吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Collin_Walcott

【Disc Review】"Winter Light" (1974) Oregon

"Winter Light" (1974) Oregon

Ralph Towner (Classical Guitar, 12String Guitar, Piano, French Horn, Drums, Handclaps) Glen Moore (Bass, Electric Bass, Violin, Flute, Piano) Collin Walcott (Tabla, Sitar, Percussion, Congas, Percussion, Dulcimer, Clarinet) Paul McCandless (Oboe, English Horn, Bass Clarinet)

冬の陽
オレゴン
インディーズ・メーカー
2004-08-25


 無国籍フュージョンバンドOregon、1974年作。
 美しく瑞々しいギター、ピアノ、強いグルーヴを作るベース、疾走する木管、そして妖しいシタール、タブラが絡みつく、美しく妖しい典型的なOregonサウンド。
 いつも通りに、一部強いエスニック風味、あるいはフリーに近い演奏もありますが、わかりやすい演奏がたっぷり。
 タイトル、ジャケットからすれば穏やか音が聞こえてきそう、確かに柔らかに始まります。
 が、気がつけば激しいインプロビゼーションの絡み合い。
 とてもドラマチック。
 哀し気な表情、常に張り詰めたような音。
 が、どこか優しい感じ、さらに懐かしい感じがするのは、ギター、ピアノ、木管の上品な音ゆえ、あるいはときおり顔を出す牧歌的な空気感ゆえ、でしょうか。
 また、電気音華やかなりし時代、そんなものは無視したかのようなアコースティックサウンド。
 気難しい場面も本作では限られています。
 それでいて十分に先端系。
 ECMを含めた後の諸作よりも躍動感が強い、1970年代Oregonサウンド。
 なお、1974年とは思えない美しい録音。
 中身も音も全く古くなっていません。
 VanguardのOregonはどれもカッコいいのですが、わかりやすさが前面に出て、気難しさとのバランスがとてもいい感じの一作。




posted by H.A.


【Disc Review】"Distant Hills" (1973) Oregon

"Distant Hills" (1973) Oregon

Ralph Towner (Guitar, Mellophone, Piano, Trumpet) Glen Moore (Bass Flute Piano Violin) Collin Walcott (Sitar, Tabla, Tambura, Clarinet, Drums, Guitar) Paul McCandless (Oboe, English Horn)

Distant Hills
Oregon
Vanguard Records
1990-10-25


 無国籍フュージョンバンドOregon、1973年作。
 "Music of Another Present Era" (1972)に続くアルバム、ECMでのRalph Townerは”Trios / Solos” (1972)を経て、”Diary” (Apl.1973), “Matchbook” (Jul.1974), ”Solstice” (Dec.1974)あたり。
 Collin Walcottの”Cloud Dance” (Mar.1975)も近い時期。
 そんなECM的な空気に影響されたかどうか、あるいは時代感なのか、一部で気難しさや沈痛な感じももちらほら、タイトル曲はECMの”Solstice/Sound and Shadows” (Feb.1977)で再演される幻想的な響き。
 Ralph Townerの曲を中心に、フリーインプロビゼーションと思しき演奏が数曲。
 冒頭は牧歌的で前向きな空気感の中、クラシカルな木管が疾走する、明るいサイドのOregon。
 ジャケットの雰囲気を含めて本作はそんな感じと思いきや、さにあらず、続くはシタールとギターの妖しい絡み合い、さらにフリーなインプロビゼーション。
 アコースティックギターと木管が漂うタイトル曲などを経て、ハイテンションな疾走、ベースとギターとのDuo、締めは再びフリーインプロビゼーションで不安と混沌のまま幕。
 牧歌的な音、クラシカルな音、ジャズな音、エスニックな音、そしてフリーな音が混ざり合う典型的なOregonサウンドではありますが、本作は妖しさ、フリーさが強なバージョンでしょうか。
 そんな1970年代のOregonサウンド。




posted by H.A.


【Disc Review】"Music of Another Present Era" (1972) Oregon

"Music of Another Present Era" (1972) Oregon

Ralph Towner (Classical Guitar, 12String Guitar, Harmonica, Mellophone) Glen Moore (Double Bass, Electric Bass, Piano, Violin, Flute) Paul McCandless (Oboe, English Horn, Reeds) Collin Walcott (Tabla, Piano, Sitar, Percussion, Guitar, Mridangam, Esraj)

Music of Another Present Era
Oregon
Vanguard Records
1991-11-26


 Ralph Towner率いる?無国籍フュージョンバンドOregon、1972年、初期の作品。
 妖しくエスニックなパーカッション、強いグルーヴを作るベース。
 そんなビートを背景に、美しいアコースティックギター、ピアノ、クラシカルな木管が疾走、そしてエスニックなシタールが絡み合うサウンド。
 後にECMでも制作しますが、ここではVanguardレーベルから。
 ECMの”Trios / Solos” (1972) Ralph Townerと同年の制作。
 美しいギターとピアノ、タブラが背景を作る中、木管が奏でる物悲しいメロディ。
 穏やかながら強いグルーヴ、美しく上品なギター、ピアノ、オーボエ。
 わかりやすい側のOregonの典型サウンド、が、続くは妖しいシタールとギターのインタープレー。
 と思っていたら、爽やかなギターストロークとファンクなベースが先導するフォーキーな音。
 さらには抽象的で淡い演奏のインタールードを挿みつつ、聞き慣れない音階のエスニックサウンドへ・・・
 フリーな色合い、エスニックな色合い、クラシカルな色合い、センチメンタルあるいは懐かし気なメロディ、そして激しくドラマチックな演奏が交錯します。
 いわゆるフュージョンミュージックではではあるのですが、語感には違和感あり。
 1970年初頭にして、ジャズ、フォーク、ロック、ポップスからはみ出した音楽。
 が、とてもわかりやすいくて気難しさは少々のみ。
 ジャケットは妖しく濃いアートですが、中身は少々妖しいながらも爽やかで心地よい、一歩進んだOregonなアート。




posted by H.A.


【Disc Review】“Dawn Dance” (1981) Steve Eliovson, Collin Walcott

“Dawn Dance” (1981) Steve Eliovson, Collin Walcott
Steve Eliovson (Acoustic Guitar)
Collin Walcott (Percussion)

Dawn Dance
Universal Music International Ltda.
2008-11-18


 南アフリカ?のギタリストSteve Eliovson、唯一のECM作品、Collin WalcottとのDuo。
 名作。
 アコースティックギターをオーバーダビングし、パーカッションがサポートする構成。
 ベースもドラムもいませんが、ほどよい音の厚みとビート感。
 どことなく爽やかで、バッキングだけを聞いているとフォーキーでPat Methenyっぽくもあるし、シングルトーンでのソロはスパニッシュ風だったり、さまざまな表情が入り混じります。
 ジャンルにはこだわらない、誰の色合いでもない、穏やかな流れと強烈な疾走が交錯する素晴らしいギター。
 アコースティックギター一本を中心とした音作りはRalph Towner的ではあるのですが、この期の彼の諸作よりも柔らかな感じ、あるいはBill ConorsのECM諸作よりも明るく丸い感じでしょうか。
 基本的には明るく爽やかな空気感。
 エコーたっぷりな瑞々しく美しい音を含めて、いかにもECMっぽい空気感も漂っています。
 Collin Walcottのサポートは穏やかな色付け。
 強いエスニックテイストはありませんが、アコースティックギター一色の音の流れの中で、いい感じのアクセント。
 全曲オリジナル曲、どの曲も淡い色の穏やかなメロディ、少々の寂寥感。
 静かなだけでなく、ヒタヒタと迫ってくる、あるいはジワジワと盛り上がってくる流れの構成が印象的で、ほどよい興奮と陶酔感もあります。 
 抜群の演奏力、独特の空気感を含めて、Eicherさんも期待していたんじゃないかな?
 が、一作のみ。
 何が起こったのか、起こらなかったのかはわかりません。
 そんな謎な感じはしない、わかりやすい音。
 こちらは少し謎めいた感じの素晴らしいジャケットのポートレートを眺めつつ、穏やかで爽やかなギターの音を楽しむのが吉。




posted by H.A.

【Disc Review】”Crossing” (Oct.1984) Oregon

”Crossing” (Oct.1984) Oregon
Paul McCandless (soprano saxophone, oboe, bass clarinet, English horn) Glen Moore (bass, flute, piano) Ralph Towner (classical guitar, 12 string guitar, piano, synthesizer, cornet, percussion) Collin Walcott (tabla, sitar, percussion, bass drum, snare drum)

Crossing
Oregon
Ecm Records
オレゴン
ラルフ タウナー

 Ralph Towner率いるバンドOregonのECM移籍第二弾。
 インプロビゼーション色も強かった前作”Oregon” (Feb.1983)に対して本作は各人の楽曲中心の演奏。
 幻想的な色合いはそのままに抽象度は下がって、近未来的な曲、妖しげな曲、ジャズっぽい曲、フュージョンっぽい曲、ポップテイストな曲、集団即興的な曲、その他諸々、さまざまな色合いが交錯する構成。
 作曲者個々の色合いがそのまま曲ごとの印象の違いに繋がっているように思います。
 幻想的で少々妖しいCollin Walcott、それにクラシック色、ジャズ色が入るRalph Towner、Paul McCandless、少々ポップ、ジャズが入るGlen Moore、といったところでしょうか。
 楽曲ごとに表情が異なります。
 全体を眺めれば、静かで穏やかな空間の中に響く輪郭が明確な管楽器、ギターもさることながら、本作もリリカルなピアノの素晴らしさが際立ちます。
 時折の強いグルーヴはありますが、ECM期では“Vanguard Sessions” (1970-1979)のようにそれを強調することはなくなったように感じます。
 Ralph Townerの変化云々よりも、Glen Moore、Collin Walcottが強烈な音を出す場面が減っているのでしょうかね?
 結果的に穏やかな色合い。
 ECMでのOregonは三作。
 抽象度の高い前作”Oregon” (Feb.1983)、明るいコンテンポラリージャズの次作 “Ecotopia” (1987)。
 それらの間の本作はちょうどその中間の色合い。
 その意味でもOregonらしいバランスの取れた作品なのでしょう。
 なお、ECM初期からのアーティストCollin Walcottはこの作品の制作後に逝去。本作が遺作?であり、事実上の追悼作品。 
 Codona諸作をはじめとして、ECMの看板の一人だっただけに残念です。




posted by H.A.

【Disc Review】”Oregon” (Feb.1983) Oregon

”Oregon” (Feb.1983) Oregon
Paul McCandless (soprano saxophone, oboe, tin flute, English horn, musette) Glen Moore (bass, violin, piano) Ralph Towner (classical guitar, 12 string guitar, piano, synthesizer) Collin Walcott (sitar, percussion, bass drum, voice)

Oregon: Touchstones Series (Dig)
Oregon
Ecm Records
オレゴン
ラルフ タウナー

 Ralph Towner率いるバンドOregonのECM移籍第一弾。
 ECMでは”Trios / Solos” (1972) Ralph Towner / Glen Moore以来の録音。
 堂々とグループ名のアルバムタイトル。
 1970年代もコンスタントにアルバムを発表していましたので、契約が整理され再出発といったところなのでしょう。
 音のイメージも変わって、ここまでのOregon、あるいはRalph Townerの諸作よりも明るくて穏やかな音。
 ”Vanguard Sessions” (1970-1979) のような強烈なグルーヴの場面は少なく、全体を通じて優しく穏やか、時折の幻想的なサウンド。
 Ralph Townerのソロ作品も、この前後、”Solo Concert” (Oct.1979)、”Blue Sun” (Dec.1982)あたりから優しく穏やかなテイストになっています。
 目立つのはフロントに立つPaul McCandlessの端正な色合いのホーン。
 Ralph Townerのギターはあくまで脇役、背景作り、全体のバンドサウンド作りに徹しています。
 他のOregonの作品と同様に、むしろピアノの方が目立つかもしれません。
 “Beside a Brook”のピアノなどは絶品です。
 が、穏やかな印象ではあるものの、抽象度の高い演奏も並びます。
 これもOregonの特徴なのでしょうが、半数の曲がバンド名義のインプロビゼーション色の強い演奏。
 完全なフリーでなく、流れはあらかじめ決めていそうですが、予測不可能、幻想的な音。
 それらの間に隠された美しいメロディの楽曲、演奏。
 これがOregon1980年代ECM的展開、といったところなのでしょう。
 ・・・にしても、やはり穏やかだなあ・・・
 ”Vanguard Sessions” (1970-1979)の時代は、1970年代ECM的だったと思うのだけど・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Vanguard Sessions: Best of the Vanguard Years” (1970-1979) Oregon

“Vanguard Sessions: Best of the Vanguard Years” (1970-1979) Oregon
Paul McCandless (Bass Clarinet, Flute, English Horn, Oboe) Glen Moore (Bass, Flute, Piano, Violin) Ralph Towner (Clay Drums, French Horn, Guitar, 12_Guitar, Hands, Mellophonium, Organ, Piano, Trumpet) Collin Walcott (Clarinet, Congas, Drums, Dulcimer, Pakhawaj Drum, Percussion, Piano, Sitar, Tabla, Tamboura)
Larry Coryell (Guitar) David Earle Johnson (Congas, Timbales) Elvin Jones (Drums) Zbigniew Seifert (Violin) Bennie Wallace (Sax)

Vanguard Sessions: Best of the Vanguard Years
Oregon
Vanguard Records
オレゴン
ラルフ タウナー

 Ralph Towner率いるバンドOregon、初期のVanguardレーベルでのコンピレーションアルバム。
 さすがに全作品は聞けていませんが、このベスト盤は素晴らしい演奏集。
 ハイテンションなコンテンポラリージャズ。
 Ralph Townerもさることながら他のメンバーが凄い。
 Glen Moore, Collin Walcott の叩き出す凄まじいグルーヴ。
 ボコボコブンブンした音でグングン前へ進むベースと、千手観音のようなパーカッション。
 ECMだとクラシックの香りが強くて上品なPaul McCandlessの激しいインプロビゼーション。 
 Ralph Townerがギターだけでなく、ピアノも多く演奏しているのもOregonならでは。
 ギターと同じく透明度が高い美しい音の上に、強烈な疾走感のカッコいいピアノ。
 ここまで凄いと、楽曲がどうのとか、メロディがどうのとか、エキゾチシズムがどうとかは、どうでもよくなってしまうような演奏。
 まさに1970年代ECMサウンドな感じがします。
 クラシックの香り、民族音楽の香り、強烈なグルーヴ、ハイテンションなインプロビゼーション・・・
 強いて言えば少々明るくて前向きな質感なのがECMとは違うのかも・・・
 Ralph Towner のECM作品はOregon的ではないように思いますが、OregonのVanguard作品はECM的・・・
 なんだか不思議な関係です。
 ECMでの初録音が変則な編成での“Trios / Solos” (1972)。
 Manfred Eicherとしては早く契約したかったことは想像に難くありません。
 が、正式なバンドでのECM録音はさらに別レーベルを挟んで、10年後の”Oregon” (Feb.1983)。
 この1970年代のサウンドのままでECMで制作していたら、さらに透明度が増して、テンションが上がって、凄い作品ができていたんだろうなあ・・・
 あるいはECMマジックにかからなかったので、ほどほどのハイテンションで止まってよかった、ととらえるか・・・?
 さて?
 1980年代ECMのOregonとはまた一味違う、1970年代ECM的なハードでカッコいいOregonサウンド。




posted by H.A.

【Disc Review】“Cloud Dance” (Mar.1975) Collin Walcott

“Cloud Dance” (Mar.1975) Collin Walcott
Collin Walcott (sitar, tabla)
John Abercrombie (guitar) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums)

Cloud Dance
Collin Walcott
Ecm Records
2001-07-17


 シタール、タブラを操るCollin Walcott、初リーダー作。
 “Gateway”バンドとの共演、“Gateway” (Mar, 1975)と同時期のセッションだと思われます。
 激しいコンテポラリージャズでも、瞑想的な世界でもなくて、明るく前向き、穏やかな音楽。
 後のPat Methenyの音楽をシタール中心でやってみました、ってな感じ。
 Ralph TownerとのOregonよりも爽やかでわかりやすい音楽かもしれません。
 John Abercrombieも極端に音を飛ばすわけでも歪ませるわけでもなく、落ち着いた演奏。
 シタールと浮遊感のあるギターの相性は抜群、いい感じのインタープレーがそこかしこに。
 聞き慣れない妖しい楽器の響きが醸し出すエキゾチシズム、非日常感はありますが、洗練された演奏がそれを日常に引き戻すような感じ。
 意外に緩めの緊張感もいいバランス心地よさ。
 もちろんリズム隊は最高峰のお二方、控えめながらも強い推進力のある土台作り。
 Gatewayバンドの様な強烈さはないにせよ、また、聞き慣れない響きの楽器が主体であるものの、気難しかったり過激だったりではなく、むしろ優しい印象。
 何でもできる超リズム隊Gatewayと洗練されたエキゾチシズムの不思議な融合は、スッキリした無国籍コンテンポラリージャズ。 

※近い時期の演奏から。


posted by H.A.
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