“Exotica” (1993) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer)
Don Pullen (piano, organ) Jack Bruce (bass, voice) Robby Ameen (drums)
Leo Nocentelli (guitar) Alfredo Triff (violin)
Leo Nocentelli (guitar) Alfredo Triff (violin)
Guest :
Andy Gonzalez, Anthony Carillo, David Sanchez, JT Lewis, Mario Riviera, Milton Cardona, Lucy Penabaz, Ralph Peterson Jr., Richie Flores
キップ・ハンラハンAndy Gonzalez, Anthony Carillo, David Sanchez, JT Lewis, Mario Riviera, Milton Cardona, Lucy Penabaz, Ralph Peterson Jr., Richie Flores
Kip Hanrahanのファンクアルバム。
本作のテーマがファンク、あるいはアップビートでシンプルにいこう、といった計画だったかどうかはわかりませんが、最初から最後まで、凄まじいグルーヴ、どカッコいいファンク、あるいは強烈で危ないダンスミュージック。
前作“Tenderness” (1988-1990)の激しくカッコいい場面を抜き出して、ほんの少しだけマイルドにした感じでアルバム一枚作りました、ってな最高のバランス。
冒頭からカッコいいビート。
この曲ではパーカッションの参加は無く、オルガン、ベース、ドラム+ピアノのシンプルな編成での演奏ですが、とんでもないグルーヴ。
ドスの効いたヘビーなエレキベースがブンブンうなりながら強烈な推進力。
クレジットに詳細が無いのですが、このベースはJack Bruceなのでしょうか?
縁のあるつわものたち、Bill Laswell, Jamaaladeen Tacuma, Steve Swallowも真っ青の凄まじいベースライン。
さらに途中から加わるDon Pullenのとんでもないピアノ。
こりゃスゲーや。
オルガン含めて、最初から最後まで、これでもかこれでもかと弾き倒しまくり。
生涯最高の名演・・・かどうかはさておき、前作“Tenderness” (1988-1990)と同様、情け容赦なし、ピアノが破壊されそうな凄まじい演奏。
すっかりレギュラーに定着したRobby Ameenもドラムも、いいタイミングでスネアドラムが入り続けるKip Hanrahanのハードなサウンドに欠かせないカッコいいビート。
基本的にはピアノトリオ+オルガン+パーカッションのシンプルな編成が中心なのだけども、そうとはとても思えないド迫力。
さらに、いつものクラーヴェ、怒涛のパーカッションが鳴りはじめ、ホーンやバイオリンが乗ってくると、これはもう桃源郷・・・
鳴り続けるパーカッションの連打、強烈な推進力とグルーヴ、シンプルなリフの繰り返しで引き起こされる陶酔感。
クラクラしてくるような音の渦の裏で表で叩き回され、引っ搔き回されるピアノ・・・
とても激しい音、強烈なグルーヴを背景にした囁くような激渋ボイスが何ともクール。
もちろんメロディはいつものやるせない哀愁が漂うライン。
いつものパターンではあるのですが、背景の激しさ、グルーヴが尋常ではないだけに、激渋ボイスがいつにも増してクールに妖しく響きます。
激しくとも、どことなくオシャレ。
やはりKip Hanrahanワールドです。
この人の作品で、ここまでファンク、あるいはシンプルなアルバムはないと思いますが、これを最高傑作とするのは反則なのでしょうかね?
Kip Hanrahanのファンクの大名作、いや、古今東西のジャズファンクの中での大名作。
posted by H.A.