吉祥寺JazzSyndicate

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Django_Bates

【Disc Review】“The Study of Touch” (2017) Django Bates' Beloved

“The Study of Touch” (2017) Django Bates' Beloved
Django Bates (piano)
Petter Eldh (double bass) Peter Bruun (drums)

The Study of Touch
Django Bates
Ecm Records
2017-11-10


 イギリスのフリージャズ系ピアニストDjango Bates、ECMでのリーダー作。
 ECMでは客演で“So I Write” (1990), “Exile” (1993) Sidsel Endresen, “Eréndira”(1985), “Cantilena”(1989) First Houseなどがありますが、リーダー作としては初めてでしょう。
 ECMとDjango Bates、ソロ、変則コンボ・・・何でもありそうないかにも危険な組み合わせですが、本作はオーソドックスな編成のピアノトリオ、“Confirmation” (2012)など、超弩級に激しく過激なジャズバンドDjango Bates' Belovedでのアルバム。
 1970年代ECMならいざ知らず、その激烈なジャズが現代のECMに合うのかなあ・・・と思いながら・・・
 さすがECM、厳しいご指導があったのでしょうかね?
 ほどほど静かなDjango Bates' Beloved。
 トレードマークの変幻自在、予測不能、複雑怪奇なジャズの色合いははそのまま。
 が、激烈さは影を潜め、穏やかなサウンド。
 激しくは弾かれないピアノと、それに合わせるような暴れないバンド。
 このバンドの流儀と思しきジャズスタンダードをグチャグチャに解体するのではなく、何となくジャズっぽい感じのオリジナル曲。
 メカニカルでピキピキパキパキとしつつも、ECMのお約束、ルバートでのスローバラードなども交え、近年のECM的な淡いサウンドに近づけようとしているようにも聞こえます。
 それでもフワフワとした感じにならず、なんだかんだでDjango Batesのパキパキした感じ、ECM諸作の中ではジャズ寄りのサウンドでしょうかね。
 直近の客演“Blue Maqams” (2017) Anouar Brahemでは、もう少しフワフワしていて、ECMっぽかったようにも思うのですが・・・?
 なんだかんだで過激ではない、上品で上質なピアノトリオジャズ。
 ECM移籍第一作目は淡い色合いになる、の法則は、鬼のようなベテラン激烈ピアニストにも当てはまる・・・かな?




posted by H.A.

【Disc Review】“Exile” (1993) Sidsel Endresen

“Exile” (1993) Sidsel Endresen
Sidsel Endresen (Voice)
David Darling (Cello) Jon Christensen (Drums, Percussion) Bugge Wesseltoft (Keyboards) Django Bates (Piano) Nils Petter Molvær (Trumpet)

Exile
Sidsel Endresen
Ecm Import
シッツェル アンドレセン
ジャンゴ ベイツ


 ノルウェーのボーカリスト、”So I Write” (1990)に続くECM作品。
 前作のメンバーにチェリストDavid Darlingと、近年まで活動を共にしているキーボードBugge Wesseltoftが参加。
 Django Batesの美しいピアノが印象に残ることは変わりませんが、チェロの響きが同程度に背景を支配。
 ピアノが入らないトラックも増え、妖しさは増幅。
 静謐な迷宮に迷い込んだような不思議感。
 全編を支配する寂寥感。
 楽曲はオリジナルを中心として、Django Bates、David Darlingなど。
 いずれも寂寥感漂う不思議系。
 不思議なメロディラインとこぼれ落ちるような美しいピアノ、ハスキーで乾いた妖しげなボイス。
 それらに絡みつくように低く響くチェロ、トランペット。
 David Darlingのチェロがフィーチャーされる場面が多く、前作に比べて抽象度が高い時間が長い印象。
 非日常的空間へ連れて行ってくれる不思議な音。


※別のアルバムから。


posted by H.A.

【Disc Review】“So I Write” (1990) Sidsel Endresen

“So I Write” (1990) Sidsel Endresen 
Sidsel Endresen (Vocals)
Nils Petter Molvær (Flugelhorn, Percussion, Trumpet) Django Bates (Piano) Jon Christensen (Percussion)

So I Write
Sidsel Endresen
Ecm Import
シッツェル アンドレセン
ジャンゴ ベイツ

 ノルウェーのボーカリストのECM作品。
 “Solid Ether” (1999) Nils Petter Molværなどで妖しい歌を歌っていた人。
 変則トリオを従えて、静謐で穏やかもの悲しく妖しげな、いかにもECMな音。
 ハスキーな声は一歩間違うと鬼気迫る怖さになりそうですが、そのかなり手前、淡々としたボイス。
 何かしら懐かしさと寂寥感を感じる声。 
 アルバム全体のイメージを支配するのはDjango Batesのピアノ。
 少々フリー混じり、ベースレスゆえの浮遊感のある音空間をキラキラと舞い散るような乾いた音の美しいピアノ。
 “Confirmation” (2012) Django Batesのような激しさではなく、”Eréndira” (1985) “Cantilena” (1989)First Houseをさらに静謐にしたイメージ。
 同じくBritishの名手John Taylorの“Celestial Circle” (2010) Marilyn Mazurでの名演を想わせるような美しく妖しい音使い。
 美しさと激しさ、タメと加速感のバランスが素晴らしいピアノ。
 この人、こっちの線の方がいいと思うんだけど・・・
 Nils Petter Molværも寂寥感の塊のような音で、登場場面はとてもドラマチック。 
 楽曲はJon Balke、Django Batesなどの作品、全編不思議系のメロディながら、沈痛には至らないクールなムード。 
 メンバーの名前は怖いですが、内容は決して怖くありません。
 名作です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Eréndira” (1985) “Cantilena” (1989) First House

“Eréndira” (1985) “Cantilena” (1989) First House
Ken Stubbs (alto saxophone) Django Bates (piano, tenor horn) Mick Hutton (bass) Martin France (drums)

Eréndira
Universal Music LLC
2009-02-25





Cantilena
Universal Music LLC
2000-11-16






 イギリス?のワンホーンカルテット。
 ECMにしてはまあまあオーソドックス、明るい印象のジャズバンド。
 バンド全体としては、Ornette ColemanやKeith Jarrettあたりの影響が強いのかもしれませんが、より分かりやすくなじみやすい。
 それでもヨーロッパのバンドならではの妖しさもそこかしこに感じられ、奥が深そうで退屈しません。
 イギリスのジャズに特別なイメージは持っていないのですが、ヨーロッパとアメリカの両大陸の中間、ちょうどそんな質感。
 アルトサックスがカッコいい。
 David Sanbornから歪みを除去したというのが適当かどうかわかりませんが、鳴りのいい伸びやかな音、メロディアスなフレーズとエモーショナルな抑揚。
 絶妙なタメとノリ、スピード感。
 ちょっと強めのエコーも心地いい。
 ピアノも只者では無い感が漂うフレージングと美しい音。
 リーダー作はアバンギャルドですが、ここのバンドではオーソドックスに美しく、時々激しい演奏。
 ドラムとベースも決して派手ではないのですが、いい感じの上品なグルーブ感。
 曲は美しいバラードから、Ornette風、Keith Jarrett風、などなど、バリエーション豊か。
 いいバンドだと思うのですが、作品はわずかのよう。
 ちょっとアブストラクト、妖しげで浮遊感が強い“Eréndira”(廃盤?)、より整った“Cantilena”、どちらもいいアルバム。



posted by H.A.

【Disc Review】“Confirmation” (2012) Django Bates' Beloved

“Confirmation” (2012) Django Bates' Beloved
Django Bates (piano)
Petter Eldh (bass) Peter Bruun (drums)

Confirmation
Django Bates' Beloved
Imports
2012-09-25
ジャンゴ ベイツ

 英国のピアニストのトリオ、最近作。
 ECMの”First House”でカッコいいピアノを弾いていたのは知っていたのだけど、アバンギャルド系の人だと思い(事実、そう。)避けてました。
 何の気なしに聞いてみたこのアルバムが凄まじい。
 チャーリー・パーカーナンバーが数曲ありますが、何の曲やらさっぱりわかりません。
 テーマはわかるのですが、超変拍子というか、小節すらもよく分りません。
 さらに加速したり、減速したり。
 が、ブレイクになるとピタリと合う。
 もちろん全編通じて、過激、アバンギャルドですが、いわゆる全編即興ではなく、ちゃんとルールと決めがあって、その上で暴れまくっているのでしょう。
 ピアノは超高速、変幻自在。ガンガンゴンゴン。
 でも音がものすごく綺麗。
 さらに、ベースがゴリゴリ。ドラムはバシバシ。
 凄いバンド。
 これは気持ちいいわ。
 あまりにも凄いので、疲れているときは避けて、気力、体力があるとき、半分だけ聞くといい感じかな?



posted by H.A.
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