吉祥寺JazzSyndicate

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Arild_Andersen

【Disc Review】“Re-Enter” (1990) Masqualero

“Re-Enter” (1990) Masqualero
Arild Andersen (bass)
Tore Brunborg (saxophones) Nils Petter Molvaer (trumpet) Jon Christensen (drums)

Re-Enter
Masqualero
Ecm Records
2001-02-27


 ノルウェーのスーパーアーティストを集めたバンドMasqualeroの最終作?。
 美しいピアノのJon Balkeが参加していた“Bande a Part” (1986)、ピアノがクリエイティブ系ギターに交代した“Aero” (1988)から、和声楽器を排した本作。
 Ornette Coleman所縁のピアノレス二管のフォーマット。
 編成から想像される自由度の高い激しい音。
 甘さを排した不思議感、クールネス全開の北欧的フリー混じりジャズ。
美しいJon Balkeのピアノが加わった方が、より上品になってECMっぽいのかもしれないけども、激しい系をやるならばこの編成の方がいいのかもしれません。
 自由に叩きまくるドラムと、強烈なグルーヴを作る激情ベース。
 クールに寂寥感の塊のような音を出すNils Petter Molvaerも、このバンドではあるいはこの期では激情を交えつつのバリバリ系。
 Tore BrunborgはJohn Coltrane、同胞のJan Garbarekスタイルの重い情念ほとばしり系サックス。
 哀しげな表情、ノルウェーの民族音楽が混ざった感じながら、愛想が無い楽曲はこの系の音楽のお約束。
 緊張感と切迫感、激しい叫びのような音の塊。
 Ornette Coleman的であり、バンド名所縁の1960年代Miles Davis的でもあり、1970年代ECM的でもあり。
 1990年代、ECMでは同編成の“Old and New Dreams” (1979)から十年。
 ドロドロとした1960~70年代フリージャズの復活とみるか、次の新しい音を目指した試行とみるか。
 いずれにしても穏やかな21世紀になってからは、なかなか聞けないハイテンションな音ではあります。

※少し前の演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Electric Treasures” (2008) Markus Stockhausen

“Electric Treasures” (2008) Markus Stockhausen
Markus Stockhausen (trumpet, electronics)
Vladyslav Sendecki (keyboards, piano) Arild Andersen (bass, electronics) Patrice Herl (drums, percussion, voice, electronics)

Electric Treasures
Markus Stockhausen
Aktiv
2008-08-04


 ドイツのトランぺッターMarkus Stockhausen のライブアルバム。
 クラシックがメインの人?なのだと思うのですが、ECMでも“Karta” (1999)などのリーダー作、客演含めていくつかの作品があります。
 本作はデンマーク?のレーベルから。
 10年ほど前の作品“Karta”に近いメンバーでのワンホーンカルテット。
 ノルウェーのスーパーベーシストArild Andersenと縁が深いようで、そのド派手で強烈なグルーヴのジャズベースと、電子音を多用した近未来サウンド、Miles Davis的なクールなトランペットの取り合わせが、私が知る限りの特徴的なところ。
 本作もそんな一作、但し、“Karta” と比べると随分穏やかです。
 とてもとても心地よいコンテンポラリージャズ。
 CD二枚、全11曲の組曲。
 寂寥感と哀愁感の強いメロディ、静かな電子音とヒタヒタと迫ってくるビート。
 こらまた静かながら縦横無尽に動きまくるベースに、Miles Davis的なクールなトランペット。
 音楽が進むと徐々にビートが強くなり、例のド派手なベースとギターの代わりのグチョグチョシンセサイザーが暴れる場面もありますが、そんな場面もスッキリした印象。
 電子音が先行しても決して無機質にはならない、激しい演奏になってもうるさくはならないのは、最高のベースとドラムゆえでしょうか。
 近未来的な音、激烈なフリージャズ、ルバートでのスローバラード、アコースティック4ビート、その他諸々、コンテンポラリージャズでありそうな構成が全部突っ込まれたような演奏群。
 さらにドラマチック。
 1970年代ECM、Eberhard Weberの諸作を想い起こします。
 CD二枚目、後半のステージになると激しさ、アバンギャルドさ、あるいはエスニックな色合いも増してきますが、それらもドラマの一端。
 最後は幻想的なムードからオープンホーンで奏でられるちょっとベタつき気味のセンチメンタルなメロディ、徐々に盛り上がりつつも悲し気な表情で幕。
 とにもかくにも、静かな場面から激しい場面まで、全編ですさまじいArild Andersenのベース。
 もちろんリーダーもクールで端正な素晴らしい演奏。
 最初から最後まで、難解な部分なし、長尺、二時間、二枚組がスルっと聞けてしまう素晴らしい演奏。
 隠れた名作です。

※少し前の時期の別のバンドから。


posted by H.A.

【Disc Review】“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) Arild Andersen, Ralph Towner, Nana Vasconcelos

“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) Arild Andersen
Arild Andersen (bass) Ralph Towner (guitars) Nana Vasconcelos (percussion, voice)
Audun Kleive (snare drum)

If You Look Far Enough
Arild Andersen
Ecm Import
アリルド アンデルセン 
ラルフ タウナー
ナナ バスコンセルス
 


 ECMオールスターでのトリオ+αでのセッション。
 編成は普通のギタートリオなのですが、このメンバーですので普通ではありません。
 Ralph Townerのトリオではハイテンションな名作”Batik” (1978)がありますが、全く違う質感。
 楽曲提供からするとリーダーはArild Andersenなのでしょう。
 Ralph Townerの出番は少なめ、ベースがリードし前面に出る場面、Arild Andersen、Nana VasconcelosのDuoでの演奏が印象に残ります。
 Arild Andersenのいつものド派手なベースが炸裂するハイテンションな演奏から、穏やかなスタンダード演奏まで多種多様。
 ブンブン唸るベースに瑞々しいギター、妖し気なパーカッションと幻想的なボイス。
 そういった演奏を想像してしまいますが、それは2-3曲。
 そちらは、サディスティックなまでに攻撃的なベースと、それに呼応するハイテンションなギター。
 何かの格闘技を見ているような演奏。
 淡々とビートを出し、時折奇声を挟むNanaさんがレフリー役。
 そんな演奏を間にはさみながら、半数以上は穏やかで幻想的な演奏。
 ゆったりとしたテンポと妖しげで抽象的なメロディ。
 ループを使ってシンセサイザー的な音を作っているベース。
 妖しげなビートを出し、奇声を上げるNanaさん。
 先の展開が予想できないフリーインプロビゼーション的な演奏が印象に残ります。
 ちょっと気の利いたメロディと演奏力で押し切ってしまえばそれだけで凄いグルーヴの凄いアルバムができていしまいそうですが、そうはしないクリエイティブな人達。
 凡人からは想像できない明後日の方向に向かって進んでいるように感じる部分も無きにしも非ず。
 さすがECM、Arild Andersen。




posted by H.A.

【Disc Review】“Aero” (1988) Masqualero

“Aero” (1988) Masqualero
Arild Andersen (double bass) Jon Christensen (drums) Tore Brunborg (saxophone) Nils Petter Molvær (trumpet) Frode Alnæs (guitar)

Aero
Masqualero
Polygram Records
マスカレロ
アリルド アンデルセン 


 北欧オールスターバンド、“Bande a Part” (1986)に続くECMでの第二作。
 ピアニストが抜け、ギタリストが加わり、妖しさ、不思議感が増幅。
 ギターはノルウェー出身、同郷のTerje Rypdalを想わせるズルズルグチャグチャ、過激なクリエイティブ系ロックギター。
 “Molde Concert” (1981)のBill Freselも過激でしたが、さらに過激かもしれません。
 本作も淡くて抽象的なArild Andersenの楽曲中心。
 ビートは明確なのですが、メロディ、コード、その展開は不思議系、予測不可能。
 漂うような抽象的な空間を切り裂くようなトランペット、激烈なギター。
 前作ではトランペットが印象的でしたが、本作の主役は激烈なギターかもしれません。
 そんな演奏からスタート。
 中盤、ロック的な激しいビートの演奏もはさみながら、静かで幻想的な場面を含みながら、最後まで過激感、不思議感の強い演奏が続きます。
 前作ではピアノが音楽を定常にとどめようとしていたのかもしれませんが、本作はさらに自由。
 かといってフリージャズのように混沌にはいかないのがこのバンドの妙。
 Arild Andersenは本作でもベースソロを含めて激しくは弾きません。
 全編を漂う寂寥感はいつものこの人の色合い。
 これまた、不思議感、そして緊張感、過激感、さらに寂寥感溢れるコンテンポラリージャズ。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bande a Part” (1986) Masqualero

“Bande a Part” (1986) Masqualero
Arild Andersen (double bass) Jon Christensen (drums) Jon Balke (keyboards) Tore Brunborg (saxophone) Nils Petter Molvær (trumpet)

Bande À Part
Universal Music LLC
マスカレロ
アリルド アンデルセン 


 スウェーデン、ノルウェー混成、北欧クインテットによるコンテンポラリージャズ。
 ECMでの第一作。
 凄いメンツ。
 1980年代、ECM第二世代のオールスターバンド。
 Arild Andersen、Jon Christensenは1970年代からのベテランですが、他は一世代下の有望アーティスト。
 ECMとしても、1970年代にビッグネームに育ったKeith Jarrett、Pat Metheny、Ebarhard Weber、Jan Garbarek、Ralph Townerその他が一段落つき、次の新しい音、あるいは次のタレントを模索していた時期のように思います。
 バンド名はWayne Shorterの曲から戴いたのでしょうか?
 確かに妖しいムード、ふわふわとした抽象的なムードは共通です。
 楽曲がArild Andersenの作品中心ですので、彼が事実上のリーダーなのでしょう。
 決してフリーではないのですが、先の読めない楽曲、展開。
 どこまで行ってもはっきりしたとらえどころが見えない不思議な質感。
 そんな中でNils Petter Molværが吹きまくっています。
 後のリーダー作“Khmer” (1996-1997)あたりでは抑制的な音使いが印象に残りますが、ここではビックリするぐらいバリバリと吹きまくり。
 フレージングの癖はそのままですが、同じトランぺッターとは思えません。
 張り詰めた音に強烈な抑揚、表現力。 Tore BrunborgもJan Garbarekを少し丸くしたような音で激しく吹いています。
 Arild Andersenは意外にも抑えた演奏。
 いつものド派手なベースソロはあまり出てきません。
 名手Jon Balkeも同様、フィーチャーされる場面は少なく、背景作りに徹しています。
 といった感じで、ポストフリージャズ、ポスト1970年代ECM、新しいサウンドに向けた試行そのいくつか、といった面持ち。
 1970年代のArild Andersen 諸作“Clouds In My Head” (1975)、“Shimri” (1976)、 “Green Shading Into Blue”(1978)、あるいは“Molde Concert” (1981)はわかりやすかったのですが、このバンドはちょっと異質。
 それらはとても素晴らしい作品群だったと思いますが、そこに止まろうとはしないクリエイティビティ。
 全編に不思議感漂う、当時とすれば新手のコンテンポラリージャズ。



posted by H.A.
 

【Disc Review】“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen

“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Vassilis Tsabropoulos (piano) John Marshall (drum)

Triangle
Arild Andersen
Ecm Records
ヴァシリス・ツァブロプーロス
アリルド・アンデルセン


 Arild Andersenリーダー名義のピアノトリオ。
 “Achirana” (1999)と全く同じメンバー。
 Vassilis Tsabropoulos の作品としては、間にクラシック色のピアノソロ“Akroasis” (2002)があります。
 半数の楽曲がVassilis Tsabropoulosの作品ですので、事実上、双頭リーダー作なのかもしれません。
 前作は静謐なイメージでしたが、本作はアグレッシブさを前面に出したエキサイティングな演奏。
 Vassilis Tsabropoulosのピアノはクラシックのテイストながらも、強烈なスピード感、疾走感。
 1970年代のKeith Jarrett、Steve KuhnやRichie Beirachを想わせるようなピアノ。
 Manfred EicherとしてはVassilis Tsabropoulosに彼らのようになっていくことに期待していた?
 ・・・かどうかはわかりませんが、以降、彼のジャズ的な演奏は私が知る限りありません。
 この作品からもう十年以上経っていますので、この種の強烈なジャズはやらないのでしょうね。
 また、他のアーティストも含めて以降のECMのピアノ作品自体が穏やかな作品か、複雑で難解な作品が多くなっているように思います。
 さておき、本作はそんな1970年代のハイテンション系ヨーロピアン・コンテンポラリージャズを想わせるような強烈なピアノトリオ。
 美しいタッチ、上品なクラシックの香りを漂わせながら突っ走るピアノ。
 ヤクザなまでにド派手な超人的なベース。
 曲がどうのとかに関わらず、それらだけで名作ができてしまいます。
 この美しく、妖しく、クールで知的なイメージと、強烈なグルーヴ、アグレッシブな演奏のフュージョンがECMの真骨頂・・・
 なんてのは古い感覚なのでしょうか?
 とても美しくも激しい、強烈なピアノトリオアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“Achirana” (1999) Vassilis Tsabropoulos

“Achirana” (1999) Vassilis Tsabropoulos
Vassilis Tsabropoulos (piano)
Arild Andersen (double bass) John Marshall (drums)

Achirana
Vassilis Tsabropoulos
Ecm Import
ヴァシリス・ツァブロプーロス


 ギリシャのピアニストVassilis Tsabropoulosのピアノトリオジャズ。
 他の作品を聞く限り、おそらくクラシック畑の人なのでしょう。
 が、本作では美しくも妖しいコンテンポラリージャズピアノ。
 超弩級にアグレッシブなベーシストとプログレッシブロック系のドラマーとのトリオ。
 冒頭からいかにもECMなリズムもメロディも漂うインプロビゼーション。
 静謐で間の多い空間の中に響く美しくも妖しいピアノ。
 徐々にペースが上がっていくとKeith Jarrett Standardsのようなムード。
 このアルバム含めてジャズを演奏するVassilis TsabropoulosにはKeith Jarrettの影を強く感じます。
 クラシックの香りと強い緊張感を伴う張り詰めたジャズピアノ。
 要所で現れる強烈な加速感のパッセージ。
 静かながら感傷的なオリジナル曲とインプロビゼーション。
 他のアルバムでは全くスウィングしない演奏も少なくないのですが、本作ではビートが効いています。
 背後で激しく動くベースと静かに淡々とビートを刻むドラム。
 いつもはド派手なベースを弾く人ですが、本作では全体の静謐なムードに合わせてか、暴れまくる場面は多くありません。
 抑制された音使いがかえって凄みを増しているようにも思います。
 全体を通じて“Tales Of Another” (1977) Gary Peacockあたりのムード。
 静謐ながら要所で音量を上げ強烈なグルーヴ、大爆発する展開。
 大化けしそうな雰囲気のあるバンド。
 が、残念ながら後続するジャズ作品は“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen一作のみ。
 もちろん後のクラシック的な作品もいいのですが、スーパージャズピアニストとしても期待・・・
 でも、やりたいことではないのでしょうね・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“NOMAD” (2005) Ferenc Snetberger

“NOMAD” (2005) Ferenc Snetberger
Ferenc Snetberger (guitar)
Arild Andersen (bass) Paolo Vinaccia (drums)

NOMAD
Ferenc Snetberger
ENJA
フェレンツ シュネートベルガー
アリルド アンデルセン

 ハンガリーのギタリスト。
 ノルウェーのベースシストとイタリアのドラマー。
 多国籍ヨーロピアンの組み合わせ。
 アコースティックギターを中心としたギタートリオ。
 いかにも東欧っぽい、哀感の強いヨーロピアンジャズ。
 ちょっと変わった感じのマイナーチューンが多く、これがハンガリーっぽい曲調なんでしょうかね。
 アラブなのかインドなのかヨーロッパなのか、諸々絡み合ったような不思議で少々妖しい質感。
 ギターもスパニッシュのようでもあるし、インドっぽくもあるし、ジャズっぽいといえばそうだし・・・これまた少々不思議な感じ。
 これがハンガリー・ギター?ジプシー・ギター?
 カテゴリはよくわりませんが、終始何とも言えないエキゾチックな哀愁感が流れていて、もの悲しい音色と相まって、センチメンタリズムの塊のような音。
 ド派手系ベーシストArild Andersenもいつになく落ち着いた感じ。
 が、時折り繰り出すお約束の激情系高速フレージングはいつも通り。
 これが出ると空気感が一転。
 穏やかで淀んでいた空間が一気に切り裂かれ、閃光が走るというか、そんな感じ。
 他のベーシストだと地味になってしまいそうな所をいい感じで盛り上げているなあ。
 ドラマーも変幻自在。ジャズやらインド的なリズムやら。
 自然なグルーヴ、エキゾチックな香り、それでも分かりやすくて、カッコいいアコースティックギタートリオ。
 なお本作はドイツのEnjaから。
 ECMっぽい人だなあ、と思っていたら、2016年、ECMから新譜が出るようですね。


 
※別のバンドですが、これもカッコいい。


posted by H.A.

【Disc Review】“Karta” (1999) Markus Stockhausen

“Karta” (1999) Markus Stockhausen
Markus Stockhausen (trumpet)
Arild Andersen (bass) Patrice Héral (drum, percussion, electronics) Terje Rypdal (guitar)

マルクス シュトックハウゼン

 ドイツのトランぺッターMarkus Stockhausenの不思議なジャズ。
 インプロビゼーション色が強いのだけど、概ね曲がありそうだし。
 ルバート的なバラードはあるけども、基本的にはリズムは定常、フリーではないし。
 電子音が飛び交い、エフェクティングの強いギターもあるけども、全体ではアコースティックな質感が強いし・・・。 
 参加していたRainer Brüninghaus の“Continuum” (1983)に雰囲気は近いのかもしれないけども、もっとワイルドで激しく、複雑。
 静謐と激烈、電子的近未来的な響きとウッドベースの響きが醸し出すジャズの響きの交錯・・・
 うーん、どう説明すべきかよくわからん。
 編成はシンプルなギタートリオを従えたトランペットカルテットなのですが、とてもそんな感じではありません。
 不思議な質感の近未来的ジャズ、ときおり激烈系。
 クールなトランペットはMiles Davisの影響が強そうだし、音楽全体もエレクトリックMiles派生、その近未来型といった感じがしないでもありません。
 静かに電子音が響く中でのクールな音がとてもスタイリッシュ。
 さらに、クールなたたずまいから、時折見せるブチ切れた音の狂気がこれまたクール。
 Terje Rypdalは一たび弾き始めると、例のズルズルグチョグチョの超ドラマチックロックギター。
 伝統的ジャズの耳で聞いても、凄いのがArild Andersen。
 ソロはもちろん、バッキングでも凄まじいベース。
 リズムを出すと凄まじいグルーブだし、いつもの激情系超高速フレーズがそこかしこに。
 忘れたころに突然登場してきて、淀んだ空気、不穏な空気を一気に切り裂く正義の味方、ってな見方は変ですかね。
 ベースが前面に出てきてバンドが強烈にグルーヴし始めるとホッとしたりして・・・
 ド派手な人ですが、この人がベースを弾くと、なんだかんだで4ビートジャズの香りがします。
 その強烈なグルーヴに乗って狂気のギターとトランペットが交錯するすさまじいインプロビゼーションの場面もしばしば。
 そんな感じの伝統的ジャズと近未来系ジャズの融合、ときおり激烈系。
 もう15年以上前の音源ですが、今の耳で聞いてもとてもクリエイティブです。 





posted by H.A.

【Disc Review】“Molde Concert” (1981) Arild Andersen

“Molde Concert” (1981) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Bill Frisell (guitar) John Taylor (piano) Alphonse Mouzon (drums)
 
Molde Concert
Universal Music LLC
アリルド アンデルセン 



 あまり有名ではないアルバムなのかもしれませんが、ものすごい演奏。
 メンバーはオールスター、悪いはずはないのですが、しっとりしたヨーロピアンジャズか?フリーっぽいのか?はたまた民族音楽系か?と思うと大違い。
 ハードロック。
 エレクトリックマイルス、あるいはウェザーリポートの発展系。
 それも超攻撃的バージョン。
 まあ、リーダーのベースの派手さ加減を考えるとこれもあるかな、と思いながらも、ちょっと想像できない凄まじさ。
 ディストーションが効いたギターがギュインギュイン。
 Bill Frisellってこんなギターだったけ?歪んだ音でチョーキング使いまくり。
 でも音がキレイでフレーズはメロディアス。
 バックに回ると例の漂うようなスペーシーな音作り。
 ロック的なギターが苦手になってしまった私にとっても文句なしにカッコいい演奏。
 さらに、ピアノがガンガンゴンゴン、でもソロになると格調高いいつものJohn Taylor。
 ドラムはもちろんウェザーリポート的だったり、エレクトリックマイルス的だったり。
 終始攻撃的で激しいドラム。
 その上で、リーダーのベースはあくまでジャズっぽい。
 なんだかんだで4ビートが特にカッコいい。
 ウォーキング云々・・・といった大人しいニュアンスではなく、後ろからものすごい力で押しまくられているような感じの推進力。
 4ビートはもちろん8ビート系でも超強力。
 もちろんウッドベースで。
 さらにソロになると誰もマネできないようなエキサイティングな展開。
 超攻撃的。
 メンバーも必死にくらいついていき、結果、大爆発・・・
 そんな演奏がぎっしり。
 曲は4ビートを絡めつつも、プログレッシブロックっぽかったり、フォークロックっぽかったり、ウェザーリポートっぽかったり、さまざまな表情。
 ジャズファンよりロックファンのからの方が受けがいいんだろうなと思いつつも、最高にエキサイティングでカッコいいあの時代のジャズ。
 もちろん今聞いても最高にカッコいい音楽。




posted by H.A.
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