吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

-1969

【Disc Review】“Paul Bley with Gary Peacock” (1963, 1968) Paul Bley

“Paul Bley with Gary Peacock” (1963, 1968) Paul Bley

Paul Bley (Piano) Gary Peacock (Bass) 
Paul Motian, Billy Elgart (Drums)

Paul Bley With Gary Peacock
Paul Bley
Ecm Import
2000-08-15


 Paul MotianGary Peacockを中心とした、あの時代の少し変わったジャズ。
 ECMの制作ですが、録音は別の時代なのだと思います。
 Paul Motian 参加のピアノトリオの聖典“Waltz for Debby” (1961)、そしてGary Peacockも参加した”Trio '64” (1964) Bill Evansから遠くない時期の録音。
 ベースはScott LaFaroを想わせるような激しい動き。
 普通のジャズのようで、モダンジャズとは何か異質な美しさを散りばめながら、さらに微妙にズレていくようなピアノ。
 二人の動きを意識していないようにも聞こえる、淡々と静かにビートを刻むクールなドラム。
 アコースティック4ビートのモダンジャズですが、なんだか変わっています。
 美しいようでザラついていて、変なようでやはり美しい不思議なバランスは、後のKeith Jarrettのバンドにつながっていくような音。
 Ornette Coleman二曲にPaul Bley二曲、因縁のAnnette Peacock二曲にその他何曲か。
 フリーな場面は多くはありませんが、何か三者が微妙にズレていくような、不思議なバランス。
 普通なようで何か違う、稀代のスタイリストお三方のクリエイティビティとクールネス。
 1960年代と1970年代、モダンジャズとフリージャズ、さらに後のジャズを繋ぐような一作。

※近い時期の演奏から。


posted by H.A.

【Disc Review】“Kele Mou Bana” (1991) Don Pullen & The African Brazilian Connection

“Kele Mou Bana” (1991) Don Pullen & The African Brazilian Connection

Don Pullen (Piano)
Nilson Matta (Bass) Guilherme Franco (Berimbau, Percussion, Timba, Timbales) Mor Thiam (Chimes, Djembe, Rainstick, Sound Effects, Vocals) Keith Pullen, Tameka Pullen (Vocals) Carlos Ward (Bass, Alto Sax)

Kele Mou Bana
Don Pullen
Blue Note Records
1992-02-25

 
 Don Pullen、Blue Noteでの名作エスニックジャズ。
 バンド名通りにAfrican & Brazilian。
 1970~80年代のフリージャズ、ハードなジャズを経た、少々ポップなエスニックなジャズ。
 歴史的にはアフリカ、ブラジル、ヨーロッパ、北アメリカの結節点がキューバだろうし、同じ時期に共演しているKip Hanrahanの影響もあったのでしょうかね?
 とにもかくにもアフリカンなパーカッションとサンバ混じりビート。
 キャッチ―なメロディ。
 それでいて硬派なジャズ。
 まずまずおとなしく始まりますが、音楽が進み、興が乗ってくると徐々に正体を露わにし、気がつけばド激しい系。
 グーの手でグリグリグリグリ、鍵盤をいたぶりまくり。
 まー、激しいやらカッコいいやら。
 Kip Hanrahan諸作を含めて、あまりフリーにはいかないこのくらいのDon Pullenがいいなあ。
 フリーな作品の中にもそんな楽曲がさり気なく置かれていましたが、この期の作品はそれを集めたアルバム揃い。
 とてもわかりやすくて、それでいて十二分にマニアックでカッコいい、エスニックジャズ。
 20年以上経った今聞いても大名作だと思うのだけど、世評はどうなのでしょう・・・?




posted by H.A.


【Disc Review】“Dimensions & Extensions” (1967) Sam Rivers

“Dimensions & Extensions” (1967) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute)
Cecil McBee (Bass) Steve Ellington (Drums)
James Spaulding (Alto Saxophone, Flute) Julian Priester (Trombone) Donald Byrd (Trumpet)



 Sam Riversの激しい系モダンジャズ。
 ホーンのアンサンブルや勇ましい系のアコースティック4ビートは“Free for All” (Feb.1964) Art Blakey & The Jazz Messengersなどな感じではあるのですが、ピアノレスがクールな質感、リーダーのサックスはブチ切れ系。
 “Free for All”のWayne Shorterのような激しい音。
 序盤はそんな感じでまだまだ平和ですが、中盤、LPレコードではA面の最後から、激しさを増してきます。
 激しいビートの中、ブチ切れ系のホーン陣の暴力的なブロー。
 “Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyから三年、“Ascension” (Jun.28.1965) John Coltraneから二年、あるいは“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969) Miles Davisに先んじること二年の激しい系エネルギー放出型ジャズ、フリー寄り。
 LPレコードB面に移ってもその熱は冷めず、激しい演奏が続きます。
 激烈ながら、妙に深刻だったり陰鬱だったりしないのが、この人の音楽。
 どこかあっけらかんとしていて、なんだかんだでジャズしています。
 モダンジャズなようなフリージャズなような微妙なバランスの音楽。
 壊れそうで壊れない、危ういバランスの激しさ、美しさ。
 そんな時代の狭間の音。




posted by H.A.


【Disc Review】“A New Conception” ‎(1966) Sam Rivers

“A New Conception” ‎(1966) Sam Rivers

Sam Rivers (Tenor, Soprano Sax, Flute)
Hal Galper (Piano) Herbie Lewis (Bass) Steve Ellington (Drums)

ア・ニュー・コンセプション
サム・リヴァース
ユニバーサルミュージック
2014-01-22


 歪む時空の人から、何となくSam Rivers。
 私にとってはEric Dolphyを聞くとなぜか思い出してしまう人。
 フリーに行きそうで行き切らない危ないバランスが共通するのでしょうかね。
 本作はBlue Noteでのモダンジャズ。
 Miles Davisとは“Miles in Tokyo” (Jul.1964)一作のみ。
 ECMで制作するも、“Contrasts” (1979)一作のみ。
 他にもビッグネームとの共演も少なくないのだと思うのだけども、なかなか続かない不思議な人。
 なんででしょうね?
 あくまで私見ですが、John ColtraneSony Rollinsが混ざったような、希少な最高のテナーサックスだと思うのですが・・・
 せめてJoe Hendersonと同じぐらいの人気があってもね・・・

 ともあれ、本作はオーソドックスで平和なモダンジャズ。
 時代は“Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyから進んでいますが、あくまで本作はモダンジャズ。
 ガンガンゴンゴン系のピアノトリオをバックに、スタンダード曲を艶のある音でブリブリと吹きまるテナー。
 平和なだけでなくて、突っ走り、グルグルウネウネとどこまでも続いていくようなフレージング。
 今の季節にはちょうどいい感じの暑苦しさ。
 こりゃ気持ちいいや。





 さらに、音に合っているかどうかはさておき、とても素敵なジャケット。
 全くの余談ですが、私が大好きなBlue Noteのジャケットは本作含めて以下。
 好みが一貫してますね・・・

ア・ニュー・コンセプション
サム・リヴァース
ユニバーサルミュージック
2014-01-22

イージー・ウォーカー+2
スタンリー・タレンタイン
ユニバーサルミュージック
2014-01-22

レッテム・ロール
ジョン・パットン
EMIミュージック・ジャパン
1997-09-26






posted by H.A.


【Disc Review】“Out There” (Aug.1960) Eric Dolphy

“Out There” (Aug.1960) Eric Dolphy

Eric Dolphy (flute, bass clarinet, alto saxophone, clarinet)
Ron Carter (bass, cello) George Duvivier (bass) Roy Haynes (drums)

Out There
Eric Dolphy エリックドルフィー
Original Jazz Classi
1989-12-12


 Eric Dolphyの第二作。
 不思議感120%のモダンジャズ。
 4か月前に制作した前作“Outward Bound” (Apl.1960)は普通にモダンジャズな形でしたが、ここではそれを壊しに行っているように思います。
 異次元空間からやってきましたあ・・・ってな感じ十分な音。
 コードを縛るピアノは外して空間を広げて、これでやっと爆発的な演奏が収まりそうな空間ができたかも・・・
 でも、まだ4ビートを刻むウォーキングベースとドラムが邪魔かなあ・・・
 ってな感じで、リズムの二人はキッチリジャズを演奏していますが、Eric Dolphyはもちろん、Ron Carterはぶっ飛び気味。
 このアルバムはぶっ飛んでますが、ここから先しばらくは“Olé Coltrane” (May.1961)、“Live! at the Village Vanguard” (Nov.1961)などのJohn Coltraneとの共演も含めて、少し時計の針を戻したようなオーソドックな色が強いジャズ。
 時代が進み、Tony Williams その他、多くのアーティストがぶっ飛んだ演奏を始めてやっと“Out To Lunch” (1964)にたどり着いた・・・ってな感じでしょうか。
 ジャケットはなんだかよくわからないChirico風の不思議な絵。
 そのままの音。
 他者を寄せ付けない爆発的な演奏力もさることながら、モダンジャズ離れした本作と“Out To Lunch” (1964)がEric Dolphyの真骨頂、なのでしょう。
 それを引き継いだのは果たして・・・?
 ちょっと違うか・・・
 ヨーロッパ系にいたような気もするのだけも、思い出せないなあ・・・?




posted by H.A.


【Disc Review】“Outward Bound” (Apl.1960) Eric Dolphy

“Outward Bound” (Apl.1960) Eric Dolphy

Eric Dolphy (flute, bass clarinet, alto saxophone)
Freddie Hubbard (trumpet) Jaki Byard (piano) George Tucker (bass) Roy Haynes (drums)

Outward Bound
Eric Dolphy
Ojc
1991-07-01


 Thelonious Monkに次いで、同じく歪む時空の音を奏でるEric Dolphy、デビュー作。
 若くして亡くなったクリエイティブなアーティスト、時間が短すぎて全部やり切れてはなかったんだろうなあ・・・ってな印象。
 亡くなる少し前の“Out To Lunch” (1964)、“Point of Departure”(1964) Andrew Hillなどが凄まじい演奏。
 亡くなった1964年以降にフリージャズ、フュージョン、その他諸々新しい動きが盛り上がったのでしょうから、この人がいればもっと凄いことになっていたんだろうなあ・・・と思います。
 本作はその時代よりも少し前、ジャズとブルースが中心の作品。
 全編アコースティック4ビート、スタンダード曲も入っていますが、それでもなんだか変わっています。
 先行していた?Ornette Coleman的といえばそうなのかもしれないけども、もう少しオーソドックス寄り。
 加えて爆発的なサックス他の演奏力。
 サポートメンバーは名手揃いですが、Eric Dolphyの音が鳴ると空気感が一変するようにも感じます。
 トランペットが先導する“On Green Dolphin Street”などはその典型。
 天才Freddie Hubbardがキッチリテーマを出し、流麗なソロを展開しますが、その間のバスクラリネットのソロはなんだか別世界。
 後の強烈さこそまだないにせよ、ソロが始まると、あるいはテーマを吹くだけでも急に緊張感が高くなるように感じます。
 他のメンバーが平和なモダンジャズな演奏だけに好対照。
 ちょっと変わったオリジナル曲も含めて全編そんな感じ。
 Freddie Hubbardが対抗しよう?としている感じの場面もありますが、ナチュラルにブチ切れ気味のソロを展開するEric Dolphyにはかないませんかねえ・・・
 由緒正しき形式のバース交換の場面、ブルースの演奏などもそんな感じ。
 普通にジャズをやってみようと思っているのだけども、無意識に枠組みから外れてしまいますぅ・・・って感じ。
 後のスタジオ録音アルバムでは枠組み自体を壊してしまえ・・・ってな感じのものもありますが、ライブでの録音などは、オーソドックスなフォーマットとそれに納まりきらないサックス、その不思議なアンバランス。
 やはりこの頃から全く普通ではない音使い。
 それをキッチリと収める形ができたのは“Out To Lunch” (1964)?
 そこでもまだ未完だった感じもするなあ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Thelonious Himself” (1957) Thelonious Monk

“Thelonious Himself” (1957) Thelonious Monk

Thelonious Monk (piano)
John Coltrane (tenor sax) Wilbur Ware (bass)

Thelonious Himself
Thelonious Monk
Ojc
1991-07-01


 寂しげな空間に響くピアノ。
 流れてくるのはさりげないLove Song。
 確かに“4月のパリ”の風景なのでしょう。
 さり気ないロマンチシズムが漂う上品で洒落たメロディ。
 でも、そこ街の賑わいはなく、人気もない、パリの空気感。
 徐々に歪んでいく時空。
 強い寂寥感、離散する時間の感覚の中、かろうじて維持される秩序。
 真夜中なのかもしれないし、遠い過去の事なのかもしれません。
 それとも、荒廃した未来のパリの景色なのでしょうか・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Thelonious Monk quartet with John Coltrane at Carnegie hall” (1957) Thelonious Monk quartet, John Coltrane

“Thelonious Monk quartet with John Coltrane at Carnegie hall” (1957) Thelonious Monk quartet, John Coltrane
Thelonious Monk (piano) John Coltrane (Tenor Sax)
Ahmed Abdul-Malik (bass) Shadow Wilson (Drums)



 冒頭の“Monks Mood”。
 ピアノとテナーサックスのDuoから始まるルバートでのスローバラード。
 曖昧なビート、二人の呼吸のペースで進む時間。
 漂い、転げまわるピアノに、飛びまわるテナーサックス。
 伸び縮みする時間と少しずつ歪む空間。
 時折の高速なロングフレーズが、歪んだ時空をさらに掻きまわす。
 モダンジャズ?
 はるか60年前、静かで穏やかなトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime

“Emergency!” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime
Tony Williams (drums, voice?) John McLaughlin (guitar) Larry Young (organ)

エマージェンシー!
トニー・ウィリアムス・ライフタイム
ユニバーサル ミュージック クラシック
2003-05-21


 Tony Williams Lifetimeのデビュー作、超ハイテンションハードロックジャズ。
 “Saudades" (2004) Trio Byondを聞いて久々に引っ張り出してきたアルバム。
 “In a Silent Way”(Feb.1969)の三か月後、Tony Williams は参加していませんが、他の二名が参加したあの“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)の三カ月前の録音。
 ジャズとロックが融合していく結節的な時期、Milesの諸作と同様、結節点的な作品。
 冒頭のタイトル曲からガンガンのロックなハードな音。
 が、怒涛のような激しい音でテーマを決めると、いきなり4ビート。
 これがオルガントリオならではの、スムースでカッコいいグルーヴ。
 もちろん歪んだギターがうなる超ハイテンションでハードな演奏ですが、4ビートから脱却しようとしていた上記のMiles Davis作品とはちょっとイメージが異なります。
 激しくロックな演奏の合間にそんな場面がしばしば登場し、そこは“1969Miles”(Jul.25,1969)などに近い感じのエネルギー放出型ジャズ。
 また、“Saudades" (2004)のJack DeJohnetteのゴツゴツしたドラムに対して、あるいはグニョグニョしたJohn Scofieldに対して、本作のお二人はスムース。
 8ビートにしろ、4ビートにしろ、激しく叩きまくっているようでヘビーでは無くて、軽快・・・ってなのも変ですが、不思議にサラリと聞けてしまいます。
 音量が落ちた4ビートの場面などは、シンシンとしたシンバルが静かに響く、紛うことなきあのジャズのTony Williams。
 John McLaughlinも同様。
 ディストーション掛けてチョーキングしまくりのようで、実際にそうなのですが、綺麗に音符が並んでいるように思います。
 っても、激しいことには変わりはなく、要所で入る妖し気なボイスを含めて、端正なジャズでも、アーティスティックなフリージャズでもなく、4ビートも混ざるロック、あるいはハードなプログレッシブロックジャズ。
 それも超弩級に激しい系。
 とてもトリオの演奏には聞こえません。
 途中の混沌な場面はフリージャズな“Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter、ファンクな場面では“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davisを想い起こすのですが、それも同時代。
 以下の様に近作を並べてみると、ロックロックしているのは本作と“Jack Johnson" ぐらいで、ジャズへのロックの伝道者の張本人は、Miles Davisというよりも、Tony Williams, John McLaughlinだったのでしょうかね?

 “In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis
 “Is”, “Sundance” (May.11-13.1969) Chick Corea
 “Emergency” (May.26,28.1969) The Tony Williams Lifetime
 “1969Miles” (Jul.25,1969) Miles Davis
 “Bitches Brew” (Aug.19-21,1969) Miles Davis
 “Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter
 “Infinite Search” (Nov.1969) Miroslav Vitous
 “Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970) Miles Davis
 “The Song of Singing” (Apl.17,18.1970) Chick Corea
 “Zawinul” (Aug.6-12.1970) Joe Zawinul 
 ‎”Afric Pepperbird” (Sep.1970) Jan Garbarek Quartet
 “Mwandishi” (Dec.1970) Herbie Hancock
 “Weather Report” (Feb-Mar.1971) 

 ジャズ、フリージャズ、ロックがグチャグチャに入り混じりながら、次のモノが生まれる途上の激しい音。
 ここまで激しければ、スカッと爽快・・・に聞くためには体調を整え、心して・・・


 

 posted by H.A.


【Disc Review】“The Gentle Side Of John Coltrane” (1962-1965) John Coltrane

“The Gentle Side Of John Coltrane” (1962-1965) John Coltrane 
John Coltrane (Tenor Saxophone)
McCoy Tyner, Duke Ellington (Piano) Jimmy Garrison, Aaron Bell (Bass) Elvin Jones, Sam Woodyard, Roy Haynes (Drums)
Johnny Hartman (Vocals)
 
Gentle Side of John Coltrane by John Coltrane (2012-06-20)
John Coltrane
Universal Japan
ジョン・コルトレーン


 John Coltrane、Impulse時代のバラード集。
 春の清々しい時期にこの人のアルバムシリーズはミスマッチでしたが、これならいけるか? 
 ほとんどの人が納得しそうなベストな選曲。
 オムニバスは印象がバラけるので好んでは聞かないけども、これはいけます。
 全部テナーサックスなのもいいなあ。
 この人のバラード、「優しい系」、「ハードボイルド系」、「妖しい系」の三種でしょうか。
 「優しい系」の代表は“Ballads” (Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)。
 「ハードボイルド系」は“Crescent” (Apl.Jun.1964)。
 「妖しい系」は激しい系のアルバムの中にさり気なく置かれています。
 “A Love Supreme” (Dec.1964)の”Part 4: Psalm"や、本作では“Welcome”など。
 Sonny Rollinsあたりのバラードはマッチョな感じであくまで男性的ですが、対してColtraneの「優しい系」は女性的。
 高めの音を中心にスッと軽く吹くからでしょう。
 Johnny Hartmanとの競演なんてテナーではなく、まさにテノール(男性の声ですが・・・)の方が言葉としてはピッタリくるクルーナー同士の双子の兄弟のよう。
 トレードマークのシーツオブサウンドもバラードではなし。
 ビブラートもサブトーンもあまり使わず、あくまでスッキリした音。
 これがなんとも上品でカッコいいんだろうなあ。
 と思っていると、“Crescent”あたりになると「ハードボイルド系」。
 悲壮なムードも強くなり、音数も増えてくる感じ。
 それが力強さにもつながり、ダンディズムの極めつけのようなカッコよさ。
 さらにフリー期が近づくと、全編ルバートの「妖しい系」がちらほらと出てきます。
 ドラムとベースはフリー、ピアノがなんとかビートをキープしつつ、崩れそうで崩れないColtraneバンドにしかできないような全編ルバートのスローバラード。
 強烈な浮遊感、なんとも言い難い哀感の強い音。
 鬼気迫るような、胸に迫るような、とてつもなく素晴らしい音。
 全編ルバートのスローバラードの元祖はColtraneで、これがECM諸作で最近の作品までよく聞かれる音に繋がっている、って思っているのは少数派でしょうか?
 私の好みは「妖しい系」、“Welcome”。
 本アルバム「優しい系」が多めでその方が一般的な人気はあるんだろうけど、どうせなら「優しい系」を少々減らして、「ハードボイルド系」「妖しい系」を増やしてほしかったなあ。
 “The John Coltrane Quartet Plays” (Feb.May.1965)からこれまた全編ルバートの”Song of Praise”なんていいんですがね。冒頭のベースソロが長すぎますか・・・
 あるいは最終作“Expression” (Feb.Mar.1967)のタイトル曲とか、“Jupiter Variation” (Feb.2.1966)収録の” Peace on Earth”とか・・・ 
 さておき、Coltraneのバラード集、何種かあったように思いますが、「優しい系」「ハードボイルド系」「妖しい系」がバランスよく揃ったこのアルバムがベストな選曲でしょうね。

 “Soul Eyes”・・・ “Coltrane” (Apl.Jun.1962)
 “What's New”・・・ “Ballads” (Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)
 “Welcome”・・・ “Kulu Sé Mama” (Jun.Oct.1965)
 “Nancy”・・・ “Ballads” (Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)
 “My Little Brown Book” ・・・ “Duke Ellington & John Coltrane” (Sep.1962)
 “Wise One” ・・・ “Crescent” (Apl.Jun.1964)
 “Lush Life” ・・・ “John Coltrane and Johnny Hartman” (Mar.1963)
 “Alabama” ・・・ “Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)
 “My One And Only Love” ・・・ “John Coltrane and Johnny Hartman” (Mar.1963)
 “After The Rain” ・・・ “Impressions” (Nov.1961,Sep.1962,Apl.1963)
 “In A Sentimental Mood” ・・・ “Duke Ellington & John Coltrane” (Sep.1962)
 “Dear Lord” ・・・ “Transition” (May.Jun.1965)
 “I Want To Talk About You” ・・・ “Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)





 John Coltrane On Impulse+α。
 モードジャズと激烈フリージャズの二期に分かれそうです。
 好みはさておき、前者のピークはやはり“Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)、“Crescent” (Apl.Jun.1964)、“A Love Supreme” (Dec.1964)の三作でしょうか。
 公式盤では“Ascension” (Jun.28.1965)以降が激烈フリー。
 が、その後にもお蔵入りしていた普通の激しいジャズの素晴らしい録音がいくつもあります。
 試行錯誤もあったのでしょうが、Pharoah Sandersの影響が大きかったのかなあ・・・が個人的な見解。 
 “Interstellar Space” (Feb.22.1967)あたりだといい感じで聞けるんだけど・・・ 
 Pharoah入り激烈フリー期を楽しんで聞けるようになればいいんだけども、まだ修行が足りません。
 私は。


※Coltrane逝去前に発表された公式アルバム。<>発表年。

●モードジャズ
※“Africa/Brass Vol.1,Vol.2” (May.Jun.1961)
※“Olé Coltrane” (May.1961)
※“Live! at the Village Vanguard” (Nov.1961)
※“Impressions” (Nov.1961,Sep.1962,Apl.1963)
※“Coltrane” (Apl.Jun.1962)

●バラード
※“Ballads” (Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)
※“Duke Ellington & John Coltrane” (Sep.1962)
※“John Coltrane and Johnny Hartman” (Mar.1963) 

●激しいモードジャズ
 “Newport '63” (Nov.1961,Jul.1963) <1993>
※“Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)
※“Crescent” (Apl.Jun.1964)
※“A Love Supreme” (Dec.1964)
※“Live at the Half Note: One Down, One Up” (Mar.26.May.7.1965)
※“The John Coltrane Quartet Plays” (Feb.17-18, (Mar.28.),May.17.1965)
 “Transition” (May26.Jun.10.1965) <1970>
 “Living Space” (Jun.10,16.1965) <1998>
※“Ascension” (Jun.28.1965)
※“New Thing at Newport” (Jul.2,1965)
 “Sun Ship” (Aug.1965) <1971>
 “First Meditations” (Sep.2.1965) <1977>

●激烈フリー
 “Live in Seattle” (Sep.30.1965) <1971>
 “Om” (Oct.1.1965) <1968>
※“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)
 “Selflessness: Featuring My Favorite Things” (Jul.1963,Oct.14.1965) <1969>
※“Meditations” (Nov.1965)
※“Live at the Village Vanguard Again!” (May.1966)
 “Live in Japan” (Jul.1966) <1973>
 “Offering: Live at Temple University” (Nov.1966) <2014>
 “Stellar Regions” (Feb.15.1967) <1995>
 “Jupiter Variation” (Feb.2.1966, Feb.22.1967, Mar.7.1967) <1978>
 “Interstellar Space” (Feb.22.1967) <1974>
 “Expression” (Feb.15,Mar.7.1967) <1967>
 “The Olatunji Concert: The Last Live Recording” (Apl.23.1967) <2001>

 
posted by H.A.


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