“Traces” (2015) Camila Meza

Camila Meza (voice, electric & acoustic guitar)

Shai Maestro (piano, rhodes, wurlitzer, mellotron, pump organ, ampli-celeste) Matt Penman (bass) Kendrick Scott (drums) 

Bashiri Johnson (percussion) Jody Redhage (cello) Sachal Vasandani (voice)
 

Traces
Camila Meza
Sunnyside
2016-02-26


 チリのボーカル&ギタリストのジャジーポップス?、コンテンポラリージャズボーカル?。

 おそらくジャズ畑の人だと思うのですが、このアルバムはSSW(シンガー・ソング・ライター)なんて呼び方が今風でピッタリとくるのかもしれません。

 ガットギターで弾き語る女性はたくさんいるのでしょうが、この人の主力はエレキギター。

 それもクリーントーンのジャジーなギター。

 さらに柔らかいビート感と浮遊感のあるサウンドは、典型的なカッコいいブラジリアンフュージョンな音。

 ま、南米フュージョンの方が適当な形容なのでしょう。

 基本的にはピアノトリオとギターのカルテットに自身のボーカルが乗ってくる形なのですが、このピアノトリオが凄い。

 今をときめくニューヨークコンテンポラリージャズのファーストコールの面々。

 さりげなく軽やかなビートのようで、縦横無尽にスネアがパシパシ入るKendrick Scottのドラム、ちょっとした音がタダモノではない感十分のShai Maestroのピアノ。

 穏やかで上品、柔らかなグルーヴ。

 そんな音を背景にしたボーカルは透明度が高い可憐系。

 ジャズボーカルというよりもポップス然としてはいますが、ナチュラルな感じは多くの人に受けるタイプでしょう。

 ボーカルvsギターの配分は7:3ってところでしょうか。

 そんなバランスで忘れたころに登場する?エレキギターがカッコいい。

 艶のあるクリーントーンですが、Pat MethenyでもToninho Hortaでもなく、もっとジャズ寄り。

 が、ブルージー成分は少なくて、考え抜かれたと思われるメロディアスなフレージング。

 巧拙が気にならない個性的なギター。

 さらに、あのGeorge Benson風スキャットが並走します。

 これはカッコいい。

 楽曲はオリジナルに加えて、チリのスタンダード?にDjavanなどなど。

 これもポップス然としていますが、コンテンポラリージャズな感じがするのはバンドの演奏力ゆえでしょう。

 柔らかくて爽やかでノリがよくてポップなうえに、ハイレベルにジャジー。

 とにもかくにも気持ちいい音。

 今の季節にピッタリ。





 posted by H.A.