吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Brazilian

【Disc Review】“Up and Coming” (2016) John Abercrombie

“Up and Coming” (2016) John Abercrombie
John Abercrombie (guitar)
Marc Copland (piano) Drew Gress (bass) Joey Baron (drums)

Up and Coming
John Abercrombie
Ecm Records
2017-01-13


 John Abercrombie、オーソドックスな編成でのギターカルテット作品。
 “39 Steps” (2013)と同じメンバー、同じくオーソドックスな色合いの強いジャズ作品ではありますが、さらに幽玄な感じが増した感じでしょう。
 シャキッとしたジャズバンドに、どこか遠い所から聞こえてくるような、空間に漂い、気がつけば消え入りそうになるようなギター。
 1970年代からのグニョグニョウネウネした過激な演奏は“The Third Quartet”(Jun.2006)あたりが最後でしょうか?
 以降、フリーな演奏は多々あれど、枯れた味わいも含めて穏やかなムード。
 過激なMark Feldmanとの最後の共演作“Wait Till You See Her”(2008)も過激さが薄らぎ、淡くて穏やかな音。
 さらに近作はオーソドックスな雰囲気のジャズ中心、本作もそんな一作。
 ソリッドギター?の固めで細めの音、エフェクティングもほとんど使っていない感じでしょう。
 1970-80年代もジャズスタンダードを演奏することはありましたが、音作り、フレージング含めて殺気立った雰囲気がありましたが、この期はとても静かで穏やか。
 Marc Coplandと楽曲を分け合い、淡々としたジャズが続きます。
 他の人とちょっと違うのが、ギターが前面に出る場面の沈んだ空気感。
 奇をてらったところがあるわけではないのに、なんだか不思議です。
 ギターが引いてピアノトリオになると、急に空気が軽く明るくなるのも不思議なバランス。
 ピリピリしていたかつての殺気が別の何かに変わったものの、あの緊張感は残っている、ってな感じでしょうか。
 冒頭のルバートでのスローバラードを含めて、“39 Steps” (2013)に比べると、漂うような音の流れの場面が多く、現在のとても静かなJohn Abercrombieの音が映える演奏が続きます。
 終盤に納められたあの“Nardis”も、幽玄で枯れたムードの不思議な味わい。
 ここでのギターも沈んでいます。
 かつての音とは全く印象は異なりますが、やはり御歳おいくつになっても不思議感たっぷり、普通には収まらない御大の特別な音、でしょう。





(Mar, 1974) “Timeless”  
(Mar, 1975) “Gateway” 
(Mar, 1975) “Cloud Dance” Collin Walcott 
(Jun, 1975) “The Pilgrim and the Stars” Enrico Rava 
(Feb, 1976) “Untitled” “Pictures” Jack DeJohnette 
(May, 1976) “Sargasso Sea” with Ralph Towner 
(Aug, 1976) ”The Plot” Enrico Rava 
(Feb, 1977) “Grazing Dreams” Collin Walcott 
(May, 1977) “New Rags” Jack DeJohnette 
(July, 1977) “Gateway 2” 
(July, 1977) “Deer Wan”  
(Nov, 1977) “Characters”  
(Jun, 1978) “New Directions” Jack DeJohnette 
(Dec, 1978) “Arcade” 
(Jun, 1979) “New Directions in Europe” Jack DeJohnette 
(Nov, 1979) “John Abercrombie Quartet” 
(Nov, 1980) “M” 
(Dec, 1980) “Eventyr” Jan Garbarek 
(1981)    “Five Years Later” with Ralph Towner
     :
(1984)    “Night” 
(1985)    “Current Events” 
(1987)    “Getting There” 
(1988)    “John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine
(1989)    “Animato” 
     :
(1990)   “Music For Large & Small Ensembles” Kenny Wheeler" 
(Feb.1990) “The Widow In The Window” Kenny Wheeler
     :
(Jun.1992) “While We're Young” 
(Nov.1992) “November” 
(Apl.1993) “Farewell” 
(Jun.1993) “Afro Blue” The Lonnie Smith Trio 
(Jul.1993)  “Speak of the Devil” 
(Mar.1994) ”Purple Haze”、”Foxy Lady” The Lonnie Smith Trio
(Dec.1994) “Homecoming” Gateway 
(Dec.1995) “In The Moment” Gateway 
(1996)   “Tactics” 
(Sep.1998) “Open Land” 
(May.1998) “Voice in the Night” Charles Lloyd 
(Oct.1998) “The Hudson Project” John Abercrombie/ Peter Erskine/ Bob Mintzer/ John Patitucci ‎
(Dec.1999) “The Water is Wide”, “Hyperion With Higgins” Charles Lloyd 
(Dec.2000) “Cat 'N' Mouse” 
(2002)   “Lift Every Voice” Charles Lloyd 
(2003)   “Class Trip” 
(Mar.2006) “Structures” 
(Jun.2006) “The Third Quartet” 
(Sep.2007) “Brewster's Rooster” John Surman 
(2008)   “Wait Till You See Her” 
(2011)   “Within a Song” 
(2013)   “39 Steps
(2016)   “Up and Coming”  


 posted by H.A.

【Disc Review】“Garra” (2015) Dani & Debora Gurgel Quarteto

“Garra” (2015) Dani & Debora Gurgel Quarteto
Dani Gurgel (vocal) Debora Gurgel (piano) Sidiel Vieira (bass) Thiago Rabello (drums)
Romero Lubambo (guitar)

GARRA
Dani & Debora Gurgel Quarteto
Rambling RECORD
2015-08-26


 ジャジーMPBのDani & Debora Gurgelバンドの第三作。
 “UM” (2013)はフルアコースティック、前作“LUZ” (2014)は一部でエレピ、エレキベースを導入しペースを変えていましたが、本作はギターがゲスト参加。
 もちろん全体の質感は変わらない、明るくファンキーなブラジアリアンコンテンポラリージャズ的ボーカルアルバムなのですが、少しずつ変化をつけようしているのかもしれません。
 いきなり怒涛のスキャットがフィーチャーされる曲の連発。
 作品が新しくなるにつれ、段々と跳びはね方に拍車がかかってきたと感じるのは気のせいでしょうか?
 これでもかこれでもかのスキャットと、それに寄り添い、一緒に突っ走るバンド。
 本作ではエレキベースが使われていないのが残念ですが、バンド全体が洗練されてきた感もあり、ブラジリアン・アコースティック・ファンク・ジャズに徹するのもいいのかもしれません。
 ドラムの音も、善し悪しはさておき、普通っぽくなったもんね。
 ギターが二曲にゲスト参加しているのもチェンジオブペース。
 いかにもショーロ~ボッサなブラジル音楽、その洗練されたモード。
 ブレークと切り返しがキッチリ作り込まれたアレンジに、グルーヴィーなビート、完璧な演奏、さらに洗練。
 そのうえで自在に踊るスキャット・・・
 ここまではあまり目立たなかった、しっとり系の楽曲もいくつか交えつつ、バンドサウンドとして完成しましたかね。
 演奏力、独特のバンドサウンドを備えた完璧なバンド。
 最後にさり気なく納められたEgberto_Gismontiナンバー”Loro”は、ドラムとスキャットの激しいインタープレーから、いかにもこのバンドな明るく元気なコンテンポラリージャズ。
 縦横無尽なスキャットを含めて強烈にテクニカルな演奏なのですが、Gismontiさんのある種の気難しさがなくなり、あっけらかんと明るい音。
 それがこの人、このバンドの最大の魅力なのでしょうね。たぶん。

 


posted by H.A.

【Disc Review】“Luz” (2014) Dani & Debora Gurgel Quarteto

“Luz” (2014) Dani & Debora Gurgel Quarteto
Dani Gurgel (vocal) Debora Gurgel (piano, Fender Rhodes) Sidiel Vieira (bass) Thiago Rabello (drums)
 
Luz-光
Dani & Debora Gurgel Quarteto
Rambling RECORDS
2014-08-27


 Dani Gurgel, Debora Gurgel母娘率いるバンドのブラジリアンジャズ~MPB作品、グループでの第二弾。
 アコースティック一色だった全作“UM” (2013)に対して、本作では一部の曲でエレピ、エレキベースが使われていますが、それがカッコいい。
 冒頭から複雑なファンクビートと、あちこちに飛び回るスキャットボイス。
 スネアがうるさいぐらいにビシバシきます。
 ここまでは“UM” (2013)と同じ。
 二曲目のしっとり系の曲になってもそのイメージは変わりません。
 が、三曲目からちょっと様相が変わります。
 エレキベースにエレピ。
 ドラムがおとなしいと思っても、代わりにエレキベースが動きまくり、跳ねまくり。
 前作“UM” (2013)ではウッドベースで通していましたが、この人のエレキベースがカッコいい。
 前任者もそうでしたが、この人も普通の人とは一味違う頭抜けたファンク&グルーヴ。
 同じく何曲かで使われるエレピもフワフワしていてなんだかとてもいい感じ。
 左右のチャンネルに揺れ動くローズなんて久しぶりに・・・
 その線で進めて行ってもよさそうに思うカッコよさだけども、本作では三曲のみ。
 ま、贅沢は言えませんが・・・
 メンバーのオリジナル曲を中心として、Elis ReginaナンバーにToninho Horta、Stingを各一曲。
 ノリノリなロックのPoliceナンバー”Every little thing she does is magic”は、ノリノリのブラジリアンファンクに様変わり。
 気付いていませんでしたが、Elis Reginaのバンドを現代風にするとこんな感じになるんでしょうねえ。
 明るくて元気いっぱいのグルーヴに、こちらはちょっとしっとり系のボイス。
 人気があるのもさもありなん。




posted by H.A.


【Disc Review】 “UM” (2013) Dani & Debora Gurgel Quarteto

“UM” (2013) Dani & Debora Gurgel Quarteto
Dani Gurgel (vocal) Debora Gurgel (piano) Sidiel Vieira (bass) Thiago Rabello (drums)
 
Um
Dani & Debora Gurgel Quarteto
CD Baby
2013-09-15


 Dani Gurgel, Debora Gurgel母娘率いるバンドのブラジリアンジャズ~MPB、第一弾。
 っても元々Dani Gurgel名義で“Nosso” (2008)、“Agora” (2010)、“Viadutos” (2011)を制作したコアメンバーでシンプルなピアノトリオ+ボイスになっただけなのですが、音楽のムードは少し違います。
 ポップス然としたMPB作品とは違う、気合の入ったコンテンポラリージャズな音、ボイスは怒涛のようなスキャット中心。
 ここまでの作品では多用されてきたエレピ、エレベを封印し、アコースティックのみ。
 このピアノトリオがカッコいい。
 いかにもブラジルの母然としたルックスからは想像できないダイナミックかつ繊細なピアノ。
 知らなければ若手の男性?・・・、にしては少し音が丸いか?・・・ってな感じの力強くグルーヴィーな音。
 たぶんクラシックに造詣が深く、ブルージーなジャズはあまりやっていない感じ、ヨーロッパの人をもっと明るく豪快にした感じでしょうか。
 さらにロックなのかジャズなのかブラジルなのかよくわからない、意外なところにバシバシとスネアが入るドラム。
 録音のレベルが少々高めなのは、プロデューサーだからなのか、Dani Gurgelの夫君だからなのか・・・
 それに加えて、動きまくるベース。
 本作から参加のこの人、“Agora” (2010)などの前任者と同様、エレキベースもカッコいいのだけども、本作ではウッドベース一本。
 相対的にはしっとりとした感じにはなっていますが、それでももちろん強烈にグルーヴィー。
 そんなブラジル最高?のアコースティックジャズバンドを背景にしてボイスが跳ねまくり。
 冒頭からちょっと変わった強いリズムに跳びまくるスキャット。
 透明度の高い可憐系のボイスのはずなのですが、激しくアップダウンしながらこれでもかこれでもかと畳みかけるようなボイス。
 歌詞が付いているのは半数ぐらいで、それはそれでいいのですが、楽器のようなボイスインプロビゼーションの方が印象に残ります。
 ユニゾンでバンドと一緒に突っ走り、ブレイクからピアノのソロが立ち上がる場面がカッコいい。
 ブレークから立ち上がりの切り返しの躍動感がDebora さん得意のアレンジでもあるのでしょう。
 Dani Gurgel名義の諸作はもっとオーソドックスに歌詞を歌っていたように思いますが、ボイスをバンドの中の一つの楽器と考えてやっていこう、ってな感じなのかもしれません。
 かつて共演していた同じくブラジリアンTatiana Parraと同世代の仲間なのでしょう。
 似た感じの空気、もっと元気に明るく、カジュアルな雰囲気にした感じでしょうか。
 楽曲はDani & Deboraのオリジナル曲に加えて、Hermeto PascoalJoão Boscoを一曲づつ。
 全編通じてハイテンションでノリまくり。
 明るくて元気いっぱい。
 陰影?郷愁感?
 ま、それはまたどこかで・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Nosso” (2008) Dani Gurgel

“Nosso” (2008) Dani Gurgel
Dani Gurgel (voice)
Debora Gurgel (Piano, Rhodes) Michi Ruzitschka (acoustic, electric guitar) Daniel Amorin (acoustic, electric bass) Thiago Rabello (drums) André Kurchal (percussion)
Luiz Rabello (percussion) Ricardo Barros, Tatiana Parra (voice) and others

Nosso
Dani Gurgel
CD Baby
2008-11-03


 ブラジル、ジャジーMPBのDani Gurgel の2008年作品。
 これがデビュー作?かもしれません。
 母上のピアノを中心としたトリオにギター、パーカッションが入った編成。
 Dani Gurgelの可憐でナチュラルなボイスはこの頃から。
 それに加えてカッコいいのがバンドの現代的ジャズのグルーヴィーな音。
 アメリカ系のバンドと比べて柔らかでしなやかなビート、微妙にニュアンス、グルーヴの感じが違うように思います。
 Joyceの背景を固める夫君を中心としたジャズバンド、あるいは“Encounter” (1976、1977) Flora PurimなどAirtoHermeto Pascoalあたりが主導するバンドに共通する質感のように思います。
 おっと、本作含めていずれもドラマーとボーカリストの夫婦ですね。
 それはさておき、アメリカ系と何が違うのか、いまだにわかりませんが、体に染みついたビート感が何か違うのでしょうね?
 グルーヴィーなピアノに、ビシバシなドラム、動きまくるベースの完璧なピアノトリオ。
 ジャズなギターも手練れていて、最も好みのブラジリアンミュージックのバンド編成。
 ベーシストのノリが凄い、特にエレキベース。
 “UM” (2013) Dani & Debora Gurgel Quarteto以降の後任Sidiel Vieiraもカッコいいけど、それに輪をかけてグルーヴィー。
 この人も時代が違えばWeather ReportHerbie Hancockバンド、はたまたMiles Davisバンドに呼ばれそうな凄いリズムと音使い。
 完璧なジャズ~ファンクバンドです。
 その上に乗ってくる可憐なボイス。
 後の作品で聞かれる怒涛のスキャットはここでは強調されず、素直で繊細な歌声。
 楽曲はGurgel母娘のオリジナル曲に加えてゲストの若手?の楽曲。
 Tatiana Parra以外の名前は知らない人たちですが、サンバ、ボッサその他諸々、いい曲が揃っています。
 明るく前向き、郷愁感が漂うキャッチーなメロディ、可憐な歌声、しなやかなブラジリアングルーヴ、明るいけど能天気ではない空気感・・・などなど、現代のMPBのかっこよさが集まったような出来具合。
 後の作品のピアノトリオと怒涛のようなスキャットの方が希少でクリエイティブなサウンドなのかもしれないけども、私的には柔らかく聞こえ、湿り気成分が少々強い、こちらのオーソドックスなサウンドの方が好みでしょうかね。
 ガットギターはもちろん、ときおり登場するクリーントーンのエレキギターが涼し気で気持ちいいもんね。
 次作“Agora” (2010)も本作と同じメンバーにゲストを迎え、同質なグルーヴィーなジャジーMPB。
 こちらもカッコいい、というか、この人の作品、ハズレなし。
 全部は聞けていないけど、これが一番いいんじゃないかなあ?




posted by H.A.


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