吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Dave_Holland

【Disc Review】“The Razor's Edge” (1987) Dave Holland

“The Razor's Edge” (1987) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin Smitty Smith (drums) 
Kenny Wheeler (flugelhorn, trumpet, cornet) Robin Eubanks (trombone) Steve Coleman (alto saxophone)

Razor's Edge
Holland, Dave
Ecm Records
2000-06-06


 Dave Holland、1987年作。
 “Jumpin' In” (1983), “Seeds of Time” (1984)に続く三管、ピアノレスでのクインテット。
トロンボーンが交代し、Kenny Wheeler以外は変拍子ファンクジャズ集団M-Base閥で固められました。
 が、この期はまだまだ普通にジャズ。
 冒頭からこれECMでやるの?な明るく平和な感じの“ど”ジャズ。
 強烈な推進力のリズム隊に、Kenny Wheelerさておき、黒々としたホーン陣。
 とてもモダンジャズ。
 が、二曲目はフリービート、全編ルバートっぽいバラード、いかにもECM。
 Kenny Wheelerの音が聞こえるとヨーロピアンハイテンションジャズに聞こえてきたり、やっぱり平和でブルージーなジャズだったり、危機感煽り系の演奏はSteve Colemanの曲だったり・・・
 そんな色合いが交錯します。
 ピアノレスゆえのたっぷりの空間を埋め尽くすのはボコボコと鳴り響くベース。
 華やかな音でないだけにクールでハードボイルド。
 そんな中で響くホーンの残響音が孤高な感じで、これまたハードボイルド。
 ここから先は編成をさまざまに変えつつ、クールでハードボイルドなジャズが続きます。

※別のバンド、アルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Seeds of Time” (1984) Dave Holland

“Seeds of Time” (1984) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin "Smitty" Smith (drums)
Kenny Wheeler (trumpet) Julian Priester (trombone) Steve Coleman (alto sax)

Seeds Of Time
Dave Holland Quintet
ECM
2019-01-18


 Dave Holland、1984年作、ピアノレス三管クインテット。
 ECMでのこの編成は、“Jumpin' In” (1983)に続いての二作目でしょうか。
 1970年代、エレクトリックMiles、“Conference of the Birds” (1972)や“Balladyna” (1975)  Tomasz Stankoなどほどのエネルギー放出型ではない、でも激しい系ジャズ。
 ECM御用達のトランペット、トロンボーンに、後の変拍子ファンクジャズM-Base閥の親分Steve ColemanとMarvin "Smitty" Smithの若手の組み合わせ。
 ホーンのアンサンブルはビッグバンドのように響き、その後ろで動きまくるベースと煽るドラム。
 沈痛陰鬱系やら勇壮系やら、やっぱりジャズっぽかったりやら、さまざまな表情のメロディに、フロント三者が絡み合いつつ徐々にブチ切れていくソロ。
 肉声なども交えつつのArt Ensemble of Chicago?なんて演奏も含めてフリーや混沌、激情系に突っ込んでいく場面も少々。
 気がつけば怒涛の中、でも調整は崩れない、クールでハードボイルドな空気感はそのまま、そんなバランス。
 ECMにしては普通にジャズっぽいかなあ・・・と思いつつも、美しい音を含めて醸し出される緊張感はこのレーベルならではなのでしょう。
 1970年代も今は昔、かつてのイメージと変わってほどほど落ち着いたジャズ、でも激しい系。




posted by H.A.

【Disc Review】“Conference of the Birds” (1972) Dave Holland

“Conference of the Birds” (1972) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Barry Altschul (percussion, marimba)
Sam Rivers, Anthony Braxton (reeds, flute)

Conference of the Birds
Barry Altschul
Ecm Records
2000-04-11


 Dave Holland、1970年代序盤、フリー混じりのコンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 “Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)を始め、エレクトリックMilesの初期を支えた人。
 上記はもちろん、“1969Miles” (1969), “Balladyna” (1975) Tomasz Stankoなどでも凄まじい演奏が記録されています。
 リーダー作ではあくまでウッドベースでアコースティック4ビート中心、フリー混じりのジャズ。
 ファンク路線へ突き進むMilesバンドに長居しなかったのも納得の「ジャズ」。
 ピアノレス、複数ホーンは以降の作品とも共通する編成。
 本作の二人は凄まじいブチ切れサックス。
 テーマを決めたら怒涛の疾走。
 グルグルととぐろを巻くテナーに、激情を発しながら飛翔するアルト、ソプラノ。
 激しい演奏ながらビートを崩すことなくグングン前に進むベース、自由にアクセントを加えるドラム。
 1970年代エネルギー放出型ジャズのようで、どこか醒めた感じのクールネス。
 フリーなコレクティブインプロビゼーションなども交えつつ、これでもかこれでもかとそんな演奏がてんこ盛り。
 これは凄い。
 甘さゼロ、ダークで辛口、ハードボイルドなジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“World Trio” (1995) Mino Cinelu, Dave Holland,Kevin Eubanks

“World Trio” (1995) Mino Cinelu, Kevin Eubanks, Dave Holland  
Mino Cinelu (percussion) Kevin Eubanks (guitar) Dave Holland (bass)
 
World Trio
Mino Cinelu
Intuition
ミノ シネル
ケビンユーバンクス
デイブ ホランド


 玄人好みのメンバーが集まったハイテンションなアコースティック・ギタートリオ。
 ストレートなコンテンポラリージャズ。
 贅肉を完全にそぎ落としたような、全く無駄のない音。
 これにピアノが入ると全く違う質感の音楽になってしまうのでしょう。
 Dave Hollandがベースを弾くと音に動きが出てグングン前に進む。
 空間に彩りをつけるパーカッション。
 瑞々しいアコースティックギターの繊細で美しい音。
 ヒタヒタと静かに迫ってくるようなビート感から徐々にテンポを上げ、強烈な加速感、疾走感で突っ走るバンド。
 痛快。




posted by H.A.

【Disc Review】“Spirit Talk” (1993) “Spirit Talk2” (1994) Kevin Eubanks

“Spirit Talk” (1993) “Spirit Talk2” (1994) Kevin Eubanks
Kevin Eubanks (guitar)
Robin Eubanks (trombone) Kent Jordan (alto flute) Dave Holland (bass) Marvin "Smitty" Smith (drums) Gene Jackson (drums)

Spirit Talk
Blue Note Records
2009-02-02
ケビン ユーバンクス
Spirit Talk 2: Revelations
Kevin Eubanks
Blue Note Records
1995-02-07


 中堅というよりベテランになるのでしょう、Kevin Eubanks。
 全体のサウンド自体はシャレていてノーブル、でもちょっとだけひねくれたイメージ。
 一方、本人のギターは、基本クリーントーンながらもやたら攻撃的で、その対比がいい感じ。
 ジャズというよりロック~ソウルの色合いが強いのかな?弾きしだすとJohn McLaughlinのイメージが強い?それともGeorge Benson?・・・
 でも似ているといった感じでもない個性的なギター。
 さて、この二枚のアルバム、ほぼ同じメンバーで録音されたコンテンポラリージャズ。
 もう20年前もになるんですか、が、今でも古くない、カッコいい音。
 柔らかな管楽器と攻撃的なギター、ドラムの絶妙な組み合わせ。
 上品なようでアグレッシブ。
 ギターよりも管が目立つアンサンブル、ギターもアコースティックが中心。
 低音系の管とアコースティックギターの優しい感じのアンサンブルが続くのかな・・・と思いきや、思い出したように攻撃的なギターのインプロビゼーション、気が付くと激しいドラムが煽りまくるアグレッシブな演奏・・・
 そんな感じ。
 Herbie Hancockの”Speak Like A Child”に近い?とも思いつつも、もちろん現代的だし攻撃的、さらによりポップでもあるような。
 ちょっと凝った楽曲、編曲が多いのですが、決してマニアックで難解な感じでは無く、あくまで爽やか。
 リズムは変拍子、8ビート、16ビートなど複雑系中心、それらが現代的でいいんだけども、時折り思い出したように出てくる4ビートが心地よくて、これまたいい感じ。
 上品で爽やか、しかもアグレッシブなカッコいい音楽。




posted by H.A.

【Disc Review】“Deer Wan” (Jul.1977) Kenny Wheeler

“Deer Wan” (Jul.1977) Kenny Wheeler
Kenny Wheeler (trumpet, fluegelhorn)
Jan Garbarek (saxophones) John Abercrombie (electric guitar, electric mandolin) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums) Ralph Towner (12-string guitar)

Deer Wan
Kenny Wheeler
Ecm Import
2000-01-25
ケニー ホイーラー



 最近亡くなったヨーロッパを代表するトランぺッターKenny Wheeler。
 ECMから一枚選ぶとするとこのアルバムを挙げるかな?
 本当にそうするかどうかはさておき、ECMオールスターでのハイテンション、ハイレベルな演奏。
 リズム隊があのMilesのBitche’s Brewのメンバー。
 私的には史上最強だと思う激しく強烈なグルーヴ、ドコドコ、バコバコ。
 ピアニストはいませんが、この二人であれば、まあいなくてもいいでしょう。
 かわりにJohn Abercrombieのギターが妖しげな音を連発し、一部でRalph Townerも加わります。
 ホーンのお二人も絶好調。
 黒っぽくない、ある意味ジャズっぽくない音使いであるものの、気合の入った緊張感の塊のような音。
 どちらも激しい音を使う人ですが、二人が揃うと何故か中和されるようで・・・たぶん気のせいでしょうが・・・何故かいいバランス。
 フリーでは無い激しい系のインプロビゼーションがたっぷり。
 特別な美曲があるわけではありませんが、どの曲も緊張感あふれる名演奏。
 元気が良くて上品な音を聞きたくなった時に取り出す一枚。
 今聞いても決して古くない、1970年代後半のヨーロッパ系ジャズ、激しい系の代表作。

※別のバンドでの演奏から。


posted by H.A.

【Disc Review】“Balladyna” (1975) Tomasz Stanko

“Balladyna”(1975)Tomasz Stanko
Tomasz Stanko(trumpet)
Tomasz Szukalski (saxophones) Dave Holland (bass) Edward Vesala (drums)

Balladyna: Touchstones Series (Dig)
Tomasz Stanko
Ecm Records
2008-09-30
トーマス スタンコ




 知る人ぞ知るポーランドのベテラン名トランぺッターTomasz Stanko 1975年の作品。
 凄まじい音圧のアグレッシブなJazz。
 あの時代のヨーロッパの反骨系?な音。
 エレクトリックマイルスをもっと過激にして、アコースティックでやってみました、ってな感じ。
 フリージャズ的と言えばそうなのかもしれませんが、曲がありリズムも一応定型。
 その中でどこまで暴れることが出来るのか限界まで挑戦したような体育会系音楽。
 体育会系ではなまやさしく戦闘系。
 一曲目、ベースが急激に暴れ出すと同時に、凄まじい音圧のトランペットのブチ切れたソロ。
 決して長くないトランペットソロが終わるころには、何弾いているかわからない狂気の状態に突入。
 それでも強烈なグルーブ感は維持したまま。
 さらに、ブチ切れたリズムの上にこれも凄まじいSaxソロ。
 これもコンパクトですが恐ろしいぐらいにハード。
 Dave Holland、ベースが強めの録音も手伝っているのでしょうが、ここまで凄まじい演奏は無いのでは。
 血と硝煙の香りのする音楽というと大げさか。
 これは本当に凄いわ。
 二曲目以降、ちょっと落ち着いて、バラードっぽい曲があったり、フリージャズ感が増してきたりしますが、緊張感の塊。
 Dave Holland、Tomasz Stanko、またポーランドJazz、恐るべし。
 カッコいいんだけど、あまりにも凄いので、体調の悪いときは聞かないようにしよう。




posted by H.A.
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