吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

David_Murray

【Disc Review】“Ming” (1980) David Murray Octet

“Ming” (1980) David Murray Octet
David Murray (tenor sax, bass clarinet)
Henry Threadgill (alto sax) Olu Dara (trumpet), Lawrence "Butch" Morris (conductor), George Lewis (trombone), Anthony Davis (piano) Wilbur Morris (bass) Steve McCall (percussion)

Ming
David Murray Octet
Black Saint
デビッド マレイ


 過激なサックスのDavid Murray、大所帯での過激なジャズ。
 フリーな場面が長いわけではありませんが、激情型のコレクティブインプロビゼーションやら、全員がブチ切れた演奏やら、超弩級にハイテンションなジャズ。
 “Bitche’s Brew”(1969) Miles Davisから10年、新手のエネルギー放出型ジャズ。
 アコースティック4ビートがベースではあるのですが、ここまで激しいと何か別物のように聞こえてきます。
 David Murray、あまりにも作品が多いので、また同時進行で追いかけていたわけではないのですが、この作品あたりが彼のベースとなっている音楽なのでしょうかね?
 イタリアのレーベルからですが、NYロフト系といった括りがあり、これなどが代表的な音なのでしょうかね?
 それにしても凄い演奏力。
 決してビッグネームばかりではないのですが、全員が凄まじい演奏。
 特にホーン陣はリーダーも真っ青な激烈さ。
 どのソロも凄い表現力、感情がそのまま音に乗ったような、コメカミの血管が切れてしまいそうな演奏揃い。
 バラードかと思い安心していると、気が付けばどこかわからない混沌とした妖しい世界になってみたり、突然大音量のフリーインプロビゼーションが始まってみたり・・・
 やりたい放題。
 ジャケットは美形ポートレートですが、騙されてはいけません。
 とても激烈な音楽。
 この季節に聞くとサウナで全力疾走しているような・・・
 でもとてもカッコいい音楽です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Daybreak” (1989), “Windward Passages” (1993) David Murray / David Burrell

“Daybreak” (1989) David Burrell / David Murray
Dave Burrell (piano) David Murray (tenor sax, bass clarinet)

Daybreak
Dave Burrell
Gazell Records
デイブ バレル
デビッド マレイ
 
“Windward Passages” (1993) David Murray / David Burrell
David Murray (tenor sax, bass clarinet) David Burrell (piano) Monika Larsson (voice)

Windward Passages
David Murray
Black Saint
1997-08-19


 David BurrellとDavid Murray、“In Concert” (1991)を挟むように録音されたDuo作品。
 リーダーを分け合っている感じですが、二作ともバラードが印象に残る構成。
 フリージャズも含まれますが、基本的には定常なビート、作曲されたメロディをモチーフに演奏するスタイル。
 二人ともバラードの名手、どちらにも素晴らしい演奏が収められています。
 “Daybreak” (1989)が少々過激系、“Widnward Passages” (1993)が落ち着いている系でしょうか。
 “Daybreak” (1989)は、スタジオ録音、メロディアスなバラード集、二人だけの演奏でありながら10分超える長尺な演奏中心。
 今時、全4曲。
 もちろん各曲ごとに変化はありますが、基本的にはインプロビゼーション一本やり。
 吹き出すと止まらないDavid Murray。
 一曲がこれだけ長いと途中で飽きてきそうなものですが、退屈はありません。
 静かに始まり、山あり谷あり、激情あり、狂気あり、クールダウンあり・・・。
 それでいて最後は、中盤の熱を微かに残しながらも、静かに締め。
 起承転結が描けていなければ、あるいは何がどうあってもまとめてしまう才能がなければ、これはできないでしょう。
 やはりこの人は現代の天才でしょう。
 David Burrellもキチッリとペースを作りつつ、縦横無尽のサポート、インプロビゼーション。
 ぶっきらぼうな感じ、おどけた感じから、混沌、さらには繊細でメロディアスな演奏まで変幻自在。
 “Widnward Passages” (1993)では、各曲はコンパクトになりますが、これまた同質。
 これででもかこれでもかとねじ込んでくるインプロビゼーションの間に隠された美しいメロディ。
 ちょっとこわもての二人の素敵なDuo。
 やはり内容もこわもてかもしれませんが・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“In Concert” (1991) Dave Burrell, David Murray

“In Concert” (1991) Dave Burrell, David Murray
Dave Burrell (piano) David Murray (tenor saxophone)

In Concert
Dave Burrell
Victo
デイブ バレル
デビッド マレイ

 フリージャズのイメージが強いピアニストDave Burrellと過激なサックスDavid Murrayの共演作、ライブ録音。
 このコンビはDavid Murray諸作“Lovers” (1988)などで素晴らしいコンビネーション。
 Duoでの作品も幾つもあります。 
 David Murray、いろんなピアニストと共演していますが、この人が一番合っているように思います。
 おそらく、楽器は違えど似たタイプだから。
 いくら上手い人でも普通にモダンジャズのピアニストとDavid Murrayは合わないと思いますし、その逆も然り。
 コンボでの演奏もいいのですが、Duoだと制約がなくなって変幻自在の激烈さ。
 おまけに本作はライブ。
 David Murrayが、白目むいて汗だらだら流しながら吹いている姿が目に浮かぶような演奏。
 それでものべつまくなしに発散しまくるのではなく、徐々に盛り上げながら曲ごとに最後はキチンとまとめてくる名人芸。
 Dave Burrellはさらに過激、フリーの人のイメージ。
 このアルバムでも激しい場面はあるのですが、全体的にはペースをしっかりキープする落ち着いた演奏。
 さらにバラードを弾くと、とてつもなく美しい演奏になります。
 おそらくクラシックにも相当造詣が深いのでしょう。
 また、各メロディがこれまた美しい。
 David Murrayも同様に、過激ながらバラードの名手。
 美しい展開から徐々に崩れていったり、火の出るような音の流れの中から突然美しいメロディが現れたり。
 本作でもステージの中盤からは、“Lovers” (1988) にも収められていた“Teardrops for Jimmy”含めて三連発の絶品なバラード演奏。
 この三曲でも聞く価値あり。


※David Murrayはいませんが・・・


posted by H.A.

【Disc Review】“David Murray Quintet” (1994) David Murray

“David Murray Quintet” (1994) David Murray
David Murray (tenor saxophone, bass clarinet)
Ray Anderson (trombone)
Anthony Davis (piano) Kenny Davis (bass) Tommy Campbell (drums)



 スーパーホーン奏者David Murray、Ray Andersonの共演作。
 現代最高のホーン奏者二人。
 東の横綱vs西の横綱、千秋楽、頂上対決・・・
 ってなのは私の個人的趣味なのかもしれませんが、最も好きなホーン奏者二名。
 この二人はよく似ています。
 ぶっとい音、
 変幻自在の表現力、
 流麗なフレージングから徐々にグチャグチャになっていく展開、
 それでも絶対に外れることはないビート感、
 キレれて吹いているようで最後には必ず落ち着く、起承転結のあるソロ・・・
 その他諸々ありそうですが、要するに、激しい音使いながら、音色、リズム、フレージング、インプロビゼーションの組み立て、すべてが完璧。
 そんな二人の共演。
 音楽は両者が得意なファンクジャズ中心にジャズスタンダードなども。
 律儀にもバース交換とかもやっていますが、終わったらホッとするような、凄まじい吹きっぷり。
 これでもかこれでもかと続くジャンピーな曲、これでもかこれでもかと続く汗が噴き出すようなホーンの音。
 全体を眺めると、似たようなビート、平和な印象の楽曲が多い感じでしょうかね。
 妖しい系の曲や、色気のあるバラードなど間にはさめばもっと変化に富んだ作品になったのかな?
 いずれにしてもスーパーアーティスト、一期一会のスーパーバンド。

※別のバンドから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Sacred Ground” (2006) David Murray

“Sacred Ground” (2006) David Murray
David Murray (tenor saxophone, bass clarinet)
Lafayette Gilchrist (piano) Ray Drummond (bass) Andrew Cyrille (drums) Cassandra Wilson (vocals)

Sacred Ground
David Murray
Justin Time Records
2007-06-26
デビッド マレイ

 真っ黒けの音の兄貴David Murray、ドスの効いた姉御Cassandra Wilson。
 鬼も逃げ出しそうなお二人の共演。
 やはり凄まじい。いや、素晴らしい。
 もはや説明無用。




posted by H.A.

【Disc Review】“Live In Berlin” (2007) David Murray

“Live In Berlin” (2007) David Murray
David Murray (tenor saxophone, bass clarinet)
Hamid Drake (drums) Jaribu Shahid (bass) Lafayette Gilchrist (piano)

Live In Berlin
David Murray Quartet
Jazzwerkstatt
2010-11-16
デヴィッド・マレイ

 一番好きなサックス奏者David Murray、ピアノトリオを従えたカルテットでの2010年ライブ盤。
 黒光りするような真っ黒けな音で過激なフレーズを連発するサックス奏者、フリージャズに分類されることも少なくないけども、多くのアルバムは難解ではありません。
 アップテンポではエネルギー爆発、また、バラードは絶品。
 グルーブ感、エネルギー感、昂揚感・興奮感、センチメンタリズム、ハードボイルドネス、加えてアバンギャルドさなど、ジャズのカッコよさを集約したようなミュージシャン。
 そしてこのアルバム、上記のような彼のカッコよさが集約されたような近年作。
 ライブなのですべての曲が長尺ですが、凄まじいまでの演奏が堪能できます。
 ハードボイルドで緊迫感あふれる冒頭曲からぶっ飛ばし、激しく感動的な演奏が続くのですが、特に3曲目が素晴らしい。
 基本的にはバラード、美しくもの悲しい美曲なのですが、前半のバラード演奏から次第にテンポが崩れ始め混沌の世界へ、そしてしばらくの彷徨の後にバラードに戻る、といった展開を繰り返します。
 その間のサックスソロの凄まじいこと。
 さらにフリーテンポでのピアノソロから激しいピアノトリオ、ブチ切れたテナーサックスソロが展開された後、テーマ、バラードに戻ります。
 とにかくドラマチック。
 一曲の中に様々なシーン、ストーリーが展開されていきます。
 曲が終わると一篇のヘビーな映画を見た気分。





posted by H.A.

【Disc Review】 “Lovers” (1988) David Murray

“Lovers” (1988) David Murray
David Murray(tenor sax)
Dave Burrell (piano) Fred Hopkins (bass) Ralph Peterson Jr. (drums)

デビッド マレイ

 ちょっと過激だけど普通のジャズやってもものすごくカッコいいテナーサックスDavid Murray。
 カルテットでのバラード集。
 この人のテナーは黒い。
 真っ黒け。
 それもつやつやした黒。
 それでバラード集など演られるとたまりません。
 ゆったりとした美しいバラードではじまるこの盤、最初のテナーの一吹きで、おっとこれはすごいかもと思わせます。
 一曲目、美しい演奏が続くこと数分、気がつくとフリーっぽい激しい演奏に展開、あれれ、と思うのはつかの間、最後は元の落ち着いたテーマに戻ります。
 この人、どんな曲でも同様の展開が多いのですが、この盤のゆったりとしたバラード中心の楽曲でも、徹底的にそれをやってくれています。
 一味違う辛口なバラードはMurrayさんならでは。
 曲は”In a Sentimental Mood”を除いてオリジナルですが、どの曲もメロディアス。
 ピアノはDave Burrel、フリージャズが本分なのでしょうが、ここでは抑え目にしっかりとサポート。
 ベースのFred Hopkins、ドラムのEd Blackwellも同様。
 どの曲もいいのですが、特に冒頭の故Jimmy Garrisonに捧げたDave Burrelの”Teardrops For Jimmy”はホントに涙に出そうになる名曲・名演。
 穏やかなサックスと美しいことこの上ないピアノ、そして激情・・・
 さらに、最後の”Nalungo”は懐かしの火曜サスペンス劇場?の世界。
 沈痛なテーマ、アルコによる過激なベースソロの後に美しいピアノ、さらにテンポを上げてハードボイルドなサックスソロに繋がっていきます。
 過剰なまでにドラマチック。




posted by H.A.
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