“Copacabana” (1979) Sarah Vaughan
posted by H.A.
Sarah Vaughan (vocals)
Hélio Delmiro (guitar) Andy Simpkins (bass) Wilson DasNeves (drums) Grady Tate (drums) and others
サラ・ヴォーン
サラ・ヴォーンのブラジル音楽。
何枚か出ており、どれもいいのですが、これが一番お気に入り。
ン十年前、ロック、ソウルファンだった若い時、何の気に無しに初めて聞いて、これは凄いと思ったアルバム。考えてみれば、なんでこれを買ったんだろう?それすら覚えてませんが、特にA面は頭にこびりついています。
まあ歌がとにかく凄い。
抑揚というか表現力というか、ドスの利いた低音から、微妙に裏返ったような高音まで、大きな変化がスムースに繋がっているというか。さらに強烈なビブラートの安定感とその微妙な抑揚のカッコよさとか。大きな波やら優しい波やらが次々と押し寄せては弾いていくというか・・・
まあここまで来ると間違いなく芸術です。神々しいという形容詞が決して大げさではないボーカル。
選曲、アレンジ、演奏ともにこれまた絶品。
どこまで作り込んだのかはよくわかりませんが、音が厚くなったり、薄くなったり、大きくなったり、小さくなったり、早くなったり、遅くなったり、変幻自在。一歩間違うとポップス色が強くなり過ぎるコーラスがいいバランスで配置され、小さめ音のパーカッションがいい隠し味だったり、少々音量大きめのエレキギターがジャズ風味を含めてものすごくカッコよくて、いい感じの清涼剤になっていたり。さらに全編に常にゆったりとしたグルーブが流れ・・・
こんなカッコいい音は滅多にないなあ。
普通のボッサやブラジル音楽と比べると、少し重いというか暑苦しいというか、ちょっと癖のある音なのかもしれません。
ボッサのボーカルはウイスパー系でなきゃね、と思っているタチですが、ここまでくれば文句なし、というか、好みのブラジル音楽、最右翼の一枚。
歌の重さとギターの清涼感、初夏や盛夏というより、晩夏の夕暮れ時にピッタリの音。