吉祥寺JazzSyndicate

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Aaron_Parks

【Disc Review】“Find the Way” (2016) Aaron Parks

“Find the Way” (2016) Aaron Parks
Aaron Parks (piano)
Ben Street (bass) Billy Hart (drums)
 
FIND THE WAY
PARKS/STREET/HART
ECM
2017-04-21


 現代アメリカ、コンテンポラリージャズのピアニストの代表選手の一人であろうAaron Parks、ECMでのリーダー作第二弾。
 前のECM作品“Arborescence”(2011)はソロピアノでの静かなインプロビゼーション。
 いかにもECM的ではあるものの、ニューヨーク系コンテンポラリージャズピアノのAaron Parksのイメージからすると、あれれ?な意外な音。
 が、本作、オーソドックスな編成のトリオで、ジャズなAaron Parksが戻ってきました。
 冒頭曲、複雑だけども軽快なビート。
 ブルース色の無い、かといってクラシックっぽくもない、現代的なクールなムード。
 タメと疾走が交錯する浮遊感の強い軽快なピアノ。
 大御所Billy Hartのドラムは、”Invisible Cinema”(2008)のEric Harlandのように今風な軽快さや疾走感はないのかもしれないけども、変幻自在。
 現在の自身のバンドのBen Streetとともに、あの時代の少々重々しく深刻な感じを醸し出しているようにも聞こえます。
 ジワジワと高揚してくるような展開。
 景色が変わっていくように遷移するコードの流れ。 
 テンションを上げつつも激情にはならない、センチメンタルなようで涙ちょちょ切れにはならない、いかにも現代の若者らしいクールな音の流れ。
 Aaron Parksの音です。
 二曲目はボッサなビート。
 同じようにほんの少しだけセンチメンタルで淡いメロディとフワフワしたピアノ。
 そんな演奏が続きます。
 似合っているかどうかはさておき、ECMのお約束、フリーなビート、ルバートでのバラードな場面もあります。
 フワフワとした奇数拍子系の浮遊感の強い演奏が多めでしょうか。
 締めも穏やかなバラード。
 オシャレです。
 ”Invisible Cinema”(2008)のような、浮遊感とともに強烈に突っ走る感じ、斬新さはありません。
 むしろ、オーソドックスな組み立てでよくできたピアノトリオジャズ。
 毒気は無く、安心して聞けるアメリカンな音。
 その意味ではECMな感じではないのでしょうね。
 Aaron Parksの音とECMの音、融合の方法、模索中、ってな感じでしょうか。
 さて次はどんなメンバーを集めて、どんな音を作るのやら?
 この人しかないような相性のMike Morenoとやって欲しいなあ・・・って、ECMかあ・・・?

※少し前ですが、メンバーは同じ。ECMが引き合わせた訳ではないのかな?

【Disc Review】“Invisible Cinema” (2008) Aaron Parks

“Invisible Cinema” (2008) Aaron Parks
Aaron Parks(Piano)
Matt Penman (bass) Eric Harland (drums) Mike Moreno (guitar)

Invisible Cinema
Aaron Parks
Blue Note Records
2008-07-24
アーロン パークス

 私的に近年のアメリカ系コンテンポラリージャズの代表作と思っているアルバム。
 特徴は「浮遊感」、あるいは「軽さ」(悪い意味ではありません)。
 何拍子かわからない複雑なビート、やたら手数が多いドラム。だけども個々の音は妙に硬質で軽く、うるさくない。
 微妙なタメがあるうえに強烈な疾走感のあるピアノ。
 が、強烈に打鍵する場面はあまりなく、あくまで流麗で柔らかな音の組み立て方。
 ヨーロピアン、クラシック、あるいはKeith Jarrettあたりの影響が強いのかなとか思いつつも、そうでもなさそうな新しいタイプ。
 さらに、Mike Morenoのギター。
 Pat Metheny的な艶のある丸い音の輪郭を明確にした感じの音色。
 早く弾きまくるのではなく、あくまでゆったりとフレージングを中心としながら、なぜか時折強烈な疾走感。
 これまた流麗でしなやか。
 曲はメロディアスなんだけども、どこか不思議系。
 かといってシリアスではなく、暗くもありません。
 中には妙にプログレッシブロックっぽかったり、フォークロックっぽかったり、いろんな要素が入り混じります。
 ロック世代だったり、デジタル世代だったりするゆえの音使い、音作りなのかな。
 結果、全体では浮遊感が強く軽快で、さりげない印象の音楽。
 これが心地いいし、新しい。



posted by H.A.

【Disc Review】“Arborescence” (2011) Aaron Parks

“Arborescence” (2011) Aaron Parks
Aaron Parks (Piano)

Arborescence
Aaron Parks
Ecm Records
アーロンパークス

 ”Invisible Cinema” (2008)がカッコよかったコンテンポラリージャズ系ピアニスト、筆頭株のひとり。
 米国人?なのでしょうが、クラシックやヨーロッパの香りも漂っていて、柔らかな音で疾走感のある展開が得意そうな新しいタイプ。
 そんな中でのECMへの移籍。
 これは期待度120%。
 さて、一曲目、漂うようなバラード。
 Asleep in the Forestのタイトル通りに、美しくも怪しい不思議で静謐な演奏からスタート。
 これはキタかなあ、と思いつつ聞いていると、あれれ、そのまま盛り上がらずに終わってしまいます。
 まあ、始めはこんな感じかなあと思いつつ二曲目。
 これも美しく静かな流れで思索的に始まり、段々と盛り上がっていきます。
 タイトルはToward Awakening。
 その通りのイメージ。
 さて、来るかな、と思っていると音量を落とし終わります。
 以降も似た印象。
 全て即興のようですが、いずれも美しい曲、美しいピアノ。
 まとまりもよい。
 でも盛り上がらない。
 うーん。
 ”Invisible Cinema”のような疾走感や、さりげない昂揚感を期待してはいけなかったのかな。
 ま、先入観や願望はさておき、落ち着いたピアノが聞きたいときにはピッタリの好アルバムであります。




posted by H.A.
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