吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

1980-1989

【Disc Review】“Guamba” (1987) Gary Peacock

“Guamba” (1987) Gary Peacock

Gary Peacock (bass)
Peter Erskine (drums) Jan Garbarek (tenor, soprano sax) Palle Mikkelborg (trumpet, flugelhorn)

Guamba -Reissue/Digi-
Gary Peacock
Ecm
2019-05-17


 Gary Peacockの1987年作。
  先の“Voice from the Past – Paradigm” (1981)と同様の編成のピアノレス二管カルテットですが、Jan Garbarekを残してメンバーを変更。
 素直なドラムにスッキリ系のトランペット、全体のサウンドも焼けた金属片が混ざるようなオイル臭さが抜けた感じでしょうか。
 軽快なドラムにクールでスタイリッシュなトランペット、やはりドロドロなサックス。
 もちろん全体を支配するのは、あの男臭いベースの音の動きと哀し気なメロディ。
 交錯する疾走と浮遊、ときおり表出する狂気。
 やはり前作と同様、ハードボイルドでやるせないGary Peacockワールド。
 前作はジャケットも夜なイメージでしたが、本作は不穏な雲に覆われた昼のポートレート、そのままの音。
 闇をベースとした陰影の前作に対して、薄暗い日中のような陰影の本作。
 いずれも気難しいのですが、ECMのアートを感じるには、とてもいい感じのバランスの二作のようにも思います。

※別のアルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Voice from the Past – Paradigm” (1981) Gary Peacock

“Voice from the Past – Paradigm” (1981) Gary Peacock

Gary Peacock (bass)
Jack DeJohnette (drums) Jan Garbarek (tenor, soprano sax) Tomasz Stańko (trumpet)



 Gary Peacockの1981年作。
 超名作“Tales Of Another” (1977)、“Standards, Vol. 1” (1983)の間の制作。
 この時点で今も続く相棒となっていたのであろうJack DeJohnetteに加えて、Jan Garbarek, Tomasz Stańkoの鬼のような二管、ピアノレス。
 激しく、ハイテンション、甘味なし、気難し気で沈痛、ハードボイルドな音が聞こえてきそうなメンツですが、そのまんま。
 激しく動くベース、自由に飛び交うシンバル、哀し気なメロディを奏でるアンサンブルと抑制的ながらときおり狂気が表出するインプロビゼーション。
 強烈な疾走と浮遊の交錯、ダークネスに包まれた時間。
 冒頭のタイトル曲”Voice from the Past”、同じくつわもののMarilyn Crispell, “Amaryllis” (2000)での再演がとても優しく聞こえてくるのは、女性ゆえでしょうか。
 こちらは男臭い悲哀に糊塗されたされた音。
 が、スピードを上げ、あるいは混沌に陥り狂気にとらわれているようでも、なぜかどこかで抑制されているストイックなムード。
 あくまで静かで沈み込むような、やるせない悲哀。
 つわものたちが絞り出す、苦み走った音。
 決して怖くはありません。
 たぶん。

※同タイトル曲、別アーティストのカバー。こちらはスッキリ系。


posted by H.A.


【Disc Review】“Skylight” (1981) Art Lande

“Skylight” (1981) Art Lande

Art Lande (piano, percussion)
Paul McCandless (soprano saxophone, English horn, oboe, bass clarinet, wood flute) Dave Samuels (vibraharp, marimba, percussion)

Skylight
Art Lande
Ecm Import
2008-11-18


 アメリカのピアニストArt Lande、1981年、変則トリオでの作品。
 ベース、ドラムを排し、管とマリンバ系での室内楽アンサンブル的な編成。
 これにRalph Townerが加わると”Oregon”になるのだろうなあ・・・とか思いつつも、いつもの漂うような音、あくまでノーブルなArt Landeさんの世界。
 淡さ、浮遊度は諸作でも一番強いのかもしれません。
 ビートと展開をコントロールしつつもスムースに流れるピアノ、フワフワとした背景を作るマリンバ、ヴィブラフォン、その上を漂うような柔らかな木管楽器の音。
 三者三様の浮遊と疾走が交錯しつつも、ピッタリと寄り添ったアンサンブル。
 少し哀しげな憂いを湛えたメロディ、音の流れ。
 ビート感が上がり、高揚しても激情ではなく、あくまで穏やかな空気感。
 夜ではなく、あくまで朝~昼の空気感。
 淡いようで明解、明解なようで淡い、夢うつつの狭間。
 穏やかな非日常感。




posted by H.A.


【Disc Review】“Shift in the wind” (1980) Art Lande, Gary Peacock, Eliot Zigmund

“Shift in the wind” (1980) Art Lande, Gary Peacock, Eliot Zigmund

Art Lande (piano) Gary Peacock (bass) Eliot Zigmund (drums)

Shift in the Wind
Gary Peacock
ECM
2008-12-19


 Art Lande, Gary Peacock, Eliot Zigmund、1980年のピアノトリオ作品。
 Gary Peacock視点では、あの超名作“Tales Of Another” (1977)、“Standards, Vol. 1” (1983)の間での制作。
 ピアノはフォーキー&クラシカルなアメリカンArt Lande、ドラムはBill Evans所縁のEliot Zigmund。
 フォーキー&クラシカル、そしてリリカルなピアノ。
 いつものように饒舌、強いテンションを加え加速を促すような激しいベースの動き。
 それに呼応するようにテンションを上げようとするピアノ。
 が、何曲かのフリーな演奏を含めて、遠い所に飛んで行ってしまいそうで踏み止まります。
 Keith Jarrett的でないことはもとより、Bill Evans的でもない、あくまでノーブル&スムースなピアノ。
 危ういようで、アンバランスなようで、落ち着くところに落ち着いてしまいます。
 Art Landeさん、この期1970年代ECMのピアニストとしては異色なのかもしれませんが、21世紀ECMには何人もいそう。
 平穏な音が流行る時代になったのか、それとも時代が追い付いてきたのか・・・
 いずれにしても、ぶっ飛んでいるようで、上品で穏やか、そんな不思議なバランスのピアノトリオ。




posted by H.A.



【Disc Review】“Elis (Vento de Maio)” (1980) Elis Regina

“Elis (Vento de Maio)” (1980) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
Lô Borges, Adoniran Barbosa, Milton Nascimento, Os Borges (vocal, etc.) and others

エリス(1980)
エリス・レジーナ
ユニバーサル ミュージック
2014-06-11



 Elis Regina、1980年、遺作。
 今流通しているのは、曲が追加された“Vento de Maio” (1980)がメインなのかもしれません。
 “Elis, Essa Mulher” (1979)で完成をみたと思われるサウンド、洗練されたブラジリアンポップス。
ゲストを交えつつの多彩な余裕のサウンド。
 鳴り響くパーカッションに弾むバンド、激しいブレークとキメのファンクな音、そんなかつてな感じのサウンドも含めつつの落ち着いた音。
 もうかつてのような目立ったシャウトはありません。
 かといって落ち着いてばかりいるわけではなく、ときおりの強い熱を発散しながらも、自然にサラサラと流れていくような音。
 自然に体が揺れるグルーヴに多彩な表情の声。
 ネイティブなサンバな色合いも含めたボーナストラックも素晴らしいのだけども、オリジナルアルバムの曲をピックアップし並び変えると、これまた別の表情。
 キャッチーな楽曲が揃い、カッコいいギターのカッティングから始まるA面に、ファンクなベースで始まるB面、各面共に起承転結をつけながら後半に向けて盛り上がっていく構成。
 完成度の高いブラジリアンポップスアルバム。
 稀代のカリスマ、最後までたくさんのエバーグリーンを残しつつ、1982年、逝去。




posted by H.A.

【Disc Review】“Saudade Do Brasil” (1980) Elis Regina

“Saudade Do Brasil” (1980) Elis Regina

Elis Regina (vocal)
César Camargo Mariano, Sergio Henriques (Keyboards) Natan Marques (Guitar, Acoustic Guitar) Kzam (Bass, Acoustic Guitar) Sagica (Drums) Chacal (Percussion)
Chiquinho Brandão (Flute) Paulo Garfunkel (Flute, Clarinet, Saxophone) Lino Simão (Tenor Sax) Octavio Bangla (Tenor Sax, Clarinet) Bocato (Trombone) Claudio Faria, Nonô Carvalho (Trumpet)

Saudades Do Brasil
Elis Regina
Wea Brazil
2007-08-21


 Elis Regina、1980年、”Saudade do Brasil”と題されたショーのライブ録音。
 ソウル&サンバなバンドに分厚いホーン陣、大人数のダンサーも加わった一大エンターテインメント。
 音楽だけ聞くと、イントロ、インタールードなどの過剰に大仰な部分もあるのですが、ダンスを含めた演出絡みなのでしょう。
 演奏自体はハイテンションながらスッキリとした音。
 主役のElisさんは、とにもかくにもハイテンション。
 唸り、叫び、踊り、跳びはねるElisさん。
 エネルギー全開120%。
 映像をみると、これはちょっと危ない・・・というか怖いぐらいに気合の入った表情。
 テンポが落ちてバンドの音量が下がっても、何かに憑かれたように歌のテンションは下がりません。
 スタジオ録音でもこんな感じだったんだろうなあ、と思うと、聞く側の血管が切れそうになる気がしたのも納得。
 いまさらながらに、凄いアーティスト、稀代のカリスマだなあと思います。
 さておき、映像を見るとダンサー陣が何だか面白くて・・・
 いずれにしても皆さま、お疲れさまでした。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Live In Bologna 1985” (Apl.1985), “Strollin'” (Jun.1985) Chet Baker

“Live In Bologna 1985” (Apl.1985), “Strollin'” (Jun.1985) Chet Baker

Chet Baker (trumpet, vocals)
Philip Catherine (electric guitar) Jean-Louis Rassinfosse (double bass)


ストローリン
チェット・ベイカー
SOLID/ENJA
2018-05-23


 Chet Baker、この期の定番の編成の一つ、ギターとベースのトリオでのライブ録音。
 ギターがジャストジャズなDoug Raneyからロックも混ざるPhilip Catherineに、ベーシストも交代。
 イタリア、ドイツでの近い時期のステージを収めた二作。
 少し躍動感が強い“Live In Bologna 1985” (Apl.1985)、ひたすら沈み込むような“Strollin'” (Jun.1985)。
 “Diane” (1985) Chet Baker & Paul Bley と同年、1980年代、静謐なChet Baker。
 どちらのステージも水を打ったように静かな空間。
 その中を静かに流れていくジャズ。
 徐々に熱を帯びていく攻撃的なギターとベースにクールなトランペット。
 ときおりのファンクなビートやエフェクティングされたギターも交えながら演奏は進みます。
 スピードが上がっても、ラテンになっても、バックのテンションが上がっても、トランペットはあくまでクール。
 トランペットが後ろに引くとフュージョンの香りも漂うギター、ベースの怒涛のようなDuo。
 が、トランペットが戻ると端正で流麗なジャズ。
 懐かしいものが脳裏をよぎる瞬間。
 American_man in EuropeのAmerican Saudadeな音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Vinícius Cantuária” (1982), “Gávea de Manhã” (1983) Vinicius Cantuária

“Vinícius Cantuária” (1982), “Gávea de Manhã” (1983) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuária (Vocal, Guitar, etc.)
and others



 ブラジルのシンガーソングライターVinicius Cantuáriaのデビュー作と第二作。
 1980年代、世はフュージョン全盛期。
 が、デビュー作“Vinícius Cantuária” (1982)は、1950年代アメリカ西海岸?と想うようなストリングスとコーラスワークから始まります。
 とてもノスタルジックな音。
 あるいはBeatles的ロック~ポップス、1970年代MPB風。
 はたまた跳ねるベースとエレピが主導する1980年代AOR風。
 そんな感じでここまでの時代のさまざまな色合いが交錯する音。
 そんな背景に乗ってくるポルトガル語の柔らかなイントネーションの囁きヴォイス。
 とても優雅ですが、アメリカ的な洗練ではなく、素朴な感じがいかにもこの期のブラジリアンポップス。
 第二作“Gávea de Manhã” (1983)ではノスタルジックなムードが無くなり、躍動感の強いホーンアンサンブルと跳ねるベース、エレピ、シンセサイザーが目立つソウル系AOR風味が強い構成。
 1970年代MPB風の猥雑さも残しつつの1980年代サウンド。
 そんな中で終始鳴り続くストリングスが一風変わっていて、後の音数を絞った静かな作品群を予見するような、そうでもないような・・・
 淫靡でやるせないVinícius Cantuáriaサウンドは21世紀まで待ちましょう。
 それら含めてレアグルーヴな音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Wings Over Water” (1981) Stephan Micus

“Wings Over Water” (1981) Stephan Micus


Stephan Micus (Guitars, Flowerpots, Ney, Zither, Suling)

Wings Over Water
Stephan Micus
Ecm Import
2000-07-18


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micusの初期作品。
 ECMではなくJapo Recordsでの制作。
 名作“East of the Night” (1985)、ECMでの“Ocean” (1986) の少し前。
 1990年以降、北欧系、中近東系、地中海系、アフリカ系、インド系などなど、民族音楽色、あるいは古楽色が強いECM作品が増えているように思いますが、1970年代からのCollin Walcottと1980年代からのこの人、インドのL. Shankar, Zakir Hussainあたりが元だったのかなあ、と思ったりもします。
 なぜか南米系はEgberto Gismonti, Nana Vasconcelosで止まっていますね・・・
 さておき本作、この期はギター中心、管楽器は尺八ではなく少し音の線が細いNey、ヴォイスが響く場面も少々のみ。
 西欧的フォークな色合いも残した繊細な音の流れ。
 ギターあるいはフラワーポットなどで刻まれるリフを繰り返す、プリミティブな、あるいはミニマルミュージックにも通じる背景と、少し変わった音階でメロディを奏で、インプロビゼーションを展開する管と弦。
 オーバーダビングによるアンサンブルも洗練されています。
 例のごとくヨーロッパなのか、中近東なのか、アジアなのか判然としないそれらフュージョンするような音、時代感もわからない不思議な質感。
 強いて言えば本作、どこの色が強いのでしょう?
 ギターの哀感の強いメロディが印象に残るのでスペイン、あるいは管の音、音階からは中近東~インドあたり、優しいフラワーポットの響きはアジア的でしょうかねえ?・・・やはり区別は無用。
 ごちゃまぜなようで、実験的なようで凄い完成度。
 遠いところから聞こえてくるような懐かしい感じの心地よいサウンド。
 終始静かな音を含めてECMなワールドミュージックの端緒、あるいは前夜な一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Live in Montreux” (1985) Joao Gilberto

“Live in Montreux” (1985) Joao Gilberto

João Gilberto (voice, guitar)

Live in Montreux
Joao Gilberto
Nonesuch
1990-10-25


 João Gilberto のライブアルバム。
 “Getz/Gilberto Vol. 2” (Oct.1964)ではトリオ、ジャズコンボ“Getz/Gilberto'76” (May.1976)、他にもオーケストラとの共演でのライブなどもアルバムになっているのだと思いますが、本作は定番のギターの弾き語り。
 ざわつくオーディエンスと、あくまで冷静に淡々と音を綴る神様João Gilberto。
 場をなだめ鎮静化しようとしているようにも聞こえるし、一緒に盛り上がってしまおうとする気持ちを抑えているようにも聞こえるし・・・
 演じられるのは定番のブラジルの名曲たち。
 ・・・“Garota De Ipanema”, “Estate”, “A Felicidade”, “Rosa Morena”・・・。
 そして締めは“Aquarela Do Brasil”。
 “A Felicidade”では、サンバのライブのような合唱が始まりますが、うーん、どうでしょう?
 とにもかくにも、ジャケットのアートと同じく明るくにぎやかな感じのJoão Gilberto。
 オーケストラ入りの"João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980)はさておき、それぞれ表情が異なります。
 同じく弾き語りでも対照的なのが静かな空間の中で張り詰めたような"Live at Umbria Jazz" (1996)とさらに柔らかで幽玄な“In Tokyo” (2003)。
 それらと本作の中間な感じ、ギターと声が前に出てくる“Eu Sei que Vou Te Amar" (1994)。
 どれがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


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