吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Arild_Andersen

【Disc Review】“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) Arild Andersen, Ralph Towner, Nana Vasconcelos

“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) Arild Andersen
Arild Andersen (bass) Ralph Towner (guitars) Nana Vasconcelos (percussion, voice)
Audun Kleive (snare drum)

If You Look Far Enough
Arild Andersen
Ecm Import
アリルド アンデルセン 
ラルフ タウナー
ナナ バスコンセルス
 


 ECMオールスターでのトリオ+αでのセッション。
 編成は普通のギタートリオなのですが、このメンバーですので普通ではありません。
 Ralph Townerのトリオではハイテンションな名作”Batik” (1978)がありますが、全く違う質感。
 楽曲提供からするとリーダーはArild Andersenなのでしょう。
 Ralph Townerの出番は少なめ、ベースがリードし前面に出る場面、Arild Andersen、Nana VasconcelosのDuoでの演奏が印象に残ります。
 Arild Andersenのいつものド派手なベースが炸裂するハイテンションな演奏から、穏やかなスタンダード演奏まで多種多様。
 ブンブン唸るベースに瑞々しいギター、妖し気なパーカッションと幻想的なボイス。
 そういった演奏を想像してしまいますが、それは2-3曲。
 そちらは、サディスティックなまでに攻撃的なベースと、それに呼応するハイテンションなギター。
 何かの格闘技を見ているような演奏。
 淡々とビートを出し、時折奇声を挟むNanaさんがレフリー役。
 そんな演奏を間にはさみながら、半数以上は穏やかで幻想的な演奏。
 ゆったりとしたテンポと妖しげで抽象的なメロディ。
 ループを使ってシンセサイザー的な音を作っているベース。
 妖しげなビートを出し、奇声を上げるNanaさん。
 先の展開が予想できないフリーインプロビゼーション的な演奏が印象に残ります。
 ちょっと気の利いたメロディと演奏力で押し切ってしまえばそれだけで凄いグルーヴの凄いアルバムができていしまいそうですが、そうはしないクリエイティブな人達。
 凡人からは想像できない明後日の方向に向かって進んでいるように感じる部分も無きにしも非ず。
 さすがECM、Arild Andersen。




posted by H.A.

【Disc Review】“Aero” (1988) Masqualero

“Aero” (1988) Masqualero
Arild Andersen (double bass) Jon Christensen (drums) Tore Brunborg (saxophone) Nils Petter Molvær (trumpet) Frode Alnæs (guitar)

Aero
Masqualero
Polygram Records
マスカレロ
アリルド アンデルセン 


 北欧オールスターバンド、“Bande a Part” (1986)に続くECMでの第二作。
 ピアニストが抜け、ギタリストが加わり、妖しさ、不思議感が増幅。
 ギターはノルウェー出身、同郷のTerje Rypdalを想わせるズルズルグチャグチャ、過激なクリエイティブ系ロックギター。
 “Molde Concert” (1981)のBill Freselも過激でしたが、さらに過激かもしれません。
 本作も淡くて抽象的なArild Andersenの楽曲中心。
 ビートは明確なのですが、メロディ、コード、その展開は不思議系、予測不可能。
 漂うような抽象的な空間を切り裂くようなトランペット、激烈なギター。
 前作ではトランペットが印象的でしたが、本作の主役は激烈なギターかもしれません。
 そんな演奏からスタート。
 中盤、ロック的な激しいビートの演奏もはさみながら、静かで幻想的な場面を含みながら、最後まで過激感、不思議感の強い演奏が続きます。
 前作ではピアノが音楽を定常にとどめようとしていたのかもしれませんが、本作はさらに自由。
 かといってフリージャズのように混沌にはいかないのがこのバンドの妙。
 Arild Andersenは本作でもベースソロを含めて激しくは弾きません。
 全編を漂う寂寥感はいつものこの人の色合い。
 これまた、不思議感、そして緊張感、過激感、さらに寂寥感溢れるコンテンポラリージャズ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bande a Part” (1986) Masqualero

“Bande a Part” (1986) Masqualero
Arild Andersen (double bass) Jon Christensen (drums) Jon Balke (keyboards) Tore Brunborg (saxophone) Nils Petter Molvær (trumpet)

Bande À Part
Universal Music LLC
マスカレロ
アリルド アンデルセン 


 スウェーデン、ノルウェー混成、北欧クインテットによるコンテンポラリージャズ。
 ECMでの第一作。
 凄いメンツ。
 1980年代、ECM第二世代のオールスターバンド。
 Arild Andersen、Jon Christensenは1970年代からのベテランですが、他は一世代下の有望アーティスト。
 ECMとしても、1970年代にビッグネームに育ったKeith Jarrett、Pat Metheny、Ebarhard Weber、Jan Garbarek、Ralph Townerその他が一段落つき、次の新しい音、あるいは次のタレントを模索していた時期のように思います。
 バンド名はWayne Shorterの曲から戴いたのでしょうか?
 確かに妖しいムード、ふわふわとした抽象的なムードは共通です。
 楽曲がArild Andersenの作品中心ですので、彼が事実上のリーダーなのでしょう。
 決してフリーではないのですが、先の読めない楽曲、展開。
 どこまで行ってもはっきりしたとらえどころが見えない不思議な質感。
 そんな中でNils Petter Molværが吹きまくっています。
 後のリーダー作“Khmer” (1996-1997)あたりでは抑制的な音使いが印象に残りますが、ここではビックリするぐらいバリバリと吹きまくり。
 フレージングの癖はそのままですが、同じトランぺッターとは思えません。
 張り詰めた音に強烈な抑揚、表現力。 Tore BrunborgもJan Garbarekを少し丸くしたような音で激しく吹いています。
 Arild Andersenは意外にも抑えた演奏。
 いつものド派手なベースソロはあまり出てきません。
 名手Jon Balkeも同様、フィーチャーされる場面は少なく、背景作りに徹しています。
 といった感じで、ポストフリージャズ、ポスト1970年代ECM、新しいサウンドに向けた試行そのいくつか、といった面持ち。
 1970年代のArild Andersen 諸作“Clouds In My Head” (1975)、“Shimri” (1976)、 “Green Shading Into Blue”(1978)、あるいは“Molde Concert” (1981)はわかりやすかったのですが、このバンドはちょっと異質。
 それらはとても素晴らしい作品群だったと思いますが、そこに止まろうとはしないクリエイティビティ。
 全編に不思議感漂う、当時とすれば新手のコンテンポラリージャズ。



posted by H.A.
 

【Disc Review】“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen

“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Vassilis Tsabropoulos (piano) John Marshall (drum)

Triangle
Arild Andersen
Ecm Records
ヴァシリス・ツァブロプーロス
アリルド・アンデルセン


 Arild Andersenリーダー名義のピアノトリオ。
 “Achirana” (1999)と全く同じメンバー。
 Vassilis Tsabropoulos の作品としては、間にクラシック色のピアノソロ“Akroasis” (2002)があります。
 半数の楽曲がVassilis Tsabropoulosの作品ですので、事実上、双頭リーダー作なのかもしれません。
 前作は静謐なイメージでしたが、本作はアグレッシブさを前面に出したエキサイティングな演奏。
 Vassilis Tsabropoulosのピアノはクラシックのテイストながらも、強烈なスピード感、疾走感。
 1970年代のKeith Jarrett、Steve KuhnやRichie Beirachを想わせるようなピアノ。
 Manfred EicherとしてはVassilis Tsabropoulosに彼らのようになっていくことに期待していた?
 ・・・かどうかはわかりませんが、以降、彼のジャズ的な演奏は私が知る限りありません。
 この作品からもう十年以上経っていますので、この種の強烈なジャズはやらないのでしょうね。
 また、他のアーティストも含めて以降のECMのピアノ作品自体が穏やかな作品か、複雑で難解な作品が多くなっているように思います。
 さておき、本作はそんな1970年代のハイテンション系ヨーロピアン・コンテンポラリージャズを想わせるような強烈なピアノトリオ。
 美しいタッチ、上品なクラシックの香りを漂わせながら突っ走るピアノ。
 ヤクザなまでにド派手な超人的なベース。
 曲がどうのとかに関わらず、それらだけで名作ができてしまいます。
 この美しく、妖しく、クールで知的なイメージと、強烈なグルーヴ、アグレッシブな演奏のフュージョンがECMの真骨頂・・・
 なんてのは古い感覚なのでしょうか?
 とても美しくも激しい、強烈なピアノトリオアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“Achirana” (1999) Vassilis Tsabropoulos

“Achirana” (1999) Vassilis Tsabropoulos
Vassilis Tsabropoulos (piano)
Arild Andersen (double bass) John Marshall (drums)

Achirana
Vassilis Tsabropoulos
Ecm Import
ヴァシリス・ツァブロプーロス


 ギリシャのピアニストVassilis Tsabropoulosのピアノトリオジャズ。
 他の作品を聞く限り、おそらくクラシック畑の人なのでしょう。
 が、本作では美しくも妖しいコンテンポラリージャズピアノ。
 超弩級にアグレッシブなベーシストとプログレッシブロック系のドラマーとのトリオ。
 冒頭からいかにもECMなリズムもメロディも漂うインプロビゼーション。
 静謐で間の多い空間の中に響く美しくも妖しいピアノ。
 徐々にペースが上がっていくとKeith Jarrett Standardsのようなムード。
 このアルバム含めてジャズを演奏するVassilis TsabropoulosにはKeith Jarrettの影を強く感じます。
 クラシックの香りと強い緊張感を伴う張り詰めたジャズピアノ。
 要所で現れる強烈な加速感のパッセージ。
 静かながら感傷的なオリジナル曲とインプロビゼーション。
 他のアルバムでは全くスウィングしない演奏も少なくないのですが、本作ではビートが効いています。
 背後で激しく動くベースと静かに淡々とビートを刻むドラム。
 いつもはド派手なベースを弾く人ですが、本作では全体の静謐なムードに合わせてか、暴れまくる場面は多くありません。
 抑制された音使いがかえって凄みを増しているようにも思います。
 全体を通じて“Tales Of Another” (1977) Gary Peacockあたりのムード。
 静謐ながら要所で音量を上げ強烈なグルーヴ、大爆発する展開。
 大化けしそうな雰囲気のあるバンド。
 が、残念ながら後続するジャズ作品は“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen一作のみ。
 もちろん後のクラシック的な作品もいいのですが、スーパージャズピアニストとしても期待・・・
 でも、やりたいことではないのでしょうね・・・




posted by H.A.
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