吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Classic

【Disc Review】“Remember me, my dear” (2014) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

“Remember me, my dear” (2014) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

Jan Garbarek (soprano saxophone)
The Hilliard Ensemble:
David James (countertenor) Rogers Covey-Crump, Steven Harrold (tenor) Gordon Jones (baritone)

Remember Me, My Dear
Hilliard Ensemble
Ecm
2019-10-18

 Jan Garbarek、The Hilliard Ensembleとの共演、2019年発表。
  “Officium Novum” (2010)後、“Officium Farewell”なるツアーの際のライブ録音、2014年。
 本作、先の三作に比べて、音がさらに広い空間に広がっていくイメージ。
 それも強烈に。
 リバーヴを伴いどこまで広がっていくソプラノサックス。
 気が付けば低く鳴っている静かなストリングスのようなコーラス。
 コーラスの音量が上がり、スキャットが言葉に代わる頃には周囲は別世界。
 ここまで美しいソプラノサックスの音は、他にあるのでしょうか。
 コーラスを含めてたっぷりのリバーブを残しながらゆっくりと動いていく柔らかな音。
 前三作ではスッキリとまとめられていた極めて完成度の高い音が、強い生気を伴ってゆっくりと動き出し、拡散し、周囲を包み込んでいく感じ。
 澄み渡った空気感は諸作と同様ですが、少し温度、湿度が上がった感じ、広大に広がる音は、ここまでの三作とは印象が異なります。
 コーラスとサックスは溶け合ったり、対峙したり、さまざまな表情、素晴らしいバランス。
 自然の成り行きで出来上がったモノなのか、そこまで含めてコントロールされたものなのかはわかりません。
 それら含めて生の音そのままなのか、一定の加工がなされたのかもわかりません。
 いずれにしてもおそろしいまでに豊かで、柔らかで、敬虔で、美しく、穏やかな世界。
 強烈な非日常感、別世界からの音。
 極めつけ。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Officium Novum” (2010) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

“Officium Novum” (2010) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

Jan Garbarek (Soprano, Tenor Saxophone)
The Hilliard Ensemble:
David James, Gordon Jones, Rogers Covey-Crump, Steven Harrold (Vocals)

Officium Novum
Hilliard Ensemble
Ecm Records
2010-10-05


 Jan Garbarek、The Hilliard Ensembleとのアンサンブル、“Officium” (1993)、“Mnemosyne” (1999)に続く第三作。
 前作から十年が経過しているようですが、ここまでの二作と同様に、静謐、清廉、敬虔な天上サウンド。
 第一作“Officium” (1993)では、コーラスとサックスが別の場所から聞こえるように、あるいは対峙しているように聞こえ、それが特別な緊張感を醸し出していたように感じました。
 本作、前作では、サックスの音量をわずかに落とし定位を調整したのか、サックスがコーラスの一部のように全体が溶け合う場面が増えたように感じます。
 元々極限までに洗練されていたようなサウンドが、さらに洗練され、熟成し、より柔らかくマイルドになったようにも感じます。
 が、それは聞いた際のこちらの気持ちの違いなのかもしれませんし、楽曲の違いに寄るところなのかもしれません。
 本作ではKomitasの楽曲が多く取り上げられ、アルメニアをテーマにしているのかもしれません。
 いずれにしても、キリリとしつつもまろやかなサックスの音とフワリとしたコーラスが一体化して周囲を包み込む、極上の音。
 哀しげでやるせない空気感、が、前向きで優しい音。
 ヨーロッパ近辺の人々にとっては、もっと深い捉え方ができる特別な音なのでしょう。
 歴史観、宗教観が全く異なる極東の現代人にとっても、最高の慈しみサウンド。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Mnemosyne” (1999) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

“Mnemosyne” (1999) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

Jan Garbarek (Soprano, Tenor Saxophone)
The Hilliard Ensemble:
David James, Gordon Jones, John Potter, Rogers Covey-Crump (Vocals)

Mnemosyne
Hilliard Ensemble
Ecm Import
1999-10-05


 Jan Garbarek、クラシックコーラス隊The Hilliard Ensembleとのアンサンブル、“Officium” (1993)に続く第二作、同じくECM New Seriesから。
 たっぷり二時間に近い大作。
 近い時期ECM Recordsからの“Rites” (1998) Jan Garbarekに並ぶ大作、敬虔な空気感も同様ですが、勇壮で沈痛なそちらに対して、静謐、清廉な本作。
 タイトルは記憶、あるいはそれにまつわる女神?とのこと。
 古楽、クラシックの楽曲にオリジナル曲を加えつつ、遠い記憶を呼び戻し、拾い集め・・・なストーリーが込められているのかもしれません。
 全編に流れる仄かな哀しみ、希望なのか落胆なのか絶望なのか、言葉がわからないだけにかえって想像力が掻き立てられる音。
 ともあれ、とても柔らかく優しい音、前作“Officium” (1993)と同じく天上の音。
 前作ではサックスとコーラスが別の位相から聞こえてくるような不思議なバランスでしたが、本作ではサックスとコーラスが同じ場所から聞こえてくる場面が増えたように感じます。
 その分、より自然に響いてくるように、リラックスして聴けるようにも感じます。
 いずれにしても周囲の空気、景色をガラリと変える特別な音、陶酔へと誘う静かな音。
 非日常、非現実への強烈なトリップミュージック。
 全編通して集中して聴くと、心身が浄化され、生まれ変われる・・・かも・・・


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Officium” (1993) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

“Officium” (1993) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

Jan Garbarek (Soprano, Tenor Saxophone)
The Hilliard Ensemble:
David James, Gordon Jones, John Potter, Rogers Covey-Crump (Vocals)

Officium
Ecm Records
1999-11-16


 ノルウェーの大御所Jan Garbarek、こちらもクラシックコーラス?の大御所The Hilliard Ensembleとの共演。
 ECM New Series、もちろんジャズではなくクラシック。
 この領域には疎く、古楽なのかクラシックなのか教会音楽なのかグレゴリオ聖歌なのか、聖歌コーラスとサックスの組み合わせが一般的な手法なのかどうか、その他諸々わかりません。
 とにもかくにも、ヴォイスアンサンブルとサックスが絡み合う、この世のものとは思えないほどの美しい世界。
 静謐、清廉、敬虔。
 ゆったりと静かに鳴るコーラスと、それに寄り添うようにオブリガードともソロともつかない音を奏でていくサックス。
 1970年代の刃物のような厳しさは和らぎ、同じく張り詰めた感じながらも優しい音。
 サックスが少しだけ前に出る感じ、あるいは別の場所から聞こえてくる感じ、コーラスと一体化するわけでも、かといって対峙するわけでもない不思議なバランス。
 その上での完璧なアンサンブル。
 部屋の天井が高くなり、面積が広大になったような、さらに周囲の空気が浄化され、湿度、温度が少し下がったような錯覚。
 そんな空間に残るサックスの残響音がとても心地よい・・・、なんて下衆な感覚がはばかられる、心洗われる美しい時間。
 全部含めて強烈な非現実感。
 天上の音。
・・・・・
 なお、ECMで一番売れたアルバムはこの作品とのこと。
 さすがヨーロッパ。
 さらに余談、これに続けて、近い時期の”Twelve Moons” (1992) Jan Garbarekを聞くと、類似するムード、同じく非現実的なほどに美しいのですが、デジタル混じりで少し現代の世俗に戻れた感じがして安心できます。
 それが最高に心地よかったりします。


  

posted by H.A.



【Disc Review】“Franz Schubert: Die Nacht” (2018) Anja Lechner, Pablo Márquez

“Franz Schubert: Die Nacht” (2018) Anja Lechner, Pablo Márquez

Anja Lechner (cello) Pablo Márquez (guitar)

DIE NACHT
ANJA LECHNER/ PABLO MARQU
ECM
2018-11-01


 ドイツのチェリストAnja Lechnerとアルゼンチンルーツ?のギタリスト Pablo MárquezのDuo、ECM New Seriesから。
 もちろんクラシック。
 あまりこの域には近寄らないのですが、ECMでお馴染みのAnja Lechnerとアルゼンチン系のギターとなれば、おそらく好みから遠くないと想像し。
 違わぬとても優しく揺らぐ音。
 シューベルトとブルクミュラーの楽曲集のようですが、期待通りに現代フォルクローレな空気感もそこそこ・・・気のせいなのかもしれませんが・・・
 とにもかくにも穏やかでノーブルな音。
 流れるようなギターと揺れるチェロ。
 おそらくは何らかの意味のある楽曲の選択、構成なのでしょう。
 そちらは詳しい方にお任せするとして、明るい色合いから始まり、悲喜こもごもな空気感の移り変わり。
 いずれも穏やか。
 上品な揺らぎがとても心地よい時間。
 夜ではなくて、朝ともちょっと違って、昼下がりな感じ。
 ビート感が強くないなあ、キチンとし過ぎているなあ、刺激がないなあ・・・ってなのはジャズやロックに慣れてしまった耳ゆえの哀しさ。
 心穏やかに優雅な空気に浸るのが吉。
 とても平和。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Música para Cordas” (2019) André Mehmari

“Música para Cordas” (2019) André Mehmari

André Mehmari (piano, cravo) 
Strings andJosé Staneck (harmônica) Emanuelle Baldini (violin, regência) Gabriele Mirabassi (clarinet) Christian Riganelli (Accordion) Paola Baron (harp) Fábio Cury (fagote)
Neymar Dias (contrabass) Sergio Reze (drum)
and Strings



 ブラジルのピアニストAndré Mehmariのストリングスを中心としたクラシック。
 本作はジャズ、ポップス色全くなしの正調クラシック。
 タイトルは”弦楽器のための音楽”。
 弦楽器オーケストラのみの演奏から始まり、中盤からはハーモニカ、アコーデオン、ファゴット、ハープなど、そして締めにジャズピアノトリオとの協奏曲。
 ゆったりとしたテンポ、哀しみを湛えた重い表情のメロディ、強い緊張感。
 短いタイミングで変わってゆく景色、重いテーマの映画のサントラの面持ち。
 そんな弦楽器オーケストラの演奏の後、徐々に音楽は明るくなり、柔らかなハーモニカと弦楽器の優雅な絡み合いが始まります。
 CD二枚目に移って、クラリネットとアコーデオン、ファゴットとハープと弦楽器の共演は、強い緊張感と柔らかな空気感が交錯する音。
 たびたび登場するワルツ系のビートは、南米フォルクローレの色のようでもあるし、ヨーロッパ伝統の色のようでもあるし。
 いずれにしても、とても優雅。
 そして締めの約20分、ようやく登場するピアノとストリングスの共演。
 やはりクラシカルですが、ジャズなビート、あの疾走、躍動、転げまわりをところどころに散りばめながらのゴージャスな音。
 これまたとても優雅。
 そしてこの人の音楽らしく、とても前向きなエンディング。
 明示されたタイトルやストーリーはありませんが、山あり谷ありの一大音楽ドラマ。
 当方、この種の音楽には明るくないアウトサイダーではありますが、心地よく優雅で上品な別世界にトリップできました。
 よろしいのではないでしょうか。




posted by H.A.

【Disc Review】“Ecos Del Sendero” (2008) Duo Tritten Bonfiglio

“Ecos Del Sendero” (2008) Duo Tritten Bonfiglio

Andres Tritten, Leandro Bonfiglio (guitar)
Oscar Manassero (udu, percussion) Guillermo Copello (violin) Carolina Velazquez (guitar) "Chey" Ramos (bombo)



 アルゼンチンのギタリストのDuoアルバム。
 ギター二本のアンサンブルを中心として、楽曲によって加わるエスニックな楽器が加わる構成。
 おそらく二人ともクラシックの人なのでしょう。
 ビート感はとても穏やかですが、純クラシック、フォルクローレとは少々違う質感。
 インタプレー的な絡み合いに加えて、リフ的なのアルペジオの繰り返しが印象に残るアンサンブル。
 その場面はミニマルミュージック的なのかもしれませんし、全体を通して作り込まれたクラシック音楽というよりも、サラサラと水が流れているような、風が吹いているような音の流れ。
 甘すぎないメロディと、強烈な疾走、浮遊の場面が少ないことも、そんな淡くてさり気ない感じにつながっているのかもしれません。
 このレーベルの立地にちなんで“川沿いミュージック”なんて言葉があるようですが、まさにそんな音、そのクラシックギター版。




posted by H.A.


【Disc Review】‎“Angelus” (2012) André Mehmari

‎“Angelus” (2012) André Mehmari

André Mehmari (piano)
Betina Stegmann, Nelson Rios (violin) Marcelo Jaffé (viola) Robert Suetholz (cello)
Sérgio Burgani, Diogo Maia, Luca Raele (clarinets) Luis Eugênio Afonso Montanha, Nivaldo Orsi (clarones)
Davi Sartori (piano) Antonio Loureiro (vibraphone) Gabriel Schwartz, Sebastião Interlandi Jr (flute) Raiff Dantas Barreto (cello) Vinícius Lacerda (pandeiro)

Angelus
Andre Mehmari アンドレメーマリ
Tratore
2013-10-28


 ブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmari、クラシック寄りの作品。
 “Orquestra À Base De Sopro De Curitiba & André Mehmari” (2011)はホーン中心でしたが、本作はストリングスカルテットとのアンサンブル、クラリネットとのアンサンブル、コンボの三部構成。
 元々クラシック色の強い音使いが多い人ですが、本作はジャズ色、MPB色を排したクラシックなアルバム。
 ここまでクラシック色が強いのは“Ernesto Nazareth Ouro Sobre Azul” (2014)と本作ぐらいでしょうか?
 全編クラシックなアルバムですが、ヨーロッパ系の洗練された感じのクラシックとは少し違う、より古典的?な感じと現代音楽が混ざったような、いかにもこの人のクラシック。
 一部は少し沈んで敬虔な感じ、哀しげなメロディ、変幻自在のストリングスとピアノが絡み合う”Angelus”組曲。
 二部はクラリネット群を従え、妖しげに徘徊するような”A Vida das Moscas”。
 ストリングスを絡めた楽曲を挟んで、三部はチェロ、ビブラフォン、フルートが絡み合うクラシカルブラジリアンジャズフュージョン”Pequena Suíte Popular Brasileira”。
 好みからすれば少々のジャズの香りがするコンボの演奏がいいのですが、クラシックを好んでは聞かない耳には前半の演奏も新鮮に聞こえます。
 ジャズやポップスに疲れた耳と脳への清涼剤・・・にしてはちょっと激しいのかな?
 とにもかくにも、優雅で上品、ちょっと激しいAndré Mehmariの音楽、そのクラシック版。




posted by H.A.



【Disc Review】“Algo Asi” (2011) Mario Yaniquini

“Algo Asi” (2011) Mario Yaniquini 

Mario Yaniquini (guitar)

Algo Asi [CD] Mario Yaniquini 2012-01-29

 アルゼンチンのギタリストMario Yaniquiniのソロギター作品。
 クラシックの人なのだと思います。
 Carlos Aguirreを数曲、同じくアルゼンチンのMarcelo Coronel、Carlos Moscardiniの楽曲を取り上げた演奏集。
 Shagrada Medraからではありませんが、同レーベルの“Sones Meridionales” (2009,2010) Pablo Ascuaと同様に、南米の香りが漂うクラシックギター。
 もちろん楽曲が現代のフォルクローレ、ポップス、タンゴ系なので、南米的なのでしょうが、ギターの音も柔らか。
 あのCarlos Aguirreの感傷的なメロディが、柔らかな音のガットギターで淡々と奏でられていく・・・
 それだけ。
 他の作曲家の楽曲も同様に、郷愁感が漂う優しいメロディ。
 流れていると部屋の湿度が下がり、空気が浄化されていく・・・系の音。
 心地よさ最高。




posted by H.A.


【Disc Review】“Sones Meridionales” (2009,2010) Pablo Ascua

“Sones Meridionales” (2009,2010) Pablo Ascua


Pablo Ascua (guitar)



 アルゼンチンのギタリストPablo Ascuaのソロギター作品。

 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。

 おそらくはクラシック畑の人なのでしょう。
 ジャズはもちろん、フォルクローレともスパニッシュとも違う、ガットギターの端正な音の流れ。
 5編17曲、メキシコ、ブラジル、キューバ、パラグアイ、アルゼンチンの音楽家の楽曲を爪弾いていきます。
 クラシックには疎いのですが、柔らかでラテン風味なのはスペイン語圏~南米の音楽家のメロディだからなのでしょうね。
 ギターもとても柔らか。
 哀楽が交錯するメキシコ、センチメンタルなブラジル、堂々としたキューバに、素朴なパラグアイ、情熱のアルゼンチン。 
 ま、単に聞いている側の先入観なのかもしれませんが、ある意味、ラテン圏のお手軽なトリップ。
 Ralph Towner、スペイン系、ブラジル系、アルゼンチン系などなど、ガットギターのソロ作品はたくさんあるのですが、クラシック作品は今のところこれだけ。
 その意味でも貴重な?アルバム・・・ってこともないのですが、結構気に入ってます。

 これが流れていると、違う家にいるみたいだもんね。




posted by H.A.


Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ