吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

#1.★美しく妖しいJazz

【Disc Review】“Indio de Apartamento” (2013) Vinicius Cantuaria

“Indio de Apartamento” (2013) Vinicius Cantuaria

Vinicius Cantuaria (Vocals, Guitar, Drums, Keyboards, Percussion)
Ryuuichi Sakamoto, Norah Jones (piano) Mario Laginha (keyboards) Oliver Glissant (electric piano) Bill Frisell, Dadi (guitar) Liminha (bass) Jesse Harris (voice)



 Vinicius Cantuaria、2012年作。
 とても静かなブラジリアンポップス。
 漂う静謐な凄み。
 徹底的に内に内に入っていくようなムード。
 ここまでの諸作よりもさらに音量が下がり、遅れ気味に置かれていく囁きヴォイス。
 淫靡なまでの静けさ。
 Chet BakerとかLou Reedとか、そんな感じ。
 バンドの音もそれに合わせるように、どこか浮世離れしたようなクールなムード。
 坂本龍一氏が二曲に参加し、音数を抑え、ぶっ飛んだアバンギャルドなピアノ。
 淡々とボッサを刻むギターと沈んだヴォイスとの絡みがなんとも凄い。
 Norah Jonesがピアノのみで短い一曲での参加、彼女の盟友Jesse Harrisの歌を含めて、彼女っぽいフォーキーな楽曲が数曲。
 さらに中盤からたっぷりとフィーチャーされるジャジーなエレキギターがとてもクール。
 21世紀のこの人の真骨頂、クールでやるせなくてお洒落な危ない音、湿った夜な感じの淫靡な音、その極めつけ。
 普通にボッサとポップスながら、どこか遠い静かな場所に連れて行ってくれる、極上のトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Half-Finished Heaven” (2013) Sinikka Langeland

“The Half-Finished Heaven” (2013) Sinikka Langeland


Sinikka Langeland (vocals, kantele) 
Lars Anders Tomter (viola) Trygve Seim (tenor sax) Markku Ounaskari (drums, percussion)

 ノルウェーのカンテレ奏者、ボーカリストSinikka LangelandのECM作品。
 “Starflowers" (2006)、“The Land That Is Not" (2010)からベースとトランペットが抜け、ヴィオラが加わった編成。
 北欧トラディショナルとジャズなビートが交錯する先のそれらの作品に対して、本作はカンテレ、ヴィオラ、テナーサックスの漂うような絡み合いを中心とした音。
 ゆったりとしたテンポ、少ない音数、より静かになった強い浮遊感の時間。
 クインテットだと前面には出て来なかったカンテレのとても美しい音が全編で響き、漂うようなヴィオラ、テナーと妖しく絡み合います。
 悲し気なメロディ。
 いつもの聞き慣れない感じが抑えられ、わかりやすい楽曲が並びます。
 また、ヴォイスの場面も抑えられ、主役はあくまで静かなアンサンブル。
 美しいカンテレの爪弾きを背景として、メロディを奏でる上品なヴィオラ、どこかに行ってしまいそうな時間を現実に引き戻すテナー、静かに時を刻むパーカッション。
 全部合わせて遠い所から流れてくるような音。
 これまた非日常の音ですが、心地よさ最高。
 天上の音・・・ってのには具体に過ぎたり、哀し気に過ぎたりするのかもしれませんが、そんな感じ。
 極上のトリップミュージック。




posted by H.A.





【Disc Review】“João” (1991) Joao Gilberto

“João” (1991) Joao Gilberto

Joao Gilberto (voice, guitar)
Clare Fischer (keyboards) Jim Hughart (acoustic bass) Joe Correro (drums) Michito Sanchez (percussion) and Orchestra

Joao (I Really Samba)
Joao Gilberto
Polygram Records
1991-07-23


 Joao Gilbertoのジャズスタンダード、ポップスを交えた演奏集。
 ギターとピアノトリオにパーカッション、オーケストラ。
 録音はLos Angels、アレンジ、オーケストラを仕切ったのはジャズメンClare Fischerのようです。
 いかにもVerve、あるいはCTI的。
 “Amoroso” (1976)に近い感じですが、バックがもっと躍動的。
 優雅でノスタルジックな感じもあるのですが、これでもかこれでもかと入ってくるようなオーケストラのオブリガードがとてもモダン?で攻撃的?な感じ。
 そんなアメリカンで攻めのサウンドをバックに、御大のギターと歌はいつも通り。
 というよりも、動きの激しいバックのサウンドを抑制するようにも聞こえる柔らかなギターと、いつもにも増して力が抜けてたような沈んだ声。
 その囁き声が大きめの音でミックスされ、目の前から聞こえてくるような、何とも言えない不思議なバランス。
 この躍動と静謐、優雅さとクールネスの対比、絶妙なバランスが最高にカッコいい。
 凄いバランスの凄いアート。
 楽曲はブラジルの楽曲にCole Porterなどなど、この期のいつもの選択。
 そして最後に恥ずかしそうに収められた ベタなシャンソン”I Wish You Love"。
 私はとても素敵だと思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“Amoroso” (1976) Joao Gilberto

“Amoroso” (1976) Joao Gilberto

João Gilberto (guitar, vocals)
Claire Fisher, Ralph Grierson (keyboards) Milcho Leviev, Michael Boddicker (synthesizer) Jim Hughart (bass) Grady Tate, Joe Correro (drums) Paulinho Da Costa (percussion) Bud Shank, Glenn Garrett, Eddie Cain (flute) and Orchestra

AMOROSO(イマージュの部屋) <BRASIL SUPERSTAR 1200>
ジョアン・ジルベルト
ワーナーミュージック・ジャパン
2016-06-22


 João Gilberto、アメリカ制作の一作。
 Claus Ogermanの柔らかなオーケストラ、ストリングスを背景にした、これまた柔らかなギターと囁く声。
 優雅の極み。
 “The Warm World of João Gilberto” (1958-1961)などの時代と音作りそのものは変わらないのかもしれませんが、徹底された洗練。
 楽曲はJobim, Gershwin、その他各所のいずれ劣らぬ名曲、人気曲群。
  "'S’Wonderful"
  "Estate"
  "Tin Tin Por Tin Tin"
  "Besame Mucho"
  "Wave"
  "Caminhos Cruzados"
  "Triste"
  "Zingaro"
 “Getz/Gilberto” (1963)と同様、アメリカ制作のアルバムでは、なぜかギターが刻むビートがわずかに遅れてくるように感じます。
 それが沈んだ感じの声と相まって、寂寥感を増幅。
 それが特別なカッコよさ。
 現代、それを実践しているのがRosa Pasossただ一人、たぶん。
 が、次作のブラジル録音“Brasil” (1981)ではそれが無くて・・・ってなのは、気のせいなのでしょうかね・・・?
 そんなマニアックな事はさておいて、とにもかくにも心地よさ最高。
 最高の楽曲の最高のアレンジ、最高のギターと歌。
 ボサノバとあの時代の優雅系欧米ポップミュージックが最もいい形で近づき、フュージョンした一作。
 ソフトでスムースなJoão Gilbertoなら、これ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Las Mananas El Sol Nuestra Casa” (2010) Javier Albin

“Las Mananas El Sol Nuestra Casa” (2010) Javier Albin


Javier Albin (piano)
Leonel Iglesias (guitar) Leandro Drago (keyboard)
Juan Huici (bass) Santiago Varela (percussion, drums) Juan Pablo Francisconi (percussion)
Paula Taboadela (cello) Juan Kiss (clarinette) Marcela Passadore (voice) Ana Archetti (voice, udú, accordion) Guadalupe Abero (voice)

【輸入盤】Las Mananas El Sol Nuestra Casa (Digi) [ Javier Albin ]
【輸入盤】Las Mananas El Sol Nuestra Casa (Digi) [ Javier Albin ]


 アルゼンチンのピアニストJavier Albinのフォルクローレなジャズ。
 Carlos AguirreのレーベルShagrada Medraから。
 これぞアルゼンチンのフォルクローレ的ジャズの代表作、ってな感じの名作。
 一聴では穏やか系のヨーロピアンピアノジャズの色合い。
 とても優しくてセンチメンタル、儚げな音。
 静かで穏やかなピアノトリオを中心として、ギターやチェロ、木管楽器、女性ボイスが代わる代わる重なっていきます。
 まさに細い糸で綾を織り込んでいくような繊細な音の流れ。
 Carlos Aguirreの諸作よりもよりジャズ的、サラリとしたイメージ、彼の影響が強いSebastian Macchi諸作をよりスムースにした感じでしょうか。
 いい意味で線の細い音の流れ。
 大半を占めるオリジナル曲もそんなメロディ。
 洗練され過ぎないナチュラルさ、ベタつかないセンチメンタリズムとさり気ない郷愁感。
 メインのピアノ、フロントに出る楽器、ボイスはもちろん、ほんの少しだけ使われる電子音、遠くで鳴っているようなパーカッション、細かく移り変わっていくような構成、凝ったビートにさり気ないStop and Go・・・
 その他諸々、完璧に計算しつくされたアレンジ。
 それら含めてとても前向きな音の流れ、全体を包み込むような柔らかな浮遊感。
 とても静かでさり気ない音楽なのですが、思わず耳を傾けてしまう、そんな音。
 名作です。


 


posted by H.A.


【Disc Review】“I Have the Room Above Her” (2004) Paul Motian

“I Have the Room Above Her” (2004) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Joe Lovano (tenor saxophone) Bill Frisell (electric guitar)

I Have the Room Above Her
Paul Motian
Ecm Records
2005-02-08



 Paul MotianトリオのECM復帰作。
 ECMでは“It Should've Happened a Long Time Ago” (1984)以来、20年振りの作品になるのでしょう。
 “On Broadway Volume 1” (1988)など、別レーベルではジャズスタンダードを演奏するのが定番でしたが、本作はトリオのみでオリジナル曲中心の演奏。
 Jack Dejohnette、Jon Chrsitensenのヒタヒタと迫ってくる系とはまた違った、音数、音量を絞ったフリービートのドラム、舞い散るシンバルはこの人の真骨頂、いかにもECMなアーティストの一人。
 音の色合いは21世紀型ECMの穏やかで、静かで漂うような音。
 多くがルバートでのスローバラード。
 浮遊するギター、力の抜けた流麗なジャズサックス。
 その後ろで縦横無尽に、でも静かにビートを散りばめるドラム。
 ビート感を決めているのは、むしろフロントの二人のようにも聞こえるフリーなドラム。
 フロント陣が揺れているときには淡々と定常なビートを刻み、定まった時にはフリーに動くような不思議なバランスとアンバランス。
 今にも壊れそうで壊れない危うく繊細な美しさ。
 中盤以降、アップテンポでハードな演奏もありますが、その繊細さは変わりません。
 楽曲はジャズスタンダード、Monkナンバーを一曲ずつ、他はジャズスタンダードの香りが漂うメロディアスなオリジナル曲、Ornette Coleman風フリー的ジャズなどなど。
 夢と現、現実と非現実が交錯するような音の流れ。
 もちろん普通のジャズではありませんが、フワフワとした浮遊感と不思議なクールネスがとてもとても心地よい名作だと思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“On Broadway Volume 2” (1989) Paul Motian

“On Broadway Volume 2” (1989) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Joe Lovano (tenor saxophone) Bill Frisell (electric guitar) Charlie Haden (bass)

On Broadway 2
Paul Motian
Polygram Records
1990-08-21


 Paul Motianトリオのブロードウェーミュージックの第二弾。
 私的にはこのアルバムが最初に聞いたPaul Motianのリーダー作であり、Bill Frisellのギター。
 この冒頭、“Good Morning Heartache”が凄い。
 ベースレス、全編ルバートでの今にも止まりそうなスローバラード。
 聞いたことのないような強烈な浮遊感のフワフワ、ゆらゆらしたギターと微妙にズレながら並走し、あるいはカウンターをあてるサブトーンたっぷりのテナー。
 それらが前後左右に入れ替わりながら、揺れながら進む時間。
 さらに、それらと無関係なように静かにゆっくりと動くブラシ・・・
 夢の中を漂うような、周囲の景色が歪んでいくような不思議な時間、あるいは甘い毒がゆっくりと回っていくような危ない時間。
 二曲目、ベースが入りビートがキッチリ決まった“You and the Night and the Music”に変わっても、その強烈な浮遊感、クールネスは消えません。
 さらに三曲目、これまたスローバラードの“Moonlight Becomes You”の甘い毒・・・
 音楽が進むにつれ、普通にスウィンギーなジャズな時間に遷移し、現実に戻っていくのですが、冒頭の毒が効いているのか、心地よい時間が続きます。
 このグループではこのアルバム、あるいは後のECM作品“I Have the Room Above Her” (2004)の強烈な浮遊感が一番好み。
 曲順を変えるとまた違う感じになるんだろうけども・・・
 とにもかくにも、この人たちが演奏するスローバラードは最高の毒。

※ライブ録音から


posted by H.A.


【Disc Review】“Thelonious Himself” (1957) Thelonious Monk

“Thelonious Himself” (1957) Thelonious Monk

Thelonious Monk (piano)
John Coltrane (tenor sax) Wilbur Ware (bass)

Thelonious Himself
Thelonious Monk
Ojc
1991-07-01


 寂しげな空間に響くピアノ。
 流れてくるのはさりげないLove Song。
 確かに“4月のパリ”の風景なのでしょう。
 さり気ないロマンチシズムが漂う上品で洒落たメロディ。
 でも、そこ街の賑わいはなく、人気もない、パリの空気感。
 徐々に歪んでいく時空。
 強い寂寥感、離散する時間の感覚の中、かろうじて維持される秩序。
 真夜中なのかもしれないし、遠い過去の事なのかもしれません。
 それとも、荒廃した未来のパリの景色なのでしょうか・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Corações Futuristas” (1976) Egberto Gismonti

“Corações Futuristas” (1976) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (Synthesizer, Piano, Electric Piano, Guitar, Voice)
Luiz Alves, Renato Sbragia (Double Bass) Robertinho Silva (Drums, Percussion) Nivaldo Ornelas (Sax, Flute)
Danilo, Mauro, Paulo (Flute) Ed Maciel (Trombone) Darcy Da Cruz, Marcio Montarroyos (Trumpet) Aninha, Marya, Joyce, Lizzie, Mauricio, Novelli, Dulce (Voice) and Strings

コラソンエス・フトゥリスタス(BOM24190)
エグベルト・ジスモンチ
ボンバ・レコード
2012-01-28


 Egberto Gismonti、ブラジアリアン・プログレッシブロック、ブラジリアン・ハードジャズ、ブラジリアン・ハードフュージョンな一作。
 凄まじい“Academia de Danças” (1974)に続く、超弩級にハードな、諸々の要素てんこ盛りフュージョン。
 冒頭、後々まで演奏される定番曲“Dança Das Cabeças”から、例のハイテンションなガットギターのストローク。
 それだけならECM作品にもたくさんあるのですが、それにエフェクターが掛かっているし、シンセサイザーがぎゅんぎゅん唸り、キメキメのブレイクに、ブチ切れサックス。
 切れ目なく続くのはあのしっとりとした名曲のはずの”Cafe”。
 ECMファンからすれば、“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstoneの静謐なバラードを想像するのですが、オリジナル?は激しいビートにKing Crimson風のリフに、魂の叫び系の激しいスキャット。
 三曲目でやっと落ち着き、ギターのアルペジオと低音のアルコ、スキャットが絡み合う幻想的なバラード”Carmo”+南米山奥エスニックでひと休み。
 LPレコードB面に移るとメインの楽器がピアノに変わります。
 静かに美しく、幻想的に始まりますが、こちらも徐々にテンションを上げ、気がつけば音の洪水。
 超弩級の全力疾走ミュージック。
 シンセサイザーが絡みつきながら突っ走る、超高速、怒涛のようなピアノジャズ。
 この人にしては珍しい4ビートなんて、他のジャズピアニストを全く寄せ付けないようなとてつもないピアニストEgberto Gismontiの演奏。
 Keith Jarrett的フォークロック~ゴスペルチックな演奏をインタールード的に挟みつつ、最後はド派手な高速サンバの大合唱~ラテンジャズな怒涛の鍵盤叩きまくりで幕。
 Chick CoreaHerbie Hancockも真っ青のハードなピアノジャズ。
 いやはやなんとも・・・
 最初から最後まで突っ走りまくるジェットコースターミュージック。
 激烈ながらビートがしなやかでうるさくないのがさすがにというか、一時期のWether Report的というか。
 ジャケットのGismontiさんは、据わった眼でこちらをギラっとにらんでいますが、その通りの怖い作品。
 鬼も逃げ出す音の洪水。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisや上記のアーティストの名作群と並ぶ大傑作だと思います。




posted by H.A.


【Disc Review】“East of the Night” (1985) Stephan Micus

“East of the Night” (1985) Stephan Micus
Stephan Micus (10-String, 14-String Guitar, Shakuhachi, 4 Shakuhachi)

East Of The Night
Universal Music LLC
1988-01-11


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、とても静かで穏やかな無国籍ワールドミュージック。
 ECMからの配給ですが、制作はJapoレーベルのようです。
 全二曲のクレジットを見るとちょっと身構えてしまいますが、中身はとても穏やかで優しい音。
 LPレコードA面は、ギターと尺八が妖しく絡みあう、ゆったりとした幽玄な空気感。
 おそらく日本をイメージしているのでしょう、どこかしら東洋的な雰囲気。
 甘くも華やかでもなく、妖しげでもあるのですが、どことなく懐かしく、センチメンタルな音の流れ。
 LPレコードB面はギターのみでの演奏ですが、これまたとても優し気でセンチメンタル、あるいはロマンチック。
 A面比べると少々シャープな印象、メロディも明確ですが、淡くて穏やかな空気感は同じ。
 訥々としたアルペジオで爪弾かれる悲しげなような、懐かし気なようなコードとメロディ。
 全二曲、いずれも淡々とした音の流れがひたすら二十数分続きますが、退屈はありません。
 一日中このアルバムがループしていても、おそらく違和感はないでしょう。
 終始静かで優しい音だから。
 他の作品に比べると、使われる楽器の種類が少なくシンプルなこと、ボイスが入らないことも、よりナチュラルなムードにつながっているのかもしれません。
 具体に過ぎず、抽象に過ぎない、絶妙なバランスの音の流れと空気感。
 周囲の景色がゆったりと変わっていっているような、何とも微妙な音と時間の流れ。
 ジャケットのアートのそのままの、幽玄で広い空間の音。
 タイトルは「夜明け前」といったニュアンスでしょうか?
 正否はさておき、そんな夜の静寂のゆったりとした曖昧な時間の動きのような音。
 とても静かなトリップミュージック。
 名作です。




posted by H.A.


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