吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【静謐】

【Disc Review】 “Rosa” (2006) Rosa Passos

”Rosa" (2006) Rosa Passos
Rosa Passos(Vocal, Guitar)  

Rosa
Rosa Passos
Telarc
2006-04-25
ホーザ パッソス

 目下、私の知る限りのブラジル系のベストボーカリスト。
 かわいい系の声なのだけど実に深い。
 ボサノバ伝統のウイスパー系で、スカートをはいたJoao Gilbertoと呼ばれているらしいのだけど、わずかに強い押し。
 語尾に微妙なビブラートが掛かり、高い音では微妙に裏返り気味、鼻に抜け気味。
 湿っているような乾いているような、絶妙なバランスの発声。
 1曲目、そんな微妙な声で、いきなりアカペラが始まります。
 これにはドッキリ。
 さらに2曲目、Jobimの隠れた佳曲、ガットギター一本のバッキングで哀愁曲を囁きます。
 泣けてくるようなというような大げさな悲しみではなく、切ないもの悲しさが漂うメロディ。
 これが彼女の微妙な声と絶妙なバランス。
 そんな微妙で、絶妙、深い演奏が最後まで続きます。
 背景に何もない、無音の瞬間をたくさん感じられる、静謐で奥の深い音空間。
 有名曲やヒット曲が入っているわけではありませんが、どの曲も佳曲で彼女のために書かれたのでは、と思えるほどベストマッチな曲と声とギター。
 確かにJoao Gilberto的なのですが、女性だけにもっと優しく、同じぐらいに深い。
 最後まで同じ質感だけど、飽きてくる感じはしないのも不思議。
 じっくり聞いてしまうと何をしていても手が止まってしまいそう。
 気持ちが浄化されてくるような感覚も決して大げさではない。
 雰囲気は夕暮れ時。
 郷愁。

(※この投稿は2014/02/20から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Cantando” (2007) Bobo Stenson

“Cantando” (2007) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Cantando (Ocrd)
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、若手ドラマーを迎えた新トリオでのアルバム。
 本作も前作“Goodbye” (2005)同様、強い浮遊感、かつメロディアスな静音ジャズ。
 ドラマーが変わっても、ビートを作るのはAnders Jormin。ドラムは自由にアクセントを加えていくスタイル。
 Bobo Stenson、Anders Jorminコンビのスタイルなのでしょう。
 本作も多彩な楽曲群。
 いつものOrnette Colemanに加えてDon Cherry、クラシック曲、さらにはAstor Piazzollaまで。
 前作にも増してメロディアスな楽曲揃い。
 本作では、フリーインプロビゼーションのイメージではなく、テーマ~インプロビゼーションのオーソドックスなジャズのスタイルが目立ちます。
 何曲もカバーしているキューバのSilvio Rodríguezの哀愁曲からスタート。
 美しいメロディの芯の周辺を漂うような、絡みつくような美しいピアノ。
 バンドの浮遊感は前作同様、インプロビゼーションのまとまりは本作の方が上かもしれません。
 スローテンポではたっぷりとしたタメを効かせて漂うような音、穏やかな高揚感。
 テンポが上がれば強烈な加速感、疾走感。 時折のスケールアウトが醸し出す妖しいムード。
 一部に長尺なフリーインプロビゼーションもありますが、あくまで静かな演奏。
 オーソドックスではないにせよ、抽象度の高い演奏が減少し、聞きやすくもなっているように思います。
 名作です。
 静音系、浮遊感系のBobo Stensonならば、本作がイチオシかもしれません。




posted by H.A.

【Disc Review】“Goodbye” (2005) Bobo Stenson

“Goodbye” (2005) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Paul Motian (drums)

Goodbye
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、ドラムに大御所Paul Motianを迎えた新トリオでのアルバム。
 漂うようなフリーテンポでのバラードがこの時期の真骨頂のPaul Motian。
 前任のJon Christensenもその類の演奏が苦手ではないタイプだと思いますが、もっと繊細。
 想像通りの音、漂うような静音ジャズ。
 スタンダード曲、アルゼンチン曲、オリジナル曲など含めて、メロディアスな楽曲。
 曲を演奏するというよりも、それらを題材にした静かなフリーインプロビゼーションのイメージが強い演奏。
 冒頭から超スローテンポ、ルバートでのバラード。
 美しいメロディ、コードの断片が微かに現れたり消えたりする展開。
 メロディの芯の周辺を浮遊するような美しいピアノの音。
 ピアノの周囲を舞い散るようなシンバル。
 漂うビートを前に進め、勢いをつけるベース、静かな空間に響く低い胴鳴り・・・ そんな演奏が続きます。
 名作“Storyteller” (2003) Marilyn Crispellのように全編がルバートではありません。
 ビートが効いた演奏もありますが、あくまで静かなグルーヴ。
 別のタイプの凄み。
 また、”Underwear” (1971) 、あるいは“Reflections” (1993)の様にテンションが高くもなければ、“Fish Out of Water”(1989)Charles Lloydのように音楽の輪郭が明確な演奏でもありません。
 が、豊かさはそれらの名作と同等。
 後半に抽象度の高い変奏もありますが、全体を眺めれば、静かで、穏やか。妖しくて、美しい、ピアノトリオの佳作。




posted by H.A.

【Disc Review】”StAR” (Jan.1991) Jan Garbarek

”StAR” (Jan.1991) Jan Garbarek
Jan Garbarek (soprano, tenor saxophone)
Miroslav Vitous (bass) Peter Erskine (drums)

Star
Jan Garbarek
Ecm Import
ヤン ガルバレク 
ミロスラフ ビトウス 


 Jan Garbarek、Miroslav Vitousとの共演作。
 ここにはあの厳しく激しいJan Garbarekはいません。
 優しい表情に変わった彼。
 本作では少人数、少ない音の中、漂うようなサックスの響き。
 もちろん音色自体は冷たく張り詰めた彼の音ですが、激烈で深刻、怖いような音使いはもうありません。
 本作は楽曲提供者からみて、あくまで3者の共同リーダー、あるいはMiroslav Vitous中心の作品なのでしょう。
 Jan Garbarekは一曲のみの提供、優しい表情のメロディ。Peter Erskineの曲も同様。
 Miroslav Vitous提供のもろジャズ曲や、少し深刻なメロディもあります。
 が、三者とも静かで優しい演奏。
 静かに舞い散るシンバルの音を背景にした、優しいサックスと空間に響くベースの音。
 Jan Garbarekが奏でる、静かで美しく優しい、癒しの音楽。
 隠れた名アルバム、このバンドではこれ一作だけのが残念。
 キツいJan Garbarekが苦手な人も、普通のジャズが好きな人もいけるはず。たぶん・・・





posted by H.A.

【Disc Review】“Fish Out of Water” (1989) Charles Lloyd

“Fish Out of Water” (1989) Charles Lloyd
Charles Lloyd (tenor saxophone, flute)
Bobo Stenson (piano) Palle Danielsson (double bass) Jon Christensen (drums)

Fish Out of Water
Charles Lloyd
Ecm Import
チャールス ロイド


 Charles Lloyd、ECMでの一作目。
 メンバーを見てKeith Jarrettのヨーロピアンカルテット、あるいは同じピアノトリオのJan Garbarekの最初のカルテット、はたまたあのKeith Jarrett入りの”Forest Flower”を再度・・・
 ・・・とか言った邪推は、始まって一分もしないうちに忘れてしまいます。
 史上最高、かどうかはわからないけども、最高のジャズバラード集。
 あのJohn Coltrane”Ballad”(1962)や“Crescent” (1964)でイメージされるムードではあるものの、それに並ぶような・・・と書くと適当ではないのかな?
 でも、そんな質感、そんな完成度のアルバム。
 柔らかな、決して強くは吹かないテナー、透明度が高い音、美しくリリカルなピアノ。
 漂うようなビート感、浮遊感。
 サラリとした、決してベタついたり、しつこかったりしない質感。
 全曲オリジナルの全てが名曲、名演奏。
 静謐でクールな印象だけども、穏やかでほんのり温かい。
 決して異次元の別世界ではなく、現実的なそんな世界へトリップさせてくれる音楽。
 ECMにしては平和すぎる、ジャズすぎるのかな?
 それでも文句なしの名アルバム。




posted by H.A.
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