吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2010-

【Disc Review】“Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65

“Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65

Kurt Rosenwinkel (guitar, electronics)
Tim Motzer (guitar, guitar synth, electronics) Gintas Janusonis (drms, percussion, circuit bent toys)

サーチング・ザ・コンティニュウム
KURT ROSENWINKEL BANDIT65
MOCLD
2019-10-09


 コンテンポラリージャズのギタリストKurt Rosenwinkelの変則トリオ。
 ハイテンションジャズを極めた後は、モダンジャズやらブラジルやら、いろいろな色合いのアルバムがありますが、本作は少々アバンギャルドな演奏集。
 各国でのステージのライブ録音から選んでまとめたようです。
 フリーなインプロビゼーションなのかもしれませんが、無秩序でも、抽象的な場面ばかりでも、難解でもありません。
 フリーな音の動きが徐々に何かに収斂していく音の流れ。
 冒頭に収められた”Inori”は”祈り”のことでしょうか。
 そんな敬虔なムード、電子音とギター、パーカッションが絡み合う幻想的な音から始まり、漂う音の中から徐々に立ち上がってくるコードの動き、定まってくるビート、そしてあのハードなジャズの演奏そのまま、怒涛のギターインプロビゼーションへ・・・
 そんな流れの演奏が中心。
 全七偏、さまざまな表情ながら、いずれも哀しげなムード、ハイテンションな音、とてもドラマチック。
 静かで妖しい音の流れから徐々に音量とテンションが上がり、気がつけばあのどこまでも続いていきそうな凄まじいインプロビゼーションの渦の中。
 伝統のフォームを守った予定調和にならず、抽象的で不可解にならず。
 そして終盤に向けてドカーンと盛り上がるカタルシス。
 フリー、ミニマル、アンビエント、先端系などに、強烈なジャズインプロビゼーションをフュージョンした新しいバランス、かも。
 とてもカッコいいと思います。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Dreamlife of Debris” (2019) Kit Downes

“Dreamlife of Debris” (2019) Kit Downes

Kit Downes (piano, organ)
Tom Challenger (saxophone) Stian Westerhus (guitar) Lucy Railton (cello) Sebastian Rochford (drums)

Dreamlife of Debris
Kit Downes
Ecm
2019-10-25


 イギリスのピアニストKit Downes、不思議感たっぷり、静かなコンテンポラリージャズ。
 “Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønenで、漂い、疾走するカッコいいピアノを弾いていた人。
 が、ECMでの初リーダー作“Obsidian” (2017)は幻想的なパイプオルガンの独奏。
 本作ではオルガンとピアノが半々、イギリスのサックス奏者とのDuoを中心に、楽曲によってドラム、先端系ギター、チェロが加わる編成。
 冒頭は妖しいメロディと定まらないビート。
 漂うサックスと美しいピアノが織り成す強烈な浮遊感に覆われたコンテンポラリージャズ、いかにもECMの世界。
 が、オルガンが加わると様相は変わってきます。
 “Obsidian” (2017)と同様、宇宙的な感じ、アンビニエントなイメージ。
 チェロが加わるとクラシカルな色合いが加わり、ギターが静かに鳴ると未来的な感が強くなります。
 そんな空気感に支配された淡い音楽。
 ときおり聞こえるピアノに覚醒しつつも、静かで穏やかな音の流れの中で微睡の中へ・・・
 締めはオルガンが前面に出て厳かで穏やかながらドラマチックなエンディング。
 全編通じて淡く穏やかな音の流れ。
 宇宙的な廃墟感というか、デカダンスというか・・・
 ジャケットはオーロラっぽい雲のポートレート、タイトルは"瓦礫の夢の生活?"。
 確かにそんな感じの音。




posted by H.A.

【Disc Review】“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

Kendrick Scott (Drums)
Michael Moreno (Guitar) Taylor Eigsti (Rhodes) Joe Sanders (Bass)
John Ellis (Tenor Saxophone) Jahi Lake (Turntabalist)

A Wall Becomes A Bridge
Kendrick Scott Oracle
Blue Note
2019-04-05


 Kendrick Scottのアメリカンコンテンポラリージャズ。
 前々作“Conviction” (2013), 前作“We Are The Drum” (2015)とコアのメンバーは変わらないバンドOracleでのアルバム。
 ここまでのアルバムと同じ線ですが、少しジャズな感じ、ポップさが抑えられ、不思議感が増した感じ、より未来的になった感じ。
 複雑に動きながらも柔らかなビート、飛び交う電子音、ループ。
 派手な先端ドラム、美しいギター、浮遊から疾走まで何でも来いのピアノ。
 未来的フュージョン、ジャズ、ロック、ソウル、ヒップホップ、ミニマル、その他諸々が混ざり合う音は、いかにも今の音。
 洗練された現代ジャズ~フュージョン。
 複雑に積み上げられ、徹底的に練り上げられた感じながら、作り物っぽさのない自然さは、独特の柔らかさゆえでしょうか。
 今風でクール感じのサックスを中心に各人のインプロビゼーションのスペースはたっぷり、それらが全体のアンサンブルの中に溶け込み、これまたさりげない感じながら手練れた演奏。
 不思議感たっぷりのメロディはここまでと同様、Wayne Shorterな感じ、さらに、複雑でドラマチックな構成は、実験的、先端的な要素も相当に組み込まれつつも、気難しさはなく、十分にポップです。
 ドラムは派手ですが、終始フワフワした心地よさも加えて、BGMとしてもとてもいい感じ。
 21世紀、2010年代終りの粋。
 もし今Milesさんがご存命であればこんな感じの音楽をやっているのかな?
 さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“Harmony” (2019) Bill Frisell

“Harmony” (2019) Bill Frisell

Bill Frisell (Guitar)
Luke Bergman (Guitar, Baritone Guitar, Bass, Voice) Hank Roberts (Cello, Voice) 
Petra Haden (Voice)

Harmony
Bill Frisell
Blue Note
2019-10-04


 Bill Frisell、2019年作。
 とても静かで穏やか、漂うような現代的アメリカンミュージック。
 ほぼ全面でフィーチャーされるボーカルPetra Haden、チェロにHank Roberts!。
 これはアヴァンギャルドにドカーンと・・・なんて感じではありません。
 終始ゆったりとしたテンポ、強い浮遊感、穏やかなムード。
 ヴォイスと楽器が漂うように絡み合い、ときおりの電子音、チェロの響き、不思議なメロディのオリジナル曲も含めて、幻想的でフォーキーな音。
 御歳さておき少女的なヴォイスと少しスペーシーな色合いを付けたエレキギター絡み合いを中心に、男声コーラス、サポートのギター、ベース、ときおりのチェロなどを含めた柔らかな音の重ね合い。
 アルバムのタイトルはバンドの名前でもあるようで、確かにハーモニーにポイントを置いた音作りなのでしょう。
 フワフワとした音の流れの中に響くとても繊細で儚いエレキギターのオブリガードが琴線をくすぐる、そんな場面がそこかしこ。
 アルバム一枚、ずーっとそんな音。
 フォーキーでアメリカンノスタルジーたっぷりな曲に加えて、クリスマスな感じに仕上がった“On The Street Where You Live”が絶品だったり、珍しく超センチメンタルなメロディ、と思ったら父上Charlie Hadenの曲だったり。
 最後までトゲ、毒は無し。
 哀しげで、でも前向きな感じ、懐かし気でノスタルジックな空気感は、南米とはまた違った、さながらAmerican Saudade。
 近年のBill Frisellさんの音はそんな感じ、そのフォーク~ポップス版。




posted by H.A.



【Disc Review】“Further Chaos” (2018) Gilad Hekselman

“Further Chaos” (2018) Gilad Hekselman

Gilad Hekselman (guitar)
gHex Trio : Rick Rosato (bass) Jonathan Pinson (drums) Dayna Stephens (EWI)
ZuperOctave : Aaron Parks (piano, keyboards) Kush Abadey (drums, pads)

Further Chaos
Motema Music, LLC
2019-05-10


 ニューヨーク系コンテンポラリージャズのギタリストGilad Hekselman の新作。
 前作“Ask for Chaos” (2018)と同時期のセッションから。
 同じく、先端系変則トリオZuperOctave+αとシンプルなギタートリオgHex Trioの二つのバンドの音源で構成されています。
 冒頭はZuperOctave+α、ヘビーなビート、ディストーションが効いたギターとEWIが唸りまくる、超弩級ハイテンション・プログレッシブ・ジャズフュージョン。
 これはこの人にしては・・・が、凄い演奏。
 そこを抜けると軽快なビートと突っ走る艶々のクリーントーンのギターのいつもの世界。
 gHex Trioに変わって、拍子抜けしてしまうような力が抜けたジャズワルツ。
 が、静かに柔らかにギターが突っ走り始めると心地よさ最高のパラダイス。
 続くは、シンセなベースとエレピ、たっぷりなエコーが未来感を醸し出しつつ、決めのメロディがセンチメンタル、静かなZuperOctave。
 そしてgHex Trioでのフォーキーなバラード、さらに、あの超高速、超絶技巧の“Teen Town”(!)が、乾いたスネアの音に彩られ、クールで軽快な現代的な音に様変わり。
 締めはZuperOctaveによる”Body & Soul”。
 ミスマッチにしか思えない選曲ですが、これがカッコいい。
 超スローテンポ、優雅なメロディとコードをしっかりと生かしつつ、どこかに消え入るような繊細なギターの音とエレピが醸し出す未来的超浮遊感。
 とんがっているようで、実際にとんがっていて、それでいて柔らかな音。
 そしてこの人の諸作と同様、さりげなくドラマチック。
 新しさと伝統の狭間、かなり新しさ寄り。
 が、頭でっかちさなし、聞き流しても心地よい音。
 収録時間40分程、アウトテイク集なのか試作集なのか何なのか、実情はさておき、中身は“Ask for Chaos” (2018)と同じく、これまたカッコいい演奏集。




posted by H.A.


【Disc Review】“Munich 2016” (2016) Keith Jarrett

“Munich 2016” (2016) Keith Jarrett

Keith Jarrett (Piano)

Munich 2016
Keith Jarrett
Ecm
2019-11-01


 Keith Jarrett、2016年のソロピアノ、ドイツでのステージ。
 各所のステージから編集され、静かで落ち着いた“Creation”(2014)以来のソロ演奏アルバムでしょうか。
 21世紀に入ってからの短い演奏で区切っていくスタイルですが、前作とはイメージが異なります。
 インプロビゼーション12編とスタンダード三曲。
 序盤は少々抽象的なイメージ。
 何かがゆったりと崩れていくような動きから一気に強烈な疾走、さらに重厚で陰鬱な低音が鳴り響く重々しい展開。
 そこを抜けると淡く穏やかに、さらに徐々に明度も上がりメロディアスに。
 荒天が収まっていくように、周囲の景色、空気感は変わっていきます。
 ゴスペル~フォークロックなバラード風あり、“Treasure Island” (Feb.1974) 風あり、幻想的なバラード風あり。
 後半CD二枚目は穏やかで美しいバラードからスタート。
 ゆったりと丁寧に置かれていくメロディ。
 短くブルースを挿んで、柔らかな音、静かで繊細な演奏が続きます。
 序盤のような荒天には戻りません。
 そして、短い疾走曲ともにインプロビゼーションは幕。
 締めにはゆっくりとメロディを置いていく“The Melody At Night, With You” (1998)スタイルのスタンダード演奏三連発。
 “The Köln Concert” (Jan.1975)とも、“La Scala” (Feb.1995)とも、“Radiance” (Oct.2002)とも、“Creation” (2014) とも違った印象のソロ演奏。
 序盤の気難し気な雰囲気に緊張し不安になりつつも、後半の穏やかで明るい音で解放される前向きな展開。
 構成からすれば“Rio” (Apl.2011)、その演奏が抑制され、柔らかく淡い色合いになった感じでしょうか。
 ジャケットは少々の黒い雲はあれど穏やかで爽やかな青空。
 中盤から後半に向けて、その写真そのままな音。
 そんなKeith Jarrett。




〇:ソロ作品
 (May.1967)   “Life Between the Exit Signs"
〇(Mar.1968)   “Restoration Ruin"
 (Aug.1968)   “Somewhere Before"
 (Jul.1970)  “Gary Burton & Keith Jarrett"
 (May.1971)   “Ruta and Daitya"
 (Jul.1971)  “El Juicio (The Judgement)"
 (Jul.1971)  “Birth"
 (Jul.Aug.1971) “The Mourning of a Star"

〇(Nov.1971) "Facing You"
 (Apl.1972) "Expectations"
 (Jun.1972) "Hamburg '72
 (Nov.1972)   “Conception Vessel”    Paul Motian
 (Feb.1973) "Fort Yawuh"
 (Feb.1973) "In the Light"
〇(Mar.Jul.1973) ”Solo Concerts:Bremen/Lausanne” 
 (Feb.1974) “Treasure Island” 
 (Apl.1974) Belonging” 
 (Apl.1974) “Luminessence” 
 (Oct.1974) Death and the Flower” ,“Back Hand” 
〇(Jan.1975) The Köln Concert” 
 (Feb.13.1975) “Solo Performance, New York ‘75” 
 (Jun.1975) "Gnu High"   Kenny Wheeler 
 (Oct.1975) Arbour Zena” 
 (Dec.1975) Mysteries” 
 (???.1975) Shades” 
 (Mar.1976) Closeness”  Charlie Haden
 (Apl.1976) The Survivor's Suite” 
〇(May.1976) Staircase” 
 (May.1976) Eyes of the Heart” 
 (???.1976) “Hymns/Spheres” 
 (Oct.1976) Byablue”、“Bop-Be” 
〇(Nov.1976) Sun Bear Concerts” 
 (Jun.1977) “Ritual” 
 (Feb.1977) Tales Of Another” Gary Peacock 
 (Oct.-Nov.1977) “My Song"    
 (Apl,16-17.1979) “Sleeper”, “Personal Mountains” 
 (May,1979) Nude Ants:Live At The Village Vanguard
 (1979,1980) "Invocations/The Moth and the Flame"
 (Mar.1980) "G.I. Gurdjieff: Sacred Hymns", "The Celestial Hawk"

〇(May.1981) ”Concerts:Bregenz” 
〇(Jun.1981) ”Concerts:Munchen
 (Jan.1983) Standards, Vol. 1”、“Standards, Vol. 2” 、“Changes
 (May-Jul.1985) "Spirits"
 (Jul.1985) "Standards Live"
 (Jul.1986) "Still Live", "Book of Ways", "No End"
 (Feb.1987) "Well-Tempered Clavier I"
〇(Apl.1987) "Dark Intervals"
 (Oct.1987) Changeless” 
〇(Oct.1988) Paris Concert
 (Oct.1989) ”Standards in Norway” 
 (Oct.1989) “Tribute”
 (Apl.1990) “The Cure”
〇(Sep.1991) “Vienna Concert
 (Oct.1991) “Bye Bye Blackbird”
 (Sep.1992) “At the Deer Head Inn”
 (Mar.1993) “Bridge of Light”
 (Jun.1994) “At the Blue Note”
〇(Feb.1995) “La Scala
 (Mar.1996) “Tokyo '96”
〇(Oct.1996) “A Multitude of Angels” 

〇(1998)   “The Melody At Night, With You” 
 (Nov.1998)  "After The Fall"
 (Jul.1999) “Whisper Not”
 (Jul.2000) “Inside Out” 
 (Apl.2001) “Yesterdays”
 (Apl.2001) “Always Let Me Go”
 (Jul.2001) “My Foolish Heart”
 (Jul.2001) “The Out-of-Towners”
 (Jul.2002) “Up for It”
〇(Oct.2002) “Radiance
〇(Sep.2005) “The Carnegie Hall Concert
 (2007)   ”Jasmine”, “Last Dance
〇(Oct.2008) “Testament
 (May.2009) “Somewhere”
〇(Apl.2011) “Rio
〇(2014)   “Creation
〇(2016)   “Munich 2016” 

posted by H.A.

【Disc Review】“Nosso Brazil” (2019) Danilo Brito, André Mehmari

“Nosso Brazil” (2019) Danilo Brito, André Mehmari

Danilo Brito (bandolim) André Mehmari (piano)



 ブラジル、バンドリン奏者Danilo Brito、ピアニストAndré MehmariのDuo。
 クラシカルな色合い、ショーロの楽曲、作法に則った演奏集のようです。
 バンドリンとピアノのDuo、André Mehmariでは“Continuous Friendship” (2007),  “Gimontipascoal” (2009, 2010)、他にも“O Que Será” (2012) Stefano Bollani / Hamilton de Holandaなどもありますが、それらよりもさらにクラシカル。
 Ernesto Nazareth, Anacleto de Medeiros, Garotoなど、ブラジリアンの巨匠たちの楽曲にオリジナル曲を少々。
 ピアノの音が遠くから聞こえてくるようなクラシカルな音作り。
 必要以上には突っ走らない、転げまわらないクラシックモードのMehmariさん。
 相方のDanilo Brito、突っ走る感じではありません。
 さらさらと流れるような、優雅に漂うような音使い。
 穏やかに加速と減速、そしてときおりの停止を繰り返しながら、奏でられる優美なメロディ。
 極めて透明度の高い、それでいて少し靄がかかったようにも感じる優美な音。
 周囲の埃が無くなっていくような、湿度を下げるような、でも過度には乾燥しないほどよい湿り気。
 スピードを上げ、激しく高揚する場面もそこかしこにありますが、そんな場面もなぜか上品。
 とてもノーブルでエレガント、高貴で優雅・・・って同じ言葉が並びますが、そんな音。
 危なさや妖しさは微塵も感じないのですが、これまたトリップミュージック。
 たぶんショーロの時代、遠い昔からそうだったのでしょう。
 とても豊かな時間・・・ってなコピーは安くなってしまった感もありますが、こちらはホントに豊かで優美な音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Música para Cordas” (2019) André Mehmari

“Música para Cordas” (2019) André Mehmari

André Mehmari (piano, cravo) 
Strings andJosé Staneck (harmônica) Emanuelle Baldini (violin, regência) Gabriele Mirabassi (clarinet) Christian Riganelli (Accordion) Paola Baron (harp) Fábio Cury (fagote)
Neymar Dias (contrabass) Sergio Reze (drum)
and Strings



 ブラジルのピアニストAndré Mehmariのストリングスを中心としたクラシック。
 本作はジャズ、ポップス色全くなしの正調クラシック。
 タイトルは”弦楽器のための音楽”。
 弦楽器オーケストラのみの演奏から始まり、中盤からはハーモニカ、アコーデオン、ファゴット、ハープなど、そして締めにジャズピアノトリオとの協奏曲。
 ゆったりとしたテンポ、哀しみを湛えた重い表情のメロディ、強い緊張感。
 短いタイミングで変わってゆく景色、重いテーマの映画のサントラの面持ち。
 そんな弦楽器オーケストラの演奏の後、徐々に音楽は明るくなり、柔らかなハーモニカと弦楽器の優雅な絡み合いが始まります。
 CD二枚目に移って、クラリネットとアコーデオン、ファゴットとハープと弦楽器の共演は、強い緊張感と柔らかな空気感が交錯する音。
 たびたび登場するワルツ系のビートは、南米フォルクローレの色のようでもあるし、ヨーロッパ伝統の色のようでもあるし。
 いずれにしても、とても優雅。
 そして締めの約20分、ようやく登場するピアノとストリングスの共演。
 やはりクラシカルですが、ジャズなビート、あの疾走、躍動、転げまわりをところどころに散りばめながらのゴージャスな音。
 これまたとても優雅。
 そしてこの人の音楽らしく、とても前向きなエンディング。
 明示されたタイトルやストーリーはありませんが、山あり谷ありの一大音楽ドラマ。
 当方、この種の音楽には明るくないアウトサイダーではありますが、心地よく優雅で上品な別世界にトリップできました。
 よろしいのではないでしょうか。




posted by H.A.

【Disc Review】“Playing The Room” (2018) Avishai Cohen, Avishai Yonathan

“Playing The Room” (2018) Avishai Cohen, Avishai Yonathan

Avishai Cohen (Trumpet) Avishai Cohen (Piano)

Playing the Room
Avishai Cohen
Ecm Records
2019-09-06


 イスラエルのトランペッターAvishai Cohen、同じくピアニストAvishai YonathanのDuo。
 静かで落ち着いたコンテンポラリージャズ。
 Avishai Yonathan はAvishai Cohenバンドのメンバー、“Into The Silence” (2015)、“Cross My Palm With Silver” (2016)にも参加。
 二人とも近年のECMの看板選手になりつつあるのだと思いますが、エスニックには寄らない、またヨーロピアンとも違う、むしろアメリカ的な印象もちらほら。
 演奏の色合いというよりも、二人のオリジナル曲に加えて、John Coltrane, Abdullah Ibrahim, Ornette Coleman, Duke Ellington, Milt Jackson, さらにはStevie Wonderまで取り上げた楽曲のイメージが大きいのでしょう。
 冒頭は美しいピアノと朗々としたトランペットが奏でるバラード。
 スローテンポでのDuoゆえに、揺らぐようなビート感。
 沈痛ではなく、穏やかで懐かし気なセンチメンタリズム。
 続くあちこちに跳ぶオリジナル曲、ゆったりとしたバラードで演奏される”Cresent”も同様の空気感。
 揺らぐ空間の中で鳴り続けるキリッとしたトランペット。
 Duke EllingtonOrnette ColemanMilt Jacksonも同様、穏やかに優しく、そして端正に奏でられていきます。
 ピアノ中心の“Sir Duke”はコミカルな感じですかね。
 などなど合わせて、ハイテンション先端系ジャズにはなりません。
 締めには懐かしいムードのイスラエルの楽曲。
 アメリカンではなくて、イスラエリーなSaudadeはこんな感じなのでしょうかね。
 ともあれ、圧倒的な演奏力に支えられた穏やかなコンテンポラリージャズ。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Travelers” (2017) Nicolas Masson, Colin Vallon, Patrice Moret, Lionel Friedli

“Travelers” (2017) Nicolas Masson, Colin Vallon, Patrice Moret, Lionel Friedli

Nicolas Masson (Tenor, Soprano Saxophone, Clarinet) Roberto Pianca   (Guitar) Emanuele Maniscalco (Drums, Piano)

Travelers
Nicolas Masson
Ecm Records
2018-02-16


 スイスのサックス奏者Nicolas Masson、ECMでの第三作。
 編成は“Third Reel” (2012), “Many More Days” (2014)のギターを交えた変則トリオから、ピアノトリオとのオーソドックスなワンホーンカルテットに変わりました。
 ベースが入り、ビートと音楽の輪郭が明確になりました。
 その上での例の漂うような音使い。
 あくまで静かな音、ゆったりとしたテンポ、沈んだムード、哀し気な空気感、不思議感はそのまま、“Third Reel” (2012)の沈痛系と “Many More Days” (2014)の穏やか系が交差する楽曲。
 ピアノは同じくスイスのColin Vallon
 漂うような零れ落ちるような、繊細な音がたっぷりとフィーチャーされます。
 リーダー作でもそうでしたが、どの方向に動いていくのかは予測できません。
 浮遊と疾走が交錯するとても美しい音。
 予測しずらいのはサックスも同様。
 但し、疾走はしません。
 あくまで漂うような演奏、いかにもECMのサックスらしく、サブトーン、ビブラートのない張り詰めた音。
 ビートが明確な分、トリップミュージックな感じは薄らいだのかもしれません。
 でも不思議感はたっぷり。
 これが現代のスイスの空気感なのかどうかはわかりませんが、少し沈みながらも落ち着いたクールなムード、儚く美しい、そして妖しい現代のジャズ。




posted by H.A.

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