吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

1970-1979

【Disc Review】“Power of Three” (1986) Michel Petrucciani

“Power of Three” (1986) Michel Petrucciani

Michel Petrucciani (piano)
Jim Hall (guitar) Wayne Shorter (tenor, soprano sax)

パワー・オブ・スリー
ジム・ホール ミシェル・ペトルチアーニ feat.ウェイン・ショーター
ユニバーサル ミュージック
2019-07-24


 Michel Petrucciani、名人二人を迎えたモントルーでのライブ録音。
 キレ味抜群の疾走ピアノに、繊細で幽玄なギター、ブヒブヒグチョグチョサックス。
 三者三様、バラバラなイメージの人たち。
 ピアノとギターのDuoを中心として、何曲かでサックスが加わる構成。
 誰が寄せるわけでなく、各人そのイメージそのままの演奏ながら、不思議な一体感。
 一曲の中でもフロントに立つ人によってバンドの色合いが劇的に変化する、そんな感じ。
 ピアノがリードすれば疾走し、ギターであれば静かで繊細、サックスであればハードなジャズ。
 各人が持ち寄った楽曲も、作者ではなくフロントの人の色合いに変化していくバンドサウンド。
 それでいてぶつかることが無いのは、さり気ない名人芸なのでしょう。
 インタープレー中心で演奏すると凄い事にもなりそうで、それを聞きたくもなるのですが、みなさま空気を読んだかのような上品なサポート。
 一度にいろんなタイプのジャズが聞けるお得なステージ。
 さながら幕の内弁当。
 もちろんコンビニではなく、高級店。




posted by H.A.


【Disc Review】“Commitment” (1976) Jim Hall

“Commitment” (1976) Jim Hall

Jim Hall (Guitar)
Don Thompson, Tommy Flanagan (Piano) Ron Carter (Bass) Allan Ganley, Terry Clarke (Drums) Art Farmer (Flugelhorn) Jane Hall, Joan LaBarbara (Vocals)

哀愁のマタドール
ジム・ホール
ユニバーサル ミュージック クラシック
2012-03-21


 Jim Hall、1976年作。
 フリューゲルホーンとの共演、スパニッシュな組曲風、ピアノとのDuo、ジャズボーカル、・・・何でもあり。
 ここまでまでのキャリアを振り返ろう、といった企画なのかどうかはわかりませんが、そんな構成。
 冒頭はRon Carter の電気な感じのウッドベースがブンブンうなる、1970年代ジャズ。
 Art Farmerがたっぷりフィーチャーされ、とても洗練されています。
 続いて“Concierto” (1975)を意識したような、スパニッシュでドラマチック、沈痛な長尺の演奏。
 さらにジャズスタンダードはTommy FlanaganとのDuo。
 もう一曲も含めて、“Undercurrent” (1963)、“Intermodulation” (1966)のような緊張感、激しいインタープレーはありませんが、さすがに名人たち、極めて上品で落ち着いたジャズ。
 他にもオーバーダビングしたアコースティックギターとのDuoやら、ジャズボーカルやら。
 いろんな要素てんこ盛りで一貫性はなく、フュージョンっぽさも漂うのですが、いずれも極めて上質、洗練されています。
 さらにリバーブがいい感じに掛かったとても美しいギターの音。
 現代的な音になっても、あのふわりとした感じ、消え入るような儚さは変わりません。
 さすが名人は何をやっても名人。
 心地いい現代的ジャズな一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Jim Hall Live!” (1975) Jim Hall

“Jim Hall Live!” (1975) Jim Hall

Jim Hall (guitar)
Don Thompson (bass) Terry Clarke (drums)

Live!
Jim Hall
Verve
2003-03-25


 Jim Hall、1975年のライブ録音。
 “Concierto” (1975)に近い時期なのだと思いますが、ムードは異なります。
 シンプルなギタートリオ、ジャズスタンダードの選曲。
 が、普通のモダンジャズね、で終わらない質感。
 1960年代型でも1970年代型でもない、それ以降、現代にも通じそうなジャズ。
 メロディはそれそのもの、妙なひねりもありません。
 複雑なビート感を醸し出すドラム、アグレッシブに動くベース。
 ギターは、いつもの靄がかかったようにふわりとしたクリーントーン、あの繊細で儚い音の動きを散りばめつつも、いくぶん攻撃的なフレージング。
 全部あわせて少し沈んだムードのギタートリオ、静かでハードボイルドなジャズ・・・
 それだけなのですが、なぜか現代的なカッコよさ。
 新しいこと、変わったことをしようといった意識はなかったのかもしれません。
 時代の音から余分なモノがそぎ落とされ、それが今風に響く、なんて感じなのかもしれません。
 あるいは、Jim Hallさんのギターには時代を超えたモダンさがあるのかもしれません。
 などなど、録音年月をながめながら、不思議な気持ちで無用なことを考えてしまうのは私だけでしょうか。
 何はともあれ、フワフワしたギターとシャキッとしたバンドが作るクールな空気感。
 1975年のカナダで記録されたカッコいいジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Concierto” (1975) Jim Hall

“Concierto” (1975) Jim Hall

Jim Hall (guitar, acoustic guitar)
Roland Hanna (piano) Ron Carter (bass) Steve Gadd (drums)
Paul Desmond (alto sax) Chet Baker (trumpet)

アランフェス協奏曲
ジム・ホール
キングレコード
2013-12-11


 Jim Hallといえばこれ、の人気作なのでしょう。
 1970年代ビートを繰り出すリズム隊と最高の管楽器コンビ。
 LPレコードB面を占める"Concierto de Aranjuez"。
 哀愁のメロディと手練れた演奏、インプロビゼーション。
 後ろ髪を引かれるようにタメを効かせてメロディを置いていくギター、トランペット、それに絡みつくようなアルトサックス、ピアノ。
 ギターとトランペットが発する強い哀愁を、艶やかなアルトと明るいピアノが包み隠していくようなバランス。
 漂うような第一部から、ビートが入るとジャズ度が上がり、哀し気なコードの動きの中、たっぷり長尺なギター、アルトサックス、トランペット、ピアノ、再びギターと続くインプロビゼーション。
 重く哀しいドラマ。
 沈痛・・・
 が、本作、それだけでなく、LPレコードA面"You'd Be So Nice to Come Home To"から始まるジャズがカッコいい。
 タイトなビートに電気っぽい音のウッドベース、くぐもらない明るい音のピアノ、そして、消え入るような儚さ、繊細さはそのままに、丸くなり艶が出たギター。
 1970年代のスタンダードなジャズ、西海岸仕様。
 1960年代までの熱、汗、埃が落ち、クールでとてもスムース。
 その軽妙な音は、悲痛な"Concierto de Aranjuez"を聞いた後だと立ち直り効果てきめん。
 CDだと面倒ですが、"Concierto de Aranjuez"、先頭から、の順に聞くのもよろしいかと。




posted by H.A.


【Disc Review】“Alone Together” (1972) Jim Hall, Ron Carter

“Alone Together” (1972) Jim Hall, Ron Carter

Jim Hall (guitar) Ron Carter (bass)

Alone Together
Jim Hall / Ron Carter
Ojc
1991-07-01


 名手たちのDuo、ライブ録音。
 居並ぶ有名スタンダードにオリジナル曲を少々。
 ギターのコードワークのアドリブで攻めた“St. Thomas”からスタート。
 とてもリラックスしたムード。
 が、 “Alone Together”のメロディがベースで奏でられた後のギターソロで目が覚めます。
 決して長くはないインプロビゼーションながら、静かな空間に消え入っっていくような繊細で美しいギター。
 とても儚い音。
 聞き流していると印象に残らないかもしれない奥ゆかしさ。
 艶やかなクリーントーンのギターが紡ぐとても美しい綾。
 もののあはれ・・・、なんて言葉が頭をよぎる音。
 それが気になってしまうと、他にもどこかにあるんじゃない、とギターに留意して聞くと、何のことはありません。
 全編それ。
 その美しさに気が付いてしまうと、何気なく奏でられたような “Prelude to a Kiss”, “Autumn Leaves”などの旋律が何か特別なモノに聞こえてきます。
 オーソドックスな演奏、“Undercurrent”(1963)のような強烈なインタープレーの場面は少なく、強い音もない、地味な印象のアルバムなのでしょう。
 が、繊細な美しさが病みつきになるかも、の演奏集。




posted by H.A.



【Disc Review】“Where Would I Be?” (1971) Jim Hall

“Where Would I Be?” (1971) Jim Hall

Jim Hall (guitar)
Benny Aronov (piano, electric piano) Malcolm Cecil (bass) Airto Moreira (drums, percussion)

Where Would I Be
Jim Hall
Ojc
1991-07-01


 Jim Hall、1971年作。
 サポートはブラジリアンAirto Moreiraを迎えたピアノトリオ、オーソドックスなギターカルテット編成。
 “Bossa Antigua” (1963-1964) Paul Desmondなど、とてもクールなボサノバを演奏する人。
 本作にもそんな演奏がありますが、ボサノバとジャズだけではない不思議なアルバム。
 変わった感じのジャズロックあり、ブラジルっぽいロックフュージョンあり、オリジナル曲はエレピが唸る攻めた感じの不思議系。
 ギターはあのふわりとした音、淡い陰影、所々で消え入っていくような繊細なあの音、少し沈んだムードがとてもカッコいいジャズギター。
 が、バンド、全体のサウンドはいろんな方向に動いていく不思議感満載。
 時代は“Bitches Brew” (1969) Miles Davis経た転換期。
 ボサノバ、ジャズスタンダード、あるいはMilton Nascimentoナンバーなどのオーソドックスな演奏さておき、頭の中では新しい音が鳴っていたのでしょうね。
 それにしてもAirto Moreiraのドラム、パーカッションがカッコいいなあ。
 なるほど、“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaの少し前ですか、そうですか。




posted by H.A.



【Disc Review】“A Man About a Horse” (2002) Steve Tibbetts

“A Man About a Horse” (2002) Steve Tibbetts

Steve Tibbetts (Guitars, Percussion)
Marc Anderson, Marcus Wise (Percussion) Jim Anton (Bass)

Man About a Horse
Steve Tibbetts
Ecm Records
2002-08-06


 Steve Tibbetts、2002年作。
 “Northern Song” (1982) の静かな音ではなく、“The Fall of Us All” (1994)などのハードな混沌系。
 エスニックなパーカッションとスペーシーな電子音が作る幻想的な空間。
 その中を泳ぐようなアコースティックギターは、さながら儀式の静かな幕開け。
 そして鳴り響き始める妖しいパーカッションと凶悪なエレキギター。
 無秩序な混沌はありません。
 一定のビートを伴いながら鳴り続けるパーカッションと、さまざま音の絡み合いが頭の中をかき回すような、やはり混沌。
 そしてそれらが引き起こす高揚感、陶酔感。
 これは危ない。
 決して速いビートばかりではなく、大音量でもないことがかえって怖い。
 集中して聞いてしまうと、自分がどこにいるのかわからなくなりそう。
 そんな危険な香りたっぷりのトリップミュージック。
 そして最後につま弾かれるアコースティックギターの響き。
 さて、この危ない儀式の後に訪れるのは安らぎなのでしょうか。
 それとも・・・

※1977年のアルバムから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Steve Tibbetts” ‎(1977) Steve Tibbetts

“Steve Tibbetts” ‎(1977) Steve Tibbetts

Steve Tibbetts (Guitar, Effects, Vocals, Engineer, Synthesizer)

Steve Tibbetts
Steve Tibbetts
Cuneiform
1995-10-17


 アメリカのギタリストSteve Tibbetts、おそらくデビュー作。
 ギターのオーバーダビングとシンセサイザー、効果音が交錯する不思議な音楽。
 フォーキーで瑞々しいアコースティックギター、左右のチャンネルに振り分けられた響きがとても心地よいサウンド。
 楽曲はポップな感じが中心なのですが、なんだか変わっています。
 背景を彩り、ときおり前面に出るシンセサイザーのさまざまな音。
 ギターの響きもあわせてとてもスペーシー。
 空間的の意味合いだけでなく、文字通り宇宙的なサウンドなのですが、同時期の『スター・ウォーズ』(1977)よりももっと前な感じの宇宙サウンド。
 いかにも時代感たっぷりの当時のシンセサイザーの音がそうさせるのでしょう。
 心地よさに加えて、それが何だか新しく聞こえてきます。
 が、穏やかで幻想的な時間に油断していると、後半、強烈なディストーションがかかったズルズルなハードロックギターと飛び交う電気音の饗宴、ド激しい系。
 とても静かで綺麗なアコースティックギターを中心とした音楽、と思いきや、さにあらず。
 静と動、平静と狂気が交錯する1970年代尖端サウンド、今聞いても尖端。




posted by H.A.


【Disc Review】“Verde Que Te Quero Rosa” (1977) Cartola

“Verde Que Te Quero Rosa” (1977) Cartola 

Cartola (Vocals)
Horondino José da Silva, Meira, Hélio Capucci (Guitar) Radamés Gnattali (Piano) Nelson Cavaquinho (Cavaquinho) Dininho (Electric Bass) Vidal (Acoustic Bass)
Wilson das Neves (Drums) Elizeu, Gilberto D'Ávila, Jorge Silva, Luna, Marçal (Percussion) Antenor Marques Filho (Surdo)
Altamiro Carrilho (Flute) Abel Ferreira (Soprano Sax, Clarinet) Nelsinho (Trombone) Joab (Choir) Aizik Geller (Strings)



 サンバ界の重鎮Cartolaの1977年作。
 これまた“Cartola” (1974)、“Cartola” (1976)と同じく、名曲、名演揃いの名作。
 ピアノが聞こえたり、ストリングスが鳴ったり、ジャジーなソプラノサックスが前面に出たり、編曲のバリエーションが増えているのかもしれません。
 そんな音を従えたとてもロマンチックなバラードなどもありますが、それさえ優雅なサンバの中に溶け込んでしまい、例の金太郎飴サウンド、怒涛の名曲、名演集。
 ゆるーくて、渋くて、クール。
 楽しげなような、哀しげなような、懐かしげなような。
 全編Saudadeの塊。
 若造や小娘ではなく、酸いも甘いも噛み締めたオヤジが演るから、とりわけ優雅でカッコいいんだろうなあ。
 さて、この種の大ベテランのカッコいい音を聞くと、つい“Buena Vista Social Club” (1996)を想い出してしまいます。
 そのハワイ版が“The Gabby Pahinui Hawaiian Band ” (1975) ならば、ブラジル版がこれ・・・ってなことはなく、もちろんRyさんは無関係。
 でも、どれもがとてもエレガント。




posted by H.A.


【Disc Review】“Cartola” (1974)、“Cartola” (1976) Cartola

“Cartola” (1974)、“Cartola” (1976) Cartola 

Cartola (Vocals)
Horondino José da Silva, Meira (Guitar) Canhoto (Cavaquinho) Jorginho (Pandeiro) Elton Medeiros (Percussion) Nelsinho (Trombone) and others

Disfarca E Chora (Dig)
Cartola
Emd Int'l
2007-12-18




O Mundo E Um Moinho
Cartola カルトーラ
Emi
2005-12-16


 サンバ界の重鎮Cartolaの1974、1976年作。
 世はロックの時代、Milton Nascimentoに代表されるような新世代MPBが席巻していた時期なのでしょう。
 が、本作、そんなことはお構いなしのネイティブなアコースティックサンバ。
 にも拘わらず、今の耳でも古さを感じない名曲群、名演群。
 エレピもエレキベースもエレキギターはもちろん、ピアノすらも聞こえてこない編成。
 ギターとカバキーニョ、その他の弦楽器とパーカッション、若干の管の彩り。
 決して派手ではない、穏やかなサンバ。
 一拍三拍のバスドラム(的な音)が鳴り続け、かき鳴らされる弦楽器の中、いいタイミングで聞こえてくるクィーカーが気持ちいいいなあ。
 そんな賑やかなようで抑制された音を背景に、サラサラと流れていくようなさりげない歌。
 これはカッコいい。
 オリジナル曲はこれまたとてもさりげない感じですが、LPレコード二枚分、全て名曲。
 全編明るくて、でもどこか哀愁が漂うメロディがこれでもかこれでもかと続きます。
 どこを切っても金太郎飴なのですが、これが全く飽きません。
 こんな感じが正調Saudadeなんでしょうかね?
 それとも当時は相当モダンだったのかな?
 とにもかくにも、カッコいい。




posted by H.A.


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