吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Bobo_Stenson

【Disc Review】“Contra La Indecision” (2017) Bobo Stenson

“Contra La Indecision” (2017) Bobo Stenson

Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Falt (drum)

Contra La Indecision
Bobo -Trio- Stenson
Ecm Records
2018-01-19


 スウェーデンの大御所ピアニストのトリオ作品。
 “Indicum” (2011)から久々のアルバム。
 メンバーは変更なく、音のイメージも同様のバラード集。
 静かだった前作よりもさらに静かで淡々としたイメージかもしれません。
 本作のアルバムタイトルはこれまでの作品でもよく取り上げていたキューバの楽曲。
 Bobo Stensonのオリジナル曲は一曲、盟友Anders Jorminが5曲、Bela BartokにErik Satieなどのクラシック曲、とても切ないスペイン曲。
 深く沈み込みながら静かなグルーヴを作るベースに、自由に動くドラム、漂うような美しいビアノ。
 しばしば現れるルバートでのスローバラード、ときおりの疾走・・・
 このバンドのいつものコンビネーション。
 Anders Jorminのいつになく饒舌なベースに、終始穏やかなピアノ。
 いまや“Underwear” (1971)の頃のKeith Jarrettを凌駕するような、あるいは血の出るようなハイテンションな演奏はありません。
 穏やかで漂うような近年のBobo Stensonの、あるいは近年のECMの色合い。
 静かに舞い落ちてくる雪のようなピアノ。
 とても淡くて穏やか。
 全編を覆うそこはかとない寂寥感。
 そんな静かなジャズ。

※近年の演奏から。



 Bobo Stenson参加作品、私が知る限り。

(1969)  “One Long String” Red Mitchell 
(1971)  “Listen to the Silence” George Russell 
(1971) “
Underwear” 
(1971)  “Terje Rypdal” Terje Rypdal 
(1971)  “Sart” Jan Garbarek 
(1973) “Witchi-Tai-To” with Jan Garbarek 
(1975) “Dansere” with Jan Garbarek 
(1983)  “The Sounds Around the House” 
(1984)  “Nordic Lights” Anders Jormin 
(1986) “Very Early” 
(1986)  “New Hands” Lars Danielsson 
(1989)  “Fish Out of Water” Charles Lloyd 
(1991)  “Notes from Big Sur” Charles Lloyd 
(1991)  “Poems” Lars Danielsson 
(1993)  “Dona Nostra” Don Cherry 
(1993)  “The Call” Charles Lloyd 
(1993)  “Bosonossa and Other Ballads” Tomasz Stanko 
(1993) “Reflections” 
(1994)  “Matka Joanna” Tomasz Stanko 
(1994)  “Far North” Lars Danielsson 
(1994)  “All My Relations” Charles Lloyd 
(1996)  “Leosia” Tomasz Stanko 
(1996)  “Canto” Charles Lloyd 
(1997)  “Litania:Music of Krzysztof Komeda” Tomasz Stanko 
(1997)  “Live At Visiones” Lars Danielsson 
(1997) “War Orphans” 
(1999) “Serenity” 
(2001)  “Rica” Parish
(2003) “Bobo Stenson/Lennart Aberg”
(2004)  “Parish” Thomas Stronen
(2005) “Goodbye” 
(2007) “Cantando” 
(2011) “Indicum
(2017) “Contra La Indecision

posted by H.A.

【Disc Review】“Parish” (2004) Thomas Stronen

“Parish” (2004) Thomas Stronen
Thomas Stronen (Percussion) 
Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) Mats Eilertsen (bass)

Parish (Slip)
Thomas Stronen
Ecm Records
2006-03-14





 ノルウェーのドラマーThomas Stronenのリーダー作。
 “Rica” (2001) Parishと同じメンバー、北欧コンテンポラリージャズカルテットですが、そちらのOrnette Coleman色、Bobo Stenson色、あるいはMats Eilertsen色に対して、本作はかなり印象が異なります。
 集団でのインプロビゼーションを中心とした静音フリージャズな作品。
 素直なカルテット、あるいはトリオでの演奏はなく、パーカッションを中心として、メンバーが入れ替わり立ち替わりしながら展開していくスタイル。
 “Rica” (2001)の淡い色合い、静かな音の流れはそのままに、定常なビート、聞き慣れたメロディ的な要素がなくなり、抽象度が高く、先の読めない展開が中心。
 ECM移籍第一作は往々にしてフリーインプロビゼーション中心になるケースが見受けられますが、変幻自在のパーカッショニストThomas Stronen のそれとして見るのであれば、いかにもな色合いなのでしょう。
 いきなり応用編からぶつけられる感じで、聞く側からすればなかなか取っつきにくいことも否めないのですが、そのアーティストの色合いを洗い出すにはいい方法なのかもしれません。
 結果としては、ECMならではの静かで硬質でひんやりとした音、先の展開予測不可能、変幻自在の北欧ジャズ。
 全体をリードするなかなか定常なビートを出さないパーカッションに美しいピアノ、静かながらクダを巻く系のサックスが絡み合いつつ流れていく時間。
 多くが不思議系、出口の見えない迷宮系。
 が、キツイ感じのフリージャズではありません。
 Bobo Stensonのピアノが相変わらず美しい。
 さらに、中盤以降に納められた何曲かのリーダーのオリジナル曲は、哀愁が漂うハードボイルドなメロディ。
 強烈な浮遊感が心地よいルバート的なスローバラードもあります。
 それらをCD前半にもってくるともっと人気作になるんじゃないかなあ・・・とか思ったりもしますが・・・
 そんなアクセントを含めて、淡い感じが心地よいととらえるか、あるいは先の読めないスリリングさがカッコいいととらえるか、はたまた抽象的にすぎてよくわからんととらえるか・・・
 ま、人それぞれかと。
 私的にはさすがにECMの音、静かで美しい音の流れが心地いいし、さらにその中から突然に現れる、ECMのお約束?の全編ルバートでのスローバラードなんてカッコいいなあ、と思います。
 静かな非日常感が心地よい一作、但し、応用編かな?
 この先、サックスとのDuoバンド"Food"の作品が何作か、リーダー作はしばらく先の“Time Is A Blind Guide” (2015) 。
 そちらはメンバーがガラッと変わって、音も変わって、わかりやすい感じです。
 やはりECMへの移籍後は、第二作ぐらいから落ち着いてくるのかな・・・?




 posted by H.A.


【Disc Review】“Rica” (2001) Parish

“Rica” (2001) Parish
Thomas Stronen (Percussion) Mats Eilertsen (bass) Bobo stenson (Piano) Fredrik ljungkvisk (sax, clarinette) 

Rica
Parish
Imports
2008-05-06


  ノルウェーのドラマー、ベーシスト、スウェーデンのピアニスト、サックスの北欧混成バンド、ライブ録音。
 Bobo Stensonはもとより、今やECM御用達の面々、同じ編成でECM作品“Parish” (2004) Thomas Stronenがありますが、本作はそれよりも少々前、オランダのレーベルから、少々普通のジャズ寄りの演奏。
 編成こそオーソドックスなサックスカルテット、インプロビゼーションのスペースはたっぷりありますが、サックスが前面に出るわけでなく、アンサンブルが中心。
 いかにもな北欧的コンテンポラリージャズの音かもしれません。
 誰がリーダーといったわけではないのでしょうが、さすがに歳の功、静かな空間に響くとても美しいBobo Stensonのピアノが映える音作り。
 抽象的でフリーな演奏も少々混ざりつつもその場面は多くはありません。
 Charlie Haden風のベースソロから始まり、タイトル”Mon Cherry”からすればDon CherryかOrnette Colemanトリビュート、”Lonely Woman”な感じからスタート。
 Bobo Stenson絡みの“Dona Nostra” (1993) Don Cherryなんて名作を想像してしまいますが、もう少しジャズ寄りでしょう。
 さらにはSam Riversなんて通好みの人の楽曲。
 これまたちょっとひねくれていながらもジャジーな演奏。
 その他含めて全編淡い色合い、静かで思索的な展開が続きます。
 後のECM作品“Parish” (2004) Thomas Stronenほど抽象度は高くなく、"Rubicon" (2015) Mats Eilertsenのように郷愁感が前面に出るわけではありません。
 やはり大御所Bobo Stensonのとんがったジャズの色合いが強いのでしょうかね?
 Bobo Stensonとしては“Live At Visiones” (1997) Lars DanielssonでLars Danielsson、Dave Liebmanとのコラボが終了し、ECMで“Serenity” (1999)などのトリオ諸作を作っている時期。
 何かしら新しい音を探している時期だったのかもしれません。
 が、最後はBill Evansの“Very Early”、17分を超えるフワフワと漂うような美しいジャズ演奏。
 やはりBobo Stensonかあ・・・?

※後の“Parish” (2004) Thomas Stronenから、唯一ジャズっぽい演奏。


 posted by H.A.


【Disc Review】“Indicum” (2011) Bobo Stenson

“Indicum” (2011) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Indicum
Bobo Trio Stenson
Ecm Records
2012-11-06
ボボ ステンソン

 スウェーデンのベテラン、ECMレーベルの看板ピアニストBobo Stensonの2011年盤。
 この人のアルバム、たくさんありますが、どれも美しく深い、いい作品で、どれを選んでも失敗ありません。
 一方、ピアノトリオばかりなので、どれも同じような感じであることも否めません。
 ECMレーベル、同じリーダーでもアルバム1-2枚でメンバーや編成を変えて変化をつけ、それが結構成功していると思うのですが、この人の場合は常にトリオ。たまにドラマーが変わるだけ。
 ベースのAnders Jorminは20年近く不動。
 結果的に音楽の質感はよくも悪くも大きくは変わりません。
 とはいえ、かつてと聞き比べてみると多少の変化。
 少し前にドラマーが若手に代わっているので元気になるかと思いきや、逆に落ち着きが増してきているように思います。
 楽曲は相変わらず美しいのですが、かつてはよく聞かれた長尺のアグレッシブなインプロビゼーションが影をひそめ、淡々とした雰囲気が全編に。
 得意の高速なフレーズは随所に聞かれますが、録音も手伝ってか少々軽い質感。
 得意のアップテンポでの凄まじいまでのアグレッシブな演奏と、止まりそうになりながらタメを十二分に効かせるスローバラードとの明確な対比もあまり聞かれません。
 でもこれが一つの成熟の形なのでしょうね。
 落ち着いた質感。肩の力が抜けた、余裕を感じる穏やかな演奏。
 美しく優しい楽曲。
 美しくも妖しいピアノ、深いベース。
 緩やかなグルーブ感と饒舌過ぎないインプロビゼーション。
 なんだかんだ言っても素晴らしいアルバム。

(※この投稿は2014/05/30から移動しました。)



 リーダー作は少なく、それもトリオのみ。 サポート参加はたくさん。
 曲者のサポートが多いのですが、私が知る限り、多くがいい作品。他にもたくさんあるのでしょう。 
 1970年代前半、Keith Jarrettと並んで?ECM期待の若手だったころ、1980年代のスウェーデン時代、ECM直後まではハイテンション系、“War Orphans” (1997)あたりから、透明感と美しさはそのまま、淡い色合いに変わってきているように思います。
 人脈も素晴らしいので、もっといろんな色合いのオリジナルアルバムを作ってほしかったところ。 
 作曲をあまりしない人ですが、初期の“Underwear” (1971)が素晴らしい出来だっただけに残念なような・・・

(1969)  “One Long String” Red Mitchell 
(1971)  “Listen to the Silence” George Russell 
(1971) “
Underwear” 
(1971)  “Terje Rypdal” Terje Rypdal 
(1971)  “Sart” Jan Garbarek 
(1973) “Witchi-Tai-To” with Jan Garbarek 
(1975) “Dansere” with Jan Garbarek 
(1983)  “The Sounds Around the House” 
(1984)  “Nordic Lights” Anders Jormin 
(1986) “Very Early” 
(1986)  “New Hands” Lars Danielsson 
(1989)  “Fish Out of Water” Charles Lloyd 
(1991)  “Notes from Big Sur” Charles Lloyd 
(1991)  “Poems” Lars Danielsson 
(1993)  “Dona Nostra” Don Cherry 
(1993)  “The Call” Charles Lloyd 
(1993)  “Bosonossa and Other Ballads” Tomasz Stanko 
(1993) “Reflections” 
(1994)  “Matka Joanna” Tomasz Stanko 
(1994)  “Far North” Lars Danielsson 
(1994)  “All My Relations” Charles Lloyd 
(1996)  “Leosia” Tomasz Stanko 
(1996)  “Canto” Charles Lloyd 
(1997)  “Litania:Music of Krzysztof Komeda” Tomasz Stanko 
(1997)  “Live At Visiones” Lars Danielsson 
(1997) “War Orphans” 
(1999) “Serenity” 
(2001)  “Rica” Parish
(2003) “Bobo Stenson/Lennart Aberg”
(2004)  “Parish” Thomas Stronen
(2005) “Goodbye” 
(2007) “Cantando” 
(2011) “Indicum
(2017) “Contra La Indecision


posted by H.A.

【Disc Review】“Cantando” (2007) Bobo Stenson

“Cantando” (2007) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Cantando (Ocrd)
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、若手ドラマーを迎えた新トリオでのアルバム。
 本作も前作“Goodbye” (2005)同様、強い浮遊感、かつメロディアスな静音ジャズ。
 ドラマーが変わっても、ビートを作るのはAnders Jormin。ドラムは自由にアクセントを加えていくスタイル。
 Bobo Stenson、Anders Jorminコンビのスタイルなのでしょう。
 本作も多彩な楽曲群。
 いつものOrnette Colemanに加えてDon Cherry、クラシック曲、さらにはAstor Piazzollaまで。
 前作にも増してメロディアスな楽曲揃い。
 本作では、フリーインプロビゼーションのイメージではなく、テーマ~インプロビゼーションのオーソドックスなジャズのスタイルが目立ちます。
 何曲もカバーしているキューバのSilvio Rodríguezの哀愁曲からスタート。
 美しいメロディの芯の周辺を漂うような、絡みつくような美しいピアノ。
 バンドの浮遊感は前作同様、インプロビゼーションのまとまりは本作の方が上かもしれません。
 スローテンポではたっぷりとしたタメを効かせて漂うような音、穏やかな高揚感。
 テンポが上がれば強烈な加速感、疾走感。 時折のスケールアウトが醸し出す妖しいムード。
 一部に長尺なフリーインプロビゼーションもありますが、あくまで静かな演奏。
 オーソドックスではないにせよ、抽象度の高い演奏が減少し、聞きやすくもなっているように思います。
 名作です。
 静音系、浮遊感系のBobo Stensonならば、本作がイチオシかもしれません。




posted by H.A.

【Disc Review】“Goodbye” (2005) Bobo Stenson

“Goodbye” (2005) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Paul Motian (drums)

Goodbye
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、ドラムに大御所Paul Motianを迎えた新トリオでのアルバム。
 漂うようなフリーテンポでのバラードがこの時期の真骨頂のPaul Motian。
 前任のJon Christensenもその類の演奏が苦手ではないタイプだと思いますが、もっと繊細。
 想像通りの音、漂うような静音ジャズ。
 スタンダード曲、アルゼンチン曲、オリジナル曲など含めて、メロディアスな楽曲。
 曲を演奏するというよりも、それらを題材にした静かなフリーインプロビゼーションのイメージが強い演奏。
 冒頭から超スローテンポ、ルバートでのバラード。
 美しいメロディ、コードの断片が微かに現れたり消えたりする展開。
 メロディの芯の周辺を浮遊するような美しいピアノの音。
 ピアノの周囲を舞い散るようなシンバル。
 漂うビートを前に進め、勢いをつけるベース、静かな空間に響く低い胴鳴り・・・ そんな演奏が続きます。
 名作“Storyteller” (2003) Marilyn Crispellのように全編がルバートではありません。
 ビートが効いた演奏もありますが、あくまで静かなグルーヴ。
 別のタイプの凄み。
 また、”Underwear” (1971) 、あるいは“Reflections” (1993)の様にテンションが高くもなければ、“Fish Out of Water”(1989)Charles Lloydのように音楽の輪郭が明確な演奏でもありません。
 が、豊かさはそれらの名作と同等。
 後半に抽象度の高い変奏もありますが、全体を眺めれば、静かで、穏やか。妖しくて、美しい、ピアノトリオの佳作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Serenity” (1999) Bobo Stenson

“Serenity” (1999) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Christensen (drums)

Serenity
Bobo Stenson
ECM
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、スタジオ録音諸作と同じメンバーでのライブ録音。
 ライブでも熱は上がりません。
 全編静謐で淡々とした演奏。
 長尺なインプロビゼーションではなく、短い曲での組曲的な構成が中心。
 緊張感を強いるタイプのトリオではないはずなのですが、本作は少し様子が異なります。
 抽象的なメロディ、自由な場面が増加し、不思議感も強。 緊張感と不安感を増長するような音使いが多い印象。
 この辺りで好みは分かれるのでしょう。
 もちろんピアノはいつもの美しい音、こぼれ落ちるような繊細な音使い。
 ベースもいつもにも増して動きの多い静かなグルーヴ。
 二枚組、二枚目に移ると少し緊張感が和らぎます。
 このバンドがよくカバーするキューバのSilvio Rodríguezの哀愁曲からスタート。
 漂うような美しいバラード演奏。
 さらにこれまた漂うようなBobo Stensonのオリジナルバラードが続きます。
 インプロビゼーションに移ると再度不思議な緊張感・・・
 ライブアルバムらしく最後はやっとアップテンポで締めますが、それにしても不思議系。
 全体を眺めるとやはり抽象的で不思議な音楽、集中して聞くと緊張感が強いられる音。
 その間々にちりばめられた美しいメロディが印象に強く残る構成。
 タイトルの意は「静けさ」。
 さまざまな形の静寂を表現しようとしているのかもしれません。
 穏やかであったり、不安であったり・・・
 そんなことを考えてしまう、深くて複雑で不思議なアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“War Orphans” (1997) Bobo Stenson

“War Orphans” (1997) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Christensen (drums)

War Orphans
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、ECMでの20年ぶりのリーダー作“Reflections” (1993)の次作品。
 メンバーは同様ですが、そちらと比べると淡い色合いの音。
 若き日の“Underwear” (1971)のような激しさは和らぎ、落ち着いた印象のジャズ。
 “Canto” (1996) Charles Lloyd、“Litania” (1997) Tomasz Stankoでそれぞれのサポートが終了し、リーダー作中心に移行した時期、端緒の作品。
 楽曲はタイトル曲を含めてOrnette Coleman二曲、Anders Jormin三曲など。
 冒頭曲は哀愁が漂うキューバ曲ですが、以降は少し抽象度が高いメロディが続きます。
 このアルバム以降のBobo Stensonの作品の特徴、メロディライン、ビート感が曖昧な分、浮遊感が強くて不思議感も漂う音。
 ピアノはクラシックの香りとKeith Jarrettを少し丸くしたような美しいタッチ。
 長らくの盟友Anders Jorminの静かなグルーヴ。
 Jon Christensenの煽らない繊細なビート。
 決してフリーではなく難解でもうるさくもないのですが、自由度、浮遊感の高い音。
 メロディ、ビートが明解ではない分、あるいは疾走感や興奮がない分、地味なのかもしれません。
 が、この静かで美しい浮遊感に慣れてしまうと、妙な刺激がない分、最高に心地よい音。
 他のアーティストの作品含めて、近年のECMのピアノトリオ作品のイメージの原点・・・、かどうかはわかりませんが、そんな淡くて穏やかな音。




posted by H.A.

【Disc Review】 “Reflections” (1993) Bobo Stenson

“Reflections” (1993) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Christensen (drums)
 
Reflections
Bobo Stenson
Ecm Import

ボボ ステンソン

 スウェーデンのベテランピアニストBobo Stensonのピアノトリオ。
 たくさんのピアノトリオの音源がありますが、その中でもカッコよくも聞き易いアルバム。
 Bobo Stensonピアノ、クラシックの香りが強く、音やフレーズがキレイ等々、ヨーロッパ系の人たちの特徴が凝縮されているのですが、その中ではオーソドックスな部類でしょうか。
 Keith Jarrettのあたりの影響も強そうですが、あまり過激なことはしないタイプで分りやすい。
 スローバラードで顕著になる何とも言えないタメなど、影のようなものが特徴的。
 メンツはさながら北欧オールスターズ。
 ベースのAnders Jormin、この人が入ると音楽が締まり、深みを増すように思います。
 派手ではないけども、しっかりしたグールブ感が流れる中で効果的なオブリガードやソロを入れてきます。
 過激さを感じるギリギリのところで留めており、上品。このアルバムでも極めて存在感大。
 ドラムのJon Christensenは元Keith Jarrettバンドの人。
 ジキルとハイド、控えめかと思いきや、アップテンポ曲での過激な暴れ方が特徴的。
 一曲目はECMレーベルでは珍しく明るくリラックスした表情の曲。
 さながら北欧の青い空、といった感じでしょうか。
 穏やかな表情から曲が進むにつれてヒートアップ、中盤以降は激しさを増し、三者ともエキサイティング演奏を繰り広げていきます。これでもか、と続くピアノソロが凄まじい。
 その後、独特のタメの効いたピアノ、漂うような質感のスローバラードなどを交えながら、最後、10分を超えるドラマチックな演奏で締めくくり。途中、フリージャズっぽい演奏もありますが、過激さ難解さはほどほど。
 あくまで上品、明るくて前向き、適度にアグレッシブ。
 ちょうどいいバランスのヨーロッパジャズ。

(※この投稿は2014/04/07から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Very Early” (1986) Bobo Stenson

“Very Early” (1986) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Rune Carlsson (drums)

Very Early
Bobo Trio Stenson
Imports
ボボ ステンソン


 スウェーデンのピアニストBobo Stensonのピアノトリオ。 スウェーデンのDragonから。
 この時期、サポートは多いのですが、リーダー作をあまり作っていないので貴重なアルバム。
 スタンダード曲が半分、ジャズ曲に加えて、オリジナルが数曲。
 デビュー作から近年まで、いつもカバーするOrnette Colemanも一曲。
 オーソドックスな構成ですが、やはりソロになると凄みのある演奏。
 美しい音、クラシックの香り、強烈な疾走感。
 1970年代、“Underwear” (1971) などECMでのすごい演奏そのままのピアノ。
 Keith Jarrett Standardsが一世を風靡していた時期。
 漂うような美しいイントロ、耽美的なムードなど、近い雰囲気はありますが、そちらよりも激しい印象。
 最後のOrnetteナンバーでは大爆発。
 今も共演が続く盟友Anders Jorminとのコンビはこの時期から。
 “War Orphans” (1997)以降のこのコンビ独特の浮遊感はまだありませんが、推進力が強烈なベース。
 ECM復帰作“Fish Out of Water” (1989) Charles Lloydまでにはまだ時間を要し、次のリーダー作“Reflections” (1993)はさらに先。
 Bobo Stensonのリーダー諸作の中では最もオーソドックスなジャズ度が高い作品。
 人気アルバムなのも納得です。




posted by H.A.
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