吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

#3.優しい音

【Disc Review】“João Voz e Violão” (2000) Joao Gilberto

“João Voz e Violão” (2000) Joao Gilberto

João Gilberto (guitar, vocals)

JOAO VOZ E VIOLAO
Joao Gilberto
Polygram Records
2000-06-13


 João Gilberto、ギター弾き語り作品。
 ひとつ前のスタジオ録音“João” (1991)と同じくVerveからですが、ブラジルでの録音のようです。
 淡々と爪弾かれるギターと沈んだヴォイス。
 他には何もない混じりっけなしのJoão Gilberto。
 ひたすら静か。
 同じくスタジオ録音でのほとんど弾き語りの作品に“João Gilberto” (1972-1973)がありますが、そちらよりは柔らかな感じ。
 低く後ろに下がった感じのギターに耳元で囁かれているような生々しいヴォイス。
 静かで柔らかで優しい音は、さながら催眠術の呪文のようにも響きます。
 次々と紡がれる優しくて寂しげ、Saudadeなブラジル曲。
 最後に収められたボサノバの生誕曲“Chega De Saudade”は、40年を経て21世紀になってもギターとヴォイスはそのまま、よりシンプルになったサウンド。
 プロデュースはCaetano Veloso。
 アメリカ人だとここまでシンプルにはできないんだろうなあ。
 他の楽器が入った方が、愛想があって普通に聞きやすいんだろうけども、これは別次元のカッコよさ。
 アートですねえ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Dois em Pessoa volume II” (2017) Renato Motha, Patricia Lobato

“Dois em Pessoa volume II” (2017) Renato Motha, Patricia Lobato

Renato Motha (guitar, voice, wind instruments, bass, drums, percussion, etc.) Patricia Lobato (voice, ganzá, triangle, tamborim)
Tiago Costa (piano) Bruno Conde (guitar) and strings



 ブラジルの男女Duoによるとても穏やかなMPB。
 名作”Dois Em Pessoa” (2003)と同様、ポルトガルの詩人Fernando Pessoaの作品にメロディを付けた楽曲集、第二弾。
 もちろんそちらと同質、Duo+αの少人数の演奏なので、さらに静かで穏やかな音。
 ガットギターの漂うような音とシルキーな男女なボイスの絡み合い。
 Joao Gilberto流儀ながらそれを何倍も優しくしたような男声と天使のような女声。
 少し沈みつつも前向きな、いつものこの二人の音。
 二枚組、全26曲のオリジナル曲。
 まあ、よくもここまでたくさんキャッチーなメロディが出てくるなあ・・・
 さらに多くの場面で鳴っているTiago Costaのピアノがとても素晴らしい。
 派手なインプロビゼーションこそありませんが、漂うような舞い落ちるような音。
 一部ではECMっぽい空気感の場面もあるのですが、そこまでひねくれてはなくて、Carlos AguirreAndre Mehmariをもっと静かに繊細にオーソドックスにしたような音使い。
 あるいは、神様Antonio Carlos Jobimを意識したのかなあ・・・ってなボサノバ王道の音の流れもそこかしこに。
 おまけにときおり聞こえるストリングスの響きが優雅の極めつけ。
 先の同企画”Dois Em Pessoa” (2003)よりもこっちの方が緩い感じ、よりサラサラとした感じですかね?
 それが最高。
 気がつけば、ふにゃー・・・としてしまうような心地よい脱力感。
 このコンビの作品は全て楽園ミュージック。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Cancion Hacia Vos” (2014) Guadalupe Gomez, Quique Sinesi

“Cancion Hacia Vos” (2014) Guadalupe Gomez, Quique Sinesi

Guadalupe Gomez (voice) Quique Sinesi (guitar) and strings

Cancion Hacia Vos
Guadalupe Gomez / Quique Sinesi
Independiente
2014-11-29





 アルゼンチンのギタリストQuique Sinesiと女性ボーカリストのDuo作品。
 ガットギターと女性ボイスのみ。
 とても静かな空間に響く穏やかな音。
 ギターは言わずもがなのサラサラと流れていくような繊細な音。
 Guadalupe Gomezのはいかにも若手なかわいらしい系。
 透明度高い系の美声、いわゆるキャンディボイス系なのですが、抜群の歌唱力と多彩な表現力。
 かわいい系ながら、貫禄十分。
 ちょっとタメを効かせながら、ほんの少しだけ遅れて置かれていく声。
 これが太くて低い声だとねっとりしそうなのですが、重くなり過ぎず、軽くなり過ぎずの絶妙なバランス。
 加速しながら疾走するテクニカルな高速スキャットな場面もしばしば。
 高音に上がるとキレイに裏返って、どこまでも十二分に伸びて、天上から聞こえてきそうな声・・・
 ・・・ってな感じの最高のボイス。
 楽曲は全曲二人のオリジナル。
 “Danza Sin Fin” (1998)、“7 sueños / Familia” (2012)などに収録された楽曲に歌詞を付けた何曲かも含めて、あの優雅で繊細なQuique Sinesiワールド。
 それらの全編に最高のボーカルが載って、モノクロームあるいは淡い色合いだった景色に、上品で華やかな色が付いた感じでしょうか。
 少し華やかなQuique Sinesiワールド。
 名作。




posted by H.A.



【Disc Review】“Vento Sul” (2017) Luis Leite

“Vento Sul” (2017) Luis Leite
Luis Leite (guitar)
Erika Ribeiro (piano) Fred Ferreira (guitar) Marcelo Caldi (acordion) Ivo Senra (Fender Rhodes) Peter Herbert (bass) Diego Zangado, Felipe Continentino (drums) Luis Ribeiro (percussion)
Wolfgang Puschnig (flute) Giuliano Rosas (clarinette) Sergio Krakowski (adufo) Elisa Monteiro (viola) Márcio Sanchez (violin,viola) Tatiana Parra, Lívia Nestrovski (voice)

 Vento Sul [CD]Luis Leite

 ブラジルのギタリストLuis Leiteのブラジリアンジャズフュージョン。
 Andre Mehmari系の知る人ぞ知る名作“Naissance” (2012) François Morin、あるいはアルゼンチンのQuique Sinesi諸作を想い起こすアルバム。
 リオデジャネイロの若手なのだと思いますが、ミナス的であり、フォルクローレ的な優しく繊細なサウンド。
 Tatiana Parraの参加が目を引き、確かにそんな表情もありますが、彼女の諸作よりももっと穏やかでポップなテイスト。
 ピアノとギターの美しいDuoで始まり、Tatiana Parraのテクニカルなスキャット、この種の音楽の定番クラリネット、アコーディオン、さらにはストリングスとの絡み合い、などなど。
 女性ピアニストErika Ribeiro も、Andre Mehmariのエキセントリックな部分を削ってヨーロピアンジャズのテイストを混ぜたような素晴らしいピアノ。
 速いテンポになるとあの一時期のPat Methenyのようなヒタヒタと迫ってくるようなビート。
 さらにはあの?Wolfgang Puschnig?のフルートを交えたコンテンポラリージャズカルテット、などなど。
 全曲違った編成、ムードも異なるのですが、なぜか一貫した質感。
 リーダーが派手にギターを弾きまくるわけではありませんが、素晴らしいバランスのサウンド。
 全曲オリジナル曲、少々哀し気なような懐かし気なような、それでいて前向きな、サウダージな表情のメロディ揃い。
 最後は弦が奏でるとても切ない音の流れで幕・・・
 近年の南米ジャズ系音楽のカッコいい所が詰まったような傑作。
 “Naissance” (2012) François Morin、あるいはAndre MehmariCarlos Aguirre諸作に並ぶような・・・は大袈裟でしょうか?
 こういうのがあるから、ブラジル~南米音楽探しはやめられまへん。




posted by H.A.

【Disc Review】“Dois Em Pessoa” (2003) Renato Motha, Patricia Lobato

“Dois Em Pessoa” (2003) Renato Motha, Patricia Lobato
Renato Motha (voice, guitar) Patricia Lobato (voice, ganza)
Maruo Rodrigus (flute) Firmino Cavazza (cello) Felipe Moreira (piano) Eneias Xavier, Kiko Mitre (bass) Esdra Ferreira (drums) Serginho Silva (percussion) Ronaldo Gino (Electronic effects) and others

Dois Em Pessoa
Renato Motha
Sonhos & Sons Brasil
2004-10-12


 ブラジルの男女Duoによる、とても静かで穏やかなボサノバ~サンバ~MPB、二枚組。
 ポルトガルの詩人Fernando Pessoaの作品にメロディを付けた楽曲集。
 一枚目はオーソドックスなボサノバ。
 ピアノトリオにギターとボイスのシンプルな編成。
 ブラジリアンスタンダードの名曲群のような素晴らしいメロディ揃いのオリジナル曲。
 神様Jobimの影響が強いのだと思うだけど、もっとシンプルでナチュラルな感じ。
 ときおりポロポロと前面に出るピアノも、Jobimのそれっぽくてとても優雅です。
 Renato Mothaのボーカルスタイルは、これまた神Joao Gilbertoの影響が強い感じでしょうか?
 もちろん声質は違って艶々系だし、あそこまでウイスパーではなく、沈んだ感じでもないのですが、端々におっ?と思う場面ばしばしば。
 さらにPatricia Lobatoの超美声。
 透明度の高い可憐系、自然に鼻に抜けていく、軽くてサラサラとした質感の歌。
 後の”Shahds” (2007)、“In Mantra” (2009)などの瞑想サウンドのイメージに引きずられているわけではないのだけども、淡々と刻まれるサンバビートが陶酔感を誘う、トランス度の高い音。
 天上のサンバ・・・ってな語感がピッタリ、かな?

 もう一枚はサンバのビートを抑え、スローなテンポ中心のブラジリアンサウンド。
 空気感はそのままに、もっとフォーキーだったり、ノスタルジックだったり、一時期のPat Metheny風だったり、あるいは現代的なポップス風だったり・・・
 ミナス系の伝統的なサウンドの色合いを、現代的に整理したのでしょうかね?
 Renato Mothaのボイスを中心にとても優しい歌。
 一枚目よりもテンポを落とし、音数を減らし、もっともっと穏やかでゆるーい感じ。
 徐々に徐々に時間の速度が遅くなっていくような感覚・・・
 こちらも現実逃避にはもってこいのサウンド。
 二枚ともに、とてもナチュラルで、とてもとても優しいトリップミュージック。
 これまた最高。




posted by H.A.


【Disc Review】“Antigas Cantigas” (1999) Renato Motha, Patricia Lobato

“Antigas Cantigas” (1999) Renato Motha, Patricia Lobato
Renato Motha (voice, guitar, trompete vocalizado, etc.) Patricia Lobato (voice)
Esdra Ferreira (percussion) Marcelo Rocha (Clarinette) Zaira Fernandes Mota (voice) Roberio Molinari (piano)

Antigas Cantigas
Motha
2007-10-16


 ブラジル、ミナスの夫婦Duoによるブラジルの伝統曲集。
 後にボサノバの“Dois Em Pessoa” (2003)など、マントラに曲を付けた瞑想音楽”Shahds” (2007)、“In Mantra” (2009)など、いろんな色合いの作品を制作していますが、本作はボサノバ、サンバ以前、タイトル通りにブラジルの「古い歌」。
 とても静かで、とてもとても優雅でノスタルジックな音。
 リオデジャネイロ系ではなく、ミナス系のブラジル音楽を聞いていると、ときおりハワイっぽい楽園ムードの曲に出会う事があるのだけども、このアルバムは全編それ。
 全編スローテンポ。
 軽快なサンバや洗練されたボサノバではなく、もっとまったりとした穏やかで落ち着いたビート。
 基本的にはギターとボイス、ときおり背景がピアノに変わったり、ボイストランペット?、木管楽器、パーカッションが加わったりの、静かでゆったりした音の流れ。
 ボーカルはRenato Mothaの男声中心。
 とてつもない美声の奥様は、全曲に参加しているわけではないのですが、前面に出れば天使の声の楽園ムード。
 このDuoの作品は、どれも静かで穏やか、上品ながら、どこか遠い所に連れて行ってくれるトリップミュージックなのだけども、私的には本作が極め付け。
 誘う先は、遠い昔のブラジルの山奥、あるいはビーチ。
 南の島、やはりハワイあたり。
 楽園度最高。
 アートワークから推察すると、本作、結婚記念アルバムなのでしょうかね?
 そんなイベントにもピッタリな感じ。
 これ、最高。




posted by H.A.


【Disc Review】“De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari

“De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari
André Mehmari (Piano, Accordion, Bandolim, Bass, Bateria, Cello, Clarinet, Cravo, Fender Rhodes, Flute, Guitar, Mellotron, Organ, Palmas, Percussion, Synthesizer Bass, Viola, Violin, Vocals)
Teco Cardoso (Baritone Sax) Gabriele Mirabassi (Clarinet)
Mônica Salmaso, Sérgio Santos (Vocals)



 ブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmariの2008年作。
 南米系の音源は廃盤になるのが早く、その中にはとんでもない名作があるのですが、このアルバムはその最たる作品。
  現在も流通しているであろうオムニバスアルバム“Veredas” (2006-2008)にその一部、一番よさそうなところが収められてはいるのですが、アルバムとしての素晴らしさはまた別格。
 タイトルは「木?とワルツ?」。
 その通りに全編フワフワとした優雅なビートとナチュラルな音の流れ。
 サンバ、ボッサではない、フォルクローレな雰囲気。
 計算しつくされたと思われるアレンジと、オーバーダビングによる自身での演奏、効果的な彩りを加えるゲストの音。
 柔らかな管、弦のアンサンブルと、要所に配置される自身の声、最高のボーカリストMônica Salmaso, Sérgio Santosの声。
 シンプルな編成のピアノトリオ、あるいはソロピアノではなく、いろんな優し気な音が絡み合いながら流れていく時間。
 センチメンタルだけども、暗さや絶望感とはほど遠い優しいメロディ。
 全曲、名曲名演。
 全編を通じた浮遊感と穏やかな郷愁感。
 哀し気なようでとても前向きな、あるいは、前向きなようで悲し気な音の流れ。
 南米音楽共通の質感ですが、その繊細でデリケートな版。
 そんな空気の中を漂うような、零れ落ちてくるようなピアノ。
 スローでは十二分にタメを効かせ、時には突っ走り・・・
 少し前の“Lachrimae” (2003)の素晴らしさに多言は無用ですが、そちらは少々ジャズピアノトリオ寄り。
 この後の作品“Miramari” (2008)以降はクラシックの色合いがより強くなっているように感じます。
 その分水嶺的な作品かもしれません。
 ジャズとクラシックとフォルクローレの最高のバランスのフュージョンミュージック。
 もちろん一番強い成分はブラジル的南米的フォルクローレ。
 どこを取り出しても、とても優雅で美しい音。
 この人の音はいつもどこか遠くを眺めているような音。
 どこを切り出してもその真骨頂。
 これはもう最高でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Andrés Beeuwsaert” (2015) Andrés Beeuwsaert

“Andrés Beeuwsaert” (2015) Andrés Beeuwsaert
Andrés Beeuwsaert (Piano, Voice)
Juan Pablo Di Leone (Flutes, Harmonica, Voice)
Tatiana Parra (Voice) Vardan Ovsepian (Piano)
 
Andres Beeuwsaert
Andres Beeuwsaert
NRT
2016-10-15
アンドレス・ベエウサエルト

 アルゼンチン、現代フォルクローレ~ジャズのピアニストAndrés Beeuwsaert、東京でのライブ録音。
 前半五曲ほどがソロでのピアノとボイス、三曲がハーモニカ、フルートとのDuo、最後の二曲にTatiana ParraVardan Ovsepianが加わります。
 Juan Pablo Di Leone は現代フォルクローレの中心人物の一人Carlos Aguirreとつながる人。
 Tatiana Parra は名作“Aqui” (2010)での名コンビ、Vardan OvsepianはそのTatiana ParraとのDuo作品“Lighthouse” (2014), “Hand In Hand” (2016) などを作っている間柄。
 といったところで、現代フォルクローレ、南米音楽の旬なところを集めた豪華なライブ。
 さらに楽曲は、Aca Seca Trioのナンバー、“Dos ríos” (2008)、“Cruces” (2012)といった名作ソロ作品からのチョイスに加えて、Hugo Fattoruso、Mário LaginhaMono FontanaCarlos AguirreAndré MehmariSérgio Santosなど、この筋が好きな人からすれば、なるほどねえ・・・な名前、メロディが並んでいます。
 哀愁、郷愁が漂うメロディアスな楽曲が並びます。

 穏やかで柔らかなピアノとハミングでスタート。
 “Cruces” (2012)などのコンボ作品とはまた違った質感。
 元々上品な音の人ですが、さらに余分なもの削ぎ落としたような上品さ柔らかさの優しい音。
 穏やかなせせらぎか、緩やかな風のような空気感。
 これはソロ、少人数でなければ出せないムードでしょう。
 微妙なタメと要所での疾走感が交錯する、とても優雅ピアノはいつも通り。
 それら含めてブラジルのAndré Mehmariと似た音使いも目立ちますが、そちらよりも線が細くて、かつ柔らかい音、穏やかな表情。
 さらに、よりジャズっぽい音。
 とても美しいピアノミュージックですが、Keith Jarrett の“The Köln Concert” (Jan.1975)などのような激甘なメロディや、激情や狂気のようなものはなく、あくまで淡い色合い。
 刺激的ではありませんが、それが今の時代には合っているようにも思います。
 数曲のハミング~呟くようなボーカルも寂寥感を醸し出していい感じ。
 ハーモニカ、フルートが加わってもその穏やかで優雅な表情は変わりません。
 終盤、ようやく強い音、速い音が前面に出る演奏。
 さらにTatiana Parraが合流するとテンションとスピードが上がりますが、やはり優雅、優美です。
 これは、いや、これもここまでのリーダー作同様に名作です。




posted by H.A.

【Disc Review】 “Rosa” (2006) Rosa Passos

”Rosa" (2006) Rosa Passos
Rosa Passos(Vocal, Guitar)  

Rosa
Rosa Passos
Telarc
2006-04-25
ホーザ パッソス

 目下、私の知る限りのブラジル系のベストボーカリスト。
 かわいい系の声なのだけど実に深い。
 ボサノバ伝統のウイスパー系で、スカートをはいたJoao Gilbertoと呼ばれているらしいのだけど、わずかに強い押し。
 語尾に微妙なビブラートが掛かり、高い音では微妙に裏返り気味、鼻に抜け気味。
 湿っているような乾いているような、絶妙なバランスの発声。
 1曲目、そんな微妙な声で、いきなりアカペラが始まります。
 これにはドッキリ。
 さらに2曲目、Jobimの隠れた佳曲、ガットギター一本のバッキングで哀愁曲を囁きます。
 泣けてくるようなというような大げさな悲しみではなく、切ないもの悲しさが漂うメロディ。
 これが彼女の微妙な声と絶妙なバランス。
 そんな微妙で、絶妙、深い演奏が最後まで続きます。
 背景に何もない、無音の瞬間をたくさん感じられる、静謐で奥の深い音空間。
 有名曲やヒット曲が入っているわけではありませんが、どの曲も佳曲で彼女のために書かれたのでは、と思えるほどベストマッチな曲と声とギター。
 確かにJoao Gilberto的なのですが、女性だけにもっと優しく、同じぐらいに深い。
 最後まで同じ質感だけど、飽きてくる感じはしないのも不思議。
 じっくり聞いてしまうと何をしていても手が止まってしまいそう。
 気持ちが浄化されてくるような感覚も決して大げさではない。
 雰囲気は夕暮れ時。
 郷愁。

(※この投稿は2014/02/20から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Entre Amigos” (2003) Rosa Passos And Ron Carter

“Entre Amigos” (2003) Rosa Passos And Ron Carter
Rosa Passos (vocals, guitar) Ron Carter (bass)
Lula (guitar) Paulo Braga (percussion) Billy Drewes (tenor saxophone and clarinet) 

ホーザ パッソス

 Rosa Passos、Ron Carterとの共演アルバム。
 演奏し尽くされたJobimをはじめとするブラジルスタンダードが新鮮に聞こえる。
 全く奇をてらわないオーソドックスなアレンジなのに。
 心なしか軽快でノリのいい、でも何故かしっとりとした上質なバンドサウンド。
 何故だろう?
 Ron Cater?少し湿り気のあるサックス?強く弾かないゆったりとしたギター?それとも録音~ミキシング?
 少し後ろに下がった感じのバンドの前に立つ明瞭なRosaの生々しい声。
 囁くように、でもわずかに押しのある微妙な歌。
 生々しさでは弾き語り、雑味一切なしの”Rosa"(2006)に勝るとも劣らず。
 ギターあるいはベースとのDuoの場面では度々訪れる無音の瞬間。
 静かな凄み。
 でも、とても優しい音楽。
 これも宝物。

(※この投稿は2016/02/24から移動しました。)



posted by H.A.
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