吉祥寺JazzSyndicate

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#2.★素敵な南米

【Disc Review】“Indio de Apartamento” (2013) Vinicius Cantuaria

“Indio de Apartamento” (2013) Vinicius Cantuaria

Vinicius Cantuaria (Vocals, Guitar, Drums, Keyboards, Percussion)
Ryuuichi Sakamoto, Norah Jones (piano) Mario Laginha (keyboards) Oliver Glissant (electric piano) Bill Frisell, Dadi (guitar) Liminha (bass) Jesse Harris (voice)



 Vinicius Cantuaria、2012年作。
 とても静かなブラジリアンポップス。
 漂う静謐な凄み。
 徹底的に内に内に入っていくようなムード。
 ここまでの諸作よりもさらに音量が下がり、遅れ気味に置かれていく囁きヴォイス。
 淫靡なまでの静けさ。
 Chet BakerとかLou Reedとか、そんな感じ。
 バンドの音もそれに合わせるように、どこか浮世離れしたようなクールなムード。
 坂本龍一氏が二曲に参加し、音数を抑え、ぶっ飛んだアバンギャルドなピアノ。
 淡々とボッサを刻むギターと沈んだヴォイスとの絡みがなんとも凄い。
 Norah Jonesがピアノのみで短い一曲での参加、彼女の盟友Jesse Harrisの歌を含めて、彼女っぽいフォーキーな楽曲が数曲。
 さらに中盤からたっぷりとフィーチャーされるジャジーなエレキギターがとてもクール。
 21世紀のこの人の真骨頂、クールでやるせなくてお洒落な危ない音、湿った夜な感じの淫靡な音、その極めつけ。
 普通にボッサとポップスながら、どこか遠い静かな場所に連れて行ってくれる、極上のトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Vinicius” (2001) Vinicius Cantuária

“Vinicius” (2001) Vinicius Cantuária

Vinicius Cantuária (guitar, vocals, Keyboards, percussion)
Brad Mehldau (piano) Perter Schere (keyboards) Bill Frisell, Marc Ribot (guitar) Marc Johnson (bass) Paulo Braga, Joey Baron (drums) 
Jenny Scheinman (violin) Michael Leonhart (trumpet) Caetano Veloso (vocal) David Byrne (vocal, guitar)

Vinicius
Vinicius Cantuaria
Transparent Music
2001-03-06


 Vinicius Cantuária、2001年作。
 ジャジーなブラジリアンポップス。
 メンバーの名前を見るとECMな音が聞こえてきそうな顔ぶれですが、そうではなくていつものVinicius Cantuáriaの音。
 豪華ゲストが楽曲ごとに参加する、これまたいつものスタイル。
 前後のアルバム“Tucumã” (1999)、“Horse and Fish” (2004)と比べると穏やかで柔らかな感じがします。
 アップテンポでもサンバ、ボッサを含めて静かなビート、ゆるーい感じ。
 この人の囁きヴォイスにはこの感じが似合います。
 入れ替わり立ち代わりに入ってくる、電子音、先端ロックギター、ジャズギター、ジャズピアノ、バイオリン、トランペット、そして大御所Caetano Veloso, David Byrneのヴォイス・・・
 一聴バラバラなサウンドが静かで穏やかな音の流れの中に溶け込んでいます。
 この人のヴォイス、年月を経て沈んだ感じなっていくように思いますが、後の淫靡な感じの二歩ぐらい手前。
 緩さも含めて洗練されていて、とてもクール。
 この人の作品、ジャケットのムードと中身が概ね一致するのですが、本作も天然色ではない、輪郭が少し曖昧で緩やか、ほどほどの浮遊感、そんな音。
 Vinicius Cantuáriaの作品ではこれと、もっともっと沈み込んでいく“Indio de Apartamento” (2012) が一番のお気に入り。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“João Voz e Violão” (2000) Joao Gilberto

“João Voz e Violão” (2000) Joao Gilberto

João Gilberto (guitar, vocals)

JOAO VOZ E VIOLAO
Joao Gilberto
Polygram Records
2000-06-13


 João Gilberto、ギター弾き語り作品。
 ひとつ前のスタジオ録音“João” (1991)と同じくVerveからですが、ブラジルでの録音のようです。
 淡々と爪弾かれるギターと沈んだヴォイス。
 他には何もない混じりっけなしのJoão Gilberto。
 ひたすら静か。
 同じくスタジオ録音でのほとんど弾き語りの作品に“João Gilberto” (1972-1973)がありますが、そちらよりは柔らかな感じ。
 低く後ろに下がった感じのギターに耳元で囁かれているような生々しいヴォイス。
 静かで柔らかで優しい音は、さながら催眠術の呪文のようにも響きます。
 次々と紡がれる優しくて寂しげ、Saudadeなブラジル曲。
 最後に収められたボサノバの生誕曲“Chega De Saudade”は、40年を経て21世紀になってもギターとヴォイスはそのまま、よりシンプルになったサウンド。
 プロデュースはCaetano Veloso。
 アメリカ人だとここまでシンプルにはできないんだろうなあ。
 他の楽器が入った方が、愛想があって普通に聞きやすいんだろうけども、これは別次元のカッコよさ。
 アートですねえ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“João” (1991) Joao Gilberto

“João” (1991) Joao Gilberto

Joao Gilberto (voice, guitar)
Clare Fischer (keyboards) Jim Hughart (acoustic bass) Joe Correro (drums) Michito Sanchez (percussion) and Orchestra

Joao (I Really Samba)
Joao Gilberto
Polygram Records
1991-07-23


 Joao Gilbertoのジャズスタンダード、ポップスを交えた演奏集。
 ギターとピアノトリオにパーカッション、オーケストラ。
 録音はLos Angels、アレンジ、オーケストラを仕切ったのはジャズメンClare Fischerのようです。
 いかにもVerve、あるいはCTI的。
 “Amoroso” (1976)に近い感じですが、バックがもっと躍動的。
 優雅でノスタルジックな感じもあるのですが、これでもかこれでもかと入ってくるようなオーケストラのオブリガードがとてもモダン?で攻撃的?な感じ。
 そんなアメリカンで攻めのサウンドをバックに、御大のギターと歌はいつも通り。
 というよりも、動きの激しいバックのサウンドを抑制するようにも聞こえる柔らかなギターと、いつもにも増して力が抜けてたような沈んだ声。
 その囁き声が大きめの音でミックスされ、目の前から聞こえてくるような、何とも言えない不思議なバランス。
 この躍動と静謐、優雅さとクールネスの対比、絶妙なバランスが最高にカッコいい。
 凄いバランスの凄いアート。
 楽曲はブラジルの楽曲にCole Porterなどなど、この期のいつもの選択。
 そして最後に恥ずかしそうに収められた ベタなシャンソン”I Wish You Love"。
 私はとても素敵だと思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“Amoroso” (1976) Joao Gilberto

“Amoroso” (1976) Joao Gilberto

João Gilberto (guitar, vocals)
Claire Fisher, Ralph Grierson (keyboards) Milcho Leviev, Michael Boddicker (synthesizer) Jim Hughart (bass) Grady Tate, Joe Correro (drums) Paulinho Da Costa (percussion) Bud Shank, Glenn Garrett, Eddie Cain (flute) and Orchestra

AMOROSO(イマージュの部屋) <BRASIL SUPERSTAR 1200>
ジョアン・ジルベルト
ワーナーミュージック・ジャパン
2016-06-22


 João Gilberto、アメリカ制作の一作。
 Claus Ogermanの柔らかなオーケストラ、ストリングスを背景にした、これまた柔らかなギターと囁く声。
 優雅の極み。
 “The Warm World of João Gilberto” (1958-1961)などの時代と音作りそのものは変わらないのかもしれませんが、徹底された洗練。
 楽曲はJobim, Gershwin、その他各所のいずれ劣らぬ名曲、人気曲群。
  "'S’Wonderful"
  "Estate"
  "Tin Tin Por Tin Tin"
  "Besame Mucho"
  "Wave"
  "Caminhos Cruzados"
  "Triste"
  "Zingaro"
 “Getz/Gilberto” (1963)と同様、アメリカ制作のアルバムでは、なぜかギターが刻むビートがわずかに遅れてくるように感じます。
 それが沈んだ感じの声と相まって、寂寥感を増幅。
 それが特別なカッコよさ。
 現代、それを実践しているのがRosa Pasossただ一人、たぶん。
 が、次作のブラジル録音“Brasil” (1981)ではそれが無くて・・・ってなのは、気のせいなのでしょうかね・・・?
 そんなマニアックな事はさておいて、とにもかくにも心地よさ最高。
 最高の楽曲の最高のアレンジ、最高のギターと歌。
 ボサノバとあの時代の優雅系欧米ポップミュージックが最もいい形で近づき、フュージョンした一作。
 ソフトでスムースなJoão Gilbertoなら、これ。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Warm World of João Gilberto” (1958-1961) João Gilberto

“The Warm World of João Gilberto” (1958-1961) João Gilberto

João Gilberto (vocals, guitar) and others

 神様João Gilbertoの初期録音集。
 ボサノバの聖典。
 “Chega de Saudade” (1959)、”O amor, o sorriso e a flor” (1960)、 “Joao Gilberto” (1961)といった作品のAll in Oneコンピレーション。
 柔らかなビートを刻むギターと少し沈んだ感じの囁きヴォイス。
 もう一人の神様Antônio Carlos Jobimのメロディにピアノ。
 後々まで歌い継がれるレジェンドたちの名曲群。
 彩りを添えるホーンにストリングス。
 そんな音とともにサラサラと流れていく時間・・・
 現代の感覚で聞いても古さは感じないのですが、なんとなく漂う1950-60年代の空気感がこれまたいい感じ。
 気がつけば周囲の湿度が下がって、どこか心地よい別世界に・・・
 何かボサノバを一枚、ならばこれですかね。




posted by H.A.


【Disc Review】“Dois em Pessoa volume II” (2017) Renato Motha, Patricia Lobato

“Dois em Pessoa volume II” (2017) Renato Motha, Patricia Lobato

Renato Motha (guitar, voice, wind instruments, bass, drums, percussion, etc.) Patricia Lobato (voice, ganzá, triangle, tamborim)
Tiago Costa (piano) Bruno Conde (guitar) and strings



 ブラジルの男女Duoによるとても穏やかなMPB。
 名作”Dois Em Pessoa” (2003)と同様、ポルトガルの詩人Fernando Pessoaの作品にメロディを付けた楽曲集、第二弾。
 もちろんそちらと同質、Duo+αの少人数の演奏なので、さらに静かで穏やかな音。
 ガットギターの漂うような音とシルキーな男女なボイスの絡み合い。
 Joao Gilberto流儀ながらそれを何倍も優しくしたような男声と天使のような女声。
 少し沈みつつも前向きな、いつものこの二人の音。
 二枚組、全26曲のオリジナル曲。
 まあ、よくもここまでたくさんキャッチーなメロディが出てくるなあ・・・
 さらに多くの場面で鳴っているTiago Costaのピアノがとても素晴らしい。
 派手なインプロビゼーションこそありませんが、漂うような舞い落ちるような音。
 一部ではECMっぽい空気感の場面もあるのですが、そこまでひねくれてはなくて、Carlos AguirreAndre Mehmariをもっと静かに繊細にオーソドックスにしたような音使い。
 あるいは、神様Antonio Carlos Jobimを意識したのかなあ・・・ってなボサノバ王道の音の流れもそこかしこに。
 おまけにときおり聞こえるストリングスの響きが優雅の極めつけ。
 先の同企画”Dois Em Pessoa” (2003)よりもこっちの方が緩い感じ、よりサラサラとした感じですかね?
 それが最高。
 気がつけば、ふにゃー・・・としてしまうような心地よい脱力感。
 このコンビの作品は全て楽園ミュージック。




 posted by H.A.

【Disc Review】"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani

"Creciente'' (2016) Claudio Bolzani


Claudio Bolzani (guitar, voice, mandolin, electronics)
Sebastian Macchi (piano, keyboard, percussion, voice) Carlos Aguirre (piano, keyboard, accordion, flute, voice) Bernardo Aguirre (guitar, percussion) Juan Quintero (guitar, voice) Fernando Silva (bass) Gonzalo Diaz (percussion, voice, aerofonos) Luis Barbiero (flute, voice) Leandro Drago (electronics) Daniela Leste (voice)



 アルゼンチンのギタリスト&ボーカリストClaudio Bolzaniのリーダー作。
 とても静かな現代フォルクローレ。
 リーダーは名作“Luz de agua: Canciones”(2005)、”Luz de agua: Otras canciones”(2015) Sebastian Macchi, Claudio Bolzani, Fernando Silvaのメンバー。
 洗練された現代のフォルクローレ、Carlos Aguirreの路線に一番近そうな音が上記の二作、その三人のメンバーのように思います。
 盟友Fernando Silvaの“Miro por la ventana” (2013)は少々元気系、フュージョン寄りでしたが、本作はアコースティックで繊細、とても静かな音。
 上掲の作品の中でも一番穏やかで静謐かもしれません。
 繊細なギターに、半数ほどの楽曲ではあの少しささくれた儚げなボイス。
 少人数の限られた音数で、全編、静かで繊細な音の流れ。
 ピアノとギターに、ベース、つつましやかなパーカッション、フルートにアコーディオン、水の音、ほんの少しの電子音・・・
 とても静かですが、ジワジワとくるドラマチックな音の流れ。
 一時期のPat Metheny Groupを想い起こす場面もいくらか。
 Carlos Aguirreナンバーで始まり、Sebastian Macchi、現代タンゴの Diego Schissi、オリジナル、さらにはRalph TownerEgberto GismontiといったECM系の人たちの名前も並びます。
 彼ら作るサウンド、どこかで繋がっているのでしょう。
 前半のCarlos Aguirre的な音もさることながら、中盤、Sebastian Macchiの”Corazon”あたりから、最後のRalph Townerの”Green and Golden”まで、静かな凄みが漂う音の流れのカッコいいこと。
 全編通じて少し沈んだ感じが醸し出す、この人独特のクールネス、ハードボイルドネス。
 名作です。

※こちらは“Luz de agua”バンド。


posted by H.A.


【Disc Review】“Cantos Sin Dueno” (2012-2014) Agueda Garay

“Cantos Sin Dueno” (2012-2014) Agueda Garay


Águeda Garay (composer, piano)
Carlos Aguirre (piano, voice) Celina Federik (piano) María Inés López, Pablo Ascúa, Luis Medina, Rubén Paolantonio (guitar) Silvio Bisegna (accordion)
Gonzalo Carmelé (bass) Edu Bavorovsky, Gonzalo Díaz, Nahuel Ramayo (percussion, drums) Gabriela Peirano (cello)
Diego Núñez, Darío Céspedes (soprano sax) Agustina Cortés, Francisco Cecchini (alto sax) Martin Testoni (tenor sax) Guillermo Astudillo (clarinette)
Natalia Pérez, Andrea López Ibáñez, María Paula Rodríguez (voice)

Cantos Sin Dueno
Gueda Garay
Shagrada Medra


 アルゼンチンの女性作曲家、ピアニストÁgueda Garayの現代フォルクローレ作品。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 全曲オリジナル曲。
 自身のピアノ演奏は半数ほどに留まり、楽曲ごとにゲストを迎えて編成も変えていく構成。
 おそらくはクラシックの人なのでしょう。
 それらしい楽曲を間にちりばめながら、いかにもな現代フォルクローレの優し気な音の流れ、ポップでキャッチーな楽曲が交錯します。
 冒頭はとてもセンチメンタルなCarlos Aguirreのピアノの弾き語り。
 彼の曲でしょ、と思ったらリーダーの曲。
 続いてギター、アコーディオン、女性ボーカル絡み合うフォーキーな演奏から、クラシカルなピアノソロ。
 但し、演奏はゲストピアニスト。
 四曲目でようやく本人がピアノを弾きギターと女性ボーカルをフィーチャーしたバラード。
 このピアノがカッコいい。
 美しく繊細な音。
 ピコーンパコーン、ピキピキパキパキ・・・と書くと趣も何もないけども、そんな高音が舞い降りてくるような、Carlos AguirreAndre Mehmari的な音使い。
 タメもしっかり効いています。何で全部自分で弾かないんだろ?
 ・・・ってな感じの演奏が続きます。
 そして最後に収められた、静かで穏やかなサンバ調の”Agua y sal”のさり気ない哀感の素晴らしいこと・・・
 各曲の表情は異なりますが、あくまでフォーキーで前向きな、現代フォルクローレ。
 柔らかなビートと優しいメロディ、哀し気な男声女声にそのコーラスワーク、ガットギターとピアノの静かで上品な音の流れ。
 現代フォルクローレ、あるいはフォルクロレリックジャズのショーケースのようなアルバム。
 穏やかで優しい現代アルゼンチンの音。
 名作です。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“Resonante” (2011) Luis Chavez Chavez

“Resonante” (2011) Luis Chavez Chavez

Luis Chávez Chávez (guitar)
Antonio Restucci (mandolin) Fernando Silva (cello, bass) Luciano Cuviello (drums) José Luis Viggiano (perccusión)
Carlos Aguirre (accordion) Sebastián Macchi (piano, Rhose) Juan Falú (guitar) Luis Barbiero (flute)
Ramiro Gallo (violin) Francisco Lo Vuolo (piano) Eugenio Zeppa (clarinet, claron) Leandro Drago (keyboard) Nahuel Ramallo, Gonzalo Díaz (perccusión)

 

 チリのギタリストLuis Chávez Chávezによる現代フォルクローレ・・・ではなさそうで、南米ジャズとも違って・・・何と申しましょうか・・・まあ、クラシック系・・・
 とにもかくにも、静かでメロディアスながら不思議感たっぷり。
 強い寂寥感と静けさに凄味すら漂う作品。
 Carlos AguirreSebastian Macchi , Fernando Silvaなどの有名どころを含めて、たくさんの人が参加していますが、基本的にはギターと楽曲ごとに入れ替わる少人数のサポートで進む、少し沈んだ感じの音。
 冒頭はギターとチェロが漂いながら絡み合う、静かながらハイテンション、哀し気なコンテンポラリージャズ風。
 続くは優雅で流麗なCarlos AguirreのアコーディオンとのDuo、切なげなSebastian Macchi, Fernando Silvaとのトリオ、寂しげなギターDuoのワルツ、穏やかな木管との絡み、Astor Piazzola的なバイオリンが唸るタンゴな演奏、などなど、さまざまな編成、さまざまな表情の演奏が続きます。
 いずれもキャッチーなメロディ、とても優雅な演奏なのですが、沈んだムードの音の流れ。
 そんな流れをそのまま引き継いで、後半は組曲”Rayuela”。
 そのタイトル曲、わずか三分半のワルツが凄い。
 今にも止まりそうなスローテンポ、遅れ気味に美しいメロディを置いていくギター、つつましやかにカウンターをあてるチェロと、これまた聞こえないほどにつつましやかなエレピと電子音。
 それだけ。
 それだけで数十作分の価値がありそうな素晴らしい演奏。
 これは鳥肌もの・・・
 クラシカル、ノスタルジックなようで、先端的。
 名作です。




posted by H.A.


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