吉祥寺JazzSyndicate

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【Disc Review】“Pasodoble” (2006,2007) Lars Danielsson & Leszek Możdżer ‎

“Pasodoble” (2006,2007) Lars Danielsson & Leszek Możdżer
Lars Danielsson (Bass, Cello ) Leszek Możdżer (Piano, Celesta, Harmonium)

ラーシュ ダニエルソン
レシェック モジジェル


 親分Lars DanielssonとLeszek Możdżerのデュオ作品。
 ジャズっぽいLeszek Możdżerを聞くとなるとこれが一番いいのかな?
 Larsさんの激甘哀愁曲、Leszek Możdżerのオリジナルを中心に素直な演奏。
 ガンガンゴンゴン、ピキピキパキパキ・・・、ってな感じではないですが、やはり切れ味は抜群。
 ソロ作品ではぶっ飛び気味、共同名義トリオ作品では抑制気味、その中間あたりのLeszek Możdżerの素晴らしいピアノを存分に。
 でもこのアルバムで凄いのはベーシストLars Danielsson。
 いつになく弾きまくり。バックでのカウンターは凄いし、アップテンポでのソロなど鬼気迫るような凄まじさ。
 ともすれば控えめだったバンドやトリオでのベースは、サウンド作りに徹していたからなのでしょうかね。
 Leszek Możdżerを聞こうと思っていても、Lars Danielssonに惹かれる場面が多々。
 やっぱ親分の凄みは一味違うわ。
 もちろん寂寥感あふれる北欧~東欧ジャズとして、素晴らしい作品です。


 


posted by H.A.

【Disc Review】“Salzau Music On The Water” (2006) Danielsson, Dell , Landgren

“Salzau Music On The Water” (2006) Danielsson, Dell , Landgren
Lars Danielsson (bass) Nils Landgren (trombone) Christopher Dell (vibraphone)

ラーシュ ダニエルソン

 Lars Danielsson番外編。
 ミュージシャンはお三方+風、鳥。
 湖畔にwind-bell並べて、鳥のさえずりと風に任せてインプロビゼーション・・・、でもないか?
 まあ、そんな感じの自由な音楽。ゆるくて、のどかで、平和でいい感じ。
 訥々としたvibraphone, 抑えたtromboneがとても素敵だし、Larsさんらしくグルーヴする演奏もたくさんありますのでご安心を。

posted by H.A.

【Disc Review】“Libera Me” (2004) Lars Danielsson

“Libera Me” (2004) Lars Danielsson
Lars Danielsson (bass, cello, piano, guitar)
Jon Christensen (drums, percussion) Nils Petter Molvaer (trumpet) Xavier Desandre Navarre (percussion) David Liebman (soprano saxophone) Anders Kjellberg (cymbals) Jan Bang (samples) Carsten Dahl (piano) Tobias Sjögren (guitar) Cæcilie Norby (vocal) DR Danish Radio Concert Orchestra

ラーシュ ダニエルソン

 近年のLars Danielssonの「北欧哀愁小説ジャズ」?路線が始まったのがこの作品ぐらいでしょうか?
 この前、David Liebmanと組んでいたバンドとは少し違った音作りのように感じます。
 後続の”Tarantella”(2009) “Liberetto”シリーズ(2012,2014)に近い質感。
 とてもセンチメンタルな、物語性のありそうな楽曲とハイテンションな演奏との組み合わせ。
 印象的なのは、豪華なホーン陣、オーケストラに加えて、ピアノのCarsten Dahl。
 音色が美しく、テンション高くて強烈な疾走感のある音使い。自作“The Sign”(2002)の凄みがそのまま。
 民族的、童謡的メロディの質感とジャズのフュージョン、ストーリー性を持たせた音作り。 近いイメージの作品を作る若手も少なくないし、この人が近年のヨーロピアンジャズの土台を作ったようにも思います。
 後の共演メンバーMathias Eickの作品“Skala” (2010)などもこの路線。
 が、それらと比べると、Larsさんの作品は少々重くて沈痛度が高いかもしれません。
 それが時代、世代の変化なのかもしれませんね。





posted by H.A.

【Disc Review】“Liberetto” (2012) Lars Danielsson

“Liberetto” (2012) Lars Danielsson
Lars Danielsson (bass, cello, Wurlitzer)
Tigran (piano, vocal) John Parricelli (guitar) Arve Henriksen (trumpet) Magnus Öström (drums & percussion)

ラーシュ ダニエルソン

  前掲の“Liberetto II” (2014)の前編。
 こちらも「北欧哀愁小説ジャズ」。
 Libretto:台本の意であれば、まさにそのタイトルにふさわしい音楽。
 寂寥感の塊のようなハスキーなトランペットに導かれるように始まる物語。
 悲しくて、寂しくて、あるいは懐かしい音。
 美しいオリジナル曲、中にはジブリ映画のテーマにもなりそうな、日本童謡に通じるような懐かしいメロディ。
 計算しつくされた構成、それに応えるメンバーのイマジネーション。
 一曲一曲、また、全てのアンサンブル、全てのインプロビゼーションにストーリーが感じられる音作り。
 本作の主役はピアノ。
 堅実なベースと乾いたドラムを背景に、どこまでも疾走する激しいピアノ。悲しさ、寂寥感の中の激情。
 このアルバムも悲しみにあふれた短編小説集。
 ジャズと呼ぶにはあまりにもモダンジャズとは違う質感、ドラマチックなLars Danielsson Music。 




posted by H.A.

【Disc Review】“Liberetto II” (2014) Lars Danielsson

“Liberetto II” (2014) Lars Danielsson
Lars Danielsson (bass, cello, piano)
Tigran (piano, fender Rhodes) John Parricelli (guitar) Magnus Öström (drums, percussion, electronics) Mathias Eick (trumpet) Dominic Miller (guitar) Cæcilie Norby (voice) Zohar Fresco (percussion & vocals)

ラーシュ ダニエルソン

 スウェーデンのベーシストLars Danielsson最近作。
 近年は若手の素晴らしいメンバーを集めたバンドで、メランコリックなジャズ。
 このアルバムも全編に寂寥感、哀愁感が流れるドラマチックな音楽。
 全ての曲がとても悲しい短編小説のよう。
 Larsさんの書くとても甘くて、切ないメロディ。
 時折現れるメジャーコードにほっとしながらも、気がつけばまた寂寥の空間。
 でも決して絶望ではなく、ほのかな温かさがある音作り。悲劇ではなく寂寥、哀愁。
 美しくて悲しいメロディ、コードの上を疾走するピアノと、決して重くならない乾いたドラム、彩りをつけるトランペットとギター、それらを時には加速させ、時には引き留めるベース。
 すべてのインプロビゼーションが一つ一つに起承転結がある一場面。
 「北欧哀愁小説ジャズ」とでも名付けますかね。




posted by H.A.

【Disc Review】"Bridges" (2015) Adam Baldych / Helge Lien Trio

"Bridges" (2015) Adam Baldych / Helge Lien Trio
Adam Baldych (violin)
Helge Lien (piano) Frode Berg (double bass) Per Oddvar Johansen (drums)

ヘルゲ リエン
アダム バウディフ


 ポーランドのバイオリニストとノルウェーのピアノトリオの共演。
 明るくドラマチックなヨーロピアンジャズ。
 ほぼ全曲Adam Baldychの作曲。
 どんな系統の人なのか詳しい情報はありませんが、基本的には現代的なわかり易いメロディ。
 北欧の親分Lars Danielssonっぽかったり、複雑な作りでも妙に優雅に聞こえる曲があったり、多種多彩。
 ジャズっぽくテーマを提示してインプロ・・・ではなく、静かに始まり、バンド全体で徐々に盛り上がって~大団円、といったドラマチックな構成が中心。
 バイオリンは少なくともこのアルバムでは素直な音使い。
 奇をてらうわけでなく、過激な音や難解なフレーズを使うわけでもなく、コードとリズムに素直にフレーズを乗せるスタイル。
 Helge Lienは本作では美しく上品なピアノ、優しい顔のHelgeさん。
 過度の緊張感や過激な色は抑えて、美しいピアノで整ったサポート。
 といった感じで、全体的なイメージは明るいヨーロピアンジャズ。
 バイオリンとHelge Lienとの壮絶なインタープレイ・・・とか、静謐ながら妖しく鬼気迫る緊張感・・・といった場面は出てきませんが、リラックスして聞ける上質なバイオリンジャズ。
 朝とかに合うかな・・・それにはちと重いか・・・




posted by H.A.

【Disc Review】”Live in Concert” (2014) Manu Katché

”Live in Concert” (2014) Manu Katché
Manu Katché (drums)
Luca Aquino (trumpet) Tore Brunborg (tenor saxphones, synth bass) Jim Watson (piano, Hammond organ)

Live in Concert
Manu Katche
Act Music + Vision
2015-01-13
マヌ カッチェ

 ECMレコードでの諸作がとても素晴らしかったフランス人ドラマーManu Katché、同じくドイツのACT Musicへの移籍第一弾、ライブ録音。
 メンバーは“Manu Katché” (2012)からトランぺッターが変わったのみ、曲はECMに録音したもの中心。
 さて、予想通り、良くも悪くもECMマジックが解けた明るく元気なManu Katche。
 明るい本人のキャラクターとレーベルカラーの微妙な関係が特別な音を作っていたように思いますが、本作で本人側に振り切ったイメージ。
 “Playground” (2007)あたりまではしっとりとした感じが全篇を支配、“Third Round” (2010)で明るさが前面に出てきて・・・移籍・・・ま、そういうことなんでしょう。
 さて本作、いかにもライブ録音、とてもエキサイティングなコンテンポラリージャズ。
 8ビート的なリズムを基調に、乾いたスネアの音が強烈なドラム。静かに舞い散るようなシンバル音は聞こえなくなりましたが、それでもメリハリの強い素晴らしいドラム。
 インプロビゼーションのスペースもたっぷり。 トランペット、テナー、ピアノともに強烈な演奏。
 サックスはスタジオ録音からは想像できない暴れっぷり、トランぺッターも静々としたサブトーンの強い音の再現から激情系まで、さらにはオルガンのブチ切れた演奏・・・。
 曲は寂寥感が強い彼独特のメロディですが、爆発力のある演奏の勢いの勝ち。
 ライブではいつもこうだったんでしょう。
 ドカーンと盛り上がるステージがそのまま詰め込まれたアルバム。
 上質で派手ではないベルベットのジャケットから、革ジャンに着替えたManu Katché。
 どちらがいいかはお好み次第。
 残念なのは、ECMのManu Katchéのような素敵な音楽をやる人が他にはいないこと・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Live in Concert" (2014) Manu Katché

”Live in Concert” (2014) Manu Katché
Manu Katché (drums)
Luca Aquino (trumpet) Tore Brunborg (tenor saxphones, synth bass) Jim Watson (piano, Hammond organ)

Live in Concert
Manu Katche
Act Music + Vision
2015-01-13
マヌ カッチェ

 ECMレコードでの諸作がとても素晴らしかったフランス人ドラマーManu Katché、同じくドイツのACT Musicへの移籍第一弾、ライブ録音。
 メンバーは“Manu Katché” (2012)からトランぺッターが変わったのみ、曲はECMに録音したもの中心。
 さて、予想通り良くも悪くもECMマジックが解けた、明るく元気な爆発力のあるManu Katche。
 明るい本人のキャラクターとECMのレーベルカラーの融合が特別な音を作っていたように思いますが、本作で本人側に振り切ったイメージ。
 “Playground” (2007)あたりまではしっとりとした感が全篇を支配、“Third Round” (2010)で明るさが前面にでて、“Manu Katché” (2012)で再びしっとり・・・移籍・・・ま、詮索は止めときましょう。そういうことなんでしょう。
 さて本作、いかにもライブ録音、とてもエキサイティングなコンテンポラリージャズ。
 8ビート的なリズムを基調にスネアの音が強烈なビシバシドラム。静かに舞い散るようなシンバル音は聞こえなりましたが、それでもメリハリの強い素晴らしいドラム。
 インプロビゼーションのスペースもたっぷり。 トランペット、テナー、ピアノともに強烈な演奏。
 サックスはスタジオ録音からは想像できない暴れっぷり、トランぺッターもECMっぽい静々としたサブトーンの強い音から激情まで、さらにはオルガンのブチ切れた演奏・・・。
 曲は寂寥感が強い彼独特のメロディですが、爆発力のある演奏の勢いのの勝ち。
 ドカーンと盛り上がるステージがそのまま詰め込まれたアルバム。
 上質だけど派手ではないベルベットのジャケットから、革ジャンに着替えたManu Katché。
 どちらがいいかはお好み次第。
 残念なのは、ECMのManu Katchéのような素敵な音楽をやる人が他にはいないこと・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Tarantella” (2009) Lars Danielsson

“Tarantella” (2009) Lars Danielsson
Lars Danielsson (bass)
Leszek Mozdzer (piano) Mathias Eick (trumpet) John Parricelli (guitar) Eric Harland (drum)
 
Tarantella (Dig)
Lars Danielsson
Act Music + Vision
2009-04-14
ラーシュ ダニエルソン

 Mathias Eick繋がりで、北欧系ジャズ、近年の親分?Lars Danielssonの2009年作。
 この人、どのアルバムも独特の寂寥感が漂うカッコよく美しい北欧ジャズ。
 発表当時どのくらい話題になったのかは知りませんが、改めてメンバーをみると今をときめく凄い人ばかり。
 現代のマイルス、とまではいかないにしても、この人のアルバムに参加する人は只者では無い人ばかり。
 本アルバムの目玉はポーランドの若手ピアニストのLeszek Mozdzerかな。
 前作?のピアニストはデンマークのCarsten Dahl、最近ではアルメニアのTigran Hamasyan。
 その時その時でヨーロッパ系で一番凄い人を連れてきているんでしょうかね。
 常にピアノが前面にフィーチャーされるわけではありませんが、どのアルバムも一聴してこのピアノはスゲーや、と思わせる人たち。
 このアルバムでは、ピアノが前面に出る場面になると急に視界が開け、音楽が加速するような不思議な感覚。
 さらにサブトーンが強い悲しげなトランペットやら、流麗なギターやら。
 聞いた当時は気が付いていませんでしたが、今やファーストコールドラマーEric Harlandが何故か地味にサポート。
 さて本作、上記のような手練れが入れ代わり立ち代わり。多くはないメンバーですが曲ごとに編成が変わる変化に富んだ構成。
 さらに曲が美しい。
 Larsさんの書く曲はどれも美しく、激甘な美曲、それも日本的な雰囲気が漂う曲がちらほら。
 意外にスウエーデンと日本の土着的音楽のルーツは近いのかな?
 日本でもっと人気が出てもよさそうだけど・・・
 全体の印象はジャズ的ではあるものの、バップ色はありません。
 基本的にはメロディ重視、アンサンブル重視でビートも抑え気味。
 さらにインプロビゼーションも少々短め、抑え目。
 結果、ポップインスツルメンタルのようでもあるし、ワールドミュージック的でもあるし、クラシックのようでもあるし。
 ジャンル分けは難しいのだけども、慣れない違和感や難解さはありません。
 あくまでわかりやすい楽曲、構成。
 寂寥感の強い、美しいインスツルメンタルミュージック。
 今風の。
 但し、安っぽさはなし。
 何故か深い・・・逆に気難しく聞こえてしまうのかな?
 近年のECMでも似たような質感のアルバムが少なくないのですが、このLarsさんあたりが元祖、元締めなのかもしれませんね。



posted by H.A.

【Disc Review】"Seven Days of Fallin" (2003) E.S.T.

"Seven Days of Fallin" (2003) Esbjorn Svenson Trio
Esbjörn Svensson (piano)
Dan Berglund (double bass) Magnus Öström (drums)

Seven Days of Falling
Esbjorn Svensson Trio
Act Music + Vision
2013-03-01
エスビョルン スベンソン




 2004年の夏、何となく出向いたCDショップにて、「何か面白い音楽ない?」と新譜あさり。
 若い店員から「これいいよ」と渡されたのが、"Seven Days of Fallin"。
 「スウェーデン人?何それ?ジャズなの?」
 「ジャズだよ。」
 「ふむ。んじゃあ折角なので。」
 ってな軽い感じで何の気なしに入手したCD。
 一曲目、「なんやこれ?」と思っていたのはわずか数分の間、衝撃は二曲目。
 静かに重く、しかし色鮮やかに耳にしみ込んできたことを今も鮮明に覚えています。
 夢の中で何の脈略もなく場面が切り替わるように、突然に、しかし自然にピアノ、ベース、ブラシが荘厳に鳴り始めました。
 音の間合い、距離の取り方が絶妙、生楽器と電子ツールをうまく融合させることで一つにまとめた上げた抜群にキレイな演奏です。
 その時の感銘をいだきつつ、面白い音楽を探しています。




posted by N.A.




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