吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Bill_Evans

【Disc Review】“Intermodulation” (1966) Bill Evans, Jim Hall

“Intermodulation” (1966) Bill Evans, Jim Hall

Bill Evans (piano) Jim Hall (guitar)

インターモデュレーション
ビル・エヴァンス&ジム・ホール
ユニバーサル ミュージック クラシック
2011-06-22


 カリスマたちのDuo、“Undercurrent” (1963)の続編。
 もちろん同様の色合い。
 が、少しだけその空気感が違うように聞こえます。
 おそらく、バックがフロントの動きを執拗には追わないから。
 意識したかどうかはさておき、バックに回った一人は音数を抑制し、定常な音楽を作ることを重視しているように聞こえます。
 その分、“Undercurrent”のような極端な緊張感ではなく、穏やかで安心して聴ける音の流れ。
 また、結果的に各人のインプロビゼーションの妙が映え、ギターの高音の消え入るような繊細な動きまでが明確に見えてくるように思います。
 いずれにしても、“Undercurrent”、本作ともに、ガラス細工のように繊細で儚い音。
 怖いまでの緊張感の“Undercurrent”に対して、角が取れて丸くなったような本作。
 いずれも不朽の名演。




posted by H.A.


【Disc Review】“Undercurrent” (1963) Bill Evans, Jim Hall

“Undercurrent” (1963) Bill Evans, Jim Hall

Bill Evans (piano) Jim Hall (guitar)

アンダーカレント
ビル・エヴァンス
ユニバーサル ミュージック
2016-10-26


 稀代のカリスマたちのDuo。
 インタープレー。
 フロントの音の動きに鋭く反応するもう一人。
 速度、音量、音の流れ、空気感・・・、それらの変化に合わせて、二人が絡み合いながら一体となって動き、音が描く景色は微妙に、大胆に変わっていきます。
 そしてフロントが入れ替わるタイミングの緊張感。
 フロントへ浮上することを待ちわびていたかのような急展開。
 高い緊張の糸が緩むことはありません。
 聞き飽きたはずの“My Funny Valentine”のメロディ、コードが全く別のモノのように聞こえてきます。
 そして、”Romain”の中盤、二人がフロントに立つわずかな瞬間、その緊張感はピークに。
 二人のインプロビゼーションが絡み合い、いつその緊張が緩むのか、崩壊するのか・・・
 もちろんこの二人なので、極端に熱くはなりません。
 少し沈んだ空気感。
 静かで穏やかな分だけかえって怖い。
 さながら青く静かに燃える冷たい炎、その煌めき。
 諸々含めて、このジャケットの意味が少しだけわかったような気がします。




posted by H.A.



【Disc Review】“You Must Believe In Spring” (1977) Bill Evans

“You Must Believe In Spring” (1977) Bill Evans
Bill Evans (piano)
Eddie Gómez (bass) Eliot Zigmund (drums)

ビル エバンス

 悲しく美しいBill Evans。
 衝撃を受けた云々・・・がたくさんあるわけではありませんが、これは間違いなくそのひとつ。
 始めて聞いたのは何故かジャズの有名アルバムを一通り聞いた後。
 1990年代、Keith JarrettのStandardsは既に世に出ており、さんざん聞いた後。
 ECMもそこそこ聞いて、Lars Jansson、その他のヨーロピアンピアノトリオブーム?の真っ最中。
 それらに慣れた耳にとってもこのアルバムは衝撃的。
 なんと感傷的な音なのか。
 そしてなんと美しい音なのか。
 冒頭曲から美しくも悲哀の塊のような音の連続。
 二曲目、三曲目・・・アナログB面に移っても止まらない。
 多少テンポが上がっても感傷は高まるばかり。
 終盤の二曲でようやく差す柔らかな陽光。
 悲しいばかりではなく気持ちが浄化されるような音。

 その後、数十年、これ以上に悲しくて美しい音楽に出会ったことは、いまだにありません。 




posted by H.A.

【Disc Review】“Quintessence” (1976) Bill Evans Quintet

“Quintessence” (1976) Bill Evans Quintet
Bill Evans (piano)
Harold Land (tenor sax) Kenny Burrell (guitar) Ray Brown (bass) Philly Joe Jones (drums)

ビル エバンス

 サックス、ギターが入る珍しい編成のBill Evans。
 このアルバムの白眉は、Michel Legrandのワルツ”Martina”。
 決定的な”You Must Believe In Spring”(1977)に勝るとも劣らない哀愁。
 そしてメンバーの卓越した演奏。 各人ともベストパフォーマンスとも思える演奏。
 ギターによる淡々としたテーマの提示に絡みつくピアノ、ベース。
 あのKenny Burrellがこんなロマンチックなギターを弾くのか?
 バッパーHarold Landのこんな哀感は他にあるのだろうか?
 少し熱が上がった中での締め括りはBill Evansの高テンションながら美しいピアノ。
 そして極めつけは大御所Ray Brown。
 これは古今東西、私が知る限りのベストのベース演奏のひとつ。
 Scott RaFaloの代わりがこの人だったら、どうだったんでしょうね・・・




posted by H.A.

【Disc Review】”Waltz for Debby” (1961) Bill Evans

”Waltz for Debby” (1961) Bill Evans
Bill Evans (piano)
Scott LaFaro (bass) Paul Motian (drums)

ビル エバンス

 この世にジャズピアノトリオのアルバムはいったいいくつあるのでしょう?
 百万?一千万?一億?
 ブルース系、ファンキー系、モダン系、フリー系、ヨーロッパ系、クラシック系、ボサノバ系、ポップス系、・・・
 明るいの、暗いの、元気なの、内向きなの、神々しいの、・・・
 耽美的、内省的、爆発的、・・・
 アメリカ人、白人、黒人、日本人、ドイツ人、フランス人、キューバ人、ブラジル人、・・・
 Bud Powell系、Oscar Peterson系、Bill Evans系、・・・
 それらを全部積み上げて、山にして、一番上に燦然と輝くのがこのアルバム。
 冒頭、5分に渡る今にも止まりそうな超スローな”My Foolish Heart”のたとえようもない美しさ。
 永遠に続いて欲しいのですが、これ以上長くても短くてもいけません。
 なにせ続くのはあのワルツ・・・
 この2曲だけで全てのピアノトリオアルバムを凌駕すると思います。
 他に言葉は必要ありません。





posted by H.A.
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