの美しさ、含蓄の深さ。
 明るいようで陰影があって、大人なようで童心なようで、妖しいようで優しくて、あるいは優しいようで妖しくて・・・
 Egberto Gismontiミュージックそのものの構図。
 その後、十年の歳月が経ちますが、新作がそろそろ出ませんかね・・・?





 初期の作品はボサノバ、ロックの色も強いちょっと変わったMPB。
 そこから激しい系のロックな色合いが強くなって、“Academia de Danças” (1974)、“Corações Futuristas” (1976)などはとんでもなく凄い作品。
 そこからECMで制作を開始して、それらはまずまず落ち着いた印象。
 っても十二分にハイテンションで激しいのですが。
 その後のECM以外の作品は電子音が強くなって・・・、また気が向けば。
 私的な好みは柔らかなジャズの色が強い“Sanfona”(Nov.1980,Apl.1981)、(1981) “Em Família” ですねえ。
 凄いのは上記二作だと思うけど。

(1969) “Egberto Gismonti” 
(1970) “Sonho '70” 
(1970) “Orfeo Novo” 
(1972) “Agua e Vinho” 
(1973) “Egberto Gismonti” 
(1974) “Academia de Danças” 
(1976) “Corações Futuristas” 
(1977) “Carmo” 
(Nov.1976) “Dança Das Cabeças” with Nana Vasconcelos
(1978) “No Caipira” 
(Nov.1977) “Sol Do Meio Dia” 
(1978) “Solo” Solo 
(Mar.1979) “Saudades” Naná Vasconcelos
(Jun.1979) ”Magico” Magico
(Nov.1979) “Folk Songs” Magico
(1980) “Circense
(Nov.1980,Apl.1981) “Sanfona
(1981) “Em Família” 
(Apl.1981) “Magico:Carta de Amor” Magico
(1982) “Fantasia”
(1982) “Sonhos de Castro Alves”
(1983) “Cidade Coração”
(1984) “Duas Vozes” with Nana Vasconcelos
(1985) “Trem Caipira” 
(1986) “Alma” Piano Solo(+α)

(1986) “Feixe De Luz"

(1988) “Dança Dos Escravos” Guitar Solo
(1989) “Kuarup”
(1989) “In Montreal” with Charlie Haden
(1990) “Infância” 

(1991) “Amazônia”

(1992) “Casa Das Andorinhas”

(Apl.1995) “ZigZag” 
(Jun.1995) “Meeting Point” with Orchestra
(2006, 2007) “Saudações” with Orchestra


posted by H.A.


【Disc Review】“Meeting Point” (Jun.1995) Egberto Gismonti

“Meeting Point” (Jun.1995) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (Piano, Composer)
Lithuanian Symphony Orchestra Vilnius

Meeting Point
Egberto Gismonti
Ecm Import
2000-08-01


 Egberto Gismontiのオーケストラ作品。
 ジャズでもブラジル音楽でもなく、シンフォニーオーケストラによるクラシック。
 Egberto Gismonti本人は、ピアノで数曲前面に出る場面もありますが、基本的にはコンポーザー、アレンジャー。
 この前の作品“Infância” (1990), “Música de Sobrevivência” (1993), “ZigZag” (Apl.1995)が、少人数での疑似オーケストラ的な音作りでしたので、作りたい音はこの種の音楽になっていたのでしょう。
 時期からすれば、そのシリーズの集大成的な位置付けだったのかもしれません。
 Oden/EMIレーベルの作品ではストリングス、オーケストラ入りはたくさんあったし、ECMでも“Saudades” (Mar.1979) Naná Vasconcelosといった作品があります。
 もともとやりたかったのがこれかもしれませんし、何年も前から頭の中で鳴っていた音を整理し、ようやく実現出来た、といったことなのかもしれません。
 オーケストラでのクラシックではありますが、音楽自体はハイテンション系中心のGismontiミュージック。
 ピアノがリードする定番の名曲“Frevo”も、激しいストリングスを加えた、ハイテンションさでは一二を争いそうな演奏。
 ジェットコースターのようなスリリングな音の動き。
 勇壮で変幻自在。
 激しくアップダウンを繰り返しながら、目まぐるしく変わっていく景色。
 おもちゃ箱をひっくり返してかき回していくような、カオスなような、童心に帰ったような、あるいは、それを計算尽くでやっているような、なんとも複雑で不思議な感じの音の洪水。
 ときおり現れる優しい表情、おどけたような表情もGismontiミュージックそのものでしょう。
 っても、電子音やロックなビートやプログレッシブロックな激しいリフが無い分、“No Caipira” (1978)のバージョンや、Odeon/EMI諸作よりも随分上品でクールな印象がECM的であり現代的。
 次作は時間をかなり空けて、オーケストラ作品とご子息とのギターDuo演奏の“Saudações” (2006,2007)。
 またコンボ、あるいは少人数での作品、あるいは優しいサイドの作品を聞きたいところではあるのですが、また機が熟するまで・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Inland Sea” (2014-2016) Stephan Micus

“Inland Sea” (2014-2016) Stephan Micus
Stephan Micus (Lute, Nyckelharpa, Zither, Shakuhachi, Guitar, Guimbri, Voice)

MICUS, STEPHAN
STEPHAN MICUS
INLAND SEA
2017-06-16


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micusの2017年時点での最近作。
 もちろんいつもと同じ、無国籍、ノンジャンルな、とても静かで穏やかな音。
 “East of the Night” (1985)、“Ocean” (1986)あたりは幽玄さが前面に出ていましたが、作品が進むにつれ音の輪郭がシャープに具体的に変わってきているように感じ。
 が、本作は幽玄な方向に戻ったような印象。
 おそらく、柔らかな弦の古楽器?中心だからでしょう。
 終始漂うような音の流れ。
 Zither, Lute, Nyckelharpaなど、遠い所、遠い時空から響いてくるようなさまざまな音が奏でる悲し気なメロディ。
 間に定番の尺八、ボイスをはさみながら進む、憂いを含んだ幻想的な音。
 “East of the Night” (1985)と近いムードのとても素晴らしいジャケット。
 そちらは全二曲の大作ですが、そのムードはそのままに、楽曲をコンパクトにまとめていったような印象。
 楽曲ごとに景色、空気感が変化していきます。
 どこの、あるいはいつの”内海”の描写なのかはわかりません。
 世界のどこか、いつの時代かの情景を集めたコラージュのようなアルバム。
 現代の都会の喧騒や慌ただしさから完全に隔離された音。
 とても静かで穏やかな気持ちに・・・なるかな?





 Stephan Micus作品群。
 たくさんは聞けていませんが、私が知る限りはどれも静謐なトリップミュージック。
 新しいほど楽器、音の流れのバリエーションが増えていると思いますが、私的な好みはシンプルな“East of the Night” (1985)、“Ocean” (1986)あたり。
 忘れたころに聞きたくなる、気持ちの清涼剤になる素晴らしい音。
 無国籍なエスニック感、さまざまな要素がフュージョンする音、空間が多い静謐な音など、これぞジャズ、クラシックではないECMの典型的な音、ってな感じでしょうね。

“Archaic Concerts” (1976)
“Implosions” (1977)
“Koan” (1977)
“Behind Eleven Deserts” (1978)
“Till the End of Time” (1978)
“Wings over Water” (1981)
“Listen to the Rain” (1983)
East of the Night” (1985)
Ocean” (1986)
“Twilight Fields” (1987)
“The Music of Stones” (1989)
“Darkness and Light” (1990)
Athos” (1994)
“The Garden of Mirrors” (1997)
Desert Poems” (2001)
Towards the Wind” (2002)
“Life” (2004)
“On the Wing” (2006)
“Snow” (2008)
“Bold as Light” (2010)
“Panagia” (2013)
“Nomad Songs” (2015)
Inland Sea” (2014-2016)


posted by H.A.


【Disc Review】“Towards the Wind” (1999-2001) Stephan Micus

“Towards the Wind” (1999-2001) Stephan Micus
Stephan Micus (Duduk, Kalimba, 3 Steel-String, 14-String Guitars, Guitar, Shakuhachi, Talking Drum, Strings, Voice)

Towards the Wind
Stephan Micus
Ecm Import
2002-08-06


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micusのとても静かな無国籍ワールドミュージック。
 本作の主役は尺八とギターに加えて、DudukとKalimbaでしょうか。
 冒頭からバリトンサックスを柔らかく、丸くしたような音がとても美しいDudukで奏でられるセンチメンタルなメロディ。
 アジアなのか、中近東なのか、はたまた日本なのか・・・
 ・・・と思っていると、次はKalimbaのソロ。
 アフリカってよりも、やはりアジアな感じでしょうか。
 そんなDudukとKalimbaのソロ演奏の間にいつもの尺八とギターが絡み合う構成。
 Kalimbaのソロからスタートして、雅な雰囲気のビートとメロディを、アジア~中近東なDudukが奏でる・・・ってな感じで、なんだかよくわからない究極のフュージョンミュージック。
 珍しくアップビートのギターのストロークと尺八のインプロビゼーションが絡む勇壮系の演奏なども。
 あるいは、終盤に収めれらたギターのストロークにボーカルが載ってくるフォーキーなバラードは、あの時代のPat Methenyグループのムード、南米の山奥の空気感。
 そんなこんなで、アジアなのか、アフリカなのか、中近東なのか、南米なのか、日本の里山なのか、わからないトリップミュージック。
 初期の作品“East of the Night” (1985)などと比べると幻想的なムードは薄くなってきているのかもしれませんが、穏やかで優し気、懐かし気な空気感は同様。
 全編エスニックなのですが、なぜか西欧的に洗練された感じがするのは、ヨーロピアンの出す音ゆえでしょうか?
 その不思議なバランスがこの人の音の特色であり、魅力なのでしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Desert Poems” (1997-2000) Stephan Micus

“Desert Poems” (1997-2000) Stephan Micus
Stephan Micus (Sarangi, Dilruba, Ngoni, Ney, Strings, Kalimba, Harp, Talking Drum, Steel Drums, Percussion, Voice)

Desert Poems
Stephan Micus
Ecm Import
2001-02-27


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、ECMでの無国籍、ノンジャンルな静かな音。
 本作のテーマは砂漠なのでしょう。
 この人の作品、アルバム毎にメインの楽器が変わってくるように思いますが、本作のメインは、ギター的な弦楽器とカリンバ、さらにボイス。
 反響音が少ない乾いた弦の音、あるいはカリンバが、砂漠~中央アジア~中近東のイメージでしょうか。
 それらの響き、ルバートではなく淡々と定常に刻まれるビートと、何語かよくわからないボイスが瞑想へ誘う音。
 中近東的な感じとオリエンタルな感じ、中盤以降は日本的な感じが交錯する物悲しいメロディは、お経のように響きます。
 非日常感は120%。
 そのボイスの入り方で好みが分かれるのかもしれませんが、強い非日常感をお求めの向きにはいいんだろうなあ・・・と思う楽曲がいくつも。
 お約束?の尺八のソロでサムライ~侘び錆び風の風情でペースを変えながら、ゆったりとしたビートと乾いた弦、木管の音が響く、幻想的な時間が続きます。
 とても素敵なジャケットは、このレーベルにしては稀有な色鮮やかで灼熱な感じですが、音の方は穏やかで温かな感じ。
 相対的に温度感が高いかもしれませんし、湿度感もそこそこ。
 少々妖し気ながら、静かさ、穏やかさは同様。
 いつも変わらないこの人の作品の空気感、静謐なトリップミュージックです。




posted by H.A.


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