吉祥寺JazzSyndicate

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1970-1979

【Disc Review】“Conference of the Birds” (1972) Dave Holland

“Conference of the Birds” (1972) Dave Holland

Dave Holland (bass)
Barry Altschul (percussion, marimba)
Sam Rivers, Anthony Braxton (reeds, flute)

Conference of the Birds
Barry Altschul
Ecm Records
2000-04-11


 Dave Holland、1970年代序盤、フリー混じりのコンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
 “Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)を始め、エレクトリックMilesの初期を支えた人。
 上記はもちろん、“1969Miles” (1969), “Balladyna” (1975) Tomasz Stankoなどでも凄まじい演奏が記録されています。
 リーダー作ではあくまでウッドベースでアコースティック4ビート中心、フリー混じりのジャズ。
 ファンク路線へ突き進むMilesバンドに長居しなかったのも納得の「ジャズ」。
 ピアノレス、複数ホーンは以降の作品とも共通する編成。
 本作の二人は凄まじいブチ切れサックス。
 テーマを決めたら怒涛の疾走。
 グルグルととぐろを巻くテナーに、激情を発しながら飛翔するアルト、ソプラノ。
 激しい演奏ながらビートを崩すことなくグングン前に進むベース、自由にアクセントを加えるドラム。
 1970年代エネルギー放出型ジャズのようで、どこか醒めた感じのクールネス。
 フリーなコレクティブインプロビゼーションなども交えつつ、これでもかこれでもかとそんな演奏がてんこ盛り。
 これは凄い。
 甘さゼロ、ダークで辛口、ハードボイルドなジャズ。




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【Disc Review】“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

“Not Far From Here” (2019) Julia Hülsmann

Julia Hülsmann (Piano)
Marc Muellbauer (Double Bass), Heinrich Köbberling (Drums)
Uli Kempendorff (Tenor Saxophone)

Not Far from Here
Hulsmann, Julia -Quartet-
Ecm
2019-11-01


 ドイツのピアニストJulia Hülsmann、2019年作。
 レギュラーなのであろうトリオにサックスを迎えたカルテット編成。
 本作もこの人らしい質感の落ち着いたコンテンポラリージャズ。
 いかにも現代のヨーロピアンジャズ、明るい系。
 オーソドックスにスッキリと聞こえながらも凝りまくったアレンジ、展開。
 ときおり混沌に突っ込むか・・・、あるいは漂い続けるか・・・、沈痛系か・・・、と思わせながらも、そうはなりません。
 サックスも同じような動き、神経質な音の流れ、あるいは激情系か、と思わせながら、あくまで上品にまとまっていきます。
 いかにも近年のECMレコードのサックスらしい、艶やかで美しい音。
 いつもながらに美しいピアノの音との絡みがこれまた美しい。
 天井が高い空間で鳴っているような極上のリバーブが効いた美しい録音。
 楽曲、演奏を含めてダークさはなし、明度高め。
 いかにも女性らしい、あるいはかつてのECMらしくない優しい音ですが、繊細というよりは骨太な感じでしょうか。
 いろんな新たな仕掛けや奇をてらった作品も多い中(そうゆうのを好んで探しているのではありますが・・・)、スッキリとしたヨーロピアンジャズらしいジャズ。
 とても安心して聞ける一作、ってな感じがよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Psalm” (1982) Paul Motian

“Psalm” (1982) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Bill Frisell (electric guitar) Ed Schuller (bass)
Joe Lovano (tenor sax) Billy Drewes (tenor, alto sax)

Psalm
ECM Records
2000-11-16


 Paul Motian、1982年作。
 前作“Le Voyage” (1979)からまたまた全メンバーを交代し、本作は二管サックスクインテット。
 ここでBill FrisellJoe Lovanoが参加し、後々まで続くトリオのメンバーが揃います。
 例のスペーシーなギターの音が聞こえると、とても幻想的、あのトリオな音。
 ドロドロとしたジャズな感じに未来感も加わりつつの尖端サウンド。
 物悲しさはそのまま、全編ルバートのスローバラードの時間もたっぷり。
 ロックなビートもディストーションなギターもたっぷり。
 かといって、1980年代流行りのスッキリ系ゴージャズ系のフュージョンになる由もなく、妖しくダーク、過激で複雑怪奇なジャズ。
 強烈な緊張感、沈痛さも強まって、少々ヘビー。
 怖いかも・・・と思っていると、例の能天気なカントリーっぽいギターが聞こえてきたり、もう何が何だか・・・
 桃源郷か、はたまた地獄の一丁目か、この世ではないどこかを彷徨っている感たっぷりのトリップミュージック。
 この後、本作のメンバーを絞り定番トリオ、ECMでは“It Should've Happened a Long Time Ago” (Jul.1984)、へと続いていきます。

※後の演奏から
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Dance” (1977) Paul Motian

“Dance” (1977) Paul Motian

Paul Motian (drums, percussion)
David Izenzon (bass)
Charles Brackeen (soprano, tenor sax)

Dance
Motian, Paul
Ecm Import
2008-11-18


 Paul Motian、”Conception Vessel” (1973)、“Tribute” (1974)に続くECMレコードでの第三作。
 前作から全メンバーが交代したピアノレスサックストリオ編成。
 Ornette Coleman所縁のドラマーに、知る人ぞ知るフリー系サックス。
 ダークなトーンと物悲しい空気感はそのまま。
 ベースの重心が上がって、サックスがソプラノ中心になった分、少し軽くなった感じですが、妖しさはそのまま、フリー度高め。
 音量も下がった分、クールさも助長された感じもします。
 常時前面に出てクダを巻きつつ、ときおり狂気と激情を発するサックス、例の漂うビート、明後日の方に向かって進んでいるようにも聞こえるリズム隊。
 陰鬱、沈痛とまではいかずとも、ただ事ではない空気感たっぷり。
 そんな強い緊張感の中、ちょっとすっよぼけたような演奏もありますが、これまた後々まで続くこの人の色合い。
 全部あわせて、フリー度高めのクールなジャズ。
 これまたハードボイルド。

※次のバンドの演奏から。
 

posted by H.A.


【Disc Review】“Tribute” (1974) Paul Motian

“Tribute” (1974) Paul Motian

Paul Motian (drums, percussion)
Sam Brown (acoustic, electric guitars) Paul Metzke (electric guitar) Charlie Haden (bass)
Carlos Ward (alto sax)

Tribute
ECM Records
1993-11-01


 Paul Motian、”Conception Vessel” (1973)に続くリーダーでの第二作、ECMレコードでの制作。
 Charlie Hadenと二人のギターに、楽曲によってサックスが加わる編成。
 ECM、あるいは後のPaul Motian Trioのお約束、とても静かで妖しい、全編ルバートでのスローバラードがてんこもり。
 物悲しい音を奏でるギターに沈み込むベース、その中を漂う刃物のように鋭いサックス。
 そして、ときにパコーン、ポコーン、チーン・・・、ときにバシャバシャ・・・、ビートを出しているのか出していないのか、何なのかよくわからないドラム。
 それがカッコいい。
 あの“Death and the Flower” (1974) と同時期、音楽の色合いは違いますが、当のKeith Jarrettが加わればあのバンドになりそうなメンバーになんだから、カッコよくて当たり前。
 それと雰囲気が違うのは、終始前面に出るギターとクールな質感、後のTrioと違った感じがするのは、サイケと寂寥の間を行き来するギターと下の方で激しく蠢くベースゆえでしょうか。
 “Liberation Music Orchestra” (1969) Charlie Hadenに近い感じがしないでもないですが、もっとクール。
 全編を通じたダークなトーンもあわせて、とてもハードボイルドな妖しいジャズ。
 あまり話題にならないアルバムなのかもしれませんが、紛うことなき名演、名作。

※近い時期、近いメンバーでの演奏から。雰囲気は違いますが・・・


posted by H.A.


【Disc Review】“Complete Science Fiction Sessions (Science Fiction / Broken Shadows+3)” (1971,1972) Ornette Coleman

“Complete Science Fiction Sessions (Science Fiction / Broken Shadows+3)” (1971,1972) Ornette Coleman

Ornette Coleman (alto saxophone, trumpet, violin)
Charlie Haden (bass) Billy Higgins, Ed Blackwell (drums)
Don Cherry (pocket trumpet) Bobby Bradford, Carmine Fornarotto, Gerard Schwarz (trumpet) Dewey Redman (tenor sax, musette) David Henderson (recitation) Asha Puthli (vocals)
Jim Hall (guitar) Cedar Walton (piano) Webster Armstrong (vocals) & woodwinds

Complete Science Fiction Sessions
Ornette Coleman
Sony
2000-05-02


 Ornette Coleman、1971、1972年のセッション。
 “Science Fiction” (1971)と後にリリースされる”Broken Shadows” (1971,1972)の二作のカップリング。
 あの“The Shape of Jazz to Come” (1959)のカルテット、あるいはさらに二管が加わった編成をベースとして、楽曲ごとに様々なメンバーが加わります。
 ハイテンションでシリアスな表情のジャズを中心に、激烈なフリー、さらにはソウル~ゴスペル的な要素もフュージョンされる構成。
 マシンガンのようなベースが緊張感を煽り、いつになく大きいサックス、トランペットの音量、熱量。
 静かな緊張感の“The Shape of Jazz to Come” (1959)に対して、激しい系コレクティブインプロビゼーション、しばしばおとずれる混沌な場面も含めて、グリグリゴリゴリ、ビヒャーっと来る激烈系が中心。
 無秩序でも激情系ばかりでもありませんが、凄まじい音量と熱量の凄まじい演奏。
 まだ4ビート中心ですが、その合間々に挿まれる凄まじいスピードの演奏、フリーなスローバラード、静かなボーカル、よじれたようなソウルチューン・・・
 触ると切れてしまいそうな緊張感と激しさの連続。
 1960年代までの諸作はおおらかなジャズの印象も強いのですが、本作は違います。
 近い時期の“Miles Davis At Fillmore” (Jun.1970)もビックリの妖しさ激しさ120%。
 ”Broken Shadows” (1971,1972)収録分はしばらくお蔵に入っていたようですが、全部含めて凄い演奏集。
 ファンクで激しい“Dancingin Your Head” (1973-1975)まではもう少し。
 モダンジャズはもちろん、ジャズから一歩踏み出した1970年代のOrnette Coleman。
 これは凄い。




posted by H.A.



【Disc Review】“Nice Guys” (1978) The Art Ensemble of Chicago

“Nice Guys” (1978) The Art Ensemble of Chicago

Lester Bowie (trumpet, celeste, bass drum)
Malachi Favors Maghostut (bass, percussion, melodica) Joseph Jarman (saxophones, clarinets, percussion, vocal) Roscoe Mitchell (saxophones, clarinets, flute, percussion) Don Moye (drums, percussion, vocal)

Nice Guys
Art Ensemble of Chicago
Ecm Records
1994-06-14


 The Art Ensemble of Chicago、ECMでの第一作。
 フリー、トラディショナル、ブルース、ゴスペル、スピリチュアル、アフリカン、演劇?、その他諸々が混ざり合い、交錯するジャズ。
 Lester BowieとしてもECMへの参画を始めた時期、“Divine Love” (1978) Leo Wadada Smith、“New Directions” (1978) Jack DeJohnetteに近い時期の制作のようですが、それらとは全く違うテイスト。
 複雑で摩訶不思議なThe Art Ensemble of Chicagoの世界。
 冒頭はゆったりとしたフリービート、沈痛なジャズがスピリチュアルでユーモラスな歌モノに突然変異し交錯する、不思議感たっぷりな演奏。
 続いてプリミティブな笛系とパーカッション、Voiceが絡み合う、静かでアフリカンなコレクティブインプロビゼーション風からお祭りビートへの11分超。
 さらに疾走する4ビートのフリージャズ、摩訶不思議なフリージャズ、締めはミュートからオープン、クールなトランペットが鳴り続けるミディアム4ビートから、ハイテンションな高速ジャズの怒涛のエンディング。
 全く色合いの違う演奏が並びますが、個々の楽曲にそれぞれ意味があって、さらに全体が構成されているのだろうと思います。
 ブラックミュージックを俯瞰して云々、なのだろうと思いますが、何ともいえない複雑で屈折した感じがします。
 その得体の知れない不思議なムードに浸るか、メッセージを解きほぐしにかかるか、怒涛のインプロビゼーションを楽しむか。
 いずれにしても、過激で凄い演奏が揃った不思議なジャズ。
 さらにECMの透明度が高く冷たい色合いが混ざり合って、スッキリとした感じのフリー系ジャズ、そんな感じがよろしいのでは。




posted by H.A.


【Disc Review】“Quadrant” (1977) Joe Pass, Milt Jackson, Ray Brown, Mickey Roker

“Quadrant” (1977) Joe Pass, Milt Jackson, Ray Brown, Mickey Roker

Joe Pass (guitar) Milt Jackson (vibraphone) Ray Brown (bass) Mickey Roker (drums)

Quadrant
Milton Jackson
Ojc
1991-07-01


 “The Big 3” (1975)のメンバーにドラムを加えたカルテット。
 そちらは涼しいジャズでしたが、本作は熱血系。
 ドラムが入ったからなのか、選曲なのか、そんな気分だったのか、よくはわかりませんが、オーソドックスなジャズながら激しい系の強烈な演奏。
 アップテンポなジャズに、バラードでクールダウンしつつのファンク、ブルース。
 ゆっくりしたテンポの曲でも、まるで短距離の競争をしているかのように高速フレーズを出し続けるビブラフォンとギター。
 その後ろの方からグングン前に押し続けるベース。
 ファンクを含めて、さすが御大、何をやっても堂に入っていらっしゃいます。
 ベースを意識して聞くと、派手な演奏を繰り広げるフロントのお二人は、あくまで御大の掌の上で必死で全力疾走しているようにも聞こえてきます。
 さすが御大。
 “The Big 3” (1975)も同じような感じだったので、本作の激しさはMickey Rokerさんの存在が大きかったのでしょうかね。
 いずれにしても、さすがの4人衆の強烈なジャズ。
 名人が集まれば何でもできます。
 そんな演奏集。




posted by H.A.


【Disc Review】“Resonance” (1974) Joe Pass

“Resonance” (1974) Joe Pass

Joe Pass (guitar)
Jim Hughart (bass) Frank Severino (drums)

Resonance
Joe Pass
Pablo
2000-10-10


 Joe Pass、トリオでのライブ録音。
 未発表音源のようですが、演奏も録音もいい感じ。
 冒頭のスタンダードから怒涛の弾きまくり。
 ギターが燃えるんじゃないの、ってなぐらいの高速なフレーズの連続。
 Jobimの優雅なボサノバになってもお構いなし、中盤過ぎれば火の出るような高速フレーズ。
 トレードマークのソロ演奏、バラード、ゆったりした演奏でクールダウンする場面もありますが、気がつけば指が速く動き出して、どうにも我慢できません。
 バンドも会場もノリノリ、やんややんやの大喝采。
 ここまでくれば音数が多過ぎるとか、うるさいとかといった感想は野暮。
 どこまでも続いていくような音符の洪水にありがたくに身を任せ、一緒に突っ走ってしまうのが吉。
 ハードフュージョンやスパニッシュの人もビックリ、エネルギー全開、ハイテンションジャズギター。
 もちろんギターはクリーントーン、端正な4ビート、決して大音量ではなく、あくまで上品なジャズ。
 が、オーソドックスなジャズでここまでハードなのは珍しいのではないのかな?
 おっと、近くに“Portraits of Duke Ellington” (1974) Joe Passなんてのがありましたね。




posted by H.A.


【Disc Review】“Portraits of Duke Ellington” (1974) Joe Pass

“Portraits of Duke Ellington” (1974) Joe Pass

Joe Pass (guitar)
Ray Brown (double bass) Bobby Durham (drums)

Portraits of Duke Ellington
Joe Pass
Pablo
1990-10-25


 Joe PassのEllington曲集。
 優雅な名曲、名コード展開を背景にして、動きまくり、突っ走るギター。
 この期、“The Big 3” (1976)、“Quadrant” (1977)など、名手Ray Brownとの共演作が何作かあり、それぞれにムードが違う感じ。
 そちらの二作ではベースが主導していたようにも聞こえたのですが、本作はあくまでギターが主導。
 突っ走りまくるギターの後ろで、しゃあないなあ・・・なんて感じでビートを出している感じ。
 Ray Brownさんの牽引力はいつも通りで、グングン前に進む感じなのですが、それよりも速くたくさん弾くぞー、ってなギター。
 そこまで弾かなくても・・・、とか思ったり思わなかったり。
 超絶な” Caravan”っていったい何なんでしょう・・・
 さておき、人数が少ない分、ベースのインプロビゼーションもたっぷり。
 そこからウォーキングに戻る瞬間がカッコいいし、派手なオブリガードもよく聞こえてきます。
 この人のベースを聞いていると、ジャズってカッコいいなあ・・・って思います。
 おっと、Joe Passさんのリーダー作でしたね。
 そんな生々しい超絶名人芸てんこ盛りのアルバム。




posted by H.A.

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