吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

1980-1989

【Disc Review】“Poema da Gota Serena” (1977,1980,1982,1996,2000,2004) Ze Eduardo Nazario

“Poema da Gota Serena” (1977,1980,1982,1996,2000,2004) Ze Eduardo Nazario
Zé Eduardo Nazario (Drums, Kalimba, Khene, Tabla, Glockenspiel, Mridangam, Percussion, Flute, Whistle, Voice)
Lelo Nazario (Electric Piano, Percussion, Synth, Piano, Xylophone, Bells) Fernando Nélio Porto (Keyboards, Piano) Pereira (Guitar)
Zeca Assumpção (Contrabass, Bass) Luciano Vieira (Bass)
Cacau (Tenor Sax, Flute) Roberto Sion (Flute) Roberto Sion, Teco Cardoso (Soprano Sax) Roardo Bernardo (Tenor Sax) Rommel Fernandes (Violin)
Guilherme Franco, Dinho Gonçalves (Percussion)



 ブラジルのドラマーZe Eduardo Nazarioのコンテンポラリージャズ。
 2015年?再発アルバム。
 1970年代から2000年まで長い期間、1980年代にリリースされたアルバム”Poema Da Gota Serena” (1982)を中心として、2000年のライブなども含めたオムニバス作品
 コンテンポラリージャズというよりも、John Coltraneのフリージャズ、あるいはエレクトリックMilesの流れを汲むアバンギャルドジャズといった面持ち。
 ボサノバ以降、この期のブラジリアンジャズの事情には疎いのですが、エレクトリックMiles系の激しいジャズファンク、あるいはフリージャズ、プログレッシブロックを吸収しつつ、ブラジルエスニックな音が強く混ざった、アバンギャルドなジャズフュージョン。
 ボサノバ的な洗練とは全く別世界な音。
 1970年代のEgberto Gismonti諸作あたりに通じるのかもしれませんが、もっとドロドロとしたコアな色合いでしょう。
 1970-1980年代の演奏はまさにそんな音。
 LPレコード片面一曲の重厚で激しい組曲構成。
 ドンドコドンドコ、ビヒャー、ドカーン、ビユユーン、ケチャケチャ・・・ってな感じ。
 冒頭からド激しいドラムとテナーサックスのDuo、続くこと約8分。
 “Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltraneな時間。
 ドラムがアフロっぽいというか、サンバっぽいというか。
 さらにドロムソロ~妖し気な笛の音・・・
 さらには、引っ掻き回されるエレピ系の電子楽器と、カリンバ、マリンバ系、パーカッション、Nana Vasconcelos的ボイスの饗宴、いや狂演。
 南米密林フリージャズ、あるいは南米密林フリーファンク。
 激しいビートと妖し気な音の流れに誘われる陶酔感、その世界にトランスさせてくれる音。
 その種の音楽が流行らなくなったであろう1990-2000年代になると、洗練された感じ、Weather Reportっぽくなったり、キメキメフュージョンっぽくなっていますが・・・
 とても素晴らしいオリジナル”Poema Da Gota Serena” (1982)のジャケットを含めて、包装は爽やか系ですが、中身はドロドログチャグチャ。
 John Coltraneのアバンギャルドジャズ、エレクトリックMilesWeather Report、そしてブラジル大好きな人にとってはたまらない作品でしょう。
 色合いの違う音源が集まっていることはさておき、凄いアルバムです。



posted by H.A.




【Disc Review】“Athos” (1993-1994) Stephan Micus

“Athos” (1993-1994) Stephan Micus
Stephan Micus (Zither, Sattar Strings, Voice, Shakuhachi, Suling, Percussion, Flowerpots, Ney)


Athos
Stephan Micus
Ecm Import
2000-07-18


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micusの厳かな作品。
 1980年代、“East of the Night” (1985)、“Ocean” (1986)あたりはアジアの空気感が強めでしたが、本作はヨーロッパ。  
 タイトル”Athos”、サブタイトル“A Journy to The Holy Mountain”の通り、ギリシャの聖地アトス山への巡礼?の旅を表現したのだと思います。
 本作の主役は半数の曲にフィーチャーされる聖歌のようなコーラスでしょう。
 荘厳といった感じまではいかずとも、とても厳か。
 私が知る限りの彼の作品の中では、沈痛度が高めなようにも感じます。
 スタートはヨーロッパ~中央アジア?の古い弦楽器のZither, Sattar。
 漂うような弦の音を背景にした、少々沈痛気味のメロディと、激情を包み込むようで隠しきれないような弦の響き。
 とても悲しい音。
 ECMではお馴染みのDavid Darlingのチェロを想い起こします。
 続くはオルガンような音を背景にした厳かなコーラス。
 そんなパートを挟みながら、尺八のソロ、竹のリード楽器などが交錯します。
 締めは冒頭と同じ減の響きとコーラスのドラマチックな絡み合い。
 宗教的な意味はわかりません。
 決して暗いわけではありませんが、少々重々しい事も否めません。
 が、この音が流れている時間は完全に別世界。
 心が洗われる・・・かどうかは、人それぞれなのでしょうが、いつもながらのトリップミュージック。
 古代~中世のヨーロッパにトランスできる・・・かな?
 ・・・にしても、ジャケットのポートレートがさり気ないながら深いなあ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Ocean” (1986) Stephan Micus

“Ocean” (1986) Stephan Micus
Stephan Micus (Dulcimer, Zither, Ney, Sho, Shakuhachi, Voice)

Ocean
Stephan Micus
Ecm Import
2000-07-18


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、ECMでの無国籍、ノンジャンルな静かな音。
 前作に当たるのであろう“East of the Night” (1985)はギター中心でしたが、本作はDulcimer, Zither(打弦楽器)と尺八を含めた木管が中心。
 聞き慣れない音、アジアなのか、ヨーロッパなのか、中東なのかわからない、無国籍ワールドミュージック色が強くなってきました。
 冒頭曲ではヴォイスが入って、妖しい感も増幅。
 といってもメロディの芯が明解で、フォーク~ポップミュージックっぽさもあり、その微妙、絶妙なバランス。
 二曲目以降は、前作と同様の静かでゆったりとした幽玄な音の流れ。
 恐らくヨーロッパ系の古楽器であろう弦の音と日本的な笙、尺八が絡み合う不思議な空間。
 弦楽器が琴のように聞こえ、笙がパイプオルガンのように響く、何とも摩訶不思議な感覚。

時間が止まっているような、ゆったりと動きだすような、そんな音の流れ。

 テーマはもちろん海なのでしょうが、地中海や北海よりも、瀬戸内海的でしょかね。
 日本的な夜明け、あるいは夜明け前な感じ。
 きらめく陽光はありませんが、激しい波もうねりもありません。
 とても静かで穏やかです。
 前作が山間部の夜明け前であれば、本作はまさに海辺のそれ。
 ジャケットのポートレートそのままの音。
 トリップ度、トランス度、高。
 これも名作です。




posted by H.A.


【Disc Review】“East of the Night” (1985) Stephan Micus

“East of the Night” (1985) Stephan Micus
Stephan Micus (10-String, 14-String Guitar, Shakuhachi, 4 Shakuhachi)

East Of The Night
Universal Music LLC
1988-01-11


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、とても静かで穏やかな無国籍ワールドミュージック。
 ECMからの配給ですが、制作はJapoレーベルのようです。
 全二曲のクレジットを見るとちょっと身構えてしまいますが、中身はとても穏やかで優しい音。
 LPレコードA面は、ギターと尺八が妖しく絡みあう、ゆったりとした幽玄な空気感。
 おそらく日本をイメージしているのでしょう、どこかしら東洋的な雰囲気。
 甘くも華やかでもなく、妖しげでもあるのですが、どことなく懐かしく、センチメンタルな音の流れ。
 LPレコードB面はギターのみでの演奏ですが、これまたとても優し気でセンチメンタル、あるいはロマンチック。
 A面比べると少々シャープな印象、メロディも明確ですが、淡くて穏やかな空気感は同じ。
 訥々としたアルペジオで爪弾かれる悲しげなような、懐かし気なようなコードとメロディ。
 全二曲、いずれも淡々とした音の流れがひたすら二十数分続きますが、退屈はありません。
 一日中このアルバムがループしていても、おそらく違和感はないでしょう。
 終始静かで優しい音だから。
 他の作品に比べると、使われる楽器の種類が少なくシンプルなこと、ボイスが入らないことも、よりナチュラルなムードにつながっているのかもしれません。
 具体に過ぎず、抽象に過ぎない、絶妙なバランスの音の流れと空気感。
 周囲の景色がゆったりと変わっていっているような、何とも微妙な音と時間の流れ。
 ジャケットのアートのそのままの、幽玄で広い空間の音。
 タイトルは「夜明け前」といったニュアンスでしょうか?
 正否はさておき、そんな夜の静寂のゆったりとした曖昧な時間の動きのような音。
 とても静かなトリップミュージック。
 名作です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Fairytales” (1982, 1979) Radka Toneff

“Fairytales” (Feb.1982, 1979) Radka Toneff
Radka Toneff (voice) Steve Dobrogosz (piano)

フェアリーテイルズ (BOM13001)
ラドカ・トネフ
ボンバ・レコード
2015-11-21


 ノルウェーの女性ジャズボーカリストRadka Toneff、ピアノとのDuo作品。
 とてつもなく美しく、悲しいアルバム。
 アメリカ~スウェーデンのピアニストSteve Dobrogoszは、クラシックのムードも纏った美しく上品な音。
 決して派手ではありませんが、時折のタメ、零れ落ちるような、浮遊するような音使いを含めて、ECMでリーダー作があってもおかしくない、いかにもヨーロッパジャズなピアノ。
 その上を漂うような、透明度の高い可憐なボイス。
 線が細めに聞こえること、上の方で微妙に裏返る事も含めて、とても繊細で儚い歌。
 ポップスからの選曲、“My Funny Valentine”、”Nature Boy”といったスタンダード。
 大きなフェイクもなく、奇をてらったアレンジもありません。
 際立って美しい声とピアノ、全編スローで徹底的に静謐な事を除けば、この時代の作品にはたくさんありそうな構成。
 ECMの名作“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstoneあたりに近い感じではあるのですが、もっとポップで、もっと普通にジャジー。
 静かで淡々とした色合いは、あの時代の北欧ジャズの静かで美しい佳作、確かに妖精だなあ・・・とサラリと聞き流してしまうかもしれません。
 が、なぜか微かに漂う凄み。
 その根源はよくわかりません。
 事実としては、Radka Toneffは本セッションの数ヶ月後に自殺したとのこと・・・
 ・・・
 似た感じだからといって他のアルバムと並べるのはちょっと畏れ多い。
 大名作です。




posted by H.A.
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