“Traces” (2015) Camila Meza
Camila Meza (voice, electric & acoustic guitar)
Shai Maestro (piano, rhodes, wurlitzer, mellotron, pump organ, ampli-celeste) Matt Penman (bass) Kendrick Scott (drums)
Bashiri Johnson (percussion) Jody Redhage (cello) Sachal Vasandani (voice)
チリのボーカル&ギタリストのジャジーポップス?、コンテンポラリージャズボーカル?。
おそらくジャズ畑の人だと思うのですが、このアルバムはSSW(シンガー・ソング・ライター)なんて呼び方が今風でピッタリとくるのかもしれません。
ガットギターで弾き語る女性はたくさんいるのでしょうが、この人の主力はエレキギター。
それもクリーントーンのジャジーなギター。
さらに柔らかいビート感と浮遊感のあるサウンドは、典型的なカッコいいブラジリアンフュージョンな音。
ま、南米フュージョンの方が適当な形容なのでしょう。
基本的にはピアノトリオとギターのカルテットに自身のボーカルが乗ってくる形なのですが、このピアノトリオが凄い。
今をときめくニューヨークコンテンポラリージャズのファーストコールの面々。
さりげなく軽やかなビートのようで、縦横無尽にスネアがパシパシ入るKendrick Scottのドラム、ちょっとした音がタダモノではない感十分のShai Maestroのピアノ。
穏やかで上品、柔らかなグルーヴ。
そんな音を背景にしたボーカルは透明度が高い可憐系。
ジャズボーカルというよりもポップス然としてはいますが、ナチュラルな感じは多くの人に受けるタイプでしょう。
ボーカルvsギターの配分は7:3ってところでしょうか。
そんなバランスで忘れたころに登場する?エレキギターがカッコいい。
艶のあるクリーントーンですが、Pat MethenyでもToninho Hortaでもなく、もっとジャズ寄り。
が、ブルージー成分は少なくて、考え抜かれたと思われるメロディアスなフレージング。
巧拙が気にならない個性的なギター。
さらに、あのGeorge Benson風スキャットが並走します。
これはカッコいい。
楽曲はオリジナルに加えて、チリのスタンダード?にDjavanなどなど。
これもポップス然としていますが、コンテンポラリージャズな感じがするのはバンドの演奏力ゆえでしょう。
柔らかくて爽やかでノリがよくてポップなうえに、ハイレベルにジャジー。
とにもかくにも気持ちいい音。
今の季節にピッタリ。
posted by H.A.