吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2010-

【Disc Review】“From This Place” (2019) Pat Metheny

“From This Place” (2019) Pat Metheny

Pat Metheny (Guitars, Keyboards)
Gwilym Simcock (Piano) Linda May Han Oh (Bass) Antonio Sanchez (Drums)
Luis Conte (Percussion) Meshell Ndegeocello (voice) Gregoire Maret (harmonica)
and Orchestra

From This Place -Digi-
Pat Metheny
Warner
2020-02-21


 Pat Metheny、2020年新作。
 前作はスタジオライブの”The Unity Sessions” (2014)、スタジオ録音では”KIN (←→)” (2013)以来。
 20年来の盟友Antonio Sanchezのみを残してメンバーを一新。
 ギター+ピアノトリオのカルテット+αにオーケストラが加わる編成。
 近作のハードなジャズ色を残しつつ、かつてのPat Metheny Groupの幻想的なムード、ドラマチックさが戻った感じ。
 全十曲ですが、”The Way Up” (2003-4)のイメージに近い組曲風。
 冒頭は10分を超える長尺な演奏。
 静かに漂う様に始まりつつ、徐々にテンションと音量を上げるバンド、緊張感を煽るオーケストラ。
 徐々に変わっていく景色の中を漂い疾走するピアノ、ギター。
 そして陶酔を誘うリフレインの中、凄まじいまでにドラマチックなエンディング。
 その余韻と緊迫感を引きずりつつ、ハードなジャズ、重さを抑えたジャズフュージョン、バラード等々、形態を変えながらも神妙な空気感を纏ったドラマチックな演奏が続きます。
 中盤を過ぎるとキャッチーな展開もちらほらしてきますが、張り詰めた空気感は変わりません。
 終盤に収められた儚げな女性ボーカルも、全体の中に溶け込む小さなアクセント。
 そしてストリングスに彩られたバラードで静かに幕。
 全部あわせて往年のPat Metheny Groupをよりハイテンション、よりシリアスに寄せ、よりドラマチックになった色合い。
 もしLyle Maysが健在なら、オーケストラの部分がシンセサイザーになって軽快な感じにもなっていたのかもなあ・・・いや、やはりこんな感じかも・・・などと想像すると、何とも・・・
 ともあれ本作、めくるめく音楽ドラマ、重厚な大作にして名作。




・ソロ、リーダー ・・サポート (録音or発表年) 、当方知る限り。
・・“Jaco” (Jun.1974) w. Jaco Pastorius
・・“Ring” (Jul.1974) Gary Burton 
・”Bright Size Life” (Dec.1975) 
・・“Dreams So Real” (Dec.1975) Gary Burton 
・・“Passengers”(1976) Gary Burton 
・”Watercolors” (1977)
Pat Metheny Group” (Jan.1978) 
・“New Chautauqua” (Aug.1978)
American Garage” (Jun.1979)
・・“Shadows and Light” (Sep.1979) Joni Mitchell
・”80/81” (May.1980)
・”As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls” (Sep.1980) w.Lyle Mays 
・・”Toninho Horta” (1980) Toninho Horta
・・“The Song Is You” (Sep.1981) Chick Corea
Offramp” (Oct.1981) 
Travels” (1982)
・”Rejoicing”(1983) 
・・”All The Things You Are” (1983) w. The Heath Brothers
・・“Move To The Groove” (1983) w. The Heath Brothers
First Circle” (1984) 
・・“Contemplacion” (1985) Pedro Aznar
・・"Encontros e Despedidas" (1985) Milton Nascimento
・・“Day In-Night Out” (1986) Mike Metheny
・”Song X” (1985) w. Ornette Coleman
Still Life (Talking)" (1987)  
・・“Story Of Moses” (1987) Bob Moses
・・“Michael Brecker” (1987) Michael Brecker
Letter from Home” (1989) 
・”Question and Answer” (1989)
・・“Electric Counterpoint” (1989) Steve Reich
・・“Reunion” (1989) Gary Burton 
・・“Moonstone” (1989) Toninho Horta
・・”WELCOME BACK” (1989) 矢野顕子
・・“Parallel Realities” (1990) Jack DeJohnette
・・“Parallel Realities Live...” (1990) Jack DeJohnette
・・“Tell Me Where You're Going” (1990) Silje Nergaard
The Road to You” (1991)
・”Secret Story” (1991-2) 
・・“Till We Have Faces” (1992) Gary Thomas
・”Zero Tolerance for Silence” (1992) 
・・“Wish” (1993) Joshua Redman
・”I Can See Your House from Here” (1993) w. John Scofield
・・“Noa” (1994) Achinoam Nini
・・“Te-Vou !” (1994) Roy Haynes
・・"Angelus" (1994) Milton Nascimento
We Live Here” (1995)
Quartet” (1996)
・”Passaggio per il paradiso”(1996) 
・“Sign of 4” (1996) w. Derek Bailey
・・“Pursuance” (1996) Kenny Garrett
・”Beyond the Missouri Sky” (1996) w. Charlie Haden
・・"Tales from the Hudson" (1996) Michael Brecker
・”The Elements : Water” (1997) w. David Liebman 
Imaginary Day”(1997)
・・”The Sound of Summer Running” (1997) Marc Johnson 
・・”Like Minds” (Dec.1997) Gary Burton
・”Jim Hall & Pat Metheny” (Jul,Aug.1998)
・・”A Map of the World” (1999) 
・・“Dreams” (1999) Philip Bailey
・・“Time Is of the Essence” (1999) Michael Brecker
・”Trio 99 → 00”(Aug.1999) 
・”Trio → Live” (1999-2000)
・・“Nearness of You: The Ballad Book” (2000) Michael Brecker
・・”Reverence” (2001) Richard Bona 
Speaking of Now” (2001)
・・”Upojenie” (2002)
・”One Quiet Night” (2001,3) 
The Way Up” (2003-4)
・”Tokyo Day Trip” (Dec.2004) 
・”Day Trip” (Oct.2005) 
・”Metheny/Mehldau Quartet” (Dec.2005) 
・・“Pilgrimage” (Aug.2006) Michael Brecker
・”Metheny/Mehldau” (Dec.2006) 
・・”Quartet Live" (2007) Gary Burton  
・”Orchestrion” (2009)
・”The Orchestrion Project” (2010)
・”What's It All About” (2011) 
・”Unity Band” (2012)
・”Tap: John Zorn's Book of Angels, Vol. 20” (2013) 
・・“SHIFT” (2013) Logan Richardson
・”KIN (←→)” (2013)
・”The Unity Sessions” (2014)
・・”Hommage A Eberhard Weber”(2015)  
・・”Cuong Vu Trio Meets Pat Metheny” (2016) Cuong Vu
・“From This Place” (2019)


posted by H.A.

【Disc Review】“Family Tree” (2012) Oregon

“Family Tree” (2012) Oregon

Ralph Towner (classical guitar, piano, synthesizer) Glen Moore (bass) Mark Walker (drums, percussion) Paul McCandless (bass clarinet, flute, English horn, oboe, soprano saxophone)

Family Tree
Oregon
Camjazz
2012-08-28


 無国籍フュージョンバンドOregonの2012年作。
 ECMからポップなテイストな時代を経て、イタリアのCAM Jazzからのアルバム。
 オリジナルメンバー故Collin Walcottの代わりは若手ドラマー。
 タブラ、シタールなどの音が聞こえない分、エスニック色は薄くなっていますが、一時期のポップな色合いもなくなり、ジャズな香りたっぷり、スッキリしたサウンド、。
 御年おいくつだったのかわかりませんが、Ralph Towner, Glen Moore, Paul McCandlessお三方とも枯れた風情など微塵もない音。
 突っ走る木管とギター、ピアノ、動きまくるベース。
 若い打楽器も相まって、1970年代と何ら変わらない躍動感。
 ピアノトリオ+管の場面などは若手のコンテンポラリージャズバンドじゃないの、ってな演奏。
 タブラがドラムになって毒気が抜けた、といえばその通りなのかもしれませんが、強烈な演奏力が醸し出すのであろう緊張感はたっぷり。
 堂々たるジャケット写真の大ベテランの出す音は、若々しいコンテンポラリージャズ、そんなOregon。




Oregon
"Our First Record" (1970) 
"Distant Hills" (1973) 
"Winter Light" (1974)  
"In Concert" (1975) 
"Together" (1976) 
"Friends" (1977)
"Violin" (1978)      ↑Vanguard
"Out of the Woods" (1978)  Elektra
"Roots in the Sky" (1979)   Elektra
"Moon and Mind" (1979)     Vanguard
Best of the Vanguard Years” (1970-1979) 
"In Performance" (1980)    Elektra
"Oregon" (1983)                ECM
"Crossing" (1984)              ECM
"Ecotopia" (1987)              ECM 
"45th Parallel" (1989)  ↓etc.
"Always, Never and Forever" (1991) 
"Troika" (1993) 
"Beyond Words" (1995) 
"Music for a Midsummer Night's Dream" (1998)
"In Moscow" (2000)
"Live at Yoshi's" (2002) 
"Prime" (2005)               ↓CamJazz
"1000 Kilometers" (2007) 
"In Stride" (2010) 
"Family Tree(2012)
"Lantern" (2017)

posted by H.A.


【Disc Review】“Gnosis” (2016) David Virelles

“Gnosis” (2016) David Virelles

David Virelles (piano, marímbula, voice)
Román Díaz (voice, percussion)
Thomas Morgan (double bass) Allison Loggins-Hull(piccolo, flute) Rane Moore(clarinet, bass clarinet) Adam Cruz (steel pan, claves) Alex Lipowski (orchestral bass drum, temple blocks, bongos, gong) Matthew Gold(marimba, glockenspiel) Mauricio Herrera (ekón, nkomos, erikundi, claves)
Yunior Lopez (viola) Christine Chen, Samuel DeCaprio (cello) Melvis Santa, Mauricio Herrera(voice)

Gnosis
David Virelles
Ecm Records
2017-09-15


 キューバ出身、ニューヨーク在住のピアニストDavid Virelles、摩訶不思議なフリー混じりエスニックコンテンポラリージャズ、ECMレコード制作。
 ピアノトリオとパーカッション、ヴォイスを中心に、何曲かにストリングスが加わる構成。
 ECMのChris Potter, Tomasz Stankoの作品に参加していた人。
 そちらではジャズ色の強い演奏でしたが、本作ではアヴァンギャルド系。
 陽気ながらちょっと哀しいキューバンミュージックでも、超絶技巧演奏集でも、Kip Hanrahan的なダークで都会的なアフロキューバンでもありません。
 敬虔、沈痛、陰鬱、静かで摩訶不思議な音楽。
 クラシックとジャズ、ラテンが交錯するピアノ、それが叩く不協和音と山奥パーカッション、呪術的なヴォイス、ジャズなベース。
 ときおりラテンな感じ、あるいは超絶疾走ピアノも表出し、多くの場面でキューバンなグルーヴが流れているように感じるのですが、気がつけば明後日の方向に動いていきます。
 連打されるパーカッションとプリミティヴな祝祭ヴォイスが押し寄せてくると、周りの景色はここがどこだか・・・
 そして度々訪れる思索的な静かな時間、断片的に鳴る美しいピアノの音、呪術ヴォイス・・・
 静かながら強烈なトリップミュージック、エスニック、プリミティヴ、シリアス系。
 この非日常感を怖いと感じるか、心が洗われると感じるかは、その人次第。
 なお、タイトルは“神秘的直観、霊知”のような意のようです。
 なるほど。




posted by H.A.


【Disc Review】‎”White” (2016) Marc Sinan, Oğuz Büyükberber

‎”White” (2016) Marc Sinan, Oğuz Büyükberber

Marc Sinan (Guitar, Electronics) Oğuz Büyükberber (Clarinet, Bass Clarinet, Electronics)

White
Marc Sinan
Ecm
2018-05-18

 トルコ、アルメニアをルーツとするギタリストMarc Sinanとトルコの管楽器奏者Oğuz BüyükberberのDuo。
 Marc Sinan は“Fasıl” (Mar.2008) でアコースティックギターでヨーロッパ寄りな音楽をやっていた人。
 本作でもエスニック色はあまり強くない、静かでフリー色の強い不思議な音楽。
 定まらないビートとコードの中のエレキギターと電子音、クラリネットの絡み合い。
 ギターはクリーントーンながら1970年代サイケを想い起こすような音使い、クラリネットは艶やかで朗々としつつも不思議な音階。
 フリーなインプロビゼーションばかりではなく、合奏の場面もありますが、不思議なメロディ、そして気がつけばまた強烈な浮遊と淡い混沌の中。
 ときおり現れる祈りのようなヴォイスが醸し出す敬虔なムード、電子音の宇宙的なムード、さらに突然現れるディストーションの掛かったギターの強烈な音・・・
 深刻で沈痛な面持ちと、何が出てくるのか、どこにたどり着くのか全く予想できない不安感。
 そして極めて透明度の高い美しい音。
 美しいだけにかえって不思議感、不安感120%。
 強烈な非日常へと誘う、摩訶不思議なトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Wind” (2004) Kayhan Kalhor, Erdal Erzincan

“The Wind” (2004) Kayhan Kalhor, Erdal Erzincan

Kayhan Kalhor (Kemenche) Erdal Erzincan (Baglama)
Ulaş Özdemir (Baglama)

Wind
Kayhan Kalhor
Ecm Records
2006-09-19


 イランのカマンチェ奏者Kayhan Kalhorとクルドのバーラマ奏者Erdal Erzincanの双頭リーダー作。
 カマンチェはバイオリン、バーラマは琵琶の原型あるいは変形の中近東の伝統楽器のようです。
 Kayhan Kalhor は“The Rain” (2001) Ghazalなど、ECMで時々見かける人、その中近東伝統音楽路線。
 例の中近東系音楽のもの哀しいメロディとゆったりとしたビート、終始流れるやるせないムード。
 あるいはいわゆる“悠久”な空気感。
 弦が弾かれる音と擦られる音の絡み合い。
 聞き慣れない響きはプリミティヴなようでもあるし、敬虔なようでもあるし。
 打楽器、声の無いシンプルな編成ゆえの淡々とした音の流れは、形を変えながらゆったりと進んでゆきます。
 一定のパルスを感じさせつつも不規則に停止を繰り返すビート、ときおり激情を託されたような加速を伴う強い音を交えた動きは、寄せては返す波のよう。
 いつ果てるとも知れない音は終盤に向けて徐々にテンションとスピードを上げ、高まる高揚感、最後に訪れる陶酔。
 そして全てが終わった時に訪れる静寂の時間の深淵さ。
 強烈な非日常、静かな陶酔へと誘うトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“Capturing Spirits - JKQ Live!” (2019) Jonathan Kreisberg

“Capturing Spirits - JKQ Live!” (2019) Jonathan Kreisberg

Jonathan Kreisberg (guitar)
Martin Bejerano (piano) Matt Clohesy (bass) Colin Stranahan (drums)

Capturing Spirits - Jkq Live!
Jonathan Kreisberg
New for Now Music
2019-11-15


 ニューヨーク系コンテンポラリージャズギタリストJonathan Kreisbergのライヴ録音。
 ピアノトリオにサポートされたシンプルなカルテット編成のコンテンポラリージャズ。
 複雑なメロディやビートの構成はスタジオ録音と同様、明るい色合いながらメカニカルな感じで愛想がないのですが、そんなことはどうでもよくなってしまう強烈なインプロビゼーションのオンパレード。
 ギターはPat Metheny以来の艶やかで丸いクリーントーン中心、少々派手目なエフェクティング。
 これでもかこれでもかと続くインプロビゼーション。
 そのひとつひとつの音がとても綺麗。
 これだけ綺麗にたくさんの音符を並べていくギターはなかなか希少。
 バラードやボサノバ風もありますが、それらも徹底的に今風にアレンジされたハイテンションな音、強烈な加速感を伴った弾きまくり。
 そんなギターにピッタリ追走し、さらに煽りまくる、ゴリゴリゴツゴツなピアノトリオ。
 すさまじい演奏。
 愉快痛快、手に汗握るスペクタクル。
 陰りの強いKurt Rosenwinkelに対して、陽のJonathan Kreisberg、ってな感じ。
 激しい演奏が続きますが、あくまでスムースなクリーントーンのエレキギターが先導するアコースティックな今風ジャズ、明るいムードも含めてとても気持ちいい音。
 今の“ジャズ”ギターを浴びるように聞ける一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65

“Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65

Kurt Rosenwinkel (guitar, electronics)
Tim Motzer (guitar, guitar synth, electronics) Gintas Janusonis (drms, percussion, circuit bent toys)

サーチング・ザ・コンティニュウム
KURT ROSENWINKEL BANDIT65
MOCLD
2019-10-09


 コンテンポラリージャズのギタリストKurt Rosenwinkelの変則トリオ。
 ハイテンションジャズを極めた後は、モダンジャズやらブラジルやら、いろいろな色合いのアルバムがありますが、本作は少々アバンギャルドな演奏集。
 各国でのステージのライブ録音から選んでまとめたようです。
 フリーなインプロビゼーションなのかもしれませんが、無秩序でも、抽象的な場面ばかりでも、難解でもありません。
 フリーな音の動きが徐々に何かに収斂していく音の流れ。
 冒頭に収められた”Inori”は”祈り”のことでしょうか。
 そんな敬虔なムード、電子音とギター、パーカッションが絡み合う幻想的な音から始まり、漂う音の中から徐々に立ち上がってくるコードの動き、定まってくるビート、そしてあのハードなジャズの演奏そのまま、怒涛のギターインプロビゼーションへ・・・
 そんな流れの演奏が中心。
 全七偏、さまざまな表情ながら、いずれも哀しげなムード、ハイテンションな音、とてもドラマチック。
 静かで妖しい音の流れから徐々に音量とテンションが上がり、気がつけばあのどこまでも続いていきそうな凄まじいインプロビゼーションの渦の中。
 伝統のフォームを守った予定調和にならず、抽象的で不可解にならず。
 そして終盤に向けてドカーンと盛り上がるカタルシス。
 フリー、ミニマル、アンビエント、先端系などに、強烈なジャズインプロビゼーションをフュージョンした新しいバランス、かも。
 とてもカッコいいと思います。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Dreamlife of Debris” (2019) Kit Downes

“Dreamlife of Debris” (2019) Kit Downes

Kit Downes (piano, organ)
Tom Challenger (saxophone) Stian Westerhus (guitar) Lucy Railton (cello) Sebastian Rochford (drums)

Dreamlife of Debris
Kit Downes
Ecm
2019-10-25


 イギリスのピアニストKit Downes、不思議感たっぷり、静かなコンテンポラリージャズ。
 “Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønenで、漂い、疾走するカッコいいピアノを弾いていた人。
 が、ECMでの初リーダー作“Obsidian” (2017)は幻想的なパイプオルガンの独奏。
 本作ではオルガンとピアノが半々、イギリスのサックス奏者とのDuoを中心に、楽曲によってドラム、先端系ギター、チェロが加わる編成。
 冒頭は妖しいメロディと定まらないビート。
 漂うサックスと美しいピアノが織り成す強烈な浮遊感に覆われたコンテンポラリージャズ、いかにもECMの世界。
 が、オルガンが加わると様相は変わってきます。
 “Obsidian” (2017)と同様、宇宙的な感じ、アンビニエントなイメージ。
 チェロが加わるとクラシカルな色合いが加わり、ギターが静かに鳴ると未来的な感が強くなります。
 そんな空気感に支配された淡い音楽。
 ときおり聞こえるピアノに覚醒しつつも、静かで穏やかな音の流れの中で微睡の中へ・・・
 締めはオルガンが前面に出て厳かで穏やかながらドラマチックなエンディング。
 全編通じて淡く穏やかな音の流れ。
 宇宙的な廃墟感というか、デカダンスというか・・・
 ジャケットはオーロラっぽい雲のポートレート、タイトルは"瓦礫の夢の生活?"。
 確かにそんな感じの音。




posted by H.A.

【Disc Review】“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

Kendrick Scott (Drums)
Michael Moreno (Guitar) Taylor Eigsti (Rhodes) Joe Sanders (Bass)
John Ellis (Tenor Saxophone) Jahi Lake (Turntabalist)

A Wall Becomes A Bridge
Kendrick Scott Oracle
Blue Note
2019-04-05


 Kendrick Scottのアメリカンコンテンポラリージャズ。
 前々作“Conviction” (2013), 前作“We Are The Drum” (2015)とコアのメンバーは変わらないバンドOracleでのアルバム。
 ここまでのアルバムと同じ線ですが、少しジャズな感じ、ポップさが抑えられ、不思議感が増した感じ、より未来的になった感じ。
 複雑に動きながらも柔らかなビート、飛び交う電子音、ループ。
 派手な先端ドラム、美しいギター、浮遊から疾走まで何でも来いのピアノ。
 未来的フュージョン、ジャズ、ロック、ソウル、ヒップホップ、ミニマル、その他諸々が混ざり合う音は、いかにも今の音。
 洗練された現代ジャズ~フュージョン。
 複雑に積み上げられ、徹底的に練り上げられた感じながら、作り物っぽさのない自然さは、独特の柔らかさゆえでしょうか。
 今風でクール感じのサックスを中心に各人のインプロビゼーションのスペースはたっぷり、それらが全体のアンサンブルの中に溶け込み、これまたさりげない感じながら手練れた演奏。
 不思議感たっぷりのメロディはここまでと同様、Wayne Shorterな感じ、さらに、複雑でドラマチックな構成は、実験的、先端的な要素も相当に組み込まれつつも、気難しさはなく、十分にポップです。
 ドラムは派手ですが、終始フワフワした心地よさも加えて、BGMとしてもとてもいい感じ。
 21世紀、2010年代終りの粋。
 もし今Milesさんがご存命であればこんな感じの音楽をやっているのかな?
 さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“Harmony” (2019) Bill Frisell

“Harmony” (2019) Bill Frisell

Bill Frisell (Guitar)
Luke Bergman (Guitar, Baritone Guitar, Bass, Voice) Hank Roberts (Cello, Voice) 
Petra Haden (Voice)

Harmony
Bill Frisell
Blue Note
2019-10-04


 Bill Frisell、2019年作。
 とても静かで穏やか、漂うような現代的アメリカンミュージック。
 ほぼ全面でフィーチャーされるボーカルPetra Haden、チェロにHank Roberts!。
 これはアヴァンギャルドにドカーンと・・・なんて感じではありません。
 終始ゆったりとしたテンポ、強い浮遊感、穏やかなムード。
 ヴォイスと楽器が漂うように絡み合い、ときおりの電子音、チェロの響き、不思議なメロディのオリジナル曲も含めて、幻想的でフォーキーな音。
 御歳さておき少女的なヴォイスと少しスペーシーな色合いを付けたエレキギター絡み合いを中心に、男声コーラス、サポートのギター、ベース、ときおりのチェロなどを含めた柔らかな音の重ね合い。
 アルバムのタイトルはバンドの名前でもあるようで、確かにハーモニーにポイントを置いた音作りなのでしょう。
 フワフワとした音の流れの中に響くとても繊細で儚いエレキギターのオブリガードが琴線をくすぐる、そんな場面がそこかしこ。
 アルバム一枚、ずーっとそんな音。
 フォーキーでアメリカンノスタルジーたっぷりな曲に加えて、クリスマスな感じに仕上がった“On The Street Where You Live”が絶品だったり、珍しく超センチメンタルなメロディ、と思ったら父上Charlie Hadenの曲だったり。
 最後までトゲ、毒は無し。
 哀しげで、でも前向きな感じ、懐かし気でノスタルジックな空気感は、南米とはまた違った、さながらAmerican Saudade。
 近年のBill Frisellさんの音はそんな感じ、そのフォーク~ポップス版。




posted by H.A.



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