吉祥寺JazzSyndicate

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Carsten_Dahl

【Disc Review】“Libera Me” (2004) Lars Danielsson

“Libera Me” (2004) Lars Danielsson
Lars Danielsson (bass, cello, piano, guitar)
Jon Christensen (drums, percussion) Nils Petter Molvaer (trumpet) Xavier Desandre Navarre (percussion) David Liebman (soprano saxophone) Anders Kjellberg (cymbals) Jan Bang (samples) Carsten Dahl (piano) Tobias Sjögren (guitar) Cæcilie Norby (vocal) DR Danish Radio Concert Orchestra

ラーシュ ダニエルソン

 近年のLars Danielssonの「北欧哀愁小説ジャズ」?路線が始まったのがこの作品ぐらいでしょうか?
 この前、David Liebmanと組んでいたバンドとは少し違った音作りのように感じます。
 後続の”Tarantella”(2009) “Liberetto”シリーズ(2012,2014)に近い質感。
 とてもセンチメンタルな、物語性のありそうな楽曲とハイテンションな演奏との組み合わせ。
 印象的なのは、豪華なホーン陣、オーケストラに加えて、ピアノのCarsten Dahl。
 音色が美しく、テンション高くて強烈な疾走感のある音使い。自作“The Sign”(2002)の凄みがそのまま。
 民族的、童謡的メロディの質感とジャズのフュージョン、ストーリー性を持たせた音作り。 近いイメージの作品を作る若手も少なくないし、この人が近年のヨーロピアンジャズの土台を作ったようにも思います。
 後の共演メンバーMathias Eickの作品“Skala” (2010)などもこの路線。
 が、それらと比べると、Larsさんの作品は少々重くて沈痛度が高いかもしれません。
 それが時代、世代の変化なのかもしれませんね。





posted by H.A.

【Disc Review】 “The Sign” (2002) Carsten Dahl

“The Sign”(2002)Carsten Dahl
Carsten Dahl (Piano)
Arild Andersen (Bass) Patrice Heral (Drums)

The Sign
Carsten Dahl
Stunt
2002-10-15
カーステン ダール 
アリルド アンデルセン 


 デンマークのピアニストCarsten Dahlを中心としたピアノトリオ
 スタンダードを演奏したアルバムは人気だったと思いますが、これは全てオリジナル曲を収録したアルバム。
 Carsten Dahl は、Keith Jarrettの影響を端々に感じさせつつも、ヨーロピアンならではの奥深さ、上品さ、さらに怪しさ兼ね備えた名人。
 ベースはド派手な音を展開するヨーロピアンArild Andersen。
 この二人が揃うとどんな音楽でもカッコよくなりそうですが、このアルバムでは、美しく、もの悲しく、怪しいオリジナル曲を、時にアグレッシブに、時に深く美しく奏でていきます。
 フリージャズ的と言えばそうですが、決して難解ではなく、とにかく美しい、そしてエキサイティング。
 冒頭曲にそのエッセンスが詰め込まれています。
 ゆったりとしたテンポ、深い音のベースと、エコーがたっぷりと効いた録音の美しいピアノが絡み合う深遠なイントロから始まり、次第にテンポを上げるベースに牽引されながらペースアップ、気がつけばドラムにも煽られながら、アグレッシブなフレーズを連発するエキサイティングな演奏に変化していきます。
 テンポが上がった後は、強烈なグルーブ感に乗って、凄まじいまでのピアノとベースのインプロビゼーション。
 かといってうるさい訳では無く、あくまで上品な演奏。
 以降も全体の質感はぶれないのですが、バラードあり、激甘の美曲あり、ワールドミュージック系あり、フリーあり、シンセサイザーが加わったスペーシーで近未来的なサウンドなど、変化に富んだ演奏が続き、最後まで飽きさせません。
 Keith Jarrettの音楽をさらに美しく、さらにアグレッシブにし、怪しさを加えたうえで現代的にした感じ、と言えば大袈裟でしょうか。
 スタンダード曲を題材にした場合、ここまで凄い演奏にはならないだろうと思います。
 安心して聞ける反面、制約が多すぎて、ここまで美しくもエキサイティングにも深遠にもならないでしょう。
 実際、同じようなメンバーで演奏したスタンダード集とは全く質感の異なる音楽になっています。
 激しく美しいピアノトリオ、その近年の代表盤、だと思います。




 
posted by H.A.
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