吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Caribbean

【Disc Review】“Luminescence” (2014) Gregory Privat & Sonny Troupé

“Luminescence” (2014) Gregory Privat & Sonny Troupé
Grégory Privat (Piano) Sonny Troupé (Ka)

Luminescence
Gregory Privat
Jazz Family
2015-08-11


 カリブ、フランス領マルティニーク島出身のピアニストGrégory Privatの第三作。
 ハイテンションでソリッドなコンテンポラリージャズ“Ki Koté”(2011)、ストーリー性をもった組曲風のフュージョン混じり作品の前作“Tales of Cyparis” (2013)と来て、本作はシンプルにパーカッション「カ」とのDuo。
 カリブ風味全開のラテンジャズ、あるいは静かで郷愁感の強いピアノミュージック・・・と思いきや、アメリカ系コンテンポラリージャズの色合いが強いハイテンションなジャズ。
 少し細めの鋭いタッチ、カッチリした音の流れで突っ走るピアノ。
 シンプルなようで、不思議なタイミングで切り返し、ブレイクする複雑なビートとメカニカルなメロディライン。
 やはり現代の若手。
 ピアノ自体にはクラシックの色合いも感じるのですが、ロック、ポップスを聞いて育った世代の音なのでしょう。
 ホーンやギター、ボイスが無い分、全編これでもかこれでもかのピアノの音の洪水。
 さらに少人数でも、次々と場面が変わるような何かしらのストーリー性をもった楽曲の展開、アルバムの構成も、ここまでの作品と同様にこの人の作品の特徴。
 前向きな組曲風、アップテンポでアグレッシブな演奏、など、さまざまな色合いの楽曲ですが、終盤に収められたラテンなビート、哀愁を帯びたメロディの疾走曲“La Chose”、”Improvising in Meudon”のカッコいいこと。
 さすがカリブの人。
 やはりこの人はこの色合いがいいと思うなあ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Ki Koté”(2011)Grégory Privat

“Ki Koté”(2011)Grégory Privat
Grégory Privat (Piano)
Rafael Paseiro (Bass) Sonny Troupé (Drums、Ka) 
Olivier Juste (Ka) Renaud Gensane (Trumpet) Faustine Cressot (Vocals) Nesrine Ghalmi (Speech)

Ki Kote
Gregory Privat
Gaya Label
2015-10-13


 カリブ、フランス領マルティニーク島出身のピアニストGrégory Privatのデビュー作。
 近年、北欧ジャズのドンLars Danielssonのバンドに抜擢された人。
 いかにもカリブの人らしく、フワフワとした浮遊感のある、かつ強烈に疾走する、ラテンな空気感も漂うコンテンポラリージャズ。
 ピアノトリオをベースにして、トランペットやスキャットボイスが乗ってくるいかにもラテンジャズな構成。
 が、陽気で派手なラテン系ではなく、少々の翳りと憂いを含んだクールでシャープな質感。
 クラシックの香りも漂う上品なピアノですが、翳りや憂いがあっても、ヨーロッパの人に比べると暗さや深刻さがなく、あくまでカリブ~南米系特有のサウダージ、あるいは郷愁感といったムードでしょう。
 全曲のオリジナル曲はいかにも現代的なクールネスが漂うメロディ揃い。
 冒頭からドラムではなくて“Ka”の軽快なビートに乗って突っ走るピアノ。
 リズム陣もカリブ系の人たちなのでしょう。
 ハードでハイテンション、エキサイティングな演奏が続きますが、全くうるさくありません。
 そんな中を、美しい音のシャープなピアノ、同じく似た質感のトランペットが、加速、減速を繰り返しながら疾走します。
 さらにカリブ~南米お得意の、ふわふわと漂うような女声のスキャットボイスが乗ってきます。
 のほほんと楽し気な感じではなく、そこはかとない翳りと憂いを含んだ絶妙のバランス。
 充分に明確でハードにも聞こえるこの手の音を幻想的とは言わないのだろうけども、どこか現実から離れた、懐かし気な感じもする、デリケートな音の流れ。
 ジャズのグルーヴと疾走感、カリブ~南米の浮遊感がフュージョンした素晴らしい音が続きます。
 大きくフィーチャーされるトランペットがこれまたカッコいい。
 バリバリと吹いているようで、あくまで端正でクール、スムース。
 フレージングもさることながら、リズムへの乗り方が抜群にいい感じで、音の流れ、さり気ない入り方、抜け方にもタダものではない凄みが滲み出ています。
 初めて見る名前ですが、カリブ~キューバにはとんでもないトランペッター、ピアニストがごろごろしているのでしょうねえ。
 デビュー作にしてすごい作品。
 次作は本作の空気感を保ちつつ、ギターその他を加えつつ、物語性を持たせたカリビアンコンテンポラリージャズ作品“Tales of Cyparis” (2013)へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】“University of Calypso” (2009) Andy Narell & Relator

“University of Calypso” (2009) Andy Narell & Relator
Andy Narell (Steel Drums, Other) Relator (Vocals, Guitar)
Dario Eskenazi (Piano) Gregory Jones (Bass) Mark Walker (Drums) Inor Sotolongo (Percussion) Pedro Martinez (Congas, Timbales, Bongos) Marcos Araya Correa (Cuatro)
Paquito D'Rivera (Clarinet, Alto Saxophone)



 この季節になると引っ張り出してくるスチールパン作品。
 本作は大御所カリプソアーティストであろうRelatorと、アメリカのAndy Narellによるカリプソ+ジャズフュージョン作品。
 この種のアルバムについて、その道に詳しくない人が解説しても野暮の極みなのですが・・・
 とにもかくにものどかで平和。
 さらに、ノスタルジックでとても優雅。
 音楽は全く違えど、同じカリブ海周辺、“Buena Vista Social Club” (1996)に近い空気感を感じるのは私だけでしょうか?
 Andy Narellの諸作のエアコンがよく効いた感じの心地よさではないのですが、カリブの陽光が見えてくるような音。
 これぞ南国、別種の心地よさ。
 Relatorさんの出す音、声は、そんなカリビアンネイティブな感じの圧倒的な存在感ですが、もちろんAndy Narellのバンドの音は、同じくカリブでもマイアミあたりの都会的、現代的な空気感。
 それらがフュージョンした、いい感じのバランス。
 楽曲は、トリニダード・トバゴ のカリスマなのであろうAldwyn Robertsの作品を中心とした、全てカリビアンクラシックなのでしょう。
 なんだか懐かしいようなムードを漂わせつつも、とても小粋で優雅なメロディの連続。
 Andy Narellの音はとても優雅な音なのですが、いつもの洗練されたカリビアンフュージョンのAndy Narellの作品としては異色、別種の優雅さ。
 いや、Relatorさんが音を出していない時間は、いつも通りなのかもしれません。
 Relatorさんの存在感、カッコよさに脱帽。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Passage” (2004) Andy Narell

“The Passage” (2004) Andy Narell
Andy Narell (Steel Drums)
Mathieu Borgne (Drums, Percussion) Paquito D'Rivera (Alto Sax) Michael Brecker (Tenor Sax) Hugh Masekela (Flugelhorn) 
and Calypsociation Steel Orchestra

Passage
Andy Narell
Heads Up
2004-03-23


 ジャズフュージョン系スチールパン奏者Andy Narell、スチールパンのオーケストラを中心としたアルバム。
 ここまでの作品は、基本的にはジャズ、フュージョン系の編成でしたが、本作では本場のパンの集団演奏スタイルに近づけてみた、といったところでしょうか。
 後に少人数のパンの集団演奏を中心とした次作にあたる”Tatoom”(2006)がありますが、現在のところ、パンのオーケストラの形態ではそれと本作のみ。
 音楽のムードは、1970年代フュージョンな感じではありませんが、直球なカリビアンネイティブな感じでもなく、Andy Narellのそれ。
 都会的で洗練された哀愁が漂うメロディに、タイトなフュージョンドラム。
 が、他の音はパンのオーケストラなので、少人数のフュージョンコンボのタイトさとは一線を画す、ゆらぎというか、ゆるさのある音。
 これがいい感じのバランス。
 パン一台とパーカッションだけだとフュージョンっぽさが勝っていたのが、都会的に洗練されたムードを維持しながら、カリブっぽさが強くなっている感じでしょう。
 タイトさよりもゆらぎが勝り、クールだった音が楽し気になった感じ。
 最初から最後までフワフワしまくり。
 何曲かで登場するゲストの豪華ホーン陣が音を出すと、ちょっとだけ空気感が締まる感じもしますが、彼らもバンドのゆらぎに引っ張られているようで、心地よさげなインプロビゼーション。
 パン一台の方が、あるいは背景の音も薄めの方が、響きのニュアンスがきっちり感じられて、儚げで悲し気なムードも強くなるように思うのですが、ま、これはこれでとても楽し気でいい感じでしょう。
 カリビアン・フュージョンってな語感にはこっちの方が合っているんだろうなあ。
 南国ムードたっぷり。
 コンボ作品のようなエアコンが効いたリゾートホテルのラウンジな感じではなく、”Tatoom”と同様、リゾートホテルのラウンジでもオープンエアー。
 ちょっと温めの湿り気を帯びた風。
 エアコンに慣れてしまった体には、かえって心地よいのではないのかな?
 この手の音は野暮なことなど考えないで、ボケーっと聞くのが吉、なのでしょうね。




posted by H.A.

【Disc Review】“Live in South Africa” (2001) Andy Narell

“Live in South Africa” (2001) Andy Narell
Andy Narell (Steel Pans)
Louis Mhlanga (Guitar) Andile Yenana (Keyboards)
Denny Lalouette (Bass) Rob Watson (Drums) Basi Mahlasela (Percussion)

Live in South Africa
Andy Narell
Heads Up
2001-04-24


 ジャズフュージョン系スチールパン奏者Andy Narellのライブアルバム。
 ここまでの作品から人気曲?、キャッチーな楽曲を集めて、サポートはオーソドックスなジャズフュージョン編成でのコンボでの演奏。
 ギタリストは前作“Fire in the Engine Room” (2000)と同様ですが、他のメンバーは“Sakésho” (2002)とは違う面々。
 サウンド的には前作と似た感じでシンプルなのですが、楽曲のムード含めて、結果的には“The Long Time Band” (1995)ぐらいまでのアメリカンフュージョンなAndy Narellと、それ以降のナチュラルなカリビアンジャズフュージョンが交錯する作品。
 キャッチーなメロディの楽曲を揃え、タイトなバンドの完璧な演奏。
 ライブながらスッキリした演奏が揃っています。
 バンドはオーソドックスなラテンフュージョンバンドですが、哀愁のメロディと、憂いを含んだパンの音もライブでもそのまま。
 ライブでの冒険のような場面はありませんが、各曲ともスタジオ録音よりも長尺、充実したインプロビゼーションあり、終盤に向けて盛り上がっていくドラマチックな構成もあり。
 都会的で洗練されたフュージョンあり、ナチュラルなフュージョンあり、いかにもカリビアンな陽気な演奏あり。
 ここまでの集大成、たっぷり二枚組。
 ここまでのAndy Narellのさまざまな音、代表的な楽曲がまとめて聞けるという意味ではちょうどいい作品なのかな?




posted by H.A.


【Disc Review】“Fire in the Engine Room” (2000) Andy Narell

“Fire in the Engine Room” (2000) Andy Narell
Andy Narell (Steel Drums)
Dario Eskenazi, Mario Canonge (Piano) Louis Mhlanga (Guitar) Michel Alibo, Oscar Stagnaro (Bass) Jean-Philippe Fanfant (Drums)
Jesús Diaz, Luis Conte (Congas) Luis Conte (Percussion) Luis Conte (Timbales)

Fire in the Engine Room
Andy Narell
Heads Up
2000-04-25


 スチールパン奏者Andy Narellのカリビアン・フュージョン。
 ピアノとのDuo+パーカッションを中心としたナチュラルな前作“Behind The Bridge” (1998)から一転、再びフュージョンバンドでの作品。
 が、前々作“The Long Time Band” (1995)と比べるとナチュラルな感じでしょうか。
 楽曲も全曲オリジナルに戻りましたが、都会的な哀愁感はそのままに、これまたナチュラルなカリビアンな感じのメロディライン、いい曲が揃っています。
 いずれにしても、よりシンプルになったサウンド。
 ま、単に録音の具合なのかもしれませんし、聞く側の勝手な思い込みなのかもしれませんが・・・
 さておき、楽し気な現代的カリビアンフュージョンミュージック。
 後の元気いっぱいアコースティックフュージョンバンド作品“Sakésho” (2002)のメンバーも集結し、その予告編といえば、そうなのかもしれません。
 動き回るエレキベースといかにもラテンジャズな楽し気なピアノ、ドラム。
 “Sakésho”ではパーカッションが抜けてしまいますが、本作ではいい感じで効いています。
 デビュー時からのメンバーと交代したギターはロック系の人でしょうか?
 少々やんちゃ系な感じですが、クリーントーン中心なので、ほどよくバンドに溶け込んでいますかね。
 一番憂いを含んだ音がスチールパンかもしれません。
 微妙に立ち上がりが遅れきて、さらに微妙に消えゆくのが早い感じのパンの響きが、後ろ髪を引かれるようで、少々寂し気で、しかも優雅。
 パンの音は静かな泣き声のようにも聞こえます。
 ともあれ、そんなパンの音と、シンプルかつ強烈な推進力の元気なバンドとの対比が、何ともいい感じ。
 “Sakésho”は炎天下な感じ・・・と書いていたようですが、本作はそれとかつてのエアコンの効いたリゾートホテルな感じの中間的なイメージ。
 タイトルのイメージほど熱い感じでもはなく、ほどよく憂いを含んだ音。
 作品が進むにつれ少しずつ作風が変わっていっているのだと思いますが、よくできていますね。
 ま、それも聞く側の思い込みのせいなのかもしれませんが・・・
 とにもかくにも、とても心地いい、21世紀、現代的なカリビアンジャズフュージョン作品。



posted by H.A.


【Disc Review】“Behind The Bridge” (1998) Andy Narell ‎

“Behind The Bridge” (1998) Andy Narell ‎
Andy Narell (Steel Drums)
Dario Eskenazi (Piano) Kleber Jorge, Steve Erquiaga (Guitar) Kleber Jorge (Cavaquinho) Paul Van Wageningen (Drums) Luis Conte, Paulinho Da Costa (Percussion)

Behind the Bridge
Andy Narell
Heads Up
1998-08-25


 スチールパン奏者Andy Narellのカリビアン・フュージョン。
 “The Long Time Band” (1995)に次ぐ作品ですが、前作まで使われていた電子楽器が無くなり、全編アコースティックなサウンド。
 キッチリ作りこまれたアメリカンなフュージョンではなく、ナチュラルなサウンド。
 ちょうど1970年代からのフュージョン時代が終わった時期なのかもしれません。
 基本的にはピアノとのDuoを中心として、楽曲によって他の楽器が彩りを付けていく構成。
 ベースレスな事も含めて、終始柔らかなラテンビート。
 楽曲も本人オリジナルは一曲のみで、他はおそらくカリブ~南米のカバーが中心。
 ってな感じで、ここまでの作品とは少しイメージは異なります。
 といっても、カリビアンネイティブな感じまではいかず、洗練された現代のフュージョンの色合いはあるし、本人のオリジナル曲はいつもの都会的な哀感のメロディなのですが、それら含めて、自然さと洗練のほどよいバランス。
 フワフワしたパンの響きが、ほどよい感じで漂う浮遊感の強い演奏。
 キッチリしたフュージョンビートだと浮遊感が出にくかったもんね。
 終始明るく陽気なようで、その実、微かに感じる影のような哀感、あるいは郷愁感。
 メキシコ~カリブ以南の音楽には常にそんなものを感じるのだけども、私が知る限りのこの人のアルバムの中では、それが一番感じられるアルバムのように思います。
 そんな感じで明るく陽気な演奏と郷愁感が交錯するような音の流れ。
 最後にさり気なく収められたピアノとのDuoでのフワフワしたバラードなんて最高の心地よさ。
 ここまでのアメリカンなフュージョン作品、後の元気いっぱいのピアノトリオとの“Sakésho” (2002)、パンのオーケストラ中心の“The Passage” (2004)、“Tatoom” (2006) などもいいのですが、これぐらいナチュラルで音数が絞られている方が、私的には一番好み。
 20年近く前の作品ですが、逆に古くなっておらず、今の時代にもフィットするように思います。
 スチールパン入りのジャズ的アルバムとしては、この作品あたりが一番自然に聞けるのかな?
 そんなこんなで、このアルバムもこの季節の必需品。




posted by H.A.


【Disc Review】 “Down the Road” (1992) Andy Narell

“Down the Road” (1992) Andy Narell
Andy Narell (Steel Pan, Guitar, Bass, Keyboards, Percussion, Piano) 
Steve Erquiaga (Guitar) Keith Jones (Bass) Paul van Wageningen (Drums) Luis Conte (Congas, Drums, Percussion, Timbales) Karl Perazzo (Claves, Congas, Guiro, Percussion, Timbales) Judd Miller (Synthesizer Programming) 

Down the Road
Andy Narell
Windham Hill Records
1992-05-12


 スチールパン奏者Andy Narellのカリビアン・フュージョン。
 前作“Little Secrets” (1989)とメンバーも同様、安定のサウンド。
 例によって、哀愁漂うメロディ、都会的なジャズフュージョンサウンドと、ゆらめくパンの音の組み合わせ。
 少々抑制気味のムードも“Little Secrets”と変わりません。
 それが時代の音だったのかもしれませんし、響きが悲しげな表情にも聞こえるスチールパンが前面に出るフュージョンの場合、そう聞こえるのかもしれません。
 アルバムの前半はそんな相変わらずのフュージョンサウンドですが、後半はベース、ギター、ドラムなしで、現代的フュージョンとは一線を画した色合いが中心。
 パンとパーカッションだけでの演奏はフワフワした空気感がとてもいい感じ。
 淡いメロディと、少し遅れて立ち上がり、予想よりもわずかに早く消えゆく儚げなパンの音が映える構成。
 跳ねるベースでビートを決めて、複雑なブレイクを多用してアクセントをつけて、シンセサイザーで彩りを加えて・・・なんて現代的なフュージョンとパンとの組み合わせもいいのですが、このくらいナチュラルな方が、私的には好みでしょうかね。
 次作はフュージョン然としたサウンドとAOR的な色が入り混じる“The Long Time Band” (1995)。
 フュージョン然としたサウンドが好みに合わない方は、本作の後半か、次次作“Behind The Bridge” (1998)をどうぞ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Little Secrets” (1989) Andy Narell

“Little Secrets” (1989) Andy Narell
Andy Narell (Steel Pan, Steel Drums, Bass, Congas, Guitar, Keyboards, Piano)
Steve Erquiaga (Guitar) Keith Jones (Bass) Paul van Wageningen (Drums) Luis Conte, Karl Perazzo (Congas, Percussion)
Marc Baum (Alto, Tenor Sax) Bill Ortiz (Flugelhorn, Trumpet) Dan Reagan (Trombone) Kit Walker (Programming, Synthesizer)

Little Secrets
Andy Narell
Windham Hill Records
1989-09-25


 この季節の必需品、スチールパン奏者Andy Narellのカリビアン・フュージョン。
 このアルバムはスッキリ整ったフュージョンサウンド。
 タイトなドラムに、跳ねるベース、ギターのカッティングは、展開的な1980年代のフュージョンサウンドなのかもしれませんが、ちょっと沈んだ感じの落ち着いたムード。
 いつものギタートリオにリーダーのパンとキーボード。
 ラテンなパーカッションの控えめなサポートに、お洒落なホーン陣のアンサンブルが彩りを加える構成。
 ソウル~AOR華やかかかりし時代の音作りでしょうかね。
 デジタル臭はほとんどありませんが、オシャレなあの時代の香りはたっぷり。
 全体的な抑制された空気感も、あの時代の雰囲気なのかもしれませんが、よく思い出しません。
 “Winelight” (1980) Grover Washington Jr.、“Night-Birds” (1982) Shakatak、“Diamond Life” (1984) Sade とかが流行ったのは少々前だし、日本はバブルに絶頂期・・・
 ま、レーベルがあのWindham Hill Recordsだったりしますし、もちろん上記の諸作ほどまで売れ筋を狙っていたわけでもないでしょうし、それらとは全く雰囲気が違うのですが、さて・・・?
 とにもかくにも落ち着いたフュージョンサウンドと揺れるパンの音の組み合わせ。
 最後はパンのみの演奏での静かな音で消え入るようにエンディング、しかも長尺。
 これがとても心地よくて、いいなあ・・・
 次作は半分ぐらいがそんな感じの“Down the Road” (1992)。
 時代も少しづつ変わっていっているのでしょうが、よく思い出せないのが悲しいというか、何というか・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Sakésho” (2002) “We Want You To Say” (2005) Sakésho

“Sakésho” (2002) “We Want You To Say” (2005) Sakésho
Andy Narell (steelpan) Mario Canonge (piano) Michel Alibo (bass) Jean-Phillip Fanfant (drums)

Sakesho
Sakesho
Heads Up
アンディ ナレル
サケショー



 


 アメリカのスチールパン奏者Andy Narellと、カリブ出身、フランス在住のピアノトリオとのバンド。
 アコースティックなカリビアン・フュージョンといった面持ちの作品。
 いつものAndy Narellのアルバムだと洗練されたアメリカンな感じが強いのですが、このグループは少々ラフでダイナミックな感じでしょう。
 よく動くエレキベースとキレのあるにぎやかなドラムが作るラテンなビート。
 強烈な疾走感のピアノ。
 何気なく自然に繰り出されるラテンピアノの象徴、モントゥーノがカッコいい。
 強烈なグルーヴとこれでもかこれでもかとたたみかけてくるエキサイティング&スリリングな演奏。
 各人ともに凄い演奏力。
 これはピアノトリオだけでも凄いバンド。
 これだけのグルーヴと推進力を出せるバンドはそうそうないでしょう。
 Andy Narellも負けじとスティックの動きがいつもより速いかも。
 アコースティックピアノが中心となった背景な分だけ、Andy Narellのいつものリーダー作よりもジャズっぽい感じでしょう。
 メンバーが持ち寄ったオリジナル曲、Andy Narellはいつもの哀愁交じりですが、他は明るくて元気いっぱいなビートとメロディ。
 エアコンが効いたホテルのラウンジっぽいAndy Narellのフュージョン諸作に対して、炎天下な感じの熱いラテンジャズ。
 アルバム二作、どちらも同質、同レベル、とても心地よいカリビアン・ジャズ。




posted by H.A.
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