吉祥寺JazzSyndicate

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1990-1999

【Disc Review】“A Long Time Ago” (1997,1998) Kenny Wheeler

“A Long Time Ago” (1997,1998) Kenny Wheeler

Kenny Wheeler (Flugelhorn)
John Parricelli (Guitar) John Taylor (Piano)
Derek Watkins, Henry Lowther, Ian Hamer, John Barclay (trumpet) Mark Nightingale, Pete Beachill, Richard Edwards (Trombone) Dave Stewart, Sarah Williams (Bass Trombone)

Long Time Ago
Kenny Wheeler
Ecm Import
1999-10-19


 Kenny Wheelerのラージアンサンブルでのコンテンポラリージャズ。
 たくさんの作品を制作していた時期のようで、ECMでは”Angel Song” (1996)に続く作品。
 盟友John Taylorにギターを加えたトリオに、大人数のブラスアンサンブル。
 ドラムとベースの参加はなく、いわゆるビッグバンドのジャズとは異なります。
 フロントに立つのはフリューゲルホーン、ピアノ、ギターのみ。
 そのトリオのみの静かな場面も多く、ブラスのアンサンブルが彩りを付けていく形。
 冒頭のタイトル曲は30分を超える組曲。
 いつものちょっと悲し気で勇壮なメロディに、柔らかい音のブラスのアンサンブルから、フリューゲルホーンとギターとピアノの静かなジャズへ。
 それらが交錯する構成。
 鋭く美しいピアノに、現代的ながらあくまでジャズなギター。
 低音楽器を中心とした重厚で格調高いブラスアンサンブル。
 ドラムとベースがいない分、不思議な質感で淡々と進む音。
 ギター、ピアノが後ろに下がった場面では、よりクラシック的に聞こえます。
 現世の日常とは違う、中世のヨーロッパ的な、静かだけども不思議な重厚感。
 Kenny Wheelerらしく勇壮で高貴、上品、大人、そして静かなジャズ。

※別のアルバムから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Not Two, Not One” (1998) Paul Bley, Gary Peacock, Paul Motian

“Not Two, Not One” (1998) Paul Bley, Gary Peacock, Paul Motian

Paul Bley (piano) Gary Peacock (bass) Paul Motian (drums)

Not Two Not One
Paul Bley
Ecm Import
1999-10-19


 Paul Bleyのピアノトリオ作品。
 メンバーはGary Peacock, Paul Motian。
  “Notes” (1987) Paul Bley, Paul Motian、“Partners” (1989), “Mindset” (1992) Paul Bley, Gary Peacockなどの個別のDuoでの作品はありますが、オーソドックスな編成のトリオでは”Paul Bley With Gary Peacock” (1964)以来でしょうか?
 おそらくタイトルも、トリオでの作品、の意味なのでしょう。
 冒頭は陰鬱モードのPual Bley節、激烈系。
 静かに始まるものの、ベースとドラムが加わるとまるで鬼神たち饗宴のような、激しく厳しい演奏。
 二曲目Gary Peacockのソロ、三曲目Paul Bleyのソロに移っても、そのハイテンションな表情は変わりません。
 続くトリオでやっと普通にジャズなムード、沈痛さも少しだけ薄らぎますが、その時間は短く、やはり深刻で沈痛な世界に・・・
 あのPaul Bleyの超美メロバラードがようやく出るのは、中盤のトリオ演奏 “Noosphere”。
 たっぷりのタメを効かせたピアノ、饒舌なベース、自由なドラム・・・
 多大な影響を与えたのであろう、またGary Peacock, Paul Motianともに縁の浅からぬKeith Jarrett Standards、あるいは“My Song" (Oct.-Nov.1977)あたりを想わせる色合い、もっとセンチメンタル。
 これは絶品。
 が、これまたその時間は長くなく・・・
 と思っていたら、終盤は美メロバラード、二連発“Dialogue Amour”, “Don't You Know”。
 が、締めは一分に満たない陰鬱なエピローグ・・・
 うーん?展開が目まぐるしすぎて・・・
 ECMさん、気難し過ぎませんかねえ・・・
 カッコいいけど。

※これは古い演奏・・・


posted by H.A.


【Disc Review】“Hands On” (1997) Paul Bley

“Hands On” (1997) Paul Bley

Paul Bley (piano)

Hands on
Paul Bley
Evidence
1997-03-18


 Paul Bleyのソロピアノ。
 日本のキングレコード、Transheartレーベルから。
 Paul Bley作品、レーベルによって色合いが異なるのですが、本作は静かで上品、キッチリしていて格調高げなソロピアノ。
 破天荒さを抑えつつのスッキリとまとまった演奏。
 ほのかに明るい“Remembering”で穏やかに始まり、淡々と進む音楽。
 他の作品と同様に周囲の景色は次々と変わっていきますが、その変化は緩やかで穏やか。
 あっちに行ったりこっちに行ったりもいつも通りですが、狂気、激情は抑制されています。
 この人にしては珍しい十分を超える長尺な演奏、ワルツ~ブルース~Paul Bley節のバラード~その他諸々の楽曲の断片が交錯する”Three Fifth”も終始穏やか。
 フリージャズな場面もなぜか落ち着いています。
 例の強烈な美メロ、胸が詰まるような場面も少々抑えめでお上品。
 終盤にさり気なく置かれた“If”ぐらいが、いつものあの強烈なまでに美しいPaul Bleyバラード・・・
 などなど含めて、淡い色合い、上品なPaul Bleyの一作。

※別のアルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Sweet Time” (1993) Paul Bley

“Sweet Time” (1993) Paul Bley

Paul Bley (piano)

Sweet Time
Paul Bley
Justin Time Records
1995-06-20


 Paul Bley、カナダのレーベルJust in Timeからのソロピアノ。
 気難しいECM諸作とは全く違うムード、デンマークSteeple Chase諸作に近いのかもしれませんが、そこまでモダンジャズでない、そんなバランス。
 さらに、スッキリした感じはイタリアSoul Note、フランスOwlよりも日本のTransheartに近い感じでしょうか?
 本作も名バラード演奏がてんこ盛り。
 冒頭の“Never Again”から始まり、“Turnham Bay”、“Lost Love”、“Started”、“As Beautiful As the Moon”・・・
 いつもの浮遊する音。
 崩れそうで崩れなくて、やはり崩れて、唐突に疾走する、あの美しいPaul Bleyバラード。
 それらの合間に、激しいフリージャズ、思索的で抽象的な静かなフリーインプロビゼーション、ブルース・・・が交錯する、あのPaul Bleyの世界。
 レーベルの色合いに合わせているようにも聞こえるし、あくまでマイペースなようにも聞こえます。
 あまり強い毒気や熱はなく終始スッキリしたソロ演奏は、1990年型のPaul Bleyなのかもしれませんが、要所々での理不尽な展開、スケールアウト、漂う不思議感は同じ。
 なんだかんだで“Open, to Love” (1972)の頃から変わっていなのかもしれません。
 それにしても“Lost Love”、“Started”は絶品バラ―ド。
 そんなバラード演奏だけ集めるとすごいアルバムになるんだろうなあ・・・ってな考えは野暮なのでしょうねえ・・・?
 1970年代から後の“Play Blue: Oslo Concert” (2008)まで変わらないPaul Bleyのソロピアノ、その1990年代バージョンは、とてもスッキリした音。

※こちらはデンマークSteeple Chaseの作品から。


posted by H.A.


【Disc Review】“Double Time” (1993) Paul Bley / Jane Bunnett

“Double Time” (1993) Paul Bley / Jane Bunnett

Paul Bley (piano) Jane Bunnett (Soprano Sax, Flute)

Double Time
Bley
Justin Time Records
1994-09-25


 Paul Bley、同じくカナダの女性サックス、フルート奏者Jane BunnettとのDuo作品。
 Paul BleyがJane Bunnettの才能を見込んだか、カナダのレーベルJust in TimeがJane Bunnettをプロモートしようとしたのか、そのあたりの事情はわかりません。
 とにもかくにも二人の天才、スタイリストの共演作。
 Jane Bunnettの楽曲、共作が多いのですが、得意の激烈Cuba色はなく、フリージャズも交えつつのPaul Bley的な色合いが強い演奏。
 Duoゆえの伸び縮みするビート、強い浮遊感。
 何曲かの美しいバラードでは、あのタメにタメながら音を置いていくあのPaul Bleyスタイル。
 その直後に疾走する場面を含めて、Jane Bunnettもしっかりついていっています。
 加速しながら突っ走る心地よさ最高のサックス、フルートはこの頃から。
 走りだすと過激になるPaul Bleyに対して、しっかりまとまったJane Bunnett。
 ECM系の人とだとぶっ飛んでどこかに行ってしまいそうですが、突っ走っていても落ち着いた感じがするのは彼女ゆえでしょうか。
 この後、Jane Bunnettは怒涛のAfro Cuban Jazz作品を連発、Paul BleyはもちろんマイペースなPaul Bleyワールド。
 一期一会?のカナディアンDuo作品。
 それにしても、Paul Bleyのバラード演奏、本作ではアルバム中盤以降に収められた”Foolishly”, Please Don't Ever Leave Me”はいつもながらにカッコいいなあ・・・

※Afro CubanなJane Bunnettから。


posted by H.A.


【Disc Review】“In the Evenings Out There” (1991) Paul Bley, John Surman, Gary Peacock, Tony Oxley

“In the Evenings Out There” (1991) Paul Bley, John Surman, Gary Peacock, Tony Oxley

Paul Bley (piano) John Surman (soprano sax, bass clarinet) Gary Peacock (bass) Tony Oxley (drums)

In the Evenings Out There
Paul Bley
ECM
2000-03-07


 Paul Bleyを中心とした、さながらECMオールスターズの共演作品。
 各人のソロ、デュオその他の演奏を集めたアルバム。
 もちろんフリージャズ寄り。
 冒頭のソロピアノによる”Afterthoughts”は、これぞPaul Bley、な目の覚めるような美しいピアノとメロディのバラード。
 後ろ髪をひかれるようにしっかりとタメを効かせながら置かれていく美しい音。
 その形は徐々に崩れ、狂気を露出するような激しい表情。
 が、その時間は長くはなく、また冒頭の美しいメロディに戻る・・・
 Paul Bleyの決定版のような演奏。
 そんな演奏が何曲かあれば、アルバムのイメージも変わるのかもしれませんが、他の多くは抽象的、あるいは陰鬱で沈痛な表情のフリージャズ的、とても静かで思索的な音。
 何を表現しようとしたのか想像を膨らませるか、断片的な音の流れの中に隠された美しいメロディを探し当てようとするか、あるいは、ただただ静かで抽象的な時間に浸るか・・・、聞き方はお好み次第。
 静かなフリージャズのショーケース。

※別のアルバムから


posted by H.A.


【Disc Review】“Solo: Improvisations for Expanded Piano” (1998) Lyle Mays

“Solo: Improvisations for Expanded Piano” (1998) Lyle Mays

Lyle Mays (Piano, etc.)

Solo Improvisations for Expanded Piano
Lyle Mays
Warner Bros / Wea
2000-06-12


 Lyle Maysのリーダー作、第四弾、完全なソロ作品。
 Pat Metheny Groupとしては"Imaginary Day” (1997)と”Speaking of Now” (2001)の間の制作。
 ピアノのソロ演奏を中心として、ときおりシンセサイザーなどのサポートが入る形態。
 ビートを定めず、次々とフレーズを紡いでいくような音の流れ。
 とても静かで幻想的な時間。
 フリーなインプロビゼーションなのかもしれませんし、あらかじめ楽曲が用意されていたのかもしれません。
 ジャズっぽさはなく、ポップス、フォーク、ロックの色合いもありません。
 クラシックに一番近いのでしょうが、情景描写のような音楽。
 “Let Me Count the Ways”のようなとてつもなく甘いメロディ、あるいは淡く美しい音の流れから、厳しい表情を見せつつも、最後の”Long Life”は幻想的なとても美しいバラード。
 ゆったりとした不規則な音の流れは寄せては返す波のようにも聞こえるし、静かで温度、湿度の低い空気感はジャケットのような夜空を眺めているような感じかもしれません。
 非現実の世界へのトリップミュージックのようにも聞こえます。
 行き着く先はWichitaなのか、Alaskaなのか、それとも宇宙なのか・・・
 いずれにしても幻想的な場所。
 他のリーダー作はさておき、本作はECM的な音。
 私的にはこれが一番好きなLyle Maysのアルバム。
 2018年初現在、しばらく音信が途絶えていますが、ECMでリーダー作を作らないでしょうかねえ・・・




posted by H.A.

【Disc Review】“Fictionary” (1992) Lyle Mays

“Fictionary” (1992) Lyle Mays

Lyle Mays (Piano)
Marc Johnson (Bass) Jack DeJohnette (Drums)

Fictionary
Lyle Mays
Geffen Records
1993-03-16


 Lyle Maysのリーダー作、第三弾。
 “The Road to You” (1991)で南米路線が終わり、“We Live Here” (1995)までの間の制作。
 ここまでとは打って変わって、アコースティックなジャズピアノトリオ作品。
 冒頭、アイドルなのであろうBill Evans縁のメンバーとあの"Waltz for Debby” (1961) Bill Evansの冒頭を想わせるバラード、その名も”Bill Evans”からスタート。
 ほんの少しだけ遅れ気味に置かれる静かなピアノと、ブラシの音がとても繊細で、あの空気感がたっぷり。
 以降、アップテンポな演奏が多く、トリオが一体となって畳みかけてきます。
 ブルージーではなくクラシックの色合いも強いヨーロッパ的なような、やはりアメリカ的なような、微妙なバランス。
 Pat Metheny Groupではピアノを弾きまくる場面は少ないのですが、本作は全編それ。
 フュージョン色はなく、全編もろジャズなのですが、Pat Metheny Group風の音の流れも少々あり、もしそのリズム隊この二人だったら・・・なんて妄想も楽しめる・・・かな?
 三人とも凄まじい演奏力。
 攻めまくりのピアノと、ちょっとJackさん、叩きすぎなのでは?
 カッコいいけど。
 Lyle Maysのジャズピアノを浴びるように聞くことが出来る貴重な一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“At the Village Vanguard” (1995) Paul Motian

“At the Village Vanguard” (1995) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Joe Lovano (tenor saxophone) Bill Frisell (electric guitar)



 Paul Motianトリオ、ホームグラウンドであろうVillage Vanguardでのライブ録音。
 別のプロジェクト“the Electric Bebop Band” (1992)も動いている時期ですが、レギュラートリオでの円熟した演奏。
 冒頭はジャズスタンダードのスローバラード。
 あのミュージカルシリーズのそれ。
 フリーなドラムにフワフワとした強烈な浮遊感のギター、キッチリとメロディを紡いでいくサックス。
 が、二曲目からは激しいOrnette Coleman風フリージャズ。
 パタパタとフリーに叩きまくるドラムに、歪んだギュンギュンギター、サックスはオーソドックスなジャズから狂気の咆哮まで縦横無尽。
 続くは“Le Voyage” (1979)に収められていた名バラード”Folk Song for Rosie”、こちらは後に復帰するECM的な静かで幽玄な音。
 そんな楽曲が交錯する、“Motian in Tokyo” (1991)と同様、Paul Motianトリオのさまざまな色合いが濃縮されたようなステージ。
 フリーな場面ではKeith Jarrettアメリカンカルテット"Fort Yawuh" (Feb.1973)などを想い起こす場面もしばしば、漂うようなバラードでは2000年以降のECMの香りが濃厚。
 それぞれにPaul Motianの影響が強かったのだろうなあ・・・とあらためて思ったり・・・
 まだまだ名演は続きますが、ほどほどの不思議感、非日常感がクリエイティブ、強烈な浮遊感のPaul Motianサウンド。
 稀代のスタイリストの20世紀までの集大成、といった面持ちのステージの記録。




posted by H.A.


【Disc Review】“Paul Motian and the Electric Bebop Band” (1992)

“Paul Motian and the Electric Bebop Band” (1992)

Paul Motian (drums)
Joshua Redman (tenor saxophone) Brad Schoeppach, Kurt Rosenwinkel (electric guitar) Stomu Takeishi (electric bass)

Paul Motian & The Electric Bebop Band
Paul Motian
Winter & Winter
2005-02-01




 Paul Motian、Electric Bebop Bandでの第一作。
 Joe Lovano, Bill Frisellとのトリオもまだまだ続くのですが、それよりもさらにオーソドックスなジャズ寄り、全く意外に普通に4ビート中心、妖しさもない明るい音楽。
 後のメンバーがまるっきり交代したECM作品“Garden of Eden” (2004)あたりとは全く雰囲気が異なります。
 Dewey Redmanに通じるJoe Lovanoに変わって、Dewey Redmanとは全く違う感じの息子さんJoshua Redman、抜群の相性のBill Frisellではなく、今やスーパーギタリストKurt Rosenwinkel、なんてのは極めて趣のある人選。
 強い推進力のエレキベースにピアノレス、先端系のギターを二人にサックスの変則編成。
 ファンク、あるいはプログレッシブロックな音になってもよさそうなメンツですが、あくまでジャズ。
 Joshua Redmanはリーダー諸作のリリース前ですが、流麗なフレージングできっちりとジャズしています。
  ギター陣は少々歪んだ音で変態的、いや斬新なフレージングもちらほら。
 Kurt Rosenwinkelのリーダーデビュー“East Coast Love Affair” (Jul.1996)はまだ少し先。
 CrissCrossあたりでのセッションは始まっていた時期でしょうか?
 まだまだ若いというか、それでも大きくフィーチャーするPaul Motianの慧眼というか・・・
 ほんの少しだけコンテンポラリー風味を付けつつも、きっちりとジャズを演奏した、1992年のジャズドラマーPaul Motian。
 ちょっとむず痒いのは私だけ?




posted by H.A.


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