吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2000-2009

【Disc Review】“Praia” (2008) Sara Serpa

“Praia” (2008) Sara Serpa
Sara Serpa (voice)
André Matos (guitar) Vardan Ovsepian (piano) John Lockwood (bass) Nick Falk (drums) Greg Osby (alto sax)

Sara Serpa
Inner Circle Music
2008-01-01


 ポルトガルのボーカリストSara Serpaのコンテンポラリージャズ。
 どうもあのごっつい変拍子ファンクM-Base、Greg Osby閥の人だったようで、彼も参加しています。
 が、ごっつい感じでもCassandra Wilson的なディープな感じでもなく、フワフワとした柔らかい空気感。
 裏声を中心とした儚げなボイスのスキャットと、明らかに凄まじい演奏力の現代の手練れの演奏が交錯する柔らかなコンテンポラリーなジャズサウンド。
 ピアノトリオ+サックスはアメリカ系、リーダーのパートナーなのであろうギターはBill Frisel的、あるいはロック的。
 ポルトガル語が前面に出るわけではないのですが、ボーカル、全体のムードはブラジル的。 
 が、リーダーが書くオリジナル曲は極めてテクニカルでメカニカルで先端的。
 後のブラジリアンTatiana Parra諸作に通じる感じかもしれません。
 と思っていたら、ピアニストは“Lighthouse” (2014) Tatiana Parra & Vardan Ovsepianのアルメニアン。
 なるほど・・・
 複雑怪奇にアップダウンするボイスとギターのユニゾン。
 これでもかこれでもかと動くメロディと、合間々に挟まれる先端的、現代的ジャズなインプロビゼーション。
 これは確かに新しい。(っても十年以上前ですが・・・)
 現代アメリカ、ヨーロッパ、南米が交錯する新しい質感のジャズ。





posted by H.A.


【Disc Review】“Celebration” (2003) Sam Rivers

“Celebration” (2003) Sam Rivers
Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute, Piano)
Doug Mathews (Bass, Violin, Bass Clarinet) Anthony Cole (Drums, Tenor Sax, Piano)

Celebration: Live at the Jazz Bakery in La
Sam Rivers
Rhombus Records
2004-03-23


 21世紀のSam Rivers、トリオでのライブ。
 ピアノレスでのサックストリオがベースですが、各人楽器を持ち替えながらの演奏。
 基本は1960年代からのフリー混じりのジャズ。
 マシンガンのように音を出し続けながら、あるいはファンキーに弾みながらビートをキープするベースに自由に動き回るドラム。
 もろもろ混ざって、疾走し、伸び縮みする変幻自在のリズム。
 そんなビートを背景に、ソプラノ、テナー、フルートを持ち替えながらこれでもかこれでもかと吹きまくり。
 強烈な疾走感、あるいは飛翔感。
 あのOrnette Colemanのスタイルですねえ・・・
 あるいは複数の管楽器でのコレクティブインプロビゼーション、ソロピアノも、ピアノトリオ(ものすごく上手い!)での演奏を交えながらのさまざまな表情。
 楽曲に愛想がないのはこの種の音楽のお約束ですが、ま、その方が自由度がより高くなるのでしょう。
 また、極めて自由なあの時代のフリージャズ的な音ながら、ドロドロとした感じではなく、どこかしらカラッとしているのもこの人の音楽の色合い。
 全編通じてすさまじい演奏力。
 衰えや枯れたムードなど、微塵もなし。
 よくも悪くもBlue Noteの“Dimensions & Extensions” (1967)の頃と変わりません。
 懐かしいやら、カッコいいやら・・・

※1970年代の映像から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Wear My Love” (2009) David T. Walker

“Wear My Love” (2009) David T. Walker
David T.Walker (Guitar)
Leon Ndugu Chancler (Drums, Percussion) Clarence McDonald (Piano, Synthesizer) Byron Miller (Bass) Barbara Morrison (Voice)

Wear My Love
Universal Music LLC
2009-11-18


 David T.Walkerのクリスマスアルバム。
 一番好きなギタリスト。
 全体のサウンドは、ちょっとキッチリし過ぎてポップに過ぎるフュージョンかな?
 でもまあ、この人のギターが鳴ればどうでもいいや。
 ソフトでメロウなクリスマスサウンドに映える激渋ギター。
 これ、最高。




posted by H.A.

【Disc Review】“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico

“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico
Savina Yannatou (Voice)
Kostas Theodorou, Michalis Siganidis (Double Bass) Kostas Vomvolos (Kanun, Accordion) Harris Lambrakis (Ney) Yannis Alexandris (Oud, Guitar) Kostas Theodorou (Percussion) Kyariakos Gouventas (Violin, Viola)

Songs of an Other (Ocrd)
Savina Yannatou
Ecm Records
2008-09-09


 ギリシャの女性ボーカリストSavina Yannatouの地中海エスニック~クラシックな音楽。
 正直、ギリシャ、地中海のエスニックな音がどんな音なのか、いつの時代の音楽をイメージしたのかはよくわかりません。
 また、Savina Yannatou自身がクラシックの人なのか、伝統音楽の人なのか、はたまたジャズ、ポップ畑の人なのか、あるいはこの音楽がギリシャ的なのかどうかもわかりません。
 “Siwan” (2007,2008),“Nahnou Houm” (2017) Jon Balke、"Arco Iris" (2010) Amina Alaouiなどの北アフリカ色、あるいはアラブ~中近東が混ざり合うような少々妖しげで悲しげな音の流れ。
 ギリシャといえばエーゲ海の陽光のイメージをしてしまうのですが、地理的にはトルコ~アラブ、あるいはアフリカ、そしてヨーロッパの結節点。
 実際はいろんな要素が入り混じる複雑な空気感の地域なのかもしれません。
 それらのエスニックな空気感にヨーロッパ的な優雅でクラシカルな空気感、宗教的な敬虔な空気感が加わった音。
 楽曲を見ると、ギリシャ、イタリアに加えて、セルビア、アルメニア、ブルガリア、カザフスタンなどの伝統曲。
 エスニックで耳慣れない弦と木管、アフリカンなパーカッションの響きと朗々としながらも悲しげな女性ボイスの絡み合い。
 静かながらハイテンションで非日常的なメロディと演奏。
 ときおりの演劇的なアヴァンギャルドなボイスパフォーマンスは、Maria Joao、Iva Bittováあたりを想い起こします。
 敬虔で少々深刻なムードは宗教的な意味合いもありそうですが、それらが祈祷、祝祭、儀式、その他、何の音楽なのかはわかりません。
 ちょっと怖いような、哀しいような、それでいて懐かしいような・・・
 いずれにしても現代日本の日常の中では感じることができない空気感。
 きっと古代~中世の地中海~北アフリカ~中近東のムードなのでしょう。
 強烈な非日常感を味わえるトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“Siwan” (2007,2008) Jon Balke, Amina Alaoui

“Siwan” (2007,2008) Jon Balke, Amina Alaoui
Jon Balke (Keyboards) Amina Alaoui (Vocals)
Jon Hassell (Trumpet, Electronics) Kheir Eddine M'Kachiche (violin) Pedram Khavar Zamini (Goblet Drum) Helge Norbakken (Percussion)
-Barokksolistene-
Bjarte Eike, Per Buhre, Peter Spissky, Anna Ivanovna Sundin (violin)
Milos Valent (violin, viola) Rastko Roknic, Joel Sundin (viola) Tom Pitt (cello) Kate Hearne (cello, recorder) Mattias Frostensson (bass) Andreas Arend (theorboe, archlute) Hans Knut Sveen (harpsichord, clavichord)

Siwan (Ocrd)
Jon Balke
Ecm Records
2009-06-30


 ノルウェーのピアニストJon Balkeとモロッコの女性ボーカリストAmina Alaouiの北アフリカ~スペイン・アンダルシア~中近東~アラブ~その他諸々がフュージョンするエスニックミュージック。
 古楽のバンド-Barokksolistene-と絡みつつ、どこかなのか、いつの時代なのか、わからない時間。
 Jon Balkeはピアノを封印して、作曲とサウンドメイクに徹しています。
 不安感を煽るかのようなメロディ、聞き慣れない音階と妖し気な弦楽器の響き。
 時空が歪んだかのように揺れ動くアルコを中心に、ときおりの哀し気なアルペジオ。
 そんなサウンドを背景に、Amina Alaouiは哀し気な表情の朗々とした声、緊張感の高い歌は、どこか宗教的な色彩も帯びた妖しい音の流れ。
 さらにはアフリカンなパーカッションに、思い出したように響くジャズなトランペット。
 妖しさ120%
 現代の日常とは乖離した不思議な時間。
 憂いに満ちた深刻な音の流れ、荘厳なムードは、神々しい・・・畏れ多い・・なんて言葉が似合いそう。
 それが中世の地中海沿岸の日常の空気感、そこでの音楽はそんな感じの存在だったのかもしれません。
 また、別のバンド“Batagraf”と同様、なぜか本作でも聞こえるKip Hanrahan諸作に似たバイオリンの動きは、大西洋を隔てたキューバとの浅からぬ関係が・・・
 ・・・とかなんとか、歴史の事はよくわかりませんが、そんな感じで数十万キロ、数百年トリップ出来る音。
 さすが、Jon Balke、ECM。
 このプロジェクトの第二弾は、十年後の“Nahnou Houm” (2017)。
 古いようでプリミティブなようで、新しくてクリエイティブな凄みが詰まった一作。




posted by H.A.


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