吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

1990-1999

【Disc Review】“Dedications & Inspirations” (1994) Jim Hall

“Dedications & Inspirations” (1994) Jim Hall 

Jim Hall (Guitar, Effects)

Dedications & Inspirations
Jim Hall
Telarc
1994-04-26


 Jim Hall、ソロ作品。
 ギターその他をオーバーダビングした構成。
 楽曲ごとにさまざまな人々に捧げられています。
 Coleman Hawkins, Sonny Rollins, Charlie Christian, Duke Ellingtonなどのジャズメン、João Gilberto他の南米系、“Something Special” (1993)のイラストを描いたGary Larson、さらには Miró, Monet, Matisseといった画家からインスパイアされたもの、などなど。
 ジャズ、ラテン、ブルース、フォルクローレ、さらに日本な”Seseragi”・・・
 そのイメージ通りに、さまざまな印象のさまざまな演奏が並びます。
 ゆったりとしたテンポ、ソロ演奏中心ゆえの静かな音。
 静かな空間の中に響く、ほどよくエコーが効いたギターの音が心地よい時間。
 概ねメロディアス、なんだかんだでジャズっぽいのですが、途中に挿まれる画家からインスパイアされた変わった演奏がアクセント。
 なんだか面白いことは間違いなし。
 Matisseなジャケットなど眺めつつ、静かにアートな空気に浸るのもまた一興かと。




posted by H.A.


【Disc Review】”Something Special” (1993) Jim Hall

”Something Special”  (1993) Jim Hall

Jim Hall (Guitar)
Larry Goldings (Piano) Steve LaSpina (Bass) 

Something Special by Jim Hall
Jim Hall
Music Masters Jazz


 ドラムレスのトリオでのアルバム。
 初期の“Jazz Guitar” (1957)を今一度、というわけではなく、ときおりアグレッシブな演奏を交えつつの現代的なジャズ。
 ギターは“Circles” (1981)などのConcord緒作とは違って、少しだけ固めの音。
 好みはさておき、こちらの方がハードボイルド感が増して、よりジャズな感じでしょうかね。
 ピアノはきらびやかな疾走系、ベースは動きまくる系。
 楽曲はメンバーのオリジナル曲が中心。
 オーソドックスな感じあり、ひねった感じあり、ポップな感じあり、アグレッシブ系あり、多様な表ながら多くが明るい印象の演奏。
 普通といえば普通、でも各人の名人芸が映えるには、このくらいがちょうどいい感じのキリッとしたジャズ。
 ドラムレスゆえ、静かで穏やか、個々の楽器が明確に見え、手に取れるような音。
 透明な空間の中に響く残響音がとても心地いい。
 シルキーでスムースな音は、全身の力が抜けていくようなリラックス感たっぷりでもあるし、柔らかくながら気合の入ったジャズでもあるし。
 “Circles” (1981)と同じぐらいいいのではないかな。
 なお、とても洒落たジャケット。
 中身もとてもいい感じ、さりげない名作。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Fall of Us All” (1994) Steve Tibbetts

“The Fall of Us All” (1994) Steve Tibbetts

Steve Tibbetts (Guitar, Percussion, Turntables)
Marc Anderson (Congas, Steel Drums, Percussion) Eric Anderson, Jim Anton (Bass) Mike Olson (Synthesizer) Marcus Wise (Tabla) Claudia Schmidt, Rhea Valentine (Voice)

Fall of Us All
Steve Tibbetts
Ecm Records
1994-02-15


 Steve Tibbetts、アフロな先端ミュージック、ド激しい系。
 パーカッション、シンセサイザー、その他諸々の厚めの音と強いビート。
 同じくECM制作、静かな“Northern Song” (1982)などとは、清々しいまでに印象が異なる演奏。
 洪水のようなアフロなパーカッションの激しいビート、強烈なグルーヴ。
 ディストーションが効いたズルズルグチョグチョギュインギュインなハードロックギター。
 “Khmer” (1996-1997) Nils Petter Molvær、あるいは”The Way Up” (2003,2004) Pat Metheny Groupの一場面を想い起すようなハードネスとダークネス。
 それらよりもはるかにはるかに、激烈、混沌、凶悪。
 シンセサイザーが唸りを上げ、スぺーシーではあるのですが、そんな表現は生易しいド激しい系。
 ECMに参画する前の“Steve Tibbetts” ‎(1977)からすれば、これも本来の姿なのでしょう。
 ビートが落ち着き、アコースティックギター中心のサウンド、静かで幻想的なスチールパンの響きが心地よい場面などもあるのですが、熱は落ちず、気がつけばまた激しい熱狂の渦。
 超弩級に激しい幻想。
 頭の中をかき混ぜられるようなサウンド。
 “Northern Song” (1982)あたりから来た人からすれば仰天でしょうが、ハイテンションで激しい系の先端サウンドをお求めの向きにはたまらない一作なのでしょう。
 こりゃスゲーや。

※これよりも激しい。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Brazilian Rhyme” (1999) Satoru Shionoya

“Brazilian Rhyme” (1999) Satoru Shionoya

Satoru Shionoya (Piano)
Jonathan Maron (Bass) Satoshi Tomiie (Keyboards, Drum Programming)
Dan Levine (Trombone) Ken Fradley (Trumpet) Paul Shapiro (Tenor Sax)
Harumi Tsuyuzaki (Vocals) Danny Madden, Stephanie James (Backing Vocals)

BRAZILIAN RHYME
塩谷哲
ファンハウス
1999-07-07


 ジャズピアニスト塩谷哲氏の”Brazilian Rhyme”。
 もちろんEarth, Wind & Fireのアレ、”パラッパッパ・パッパッパ”。
 これはレアなのでしょうか?人気作なのでしょうか?
 さておき、ミニアルバムのCDではいろんなアレンジ、ミックスの”パラッパッパ・パッパッパ”5連発。
 これはたまりません。
 さらに、間々に挿まれる、ジャズな疾走ピアノがこれまたカッコいい。
 これはホントにたまりません。




posted by H.A.



【Disc Review】“When Will The Blues Leave” (1999) Paul Bley, Gary Peacock, Paul Motian

“When Will The Blues Leave” (1999) Paul Bley, Gary Peacock, Paul Motian

Paul Bley (piano) Gary Peacock (double bass) Paul Motian (drums)

When Will the Blues Leave
Paul Bley
Ecm
2019-05-31


 マスターたちのピアノトリオ、未発表ライブ音源、2019年発表。
 鬼のような“Not Two, Not One”(1998)制作後のステージ。
 そちらとは少々違って、ダークネスとアバンギャルドな色合いはほどほどに抑制されたジャズ。
 楽曲はPaul Bleyを中心に、Gary Peacock、Ornette Coleman、ジャズスタンダードなど。
 冒頭は意外にも明るい色合い、Ornette Colemanが見え隠れする、ぶっ飛んだフリーが入り混じるジャズ。
 自由です。
 オモチャ箱をひっくり返したような音の洪水、それでいてグチャグチャな感じはなく、スッキリとまとまった、さすがの名人芸。
 続くはPaul Bleyのトレードマーク、全編ルバートでの美バラード。
 タメにタメにタメて置かれていく美しい音、センチメンタルなメロディ。
 感傷を纏いながら突然崩れていく儚さと狂気。
 そのピアノどう合わせるのか思案のベースとドラム、危ういバランスの美しさ。
 同様の演奏は、上掲アルバムから”Dialogue Amour”、さらにソロピアノの演奏も。
 どこかで聞いた超美メロの断片が、まるで記憶を想い起こすように現れ、そして崩れていきます。
 「耽美」ってな言葉が一番似合う、いかにもPaul Bleyさんの音。
 そんな感傷と自由が変幻自在に交錯するピアノに、動きまくるベース、虚空に響くシンバル。
 ぶっ飛びながらもスッキリしたアヴァンギャルドとベタベタの感傷が交錯、錯綜するステージ。
 同じく超名人たちのKeith Jarrett Standardsよりも明暗、動静の落差、変化が大きく、その分ぶっ飛んだ感じがするのかもしれません。
 未発表だった理由はジャズな成分が少々強めなことぐらい?・・・ってなのも変ですが、普通にジャズとして「も」聞ける名演奏集。
 なお、お三方のうち、既に二人が鬼籍に入ってしまっているのが何とも・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Free Roots” (1997) Omar Sosa

“Free Roots” (1997) Omar Sosa

Omar Sosa (Piano, Marimba)
Rahsaan Fredericks (Bass) Elliot Kavee (Drums) Jesús Diaz (Percussion) Steve Robertson (Tabla)
Sheldon Brown (Soprano, Alto, Tenor Sax, Bass Clarinet) Marty Wehner (Trombone) Bill Ortiz (Trumpet) Anthony Blea (Violin)
Will Power (Rap) Felix "Fito" Reinoso, Edgardo Cambón, Eric Rangél, José Luis Gómez, Orlando Torriente (Vocal)

Free Roots
Omar Sosa
Ota Records
2000-06-24


 キューバのピアニストOmar Sosa、アフロキューバン・ジャズファンク。
 近作では“Sensec” (2012)初め、内省的で静かな音楽が中心ですが、この期は強烈なビートと激しい怒涛の演奏。
 ピアノトリオとパーカッションに、ホーンとバイオリン、ヴォイス、さらにラップ。
 ラップを除けばオーソドックスな編成といえばそうなのですが、全員超ハイテンション。
 酒場に集まってワイワイガヤガヤ・・・なんて優雅な感じのキューバンミュージックではなくではなく、戦闘状態。
 複雑なビートに地の底でのたうち回るようなベース、アフリカンな魂の叫び系のヴォイスと、これまた魂の叫び系のホーン陣、叩きまくられブチ切れたように突っ走るピアノ・・・
 後の“Prietos” (2001)などと比べると、まだ隙間がある音なのかもしれませんが、全体を覆うダークな空気感も含めて、血管切れそうというか、息詰まりそうというか・・・
 途中のバラードや4ビートの場面にホッとしつつも、気がつけば怒涛のブレーク、ユニゾン、ハイテンションな雄叫び・・・
 圧倒的な演奏力と気合いに裏打ちされた、パンクなまでに激しいアフリカン・キューバン・ジャズ・ファンク。




posted by H.A.


【Disc Review】“Tucumã” (1999) Vinicius Cantuária

“Tucumã” (1999) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuária (Vocal, Guitar, Piano, Keyboards, Flute, Percussion, Sampler)
Bill Frisell, Arto Lindsay (electric guitar) Steve Cohen, Sean Lennon (Bass) Joey Baron (drums) Mauro Refosco, Davi Vieira, Marivaldo Dos Santos (Percussion) Nana Vasconcelos (Berimbau, Panela)
Laurie Anderson (Vocals, Violin) Joyce Hammann, Mark Feldman (Violin) Lois Martin (Viola) Erik Friedlander (Cello)
Michael Leonhart (trumpet) Peter Apfelbaum (Tenor Sax) Josh Roseman (Trombone)

Tucuma
Vinicius Cantuaria
Polygram Records
1999-03-16


 ブラジルのシンガーソングライターVinicius Cantuariaの1999年作。
 ガットギターとパーカッションを中心に、エレキギター、管楽器がささやかな彩りを加える背景に、シルキーな囁きヴォイス。
 そんな静かな演奏が何曲か。
 他はBeatles的なロックの強い音、Caetano Veloso、Milton Nascimentoあたりから続く1970年代MPBな音。
 あるいは、複雑なビートと一風変わったストリングス、電子音が絡み合う攻撃的、先端的な音は、New Yorkアンダーグランウンド的な妖しさ、危なさ、緊張感が漂う音。
 全曲を占めるオリジナル曲は、いずれもやるせない哀愁が漂うキャッチーなメロディ。
 それらと控え目な先端サウンドの絡み合いがいいバランス。
 なるほどなBill Frisell, Arto Lindsayのゲスト参加ですが、Kip Hanrahanあたりと絡んでいるとすごい作品ができていたんだろうなあ・・・と思わせる、そんな音。
 名作“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 1)” (1998)と同時期ですねえ・・・
 ブラジルとNew Yorkアンダーグランウンドが交錯する、ポップながら妖しいブラジリアンミュージック。
 クールでやるせなくて危なくて、お洒落。




posted by H.A.


【Disc Review】“Amor Brasileiro” (1998) Vinicius Cantuária

“Amor Brasileiro” (1998) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuária (Guitars, Percussion, Voice) Naná Vasconcelos (Percussion, Voice)
Michael Leonhart (trumpet) Arto Lindsay (guitar)

Amor Brasileiro
Vinicius Cantuaria
インディペンデントレーベル
1998-04-15


 Vinicius Cantuária、1998年、Naná Vasconcelosとのコラボレーション作品。
 二人のDuoを中心として、数曲でゲストが加わる構成。
 アコースティックギターを背景にして、例のブラジリアンネイティヴなパーカッションとヴォイス、クールなVinicius Cantuáriaのヴォイスの絡み合い。
 少人数の静かで落ち着いた音。
 仕掛けは最小限に抑えられ、あくまでナチュラルな音。
 録音はニューヨーク、十二分に洗練されていて、あくまでVinicius Cantuáriaワールドですが、それに風と土の香りを加えていくようなNaná Vasconcelosの妖しい音。
 半数ほどのオリジナル曲にボサノバスタンダード、MPBスタンダード。
 いつもの構成、前作“Sol Na Cara” (1996)にも近いフォーキーで静かなサウンドですが、もう少しブラジル寄りな感じ。
 電子音も聞こえません。
 わずかに使われるエレキギターが特別にカッコよかったりもするのですが・・・
 都会的に過ぎず、洗練され過ぎず、とんがり過ぎず、そして素朴に過ぎない、ちょうどいいころ合いの自然な音。
 どこか遠い所を眺めるような空気感。
 ここから先は都会で夜なVinicius Cantuária、お洒落な“Tucumã” (1999)へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Sol Na Cara” (1996) Vinicius Cantuária

“Sol Na Cara” (1996) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuaria (guitar, voice, vibraphone, percussion) Sakamoto Ryuuichi (piano)
Arto Lindsay (guitar) Jania Carvalho Austin (bass)

Sol Na Cara
Vinicius Cantuaria
Hannibal
2006-03-14


 Vinicius Cantuária、1996年作。
 坂本龍一氏との事実上のDuo作品。
 二人の音を中心として、少々のサポートが入る形、New York先端系のArto Lindsayがプロデュースにクレジットされています。
 三人の楽曲に加えて、かつての親分Caetano Velosoとの共作が多く取り上げられ、ボサノバ、フォークロック、ファンク。
 オーソドックスなボサノバに絡みつくような静かな電子音。
 あるいはフォーキーな演奏、少しひねったファンク、ロックな楽曲。
 この期では、後の湿った夜な感じではなく、乾いた質感、明るくソリッドな音。
 1970年代MPBのイメージを残した楽曲、Arto Lindsay的先端ロックの色、あるいは坂本龍一氏の色合いが入り混じる感じでしょうか。
 ボーカルも後の沈んだ感じではなく、若々しさが先に立つ感じ。
 妖しさも少々のみ。
 1970年代MPBから1980年代AORを経て、次を模索している時期なのでしょう。
 もちろんクールで静謐な雰囲気はこの時期から。
 お洒落でやるせなくて危ないVinicius Cantuária までもう少し。




posted by H.A.


【Disc Review】“Cantando a Elsy” (2018) Nora Sarmoria

“Cantando a Elsy” (2018) Nora Sarmoria

Nora Sarmoria (Piano, Voice, etc.)
Facundo Ferreira (Percussion) Patricio Bottcher (Winds) 
Mati Mormandi (Piano, Voice) Alisa Kaufman (Guitar, Voice) Catalina Sarmoria (Voice) Verónica Parodi (Poem, Voice)



 現代フォルクローレのピアニスト&ボーカリストNora Sarmoria、アルゼンチンの児童文学作家 Elsa Bornemannの詩を楽曲化した作品集。
 この期に多い子供向けの企画、確かにそんな感じの楽曲もあったり、娘さんも参加されたりしているようですが、全体的にはちょっとハードで大人な感じ。
 例によってピアノの弾き語りに、ときおりのパーカッションと管、弦の編成。
 跳びはねるピアノに演劇めいた歌。
 楽曲ごとにゲストボーカリストを迎えて、賑やかだったり、少し哀しげだったり。
 これまでの素直なファンクジャズや少し変わった電子音よりも、メロディや展開そのものがひねった感じ、演劇性が強くなっているかもしれません。
 インタールド的な短い演奏を含めて全20曲。
 あれよあれよと、めまぐるしく景色は変わっていきます。
 いずれにしても、元気で明るくて楽し気で、ほんの少しアバンギャルドで不思議な音。
 現代フォルクローレでもない、南米ファンクジャズでもない、独自の世界が出来上がっているんだろうなあ、と思います。




posted by H.A.




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