吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Carlos_Aguirre

【Disc Review】“Calma” (2017) Carlos Aguirre Trío

“Calma” (2017) Carlos Aguirre Trío
Carios Aguirre (Piano)
Fernando Siiva (contra bass, cello) Luciano Cuvielio (drums, cascabeles)
Claudio Bolzani, Marceio Petteta (voice) Mono Fontana (keyboards)

Calma
Carlos Aguirre Trio
Shagrada Medra
2017-12-17


 現代フォルクローレの親分であろうCarios Aguirreのピアノトリオを中心としたアルバム。
 自身のレーベルShagrada Medraからはたくさんのアーティストの作品がリリースされ、“Serpentina” (2017)などの共演作はありますが、自身のリーダー作としては“Orillania” (2012)以来、久々の作品。
 名作“Luz de agua” (2005) のFernando Siivaがベーシスト、Claudio Bolzaniがゲスト参加し、音響派のMono Fontanaが名前を連ねます。
 ボーカルはゲストが入った一曲のみ。
 全体のムードは、ポップで躍動感強めの前作から大きく変わって、ヨーロッパ系、ECMな空気感も漂う、ピアノトリオによるとても静かなコンテンポラリージャズ。
 今時珍しく各曲が長尺な全七曲。
 静かで内省的なムード、甘すぎない淡いメロディも含めて、空気感は“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)に近い感じもあますが、もっともっと抑えたジャズな感じ。
 “Caminos” (2006)をジャズに寄せた感じでしょうか。
 ほのかにセンチメンタリズムが香るメロディに、漂うわけでも疾走するわけでもない、端正でゆったりとした落ち着いたピアノトリオ。
 弾きすぎないピアノ、スウィング、グルーヴしすぎないリズムは、ジャズな音とは少しニュアンスが違うのでしょう。
 もっと繊細で複雑な音。
 丁寧に置かれていくピアノの音。
 インプロビゼーション、インタープレーの場面も全て計算されているような、美しく哀しい音の流れが続きます。
 甘いメロディやカラフルなアンサンブル、歌がない分、ここまでの作品に比べると地味なのでしょう。
 が、耽美的で内省的、じわじわとくる系。
 数多い美しく哀しい名曲のメロディの断片を散りばめていくように淡々と続くピアノの音・・・
 そして最後に収められた、抑制されつつも強烈な高揚感の中での感動的な終演。
 これは名作“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の世界。
 その他、躍動感のある場面もしばしばありますが、基本的には静かで穏やか、フォルクローレな浮遊感のある音。
 時間の流れが遅くなっているような、ゆっくりと周囲の形式が変わっていくような音の流れ。
 ジャケットのイメージと同様に、孤独で寂寥感が漂う心象風景・・・、そんな形容が似合うのでしょう。
 アルゼンチンからは地球の裏側の日本の今の季節にピッタリの音かもしれません。




posted by H.A.

【Disc Review】“Serpentina” (2017) André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre

“Serpentina” (2017) André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre
André Mehmari (Voice, Piano, Oberheim, Synth, Accordion, Harmonium, Koto, Viola de arco, Bandolim, Acoustic bass, Pandeiro, Pife) Juan Quintero (Voice, Guitar, Charango, Bombo, Percussion) Carlos Aguirre (Voice, Piano, Accordion, Fretless bass, Guitar, Percussion)



 ブラジルのAndré Mehmariと、アルゼンチン、現代フォルクローレのAca Seca TrioのJuan Quintero、現代フォルクローレのドン?Carlos Aguirreのトリオ作品。
 夢のなんとか・・・と書いてしまうのが憚られるような、あざといまでの組み合わせ。
 “Triz”(2012)André Mehmari, Chico Pinheiro, Sérgio Santosなんてブラジル人スーパーなトリオ作品もありましたが、それを上回るようなビッグネームなセッション。
 クラシックとジャズとMinasなAndré Mehmariと、元気系ポップスなフォルクローレなJuan Quinteroと、しっとり系フォルクローレのAndré Mehmari
 それらが交錯し混ざり合う音。
 穏やかな怒涛?のような全18曲。
 三人で概ね均等に楽曲を分け合い、他にブラジル曲、アルゼンチン曲を数曲。
 プロデューサーにAndré Mehmariのクレジット、また多くの楽曲でピアノを弾く彼の色が少々強いのかもしれません。
 が、さすがにつわものたち、いい感じでフュージョンし、André Mehmari諸作とは違う色合い。
 あの素晴らしくも強烈なピアノが続くと聞き疲れするかな・・・?と思っていたら、Carlos Aguirreの優しいピアノに変わってみたり、思い出したように水が滴るようなギターが聞こえたり、穏やかなだったり楽し気だったりのアコーディオンが聞こえたり・・・
 さらにはボーカリストが入れ替わりながらのさまざまなコーラスワーク。
 ・・・瑞々しい感性が有機的に絡み合いながら、自然に対するリスペクトとそこはかとない感傷、憂いを秘めた・・・とかなんとかの恥ずかしくなるような形容がそのまま当てはまってしまう音なのだから、困ってしまいます。
 André MehmariCarlos Aguirreがお互いに捧げ合っている曲もあり、まあ、そこまで演出しないでも・・・とも思ってしまいますが、それらがまた素晴らしい演奏なので、まあ、何と申しましょうか・・・
 全編、フワフワしていて、優しくて、センチメンタルで、でも前向きで・・・
 南米の郷愁感の極めつけ。
 ピアノを中心としたジャズ的インプロビゼーションのスペースもたっぷり。
 企画負けすると・・・?は全くの杞憂。
 大変失礼しました。
 期待以上の極上の出来。
 月並みな結論ですが、2017年の一番はこれでしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Orillania” (2012) Carlos Aguirre

“Orillania” (2012) Carlos Aguirre
Carlos Aguirre (piano, guitar, voice, keyboard, etc.)
Hugo Fattoruso (voice, keyboard) Leandro Drago, Sabastian Macchi, Mono Fontana, José Olmos (keyboard, piano) Quique Sinesi, Yamil Issac, Alfonso Bekes, Luis Salinas (guitar) Luis Medina (guitar, piccolo guitar) Alfonso Bekes (Mandolin) Fernando Silva (bass) José Lui Viggiano (drums) Gonzalo Giaz, José Piccioni, Quique Oesch (percussion) Antonio Arnedo (sax) Luis Barbiero (flute) Gladstan Galliza, Jorge Fandermole, Juan Quintero, Monica Salmaso, Francesca Ancarola (voice) and others

Orillania
Carlos Aguirre
Rip Curl Recordings
2012-02-19
カルロス アギーレ

 現代フォルクローレのCarlos Aguirre。
 リーダー作としてはこれが2016年時点の最新アルバム(?)。
 基本線は“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)と同じ世界、とても優雅で哀愁溢れる作品ですが、ちょっと趣の異なる作品。
 曲ごとにメンバーを変えて、さまざまな質感のアレンジ。
 電気楽器の使用、凝ったアンサンブル、多くの曲に入るコーラスワークなど、作り込み、磨き上げ、洗練された音。
 ここまでのセンチメンタルなアコースティックな曲に加えて、全体的に明るくポップな印象で素直にビートが効いた演奏が増えた感じでしょうか。 
 意外にも歪んだエレキギター、シンセサイザーを前面に出した懐かしのラテンフュージョンな演奏、懐かしいAORを想い起こす演奏も数曲。
 そんなサウンドを背景にしたCarlos Aguirre流の必殺コーラスが、あのMergio Mendesを想い起してしまう場面もちらほら。 
 フレットレスのエレキベースの柔らかい音がいい感じで効いていて、それに重なるメローなエレキギター・・・ 
 ここまで来るとフォルクローレと呼んでしまうのことに違和感のあるゴージャスさ。
 楽曲はもちろん全てオリジナル、哀愁が漂う素敵なメロディばかり。
 質感は変われど、さまざまなテイストの演奏があれど、全体を包み込む優しさ、優雅さ、郷愁感は同じ。
 これまた傑作でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Arrullos” (2008) Francesca Ancarola, Carlos Aguirre

“Arrullos” (2008) Francesca Ancarola, Carlos Aguirre
Francesca Ancarola (voice) Carlos Aguirre (piano) 

Arrullos [ Francesca Ancarola ]
 フランセスカ アンカローラ カルロス アギーレ
【輸入盤】Arrullos [ Francesca Ancarola ]

 チリのボーカリストFrancesca Ancarola、アルゼンチン、現代フォルクローレのCarlos Aguirre、Duo作品。
 チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、キューバなど、中南米、スペイン語圏の楽曲集。
 タイトルは「子守歌」のようですので、各国の子守歌を集めてきたのだろうと思います。
 その通りの穏やかな音。
 ボーカルは素直で癖のない声、南米系定番のとても優しい歌い方。
 Carlos Aguirreはピアノのみでのサポート。
 伴奏に徹していますが、歌の後ろでの展開がやはり只者でない音使い。
 よく聞いてみると、定常な歌に対して、伴奏と同時に、カウンターというよりも自由なオブリガードが展開されているようにも。
 歌の旋律を伴奏にして、ピアノソロを弾いている・・・そんなイメージ・・・
 ・・・ってなこともないのかもしれませんが、そんなバランスが隠し味。
 最初から最後まで、穏やかで優しい、郷愁感漂う南米の音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (piano, accordeon, keyboards)
Alfonso Bekes (guitar, mandolin) Luis Medina: (guitar, piccolo guitar) Fernando Silva (bass, cello) Jose Piccioni (perccusion, bandoneon) Silvia Salomone, Florencia Di Stefano, Jorgelina Barbiero (voice) Melisa Budini (voice, marimba)



 Carlos Aguirre Grupoの三作目。
 ボーカルはコーラスのみ、一曲一曲が長尺な器楽曲の構成、“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004)とは少しイメージが異なります。
 もちろん音楽の質感は同じ、とてもセンチメンタルで郷愁感溢れる音なのですが、ボーカルはコーラスのみ、ポップス色は抑えられ、コンテンポラリージャズな音。
 強く激しい展開の場面もあり、それら含めてとてもドラマチック。
 次々と景色が変わっていくような構成。
 何かしらのドラマが込められた組曲なのでしょうか。
 少しずつ変わっていく複雑なビート、複雑なアンサンブル。
 先が読めない展開、 ときおりの激しいインプロビゼーション・・・
 さらに要所で現れるコーラスがいかにもCarlos Aguirre的であり、南米的。
 ビートが上がると高揚感のあるグルーヴ、ブラジル・ミナス色が強い時期のPat Metheny Group、さらに全体の強烈な起伏と高揚感は、その超大作”The Way Up” (2003-4)を想起します。  
 ポップス然としたキャッチ―さはありませんが、各曲長尺な演奏、複雑な構成の中に、目の覚めるような美しいメロディがたくさん散りばめられています。
 そしていろいろな場所にいろいろな仕掛けが施されています。
 冒頭”Invierno”の穏やかな表情の中から表出する短い激情、強烈な余韻を残すエンディング、二曲目"Rumor de Tambores"の激しい演奏の中に現れる胸が締め付けられるようなメロディ、四曲目”Casa Nueva”のこの上もなく切ないメロディ、最終”Mariposa Leve”の穏やかな高揚感の中での前向きなエンディング・・・
 穏やかで優しい流れの中の少しの激情、興奮、そして陶酔感・・・
 凄みすら漂うドラマ。
 これまた傑作でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Caminos” (2006) Carlos Aguirre

“Caminos” (2006) Carlos Aguirre
Carlos Aguirre (piano)

Caminos
Shagrada Medra
カルロス アギーレ


 現代フォルクローレのCarlos Aguirre、ピアノソロアルバム。
 これまた優雅なピアノミュージック。
 オリジナル曲のメロディ含めて、ジャズの色合いも少々ある作品。
 一曲一曲を短くまとめ、次から次へと目まぐるしく変わっていく展開。
 ビートの感覚、節回しが独特。
 ちょっと強めのタッチ、ビートかなと思うと、柔らかで優雅なアルゼンチンフォルクローレビートに変わっていたり、Egberto Gismonti的な展開をしてみたり。
 美しい展開ながら意外な方向にも動く、どこか不思議感のある音使い。
 全体を通じて流れるのは淡い哀感。
 これもSaudadeなのでしょうね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Roje)” (2004) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (voice, guitar, piano, percussion) 
Silvina López (guitar, voice) Jorge Martí (guitar) Fernando Silva (bass) Silvia Gomez (percussion) 
Sebastian Macchi (piano) Notalia Damadian, Jorgelina Barbiero, Silvia Salomone (voice) and others
 


 アルゼンチン、現代フォルクローレのカリスマなのでしょう、Carlos Aguirreの2004年作。
 いずれ劣らぬ名作“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の間の作品。
 空気感は同じですが、“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)の流れを汲みつつも、このアルバムが一番でスッキリ系かもしれません。
 ポップス然とした歌中心の音作りは、ジャズではないし、もちろんブラジル系とは違うし、タンゴ色もないし、クラシック的といえばそうかもしれないけども、それもそれほど強くは感じません。
 文字通りの現代フォルクローレなのでしょうが、それにしては極めて洗練されているし、洗練されたソウル~AOR的といえばそうなのかもしれませんが何か違うし、極めて現代的な音なのだと思うのだけどノスタルジックな感じもするし・・・
 ・・・ってな感じでそれらが全部融合された微妙で繊細な音。
 さておき本作、パーカッションは色付け程度で、ギターを中心に、ときおり透明度の高い美しいピアノが作る音。 
 あのギターのユニゾンでのオブリガード、オシャレな女声コーラスもたっぷり。
 メロディは折り紙付きの哀感、センチメンタリズム。
 寂寥感ってほど寂しくはない、やはり南米系、郷愁感ってな言葉がピッタリきます。
 ちょっと寂し気なボーカルと完璧なアンサンブル。
 名曲、名演揃いですが、最後に納められた"vidala que ronda”なんて、アルバムの締めはこれしかないというか、これで人生の最後を締めくくってもいいような?、そんなムード。
 寂し気なようで、とても前向き、爽やか。
 春、新緑の季節になるとこの手の一連の作品が聞きたくなります。
 そんな音です。




※本投稿は2017/5/27投稿から移動しました。

posted by H.A.

【Disc Review】“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000) Carlos Aguirre Grupo

“Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000) Carlos Aguirre Grupo
Carlos Aguirre (voice, guitar, piano, acordeon, percussion)
Silvina López (guitar, voice) Jorge Martí (guitar) Fernando Silva (bass) Quique Sinesi (piccolo guitar) Luis Barbiero (flute) Jorgelina Barbiero (voice) and others

Carlos Aguirre Grupo(Crema)
カルロス・アギーレ・グルーポ
Apres-midi Records



 現代フォルクローレのCarlos Aguirre、これが初リーダー作なのでしょう。
 何年か前、ジャズとは距離を置く音楽マニアの間では相当話題になっていたことを思い出します。
 今でもカリスマなのでしょう。
 当時CD一枚ごとに異なるオリジナル水彩画がついていたように思います。
 近年の南米系音楽のジャケットに水彩画が多いのも、この人が端緒なのでしょうか?
 まさに水彩画のような柔らかな音。
 モノトーンではなくカラフル。
 ブラジルのAndre Mehmari辺りとも共通する、とても穏やかで優し気なメロディ。
 そちらはクラシック、ジャズにフォルクローレの香りが乗ったイメージだけども、本作はフォルクローレにポップスが乗った印象、さらにもっと繊細。
 全ての楽曲が懐かしい印象も漂うセンチメンタルなメロディ。
 全てがキャッチーで南米独特の郷愁感が漂う名曲。
 ポップスの色合いが強いボーカル曲が中心。 
 アルゼンチンフォルクローレ特有の優雅なビートを中心として、時折スペインの香りがするようにも感じます。
 とても繊維で優しげな歌声と、この上なくオシャレな絶妙のコーラスワーク。
 瑞々しいガットギター、さらにそのユニゾンの美しいハーモニー、透明度の高いピアノの音が先導する小編成のアコースティック楽器の響き、さらにときおり前面に出る柔らかなフレットレスベース・・・
 それらが折り重なるように絡み合う音は絶品の心地よさ。 
 インプロビゼーションのスペースはわずかですが、これまた繊細で素敵なアンサンブルとさりげないインタープレーも散りばめられています。
 ジャズファンからするとスウィングしないとか、ポップに過ぎる、とかの向きもあるのかもしれません。
 が、ジャズとは違う、優しく穏やかな別の世界が見えて、それがいいと思うんですかねえ・・・
 これは大傑作でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Sense of Quiet” (May.2012) Quique Sinesi, Carlos Agguire

“Sense of Quiet” (May.2012) Quique Sinesi, Carlos Agguire
Quique Sinesi (guitar, piccolo guitar, 7strings guitar)
Carlos Agguire (piano, accordion, voice)



 タンゴ、フォルクローレのギタリストQuique Sinesi、同じくアルゼンチンのCarlos Agguireをゲストに迎えたライブアルバム、東京録音。
 この二人が、現代フォルクローレで最も注目を集めている人なのでしょう。 共演作も多数。

 時間は開いていますが、“Danza Sin Fin” (1998)のライブ版、といったところ。

 前半はギターのソロ演奏、後半からCarlos Agguireのピアノが加わります。
 前半は少しひんやりとした瑞々しいガットギターの響き。
 Egberto Gismontiを柔らかくし、優しくし、センチメンタルに繊細にしたような音使い。
 郷愁感が漂うメロディも合わせて、穏やかな空気感。
 周囲の空気が浄化されていくような爽やかさ。
 ピアノが入ると景色が変わります。
 “Danza Sin Fin” (1998)の世界、水の流れのように透明だった風景がカラフルに。
 典型的な現代フォルクローレの色合い、淡い水彩画のような景色。
 ソロゆえに自由だったビート感も落ち着き、穏やかな躍動感。
 自然で優しいグルーヴ、アップテンポでは強烈な疾走感。
 少しセンチメンタルだけども前向きなメロディ、音使い。
 Pat Metheny&Lyle Maysに似たムードなのかもしれませんが、そちらよりも穏やか。
 フォルクローレ特有のビート感もあって、とても優雅。
 この辺りが混じり気なしの彼らの音、現代フォルクローレの特徴なのでしょう。
 さらに最後のアップテンポ曲などはToninho HortaEgberto Gismontiを足し合わせたようなカッコよさ。
 前向きで明るくて、それでいて哀愁があって、上品なエネルギーがあって・・・
 たった二人の演奏ながら、とても豊かな時間。




posted by H.A.

【Disc Review】“Soltando Amarras” (1998) Quique Sinesi, Marcelo Moguilevsky

“Soltando Amarras” (1998) Quique Sinesi, Marcelo Moguilevsky
Quique Sinesi (guitar, etc.) Marcelo Moguilevsky (reeds, voice, etc.)
Calros Aruirre (paino)

Soltando Amarras
Quique Sinesi
Espa Music
キケ・シネシ、マルセロ・モギレブスキー


 現代フォルクローレのギタリスト、Quique Sinesi、リード奏者とのDuo作品。
 “Danza Sin Fin” (1998)と同時期の録音、質感も同じ。
 これまた優雅で郷愁感が滲み出る名曲、名演奏揃い。
 冒頭曲こそハイテンション、ハイスピード、聞き慣れない笛が前面に出ますが、以降は穏やかで優しいメロディ、優雅な演奏が続きます。
 Marcelo Moguilevskyはクラリネット、ソプラノサックスを中心に、フルート、ボイスまでまで様々な楽器を駆使した演奏。
 この人もジャズの経験がある人なのでしょうかね。
 いい感じのグルーヴ、どの楽器にしても素晴らしい表現力、抑揚感。 
 Quique Sinesiのギターはソロ作品と同様の瑞々しさ。
 ギターソロではなくMarcelo Moguilevsky が背景を作ってくれる分、Quique Sinesiのシングルトーンのギターソロもたっぷり。
 ジャズ、スパニッシュ、その他が混ざり合ったような質感。
 スローテンポのタメとアップテンポでの強烈な疾走感、そのバランス、組み合わせががなんとも優雅でカッコいい。
 グルーヴに乗ったカッコいいインタープレーの場面もしばしば。
 Calros Aruirreは一曲のみの提供、客演ですが、これまた素晴らしい内容。
 ジャズファン目線で見たフォルクローレ、違和感があるとすれば、ビートが弱いこと、インプロビゼーションのスペースが小さいことがその要因なのでしょう。
 本アルバムはインプロビゼーションたっぷり、全編通じて穏やかなスウィング。
 優雅なビート感に慣れてしまえば、こちらの方が心地よかったりします。
 純粋にギターを聞きたいならば、あるいは静謐を求めるのであれば“Danza Sin Fin” (1998)の方が良いかもしれません。
 こちらのアルバムには、同様の質感に加えて、上品な高揚感、興奮もあります。
 どちらが良いかはお好み次第、というか、その日の気分で決めればよいのでしょう。
 どちらも同じぐらいに上質、周囲の空気が浄化されるような素晴らしい音。




posted by H.A.
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