吉祥寺JazzSyndicate

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Astor_Piazzolla

【Disc Review】“The New Tango” (Jul.1988) Astor Piazzolla with Gary Burton

“The New Tango” (Jul.1988) Astor Piazzolla with Gary Burton
Astor Piazzolla (Bandoneón) Gary Burton (Vibraphone)
Horacio Malvicino (Guitar) Pablo Ziegler (Piano) Hector Console (Bass) Fernando Suárez Paz (Violin)

THE NEW TANGO
ASTOR PIAZZOLLA
WEA
2004-06-01
ゲイリー バートン
アストル ピアソラ


 Astor PiazzollaのバンドにGary Burtonが客演したモントルーフェスティバル、ライブ録音。
 “Tango: Zero Hour” (May.1986) Astor Piazzollaの二か月後のステージ。
 Piazzollaが逝去した後にトリビュート作品“Astor Piazzolla Reunion: A Tango Excursion” (1996)、“Libertango: The Music of Astor Piazzolla” (1999)が制作されますが、こちらは本家本元との共演。
 編成は同じ、演奏者も御大を除けば同じ、アレンジも大きくは変わらないかもしれないけども、なんだか雰囲気が違います。
 軽快なイメージのGary Burton の作品に対して、こちらはAstor Piazzolla の世界。
 ズーンと沈んでいくというか、漆黒というか、緊張感が全く違うというか。
 Gary Burtonが前面に出る時間が長い分、Astor Piazzollaはあまり前に出ず、後ろにドカッと構えている印象ですが、ピリピリした空気を感じます。
 Gary Burtonの音は相変わらずなようで、これまたピリピリした感じがするのは気のせいでしょうか?
 もっと浮遊感が強く華やかなになってもよさそうなヴィブラフォンが、Piazzollaバンドの空気にすっかり取り込まれてしまったようにも聞こえます。
 何というAstor Piazzollaの求心力。
 この微妙な組み合わせ、微妙なバランスは、貴重な記録なんだろうなあ、と思います。
 Gary BurtonがPiazzollaを演奏する、といったイメージに近いのは現代的で軽快な上掲の二作でしょう。
 このアルバムはもっと別の何か。
 あくまでAstor Piazzollaの世界。
 とてもカッコいいと思います。 




posted by H.A.


【Disc Review】“Summit - Reunion Cumbre” (1974) Gerry Mulligan/Astor Piazzolla

“Summit - Reunion Cumbre” (1974) Gerry Mulligan/Astor Piazzolla
Astor Piazzolla (bandoneon) Gerry Mulligan (baritone saxophone)
Angel 'Pocho' Gatti (piano, Fender Rhodes, organ) Tullio De Piscopo (drums, percussion) Giuseppe Prestipino (electric bass) Alberto Baldan, Gianni Ziloli (marimba) Filippo Daccò, Bruno De Filippi (electric guitar)
Umberto Benedetti Michelangelo (violin) Renato Riccio (viola) Enio Miori (cello)
 
Summit
Mulligan
Ans Records
1990-10-25


 Astor PiazzollaとGerry Mulliganの共演作。
 どうもイメージが合わない二人を誰がどう考えて引き合わせたのかはわかりませんが、とにもかくにもイタリアでの録音。
 当時のPiazzollaバンドにGerry Mulliganが客演した形ではないのでしょう。アルゼンチンに加えて、イタリアっぽい名前も入っていおり、バンドの出自ついてはよくわかりません。
 当の御大Piazzollaもイタリア系でしたかね。
 楽曲はすべてPiazzollaナンバー。
 全編通じてPiazzollaのメロディではあるのですが、背景でエレピ、エレキベースが鳴っていたり、ストリングスのアンサンブルが絡んだり、ドラムがキッチリビートを出していたりで、Piazzollaバンドとはかなり違った質感。
 ちょっと古め、1970年代の映画のサントラ的なムード。
 優しくゆったりしたバリトンサックスは、哀感の強いPiazzollaのメロディにこの上なくピッタリきます。
 バリバリではなくフワフワとした音と、悲しく切ないメロディの対照がいい感じのバランス。
 が、その音が太い分、バンドネオンの音が細く聞こえてしまうのはいたしかたないところでしょうか。
 サックスが背景に回っているであろう場面も、前面に出て聞こえてしまいます。
 インタープレーの場面も微妙なバランス。
 さらに、ロックなビート、ポップスっぽいアレンジの場面もしばしば。
 ってな感じで、Astor Piazzollaの諸作、あるいはGerry Mulligan諸作の雰囲気とは少々異なる質感。
 タンゴ、ジャズに慣れていない人にはこんな感じの方が馴染みやすいのかな・・・?
 変わらないのは素晴らしいメロディ。 
 気が付いていませんでしたが、イタリア的な哀愁も混ざっているんでしょうかね。
 バリトンサックス、電気楽器、ロックビート、ストリングス・・・・何にでも合ってしまいそうな哀愁と緊張感。
 が、なんだかんだでドラムが入っていないPiazzollaキンテートのスタイルが一番落ち着きますかね?




 posted by H.A.

【Disc Review】“Tango: Zero Hour” (1986)  Astor Piazzolla

“Tango: Zero Hour” (1986)  Astor Piazzolla
Astor Piazzolla (bandneon)
Fernando Suarez Paz(Violin) Hector Console(Bass) Horacio Malvicino(Guitar) Pablo Ziegler(Piano)
 
Tango: Zero Hour
Astor Piazzolla
Nonesuch
1998-09-08
アストル ピアソラ





 モダンタンゴの雄、Astor Piazzolla。
 当方、基本的にはジャズ~ボッサファン。
 タンゴやフラメンコなどもいくらかは聞いてみましたが、愛聴盤はあまりありません。
 固い質感のリズム、大仰でエキセントリックに聞こえる曲調に抵抗感が無きしもあらず。
 が、さすがにピアソラさんの素晴らしさについては他言ありません。
 このアルバムはアメリカのレーベルAmerican Clave(Kip Hanrahanプロデュース)から。
 だからかどうかはわからないけど、私が知る限り、他のアルバムと比べて全体の質感はクール。
 録音の質感も含めて、ひんやりとした感じ。
 あのECMに近い感じもするけども、あそこまでは温度感は低くはない。
 結果、ジメッとしたこの季節の夜に聞くと心地よい。
 北風が吹く感じの冷たさではなく、エアコンがキリッと効いた感じ、あるいはひんやりした地下室の感じ、ですかね・・・
 クールで透明感が高い分、背筋に冷たい物が走るというか、ながら聞きを許さない緊張感があるというか。
 それも何とも言えず心地よい。
 曲と演奏は言わずもがなの名曲、名演揃い。
 ドラマチックな哀愁曲がてんこ盛り。
 このアルバムではMilonga del Angel、Mumuki辺りが白眉でしょうか?
 哀愁の塊のようなメロディをバンドネオン、バイオリンといったこれも哀愁の塊のような音色で演奏されるとこれはもう・・・
 さらにグルーブは強いし、さらりとした哀愁~ベタベタのタメ~超弩級の疾走感、あざといまでの昂揚感・・・
 等々、変幻自在。
 ピアノ、ギター、ベースといった馴染みが深い楽器もいい感じでフィーチャーされ、ジャズファンからしてもありがたい限り。
 この盤がジャズファンには一番馴染むのでしょうかね。
 哀愁の塊のようなメロディ、哀愁~絶望と激情~狂気が錯綜するような演奏、完璧なアンサンブル。
 言わずもがなの凄い音楽、凄いバンド、凄いアルバムだなあ。

 

posted by H.A.
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