吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

【優しい音】

【Disc Review】“Andrés Beeuwsaert” (2015) Andrés Beeuwsaert

“Andrés Beeuwsaert” (2015) Andrés Beeuwsaert
Andrés Beeuwsaert (Piano, Voice)
Juan Pablo Di Leone (Flutes, Harmonica, Voice)
Tatiana Parra (Voice) Vardan Ovsepian (Piano)
 
Andres Beeuwsaert
Andres Beeuwsaert
NRT
2016-10-15
アンドレス・ベエウサエルト

 アルゼンチン、現代フォルクローレ~ジャズのピアニストAndrés Beeuwsaert、東京でのライブ録音。
 前半五曲ほどがソロでのピアノとボイス、三曲がハーモニカ、フルートとのDuo、最後の二曲にTatiana Parra、Vardan Ovsepianが加わります。
 Juan Pablo Di Leone は現代フォルクローレの中心人物の一人Carlos Aguirreとつながる人。
 Tatiana Parra は名作“Aqui” (2010)での名コンビ、Vardan OvsepianはそのTatiana ParraとのDuo作品“Lighthouse” (2014), “Hand In Hand” (2016) などを作っている間柄。
 といったところで、現代フォルクローレ、南米音楽の旬なところを集めた豪華なライブ。
 さらに楽曲は、“Dos ríos” (2008)、“Cruces” (2012)といった名作からのチョイスに加えて、Hugo Fattoruso、Mário Laginha、Mono FontanaCarlos AguirreAndré Mehmari、Sérgio Santosなど、この筋が好きな人からすれば、なるほどねえ・・・な名前、メロディが並んでいます。
 哀愁、郷愁が漂うメロディアスな楽曲が並びます。

 穏やかで柔らかなピアノとハミングでスタート。
 “Cruces” (2012)などのコンボ作品とはまた違った質感。
 元々上品な音の人ですが、さらに余分なもの削ぎ落としたような上品さ柔らかさの優しい音。
 穏やかなせせらぎか、緩やかな風のような空気感。
 これはソロ、少人数でなければ出せないムードでしょう。
 微妙なタメと要所での疾走感が交錯する、とても優雅ピアノはいつも通り。
 それら含めてブラジルのAndré Mehmariと似た音使いも目立ちますが、そちらよりも線が細くて、かつ柔らかい音、穏やかな表情。
 さらに、よりジャズっぽい音。
 とても美しいピアノミュージックですが、Keith Jarrett の“The Köln Concert” (Jan.1975)などのような激甘なメロディや、激情や狂気のようなものはなく、あくまで淡い色合い。
 刺激的ではありませんが、それが今の時代には合っているようにも思います。
 数曲のハミング~呟くようなボーカルも寂寥感を醸し出していい感じ。
 ハーモニカ、フルートが加わってもその穏やかで優雅な表情は変わりません。
 終盤、ようやく強い音、速い音が前面に出る演奏。
 さらにTatiana Parraが合流するとテンションとスピードが上がりますが、やはり優雅、優美です。
 これは、いや、これもここまでのリーダー作同様に名作です。




posted by H.A.

【Disc Review】 “Rosa” (2006) Rosa Passos

”Rosa" (2006) Rosa Passos
Rosa Passos(Vocal, Guitar)  

Rosa
Rosa Passos
Telarc
2006-04-25
ホーザ パッソス

 目下、私の知る限りのブラジル系のベストボーカリスト。
 かわいい系の声なのだけど実に深い。
 ボサノバ伝統のウイスパー系で、スカートをはいたJoao Gilbertoと呼ばれているらしいのだけど、わずかに強い押し。
 語尾に微妙なビブラートが掛かり、高い音では微妙に裏返り気味、鼻に抜け気味。
 湿っているような乾いているような、絶妙なバランスの発声。
 1曲目、そんな微妙な声で、いきなりアカペラが始まります。
 これにはドッキリ。
 さらに2曲目、Jobimの隠れた佳曲、ガットギター一本のバッキングで哀愁曲を囁きます。
 泣けてくるようなというような大げさな悲しみではなく、切ないもの悲しさが漂うメロディ。
 これが彼女の微妙な声と絶妙なバランス。
 そんな微妙で、絶妙、深い演奏が最後まで続きます。
 背景に何もない、無音の瞬間をたくさん感じられる、静謐で奥の深い音空間。
 有名曲やヒット曲が入っているわけではありませんが、どの曲も佳曲で彼女のために書かれたのでは、と思えるほどベストマッチな曲と声とギター。
 確かにJoao Gilberto的なのですが、女性だけにもっと優しく、同じぐらいに深い。
 最後まで同じ質感だけど、飽きてくる感じはしないのも不思議。
 じっくり聞いてしまうと何をしていても手が止まってしまいそう。
 気持ちが浄化されてくるような感覚も決して大げさではない。
 雰囲気は夕暮れ時。
 郷愁。

(※この投稿は2014/02/20から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Entre Amigos” (2003) Rosa Passos And Ron Carter

“Entre Amigos” (2003) Rosa Passos And Ron Carter
Rosa Passos (vocals, guitar) Ron Carter (bass)
Lula (guitar) Paulo Braga (percussion) Billy Drewes (tenor saxophone and clarinet) 

ホーザ パッソス

 Rosa Passos、Ron Carterとの共演アルバム。
 演奏し尽くされたJobimをはじめとするブラジルスタンダードが新鮮に聞こえる。
 全く奇をてらわないオーソドックスなアレンジなのに。
 心なしか軽快でノリのいい、でも何故かしっとりとした上質なバンドサウンド。
 何故だろう?
 Ron Cater?少し湿り気のあるサックス?強く弾かないゆったりとしたギター?それとも録音~ミキシング?
 少し後ろに下がった感じのバンドの前に立つ明瞭なRosaの生々しい声。
 囁くように、でもわずかに押しのある微妙な歌。
 生々しさでは弾き語り、雑味一切なしの”Rosa"(2006)に勝るとも劣らず。
 ギターあるいはベースとのDuoの場面では度々訪れる無音の瞬間。
 静かな凄み。
 でも、とても優しい音楽。
 これも宝物。

(※この投稿は2016/02/24から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Morada do Samba” (1999) Rosa Passos

“Morada do Samba” (1999) Rosa Passos
Rosa Passos (Vocal, Guitar)
Luis Galvão (Guitar) Fabio Torres (Piano) Gilson Peranzzetta (Accordion, Piano) Nema Antunes, Jorge Helder (Bass) Erivelton Silva (Drums) Don Chacal, Jaguara Congas, Marcos Vicente (Percussion) Idriss Boudrioua (Alto Sax) Roberto Marques (Trombone) Eduardo Neves (Tenor Sax) Ricardo Pontes (Flute)

Morada Do Samba
Rosa Passos
Bmg Int'l
ホーザ パッソス


 現代最高のボサノバボーカリストと言い切りましょう。
 Rosa Passosの名アルバム。
 コンボ編成での現代的なジャジーボサノバ。
 “Letra & Música - Ary Barroso” (1997)、“Canta Antonio Carlos Jobim” (1998)と名曲集が続いて、本作はオリジナル曲中心。
 “Pano Pra Manga” (1996)あたりまでは素晴らしいオリジナル曲がてんこ盛り。
 以降はあまり書かなくなっているようだし、自分でギターを弾く場面も減ってきます。
 この人の可憐なようで沈んだ微妙な声が一番映えるのは、この人のオリジナル曲のように思うし、彼女自身が弾く少し遅れ気味のギターだと思うのだけども、少々残念。
 さておき本作は2/3がオリジナル曲。
 ギターも同じぐらい自演。
 予想に違わない素晴らしいメロディと歌、演奏。
 しっとりとした淡い郷愁感が漂うメロディと優雅なコードの動き。
 泥臭さを感じさせない、現代的で洗練された流れ。
 裏表の声のコントロールを含めて、知り尽くした自身の声の表現の幅が最大限に出せそうな展開。
 Jobimの曲ほどキャッチーではないにせよ、淡い色合い、穏やかに語りかけるような、いかにもRosa Passosなメロディ。
 淡々としながらも、何かを慈しむような声、歌い方にピッタリくるのでしょうね。
 やはりこの人はオリジナル曲が一番。
 他には冒頭を飾るDjavanの名曲“Beiral”、Dorival Caymmi、Chico Buarqueなど。
 もちろんオリジナル曲と一体となった質感。
 少人数でのしっとりとした音から、零れ落ちるようなピアノ、ジャズの香りもふんだんにちりばめたホーン、エレキギターがフィーチャーされる音まで、素晴らしい演奏揃い。
 派手さや過剰さが一切ない、かつ不足もないナチュラルで上品、さりげない音作り。
 ”Rosa"(2006)のような静謐な凄みとは少し違うけども、コンボでの演奏の分、こちらの方が聞きやすいのかもしれません。
 これまた完璧なアルバム。
 これまた大名作です。





posted by H.A.

【Disc Review】“Fish Out of Water” (1989) Charles Lloyd

“Fish Out of Water” (1989) Charles Lloyd
Charles Lloyd (tenor saxophone, flute)
Bobo Stenson (piano) Palle Danielsson (double bass) Jon Christensen (drums)

Fish Out of Water
Charles Lloyd
Ecm Import
チャールス ロイド


 Charles Lloyd、ECMでの一作目。
 メンバーを見てKeith Jarrettのヨーロピアンカルテット、あるいは同じピアノトリオのJan Garbarekの最初のカルテット、はたまたあのKeith Jarrett入りの”Forest Flower”を再度・・・
 ・・・とか言った邪推は、始まって一分もしないうちに忘れてしまいます。
 史上最高、かどうかはわからないけども、最高のジャズバラード集。
 あのJohn Coltrane”Ballad”(1962)や“Crescent” (1964)でイメージされるムードではあるものの、それに並ぶような・・・と書くと適当ではないのかな?
 でも、そんな質感、そんな完成度のアルバム。
 柔らかな、決して強くは吹かないテナー、透明度が高い音、美しくリリカルなピアノ。
 漂うようなビート感、浮遊感。
 サラリとした、決してベタついたり、しつこかったりしない質感。
 全曲オリジナルの全てが名曲、名演奏。
 静謐でクールな印象だけども、穏やかでほんのり温かい。
 決して異次元の別世界ではなく、現実的なそんな世界へトリップさせてくれる音楽。
 ECMにしては平和すぎる、ジャズすぎるのかな?
 それでも文句なしの名アルバム。




posted by H.A.
Profile
記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ