吉祥寺JazzSyndicate

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Contemporary_Jazz

【Disc Review】“Jack of Clubs” (1984) Paul Motian

“Jack of Clubs” (1984) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Bill Frisell (electric guitar) Ed Schuller (bass)
Joe Lovano (tenor saxophone) Jim Pepper (tenor, soprano saxophones)

Jack Of Clubs
Soul Note
1985-12-31


 今は亡き名手Paul Motian、1980年代、アヴァンギャルドジャズ、イタリアSoul Noteレーベルでの連作。
 近い時期にECMレコードでの“It Should've Happened a Long Time Ago” (1984)でBill Frisell, Joe Lovanoとのトリオ編成もありますが、こちらは前作 “The Story of Maryam” (1983)と同じくサックス二管、ベース入り。
 同編成は次作“Misterioso” (1986)まで続きます。
 これまた激しい系。
 端正なJoe Lovanoと狂気なJim Pepper。
 一人で両極端、どちらにでも振れていくBill Frisell。
 もちろん質感は前作と近く、沈痛で危機感煽り系のムードも同様。
 が、少しだけ穏やかになった感もあります。
 バラードっぽかったり、ミニマル的展開があったり、静かなギターのみの演奏があったり、サックス二本のみが絡み合う時間がたっぷりあってみたり。
 結果、不思議感も増大。
 天才的スタイリストのみなさま方がやることはわけわからず、予測不可能。
 それがカッコいい。
 それにしてもシンプルながらカッコいいジャケットのポートレート。
 まったく爽やかではなく、毒気たっぷりですが、やるせなくて男っぽい感じそのまま。
 まだここでは優しさよりも狂気強め。
 そのバランスがこの期のこのバンド。




posted by H.A.



【Disc Review】“The Story of Maryam” (1983) Paul Motian

“The Story of Maryam” (1983) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Bill Frisell (electric guitar) Ed Schuller (bass)
Joe Lovano (tenor saxophone) Jim Pepper (tenor, soprano saxophones)

Story Of Maryam
Soul Note
1984-12-31


 かつてBill Evans, Keith Jarrettを支えたスタリストPaul Motian、1980年代アヴァンギャルドジャズ、イタリアSoul Noteレーベルから。
 ECMレコードからの“Psalm” (1982)に続くアルバム、同じくBill Frisellのギターとベースのトリオにサックス二管入り。
 とても妖しく激しい音。
 よじれたメロディ、ぶっ飛んでいくビート。
 浮遊と激烈を行き来するギターに、狂気が入り混じる二本のサックス。
 近い時期のECMレーベルからの諸作では、静かなイメージもあるのですが、こちらはぶっ飛んだ激しい系。
 テンションの高い混沌はエレクトリックMilesの派生型のようにも思えますし、ブチ切れた演奏が始まればPharoah Sandersが加わった頃のJohn Coltraneバンドのような感じもします。
 あるいは十二分に激しい“Fort Yawuh” (1973) Keith Jarrettをさらにグチャラグチャラにした感じは、Keith Jarrettアメリカンカルテットの行きついた先、ってな感じもします。
 いずれにしても、エレキギターの音が新しいというか、妖しさ激しさを先導しているというか、不思議さ120%。
 そんな激しい演奏の合間に挟み込まれるジャズでバラードな演奏がとてもハードボイルド。
 が、その時間は短く、再び混沌の中へ・・・
 時代はフュージョン、AOR真っ盛りだったのだと思うのですが、どこ吹く風。
 後の甘美なBroadwayシリーズとは全く違うハードネス。
 毒気たっぷり、遅れてきた激烈フリージャズたっぷり、それに少々の優しさが交錯する男臭い音。
 硬派でカッコいいんじゃないでしょうか。

※これは爽やか系。



posted by H.A.



【Disc Review】”A Retrospective” (1975,1976,1977,1980) OM

“A Retrospective” (1975,1976,1977,1980) OM


Christy Doran (Guitar, Guitar Synthesizer) Bobby Burri (Double Bass) Fredy Studer (Drums, Percussion) Urs Leimgruber (Soprano, Tenor Saxophone, Flute)

A Retrospective
ECM Records
2006-06-06


 スイスのバンドOM、1970年代のジャズファンク~フュージョン、ECMレコードからのアルバム。

 縁のあるJAPOレーベルでの何作かから、ECMが編集したオムニバスなのだと思います。

 バンド名はあのとても怖い“Om” (1964) John Coltrane由来らしいのですが、音の方は妖しいながらも怖くはない、さまざまな色合いのジャズファンク。

 エレクトリックMilesからフリー混じり、はたまたPat Metheny Groupのような感じまで。

 ャズとロックが交錯するヒタヒタと迫ってくるビートに、ゴリゴリボコボコなウッドベース、あの期のJohn McLaughlinっぽいサイケなギターとWayne Shorterっぽいぶっ飛びソプラノサックス。 

 “In a Silent Way” (Feb.1969)、“Bitches Brew” (1969)的というか、”Weather Report” (1971)的というか。

 これがカッコいいやら懐かしいやら。

 妖しく激しいのですが、埃っぽくはなくて、スッキリした感じもするのはスイスのバンドゆえでしょうか?

 さらにはオムニバスゆえか、スペーシーなサウンドやら密林なサウンドやらも交錯しつつ、気が付けばPat Metheny Group的柔らかさと爽やかさ、ポップネスな演奏が始まったていたりして。

 確かにあの時代のサウンドなのですが、それらがかえって新鮮に聞こえます。

 一聴気難し気ですが、毒気はさほど強くなく、サラリとした質感。

 隠れた名作・・・かな。





posted by H.A.



【Disc Review】“Puerta” (2020) Jorge Rossy

“Puerta” (2020) Jorge Rossy


Jorge Rossy (vibes, marimba) 

Robert Landfermann (double bass) Jeff Ballard (drums, percussion)

Puerta
Jorge Rossy
ECM
2021-11-05


 スペインのパーカッション奏者Jorge Rossyのトリオ作品、ECMレコードから。

 Brad Mehldau, Kurt Rosenwinkel, Jakob Bro, Steve Swallowといったつわものたちの作品にドラマーとして参加していた人。

 本リーダー作ではドラムは他の人に任せて、自身はヴィブラフォンとマリンバに徹したオーソドックスなトリオ編成。

 このレーベルでこの編成なら、静かで幻想的でフリー交じりで・・・、あるいはクラシカルで敬虔な空気感で・・・とかになりそうですが、そうではありません。

 静かなのはその通りなのですが、ジャズな感じ、たっぷり。

 ステディなジャズワルツに4ビート、テーマ~インプロビゼーションといったオーソドックスな展開が中心。

 それも朴訥系。

 このレーベルにしては異色でしょう。

 ちょっとひねったジャズスタンダードのようなメロディたち。

 左右に広がりながら浮遊する硬質でクールなヴィブラフォン。

 しばしば鳴るマリンバの木質で素朴な音。

 フリーっぽかったり妖しかったりする場面もあります。

 それら含めて幻想的ではあるのですが、日常を逸脱しない安定のある音の流れ。

 シンバルのレガートやら、ウォーキングするベースとか懐かしいなあ。

 かといってモダンジャズな感じはありません。

 どこか変。
 Bobby Hutcherson諸作や“Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyあたりを想い起こさないこともないのですが、全く違う今の時代の優しく淡い音。

 そのバランスがとても心地いい。

 十分にクールで十分に妖しい。

 でも平和です。





posted by H.A.



【Disc Review】 “Once upon a Time - Live in Avignon” (1994) Eberhard Weber

“Once upon a Time - Live in Avignon” (1994) Eberhard Weber


Eberhard Weber (Bass)


Once upon a Time - Live in Avignon
Eberhard Weber
ECM
2021-11-05


 レジェンドEberhard Weber、1994年、ベースソロでのライブ録音、2021年発表。

 近い時期のベースソロ作品“Pendulum” (1993)、一つ前のこれもソロ中心の作品“Orchestra” (1988)の楽曲を中心にピックアップされています。

 ちょうどそれら、躍動感の強い“Orchestra” (1988)、穏やかな“Pendulum” (1993)を織り交ぜたイメージ。

 スタジオ録音作品と近い質感なのですが、楽曲ごとのアレンジ、構成は異なります。

 他の楽曲の断片が見え隠れしたり、違うテンションだったり。

 再アレンジしたのか、思いついた展開を即興で演奏しているのかはわかりません。

 いずれにしても全編メロディアス。

 珍しくスタンダートも演奏されていますが、その力を借りるまでもなく、全編とてもメロディアス。

 ベースのみの音ながら、退屈はありません。

 オーバーダビングなのかループシステムなのか何なのか不明ですが、ときおり複数のベースの音が絡み合いながら進むステージ、

 柔らかなビート感。

 柔らかい音のエレクトリック・アップライト・ベースが奏でるもの悲しいメロディ。

 未来的なようでもあるし、懐かしいようでもあり。

 緩急、硬軟織り交ぜながらも、とても穏やか。

 そしてセンチメンタル。

 柔らかなモノに包み込まれているような心地よい時間。

 とてもSaudade。





posted by H.A.



【Disc Review】“Edizione Speciale” (2019) Enrico Rava

“Edizione Speciale” (2019) Enrico Rava

Enrico Rava (Trumpet, Flugelhorn)
Francesco Diodati (Guitar) Giovanni Guidi (Piano) Gabriele Evangelista (Bass) Enrico Morello (Drums)

Francesco Bearzatti (Tenor Saxophone)


Edizione Speciale (Live)
ECM Records
2021-10-29


 大御所Enrico Rava の新作、ライブ録音。
 ライブ録音“Roma” (2018) Enrico Rava, Joe Lovano以来、単独リーダーでは“Wild Dance” (2015)以来久々でしょうか。
 そちらのメンバーからトロンボーンがサックスに代わり、長年共演が続く名ピアニストGiovanni Guidiが加わります。
 “Wild Dance” (2015)はピアノレス、今風ギターがたっぷりフィーチャーされた少しとんがり気味今風コンテンポラリージャズでしたが、本作はよりオーソドックスに寄ったコンテンポラリージャズ。
 冒頭はOrnrtte Colemanっぽいジャズ。
 高速4ビート、リフ一発、ディストーションが効いたロックなギター。
 さらに上品で穏やかな人と思っていたGiovanni Guidiさんのぶっ飛んだ激しいピアノ。
 そんなやんちゃな音もどこ吹く風、硬軟織り交ぜたMiles Davis的な端正なトランペット。
 滑らかで鈍い光を放つ真鍮な感じの音色、しなやかなフレージングは、1970年代から変わらず、衰えなし。
 続く“Once Upon A Summertime”も端正なジャズバラード。
 これまた妖しいロックなギターと激しいピアノが一風変わっていますが、やはりジャズ。
 その他、かつて演奏されたオリジナル曲たちも、このバンドのメンバーの色合いで彩りを変え、いかにもライブなテンションとノリで演奏されていきます。
 締めはラテンな”Quizás, Quizás, Quizás”。
 Ravaさんとしてはありそうですが、ECMさん、ここまでやるの?ってな違和感はマニアな心理に過ぎないのでしょう。
 妖しさは抑えめ、静けさはなし、ECMレコードのEnrico Rava作品としては少々異色の元気で明るいジャズ。
 タイトルをみると“特別版”、なるほど。
 みんなジャズが大好き、明るくてよろしいのでは。




posted by H.A.



【Disc Review】“Subaqueous Silence” (2019) Ayumi Tanaka Trio

“Subaqueous Silence” (2019) Ayumi Tanaka Trio

Ayumi Tanaka (piano)
Christian Meaas Svendsen (double bass) Per Oddvar Johansen (drums)


Subaqueous Silence
Ayumi Tanaka Trio
ECM
2021-10-29


 日本人女性ピアニストAyumi Tanaka、ECMレコードからの第一作。
 “Lucus” (2017), “Bayou” (2018) Thomas StrønenといったECMのアルバムに参加していた人。
 リーダー作はホームグラウンドなのであろうノルウェーの人たちとのトリオ。
 フリー風味たっぷり、静かで繊細なコンテンポラリージャズ・・・というより、音による情景描写。
 静寂と寂寥の時間。
 “廃墟”から始まり、”黒い雨”、”風”などを経て、”水の中の静寂”で締める展開。
 確かにそんな音。
 終始ゆったりとしたテンポ。
 絞り込まれた音とたっぷりの空白。
 流れているようで動かない、留まっているようでゆっくりとグラデーションを描きながら変わっていく音。
 ひんやりした温度感、高いのか低いのか判断がつかない湿度感。
 強いというよりも、ことさら強調されることなく自然に全体を包み込むような浮遊感。
 それらを先導する繊細な質感のピアノ。
 曖昧で抽象的な音の流れの中、ときおり整ったメロディ、定常なビートが表出します。
 が、その時間は短く、再び境界が曖昧な世界へ・・・
 終始沈んだムードの中、抽象的な音の流れが続きます。
 が、なぜか心地よい時間。
 あくまで静かで穏やか、強い音や沈痛で深刻な場面がないからでしょうか。

 気持ちが沈静する不思議な時間。
 これまたどこか遠いところ、非日常へと誘うトリップミュージック。
 静かな夜の、あるいは忙しかった日の終わりのナイトキャップにどうぞ。




posted by H.A.



【Disc Review】“When we leave” (2020) Matthias Eick

“When we leave” (2020) Matthias Eick

Mathias Eick (Trumpet, Keyboard, Vocals)
Andreas Ulvo (Piano) Audun Erlien (Bass) Torstein Lofthus (Drums) Helge Andreas Norbakken (Drums, Percussion)
Håkon Aase (Violin, Percussion) Stian Carstensen (Pedal Steel Guitar)

When we leave
Matthias Eick
ECM
2021-09-24


 ノルウェーのトランペッターMathias Eick、哀愁ヨーロピアン・コンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 前作“Ravensburg” (2017)と同様、ピアノトリオにバイオリン、パーカッションを加えた編成に、一部にスチールギターが加わります。
 いつもと変わらない寂寥感の塊トランペットに、いつもと変わらない哀愁滴るメロディ、それでいてとても穏やかな空気感もいつもと変わりません。
 トランペットの寂寥感に対して、音楽自体はもともと明るい色合いの人。
 ECMでの第一作“The Door” (2007)と比べても、その質感は変わりません。
 とはいえ、メロディアスな楽曲が揃ったからなのか、アンサンブルが洗練の極みに達したからなのか、全編が穏やかな空気感だからなのか、哀愁指数、郷愁指数は本作が一番高いかもしれません。
 ゆったりとしたビート。
 優しくセンチメンタル、ノルウェーの色合いなのであろうエキゾチシズム、微かな違和感を含んだメロディ。
 インプロビゼーションよりもアンサンブル。
 ドカーンとではなくジワジワくる系。
 計算し尽くされ編み上げられているのであろう、が、さりげなく聞こえる柔らかな音の流れ。
 さらに一曲一曲の中に込められた、これまたさりげない起承転結。
 さりげなくとてもドラマチック。
 あくまで穏やかなのですが、まるで涙腺と琴線を狙い撃ちしているかのようなメロディ、アンサンブル、展開。
 連発される哀愁のメロディとアンサンブル中心の構成、8ビート系中心のリズムは、ともすればポップにも聞こえるかもしれません。
 実際、ポップでキャッチーだと思います。
 が、最初の20秒のみで図らずも涙腺がゆるんでしまいそうな破壊力をもったメロディがたくさん。
 全部含めて哀愁・郷愁の金太郎飴。
 切るところによって微妙に表情は違います。
 どの表情もとてもSaudade。



 
posted by H.A.



【Disc Review】“Side-Eye NYC (V1. IV)” (2019) Pat Metheny

“Side-Eye NYC (V1. IV)” (2019) Pat Metheny

Pat Metheny (Guitar)
James Francies (Keyboards) Marcus Gilmore (Drums)


SIDE-EYE NYC (V1.IV)
PAT METHENY
ADA/BMG/MODERN RECORDINGS
2021-09-10


 Pat Metheny、新作は新メンバーでのトリオ。
 スタジオ録音とライブ録音が半分ずつ。
 少し前の録音、“From This Place” (2019)とも時期は遠くないのだと思いますが、全く違うメンバー。
 ドラムは長年の盟友Antonio Sanchezではなく同世代の名手Marcus Gilmoreへ、キーボードは若手コンテンポラリージャズの名手。
 デジタル色も交えつつのコンテンポラリージャズ。
 キーボードは21世紀型。
 Herbile Hancockな感じに、Hip Hop的というか、ミニマル的というか、そんな色合いも交えつつの今な感じのコンテンポラリージャズピアノ&オルガン&シンセサイザー。
 冒頭は長尺で激しい演奏のライブ音源。
 ドラムは静かにヒタヒタと迫ってくる系、“Still Life (Talking)” (1987)あたりのあの感じ。
 静かな緊張感、シンセサイザーとフワフワしたエレピが絡み合う中でギターが奏でる物憂げなメロディ。
 複雑に形を変えながら、中盤から終盤に向けて激しいインプロビゼーションとともにテンションを上げていくバンド、強い高揚感の中での幕。
 今風ポップな先端ジャズに彩られたドラマチックなPat Methenyサウンド。
 なるほど、新基軸はこの線か・・・
 と思いきや、以降は意外にも普通な感じのコンテンポラリージャズフュージョン。
 続くBetter Days Ahead、他にもBright Size Life, Turnaround, The Batといった懐かしい楽曲も演奏され、それらはどこかで聞いたバージョンに近い感じ。
 他にもジャズブルース・フュージョンやら、爽やかフュージョンっぽい感じやら。
 ギターはいつも通りですが、リズムはひねった感じがそこかしこ、キーボードはジャズフュージョンの形を守りつつも変幻自在、アグレッシブなインプロビゼーション。
 “From This Place” (2019)は壮大でゴージャスな音絵巻でしたが、本作は少々カジュアル、今風コンテンポラリージャズ。
 さて、次は本作の一曲目の線なのか、あるいは”The Way Up” (2003-4)From This Place” (2019)路線なのか、それらのフュージョンなのか、はたまたもっと別な形なのか。
 さて、、、?



 


posted by H.A.



【Disc Review】“Eberhard” (2019) Lyle Mays

“Eberhard” (2019) Lyle Mays

Lyle Mays (piano, keyboards, synthesizers)

Bill Frisell (guitar) Mitchel Forman (Organ, Electric piano) Steve Rodby, Jimmy Johnson (bass) Alex Acuña, Jimmy Branly (drums, percussion)

Wade Culbreath (vibraphone, marimba) Bob Sheppard (Sax, Woodwinds) Timothy Loo, Erika Duke-Kirkpatrick, Eric Byers, Armen Ksajikian (cello) Aubrey Johnson, Rosana Eckert, Gary Eckert (vocals)

Eberhard
Lyle Mays
Oim
2021-08-27


 Lyle Mays、遺作。
 恩人Eberhard Weberへのトリビュート作品。
 制作途上で逝去し、Steve Rodby他?が仕上げたらしい約13分の組曲。
 いかにもEberhard Weber的な柔らかで幻想的なフュージョンミュージック。
 名作“Later That Evening” (1982)的であり、これまた名作“Solo: Improvisations for Expanded Piano” (1998)的であり、さらにPat Metheny Group的でもあり、それらの表情が交錯するいかにもLyle Maysな音。
 柔らかなビート、起伏を伴いながら薄く鳴るストリングス、マリンバが作る幻想的な空気感。
 リリカルなピアノとフレットレスベースが奏でる哀し気なメロディ。
 南米的な空気を付け加える女声スキャット、木管。
 それらの絡み合いが織り成す綾。
 繊細な質感で穏やかに始まりつつも、その表情はグラデーションを描きながら徐々に、そして複雑に変わっていきます。

 ビートが強くなりテンションと音量が上がる頃には”The Way Up” (2003,2004)なムード。
 そしてジャズなサックス、マリンバ、スキャットボイス、ピアノその他の激しい絡み合い、強烈な高揚感の中での大団円。
 さらに消え入るようなマリンバ、静かに鳴るシンセサイザーが作る余韻とともにフェイドアウト・・・

 さながら短編映画、とてもドラマチック。
 もしフルアルバムであれば、他がどうあれ名盤になっていたのでしょう。

 一曲のみであることが極めて残念です。
 が、その一曲がカッコいい。

 最後の最後まで、素晴らしいモノを遺していただきました。



 


posted by H.A.



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