吉祥寺JazzSyndicate

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Claudio_Bolzani

【Disc Review】“Los viajes de dia” (2008) Rumble Fish

“Los viajes de dia” (2008) Rumble Fish

Claudio Bolzani (guitar, voice) Manuel Cerrudo (piano, keyboard) Gaston Bozzano (contrabass) Tuti Branchesi (drums, percussion)
Carlos Aguirre (piano, accordion) Mariano Suarez (trumpet, flugelhorn) Luis Suarez (flute) Ariel Migliorelli (bass)

 Shagrada Medraではありませんが、再びアルゼンチンのアーティストが続きます。
 アルゼンチンのバンドRumble Fish、ピアノトリオ+ガットギター+αでの静かなジャズフュージョン。
 名作“Luz de agua” (2005)、"Creciente'' (2016)の Claudio Bolzaniがメンバー、Carlos Aguirre もゲストで数曲参加。
 あの儚げなスキャットが時折乗ってきますが、あくまでピアノとギターを中心としたジャズフュージョン。
 キッチリ整ったビート感と洗練されたムード。
 Claudio Bolzani作品、あるいはQuique Sinesi諸作に近い空気感もありますが、さらにスッキリさせた感じ。
 ジャズ寄りの現代フォルクローレというよりも、少しだけ南米エスニックなジャズフュージョンの方がしっくりきます。
 実質的なリーダーはベースのGaston Bozzanoなのかもしれませんが、全体を通じた少し沈んだムード、端々のやるせないムードはClaudio Bolzani参加作品に共通する空気感。
 徹底的なまでに端正なピアノと、一歩後ろに引いた感じのとても静かで穏やかなギター。
 ドラムもベースもゲストも抑制された音使い。
 楽曲はメンバーのオリジナル曲にCarlos AguirreQuique Sinesi, Toninho Horta
 いかにもな、少々センチメンタルな現代フォルクローレ~ブラジル・ミナスなメロディ。
 強いグルーヴやドカーンとくる場面はありません。
 終始抑制されたムードと端正に過ぎる音の流れは、さらりと聞き流してしまいそうですが、じわじわとくる系。
 後ろでPat Metheny的なギターのストロークが静かに鳴り続く中での、Carlos Aguirre的なピアノの繊細な音が舞い落ちてくる”Villa Berna”など、なかなか他では聞けない色合いでしょう。
 抑制の美学、男の哀愁、静かな音のClaudio Bolzaniの面目躍如・・・ってなところ・・・かな?

※これはAca Seca Trio, Claudio Bolzani, Fernando Silvaの豪華メンバー。


posted by H.A.


【Disc Review】"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani

"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani


Claudio Bolzani (guitar, voice, mandolin, electronics)
Sebastian Macchi (piano, keyboard, percussion, voice) Carlos Aguirre (piano, keyboard, accordion, flute, voice) Bernardo Aguirre (guitar, percussion) Juan Quintero (guitar, voice) Fernando Silva (bass) Gonzalo Diaz (percussion, voice, aerofonos) Luis Barbiero (flute, voice) Leandro Drago (electronics) Daniela Leste (voice)



 アルゼンチンのギタリスト&ボーカリストClaudio Bolzaniのリーダー作。
 とても静かな現代フォルクローレ。
 リーダーは名作“Luz de agua: Canciones”(2005)、”Luz de agua: Otras canciones”(2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silvaのメンバー。
 洗練された現代のフォルクローレ、Carlos Aguirreの路線に一番近そうな音が上記の二作、その三人のメンバーのように思います。
 盟友Fernando Silvaの“Miro por la ventana” (2013)は少々元気系、フュージョン寄りでしたが、本作はアコースティックで繊細、とても静かな音。
 上掲の作品の中でも一番穏やかで静謐かもしれません。
 繊細なギターに、半数ほどの楽曲ではあの少しささくれた儚げなボイス。
 少人数の限られた音数で、全編、静かで繊細な音の流れ。
 ピアノとギターに、ベース、つつましやかなパーカッション、フルートにアコーディオン、水の音、ほんの少しの電子音・・・
 とても静かですが、ジワジワとくるドラマチックな音の流れ。
 一時期のPat Metheny Groupを想い起こす場面もいくらか。
 Carlos Aguirreナンバーで始まり、Sebastian Macchi、現代タンゴの Diego Schissi、オリジナル、さらにはRalph TownerEgberto GismontiといったECM系の人たちの名前も並びます。
 彼ら作るサウンド、どこかで繋がっているのでしょう。
 前半のCarlos Aguirre的な音もさることながら、中盤、Sebastian Macchiの”Corazon”あたりから、最後のRalph Townerの”Green and Golden”まで、静かな凄みが漂う音の流れのカッコいいこと。
 全編通じて少し沈んだ感じが醸し出す、この人独特のクールネス、ハードボイルドネス。
 名作です。

※こちらは“Luz de agua”バンド。


posted by H.A.


【Disc Review】“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Otras canciones” (2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass)
Negro Aguirre (percusión)

Luz de agua : Otras canciones
Sebastián Macchi
bar buenos aires
2015-06-28



 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオ、名作“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005)の続編。
 本作のテーマも「光と水」、アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品の楽曲化。
 前作と同様にSebastian Macchiのメロディが中心ですが、他のメンバーのメロディも何曲か。
 前作と比べると、テンポが上がって、明るくポップ度が高い、Aca Seca Trioっぽい演奏も目立ちます。
 ・・・と思っていたらそのメンバーも参加していましたね。
 ともあれ、鳥のさえずり、子どもの声などがコラージュされる全体の空気感は10年前の前作と同様。
 全体を支配するのはSebastian Macchiの繊細なメロディとピアノ、Claudio Bolzaniの儚げな声。
 より儚く繊細なのは前作かもしれませんが、全編スローだった前作と比べると、アップテンポなビート、わずかながらに使われる電子音を含めて、音のイメージのバリエーションが増え、次々と周囲の景色が変わっていくような展開。
 凝ったアレンジ、コーラスワークの場面も増え、より洗練された感じがします。
 完璧なアンサンブルと、端々に聞こえるピアノ、ギターのオブリガードの美しい事。
 前作が早朝のような音だったとすれば、本作は午前。
 ちょっと温度感が上がって、諸々の営みが動き出したイメージの空気感。
 静謐な揺らぎの前作、躍動感が加わった本作、どちらがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


【Disc Review】“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva

“Luz de agua: Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones” (2005) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silva 
Sebastian Macchi (piano, voice) Claudio Bolzani (guitar, voice) Fernando Silva (bass, cello, berimbau)
Carlos Aguirre (guitar, percussion) Leandro Drago (keyboard) Jose Luiz Viggiano (percussion)

Luz de agua : Poemas de Juan L. Ortiz - Canciones
Sebastián Macchi - Claudio Bolzani - Fernando Silva
bar buenos aires
2016-01-31


 アルゼンチン、現代フォルクローレのトリオのとても優しい音楽。
 ゲストで参加もしているCarlos Aguirreのレーベルから。
 名作“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の制作。
 楽曲、ピアノ、ボイス、コーラスの使い方、その他諸々、Carlos Aguirreの世界。
 本作のテーマは「光と水」。
 アルゼンチンの詩人Juan L. Ortizの作品にSebastian Macchiがメロディを付けた楽曲集。
 いかにもな企画といえばその通りなのですが、企画負け一切なしの素晴らしい音。
 とてもとても繊細な「光と水」の印象そのまま。
 全編漂うようなゆったりとしたテンポと、瑞々しく静謐な空気感。
 Sebastian Macchiの零れ落ちるようなピアノを中心としたサウンドに、Claudio Bolzaniの儚げなボイス。
 Sebastian Macchiのメロディ、ピアノはCarlos Aguirreに近しい感じですが、ボイスはもっと線が細くて儚げ。
 端々の細かなメロディ、音の動きがさり気なく悲し気で美しくて・・・
 静かに穏やかに流れるサウンドは、柔らかに注ぐ光、穏やかに流れる水、柔らかに吹く風・・・って書いてしまうと少女趣味(死語?)のように思えて恥ずかしいのだけども、本当にそうなのだから仕方ありません。
 内省的、耽美的なんて言葉を聞くと、いまだにBill Evansかヨーロッパ系のジャズを想い起こしてしまうのですが、21世紀型の内省的、耽美的な音は、南米発のこの系の音かもなあ・・・と思ったりします。
 悲痛だったり陰鬱だったりする感じではなく、あくまで淡々とした感じ、爽やかでクールな、さり気ない美しさと哀感。
 そんなとても繊細な音です。




posted by H.A.


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