吉祥寺JazzSyndicate

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1980-1989

【Disc Review】“Live In Bologna 1985” (Apl.1985), “Strollin'” (Jun.1985) Chet Baker

“Live In Bologna 1985” (Apl.1985), “Strollin'” (Jun.1985) Chet Baker

Chet Baker (trumpet, vocals)
Philip Catherine (electric guitar) Jean-Louis Rassinfosse (double bass)


ストローリン
チェット・ベイカー
SOLID/ENJA
2018-05-23


 Chet Baker、この期の定番の編成の一つ、ギターとベースのトリオでのライブ録音。
 ギターがジャストジャズなDoug Raneyからロックも混ざるPhilip Catherineに、ベーシストも交代。
 イタリア、ドイツでの近い時期のステージを収めた二作。
 少し躍動感が強い“Live In Bologna 1985” (Apl.1985)、ひたすら沈み込むような“Strollin'” (Jun.1985)。
 “Diane” (1985) Chet Baker & Paul Bley と同年、1980年代、静謐なChet Baker。
 どちらのステージも水を打ったように静かな空間。
 その中を静かに流れていくジャズ。
 徐々に熱を帯びていく攻撃的なギターとベースにクールなトランペット。
 ときおりのファンクなビートやエフェクティングされたギターも交えながら演奏は進みます。
 スピードが上がっても、ラテンになっても、バックのテンションが上がっても、トランペットはあくまでクール。
 トランペットが後ろに引くとフュージョンの香りも漂うギター、ベースの怒涛のようなDuo。
 が、トランペットが戻ると端正で流麗なジャズ。
 懐かしいものが脳裏をよぎる瞬間。
 American_man in EuropeのAmerican Saudadeな音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Vinícius Cantuária” (1982), “Gávea de Manhã” (1983) Vinicius Cantuária

“Vinícius Cantuária” (1982), “Gávea de Manhã” (1983) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuária (Vocal, Guitar, etc.)
and others



 ブラジルのシンガーソングライターVinicius Cantuáriaのデビュー作と第二作。
 1980年代、世はフュージョン全盛期。
 が、デビュー作“Vinícius Cantuária” (1982)は、1950年代アメリカ西海岸?と想うようなストリングスとコーラスワークから始まります。
 とてもノスタルジックな音。
 あるいはBeatles的ロック~ポップス、1970年代MPB風。
 はたまた跳ねるベースとエレピが主導する1980年代AOR風。
 そんな感じでここまでの時代のさまざまな色合いが交錯する音。
 そんな背景に乗ってくるポルトガル語の柔らかなイントネーションの囁きヴォイス。
 とても優雅ですが、アメリカ的な洗練ではなく、素朴な感じがいかにもこの期のブラジリアンポップス。
 第二作“Gávea de Manhã” (1983)ではノスタルジックなムードが無くなり、躍動感の強いホーンアンサンブルと跳ねるベース、エレピ、シンセサイザーが目立つソウル系AOR風味が強い構成。
 1970年代MPB風の猥雑さも残しつつの1980年代サウンド。
 そんな中で終始鳴り続くストリングスが一風変わっていて、後の音数を絞った静かな作品群を予見するような、そうでもないような・・・
 淫靡でやるせないVinícius Cantuáriaサウンドは21世紀まで待ちましょう。
 それら含めてレアグルーヴな音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Wings Over Water” (1981) Stephan Micus

“Wings Over Water” (1981) Stephan Micus


Stephan Micus (Guitars, Flowerpots, Ney, Zither, Suling)

Wings Over Water
Stephan Micus
Ecm Import
2000-07-18


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micusの初期作品。
 ECMではなくJapo Recordsでの制作。
 名作“East of the Night” (1985)、ECMでの“Ocean” (1986) の少し前。
 1990年以降、北欧系、中近東系、地中海系、アフリカ系、インド系などなど、民族音楽色、あるいは古楽色が強いECM作品が増えているように思いますが、1970年代からのCollin Walcottと1980年代からのこの人、インドのL. Shankar, Zakir Hussainあたりが元だったのかなあ、と思ったりもします。
 なぜか南米系はEgberto Gismonti, Nana Vasconcelosで止まっていますね・・・
 さておき本作、この期はギター中心、管楽器は尺八ではなく少し音の線が細いNey、ヴォイスが響く場面も少々のみ。
 西欧的フォークな色合いも残した繊細な音の流れ。
 ギターあるいはフラワーポットなどで刻まれるリフを繰り返す、プリミティブな、あるいはミニマルミュージックにも通じる背景と、少し変わった音階でメロディを奏で、インプロビゼーションを展開する管と弦。
 オーバーダビングによるアンサンブルも洗練されています。
 例のごとくヨーロッパなのか、中近東なのか、アジアなのか判然としないそれらフュージョンするような音、時代感もわからない不思議な質感。
 強いて言えば本作、どこの色が強いのでしょう?
 ギターの哀感の強いメロディが印象に残るのでスペイン、あるいは管の音、音階からは中近東~インドあたり、優しいフラワーポットの響きはアジア的でしょうかねえ?・・・やはり区別は無用。
 ごちゃまぜなようで、実験的なようで凄い完成度。
 遠いところから聞こえてくるような懐かしい感じの心地よいサウンド。
 終始静かな音を含めてECMなワールドミュージックの端緒、あるいは前夜な一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Live in Montreux” (1985) Joao Gilberto

“Live in Montreux” (1985) Joao Gilberto

João Gilberto (voice, guitar)

Live in Montreux
Joao Gilberto
Nonesuch
1990-10-25


 João Gilberto のライブアルバム。
 “Getz/Gilberto Vol. 2” (Oct.1964)ではトリオ、ジャズコンボ“Getz/Gilberto'76” (May.1976)、他にもオーケストラとの共演でのライブなどもアルバムになっているのだと思いますが、本作は定番のギターの弾き語り。
 ざわつくオーディエンスと、あくまで冷静に淡々と音を綴る神様João Gilberto。
 場をなだめ鎮静化しようとしているようにも聞こえるし、一緒に盛り上がってしまおうとする気持ちを抑えているようにも聞こえるし・・・
 演じられるのは定番のブラジルの名曲たち。
 ・・・“Garota De Ipanema”, “Estate”, “A Felicidade”, “Rosa Morena”・・・。
 そして締めは“Aquarela Do Brasil”。
 “A Felicidade”では、サンバのライブのような合唱が始まりますが、うーん、どうでしょう?
 とにもかくにも、ジャケットのアートと同じく明るくにぎやかな感じのJoão Gilberto。
 オーケストラ入りの"João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980)はさておき、それぞれ表情が異なります。
 同じく弾き語りでも対照的なのが静かな空間の中で張り詰めたような"Live at Umbria Jazz" (1996)とさらに柔らかで幽玄な“In Tokyo” (2003)。
 それらと本作の中間な感じ、ギターと声が前に出てくる“Eu Sei que Vou Te Amar" (1994)。
 どれがいいかはお好み次第。




posted by H.A.


【Disc Review】“Brasil” (1981) Joao Gilberto

“Brasil” (1981) Joao Gilberto

João Gilberto (voice, guitar)
Caetano Veloso, Gilberto Gil, Maria Bethânia and others

海の奇蹟
ジョアン・ジルベルト
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1998-11-26


 João Gilberto、スタジオ録音としては“Amoroso” (1976)に続く作品になるのだと思います。
 ブラジルでの制作、アメリカの有名どころのサポートはないのかもしれませんが、ブラジルのアーティストたちを集めて制作されたアルバム。
 ギターとゲストを含めた声、ジャジーなピアノとホーンに、オーケストラ。
 “Amoroso” (1976)と同じテイストですが、ビートの躍動感が増しつつも伴奏はギターがメイン、バンド、オーケストラは後ろに下がったイメージでしょうか。
 こちらが“The Warm World of João Gilberto” (1958-1961)の頃からの自然なボサノバのスタイルなのでしょう。
 いろんな形で絡み合うボーカリスト四者四様の声は兄弟姉妹のよう。
 みんな優しくて穏やか。
 楽曲はこの期の定番、アメリカンスタンダードも交えた名曲たち。
  "Aquarela do Brasil (Brasil)"
  "Disse Alguém (All of Me)"
  "Bahia com H"
  "No Tabuleiro da Baiana"
  "Milagre"
  "Cordeiro de Nanã"
 なお、近年メインで流通(?)しているCDは、“Amoroso” (1976)とセット一枚に収められているようです。
 なんともありがたいというか、畏れ多いというか・・・
 いずれ劣らぬ名作、定番作品の中、とりわけ優雅なのがこの二作、かな?




posted by H.A.


【Disc Review】"João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980) João Gilberto

"João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980) João Gilberto

João Gilberto (guitar, vocals)
Bebel Gilberto, Rita Lee (vocal) and Orchetra

ライヴ
ジョアン・ジルベルト
ダブリューイーエー・ジャパン
1998-09-05


 João Gilberto、ブラジルでのライブ録音。
 いずれ劣らぬ優雅な“Amoroso” (1976)と”Brasil” (1981)との間の時期。
 それらと同様、定番の弾き語りに半分ほどでオーケストラが加わる構成。
 テレビ放映用?にショーアップされたステージだったのでしょう。
 耳馴染みのある定番のブラジル曲が揃って、クールな弾き語りとオーケストラが絡む優雅な演奏が交錯するステージ。
 クールで孤高なイメージの人ですが、まだ幼いBebel GilbertoとのDuoでの“Chega De Saudade”が微笑ましいというか、何と申しましょうか。
 歌だけでなく、さりげない間奏、速いテンポで刻まれるギターと優雅なストリングス、管楽器の絡みが、上品ながらドラマチックでカッコいい。
 ステージの締めだったのであろう“Canta Brasil”、その他、ボーナストラックを含めてそんな場面がたくさん。
 João Gilbertoのライブ録音、弾き語り中心で同じ曲の演奏が多いのですが、一作ごとに表情が異なります。
 まずは本作、豪華な編成、構成の優雅なステージ。
 躍動感の強いJoão Gilbertoのライブならばこれ。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Falcon And The Snowman” (1984) Pat Metheny Group

“The Falcon And The Snowman” (1984) Pat Metheny Group

Pat Metheny (Guitar Synthesizer, Acoustic Guitar, Electric Guitar)
Lyle Mays (Synthesizer, Piano) Steve Rodby (Acoustic Bass, Electric Bass) Paul Wertico (Drums, Percussion) Pedro Aznar (Voice)
David Bowie (voice) 
National Philharmonic Orchestra, Ambrosian Choir

 Pat Metheny Groupによる映画のサウンドトラック。
 名作連発期、“First Circle” (1984)と”Still Life (Talking)” (1987)の間、Pat Metheny Group名義。
 あくまでサントラ、いきなり聖歌隊で始まるし、この期の色合いの南米度はほどほど、Pat MethenyよりもLyle Maysの色合いが強い感じ、ビート感も重め、ジャケットもいつもの雰囲気ではないし・・・
 が、メロディ、コードの動きはなんだかんだでPat Metheny Groupの音楽。
 ポストECMの時期、近い時期の“Lyle Mays” (1985)に近いのかもしれませんが・・・
 スキャットとシンセサイザーが作る幻想的な空気感にリリカルなピアノ、掻き鳴らされるアコースティックギター。
 あの丸っこいクリーントーンのエレキギターが出て来ないのが寂しいのですが、その分Pedro Aznarのヴォイスが映える場面、あるいはシンセサイザーが作る宇宙的、幻想的な場面が多い構成。
 ポップスからシンセサイザーミュージック、クラシック的な音までさまざまな表情。
 David Bowieとの共演も含めて、このポップでてんこ盛りな感じはECMでは作らせてもらえないんだろうなあ・・・
 この後、Geffen RecordsでのPat Metheny Groupの快進撃が始まります。




posted by H.A.


【Disc Review】“Encontros e Despedidas” (1985) Milton Nascimento

“Encontros e Despedidas” (1985) Milton Nascimento

Milton Nascimento (voice, guitar)
Wagner Tiso (keyboards, piano) Túlio Mourão (keyboards) Ricardo Silveira, Tavinho Moura, Pat Metheny (guitar) Nico Assumpção, Luiz Alves (bass)
Robertinho Silva (drums, percussion) Espírito Santo, Samuka, Preto do Cavaco, Laércio Lino, Alberto de Oliveira, José Maria Flores (percussion) Jaques Morelenbaum (cello) Hubert Laws (flute)

Encontros E Despedidas
Milton Nascimento
Polygram Int'l
1990-10-25


 Milton Nascimento、1985年作。
 おりしもフュージョン、ディスコ(!)の華やかかりし頃。
 ブラジルの英雄もそんな影響を大きく受けつつのポップで華やかなMPB。
 シンセなドラムに跳ねるベース、シンセサイザーが彩りを付けるちょっと派手目のAORな感じ。
 とてもセンチメンタルなバラードも、Ivan Lins的でバタ臭くベタ付き気味。
 メンバーは1970年代からあまり変わっていないのだと思うのですが・・・
 エスニックな感じ、ブラジル山奥的な感じもあまりなく、そのあたりで好みが分かれるのかもしれません。
 が、哀愁のメロディと歌自体は変わっていません。
 時代とともに変わっていったのはバックのサウンドだけなのかもしれません。
 そんな中でPat Methenyが一曲に参加。
 Nana Vasconcelosと共演を重ね、“Toninho Horta” (1980)に参加、“First Circle” (1984)、“Still Life (Talking)” (1987)の間の時期。
 あの丸っこいエレキギターとスキャットの共演、さらに泣きのフレーズ弾きまくりのギターシンセサイザー。
 ビート感はさておき、この湿った感じはこの期のPat Metheny Groupサウンド、 
 多大な影響を受けたのであろうミナスサウンド、その代表たるこの人とはもっと共演したかったのかもしれませんが、次の機会は“Angelus” (1993)(?)。
 これまた時代の音、1980年代。
 ちょっと大仰で、とてもメローな空気は琴線をくすぐりまくり、全編ポップでわかりやすいあの時代の音。
 さておき、カッコいいジャケットだなあ・・・




 posted by H.A.


【Disc Review】“Hands On” (1997) Paul Bley

“Hands On” (1997) Paul Bley

Paul Bley (piano)

Hands on
Paul Bley
Evidence
1997-03-18


 Paul Bleyのソロピアノ。
 日本のキングレコード、Transheartレーベルから。
 Paul Bley作品、レーベルによって色合いが異なるのですが、本作は静かで上品、キッチリしていて格調高げなソロピアノ。
 破天荒さを抑えつつのスッキリとまとまった演奏。
 ほのかに明るい“Remembering”で穏やかに始まり、淡々と進む音楽。
 他の作品と同様に周囲の景色は次々と変わっていきますが、その変化は緩やかで穏やか。
 あっちに行ったりこっちに行ったりもいつも通りですが、狂気、激情は抑制されています。
 この人にしては珍しい十分を超える長尺な演奏、ワルツ~ブルース~Paul Bley節のバラード~その他諸々の楽曲の断片が交錯する”Three Fifth”も終始穏やか。
 フリージャズな場面もなぜか落ち着いています。
 例の強烈な美メロ、胸が詰まるような場面も少々抑えめでお上品。
 終盤にさり気なく置かれた“If”ぐらいが、いつものあの強烈なまでに美しいPaul Bleyバラード・・・
 などなど含めて、淡い色合い、上品なPaul Bleyの一作。

※別のアルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Life of a Trio: Sunday” (1989) Paul Bley, Jimmy Giuffre, Steve Swallow

“Life of a Trio: Sunday” (1989) Paul Bley, Jimmy Giuffre, Steve Swallow

Paul Bley (piano) Steve Swallow (electric bass) Jimmy Giuffre (soprano sax, clarinet)

The Life of a Trio: Saturday
Paul Bley
Owl
2001-09-24





 Paul Bley、変則トリオ、フランスOwlレーベルから。
 フリージャズ色も強いコンテンポラリージャズ。
 トリオの演奏中心ではなく、この人の作品に多いDuo、Soloでの演奏が入り混じる作品。
 タイトルは楽し気なのですが、中身の沈痛度高め、欝サイドのPaul Bley作品。
 フリーインプロビゼーションではなく、概ね楽曲が準備されていた感じ、Steve Swallowが入っている曲は、ピートがキッチリキープされ、例のすっとぼけたような愛嬌のある演奏もあります。
 また、Jimmy Giuffreもわかりやすいフレーズを朗々と吹ています。
 が、楽曲、メロディが陰鬱系中心。
 それでもどうしても聞きたくなってしまうのは、間々にちりばめられたソロピアノによる美曲。
 本作では” Monique”、” Mephisto”あたり。
 本作のそれら、この人のソロピアノでよく登場するこの世のものとは思えないような美曲・・・ではないにせよ、あのPaul Bley節。
 はまってしまうとついつい聞きたくなってしまう不思議な魅力。
 慣れてしまうと他の演奏も静かでいいか・・・ってな感じ。
 ま、応用編なのかもしれませんが、その不思議感、微妙なモノ足りなさのようなモノも、この人の作品の魅力といえばそうなのかも・・・




posted by H.A.





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