吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

#5.激烈!

【Disc Review】“Dark to Themselves” (1976) Cecil Taylor

“Dark to Themselves” (1976) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano)
Jimmy Lyons (alto saxophone) Raphe Malik (trumpet) David S. Ware (tenor saxophone) Marc Edwards (drums)

ダーク・トゥ・ゼムセルヴズ
セシル・テイラー
SOLID/ENJA
2014-07-16


 Cecil Taylor、1976年、ベースレスの三管クインテット、ユーゴスラビアでのライブ録音。
 一時間を超える全一曲、フリージャズ。
 “Unit Structures” (May.1966)、“Conquistador!” (Oct.1966)あたりと同様、テーマを合奏し、ソロのオーダーをキッチリと決めたうえでの激烈系。
 テーマは三管のアンサンブル、少しずつズレながら揺ぐダークなメロディ。
 ソロの第一走者はトランペット。
 続くこと十数分。
 ぶっ飛びつつも端正にも聞こえるインプロビゼーションの後ろで走り回り転げ廻るピアノとドラム。
 続くのはテナーサックス。
 クダを巻くような音使いと絶叫を交えたColtrane系の超激情系。
 再びテーマらしきアンサンブルでブレークすると、次はアルトサックス、これまた怒涛。
 そして締めはピアノのターン、真打ち登場。
 独奏から始まり、ドラムが加わると疾風怒濤、獅子奮迅、傍若無人な凄まじいまでのピアノ。
 不協和音とかスケールアウトとかメロディは?とか、もうそんなことはどうでもよくなってしまう激烈な連打、痛打。
 続くこと十数分、ようやくアンサンブルに戻って静かに幕。
 ピアノはずーっと、ずぅーっと一時間、休む間なしの全力疾走。
 それも一定のフォーム、規律を保ったままの激走、爆発。
 もはや神業。
 脳みその中をひっかき回されているような、口の中に手ぇー突っ込まれて奥歯ガタガタいわされているような、そんな快感・・・
 ・・・に感じられるようになれば、あるいは、この畏ろしいまでのエネルギー放射をガッツリ受け止めることができるようになれば、立派な大人になれるのでしょう。
 たぶん。
 ともあれ、あの頃のMilesさんColtraneさんもビックリ、上掲の二作を凌ぐ超弩級エネルギー放出型フリージャズ。
 これは凄い。




posted by H.A.


【Disc Review】“Conquistador!” (Oct.1966) Cecil Taylor

“Conquistador!” (Oct.1966) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano)
Henry Grimes, Alan Silva (double bass) Andrew Cyrille (drums)
Bill Dixon (trumpet) Jimmy Lyons (alto saxophone)

Conquistador!
Blue Note Records
2004-03-23


 Cecil Taylor、“Unit Structures” (May.1966)と同年の録音。
 メンバーの変動はありますが、類似の編成。
 これまた血沸き肉躍る系、怒涛のフリージャズ。
 LPレコード片面一曲ずつの堂々たる構成。
 紛うことなきフリージャズな音ですが、おそらくは計算尽くの編曲、構成の組曲風。
 冒頭から凄まじい動きのピアノ。
 激しくうねる波のようなピアノトリオの音の中を二管のアンサンブルがテーマを決めた後は、波間を漂う船のようなアルトサックス。
 少し凪いだ雰囲気の中でのトランぺットの妖しいインプロビゼーションの後は、再び二管のアンサンブル。
 そして激しいピアノのインプロビゼーション。
 下の方でトグロを巻いた後の凄まじいまでの疾走、跳躍、叩きまくられる鍵盤、激しく反応するドラム、ベース。
 その後も次々と景色は移ろい、締めのテーマが出てくるまでに聞いている方がヘロヘロ。
 もう一曲もゆったりと始まるものの、徐々にテンション、スピード、音量が上がり、気がつけばこれまた怒涛の中。
 ときおり緩やかになるものの、それは束の間。
 激しい波に打たれ洗われ続ける時間。
 凄まじいエネルギー放射。
 ハードです。
 が、ヘロヘロになりつつも、気持ちは覚醒してくるようにも感じます。
 それが気持ちよかったりして・・・
 激烈ながら、一定の作法に基づいた秩序が感じられるからかもしれませんし、キッチリとリーダー、フロントに反応していくバンドサウンドゆえなのかもしれません。
 中身もカッコいいのですが、ジャケットも最高。




posted by H.A.

【Disc Review】“Unit Structures” (May.1966) Cecil Taylor

“Unit Structures” (May.1966) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano, bells)
Alan Silva, Henry Grimes (double bass) Andrew Cyrille (drums)
Eddie Gale (trumpet) Jimmy Lyons (alto saxophone) Ken McIntyre (alto saxophone, oboe, bass clarinet)

Unit Structures
Cecil Taylor
Blue Note Records
1995-11-29


 Cecil Taylor 、1966年作、Blue Noteから。
 ぶっ飛んだフリージャズ。
 この頃、御大Miles Davieは“Miles Smiles”(Oct.1966)あたり、モダンジャズの枠組みを崩さないで次の世界を探索中。
 “Kulu Sé Mama” (1965)で先に遠い所へ旅立ってしまった John Coltraneとはまた違ったムードの激烈系。
 ぶっ飛んでいているようで準備周到であったのであろうアンサンブル。
 テーマを決め、要所で繰り返されるブレーク。
 約束事を終え、点火すると一気に疾走するバンド。
 伸び縮みするビート、必死にペースをキープしようとも聞こえるベース、自由に叩いているようでフロントに激しく反応する変幻自在なドラム。
 突っ走るアルトサックスと、その後ろでさらに速い速度で転げまわるピアノ。 
 普通の4ビートの中では納まらないのであろう、強烈極まりないスピードの疾走。
 コードの中では納まらないのであろう、激しい上下動。
 ここまでくれば不協和音とかスケールアウトとかを超越した何か。
 凄まじいまでの演奏力に支えられた怒涛のような音の洪水。
 ブチ切れているようで、実は余裕たっぷり、混沌、崩壊一歩手前にコントロールされたような音は、どこかクールにも感じられます。
 また、なんだかんだでジャズな空気感もたっぷり。
 それがハードボイルドなカッコよさ。
 サウナの中で全力疾走、でも頭の芯は冴えている、そんな心地よさ。
 超弩級エネルギー放射型フリージャズ。




posted by H.A.



【Disc Review】"Attica Blues" (1972) Archie Shepp

"Attica Blues" (1972) Archie Shepp

Archie Shepp (tenor, soprano saxophone)
Walter Davis, Jr. (electric piano, piano) Dave Burrell (electric piano) Cornell Dupree (guitar) Roland Wilson, Gerald Jemmott (electric bass) Jimmy Garrison (bass) Beaver Harris, Billy Higgins (drums) Ollie Anderson, Nene DeFense, Juma Sultan (percussion)
Clifford Thornton (cornet) Roy Burrows, Charles McGhee, Michael Ridley (trumpet)
Cal Massey (fluegelhorn) Hakim Jami (euphonium) Charles Greenlee, Charles Stephens, Kiane Zawadi (trombone) Clarence White (alto sax) Roland Alexander, Billy Robinson (tenor sax) James Ware (baritone sax) Marion Brown (alto sax, flute, percussion) John Blake, Leroy Jenkins, Lakshinarayana Shankar (violin) Ronald Lipscomb, Calo Scott (cello)
Henry Hull, Joe Lee Wilson, Waheeda Massey, Joshie Armstead, Albertine Robertson (vocals) William Kunstler, Bartholomew Gray (narrator)

Attica Blues
Archie Shepp
Verve
2018-03-09


 Archie Shepp、1970年代ソウルフュージョン、あるいは激しい系ファンク。
 楽曲は5分前後にコンパクトにまとめられ、メロディ、コード展開も明解、ソウルに近づいたサウンド。
 が、すさまじい音。
 弾みまくるベース、チャカポコしたギターのカッティングに、分厚いホーンのアンサンブル、神秘的というか、妖しいことこの上ないストリングス。
 そんな音を背景に、真っ黒けの男声女声のシャウトが交錯し、さらにナレーションが絡み合う、妖しく激しいファンク。
 時代は “What's Going On” (1971) Marvin Gayeなどのソフトなソウルが隆盛し始めた時期?、確かにそんな演奏、いわゆるレアグルーヴっぽい楽曲もあるのですが、よじれまくるサウンド。
 全体のイメージはやはりおどろおどろしく激しい系。
 魂の叫び、大音量の血沸き肉躍るハードなサウンドに、ハードなメッセージが込められた強烈な緊張感。
 “The Magic of Ju-Ju” (1967)よりもこちらの方がよほど怖い。
 それでいてビートは柔らか、グチャグチャな絶叫大会のようで、今にも崩れてしまいそうで、そうはなりません。
 背後に洗練を感じるのは、キャッチ―なメロディゆえか、実は考え抜かれたアンサンブルゆえか?
 いずれにしても、こりゃスゲーや。
 血管切れそう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Things Have Got to Change” (1971) Archie Shepp

“Things Have Got to Change” (1971) Archie Shepp 

Archie Shepp (tenor, soprano sax)
Dave Burrell (electric piano) Billy Butler, David Spinozza (guitar) Roland Wilson (electric bass) Beaver Harris (drums) Ollie Anderson, Hetty "Bunchy" Fox, Calo Scott, Juma Sultan (percussion)
James Spaulding (alto sax, piccolo) Roy Burrows, Ted Daniel (trumpet) Charles Greenlee, Grachan Moncur III (trombone) Howard Johnson (baritone sax)
Joe Lee Wilson, Anita Branham, Claudette Brown, Barbara Parsons, Ernestina Parsons, Jody Shayne, Anita Shepp, Johnny Shepp, Sharon Shepp (vocals)

変転の時
アーチー・シェップ
ユニバーサル ミュージック クラシック
2001-12-21


 Archie Shepp、1970年代初頭のぶっ飛んだファンクジャズ、というよりもアバンギャルドソウル、あるいはこの種もスピリチュアルジャズになるのでしょうか。
 さておき、冒頭のアカペラコーラスからおどろおどろしい感十分、ビートは徐々に強くなり、気がつけば分厚いホーンのアンサンブルとヴォイスの饗宴。
 LPレコード片面全一曲18分強、ひたすら一つのリフ。
 端正な4ビートなんてのは今は昔、重く激しいビートに魂の叫び系のヴォイス。
 強いメッセージが込められた、ただ事ではない緊張感。
 裏返して、短く優しいエレピの音とサックスのDuo、オアシス的なインタールドは束の間、さらにド激しい長尺ファンク。
 リフ一発、怒涛のパーカッションの中、狂気を纏ったバイオリン、ピッコロ、そしてコーラスがたっぷりフィーチャーされるアフロなファンク。
 陶酔感ってな言葉は生易しい、クラクラしてくる音の洪水。
 もちろんあの強烈なサックスがたっぷりフィーチャーされているのですが、周りの激しさに呑み込まれ、何処に行ったんでしょう・・・?ってな具合の激しさが最後まで続きます。
 怖いまでに押し寄せてくる音の洪水は、聞いてるだけでヘロヘロ、汗ダラダラ・・・
 このムードを引きずりつつ、洗練されたド激しいソウル"Attica Blues" (1972)へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Elis Regina in London” (1969) Elis Regina

“Elis Regina in London” (1969) Elis Regina 

Elis Regina (vocal)
Antonio Adolfo (paino) Roberto Menescal (guitar) Wilson Das Neves (drums) and others, Orchestra

Elis Regina In London (Ao Vivo)
Universal Music International Ltda.
2018-03-02


 Elis Regina、1969年の名作&人気作、というよりも聖典なのでしょう。
 超弩級ハイテンション・ブラジリアン・ファンク、事始め、怒涛のような音。
 オーケストラが入ってはいますが、ベースはジャズサンババンドのはず・・・なのですが、激しく加速し、どこまでも疾走する爆発的なサウンド。
 怒涛のパーカッションに、唖然とするしかないほどに凄まじいベース、叩きまくられるピアノ、時空を埋め尽くすかのようなブラス、ストリングス。
 そんなバンドを背景にして、というよりも、それを煽り、先導して引っ張り続けるヴォイス。
 バラード演奏にホッとするのはつかの間、怒涛のようなハイテンションな音がこれでもかこれでもかと続きます。
 もう、血管切れそう。
 優雅なはずのブラジル曲が激しさ120%。
 ”Wave”なども収録されていますが、やわなボサノバなんて期待してはいけません。
 気合の入った、てやんでえ、ってな”Wave”。
 紛うことなく大名作ですが、ボサノバ、ブラジリアンポップスを聞こうとしてここから入ってしまうと火傷する人も少なくないでしょう。
 そんな灼熱のブラジリアンファンク。




posted by H.A.

【Disc Review】“Prietos” (2001) Omar Sosa

“Prietos” (2001) Omar Sosa

Omar Sosa (Piano, Timbales, Vocals)
Geoff Brennan (Bass) Elliot Kavee (Drums) Limberg Valencia (Marimba, Percussion) Harouna Dembele, David Frazer, Gustavo Ovalles, John Santos, Puntilla Jr. (Percussion)
Sheldon Brown (Saxophone, Clarinet) Nestor Zurita (Alto Sax) Robbie KwockCarlos Avila (Trumpet) 
Will Power (Rap) Martha Galarraga, María Márquez, Darina Ortiz, La Voz del Niño Dios, Michel Ferre (Vocals) Heleno Goulart, Vladimir Espinoza, Abdejalil Kodssim, Aziz Arradi, Shariff, José Raul Garcia (Vocals, Percussion) Yassir Chadly (Vocals, Percussion, Strings, Oud)
John Santos (Bata, Udu, Berimbau, Waterphone) Aly Keita (Balafon) Moulay M'Hamed Enneji Fakihan (Mandolin) Puntilla Jr. (Yoruba Prayer) María Auxiliadora Figueiredo (Brazilian Poetry)

Prietos
Omar Sosa
Ota Records
2001-05-08


 キューバのピアニストOmar Sosa、怒涛のアフロキューバンジャズファンク。
 ピアノトリオをベースに、パーカッション、ホーン、ヴォイス、その他諸々の分厚い音が乗ってくる激しい音。
 これでもかこれでもかとねじ込んでくる、徹底的に血沸き肉躍る体育会系、あるいは戦闘系。
 前作に当たる“Bembón” (2000)よりも分厚く激しい音に聞こえます。
 ど激しく動きまくるベースラインに、ドラム、キューバン、アフリカン、ブラジリアンが入り混じるパーカッションが分厚く鳴り響き、怒涛の管楽器にキューバンコーラスはもとより、魂の叫び系のヴォイスやらラップやら。
 さらに突っ走り、叩きまくられるピアノ。
 それらが絡み合いカオス化し、かき混ぜられ、塊になって押し寄せてきます。
 聞き終わるとスカッと爽やかというか、疲れてヘトヘトというか、頭クラクラというか、まー何と申しますか・・・
 後に“Sensec” (2012)など、静謐な内省系の作品を作る人には思えません。
 クールな“Tenderness” (1988-1990) Kip Hanrahan、ド派手な“Live In Havana” (1986) Gonzalo Rubalcaba、“Spirits of Havana” (1991) Jane Bunnettなどの名作とはまた違った感じの、アフロキューバン・ハード・ジャズフュージョンの極めつけ。
 タイトル通り“黒い”情念、ここに極まれり。




posted by H.A.


【Disc Review】“Corações Futuristas” (1976) Egberto Gismonti

“Corações Futuristas” (1976) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (Synthesizer, Piano, Electric Piano, Guitar, Voice)
Luiz Alves, Renato Sbragia (Double Bass) Robertinho Silva (Drums, Percussion) Nivaldo Ornelas (Sax, Flute)
Danilo, Mauro, Paulo (Flute) Ed Maciel (Trombone) Darcy Da Cruz, Marcio Montarroyos (Trumpet) Aninha, Marya, Joyce, Lizzie, Mauricio, Novelli, Dulce (Voice) and Strings

コラソンエス・フトゥリスタス(BOM24190)
エグベルト・ジスモンチ
ボンバ・レコード
2012-01-28


 Egberto Gismonti、ブラジアリアン・プログレッシブロック、ブラジリアン・ハードジャズ、ブラジリアン・ハードフュージョンな一作。
 凄まじい“Academia de Danças” (1974)に続く、超弩級にハードな、諸々の要素てんこ盛りフュージョン。
 冒頭、後々まで演奏される定番曲“Dança Das Cabeças”から、例のハイテンションなガットギターのストローク。
 それだけならECM作品にもたくさんあるのですが、それにエフェクターが掛かっているし、シンセサイザーがぎゅんぎゅん唸り、キメキメのブレイクに、ブチ切れサックス。
 切れ目なく続くのはあのしっとりとした名曲のはずの”Cafe”。
 ECMファンからすれば、“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstoneの静謐なバラードを想像するのですが、オリジナル?は激しいビートにKing Crimson風のリフに、魂の叫び系の激しいスキャット。
 三曲目でやっと落ち着き、ギターのアルペジオと低音のアルコ、スキャットが絡み合う幻想的なバラード”Carmo”+南米山奥エスニックでひと休み。
 LPレコードB面に移るとメインの楽器がピアノに変わります。
 静かに美しく、幻想的に始まりますが、こちらも徐々にテンションを上げ、気がつけば音の洪水。
 超弩級の全力疾走ミュージック。
 シンセサイザーが絡みつきながら突っ走る、超高速、怒涛のようなピアノジャズ。
 この人にしては珍しい4ビートなんて、他のジャズピアニストを全く寄せ付けないようなとてつもないピアニストEgberto Gismontiの演奏。
 Keith Jarrett的フォークロック~ゴスペルチックな演奏をインタールード的に挟みつつ、最後はド派手な高速サンバの大合唱~ラテンジャズな怒涛の鍵盤叩きまくりで幕。
 Chick CoreaHerbie Hancockも真っ青のハードなピアノジャズ。
 いやはやなんとも・・・
 最初から最後まで突っ走りまくるジェットコースターミュージック。
 激烈ながらビートがしなやかでうるさくないのがさすがにというか、一時期のWether Report的というか。
 ジャケットのGismontiさんは、据わった眼でこちらをギラっとにらんでいますが、その通りの怖い作品。
 鬼も逃げ出す音の洪水。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisや上記のアーティストの名作群と並ぶ大傑作だと思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“Academia de Danças” (1974) Egberto Gismonti

“Academia de Danças” (1974) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (Piano, Electric Piano, Guitar, Flute, Synthesizer, Organ, Whistle, Vocals)
Luís Alves (Bass) Roberto Silva (Drums)
Nivaldo Ornelas, Danilo Caymmi, Mauro Senise, Paulo Guimarães (Flute) Marcio Montarroyos (Flugelhorn) Ed Maciel (Trombone) Darcy Da Cruz (Trumpet) Dulce Bressane (Vocals) and Orchestra

Academia De Dancas
Egberto Gismonti
Ecm Import
2008-11-18


 Egberto Gismonti、ブラジルのレーベルOdeonでの凄まじいアルバム。
 怒濤のような音楽。
 シンセサイザーやエフェクターを導入し、ブラジアリアン・プログレッシブロックというか、ブラジリアン・ハードジャズというか、ブラジリアン・ハードフュージョンというか。
 この期の作品はそんな音楽が多いのですが、これと次作“Corações Futuristas” (1976)がその極めつけ。
 重いビートにやたらブレイクの多い複雑な展開のプログレッシブロック風やら、シンセサイザーがうなるWather Report風のフュージョンやら。
 合間合間に挟まれるオーケストラの音も、なんだか激しさを助長しています。
 さらにまた合間合間に出てくる優し気な歌声。
 どう聞いてもプログレッシブロックな重い展開から、唐突に優し気、かつ幻想的なスキャットが映える穏やかなブラジリアンミュージックになってみたり、センチメンタルなピアノの弾き語りやら・・・
 それに安堵するのもつかの間、また電子音と激しいストリングスが絡み合ったり、King Crimson風のどヘビーなリフと抜けた感じのスキャットが・・・
 とか何とか、まさに変幻自在。
 ・・・締めはエレピと管楽器?が絡み合う混沌の中で幕。
 もー、グチャグチャ。
 ECMの作品とは全くイメージは異なりますが、とにもかくにもすさまじいアルバム。
 天才の本領発揮か、狂気の発出か。
 こりゃ、スゲーや。ホントに。
 あまり凄すぎて気楽に聞き流せないのが困ったものですが・・・
 なお、近年のCDには次作“Corações Futuristas” (1976)の一部がコンパイルされているようです。
 これまたとんでもない演奏・・・次へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davis

“Dark Magus”(Mar.1974) Miles Davis
Miles Davis (electric trumpet with wah-wah, organ)
Pete Cosey (electric guitar) Reggie Lucas (electric guitar) Dominique Gaumont (electric guitar)
Michael Henderson (electric bass) Al Foster (drums) James Mtume (percussion)
Azar Lawrence (tenor sax) Dave Liebman (soprano, tenor sax)

Dark Magus
Miles Davis
Music on CD
マイルス デイビス


 Miles Davis、“In Concert”(Sep.1972) 以来のアルバム、ライブ録音。 
 間に“Live in Stockholm 1973”<DVD> (Oct.27,1973)、“Stadthalle, Vienna 1973” <DVD> (Nov.3,1973)といった映像、他にもブートレッグなどはたくさんありそうでますが、公式音源としては一年半ぶり。
 但し、お蔵入りになり、発表されたのは1977年日本限定とのこと。 
 “On The Corner”(Jun.1972)的な複雑なビートではなく、“In Concert”(Sep.1972)で中心だったシンプルなファンク~ロック、キーボードを排して、ディストーションを掛け、ワウを多用するギター中心の音作りへ移行。
 パーカッションは効いていますが、ビート感はほどほどシンプル。
 が、過去にはなかった感じの強烈な疾走感。
 Key PersonはドラムのAl Foster。
 なんでも叩けて、複雑なビートを出せたジャズドラマーJack DeJohnetteに対して、細かいことはさておいて、ハイハットをバシャバシャバシャバシャ、ひたすら鳴らし続けながら、とにかく突っ走るAl Foster。
 Milesがどこかで言っていた「白人のようにぶっ叩く」ことを、あまりやらなかったJack DeJohnetteに対して、ぶっ叩き突っ走るAl Foster。
 好みはさておき、大転換。
 前作“In Concert”(Sep.1972)をどういったイメージで作ろうとしていたのかはわかりませんが、そのアルバムから、本作の音の予見は明確に出ていました。
 動きまくるベース、ワウを掛けたギターのカッティングと一体になって突っ走るバンド。 
 さらにサックスもリードギターも突っ走り型。
 一丸となって突っ走るバンド、疾走するファンクビートでのハードなインプロビゼーションミュージックが出来上がりました。

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 冒頭から凄まじい疾走感。
 疾走するビートを背景にして、ワウを掛けたトランペット、サックス、グショグショロックギターが突っ走りまくり。
 強烈です。
 その流れから時折突入する、激烈、混沌の世界もカッコいい。
 Bitches Brewバンドの混沌は何かねっとりした狂気混じりの印象でしたが、こちらの混沌はどことなくクール。
 これも、混沌になってもフリーにはならず、定型ビートを出しまくるドラム、ベースによる印象が大きいのでしょう。
 概ね10数分でビートのパターンを変え、方向を変えながら進むバンド。
 軽快だったり、ヘビーだったり、沈痛なバラード風になったり、激烈疾走になったり・・・
 楽曲の型はあるのでしょうが、その場の流れでビート、コードをフレキシブルに変更していくスタイルの即興演奏なのでしょう。
 長尺な演奏が続きます。
 あたかも巨大魚の群れが、時にはスピードを上げ、時には留まるように、うねりながら悠々と泳いでいるようなイメージ。
 ワウを掛けてサイケに突っ走るMiilesに、激情を発しながら突っ走るDave Liebman。
 テナーサックスの響きにちょっとだけノスタルジックなジャズのムードを感じる場面もありますが、ハイテンションなソプラノサックス、ズルズルグチョグチョのJimi Hendrixをさらに激しくしたようなギターが寛ぐことを許してくれません。
 ヘビーなミディアムテンポのファンク、ラテン基調の高速でフリーな演奏、エスニックで妖しい演奏などもはさみながら、終盤は再び一丸となって疾走するバンド。
 ハイテンションな音の塊が、次から次へと、これでもかこれでもかと押し寄せてきます。
 終盤は怒涛のポリリズム曲"Calypso Frelimo"、"Ife"ときて、締めはJimi Hendrix風のヘビーなリフから、徐々に熱を冷ますようなパーカッションのソロ。
 お疲れ様でした。

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 本作、完成度の高い素晴らしい演奏だと思うのですが、しばらくお蔵に入ってMiles休養期の1977年のリリース。
 “Big Fun”(Nov.1969-Jun.1972)、“Get Up with It”(May.1970-Oct.1974)、“Agharta”よりも後。
 Miles自身、あるいはスタッフは何か気に入らないところがあったのでしょう。
 大きな瑕疵はなさそうだし、先進的に思えるし、モダンジャズファンからはそっぽを向かれるでしょうが、ロックファンには受けそうです。
 おりしも“Blow by Blow” (1975) Jeff Beckなど、ロックギターフュージョンが人気な時代。
 それでも本作をリリースせず、また、逆にスタジオ録音には、本作的な激烈疾走ファンクはありません。
 素直に考えると、本作は1974年前後のMilesが世に問いたい音では無かったのでしょう。
 ではMilesは何をやりたかったのか?
 本作と“Get Up with It”に収録された半年前の録音の大名演"Calypso Frelimo"<Sep. 1973>を比べて、勝手ながら妙に納得。
 本作のバージョン、ポリリズミック感はさておき、ファンキーさがあまり出ていなくて、 ヘビーさ、激しさ、疾走感が前面に出ているように感じます。
 おまけにフェイドアウト。
 Al Fosterのドラム、ハイハットが均等に鳴りまくり、叩きまくっているもんね。
 諸々を鑑みると、やりたかったのはヘビーな激烈疾走ファンクではなく、ファンキーでポリリズミックな音。
 スタジオ録音では満足するものが出来たが、ライブになるとちょっと・・・の“In Concert”(Sep.1972)と同じ状態だった?と推察します。
 ブートレッグを聞けばまた違う感想になるかもしれませんが。
 ・・・とかなんとか、そんな妄想はさておいて、このあたりのアルバム、どれもぶっ飛んでいます。
 その中でも一番激烈なのは、本作“Dark Magus” (Mar.1974)だと思います。

 


posted by H.A.

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