“Light as a Feather” (Oct.1972) Chick Corea and Return to Forever
Chick Corea (electric piano)
Stanley Clarke (double bass) Airto Moreira (drums)
Joe Farrell (tenor saxophone, flute) Flora Purim (vocals, percussion)
Return to Forever、ECMからPolydorに移籍しての第二作。
移籍の経緯はわかりませんが、Chick Corea としては”Crystal Silence” (Nov.1972) Chick Corea, Gary Burtonなど、ECMとの関係は続きます。
なにはともあれ、本作も大傑作。
前作“Return to Forever” (Feb.1972)と同様のテイストですが、妖しさが薄らぎ、Flora Purimの歌が前面に出る場面が増え、ポップなテイストが強くなっているかもしれません。
親しみやすいメロディアスな楽曲揃いの全六曲。
私的にはこちらのアルバムの方が好みで、聞く機会も多かったように思いますが、どちらもCDで入手したこともあり、どちらの前半が取っ付きやすいのか、だけの違いのようにも思います。
“Return to Forever” (Feb.1972)のB面はとてつもなく素晴らしいのですが、前の曲をスキップするのが面倒で・・・いや、前半、A面もいわずもがなの名演なのでスキップしなければいいのですが・・・
本作は冒頭からボーカルがフィーチャーされる、穏やかなキャッチーなメロディの名曲二連発。
優しくて穏やかで、微かにスペイン、ブラジルあたりの香りがする音の流れ。
Flora Purimの不思議感のあるボーカルには好みがわかれるのかもしれませんが、この淡いムードには合っているかなと私は思います。
さらにタイトル曲には強烈な4ビートでのインプロビゼーション。
その後もカバーも多い名曲がずらりと並びます。
最後の”Spain”は今やあまりにもカバーされすぎていて、ごちそうさまですが、このオリジナルバージョンを超える演奏は、アルバムでもライブでも聞いたことはないと思います。
そんな名曲群をベースに、強烈なグルーヴと清廉なバラード、全体を包み込むようなエレピの美しい響き。
ポップにすぎず、マニアックになりすぎず、ゆるすぎず、ハードになりすぎず、最高のバランス。
直後の“Hymn of the Seventh Galaxy” (1973) 、あるいは近いメンバーの“Butterfly Dreams” (Dec.1973) Flora Purimと比べても、本作が一番古くなっていないように感じます。
本作でもバンドを牽引するのはStanley Clarkeのベース。
静かに寄り添うドラムと全体を包み込むエレピ、それらを背景に突っ走るJoe Farrell。
やはりこの4人、あるいはこのピアノトリオでしか出せない独特の上品なグルーヴがあるように思います。
“Return to Forever” (Feb.1972)よりもベースの音量は抑え目、エレピが大き目で、これが普通のバランスかもしれません。
レーベルがECMではないことに起因しそうですが、善し悪しはお好みでしょう。
次作はStanley Clarke のみを残してハードフュージョンな“Hymn of the Seventh Galaxy” (1973)。
実はこの先をきちんと聞いたことがなかったりするのですが・・・
私的な興味関心は“Butterfly Dreams" (Dec.1973) Flora Purimへ移ります。
posted by H.A.