吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2010-2019

【Disc Review】“Belo Horizonte” (2013-2018) Toninho Horta & Orquestra Fantasma

“Belo Horizonte” (2013-2018) Toninho Horta & Orquestra Fantasma

Toninho Horta (guitars, voice)
Andre Dequech (keyboards) Yuri Popoff (bass, voice) Esdra Nenem Ferreira (drums) Robertinho Silva (Percussion) Lena Horta (flute, voice) 
Nivaldo Ornelas (tenor sax) Breno Mendonca (soprano sax) Wagner Souza (trumpet, flugelhorn) Pedr Aristides, Joao Machala (trombone)
Juarez Mareira (guitar) Rudi Berger (violin) William Galison (harmonica)
Lisa Ono, Joyce, João Bosco, Deular Andrade, Carla Vilar, Tadeu Franco, Coral Mater Ecclesiae, Samuel Victor, Freitas Ferreira (voice)


 Toninho Hortaの2019年リリース作品。
 コンボ編成+αで時間を掛けて制作された様子のセルフカバー集と新曲集のたっぷりCD二枚組。
 全編、あの柔らかでさり気ない浮遊感たっぷりのブラジリアンフュージョン~ポップス。
 ピアノトリオ、パーカッション、フルートに自身のギターのオーソドックスな編成をベースに、楽曲ごとに管楽器、ストリングス、コーラス、ゲストボーカリストなどが加わる、あるいは人数を絞る、これまたオーソドックスなMPB作品の構成。
 一枚目のセルフカバー集は、ボーカル曲中心。
 “Durango Kid”から始まり、 小野リサが歌う“Beijo Partido”、Joyce, João Boscoの参加が一曲ずつ、などなど。
 “Moonstone” (1989)あたりの雰囲気、スッキリしたコンボ演奏を中心に、柔らかな歌、あの丸いクリーントーンのエレキギターもたっぷり。
 いかにもあの時代のMPB、ブラジリアンフュージョンっぽい感じなのですが、柔らかな空気感、しなやかなビートがとても心地いい、極めて上質な定番サウンド。
 CD二枚目は新曲、インスツルメンタル中心。
 明るいのだけどもどこか陰のある、そしてどこか懐かしいSaudadeな演奏揃い。
 Orquestra Fantasmaはデビュー作"Terra dos Pássaros" (1979)のバンド名のようです。
 それを意識したのかどうか、少々顔を出すファズが掛かったサイケなギターやらエレピやらを含めて、あの時代の空気感もちらほら。
 かといって過剰ではない、スッキリした今風の音。
 所々で聞かれる静かにヒタヒタと迫るビート、柔らかなギター、スキャットヴォイス、メロディの動きは、あの時期のPat Methenyへの影響がまるっと見える音。
 Patさんは変わりましたが、Toninhoさんは変わりません。
 それがカッコいい。
 全部含めて、ノスタルジーとか何とかを超えた、とても素敵で心地よい今の音。




(1979) "Terra dos Pássaros
(1980) ”Toninho Horta” 
(1988) ”Diamond Land” 
(1989) “Moonstone” 
(1992) ”Once I Loved” 
(1992) “Sambao” Kenny Barron 
(1993) ”Durango Kid” 
(1994) “Live in Moskow” 
(1994) ”Foot on the Road” 
(1994) “Toninho Horta & Carlos Fernando” 
(1995) ”Durango Kid 2” 
(1995) “Cem Boce” with Joyce 
(1997) “From Belo to Seoul” with Jack Lee 
(1997) “Serenade” 
(1998) ”To Jobim with Love” (From Ton to Tom) 
(1999) “Duets” with Nicola Stilo 
(2000) “Quadros Modernos” with Juarez Moreira and Chiquito Braga 
(2003) “Vira Vida” with Nicola Stilo 
(2004) ”Com o pé no forró” 
(2007) “Solo ao Vivo” 
(2007) “Toninho in Vienna” 
(2007) “Cape Horn” with Arismar do Espírito Santo 
(2008) “Tonight” with Tom Lellis 
(2010) ”Harmonia & Vozes” 
(2010) “From Napoli to Belo Horizonte” with Antonio Onorato 
(2012) ”Minas Tokyo” 
(2014) “No Horizonte de Napoli” with Stefano Silvestri 
(2015) "Alegria é Guardada em Cofres, Catedrais" with Alaíde Costa
(2013-2018) “Belo Horizonte” 

posted by H.A.

【Disc Review】“Aguasilabas” (2019) Sebastian Macchi Trio

“Aguasilabas” (2019) Sebastian Macchi Trio

Sebastián Macchi (voice, piano, rodhes, guitar)
Carlos Aguirre (fretless bass, voice) Gonzalo Díaz (drums, percusion, glockenspiel, voice)

AGUASILABAS
SEBASTIAN MACCHI TRIO
bar buenos aires
2019-09-27


 アルゼンチンのシンガーソングライター、あるいはピアニストSebastián Macchiの現代フォルクローレ。
 Carlos Aguirre のレーベルShagradamedraから。
 オーソドックスなピアノトリオ編成を中心にボーカルを載せた歌物中心、Carlos Aguirreがベースを担当。
 ゆったりとしたテンポ、フワフワとしたフォルクローレベースのビートに、優しく哀し気なメロディ、繊細な音使い。
 CD一枚、全13曲、全編それ。
 とても繊細なCarlos Aguirreの音楽を、さらに繊細にしたような音。
 零れ落ちるような美しいピアノと儚げな声。
 疾走する場面はなく、強い浮遊感を纏いつつ、淡々と音楽は進みます。
 河沿いミュージックなんて言葉があるようですが、確かに水が流れていくような、ときおり川面がきらめいているような、木漏れ日のような音。
 景色は緩やかに移ろっていきます。
 少しビートが上がっても、その強いビートを包み込むようなこれまた繊細な歌声。
 全曲少し哀し気な表情のキャッチーなメロディ。
 いろんな構成、いろんなメロディが揃っていて、楽曲ごとに表情は異なるのですが、どこを切り取ってもセンチメンタルにならざるを得ない音の動き。
 それでいて沈痛さや深い哀しみとは距離のある、淡いセンチメンタリズム、どこか懐かしい空気感。
 あくまで前向きな音。
 本家本元、南米のSaudade、その現代の音。
 名作“Luz de agua” (2005)に並ぶ名作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Life Of” (2018) Steve Tibbetts

“Life Of” (2018) Steve Tibbetts

Steve Tibbetts (Guitar, Piano)
Marc Anderson (Percussion, Drums) Michelle Kinney (Cello, Pipe)

Life Of
Steve Tibbetts
Ecm
2018-05-18


 Steve Tibbetts、2018年作。
 とても静かなギターミュージック。
 サポートはパーカッションにチェロ、そして本人によるピアノ。
 全編遠い所から聞こえてくるような幽玄な音。
 強いビート、先端ロックはもとより、電子音が飛び交う場面、フォーキーなストロークの場面もありません。
 揺らぎを伴いながら静かに爪弾かれるアコースティックギター。
 それを中心として、さまざまな柔らかな音が複雑に絡み合う、とても繊細な音。
 ピアノとパンの音の区別さえつきづらい、背景で鳴るチェロ等の音にも気づかない、ギターを含めて、音を発するもの全てが一体となったような、曖昧で幻想的な時間。
 全体の質感は無国籍ですが、その繊細な音の動き、もの哀しげで同じく繊細なメロディ、奥に何歩か下がった感じ、曖昧なようでどこかしら凛とした空気感には、日本的な色合いを感じます。
 さながら、侘び寂び、といった感じ。
 夢と現の狭間、夢寄り。
 あるいは瞑想へと誘う音。
 とても心地よい時間。
 尖端サウンド“Steve Tibbetts” ‎(1977)から約40年。
 たどり着いた先はとても静かで落ち着いた場所のようです。
 今は。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Natural Causes” (2010) Steve Tibbetts

“Natural Causes” (2010) Steve Tibbetts

Steve Tibbetts (Guitars, Piano, Kalimba, Bouzouki)
Marc Anderson (Percussion, Steel Drums, Gong)

Natural Causes
Steve Tibbetts
Ecm Records
2010-06-15


 Steve Tibbetts、2010年作。
 ゲストの参加はなく、““Northern Song” (1982)のDuoでの制作。
 “The Fall of Us All” (1994)や“A Man About a Horse” (2002)のような激しさはなく、“Northern Song” (1982)に回帰したような静かで落ち着いた音。
 強く揺らぐ空間。
 幾重にもオーバーダビングされたカラフルな音、ギターに加えてシタールな感じのブズーキ、カリンバ、スチールドラムなどなど、さまざまな音が柔らかに交錯する強烈な浮遊感。
 哀しげにも安らかにも聞こえる、優しい音の流れ、曖昧で淡いメロディ。
 それらを含めて、全体を包み込む淡い色合いの景色は、グラデ―ションを描きながら次々と変わっていきます。
 インドなのかチベットなのかインドネシアなのか、どこかよくわからないアジアらしい、かといってエスニックが前面に出た感じでもない、微妙な微妙な空気感。
 文字通りのフュージョンミュージック。
 いかにもECMな上品なリバーブに包まれ、夢現が混然としたような音の流れが続きます。
 とても静かで懐かしい、それでいて洗練された、心地よい時間。
 再びとても静かな世界、極上のトリップミュージック。

※遠くない時期の読経?入りセッションから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Samba Jazz, de Raiz” (2014-2017) Cláudio Jorge

“Samba Jazz, de Raiz” (2014,2017) Cláudio Jorge

Cláudio Jorge (guitar, voice) 
Zé Luiz Maia, Ivan Machado (bass) Wilson Das Neves, Camilo Mariano (drums)
Leonardo Amuedo, Walter D’Avila, Luis Filipe de Lima (guitar) Frejat (voice, guitar) Fernando Merlino, Itamar Assiére, Ivan Lins (piano) Kiko Horta (accordion) Marcelinho Moreira, Peninha, Cacau D’Avila (percussion) 
Humberto Araújo (tenor, baritone sax) Dirceu Leite (clarinete) Victor Neto (flute) 
Mauro Diniz, Fátima Guedes, Reinaldo Figueiredo (voice)



 ブラジルのギタリストCláudio JorgeのジャジーなMPB。
 サンバ、ボッサ、ジャズが入り混じる、ノスタルジックなような現代的なようなポップス。
 参加者にたくさんの名前が挙がっていますが、基本的にはギタートリオを中心として、ピアノ、パーカッション、管が加わるオーソドックな編成。
 サウンドもケレン味のない現代的なジャズサンバ、オーソドックスな質感。
 さり気ないようでとても上質です。
 柔らかながらタイトなビート、エレキギターとガットギターを持ち換えつつ、前者ではジャジー、後者ではいかにもブラジリアンなサウンド。
 クリーントーンのジャズギターとブラジリアンビートの組み合わせはとてもクールで都会的、ときおりのディストーションも周りの柔らかなサウンドに溶け込みご愛敬。
 オヤジな感じながら颯爽としたヴォーカルがこれまたカッコいい。
 おそらく本業ではないのだと思いますが、ウイスパー、鼻歌とまではいかずとも、力の入らないサラリとした質感のさり気ない歌。
 堂々全曲のオリジナル曲は、スタンダードと見紛うような名曲揃い。
 いかにもブラジリアンなほのかな哀感が漂う、でも明るい質感、Saudadeなメロディのオンパレード。
 何度リピートしても疲れないのは、それら合わせた力の入らない柔らかなサウンド、明るい空気感ゆえ。
 あの名演の塊“Cartola” (1974)と比較するのもアレですが、そんな感じのカッコよさ。
 颯爽とした現代のオヤジの、カッコいい現代MPB。
 エレキギターを抱えたジャケットのブラジルものにハズレなし・・・本作もまた然り。




posted by H.A.


【Disc Review】“São Bonitas As Canções” (2017) Sergio Santos

“São Bonitas As Canções” (2017) Sergio Santos

Sergio Santos (voice)
André Mehmari (Piano) Rodolfo Stroeter (Contrabass) Tutty Moreno (Drums)
Nailor Proveta (Alto、Soprano sax, Clarinet)



 ブラジルのシンガーソングライターSergio Santosの久々のアルバム。
 “Rimanceiro” (2013)以来、六年ぶりのようです。
 本作はジャジーなバラード集。
 サポートは“Dorival” (2017) Tutty Morenoのサックスカルテットそのまま。
 André Mehmariさん、クラシカルな演奏とジャズな演奏の二つの面持ちを使い分けているように思いますが、本作は後者が中心。
 動きまくり、突っ走っています。
 楽曲はリーダーのオリジナルではなく、巨匠たちのカバーが中心、また、楽器を持たずヴォーカルに専念。
 そのあたりの事情はさておき、パキーンとした音のジャズバンドを背景にした、シルキーな声、力の入らない柔らかな歌。
 あくまでバラード中心の抑制された音なのですが、背景で動きまくり、間奏になるとぶっ飛んでいくピアノ。
 そんなピアノを必死に現実に引き戻そうとしているようで、気がつけば音量とテンションを上げていくバンドと、あくまでしっとりた質感、抑制された歌。
 有名曲ではないものの居並ぶ名メロディ群と上質な演奏と歌は、ジャズバラードアルバムとして聞いても一級品。
 正調ジャジーMPBな一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ra” (2018) André Mehmari, Bernardo Maranhão, Alexandre Andrés

“Ra” (2018) André Mehmari, Bernardo Maranhão, Alexandre Andrés

André Mehmari (piano, voice, etc.) Alexandre Andrés (flute, guitar, voice, percussion, etc.) Bernardo Maranhão (voice)
Neymar Dias (viola caipira) Artur Andres (marimba, vidro) Guastavo Amaral (bass) Adriano Goyata (drums) Daniel Guedes (percussion) Maria Joao (voice)



 ブラジルのピアニストAndré Mehmariと盟友のマルチ楽器奏者Alexandre Andrés、さらに詩人?Bernardo Maranhãoを冠した、ブラジリアンポップス、ジャズ~クラシック寄りなアルバム。
 André Mehmari、Alexandre Andrésの二人でベースのサウンドを作り、楽曲ごとにゲストが彩りを加える構成。
 ジャズでもクラシックでもない不思議感たっぷりのポップス。
 ヴォーカルを中心とした構成、コミカルにも聞こえる質感、凝りまくったポップなサウンドは、“Macaxeira Fields” (2012) Alexandre Andresの続編なイメージが強いかもしれません。
 フワフワした質感はそのままに、よりハイテンションにしたようなサウンド。
 あの凄まじいまでの疾走感、ぶっ飛んだピアノがたっぷりフィーチャーされ、ギターとヴォイスに管が加わり、シンセサイザーが飛び交う・・・ってな感じの摩訶不思議サウンド。
 二人で分け合った楽曲は、明るいけどもどこかひねくっているというか、なんだか変わっています。
 アレンジも強烈なピアノが動いている割には妙にポップで、シンプルなようで分厚く複雑。
 ともあれ主役はお二人の柔らかな歌声。
 ハードさと浮遊感が入り混じるサウンドに優し気な歌。
 あのMaria Joaoの魔女なヴォイスなどなど混ざりつつ、不思議な感じというか、珍味というか、何と申しましょうか・・・
 それら含めて、とてもポップな演奏が並びます。
 攻めた感じの新感覚MPB。




posted by H.A.


【Disc Review】“Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” (2018) André Mehmari Trio

“Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” (2018) André Mehmari Trio

André Mehmari (piano, synths, órgãn, accordion, sopros)
Neymar Dias (bass) Sérgio Reze (drums, gongos, melódicos)

Na Esquina Do Clube Com O Sol Na Cabeca
Andre Mehmari アンドレメーマリ
Estudio Monteverdi
2019-06-26


 ブラジルのピアニストAndré Mehmariのトリオ作品、“Clube Da Esquina” (1972), “Clube Da Esquina 2” (1978)Milton Nascimento & Lô Borgesへのトリビュート作品、2018年版。
 ソロピアノでの“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmariから10年、静かでクラシカルな2008年版に対して、本作はジャズ、あるいはジャズフュージョン。
 ジャズ~ファンクのグルーヴたっぷりのベース、ドラムに、あの突っ走り飛び跳ねまくり、明後日の方向に飛んで行くぶっ飛んだピアノ。
 シンセサイザー、オルガン、その他がオーバーダビングされ、分厚いフュージョンサウンドの場面、ときおりのアバンギャルドに、電子音を混ぜつつのスペーシーな音、激しい場面もそこかしこ。
 さらに近年のクラシカルでノーブルな色合いも混ざりつつ、ハイテンションでドラマチックな演奏が並びます。
 本編と同じく“Tudo Que Você Podia Ser”、ファンクなビートのピアノトリオと電子音の絡み合いで幕を開け、続くはドラマチックな“Clube da Esquina No. 1”、 激しくアバンギャルドな場面を含めて目まぐるしい展開の“Clube da Esquina No. 2~Cravo É Canela”。
 そこまでだけでもごちそうさまな凄い演奏。
 少々クールダウン、と思いきや、気がつけばまた新手のぶっ飛んだ演奏・・・などなど、怒涛の演奏。
 あれよあれよと景色は変わり、最後はクラシカルなソロピアノの演奏で締め。
 あのフォークロックな名曲の数々が全く様変わりして、あるいは別のイメージのドラマに作り変えられ、次々と流れていきます。
 さながら”Clube Da Esquina組曲”現代フュージョン版、ってな面持ち。
 とても激しく、とてもドラマチック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Giro” (2019) Roberta Sá

“Giro” (2019) Roberta Sá

Roberta Sá (voice)
Gilberto Gil, Bem Gil (guitar) Alberto Continentino (bass) Domenico Lancellotti (drums, percussion)
Danilo Andrade (keyboards) Pedro Miranda (pandeiro, voice) Lsutrnco Vasconcellos (vibraphone) Mestrinho (accordion)
Marlon Sette (trombone) Diogo Gomes (tumpet) Raul Mascarenhas (tenor sax, flute) Zé Carlos “Bigorna” (alto sax, flute) Jorge Continentino (flute) Milton Guedes (flute, gaita) Diogo Gomes (flugelhorn) Joana Queiroz (clatinet, clarone) 
Nicolas Krassik, Pedro Mibielli, Glauco Fernandes (violin) Daniel Albuquergue (viola) Lura Ranevsky (cello)
Jorge Ben Jor, Alfredo Del-Penho, João Cavalcanti (voice) and others



 現代サンバの女王なのでしょう、Roberta Sáの最新作。
 MPB界現代最高の女性ボーカリスト・・・ってもそんな人がゴロゴロしているのが困ったものなのですが・・・らしい、豪華絢爛、かといって過剰にならないバランス、洗練の極みの一作。
 本作はGilberto Gilの楽曲を中心として、本人に加えてJorge Ben Jorといった大御所をゲストに迎え、サンバ、ボサノバを現代風に味付けした音。
 プロデューサーはGilberto Gilさんの息子さんのようです。
 柔らかでしなやかなグルーヴを作るギターとパーカションを中心としたコンボに、ホーンのアンサンブル、ストリングスカルテット、アコーディオン、その他諸々があの手この手の彩りを加える構成。
 オーソドックスなサウンドのようで、一曲ごとに編成とアレンジのテイストを変えた凝りまくった作り。
 ここまでの諸作のようなネイティブなサンバ色は薄目、現代的なMPBの王道ど真ん中、その見本市のような音。
 そんな音の中を泳ぐ、透明度の高の美しいシルキーヴォイス、完璧な歌。
 全部ひっくるめて、Maria Ritaさんの“Amor e Música” (2018) あたりと同じく、大物感たっぷり、余裕のサウンド。
 が、どことなく懐かしい感じがするのは、Gilberto Gilのメロディゆえなのでしょうかねえ。
 洗練されていて今風なようで、何となく古き良き時代のノスタルジーも醸し出す、そんな一作。




posted by H.A.



【Disc Review】“La musica del agua” (2019) Carlos Aguirre

“La musica del agua” (2019) Carlos Aguirre

Carlos Aguirre (piano, vocal)



 現代フォルクローレのリーダーの一人Carlos Aguirreの2019年最新作。
 全編歌物、ピアノの弾き語り。
 リーダー作は“Calma” (2017) Carlos Aguirre Trío以来でしょうか。
 コンテンポラリージャズなそちらに対して、本作は濃厚な現代フォルクローレ色。
 テーマは『水の音楽』。
 楽曲は自身のオリジナルではなく、おそらくは南米の先人たち、Shakrada Medraで名前を見受ける仲間たちの作品。
 ここまでのリーダー諸作と少し印象が異なるのは、それが大きいのかもしれません。
 バラード中心、少しずつ各曲の表情は異なります。
 もちろん、いずれもフォルクローレの香りたっぷり、優しく少し悲し気なメロディ。
 それらが丁寧に綴られていきます。
 “Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)の華やかなアレンジ、強烈なセンチメンタリズム、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の激しさ、ドラマチックさはありません。
 全編に漂うほのかなセンチメンタリズム、やるせなさ、遠いところを眺めているようなムード。
 が、悲痛さはありません。
 Saudade。
 そんな空気感の中、優しいメロディが穏やかに奏でられ、歌われ、流れていきます。
 脚色や演出を取り除いた生のアルゼンチンSaudadeは、こんな感じの音なのでしょうね。


※少し前の演奏から


posted by H.A.



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