吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Bobo_Stenson

【Disc Review】“Rica” (2001) Parish

“Rica” (2001) Parish
Thomas Stronen (Percussion) Mats Eilertsen (bass) Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) 

Rica
Parish
Imports
2008-05-06


  ノルウェーのドラマー、ベーシスト、スウェーデンのピアニスト、サックスの北欧混成バンド、ライブ録音。
 Bobo Stensonはもとより、今やECM御用達の面々、同じ編成でECM作品“Parish” (2004) Thomas Stronenがありますが、本作はそれよりも少々前、オランダのレーベルから、少々普通のジャズ寄りの演奏。
 編成こそオーソドックスなサックスカルテット、インプロビゼーションのスペースはたっぷりありますが、サックスが前面に出るわけでなく、アンサンブルが中心。
 いかにもな北欧的コンテンポラリージャズの音かもしれません。
 誰がリーダーといったわけではないのでしょうが、さすがに歳の功、静かな空間に響くとても美しいBobo Stensonのピアノが映える音作り。
 抽象的でフリーな演奏も少々混ざりつつもその場面は多くはありません。
 Charlie Haden風のベースソロから始まり、タイトル”Mon Cherry”からすればDon CherryかOrnette Colemanトリビュート、”Lonely Woman”な感じからスタート。
 Bobo Stenson絡みの“Dona Nostra” (1993) Don Cherryなんて名作を想像してしまいますが、もう少しジャズ寄りでしょう。
 さらにはSam Riversなんて通好みの人の楽曲。
 これまたちょっとひねくれていながらもジャジーな演奏。
 その他含めて全編淡い色合い、静かで思索的な展開が続きます。
 後のECM作品“Parish” (2004) Thomas Stronenほど抽象度は高くなく、"Rubicon" (2015) Mats Eilertsenのように郷愁感が前面に出るわけではありません。
 やはり大御所Bobo Stensonのとんがったジャズの色合いが強いのでしょうかね?
 Bobo Stensonとしては“Live At Visiones” (1997) Lars DanielssonでLars Danielsson、Dave Liebmanとのコラボが終了し、ECMで“Serenity” (1999)などのトリオ諸作を作っている時期。
 何かしら新しい音を探している時期だったのかもしれません。
 が、最後はBill Evansの“Very Early”、17分を超えるフワフワと漂うような美しいジャズ演奏。
 やはりBobo Stensonかあ・・・?

※後の“Parish” (2004) Thomas Stronenから、唯一ジャズっぽい演奏。


 posted by H.A.


【Disc Review】“Indicum” (2011) Bobo Stenson

“Indicum” (2011) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Indicum
Bobo Trio Stenson
Ecm Records
2012-11-06
ボボ ステンソン

 スウェーデンのベテラン、ECMレーベルの看板ピアニストBobo Stensonの2011年盤。
 この人のアルバム、たくさんありますが、どれも美しく深い、いい作品で、どれを選んでも失敗ありません。
 一方、ピアノトリオばかりなので、どれも同じような感じであることも否めません。
 ECMレーベル、同じリーダーでもアルバム1-2枚でメンバーや編成を変えて変化をつけ、それが結構成功していると思うのですが、この人の場合は常にトリオ。たまにドラマーが変わるだけ。
 ベースのAnders Jorminは20年近く不動。
 結果的に音楽の質感はよくも悪くも大きくは変わりません。
 とはいえ、かつてと聞き比べてみると多少の変化。
 少し前にドラマーが若手に代わっているので元気になるかと思いきや、逆に落ち着きが増してきているように思います。
 楽曲は相変わらず美しいのですが、かつてはよく聞かれた長尺のアグレッシブなインプロビゼーションが影をひそめ、淡々とした雰囲気が全編に。
 得意の高速なフレーズは随所に聞かれますが、録音も手伝ってか少々軽い質感。
 得意のアップテンポでの凄まじいまでのアグレッシブな演奏と、止まりそうになりながらタメを十二分に効かせるスローバラードとの明確な対比もあまり聞かれません。
 でもこれが一つの成熟の形なのでしょうね。
 落ち着いた質感。肩の力が抜けた、余裕を感じる穏やかな演奏。
 美しく優しい楽曲。
 美しくも妖しいピアノ、深いベース。
 緩やかなグルーブ感と饒舌過ぎないインプロビゼーション。
 なんだかんだ言っても素晴らしいアルバム。

(※この投稿は2014/05/30から移動しました。)



 リーダー作は少なく、それもトリオのみ。 サポート参加はたくさん。
 曲者のサポートが多いのですが、私が知る限り、多くがいい作品。他にもたくさんあるのでしょう。 
 1970年代前半、Keith Jarrettと並んで?ECM期待の若手だったころ、1980年代のスウェーデン時代、ECM直後まではハイテンション系、“War Orphans” (1997)あたりから、透明感と美しさはそのまま、淡い色合いに変わってきているように思います。
 人脈も素晴らしいので、もっといろんな色合いのオリジナルアルバムを作ってほしかったところ。 
 作曲をあまりしない人ですが、初期の“Underwear” (1971)が素晴らしい出来だっただけに残念なような・・・

(1969) “One Long String” Red Mitchell 
(1971) “Listen to the Silence” George Russell
(1971) “
Underwear” 
(1971) “Terje Rypdal” Terje Rypdal 
(1971) “Sart” Jan Garbarek 
(1973) “Witchi-Tai-To” with Jan Garbarek 
(1975) “Dansere” with Jan Garbarek 
(1983) “The Sounds Around the House” 
(1984) “Nordic Lights” Anders Jormin 
(1986) “Very Early” 
(1986) “New Hands” Lars Danielsson 
(1989) “Fish Out of Water” Charles Lloyd 
(1991) “Notes from Big Sur” Charles Lloyd 
(1991) “Poems” Lars Danielsson 
(1993) “Dona Nostra” Don Cherry 
(1993) “The Call” Charles Lloyd 
(1993) “Bosonossa and Other Ballads” Tomasz Stanko 
(1993) “Reflections” 
(1994) “Matka Joanna” Tomasz Stanko 
(1994) “Far North” Lars Danielsson 
(1994) “All My Relations” Charles Lloyd 
(1996) “Leosia” Tomasz Stanko 
(1996) “Canto” Charles Lloyd 
(1997) “Litania:Music of Krzysztof Komeda” Tomasz Stanko 
(1997) “Live At Visiones” Lars Danielsson 
(1997) “War Orphans” 
(1999) “Serenity” 
(2005) “Goodbye” 
(2007) “Cantando” 
(2012) “Indicum

posted by H.A.

【Disc Review】“Cantando” (2007) Bobo Stenson

“Cantando” (2007) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Cantando (Ocrd)
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、若手ドラマーを迎えた新トリオでのアルバム。
 本作も前作“Goodbye” (2005)同様、強い浮遊感、かつメロディアスな静音ジャズ。
 ドラマーが変わっても、ビートを作るのはAnders Jormin。ドラムは自由にアクセントを加えていくスタイル。
 Bobo Stenson、Anders Jorminコンビのスタイルなのでしょう。
 本作も多彩な楽曲群。
 いつものOrnette Colemanに加えてDon Cherry、クラシック曲、さらにはAstor Piazzollaまで。
 前作にも増してメロディアスな楽曲揃い。
 本作では、フリーインプロビゼーションのイメージではなく、テーマ~インプロビゼーションのオーソドックスなジャズのスタイルが目立ちます。
 何曲もカバーしているキューバのSilvio Rodríguezの哀愁曲からスタート。
 美しいメロディの芯の周辺を漂うような、絡みつくような美しいピアノ。
 バンドの浮遊感は前作同様、インプロビゼーションのまとまりは本作の方が上かもしれません。
 スローテンポではたっぷりとしたタメを効かせて漂うような音、穏やかな高揚感。
 テンポが上がれば強烈な加速感、疾走感。 時折のスケールアウトが醸し出す妖しいムード。
 一部に長尺なフリーインプロビゼーションもありますが、あくまで静かな演奏。
 オーソドックスではないにせよ、抽象度の高い演奏が減少し、聞きやすくもなっているように思います。
 名作です。
 静音系、浮遊感系のBobo Stensonならば、本作がイチオシかもしれません。




posted by H.A.

【Disc Review】“Goodbye” (2005) Bobo Stenson

“Goodbye” (2005) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Paul Motian (drums)

Goodbye
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、ドラムに大御所Paul Motianを迎えた新トリオでのアルバム。
 漂うようなフリーテンポでのバラードがこの時期の真骨頂のPaul Motian。
 前任のJon Christensenもその類の演奏が苦手ではないタイプだと思いますが、もっと繊細。
 想像通りの音、漂うような静音ジャズ。
 スタンダード曲、アルゼンチン曲、オリジナル曲など含めて、メロディアスな楽曲。
 曲を演奏するというよりも、それらを題材にした静かなフリーインプロビゼーションのイメージが強い演奏。
 冒頭から超スローテンポ、ルバートでのバラード。
 美しいメロディ、コードの断片が微かに現れたり消えたりする展開。
 メロディの芯の周辺を浮遊するような美しいピアノの音。
 ピアノの周囲を舞い散るようなシンバル。
 漂うビートを前に進め、勢いをつけるベース、静かな空間に響く低い胴鳴り・・・ そんな演奏が続きます。
 名作“Storyteller” (2003) Marilyn Crispellのように全編がルバートではありません。
 ビートが効いた演奏もありますが、あくまで静かなグルーヴ。
 別のタイプの凄み。
 また、”Underwear” (1971) 、あるいは“Reflections” (1993)の様にテンションが高くもなければ、“Fish Out of Water”(1989)Charles Lloydのように音楽の輪郭が明確な演奏でもありません。
 が、豊かさはそれらの名作と同等。
 後半に抽象度の高い変奏もありますが、全体を眺めれば、静かで、穏やか。妖しくて、美しい、ピアノトリオの佳作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Serenity” (1999) Bobo Stenson

“Serenity” (1999) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Christensen (drums)

Serenity
Bobo Stenson
ECM
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、スタジオ録音諸作と同じメンバーでのライブ録音。
 ライブでも熱は上がりません。
 全編静謐で淡々とした演奏。
 長尺なインプロビゼーションではなく、短い曲での組曲的な構成が中心。
 緊張感を強いるタイプのトリオではないはずなのですが、本作は少し様子が異なります。
 抽象的なメロディ、自由な場面が増加し、不思議感も強。 緊張感と不安感を増長するような音使いが多い印象。
 この辺りで好みは分かれるのでしょう。
 もちろんピアノはいつもの美しい音、こぼれ落ちるような繊細な音使い。
 ベースもいつもにも増して動きの多い静かなグルーヴ。
 二枚組、二枚目に移ると少し緊張感が和らぎます。
 このバンドがよくカバーするキューバのSilvio Rodríguezの哀愁曲からスタート。
 漂うような美しいバラード演奏。
 さらにこれまた漂うようなBobo Stensonのオリジナルバラードが続きます。
 インプロビゼーションに移ると再度不思議な緊張感・・・
 ライブアルバムらしく最後はやっとアップテンポで締めますが、それにしても不思議系。
 全体を眺めるとやはり抽象的で不思議な音楽、集中して聞くと緊張感が強いられる音。
 その間々にちりばめられた美しいメロディが印象に強く残る構成。
 タイトルの意は「静けさ」。
 さまざまな形の静寂を表現しようとしているのかもしれません。
 穏やかであったり、不安であったり・・・
 そんなことを考えてしまう、深くて複雑で不思議なアルバム。




posted by H.A.
Profile
記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ