吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2000-2009

【Disc Review】“Not in Our Name” (2004) Charlie Haden Liberation Music Orchestra

“Not in Our Name” (2004) Charlie Haden Liberation Music Orchestra

Charlie Haden (bass)
Carla Bley (piano, arranger, conductor) Steve Cardenas (guitar) Matt Wilson (drums)
Michael Rodriguez, Seneca Black (trumpet) Curtis Fowlkes (trombone) Ahnee Sharon Freeman (French horn) Joe Daly (tuba) Miguel Zenón (alto saxophone) Chris Cheek (tenor saxophone) Tony Malaby (flute, tenor saxophone)

Not in Our Name
Charlie Haden Liberation Music Orchestra
Verve
2005-08-30


 Charlie Haden、2004年、21世紀に入ってのLiberation Music Orchestra、“Dream Keeper” (1990)以来のアルバム。
 楽器編成は大きく変わっていないのだと思いますが、もう一人の主役Carla Bley以外は全員新しいメンバー。
 初期のフリー色がなくなり、スッキリしたイメージ、メロディアスなコンテンポラリージャズ。
 例のアバンギャルド、あるいは涙ちょちょ切れなセンチメンタル曲中心ではなく、Pat Metheny/ Lyle Mays/ David Bowie, Ornettte Coleman, Bill Frisellなどなど、縁のありそうな面々の楽曲が多く取り上げられています。
 お約束?のスパニッシュテイストあり、レゲエあり、霊歌風あり、ワルツあり。
 手練れた管楽器のインプロビゼーション、ところどころに彩りを加えるギター、沈み込むベース。
 かつての混沌、ドロドロした情念のようなもの、フリーキーな音、嗜虐感などなど、とんがった音が表出される場面はほとんどありません。
 アレンジもひねくれた感じはなく、おおむねオーソドックスでスッキリ爽やか。
 テーマは母国アメリカなのでしょう。
 何かしらの問題を糾弾する、あるいは悲哀で覆われた感じはなく、おおらかな空気感。
 大人になったというか、平和になったというか。
 もちろんリズム隊もフロント陣も名人芸の手練れた演奏。
 個々の楽曲のメロディとインプロビゼーションが前面に出る、洗練された現代的なジャズ。
 くすんだイメージの“Liberation Music Orchestra” (1969)のジャケットを模した明るい雰囲気のカラフルなジャケット、そのままな音。
 メッセージ、あるいは時代感さておき、トゲが取れて丸くなった、そんなLiberation Music Orchestra。




posted by H.A.

【Disc Review】“Somewhere” (May.2009) Keith Jarrett

“Somewhere” (May.2009) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

Somewhere
Keith Jarrett
Ecm Records
2013-05-28


 Keith Jarrett Standars、2009年、ドイツでのステージ。
 Standars としては“Up for It” (Jul.2002)以来久々の公式音源になるのでしょう。
 リリースはさらに時間を空けて2013年。
 冒頭の”Deep Space/Solar”、深刻で内省的な面持ち、零れ落ちてくるような繊細なピアノの独奏から始まり、徐々に変わっていく景色。
 普通のジャズではない感たっぷり、静謐と耽美、感傷的なあの世界が戻ってきたか?な導入。
 テーマが提示されリズムが入ると、インタープレーを展開しつつ徐々に上がっていく熱。
 気がつけば怒涛のハイテンションジャズ、高速ロングフレーズ連発のピアノ。
 とても激しい演奏。
 さらに中盤のタイトル曲”Somewhere/Everywhere”は、静かなバラードからお祭りファンクへと変化してドカーンと盛り上がる定番パターン。
 これが出てくると安心というか、これがないとねえ・・というか。
 そして淡々と奏でられ、高速ロングフレーズで彩られるバラードで静かに幕。
 全体的には変わらぬStandardsではあるのですが、ピアノにタメ、粘りが出てきて、さらに疾走が強烈になった感じもします。
 単にこの日の具合なのかもしれませんし、変わる兆しなのかもしれません。
 さて、今後の展開やいかに?
 次作を待ちましょう・・・
 って、もうここから十年以上経過してますか・・・

※別のステージから。



posted by H.A.

【Disc Review】“Up for It” (Jul.2002) Keith Jarrett

“Up for It” (Jul.2002) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

Up for It: Live in Juan-Les-Pins
Keith Jarrett
Ecm Records
2003-05-20


 Keith Jarrett Standars、2002年、フランスのジャズフェスティバルのステージ。
 自信作だったのか、先に録音された“My Foolish Heart” (Jul.22.2001), “The Out-of-Towners” (Jul.28.2001)よりも先にリリース(2003年)された形。
 他のアルバムで聞いことがあるような楽曲が並ぶ、ショーケースのようなステージ。
 少々抑制気味の” If I Were A Bell”から始まり、徐々に熱を帯びテンションを上げていく演奏。
 "Still Live" (Jul.1986)に凄い演奏が記録されている”My Funny Valentine”は同じ感じのイントロながら、早々にテーマが提示され、本演奏へ突入。
 あの沈んだムード、何が始まるのか予想できないドキドキ感がよかったのに・・・なんてのは贅沢なのでしょう。
 さて、お約束の楽曲変化(へんげ)は最後に収められた“Autumn Leaves / Up For It”。
 静々と始まり、凄まじいピアノソロ、ドラムソロ、テーマ、アウトロと来て、気がつけばラテンとゴスペルが入り混じる熱狂の中でドカーンと盛り上がって幕。
 よくできたステージ構成、やはりStandarsのショーケース。
 だから“The Out-of-Towners”より先に世に出たのかな?
 さてどうでしょう。

※別のステージから。


posted by H.A.


【Disc Review】“The Out-of-Towners” (Jul.28.2001) Keith Jarrett

“The Out-of-Towners” (Jul.28.2001) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

Out-Of-Towners
Keith Jarrett
Ecm Records
2004-08-31


 Keith Jarrett Standars、2001年、ECMレコードのお膝元、ミュンヘンのステージ、スタンダード演奏集。
 一年後の演奏“Up for It” (Jul.2002)に遅れて2004年のリリース。
 静かにメロディアスに始まるステージ。
 ゆったりとしたフォーキーな音の流れの後は一転して疾走するジャズ。
 続くバラードも徐々に熱が上がっていくジャズ。
 いつものStandarsではあるのですが、ピアノは1970年代諸作を想わせる疾走するロングフレーズがたっぷり。
 本ステージでは普通のジャズではない独特の疾走が戻ってきたようにも感じます。
 ハイライトはニ十分近い“The Out-Of-Towners”でしょうか。
 カッコいいベースが前面に出るされる不思議なファンクからブルースへ、一通りの演奏の後は長尺なアウトロとドラムソロ。
 あの陶酔へと誘う楽曲変化(へんげ)とまではいかずともそんな感じの展開、ちょっと変化球な新しさ。
 そして締めは”It's All In The Game”のソロ演奏、あまり演奏されない曲なのだと思いますが、これが“The Melody At Night, With You” (1998)的達観を感じさせる絶品バラード。
 いろんな意味で少々変わった印象のStandars。
 が、先にリリースされたのは次年の演奏“Up for It” (Jul.2002)の変わらないStandars。
 どちらがいいかはお好み次第。

※別のステージから。


posted by H.A.


【Disc Review】“My Foolish Heart” (Jul.22.2001) Keith Jarrett

“My Foolish Heart” (Jul.22.2001) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

My Foolish Heart: Live at Montreux (Ocrd)
Keith Jarrett
Ecm Records
2007-10-16


 Keith Jarrett Standars、2001年、スイス、モントルージャズフェスティバルのステージ、スタンダード演奏集。
 同時期の“Up for It” (Jul.2002)、“The Out-of-Towners” (Jul.28.2001)に遅れて、2007年リリース。
 東京でのライブ“Always Let Me Go”, “Yesterdays” (Apl.2001)も近い時期。
 かつての王道モダンジャズに近い、ジャズ曲と歌曲が半々になったこの期の選曲。
 タイトル曲のイメージ、あるいは落ち着いた印象の“Yesterdays” (Apl.2001)とは違って、“Whisper Not” (Jul.1999)の熱を引き継いだようなハイテンションな演奏。
 お約束の楽曲変化(へんげ)、あるいはゴスペルチックな展開もない、ど真ん中の直球ジャズ。
 一時期のStandarsには軽快なスイングってな印象がありますが、本作は熱出しまくり、汗噴き出しまくり、血沸き肉躍る系な熱血スイング。
 “The Song Is You”,  “Green Dolphin Street”がどこまで行くの?ってな激烈疾走チューンになり、“Straight, No Chaser”は少々フリー混じりのカッコいいファンク。
 ラグタイム、2ビートっぽい演奏が数曲あるのも印象的。
 もちろんタイトル曲を含めたバラードも挿まれますが、しっとりというよりもきらびやかに聞こえます。
 さて、お蔵に入っていた理由は何でしょう?
 熱血ジャズに過ぎるから?
 おっと、ジャケットもそんな感じになっていましたね。
 そんな血沸き肉躍る系ジャズのStandarsの記録。

※別のステージから。



posted by H.A.


【Disc Review】“Yesterdays” (Apl.30.24.2001) Keith Jarrett

“Yesterdays” (Apl.30.24.2001) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

Yesterdays (Ocrd)
Keith Jarrett
Ecm Records
2009-01-27


 Keith Jarrett Standars、2001年、スタンダード演奏集、東京でのステージ。
 リリースは後の演奏のアルバムに遅れて2009年。
 先にリリースされた“Always Let Me Go” (Apl.2001)と同ツアーでのスタンダード演奏集。
 鬼のようなそちらに対して、いつもの小粋にスイングするStandars。
 近作“Whisper Not” (Jul.1999)ようにシンプルなジャズ曲ばかりではなく、歌曲も半数ほど織り交ぜつつのステージ。
 “Always Let Me Go” (Apl.2001)で弾けまくった反動・・・かどうかはわかりませんが、あの楽曲変化(へんげ)あるいはゴスペルチックなファンクの場面は出て来ない事も含めて、オーソドックスでリラックスしたジャズ演奏が並びます。
 お蔵に入っていた理由はそんな感じだからだとも推察されますが、もちろん極上のジャズピアノトリオ。
 刺激が強いヤツをお求めの向きには肩透かしなのかもしれませんが、普通のモダンジャズ好きの人にとっては、本作か“At the Deer Head Inn” (Sep.1992)あたりが一番安心して聞けるかも。
 とても平和なモダンジャズピアノトリオなStandars。

※別のステージから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Always Let Me Go” (Apl.2001) Keith Jarrett

“Always Let Me Go” (Apl.2001) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

Always Let Me Go-Live in Tokyo
Keith Jarrett / Jack DeJohnette / Gary Peacock
Ecm Records
2002-10-15


 Keith Jarrett Standars、2001年、オリジナル曲、あるいはインプロビゼーション集、東京でのステージ。
 後の2009年にリリースされた“Yesterdays” (Apl.2001)に収められたスタンダード演奏と同ツアーの録音。
 “Inside Out” (Jul.2000)と同じコンセプトで演奏したのかもしれませんが、よりフリーで抽象度の高い印象。
 長尺な演奏は徐々に変化し、フォーキーでメロディアスなバラード、小粋にスイングするジャズへと姿を変えていきます。
 あるいはその逆。
 ある曲では静かに敬虔に、ある曲ではメロディアスに、ある曲ではジャジーに始まりつつ、徐々に抽象的に変わっていく音の動き。
 “Wave”, ”Tsunami”といったタイトルの演奏がありますが、確かに波のように一定のパルスがあり、連続していて、どこかに収斂していくのですが、不規則で予想できない音の流れ。
 神が降りてくる時間を待っているような、息が詰まるような緊張感の高い演奏が続きます。
 と思っていたら、例のエンヤットットな祝祭ファンクがいきなり始まったり、超高速フリージャズだったり、もう何が何だか・・・
 諸作の中でモダンジャズ度最高が“Whisper Not” (Jul.1999)、不思議度最高は本作。
 さて、本ステージでは“La Scala” (Feb.1995)のごとく神は舞い降りたのか?
 これまた個々にご判断を・・・

※別のステージから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Inside Out” (Jul.2000) Keith Jarrett

“Inside Out” (Jul.2000) Keith Jarrett

Keith Jarrett (piano)
Gary Peacock (bass) Jack DeJohnette (drums)

Inside Out
Keith Jarrett
Ecm Records
2001-10-02


 Keith Jarrett Standarsでのスタンダード曲の演奏ではなく、オリジナル曲、あるいはインプロビゼーション集、ロンドンでのステージ。
 このスタイルのアルバムは“Changeless” (Oct.1987)以来。
 スタンダード曲の演奏から別の楽曲に変わっていくスタイルが定番化されていましたが、そんな演奏をオリジナル曲あるいはフリーなインプロビゼーションから展開していく、そんなイメージの演奏。
 4ビートではない複雑なビート、シンプルなリフと変幻自在のインプロビゼーション。
 そしてしばらくの後に始まるあの楽曲変化(へんげ)。
 変化の先は、沈痛なバラードあり、フリーあり、あのエンヤットットなファンクあり、ゴスペルチックな展開あり。 
 ソロでの“La Scala” (Feb.1995)のように、神が降りてくる時間を待っている、あるいはその瞬間を紡ぐためにもがいているような、そんな流れ。
 硬派でハードな演奏が続きます。
 そして完全にスイッチが入ったと目される中盤、“341 Free Fade”のビート、リフのカッコいいこと。
 最後のスタンダード曲でようやく嵐は収まりますが、そこに至るまでの徹底的にハードでストイックなKeith Jarrett Standars。
 さて、果たして神は降りたのか?
 それは個々にご判断を・・・

※別のステージから


posted by H.A.

【Disc Review】“A Man About a Horse” (2002) Steve Tibbetts

“A Man About a Horse” (2002) Steve Tibbetts

Steve Tibbetts (Guitars, Percussion)
Marc Anderson, Marcus Wise (Percussion) Jim Anton (Bass)

Man About a Horse
Steve Tibbetts
Ecm Records
2002-08-06


 Steve Tibbetts、2002年作。
 “Northern Song” (1982) の静かな音ではなく、“The Fall of Us All” (1994)などのハードな混沌系。
 エスニックなパーカッションとスペーシーな電子音が作る幻想的な空間。
 その中を泳ぐようなアコースティックギターは、さながら儀式の静かな幕開け。
 そして鳴り響き始める妖しいパーカッションと凶悪なエレキギター。
 無秩序な混沌はありません。
 一定のビートを伴いながら鳴り続けるパーカッションと、さまざま音の絡み合いが頭の中をかき回すような、やはり混沌。
 そしてそれらが引き起こす高揚感、陶酔感。
 これは危ない。
 決して速いビートばかりではなく、大音量でもないことがかえって怖い。
 集中して聞いてしまうと、自分がどこにいるのかわからなくなりそう。
 そんな危険な香りたっぷりのトリップミュージック。
 そして最後につま弾かれるアコースティックギターの響き。
 さて、この危ない儀式の後に訪れるのは安らぎなのでしょうか。
 それとも・・・

※1977年のアルバムから。


posted by H.A.

【Disc Review】“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmari

“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmari

André Mehmari (piano)

Mpbaby-Clube Da Esquina
Andre Mehmari
Mcd World Music
2008-09-02


 ブラジルのピアニストAndré Mehmari、ソロピアノでの“Clube Da Esquina” (1972), “Clube Da Esquina 2” (1978)Milton Nascimento & Lô Borgesへのトリビュート作品、2008年版。
 子ども向けのDVD?テレビ番組?の企画と思しきアルバム。
 フォーク・ロックな元作に対して、本作はクラシカル。
 元作のメロディはそのままに、ザラつきが徹底的に磨かれ、この上なくスムースに仕上がった音。
 突っ走り、飛び跳ねる方の彼の音はありません。
 あくまで優しく穏やかに丁寧に置かれていく、美しいピアノの音。
 ほどほどのタメとほどほどのリバーブ。
 とてもさり気ない演奏のようで、端々に見え隠れする名人芸。
 とても上品です。
 子守歌としては少しラウドなのかもしれません。
 が、全編、気持ちのささくれを収めてくれるような穏やかな音の流れ。
 何も予定がない休日の午前にこれほど合う音は少ないかも。




posted by H.A.


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