吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

#5.激烈!

【Disc Review】“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davis

“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davis
Miles Davis (electric trumpet with wah-wah, organ)
Pete Cosey (electric guitar) Reggie Lucas (electric guitar) Dominique Gaumont (electric guitar)
Michael Henderson (electric bass) Al Foster (drums) James Mtume (percussion)
Azar Lawrence (tenor sax) Dave Liebman (soprano, tenor sax)

Dark Magus
Miles Davis
Music on CD
マイルス デイビス


 Miles Davis、“In Concert”(Sep.1972) 以来のアルバム、ライブ録音。 
 間に“Live in Stockholm 1973”<DVD> (Oct.27,1973)、“Stadthalle, Vienna 1973” <DVD> (Nov.3,1973)といった映像、他にもブートレッグなどはたくさんありそうでますが、公式音源としては一年半ぶり。
 但し、お蔵入りになり、発表されたのは1977年日本限定とのこと。 
 “On The Corner”(Jun.1972)的な複雑なビートではなく、“In Concert”(Sep.1972)で中心だったシンプルなファンク~ロック、キーボードを排して、ディストーションを掛け、ワウを多用するギター中心の音作りへ移行。
 パーカッションは効いていますが、ビート感はほどほどシンプル。
 が、過去にはなかった感じの強烈な疾走感。
 Key PersonはドラムのAl Foster。
 なんでも叩けて、複雑なビートを出せたジャズドラマーJack DeJohnetteに対して、細かいことはさておいて、ハイハットをバシャバシャバシャバシャ、ひたすら鳴らし続けながら、とにかく突っ走るAl Foster。
 Milesがどこかで言っていた「白人のようにぶっ叩く」ことを、あまりやらなかったJack DeJohnetteに対して、ぶっ叩き突っ走るAl Foster。
 好みはさておき、大転換。
 前作“In Concert”(Sep.1972)をどういったイメージで作ろうとしていたのかはわかりませんが、そのアルバムから、本作の音の予見は明確に出ていました。
 動きまくるベース、ワウを掛けたギターのカッティングと一体になって突っ走るバンド。 
 さらにサックスもリードギターも突っ走り型。
 一丸となって突っ走るバンド、疾走するファンクビートでのハードなインプロビゼーションミュージックが出来上がりました。

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 冒頭から凄まじい疾走感。
 疾走するビートを背景にして、ワウを掛けたトランペット、サックス、グショグショロックギターが突っ走りまくり。
 強烈です。
 その流れから時折突入する、激烈、混沌の世界もカッコいい。
 Bitches Brewバンドの混沌は何かねっとりした狂気混じりの印象でしたが、こちらの混沌はどことなくクール。
 これも、混沌になってもフリーにはならず、定型ビートを出しまくるドラム、ベースによる印象が大きいのでしょう。
 概ね10数分でビートのパターンを変え、方向を変えながら進むバンド。
 軽快だったり、ヘビーだったり、沈痛なバラード風になったり、激烈疾走になったり・・・
 楽曲の型はあるのでしょうが、その場の流れでビート、コードをフレキシブルに変更していくスタイルの即興演奏なのでしょう。
 長尺な演奏が続きます。
 あたかも巨大魚の群れが、時にはスピードを上げ、時には留まるように、うねりながら悠々と泳いでいるようなイメージ。
 ワウを掛けてサイケに突っ走るMiilesに、激情を発しながら突っ走るDave Liebman。
 テナーサックスの響きにちょっとだけノスタルジックなジャズのムードを感じる場面もありますが、ハイテンションなソプラノサックス、ズルズルグチョグチョのJimi Hendrixをさらに激しくしたようなギターが寛ぐことを許してくれません。
 ヘビーなミディアムテンポのファンク、ラテン基調の高速でフリーな演奏、エスニックで妖しい演奏などもはさみながら、終盤は再び一丸となって疾走するバンド。
 ハイテンションな音の塊が、次から次へと、これでもかこれでもかと押し寄せてきます。
 終盤は怒涛のポリリズム曲"Calypso Frelimo"、"Ife"ときて、締めはJimi Hendrix風のヘビーなリフから、徐々に熱を冷ますようなパーカッションのソロ。
 お疲れ様でした。

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 本作、完成度の高い素晴らしい演奏だと思うのですが、しばらくお蔵に入ってMiles休養期の1977年のリリース。
 “Big Fun”(Nov.1969-Jun.1972)、“Get Up with It”(May.1970-Oct.1974)、“Agharta”よりも後。
 Miles自身、あるいはスタッフは何か気に入らないところがあったのでしょう。
 大きな瑕疵はなさそうだし、先進的に思えるし、モダンジャズファンからはそっぽを向かれるでしょうが、ロックファンには受けそうです。
 おりしも“Blow by Blow” (1975) Jeff Beckなど、ロックギターフュージョンが人気な時代。
 それでも本作をリリースせず、また、逆にスタジオ録音には、本作的な激烈疾走ファンクはありません。
 素直に考えると、本作は1974年前後のMilesが世に問いたい音では無かったのでしょう。
 ではMilesは何をやりたかったのか?
 本作と“Get Up with It”に収録された半年前の録音の大名演"Calypso Frelimo"<Sep. 1973>を比べて、勝手ながら妙に納得。
 本作のバージョン、ポリリズミック感はさておき、ファンキーさがあまり出ていなくて、 ヘビーさ、激しさ、疾走感が前面に出ているように感じます。
 おまけにフェイドアウト。
 Al Fosterのドラム、ハイハットが均等に鳴りまくり、叩きまくっているもんね。
 諸々を鑑みると、やりたかったのはヘビーな激烈疾走ファンクではなく、ファンキーでポリリズミックな音。
 スタジオ録音では満足するものが出来たが、ライブになるとちょっと・・・の“In Concert”(Sep.1972)と同じ状態だった?と推察します。
 ブートレッグを聞けばまた違う感想になるかもしれませんが。
 ・・・とかなんとか、そんな妄想はさておいて、このあたりのアルバム、どれもぶっ飛んでいます。
 その中でも一番激烈なのは、本作“Dark Magus” (Mar.1974)だと思います。

 


posted by H.A.

【Disc Review】“Miles Davis At Fillmore(公式版)” (Jun.1970) Miles Davis

“Miles Davis At Fillmore(公式版)” (Jun.1970) Miles Davis
Miles Davis (trumpet) 
Chick Corea (electric piano) Keith Jarrett (organ, tambourine) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion, flute, vocal)
Steve Grossman (tenor sax, soprano sax)
 
マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア
マイルス・デイビス
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
2005-10-19


 Miles Davis、Bitches Brew期のライブ、唯一の公式アルバム。
 未発表音源系の公式盤が出るまではこれが一番好きなMiles。
 諸々聞いてみて、今は“Live At The Fillmore East - It's About That Time”(Mar.1970)が一番かもしれません。
 ステージの全貌が見えるし、Wayne Shorterがいるから。
 こちらの狂気のキーボード二名の絡み合いもカッコいいのですが、いろんな曲の断片が飛び交う編集で、焦点が見えづらいこともあり・・・
 どこにいるのかわからなくなったり、同じところをグルグル回っているような不思議感があったのは、制作方法が見えてしまえば当たり前のことで、元の個々の楽曲ではなく、・・・・day Milesという「新しい」 曲を聞けということなのでしょうが・・・ 
 その迷宮感がいいのか・・・

 ともあれ、冒頭から最後まで凄まじいトランペットと狂気のキーボード二名の絡み合い。
 バンド全体でも“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)本体と比べても激しいし、しばしば訪れる混沌の時間、その混沌と調性のバランスがカッコいい。
 これをジャズと思って聞いていなかったと思うのだけども、後のLive Evil” (Dec.16-19,1970)などと比べると、まだジャズの香りが残っているように思います。
 Dave Holland の存在が大きかったのかあと思ったり、この後からJack DeJohnetteはロックっぽく叩きだしたのかなあ、と思ったり。
 後に“Black Beauty” (Apl.1970) を聞いて、あれれ?と思い、
 そのずーっと後に”The Isle of Wight”の映像を見て、何となく全貌が見えた気になり、
 さらにずーっと後に“1969Miles” (Jul.25,1969)を聞いてぶっ飛び、
 “Live At The Fillmore East - It's About That Time” (Mar.1970)で何度目かの驚愕、
 近年の"Miles At Fillmore(完全版)”(Jun.1970)を聞いてやっと整理がついたかなあ・・・
・・・といった状況。

 ブートレッグや映像作品を追いかけておけば、あるいは関連書籍でも読んでおけば早々に整理はついたのかもしれませんが、断片的、断続的にではあるものの、いったい足掛け何年この作品と付き合っているのだろう・・・?
 諸々の演奏が収められていますが、4日間、各一時間の演奏で、楽曲としては以下の8曲しかなく、それをどう紡いで作品にするか、といったイメージで制作されたという、当たり前のこと気付いたのは、”Miles At Fillmore(完全版)”を聞いた後。
 1."Directions"
 2."The Mask" 
 3."It's About That Time"
 4."I Fall in Love Too Easily"
 5."Sanctuary"
 6."Bitches Brew"
 7."Willie Nelson"
 8."Spanish Key

 “Directions”のカッコいいテーマのブレークを入れていないのは、印税云々はさておいても、4日ともキッチリとキメ切れていないからか・・・
 “Bitches Brew”で一番キャッチーな”Spanish Key”が入っていないのは、実は演奏したのは4日で一回だけだったから?それがカッコいいので入れればよかったのに・・・?
 また、アンコールは全日あったんじゃないの?・・・
 上記の流れでベストテイク並べてちょっと直せば、ほぼLP二枚分のカッコいい作品になりそうなのに?・・・ 
 などなど、何度も聞きましたが、編集の意図のようなものが見えたり見えなかったり、その他諸々、勝手に思うところ多数。
 いずれにしても単独の作品として凄まじく素晴らしいものであるとともに、周辺の音源含めて諸々の想像力、興味関心をかきたてる音楽であることには間違いありません。
 一作で何度も何通りにも楽しめる稀有な作品です。

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(楽曲への分解はwikiより)

Wednesday Miles (June 17, 1970)
 "Directions" (2:29)
 "Bitches Brew" (0:53)
 "The Mask" (1:35)
 "It's About That Time" (8:12)
 "Bitches Brew/The Theme" (10:55)

 ステージはこの期のオープニングの定番"Directions"からスタート。
 “1969Miles”(Jul.25,1969)などのこの曲の凄まじい演奏を知ってしまった立場としては、途中で編集されているのがなんとも残念ですが、ハイテンションな演奏が続きます。
 張り詰めたトランペットのソロとキーボードとのバトル。
 キーボードが主導する短い混沌のインタールドを経て、アップテンポなジャズナンバー、この期のメインチューンのひとつ"It's About That Time"へ続きます。
 静かに始まり、徐々にテンションを上げるバンド。
 終始ハイテンションに吹きまくるトランペットと狂気混じりエレピのカウンターとAirtoの雄叫び。
 続くサックスも凄まじいソロ。
 それに合わせてエレピ陣のテンションはさらに上がり、やがて二人の壮絶なバトル~激烈な混沌へ・・・
 キーボード二台、このメンバーが揃っているこの時期だけの凄まじい演奏が続きます。
 トランペットが戻って落ち着くのもつかの間、新たな混沌"Bitches Brew"が始まります。
 極めてハイテンションな演奏ですが、まだまだ序の口、Thursdayへと続きます。


Thursday Miles (June 18, 1970)
 "Directions" (5:35)
 "The Mask" (9:50)
 "It's About That Time" (11:22)

 Thursdayも"Directions"から立ち上がります。
 尺もしっかりとられて、端正なトランペット、二台のキーボードの激烈なバトルが展開されます。
 が、例のカッコいいテーマのブレークはカットされていて出てきません。
 それに続くのは狂気のオルガンが繰り広げる混沌。
 さらにはダルなムードの妖しいジャズナンバー~狂気のキーボード二台が繰り広げるバトル。
 この折々にはさまれる混沌がこのバンドのライブでの大きな特徴でしょう。
 完全にどこかに行ってしまっているようなキーボード二台とそれに呼応するベースとドラム。
 凄まじい演奏です。
 そしてそれを制するように動く御大Miles。
 激情を発する局面も多々ありますが、端正で悠々としたトランペット。
 混沌の中からそれに導かれるように静かに迫ってくるように始まるアップテンポなビート。
 トランペットのこれまた悠々とした音。
 次第に音量を上げるバンドとそれに続く激情のサックス、切れてしまったキーボード陣。
 凄まじい演奏が続きます。


Friday Miles (June 19, 1970)
 "It's About That Time" (9:01)
 "I Fall in Love Too Easily" (2:00)
 "Sanctuary" (3:44)
 "Bitches Brew/The Theme" (13:09)

 Fridayはヒタヒタと迫ってくるようなJack DeJohnetteしか叩けない独特のビートからスタート。
 クールでハードボイルドなトランペットソロから徐々に音量とテンションを上げながら突っ走るアップテンポなナンバー。
 Steve Grossmanも“Black Beauty”(Apl.10,1970)から何段階もレベルアップしたような凄まじいソロ。
 その興奮の後、静かに立ち上がるバラードのカッコよさ。
 が、その安らぎもつかの間に、激情に遷移するバンド。
 そして激情の中から始まるヘビーな混沌、"Bitches Brew "。
 凄まじい演奏です。
 この面、Friday Milesが諸々のバランスで最高でしょう。


Saturday Miles (June 20, 1970)
 "It's About That Time" (3:43)
 "I Fall in Love Too Easily" (0:54)
 "Sanctuary" (2:49)
 "Bitches Brew" (6:57)
 "Willie Nelson/The Theme" (7:57)

 最後の面Saturdayは短い混沌から始まります。
 その混沌の中から立ち上がる静謐なバラード~激情。
 そしてヘビーな"Bitches Brew"の激情と混沌。
 ここまでの流れはFriday Milesと同じですが、少しムードは異なり、スッキリ系かもしれません。
 最後にジャズへの完全な決別を告げるようなファンクナンバー。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969)なんてもう古い、これからは“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)のようなファンク・・・
 なんてMilesからのメッセージなのかもしれません。


※これはブートレッグからでしょう・・・?


posted by H.A.

【Disc Review】“Our Secret World” (Sep.2009) Kurt Rosenwinkel

“Our Secret World” (2009) Kurt Rosenwinkel
Kurt Rosenwinkel (Guitar)
Abe Rabade (Piano) Carlos Azevedo (Piano) Demian Cabaud (Bass) Marcos Cavaleiro (Drums) and horns

Our Secret World
Kurt Rosenwinkel
Imports
2015-01-06
カート ローゼンウィンケル




 前掲のJonathan Kreisbergで思い出して久々に。
 いまや大御所Kurt Rosenwinkelのビッグバンドアルバム。
 ゴージャス&ドラマチック。
 気合入ってます系のコンテンポラリージャズ。
 前掲のJonathan Kreisbergの作品も近いといえばそうなのですが、これと比べると抑制気味、こちらは情け容赦一切なし。
 聞いていて汗が吹き出してくるような、サウナの中で全力疾走しているような?、そんな音。
 リズム隊、ホーン共に強烈ですが、ピアノ、ホーン陣などメンバーのソロはほとんどなく、あくまでアンサンブル。
 その分厚い音、強烈なグルーブの上でギターを文字通り弾きまくり、全編長尺なインプロビゼーション。
その全てがドラマチック。
 次から次へと新しいフレーズ、展開がこれでもかこれでもかと、あるいは汲めども尽きぬ泉のように続く、そんな演奏ばかり。
 全編、緊張感、昂揚感の塊。
 こりゃ凄まじい。
 ここまで続くとマンネリになってしまいそうな感もあるのですが、決してそんなことはありません。
 ピークに向けての展開が明確というか、極めて自然というか。
 構成は複雑なのだけども、リズムと個々のフレーズが明快なのと、徐々に自然に盛り上がりながら音量が上がり、突っ走っていくといった起承転結が見える流れだからかなあ。
 手に汗握るような展開が延々と続き、終わるとホッとするようなそんな展開。
 全てのインプロビゼーションがそうなのだから凄い音楽です。
 ギターの音、このアルバムではディストーションを掛けたファットな音が中心。
 ディストーションはあまり好きではないのですが、この人はなぜかOK。
 触れるとはじけてしまいそうな張り詰めた音。
 一音一音がキレイ。
 不思議系のフレージングとピッタリなのでしょう。
 この人のギターはロック的なのかジャズ的なのか?
 うーん?よくわからん。
 いずれにしても、若手ジャズ系の人の中でもカッコよさ、緊張感はピカイチ、ロック好きとして聞いてもこれだけカッコいいのは少ないのでは。
 曲は不思議系、複雑系。
 愛想は無いし、リラックスできる感じも無いのですが、逆に男臭い緊張感、切迫感がカッコいい。
 ギター、楽曲等々極めて今風ではありますが、アルバム全体ではあくまでジャズの雰囲気。
 強烈なリズムとホーン。
 複雑な構成の中、思い出したように出てくるシンプルな4ビートが気持ちいい。
 コンボでのライブ盤”The Remedy”(2006)も凄まじいアルバムでしたが、勝るとも劣らず。
 エキサイティング系、昂揚感系ジャズ、体育会系ジャズ、筆頭の一つ。

(※本投稿は、2015/9/3投稿分から転載しました。)


posted by H.A.

【Disc Review】“The Remedy: Live at the Village Vanguard“ (2006) Kurt Rosenwinkel

“The Remedy: Live at the Village Vanguard" (2006) Kurt Rosenwinkel 
Kurt Rosenwinkel (Guitar)
Mark Turner (Tenor Saxophone) Aaron Goldberg (Piano) Joe Martin (Bass) Eric Harland (Drums)

レメディ~ライブ・アット・ヴィレッジ・バンガード
カート・ローゼンウィンケル
SONG X JAZZ Inc,.
2013-02-27


 2014年現在、現代のトップジャズギタリストなのでしょう、Kurt Rosenwinkelの集大成ともいえるライブ盤。
 とにかく凄まじい。
 音圧、グルーブ感、スピード感、その他諸々。
 各人のインプロビゼーションも凄いが、バンドとしてのノリが凄まじい。
 複雑な構成の曲、激しいビートに乗せて、ディストーションを掛けたギターが唸りまくり。
 さらにMark Turnerのサックスもいつものクールさだけではなく、バンドの音に引っ張られるように激しいインプロビゼーション、ピアノもガンガンゴンゴン。
 特に凄まじいのはEric Harlandのドラム。
 全般煽りまくり、ここまでバコバコ叩く人だったとは。
 疾走しまくり、超音速の戦闘機か何かで何処か遠い所に連れて行かれているような感覚。
 音圧も凄いのですが、ロックっぽいかと言えばそうではなく、バンドは明らかにジャズのノリ。
 ギターのフレーズも変態チックなのだけどもジャズっぽい。
 必ずしも愛想があるとは言えない楽曲や、4ビートとは明らかに違う質感は、モダンジャズファンからは敬遠されるのかもしれませんが、新しいタイプのジャズの完成形の一つなのだと思います。
 Pat MethenyのUnity Bandってこれに影響されていたりして、と思うのは私だけ?
 ヘビー級の現代ジャズ。

(※本投稿は、2014/07/25投稿分から転載しました。)

※メンバーは違いますが。

posted by H.A.

【Disc Review】“Free for All” (Feb.1964) Art Blakey & The Jazz Messengers

“Free for All” (Feb.1964) Art Blakey & The Jazz Messengers
Art Blakey (drums) Freddie Hubbard (trumpet) Curtis Fuller (trombone) Wayne Shorter (tenor saxophone) Cedar Walton (piano) Reggie Workman (bass)

Free for All
Art Blakey & Jazz Messengers
Blue Note Records
アート ブレイキー


 Art Blakey & The Jazz Messengers、“Buhaina's Delight” (Nov.Dec.1961)以来、別のレーベルの作品が続いて、久々のBlue Note。
 遂に来るところまで来たか・・・とも思える、手に汗握る、血沸き肉踊る、熱血体育会系ジャズ。
 その極め付け。
 後のエレクトリックマイルスや、この時期のJohn Coltraneとは全く違うタイプだけども、同じく凄まじいエネルギー放出型ジャズ。
 この前後のJazz Messengersの作品と比べても、異質なまでの凄まじい演奏。
 この時期に"Three Blind Mice" (1961), "Ugetsu" (Jun.1963)といったライブ録音もありますが、それらよりももっと激しい。
 このアルバムが突出してぶっ飛んでいます。
 ここまでのジャズ作品でここまで激しいのってあるのだろうか?
 “A Love Supreme”(Dec.1964)John Coltraneが少し後、”A Night At The Village Vanguard” (1957) Sonny Rollinsはかなり前だけども、ちょっと違うか?
 上記二作に参加しているElvin Jonesのように叩きまくる御大Art Blakey。
 冒頭曲からドラムソロ状態。
 叩く叩く。
 いつものハイハットのンチャンチャもよく聞こえないほどの凄まじいドラム。
 テーマがあって、ホーンのアンサンブルもあって、各人のソロの後半に被せていくMessengersお得意のスタイルなのだけども、それが浮ついて聞こえてしまうほど、全員がブチ切れた凄まじい演奏。
 Cedar WaltonもMcCoy Tynerを彷彿とさせるような激しいコンピングで煽りまくり。
 Wayne Shorterは少し先の”1969Miles”(1969)Miles Davisを想わせるような凄まじさ。 
 このアルバムにはあの前後のMilesのライブでのブチ切れたWayne Shorterがいます。
 終盤のドラムソロが一番静かで、やっと落ち着く・・・なんて大音量、大興奮。
 ここまで激しいと誰の曲が云々とか、アレンジがどうとかはどうでもよくなってしまいます。
 二曲目、少しテンポが落ちても熱気は残ったまま。
 B面に移ってまた冒頭曲のような凄まじい演奏。
 終始叩きまくるドラムとブチ切れた各人のソロ。
 クールダウンを促し、定常に引き戻そうとするようにも聞こえるアンサンブル。
 そんなの無視して徹底的に叩きまくるドラム。
 穏やかなのは最後の一曲のみ。
 これは凄まじいアルバム。
 ”Moanin” (1958)も"A Night in Tunisia” (Aug.1960)もいいですが、これがArt Blakeyの最高傑作、だと思うのですが、少数派なのかな?




posted by H.A.

【Disc Review】“The Survivor's Suite” (1976) Keith Jarrett

“The Survivor's Suite” (1976) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano etc.)
Dewey Redman (saxophone) Charlie Haden (bass) Paul Motian (drums)

Survivor's Suite
Keith Jarrett
Ecm Records
2000-05-09
キース ジャレット




 Keith Jarrettアメリカンカルテット、その終盤、バンドとしてのECMレコード初作。 
 神懸った"Sun Bear Concerts"(1976)と同年、これまた凄まじいアルバム。
 平和で美しいそちらに対して、悲壮感と緊張感の塊。
 曲、編曲、インプロビゼーション等々、同じく沈痛系の”Death and Flower” (Oct.1974)を凌ぐような凄まじい演奏、聞く側にも極度の緊張感を強いるような強烈な音楽。
 とても悲劇的な小説を読んだり、映画を観たりした気分。
 アナログではA面B面、各一曲の長尺な演奏、いずれの曲もフリー混じりのインプロビゼーションからスタートする気難しい構成。
 が、所々に現れるテーマやインプロビゼーションはメロディアス、構成はとてもドラマチック。
 徐々に遷り変わっていく景色。
 そして中盤~後半に凄まじいまでの展開、インプロビゼーションが収められています。
 そこまで我慢できれば桃源郷。
 ドカーンと盛り上がって陶酔の彼方。
 とてもダークなので、怖いのですが・・・
 ピアノはキレまくりの時期、タメと疾走、耽美、官能、激情、狂気の交錯。
 Dewey Redmanも好調、ハードボイルドネスをまとったクールさと、これまた狂気が交錯する音。
 とても美しく、とても厳しい音楽。
 さて、Surviveは戦場からなのか?それとも社会からなのか?
 いずれにしても凄まじいまでの激烈さ、その後の寂寥感は、タイトルにピッタリの音。

(※本投稿は2015/08/19から移動しました。)


posted by H.A.

【Disc Review】 “Live At The Fillmore East (March 7, 1970) - It's About That Time” (Mar.1970) Miles Davis

“Live At The Fillmore East (March 7, 1970) - It's About That Time” (Mar.1970) Miles Davis
Miles Davis (Trumpet)
Dave Holland (Bass) Jack DeJohnette (Drums) Chick Corea (Electric Piano) Airto Moreira (Percussion) Wayne Shorter (Soprano Saxophone, Tenor Saxophone)

マイルス デイビス

 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969)録音の約半年後、”Miles At Fillmore” (Jun.1970)の3ヶ月前。
 ツアーの端緒、Wayne Shorter入りの最後のMilesバンドだったのでしょう。
 演奏については言わずもがな、鬼気迫るような凄まじさ。
 音質もまずまず。ベース、エレピ、トランペット、サックス、すべてが鮮明、バランスも良好。
 正規アルバム“Miles Davis At Fillmore” (Jun.1970)よりもWayne Shorterがいる分、また起承転結が見える分、こっちの方がいいかな、が私見。
 ”Miles At Fillmore(完全版)”を聞き、周辺の音源をあらためて聞くと、さて?
 編集された正規版か、無編集か、Keith Jarrett入りか、Wayne Shorter入りか・・・
 うーん・・・。
 何はともあれ、毎度毎度の”Directions”のイントロ部分のワクワク感、テーマ後のMilesの入り方のカッコいいこと。 この2セットは緩みなし。”1969Miles”と同レベル。
 この瞬間だけでもどんなに価値があることか。まさにキターーーーってやつね。
 さらにWayne Shorterの凄まじいこと。
 この辺りが彼の生涯最高の演奏なのでしょう。全編完全にブチ切れ状態。
 Weather Reportもいいけど、こっちの方が合ってるように思うんだけどねえ・・・ ま、こんな調子で吹き続けると命縮めてるかもね・・・Milesも然り。
 Dave Holland、Jack DeJohnette、Chick Coreaのリズム隊もずーーーっとブチ切れ状態。
 なんとももはや呆れるばかり・・・
 おっとAirto Moreiraもいい感じで妖しげなムードを助長してますね。
 さて、これを機会に諸々聞き直してみて、私的には”1969Miles”から宗祖替え。
 Wayne Shorterの最高の演奏が聞けるとともに、音質も良好の本作“Live At The Fillmore East - It's About That Time”を一押し。あくまで本日は。
 これがもし、この音質で1970年代に出ていたら神アルバムだった・・・のでしょうねえ。
 いずれにしても不世出のすごいバンド。




 さて、ライブ録音中心に周辺の音源を並べてみました。(誤り御免。ブートレッグ、映像作品は把握していません。)
 並べてみると、やはりまだ聞いていない“The Cellar Door”、”Bitches Brew完全版云々”を聞かなきゃいかんのでしょうね・・・

(Jul. 5,1969) ”Bitches Brew Live” /一部
(Jul.25,1969) ”1969Miles - Festiva De Juan Pins
(Aug.19-21,1969) “Bitches Brew
(Mar.1970) “Live At The Fillmore East (March 7, 1970) - It's About That Time
(Apl.10.1970) “Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West
(Apl.11.1970) ”Miles At Fillmore” (完全版)/一部
(Feb.Jun.1970) “Live Evil” /一部
(Jun.1970) “Miles Davis At Fillmore”、”Miles At Fillmore” (完全版)
(Aug.29.1970) ”Bitches Brew Live” /一部”
(Dec.16-19.1970) “The Cellar Door Sessions1970” “Live Evil” /一部
(Jun.1972) “On The Corner
(Sep.1972) “In Concert
(Mar.1974) “Dark Magus
(Feb.1.1975) “Agharta”、“Pangaea

posted by H.A.

【Disc Review】“Bitches Brew Live” (1969,1970) Miles Davis

“Bitches Brew Live” (1969,1970) Miles Davis  
July 5, 1969, at the Newport Jazz Festival
 Miles Davis (trumpet)
 Chick Corea (electric piano) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette ( drums) 
August 29, 1970, at the Isle of Wight Festival 
 Miles Davis (trumpet)
 Gary Bartz (alto saxophone, soprano saxophone) Chick Corea (electric piano) Keith Jarrett (electronic organ) Dave Holland (electric bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion, cuica)

Bitches Brew Live
Miles Davis
Sony Legacy
2011-02-08
マイルス デイビス

 エネルギー放出型ジャズの極め付け。
 未発表録音を積極的に聞く嗜好はないけども、この頃のMilesは別。
 前半は、あの“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)録音の一か月前、あの"1969Miles"(Jul.25,1969)の2週間前、後半はその一年後the Isle of Wight Festivalでのライブ音源。
 まあなんとも鬼気迫る演奏。
 このJack DeJohnetteのドラムはいったい何だろう。こんなのは聞いたことがない。
 さらにChick Coreaのピアノの凄まじいこと。 
 激しい混沌、ではなくて、バンドを一定のビート、グルーヴが支配する中での爆発的な演奏。
 だから意味不明ではないし、大音量が心地いい。
 いったい何なのだろう、この人たちは・・・
 ・・・・・・Call It Anything!、か?!。




posted by H.A.

【Disc Review】“The John Coltrane Quartet Plays” (1965) John Coltrane

“The John Coltrane Quartet Plays” (1965) John Coltrane
John Coltrane (sax)
Mccoy Tyner (piano) Jimmy Garrison, Art Davis (bass) Elvin Jones (drums)

ジョン コルトレーン

 John Coltrane、1965年、妖しく激しいジャズ。
 こちらは前掲のAndrew Hill, Eric Dolphyを凌駕する強烈なエネルギー放出型ジャズ。
 世間の評価はどうかは知りませんが、Coltrane、私のお気に入りはこれ。
 あっちの世界(どこ?)に行きかけてて、ギリギリ踏み止まっているように思うから。
 前後の“Crescent”(1964)、”A Love Supreme”(1965)、“Transition”(1965)あたりの方が人気なのでしょうが、これも凄い。
 それらよりもあっちの世界に近そうだからかな? 
 さておき、凄まじいエネルギーの放出。
 サックスもさることながら、ドラムの凄まじいこと。
 同時期のフリー的ドラムでも、シンシンシン・・・と鳴るシンバル、乾いた音のスネアがアクセント、クールに感じるTony Williamsに対して、何がどうなっているのかわからない、怒った千手観音状態。アフロビートとかポリリズムとか、そんな言葉が生易しく感じる激しさ。
 そして必死の形相でビートをキープしようとするピアノの健気さ・・・・・・。
 でもコルトレーンが休むと少し普通のジャズのムード。Elvinもピアノに合わせたアクセント・・・帰ってくるとまた大爆発・・・
 それでもフリーにはならないギリギリのバランス、いや、アンバランス。
 過渡期ならではの微妙なアンバランス、緊張感が好みなのかもしれません。
 いずれにしても、凄まじい演奏。
 部屋の温度が数度上がりそう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Point of Departure” (1964) Andrew Hill

“Point of Departure” (1964) Andrew Hill 
Andrew Hill (Piano)
Kenny Dorham(Trumpet) Eric Dolphy (sax) Joe Henderson(sax) Richard Davis (bass) Tony Williams (drum)

アンドリュー ヒル

 寒いとアメリカのジャズを聞きたくなります。たぶん温度感が高いから。
 ECMとかだとほんとに室温が下がりそうだし・・・ 昨日の様な雪景色には似合うんだけどねえ・・・
 で、何故かAndrew Hill。
 この時代のフリー色の強いアルバムにものすごくカッコいいモノが多いことは確か。私が知る限りのそのうちの一枚。
 もろもろ凄いのですが、一番はEric Dolphy。
 一曲目”Refuge”のアルトサックスソロの凄まじさ。
 ピアノソロに続いて、いきなりエネルギー全開の爆発的ブチ切れソロ。
 基本的には起承転結が明確なソロが好みなのですが、ここまでいってしまうと何も申し上げることはありません。
 心地よいことこの上なし。
 アグレッシブになり過ぎると無秩序でうるさい演奏になりがちですが、ここではそれなりの秩序にならって、しかもコンパクト。
 二曲目以降も強者のリーダーAndrew Hillがかすんでしまうような大暴れ。
 Eric Dolphy、恐るべし。
 このあたりでブルージー、あるいは小粋なジャズが旬だった時代が終わったのかなあ、と思わせる凄まじい演奏。
 ここまで激しいエネルギーの放出を聞いていると、頭の中が空っぽになるというか、体の中のどんよりしたものが全部吹き飛んでしまうというか、そんな感じ。
 あまり長いと聞いている方もヘロヘロになりそうなのですが、コンパクトにまとめてくれるのでちょうどいい具合。 
 ということで、気分転換の気付け薬としてたまに使っています。
 結構効きます。




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