吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

1980-1989

【Disc Review】“Extensions” (1989) Dave Holland

“Extensions” (1989) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Kevin Eubanks (guitar) Marvin "Smitty" Smith (drums) 
Steve Coleman (alto sax)

Extensions
ECM Records
2008-11-04


 Dave Holland、1989年作。
 前作“Triplicate” (1988)にギターが加わった入ったサックスカルテット編成。
 ギターは後の“Turning Point” (1992) などでも共演が続く、疾走ギターのKevin Eubanks
 ギターが加わっただけで景色はガラリと変わります。
 装飾なし、武骨なまでにハードボイルドネス最高だった前作のトリオに対して、決して派手ではない洗練された彩りとクールネスが加わります。
 たっぷりのリバーヴを効かせた上での繊細なクリーントーン中心、カミソリのような疾走ギター。
 心地よさ最高な音。
 時折のディストーション、チョーキング、ロックフレーズもあくまでシャープで上品。
 複雑なファンクなビート、そろそろ始まった頃なのであろうM-Baseな感じもたっぷり。
 そのうえでの浮遊感、疾走感、飛翔感。
 ハードボイルドネスたっぷり、クールネス最高、オシャレさも少々。
 Dave Holland諸作、これが一番カッコいい、というか私的な好み。
 でもECMレコードでのKevin Eubanks参加作品はこれ一作のみ、スタイリストSteve Colemanもここまで。
 ま、他のレーベルからカッコいい共演作がたくさん出ているので、うまくいったのでしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Triplicate” (1988) Dave Holland

“Triplicate” (1988) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin "Smitty" Smith (drums) 
Steve Coleman (alto sax)

Triplicate
ECM Records
1988-09-05


 Dave Holland、1988年作。
 しばらく続いた三管ピアノレスクインテットから、Steve Colemanだけ残し、ドラムにエレクトリックMiles時代の盟友を迎えたサックストリオ編成。
 分厚かったサウンドが削り取られ、研ぎ澄まされシャープになった音。
 諸作よりもジャズな感じがするのは、Jack DeJohnetteのドラムゆえでしょうか。
 ホーンのアンサンブルの中に隠れていいたベース、ドラムの動きが余白を含めて明確になりました。
 装飾なしの空間に響くアルトサックス。
 変な音を出すわけではないのになぜか不思議感たっぷり、変幻自在。
 グニョグニョしながら起承転結があるんだか無いんだかよくわからない節回し、太いんだか細いんだかわからない、でも綺麗な音。
 アルトが引いた時間のベースとドラムのみの飾り気のない時間が、これまたハードボイルド。
 ジャズスタンダードが少々加わっていますが、中心となるオリジナル曲は複雑で愛想のないメロディ。
 それがクールでハードボイルドといえばその通り。
 加えて、少人数での張り詰めた演奏が醸し出す緊張感。
 危機一髪とか、寄らば切るとか、タイトロープとか、そんな感じ。
 甘さや愛嬌なし。
 うるさくないので、大音量で聞いて心地よい音。
 クールでハードボイルドなDave Hollandのジャズ、真骨頂、ってな感じでよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Razor's Edge” (1987) Dave Holland

“The Razor's Edge” (1987) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin Smitty Smith (drums) 
Kenny Wheeler (flugelhorn, trumpet, cornet) Robin Eubanks (trombone) Steve Coleman (alto saxophone)

Razor's Edge
Holland, Dave
Ecm Records
2000-06-06


 Dave Holland、1987年作。
 “Jumpin' In” (1983), “Seeds of Time” (1984)に続く三管、ピアノレスでのクインテット。
トロンボーンが交代し、Kenny Wheeler以外は変拍子ファンクジャズ集団M-Base閥で固められました。
 が、この期はまだまだ普通にジャズ。
 冒頭からこれECMでやるの?な明るく平和な感じの“ど”ジャズ。
 強烈な推進力のリズム隊に、Kenny Wheelerさておき、黒々としたホーン陣。
 とてもモダンジャズ。
 が、二曲目はフリービート、全編ルバートっぽいバラード、いかにもECM。
 Kenny Wheelerの音が聞こえるとヨーロピアンハイテンションジャズに聞こえてきたり、やっぱり平和でブルージーなジャズだったり、危機感煽り系の演奏はSteve Colemanの曲だったり・・・
 そんな色合いが交錯します。
 ピアノレスゆえのたっぷりの空間を埋め尽くすのはボコボコと鳴り響くベース。
 華やかな音でないだけにクールでハードボイルド。
 そんな中で響くホーンの残響音が孤高な感じで、これまたハードボイルド。
 ここから先は編成をさまざまに変えつつ、クールでハードボイルドなジャズが続きます。

※別のバンド、アルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Seeds of Time” (1984) Dave Holland

“Seeds of Time” (1984) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Marvin "Smitty" Smith (drums)
Kenny Wheeler (trumpet) Julian Priester (trombone) Steve Coleman (alto sax)

Seeds Of Time
Dave Holland Quintet
ECM
2019-01-18


 Dave Holland、1984年作、ピアノレス三管クインテット。
 ECMでのこの編成は、“Jumpin' In” (1983)に続いての二作目でしょうか。
 1970年代、エレクトリックMiles、“Conference of the Birds” (1972)や“Balladyna” (1975)  Tomasz Stankoなどほどのエネルギー放出型ではない、でも激しい系ジャズ。
 ECM御用達のトランペット、トロンボーンに、後の変拍子ファンクジャズM-Base閥の親分Steve ColemanとMarvin "Smitty" Smithの若手の組み合わせ。
 ホーンのアンサンブルはビッグバンドのように響き、その後ろで動きまくるベースと煽るドラム。
 沈痛陰鬱系やら勇壮系やら、やっぱりジャズっぽかったりやら、さまざまな表情のメロディに、フロント三者が絡み合いつつ徐々にブチ切れていくソロ。
 肉声なども交えつつのArt Ensemble of Chicago?なんて演奏も含めてフリーや混沌、激情系に突っ込んでいく場面も少々。
 気がつけば怒涛の中、でも調整は崩れない、クールでハードボイルドな空気感はそのまま、そんなバランス。
 ECMにしては普通にジャズっぽいかなあ・・・と思いつつも、美しい音を含めて醸し出される緊張感はこのレーベルならではなのでしょう。
 1970年代も今は昔、かつてのイメージと変わってほどほど落ち着いたジャズ、でも激しい系。




posted by H.A.

【Disc Review】“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

Julia Hülsmann (Piano)
Marc Muellbauer (Double Bass), Heinrich Köbberling (Drums)
Uli Kempendorff (Tenor Saxophone)

Not Far from Here
Hulsmann, Julia -Quartet-
Ecm
2019-11-01


 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、2019年作。
 レギュラーなのであろうトリオにサックスを迎えたカルテット編成。
 本作もこの人らしい質感の落ち着いたコンテンポラリージャズ。
 いかにも現代のヨーロピアンジャズ、明るい系。
 オーソドックスにスッキリと聞こえながらも凝りまくったアレンジ、展開。
 ときおり混沌に突っ込むか・・・、あるいは漂い続けるか・・・、沈痛系か・・・、と思わせながらも、そうはなりません。
 サックスも同じような動き、神経質な音の流れ、あるいは激情系か、と思わせながら、あくまで上品にまとまっていきます。
 いかにも近年のECMレコードのサックスらしい、艶やかで美しい音。
 いつもながらに美しいピアノの音との絡みがこれまた美しい。
 天井が高い空間で鳴っているような極上のリバーブが効いた美しい録音。
 楽曲、演奏を含めてダークさはなし、明度高め。
 いかにも女性らしい、あるいはかつてのECMらしくない優しい音ですが、繊細というよりは骨太な感じでしょうか。
 いろんな新たな仕掛けや奇をてらった作品も多い中(そうゆうのを好んで探しているのではありますが・・・)、スッキリとしたヨーロピアンジャズらしいジャズ。
 とても安心して聞ける一作、ってな感じがよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Cracked Mirrors” (1987) Harry Pepl, Herbert Joos, Jon Christensen

“Cracked Mirrors” (1987) Harry Pepl, Herbert Joos, Jon Christensen

Harry Pepl (Guitar, MIDI Controller, Piano)
Herbert Joos (Flugelhorn) Jon Christensen (Drums)

Cracked Mirrors
ECM Records
2009-06-12


 ドイツのギタリストHarry Peplの変則トリオでのコンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 フリージャズ、フュージョンの色合いも混ざる妖しいジャズ。
 スペーシーなギターと電子音、静かにヒタヒタと迫ってくるようなドラム、漂うトランペット。
強い浮遊感の中のしばしばの強烈な疾走。
 ギターはジャズがベースだと思うのですが、Bill Frisell的な不思議感たっぷり、あるいは疾走する場面はJohn McLaughlinのようでもあるし、現代の先端系のようでもあるし。
 冒頭は風の音と静かで妖しい疾走ギター、漂うミュートトランペット。
 牧歌的な感じもしばしば、静かな場面は“In a Silent Way”(Feb.1969) Miles Davisのようでもあるし、Ornette Coleman的な疾走曲があったり、クラシカルでメロディアスな局面があったり・・・
 ヒタヒタと迫るビートが刻み続けられ、変幻自在のギターとトランペット。
 哀しい表情、ほどほどの緊張感。
 激情に走るわけでも、耽美にはまるわけでも無く、淡々とクールに音楽は進んでいきます。
 最後は前向きでメロディアスなピアノ演奏で締める組曲風。
 “Cracked Mirrors”なんて、サスペンスにもSFにもオカルトにもなりそうなカッコいいタイトルですが、オカルト臭無しのSFサスペンス映画のサントラってな感じ。
 あるいは繊細で陰鬱なWeather Reportってな感じ。
 とてもカッコいいと思います。

※近い時期の演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“... And She Answered” (1988) AM4: Wolfgang Puschnig, Linda Sharrock, Uli Scherer

“... And She Answered” (1988) AM4: Wolfgang Puschnig, Linda Sharrock, Uli Scherer

Wolfgang Puschnig (Alto Saxophone, Alto Flute, Hojak, Shakuhachi) Linda Sharrock (Vocals) Uli Scherer (Piano, Prepared Piano, Keyboards)

... And She Answered
ECM Records
2008-10-14


 オーストリアのサックス奏者Wolfgang Puschnig、ピアニストUli Scherer、アメリカのボーカリストLinda Sharrockのプロジェクト、1988年、ECMレコードでの制作。
 静かで妖しいフリー混じり、あるいはアバンギャルド混じりのジャズ。
 名前からしてちょっと怖い感がありますが、難解な音が並んでいるわけではなく、あくまでメロディアス。
 静かに流れるビート、ときにエスニック、電子が入り混じるゆったりとした動きの中を漂うウイスパーなヴォイスとサックス。
 余白の多い空間の中、耳元で囁くようなヴォイスとリバーヴがたっぷり効いたサックスの心地よい響き、ときおり聞こえる透明度高く美しいピアノの音。
 どこか遠い所から聞こえてくるような、遠い所を眺めているような音の流れが続きます。
 妖しい空気の中、唐突に流れる”Lonely Woman”、そして”Over The Rainbow”。
 とても穏やかですが、油断しているとどこかいけないところへ引きずり込まれそうな、そんな感じ。
 尺八が聞こえても、喘ぎのような声が聞こえても、空気は平穏なまま。
 隠されているかもしれない狂気は最後まで表出することなく、穏やかにエンディング。
 何事もなかったように時間は過ぎますが、何かが憑いたんじゃないなあ・・・とか思ったり、思わなかったり・・・
 とにもかくにも、とても穏やかな、とても素敵なトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Avant Pop” (1986) Lester Bowie, Brass Fantasy

“Avant Pop” (1986) Lester Bowie, Brass Fantasy

Lester Bowie (trumpet)
Rasul Siddik, Malachi Thompson (trumpet) Stanton Davis (trumpet, flugelhorn) Frank Lacy, Steve Turre (trombone) Vincent Chancey (French horn) Bob Stewart (tuba) Phillip Wilson (drums)

Avant Pop
Lester Bowie
Ecm Records
2000-09-12


Lester Bowie、Brass FantasyでのECM制作。
ブラスセクションのアンサンブルを中心として、ソウル、ファンク、ポップスを演奏しよう、ってなスタイルのバンドだったのでしょう。
本作も半数はソウル、ポップス、オリジナル曲もソウル、ファンクな感じ。
演奏自体は、現代ジャズとニューオリンズな感じのオールドスタイルジャズとフリー混じりのコレクティブインプロビゼーションをフュージョンさせたようなサウンド。
混沌の時間はほとんどなく、また、ポップな楽曲が多く取り上げられ、わかりやすい音。
が、やはりどこかよじれています。
コミカルにも妖しくも聞こえるチューバのベースライン、ときおり素っ頓狂にも響くホーンアンサンブル、過剰なまでのドラマチックな感じな演出も織り込みつつのサウンド。
が、前面に出るのは端正なジャズのインプロビゼーション。
なんだか不思議なバランスです。
これはきっと何かあるぞ、と思わせつつ、オーソドックスにも聞こえてしまうビッグバンド風ジャズ。
素直にスウィンギーで楽しそうな演奏を楽しめばいいのかな、と思いつつも、それだけだともったいないような、裏の何かを見落としてしまうような不思議な感覚。
さておき、このジャストなジャズ、ソウルな感じはECMとはちょっとミスマッチだなあ。
 それも含めて、やはり摩訶不思議。




posted by H.A.


【Disc Review】“All the Magic” (1982) Lester Bowie

“All the Magic” (1982) Lester Bowie

Lester Bowie (trumpet)
Art Matthews (piano) Fred Williams (bass) Phillip Wilson (drums) Ari Brown (tenor, soprano saxophones)
Fontella Bass, David Peaston (vocals)



 Lester Bowie、ソロ名義リーダー作、1982年制作。
 前作“The Great Pretender” (1981)に同じ編成、ピアノとサックスはメンバー交代しています。
 前作と同じ感じの一枚と、トランペットその他のソロ演奏が一枚の二枚組。
 一枚目はブラックミュージックの巨人たちへのトリビュートなのであろう演奏集。
 冒頭は漂うような音の流れ、ゴスペルチックなバラードからスタート。
 タイトルの”Luis”はArmstrongさんのことでしょうか。
 ボーカルも交えつつのたっぷり十数分。
 いつ激烈フリーに変わるのかと身構えていても、最後までゆったりとした演奏は変わりません。
 続いて少々陰鬱なフリージャズ、カリプソ仕立てのAlbert Ayler。
 もう一曲の長尺な演奏は、静かで沈痛なフリーな演奏でスタート。
 その中から突然現れ、キッチリ歌われるバラード”Everything Must Change”。
 そして絶叫とともに再び始まるフリーな演奏、激しい集団即興的フリージャズ。
 そして締めはLouis Jordan、あるいはRay Charlesに捧げたのであろう、ジャンピーでハッピーな演奏。
 フリージャズの時間もたっぷり、インプロビゼーションたっぷり、ブルース、ゴスペルなボーカルも散りばめた、さまざまなブラックミュージックのイントロダクション・・・
 ・・・にしては、いろんなところでひねくれているというか、それがカッコいいというか、何と申しましょうか。
 やはり摩訶不思議。
 もう一枚のソロ演奏は・・・さてこれはどうなんでしょう?
 短く刻まれた各曲は、オーバーダビングを交えつつ、例の強烈な表現力でたっぷり吹いている場面もたくさんありますが、水の中に突っ込んでブクブクブク・・・
 これまた摩訶不思議。

※Brass Fantasyでの演奏から。


posted by H.A.


【Disc Review】“The Great Pretender” (1981) Lester Bowie

“The Great Pretender” (1981) Lester Bowie

Lester Bowie (trumpet)
Donald Smith (piano, organ) Fred Williams (bass, electric bass) Phillip Wilson (drums) Hamiet Bluiett (baritone saxophone)
Fontella Bass, David Peaston (vocals)

Great Pretender
Lester Bowie
Ecm Records
2000-09-12


 Lester Bowie、ECMでのソロ名義リーダー作。
 ピアノトリオに二管のオーソドックスな編成、ときおりのコーラス隊。
 これまた不思議感たっぷりのジャズ。
 タイトル曲は16分を超える長尺な演奏。
 ゴスペルチックなバラードから、徐々に激しい系へ遷移していく音。
 かといって長い混沌フリーに突入するわけでも、激しいインタープレーに突っ込むわけではありません。
 壊れそうで壊れない、常に美しくポップなメロディが流れている不思議なバランス。
 端正なトランペットがぶっ飛んでいきそうなバンドを抑えているようにも聞こえます。
 他にはニューオリンズ風のぶっ飛んだアンサンブルやら、超高速フリージャズだと思ったら実は古いポップス・・・やら、ラテンやら、静かに漂う淡いバラードやら、ゴーストの歌声サウンドやら・・・
 摩訶不思議な感じを含めて、Art Ensemble of Chicagoに近い印象ではあるのですが、ピアノが入っていることで少し違う表情になっているかもしれません。
 そのピアノがぶっ飛んでいて、とてもカッコいい。
 あの手この手の表現力たっぷり、キリッとしたトランペットが、最初から最後まで鳴りっぱなし。
 Lester Bowieを最初に聞くならこれ、って感じでよろしいのでは。




posted by H.A.


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