吉祥寺JazzSyndicate

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2010-2019

【Disc Review】“Absinthe” (2018) Dominic Miller

“Absinthe” (2018) Dominic Miller

Dominic Miller (guitar)
Mike Lindup (keyboards, piano) Nicolas Fiszman (bass) Manu Katché (drums)
Santiago Arias (bandoneon)

Absinthe
Dominic Miller
Ecm
2019-02-28


 アルゼンチン出身~イギリス在住、Stingの盟友Dominic MillerのECM第二作。
 ソロ、デュオの前作”Silent Light” (2016)から、本作ではバンドネオンも迎えたコンボ編成。
 静かに淡々と爪弾かれるアコースティックギター、これまた静かながらロック寄りの現代的なビート、ときおりのピアノと電子音。
 フロントに立つのは、ギターのアルペジオに加えて漂うようなバンドネオン。
 クールで現代的な色合いに、強烈な浮遊感と懐かしさが混ざり合う音。
 全てオリジナル曲、淡く漂うような前作に対して、本作ではクールな質感はそのままに、寂寥感の強いメロディのバラード群。
 あのStingの”Shape of My Heart”に強い浮遊感を加えたムードがひたすら続く・・・、そんな感じ。
 さて、あの名曲はこの人の色合いだったのかあ?とか思ったり、思わなかったり・・・
 ジャズ度はなし、かといってとんがったアバンギャルド色はないし、フォークでもなく、南米色も少なくとも表面上は薄い感じ。
 が、寂しげで哀しげながら全編に漂う穏やかな空気感は、やはりSaudade、南米の空気感なのでしょうか。
 近年のECMの淡くて柔らかな色合いに、この人独特のクールな寂寥感が混ざり合う、とても素敵な音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Amanhã vai ser verão” (2018) Rosa Passos

“Amanhã vai ser verão” (2018) Rosa Passos

Rosa Passos (voice, guitar)
Lula Galvao (guitar) Fabio Torres, Helio Alves (piano) Paulo Paulelli, Jorge Helder (bass) Calso de Almeida (drums) Livia Mattos (accordion) Ivan Sacerdote (clarinette) Ze Luiz Mazziotti (voice)



 現代最高の女性ボサノバボーカリストRosa Passos、久々のアルバム。
 ピアノトリオと長年の相方のエレキギターを中心に、少々の彩りが加わる編成。
 シンプルでジャジーなサウンドは前作に当たるライブ録音“ao vivo” (2014)と同様。
 要所で聞こえるアコーディオンがフォルクローレな感じを醸し出すのが、ここまでの諸作とは少し違った感じでしょうか。
 全編通じてゆったりまったり。
 ジャジーなエレキギターの綺麗なクリーントーンがたっぷりフィーチャーされるジャズコンボを中心に、弾き語りを含めて、ほんの少し遅れ気味に刻まれる、Rosaさん自らのとてもカッコいいガットギターも終盤に数曲。
 もちろん主役は、今にも泣きだしそうにも微笑んでいるようにも聞こえる、何とも言えない絶妙なニュアンスの力の抜けたヴォイス。
 本作ではカバー曲はなく、全編オリジナル。
 これまた、泣きだしそうにも微笑んでいるようにも聞こえる、何とも言えない絶妙なニュアンス、おまけにいずれもキャッチーなメロディ。
 オリジナル曲中心のアルバムは“Morada do Samba”(1999)以来でしょうか?
 名曲のカバーもいいのですが、やはりこれが一番。
 優しくて穏やかで、どこか懐かしくて、ほんの少し悲し気な、Nothing but Saudadeな空気の流れ。
 ゆったりまったり、これまたパラダイス。




(1979) “Recriação” 
(1988) “Amorosa” 
(1991) “Curare” 
(1993) “Festa” 
(1996) “Pano Pra Manga” 
(1997) “Letra & Música - Ary Barroso” with Lula Galvao 
(1998) “Canta Antonio Carlos Jobim” 
(1999) “Morada do Samba” 
(2000) “Rosa Passos Canta Caymmi” 
(2001) “Me and My Heart”  
(2002) “Azul” 
(2003) “Entre Amigos” 
(2004) “Amorosa” 
(2006) “Rosa” 
(2008) “Romance” 
(2011) “É Luxo Só” 
(2013) “Samba dobrado” 
(2014) “ao vivo
(2018) “Amanhã vai ser verão

posted by H.A.

【Disc Review】“And Then Comes The Night” (2018) Mats Eilertsen

“And Then Comes The Night” (2018) Mats Eilertsen

Mats Eilertsen (bass)
Harmen Fraanje (paino) Thomas Strønen (drums)



 現代ECMのファーストコールベーシストのひとり、ノルウェーのMats Eilertsen、ECMでのリーダー作第二弾。
 編成はシンプルなピアノトリオ、前作”Rubicon” (2015)よりも淡く漂うような色合いが強くなった繊細で静かな音。
 ピアノは引き続き美しく繊細な音を奏でるオランダのHarmen Fraanje、ドラムはECM御用達、ノルウェーのフリー系Thomas Strønenに交代。
 いかにも近年のECM的なルバートでのスローバラードを中心とした、静かで淡い色合いの音。
 ベース、ピアノ、ドラム、三者三様の自由なビート。
 ゆったりと散りばめられていく美しい音。
 Keith Jarrettをより繊細にしたような静かなピアノ、変幻自在に動くこれまた繊細なドラム、音の流れ全体を下から支えるベース。
 余白の多い空間。
 自由な動きが拡散していくようで発散はせず、各人の波動は常に同期が取れているような、絶妙なアンサンブル。
 その静かで淡い音の流れの中から、ときおり表出するセンチメンタルなメロディ。
 そんな繊細なインタープレーが織り成す綾。
 夢うつつの時間、全身の力が抜けていくような音の流れが続きます。
 哀しげながら絶望でも激情でもない、穏やかな空気感、
 根底に流れているのはヨーロッパのSaudadeなのでしょうか。
 どこか遠いところへ誘う、静かなトリップミュージック。




posted by H.A.



【Disc Review】“Seeds Of Change” (2018) Joe Lovano

“Seeds Of Change” (2018) Joe Lovano

Joe Lovano (tenor sax)
Marilyn Crispell (piano) Carmen Castaldi (percussion)



 Joe Lovanoの変則トリオ。
 大ベテランの大御所にしてECMでの初リーダー作。
 テナーサックスと鐘の音を中心としたパーカッションのDuoから始まる静謐で幽玄な時間。
 静けさを助長する金属の共鳴音の中、ゆったりと哀しげなフレーズを紡ぐサックス。
 ピアノが加わっても空気感は変わりません。
 静かに零れ落ちてくるピアノの音、繊細なパーカッション、その中を漂うようなサックス。
 終始ゆったりしたテンポ、フリーな色合いが混ざりつつの淡い色合い、予想とは違う方向に流れていく音。
 ときおりのセンチメンタルなメロディ、強い音に覚醒しつつ、張り詰めているような、夢の中のような、いろんな質感が交錯する静かな時間が流れていきます。
 哀しげであったり、悟ったようであったり。
 侘び寂び、禅寺、なんて言葉が頭を過ぎる、静謐な時間。
 そして中盤以降に収められた、いくつかの激しさの混ざる演奏。
 残るのは覚醒か、それとも幻想か・・・
 そんな幽玄な時間。




posted by H.A.



【Disc Review】“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu

“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu 

Lars Danielsson (bass, cello) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)

Summerwind
Paolo Fresu
Act
2018-09-28


 スウェーデンのベーシストとイタリアのトランペッター、大御所二名のDuo作品。
 下の方でうごめくベースあるいはチェロと、ゆったりと漂うようなクールなトランペット。
 冒頭、あの”枯葉”が別のモノのように響きます。
 二人のオリジナル曲を中心に、いくつかのヨーロピアンメロディ。
 Lars Danielssonのあの激甘メロディは抑制され、淡い色合いの漂うような音の流れ。
 内省的で沈んだ空気感。
 躍動するベースと、ゆったりしたトランペットの感傷的な音。
 今にも静止しそうなほどに漂いながら、ときに強烈に加速しながら、静かな時間は進んでいきます。
 各曲短い演奏、三分に満たない楽曲も散りばめられ、次々と切り替わっていく淡い景色。
 遠い過去を眺めているようにも聞こえるし、何気ない日常のクールダウンのようにも聞こえます。
 クールな佇まい、静かでスタイリッシュ、淡い色合い、沈んだ空気感。
 やはりメロディアス。
 日常の喧騒から離れ、夢うつつな時間が流れていくような心地よさ。
 そんな名人芸。




posted by H.A.



【Disc Review】“Canto Primeiro” (2019) Beatriz Nunes

“Canto Primeiro” (2019) Beatriz Nunes

Beatriz Nunes (Vocals)
Luís Barrigas (Piano) Afonso Pais (Guitar) Mário Franco (Contrabass) Jorge Moniz (Drums) Tiago Canto (Flute) 
Carla Santos, Jorge Vinhas (Violin) Kátia Santandreu (Viola) Emídio Coutinho (Cello)



 ポルトガルのボーカリストBeatriz Nunes、おそらくデビュー作。
 静かなコンテンポラリージャズ。
 サポートはピアノトリオを中心としたアコースティックな音。
 クラシックの香りが漂う端正で美しいピアノと静かなドラムとベース、おそらくジャズの人たちなのだと思います。
 静かで間の多い空間の中の、極めて透明度の高い美しい声。
 少しキャンディな感じもちらほらする微妙なニュアンスで、テクニカルなスキャットまでやってしまう、何ともいい感じの歌。
 中心となるオリジナル曲は、少し不思議系。
 哀しげな表情のようでどこかクール。
 ヨーロピアンなクラシカルで透明度の高い音の中に漂う、微かなエキゾチシズム。
 4ビートもなければ、普通にポップスな感じでもありません。
 メロディも決してキャッチーな感じではないのですが、美しいピアノの音と、さらに輪をかけたような美しさ、図らずとも聞き入ってしまう声。
 さらにときおりのストリングスカルテットが上品な緊張感を付け加えていきます。
 静かに流れていく、何処か不思議な違和感のある綺麗な音。
 大化けする予感、そんな特別な声。




posted by H.A.

【Disc Review】“Brasileiro” (2018) Silva

“Brasileiro” (2018) Silva

Silva (vocal, piano, electric piano, synthesizer, guitar, bass, percussion)
Hugo Mciel (bass) Hugo Coutinho (drums) Edu Szajnbrum, Andre Paste (percussion)
Bruno Santos (trumpet) Roger Rocha (sax) Joabe Reis (trombone) Anita, Lucas Silva (vocal)

BRASILEIRO ブラジレイロ
SILVA シルヴァ
THINK!RECORDS
2018-12-26


 ブラジルのシンガーソングライターSilva、現代のMPB。
 ピアノ、ギター、パーカッションに電子音、ときおりの管楽器、そして甘い声。
 少人数での余白の多い空間、多くの場面で電子音を交えながらも、ナチュラルでアコースティックな質感のとても静かな音。
 静かながら先端的なビートと電子音。
 ブラジリアン・アンビエント・ポップスなんて言葉があるのかどうかも知らないけども、そんな語感がピッタリきます。
 哀愁が漂うキャッチーなメロディはJobimのようでもあるし、甘い声はCaetano Veloso的、Vinicius Cantuária的でもあるし、ブラジリアンポップス以外、何モノでもない音の流れ。
 過剰にとんがった所も突っ張った所もない、ナチュラルな質感。
 が、やはり先端的な今の音。
 今のブラジル、静かな名作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Vem” (2017) Mallu Magalhaes

“Vem” (2017) Mallu Magalhaes

Mallu Magalhães (vocals, guitar, piano, synthesizer, vibraphone)
Marcelo Camelo (guitar, bass, drums, percussion, órgãn, vibraphone) Davi Moraes (guitar) Dadi Carvalho, Rodrigo Amarante, Alexandre Kassin, Sidiel Vieira, Victor Rice (bass) Vitor Cabral, Maurício Takara (drums) Armando Marçal (percussion) 
and Horns, Strings

Vem
Mallu Magalhaes
Imports
2017-07-07


 ブラジルのシンガーソングライターMallu Magalhães、現代のMPB。
 ロック、フォークの色合いも強い、いかにも現代のブラジリアンポップス。
 ボッサなギターが少し聞こえた後は、しっかりしたビート、元気な現代的なポップス。
 さらに大人数のホーン陣がお洒落なオブリガードを加えつつの分厚めのサウンド。
 普通に明るくてポップで今風なようで、とんがった系のエレキギターやら、逆にちょっとノスタルジックな感じなどなど、いろんなものが混ざり合い、どこかひねった感じが全編に漂います。
 落着きよりも躍動感、疾走感。
 次々と押し寄せ、どこまでも前に進んでいく音。
 そんなサウンドを背景にした可愛らしく美しい声・・・と思っていたら、とんでもない所までぶっ飛んでいったり・・・
 堂々全てを占めるオリジナル曲はどれもキャッチー。
 一昔前ならば、どれをシングルカットしてもヒットしそうな感じ。
 凄い才能。
 同時期、同じように現代的に洗練されたブラジリアンポップス、なんだかんだでサンバの色合いも強い “Amor e Música” (2018) Maria Ritaと比べてみると、なかなか対照的で面白いかも・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Aguas” (2018) Omar Sosa, Yilian Canizares

“Aguas” (2018) Omar Sosa, Yilian Canizares

Omar Sosa (piano, keyboards) Yilian Cañizares (violin, voice)
Gustavo Ovalles (percussion, voice)

Aguas
Omar / Canizares, Yilian Sosa
Ota Records
2018-10-05


 キューバのピアニストOmar Sosaと女性バイオリニスト&ボーカリストYilian Canizaresの双頭リーダー作。
 ジャズとルーツミュージック~ポップスが交錯する音。
 ベースは静謐で内省的な近年のOmar Sosaワールド。
 ECM作品を想わせるような静かで漂うようなピアノから始まり、これも静かに絡みつくようなバイオリンと囁きヴォイス。
 エキゾチックな歌が出てくると少し表情が変わってきます。
 哀しげな表情で切々と歌う美しい声。
 全曲を占めるOmar Sosaのオリジナル曲は、スペイン、アルゼンチン、メキシコ、もちろんキューバを含めたスペイン語圏、あるいはアフリカ、はたまた中近東の色合いが漂う、哀しげながらポップなメロディ。
 Yilianさんのバイオリンと歌も静かで優しい、Omar Sosaワールド。
 静かに漂うようなピアノとパーカッションに寄り添いつつの抑制された演奏。
 同じくDuo名義の“Transparent Water” (2017)と同様、どこか遠い所から聞こえてくるような、優しくどこか懐かしいトリップミュージック、少し現実寄り。
 本作も静かで素敵な時間が流れていきます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Transparent Water” (2017) Omar Sosa, Seckou Keita

“Transparent Water” (2017) Omar Sosa, Seckou Keita

Omar Sosa (Grand piano, Fender Rhodes, sampler, microKorg, vocal) Seckou Keita (Kora, talking drum, djembe, sabar, vocal)
Wu Tong (Sheng, bawu) Mieko Miyazaki (Koto) Gustavo Ovalles (Percussion) E’Joung-Ju (Geojungo) Mosin Khan Kawa (Nagadi) Dominique Huchet (Bird EFX) 

Transparent Water
Omar / Keita, Seckou Sosa
Ota Records
2017-02-24


 キューバのピアニストOmar Sosa、アフリカのコラその他を奏でるSeckou Keitaの双頭リーダー作。
 コラとピアノの共演といえば隠れた名作“Village Life” (1984) Herbie Hancock, Foday Musa Susoを想い起こしますが、アフリカンエスニックながらあの時代らしいスタイリッシュさも強いそちらに対して、本作は全く違うテイストのもっと静かで優しい音。
 コラやアフリカンパーカッションだけでなく、笙、琴、あるいは中近東系などを含めたワールドワイドな楽器が織り成す音。
 静かに鳴るピアノ、絡み合うさまざな楽器の響きと囁きヴォイス。
 中心となるオリジナル曲は近年のOmar Sosa色合い、内省的で少し哀しげな淡いメロディ。
 躍動感の強い演奏も少なくないのですが、あくまで静かで漂うような、そして優しい音。
 エスニックな打楽器の丸い音で奏でられるリフの繰り返しが穏やかな陶酔を誘い、遠い所から聞こえてくるような楽器と囁き声がどこか遠い所に誘うトリップミュージック。
 淡い色合いの空気の中、少しシャープなピアノの音が覚醒を促しつつ、気がつけばまた夢うつつの世界に・・・
 そんな素敵な時間。
 名作。




posted by H.A.


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