吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

1990-1999

【Disc Review】"Bella" (May.1990) Rava/Pieranunzi/Pietropaoli/Gatto

"Bella" (May.1990) Rava/Pieranunzi/Pietropaoli/Gatto
Enrico Pieranunzi (Piano) Enrico Rava (Trumpet) Enzo Pietropaoli (Bass) Roberto Gatto (Drums)

Bella
Enrico Rava
Philology
2009-04-01


 イタリアンのバンドによる、ほどほどオーソドックスでとても美しいトランペットカルテット。
 2016年あたり?に再発された名作。
 Enrico Pieranunzi, Enrico RavaのDuo作品では名作“Nausicaa” (1993)がありますが、本作ではキッチリビートが入って、そちらよりも元気溌剌、よりジャズ的な音。
 美しくて、センチメンタルで、それでも明るいジャズ。
 ECMのEnrico Rava諸作よりも音の明度が高くきらびやかですが、そちらはお好み次第。
 一般受けするのはこちらなのでしょうねえ。
 コンテンポラリージャズよりもオーソドックスなモダンジャズといった質感、オシャレなイタリアンが演奏したヨーロピアンモダンジャズ、ってな感じでしょうか。
 この後しばらく共演するStefano Bollaniよりも落ち着いたまろやかなピアノ。
 それでいてきらびやかな音。
 少々漂う狂気も計算された感じで、あくまで端正で美しい余裕たっぷりの音使い。
 Enrico Ravaは悠々とした吹きっぷり。
 ECMでのこの人のイメージはくすんだ真鍮だと思うのですが、本作では艶やかで明るくきらびやか。
 これ見よがしの派手さや妙な音は使わない端正な演奏ですが、相変わらずの表現力。
 抑揚に微妙な音の変化に、抜群のリズムへのノリ。
 オーソドックスなジャズを演奏してもやはりスーパートランペッターです。
 楽曲はEnrico Rava, Enrico Pieranunziの美しくセンチメンタルなオリジナルにスタンダードを少々。
 さすがにごちそうさまな “My Funny Valentine”が二テイク入っていることには一瞬引いてしまいますが、Take2はフリー混じりのカッコいい演奏。一番妖しげな演奏がそれだったりして。
 白眉はEnrico Ravaの名曲“Secrets”でしょうか。
 フリーな感じのビート、ルバート的なスローバラードから始まり、徐々にテンションと音量を上げていくドラマチックで長尺な演奏。
 その他含めて、全編艶やかできらびやかなトランペットとピアノの絡み合い。
 ドラム、ベースも控えめながら素晴らしい演奏。
 とても柔らかで艶っぽいジャズ。
 ネコのポートレートのあまりにも平和な感じなジャケットはどうかと思うのですが、確かにそんな音かもしれません。




posted by H.A.

【Disc Review】“This Night Becomes a Rumba” (1998) Deep Rumba

“This Night Becomes a Rumba” (1998) Deep Rumba
Kip Hanrahan (Producer, Percussion, Vocals)
Andy González (Bass) Robby Ameen (Drums) 
Rubén Blades, Milton Cardona (Congas, Coro, Vocals) Richie Flores, Paoli Mejias (Congas) Horacio "El Negro" Hernández (Timbales) Orlando "Puntilla" Rios (Congas, Vocals) Abraham Rodríguez (Claves, Vocals) Amadito Valdés (Timbales) Ciamara Laugart (Vocals)
Jerry Gonzalez (Percussion, Trumpet)

This Night Becomes A Rumba
ディープ・ルンバ
american clave
1998-10-27


 Kip Hanrahan、同時期の“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 1)” (1998)などの千夜一夜シリーズと並行してして動くプロジェクト。
 西洋音楽的に、現代的に、あるいは洗練された音ではなく、生のままのエスニックなキューバ音楽をやってみようといったところでしょうか?
 この少し前に流行ったと思しき“Buena Vista Social Club” (1996) のRy Cooderになんとか・・・、ってなことはないのでしょうね・・・?ま、全く違う音楽なので・・・
 とにもかくにも、もろアフロキューバンな音、激しい系。
 Kip Hanrahanのここまでの作品と違って、アフロキューバンエスニック、そのものな音。
 ギター、ピアノといった和声楽器なし、ホーンもトランペットのみ。
 パーカッションと肉声を中心とした編成。
 楽曲もKip Hanrahanの楽曲は数曲のみで、メンバーの作品、おそらく伝統曲であろう楽曲が中心。
 短いアカペラでの囁きからスタートしますが、ビートが入るとお祭り状態。
 ベースとドラムの音がかろうじて現代の音楽的というか、西洋音楽的な音、ってな感じのエスニックさ。
 ボーカルも、ジャズやロック色の曲はわずかで、エスニックテイスト全開です。
 クラクラするようなパーカッションの怒涛の連打と、司祭とそれに呼応する群衆のようなコーラス。
 ドラムはいつもの感じだし、たまにミュートトランペットなども登場するのですが、エスニックな音の渦の中に巻き込まれていきます。
 そんな中に、なぜか突然登場するCreamの”Sunshine of Your Love”、さらにシャンソンの” I Wish You Love”。
 縁の深いJack Bruceの参加はすでになく、確かにベースラインは”Sunshine of Your Love”ですが、パーカッションの連打の中に溶け込んで何のことやら・・・
 ”I Wish You Love”は素直にメロディが出ていますが、長尺10分近くクラーヴェ鳴りまくりのお祭り状態で、とてもシャンソンとは思えません。
 素朴なような、のどかなような、不思議な扱われ方のオシャレなメロディ。
 いやはやなんとも・・・
 そして延々と続く宴の締めは、またもや謎の囁きと、ソウルフルな女声のアカペラでの朗々とした歌。
 いやはやなんとも・・・




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【Disc Review】“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 2)” (1999) Kip Hanrahan

“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 2)” (1999) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer)
DD Jackson (Piano) Don Pullen (Piano, Organ) Fernando Saunders (Bass)
Horacio "El Negro" Hernandez, J.T. Lewis, Robbie Ameen (Drums)
Anthony Carrillo (Congas) Paoli Mejias, Richie Flores (Percussion)
Alfredo Triff (Violin) Erica Larsen (Voice)

キップ・ハンラハン

 Kip Hanrahan、“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996)、 “A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 1)” (1998)に続く、千夜一夜シリーズ第三弾。
 冒頭はゆったりしたビートに乗った、いつもの激しいピアノで幕を開け、複雑なビートを叩き出すドラムと物悲しいコードを奏でるピアノ、ピアノ二台よるバラード、バイオリンと語り・・・などなど、一分前後の短い演奏が、ずらり七曲?並びます。
 これはなんだろ?
 予告編?
 リミックス?
 ってな感じで始まり、八曲目“Commerce”から長め楽曲、激しいビートの演奏が始まります。
 が、安心するのは束の間、ずーっとドラムソロ、四分過ぎてやっと例の語りが始まります。
 やっと九曲目”The Tale of the Youth Behind Whom Indian and Chinese Music Was Played, And”でオルガンとベースが鳴り出し、激しいビートと物悲しいコードチェンジが絡み合う展開。
 とてもカッコいいのですが、これもそのまま続くこと、四分。
 やっとピアノのインプロビゼーションが乗ってきます。
 これはいつもの超カッコいいDon Pullen&Kip Hanrahan。
 至福の時間が数分続きます。
 が、この編曲はなんだろ?
 カラオケ?
 あるいは自分でストーリーを作れ?
 さらに十曲目、”Accurracy of Location in Shahrazade's Shadow Night”は語りから、ようやく登場する怒涛のパーカションとドラムのみの饗宴。
 これが十数分続くんじゃない?と思っていたら、ほんとにそう。
 そんな三曲の後、残りの四曲はオープニングと同様に、数秒~一分前後の短い曲?
 これはいったいなんだろう?
 凡人の私にはわからない構成。
 どこかに解説があるのかな?
 それでもカッコいいのがこの期のKip Hanrahanの音。
 どれも名作です。
 これ?
 うーん・・・?
 よろしいのではないかと。




 posted by H.A.


【Disc Review】“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 1)” (1998) Kip Hanrahan

“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 1)” (1998) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer, Voice, Percussion)
Don Pullen, Michael Cain (Piano) Brandon Ross, Eric Schenkman (Guitar)
Andy Gonzalez, Fernando Saunders, Steve Swallow (Bass) 
Horacio "El Negro" Hernandez, J.T. Lewis, Robbie Ameen (Drums) 
Abraham Rodriguez, Anthony Carrillo, Eric Valez, Puntilla Orlando Rios, Paoli Mejias, Richie Flores (Congas) Milton Cardona (Percussion)
Henry Threadgill (Alto Sax) Charles Neville (Voice, Tenor Sax) Alfredo Triff, Billy Bang (Violin) Carmen Lundy, Jennifer Resnick (Voice)

キップ・ハンラハン

 Kip Hanrahan、“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) に続く、千夜一夜シリーズ第二弾。
 メンバーは微妙に変わっていますが、空気感は同じ。
 これまた激しさと優しさ、妖しさが交錯する、素晴らしいアフロキューバンジャズフュージョン。
 第一作と同様にオープニングは静かで幻想的な”Shahrazade”。
 第一作ではピアノで奏でられていましたが、本作ではギター。
 その分さらにしっとりとした音の流れ。
 続く怒涛のようなパーカッションを背景に、超スローテンポの物悲しいメロディ。
 歌うとも語るとも区別のつかない、女声の囁き・・・
 おそらくCarmen Lundyであろう妖し気なボイスが囁き続け、間々に激しいアフロキューバンパーカッションの宴、あるいはピアノ中心とした激しいインプロビゼーションが展開される・・・そんな構成。
 導入部分を抜けると激しく強烈な緊張感の連続。
 本作もKip Hanrahan作品に一番多いアルバムの王道にのっとっています。
 叩かれ続ける激しいピアノと、凄まじいビートを叩き出す、おそらくRobbie Ameenであろうドラム。
 前半の中核はやはりピアノとドラム、パーカッション。
 Michael Cain と二台で演奏?する場面を含めて、“Tenderness” (1988-1990)あたりから続く、超激しい系のDon Pullen。
 これもこの期のKip Hanrahanサウンドの代表的な音。
 中盤からは少し落ち着いて、サックス、バイオリンがフィーチャーされ、妖しい囁き、語り、歌が交錯しながら音楽が進みます。
 “A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) では凄まじいピアノがリードしていた緊張感の塊のようなメロディの“Zunnarud's Tale Continues With the Theives”は、陶酔を誘うパーカッション、今にも崩れ落ちそうな、あの世から聞こえてくるようなボイスはそのままに、ピアノレスでバイオリンが主導。
 音が厚くない分、幻想的であるとともに、かえって強烈な緊張感。
 対峙して聞くと心臓止まるんじゃないの?と思うぐらいの呪術的な空気さえ感じる音。
 その他諸々、オープニングで使われていた”Shahrazade”の穏やかなメロディをインタールードに挟みながら繰り広げられる音絵巻。
 とてもドラマチック。
 終盤は再びピアノを中核として、物悲しくハードボイルドな展開。
 締めは、ピアノとサックス、ギター、ドブロギター?が絡み合うフリージャズ的な音を背景にした、歌うような語るような妖し気な女声。
 いやはや何とも、カッコよくて・・・
 さて、前作“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” とどっちがカッコいいんだろう?
 そちらの方が激しさテンションは上かもしれないけども、たくさん入っているナレーションが気になるのであれば、それが少ないこちらの方がいいかもしれません。
 さて、悩ましい・・・




 posted by H.A.


【Disc Review】“All Roads Are Made of the Flesh” (1985–94) Kip Hanrahan

“All Roads Are Made of the Flesh” (1985–94) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer)
Allen Toussaint (Piano) Don Pullen (Piano, Organ)
Elysee Pyronneau, Leo Nocentelli (Guitar)
Andy Gonzalez, Renaud Garcia-Fons, Steve Swallow (Bass) Jack Bruce (Voice, Bass) 
Ignacio Berroa, J.T. Lewis, Robbie Ameen, Willie Green (Drums)
Jerry Gonzalez, Milton Cardona, Richie Flores (Congas) Anthony Carrillo (Congas, Bongos)
Charles Neville, Chico Freeman, George Adams (Tenor Sax)
Chocolate Armenteros, Giovanni Hidalgo (Trumpet) Wolfgang Puschnig (Alto Sax) Dino Saluzzi (Bandoneon) Michael Riessler (Bass Clarinet) Alfredo Triff (Violin) Carmen Lundy (Voice)

All Roads Are Made Of Flesh
Kip Hanrahan キップハンラハン
American Clave
1995-07-24


 Kip Hanrahan、ライブ音源を含めて、デビューから10年間ぐらいの録音を集めたアルバム。
 半数がかつてのライブ録音、半数が1994年のスタジオでの新録音。
 ライブアルバムを作ろうとしたのか、録り貯めたライブ音源を使って、キャリアを振り返る、あるいはキャリアをまとめようとした企画なのか、意図は分かりません。
 この先、“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) に始まる千夜一夜シリーズ、“This Night Becomes a Rumba” (1998) のDeep Rumbaプロジェクトが始まり、ここまでとは違う活動。
 おりしも“Tenderness” (1988-1990)あたりで最高のバンドサウンドが出来たようにも思える時期。
 キャリアを総括して、中締めしておこう、といった感じが自然なとらえ方でしょうか。
 さて本作、時期もメンバーもバラバラですが、不思議な統一感、とてもカッコいい演奏が揃っています。
 冒頭はAllen Toussaintのピアノをフィーチャーした気怠いニューオリンズファンク。
 こちらは“Conjure: Music for the Texts of Ishmael Reed” (1983) Conjureの色合い。
 二曲目はロックなギターとJack Bruceのシャウトと、Don Pullenの跳びはねるピアノ、コンガが絡み合う、ロック~ファンクなナンバー。
 さらに続くは、いかにもKip Hanrahanのやるせないメロディ。
 Carmen Lundyの妖しいアカペラボイスとDino Salussiのバンドネオン、さらにWolfgang Puschnigのサックスが交錯する、穏やかながら凄い演奏。
 Don Pullen、Dino Salussi、Wolfgang Puschnigが共演するってのも、もう無茶苦茶な組み合わせ。
 とてもカッコいい。
 さらにスタジオ録音では、コンガとDon Pullenの跳びはねるピアノとJack Bruceのクールな激渋ボイス、妖し気なギターが絡み合う、いつものKip Hanrahanワールド。
 とてもクール。
 最後はパーカッションが鳴り響く時間と無音の時間が交錯する中での、George Adamsの咆哮。
 ・・・ってな感じで、いろんな時期のいろんな人の演奏が詰め込まれつつも、いつものKip Hanrahanワールド。
 ニューオリンズファンク~ブルース色、ロック色、しっとりさが強調されたジャズっぽい色合い、その他諸々、全部並べてみても全く違和感なし。
 それを繋ぐのは、鳴り響くアフロキューバンなパーカッションなのか、やるせない哀愁が漂うメロディなのか・・・?
 いずれにしても、さすがKip Hanrahan、一本、筋が通っていらっしゃいます。
 単なるベスト盤でもオムニバスでもライブ音源集でなく、オリジナルアルバムとしてしっかりまとまっています。
 これも名作です。
 次は“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996)。
 まだまだ快進撃が続きます。




 posted by H.A.


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