吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

#0.★Something_Strange_but_Comfortable!!!(Best30Albums)

【index】 Best 30 Albums

H.A.の私的ベストアルバム30作。
不定期、気まぐれに更新します。
(2017/12/31更新)


Death and the Flower” (1974) Keith Jarrett
 1970年代のKeith Jarrett諸作は、モダンジャズ、フリージャズ、ロック、フォーク、クラシックが交錯する、最高のフュージョンミュージック。
 静かに漂うように始まり、紆余曲折、徐々にテンションを上げながらゴスペルチックな陶酔感で締める、1970年代Keith Jarrettの様式美、そのコンボ版。

Death and the Flower
Keith Jarrett
Grp Records
1994-03-15


The Köln Concert” (Jan.1975) Keith Jarrett
 1970年代Keith Jarrettの様式美、そのソロピアノ版、その紛うことなき決定盤。
 美しくわかりやすい導入から、興奮と陶酔の終盤。
 映画のようなピアノミュージック。

The Koln Concert
Keith Jarrett
Ecm Records
1999-11-16


The Survivor's Suite” (1976) Keith Jarrett
 これまた1970年代Keith Jarrettの様式美、コンボ版、その決定盤はこちらでしょうか?
 沈痛で美しくてドラマチック、さらに激烈。
 沈痛度、激烈度、妖しさ、深刻さ、そして美しさ最高。

Survivor's Suite
Keith Jarrett
Ecm Records
2000-05-09


La Scala” (Feb.13.1995) Keith Jarrett
 もがきながら進むような音、徐々に形を変えながら長い長い時間を掛けて到達する、とてつもなく美しい結末・・・
 フリージャズ混じりのとっつきにくさゆえ、応用編なのかもしれませんが、その先には桃源郷が・・・
 座して聞くべき一作。
 アートです。

La Scala
Keith Jarrett
Ecm Records
2000-01-25



Still Life (Talking)” (1987) Pat Metheny Group
 Pat Metheny Groupの決定盤。
 軽やかでしっとりしていてドラマチック。
 強い浮遊感とヒタヒタと迫ってくるビート、凄まじい疾走のインプロビゼーション・・・
 もっと凄いのもありますが、これが一番いいなあ。

Still Life (Talking)
Pat Metheny
Nonesuch
2006-02-06


The Way Up” (2003,2004) Pat Metheny Group
 勇壮、激烈、ドラマチックなすさまじい音楽。
 よくも、まあ、ここまで凄いジャズフュージョンミュージックがあったものです。
 ここまでくると最高のアート。
 約70分、映画を見るつもりで座して聞きましょう。

ザ・ウェイ・アップ
パット・メセニー・グループ
ワーナーミュージック・ジャパン
2005-02-09



'Round About Midnight” (1955) Miles Davis 
 モダンジャズを一作なら、これですかねえ・・・
 クールでハードボイルドでグルーヴィー。
 ジャズのカッコよさが凝縮された一作。

ROUND ABOUT MIDNIGHT
MILES DAVIS
COLUM
2009-04-03


Live At The Fillmore East (March 7, 1970) - It's About That Time” (Mar.1970) Miles Davis
 激烈、痛快、エネルギー放出型ジャズ~ファンク。
 聞いているほうの血管が切れてしまいそうな音楽。
 この期の作品はどれもサイコーなのですが、激烈Wayne Shorter参加の発掘音源をピックアップ。



Lovers” (1988) David Murray
 この人のテナーは黒い。
 ぶっとくて艶々と黒光りするような音に、サブトーンたっぷり。
 一音だけでぶっ飛ぶ強烈なバラード集。

Lovers
David Murray
Diw Records
2001-06-26


Exotica” (1993) Kip Hanrahan
 アフロキューバンなジャズファンク。
 Don Pullenの鍵盤を中心とした最高にカッコいいトリオに妖しいささやきボイス。
 シンプルながら強烈なグルーヴ。
 とても危ないダンスミュージック。

EXOTICA
KIP HANRAHAN
ewe
2010-07-21


A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) Kip Hanrahan
 超絶グルーヴのコンガに、激烈ピアノ、狂気のバイオリンにあの世から聞こえてくるようなウイスパーボイス。
 とてもとても妖しいアフロキューバンジャズファンク。
 おまけに、とてもとてもオシャレ。


John Abercrombie Quartet” (Nov.1979) John Abercrombie Quartet
 強烈な浮遊感のルバートあり、疾走ありのハイテンションジャズギターカルテット。
 妖しくて美しくて、グルーヴィー。
 ギターとピアノは言わずもがな、ドラムとベースも最高の演奏。
 さらにオリジナルのジャケットが最高なんだけどなあ・・・

The First Quartet
John Abercrombie
Ecm Records
2015-12-04


Cycles” (1981) David Darling
 美しいピアノ、激しいサックス、妖しげなシタール、とても哀しげなチェロ。
 フリー混じりの妖しい演奏の中に、激甘ベタベタのメロディがいくつか。
 ECMから一作を選ぶとすればこれ・・・ってなのはマニアックにすぎますか・・・?



Magico:Carta de Amor” (1981) Magico
 北欧、南米、アメリカのフュージョンミュージック。
 同メンバーでのちょっとキツメのスタジオ録音諸作に対して、マイルドな質感の本作。
 あの時代のハイテンションな音源ながら、サラリと聞けるのが21世紀型ECM、新しいECMマジック。
 名曲揃いに加えて、名人たち三者三様の交わるようで交わらない危ういバランスがカッコいい。

Magico-Carta De Amor
Garbarek
Ecm Records
2012-11-06


The Sign” (2002) Carsten Dahl
 知る人ぞ知るヨーロピアンコンテンポラリージャズピアノトリオの最高峰?
 妖しさ120%、凄まじい緊張感。
 妖しいまでに美しいピアノと超弩級に激烈なベース。
 浮遊と疾走、静謐と激情が交錯する、凄まじいピアノトリオ。

The Sign
Carsten Dahl
Stunt
2002-10-15


Pasodoble” (2006,2007) Lars Danielsson & Leszek Możdżer
 稀代のメロディメーカーと氷のように冷たく鋭いピアノのDuo。
 懐かしくて美しいメロディ、コードに乗った、とてつもない透明感の美しい音。
 零れ落ちるような儚さと疾走の交錯がカッコいい。

PASODOBLE
Lars Danielsson & Leszek Mozdzer
Act Music + Vision
2013-03-01


Playground” (2007) Manu Katché
 ポップなようで強い陰影、不思議な寂寥感が漂う音楽。
 BGMにもなるし、じっくり聞けば現代ヨーロッパの若手陣の凄みが見える作品。
 これだけ聞きやすくて深い作品は希少。 

Playground (Ocrd)
Manu Katche
Ecm Records
2007-09-25


This Is the Day” (2014) Giovanni Guidi
 ルバートでのスローバラードを中心としたピアノトリオ。
 零れ落ちてくるような、漂うような美しい音の動きが最初から最後まで。
 明るい質感ながら、全編に流れるそこはかとない哀愁。
 映画”Cinema Paradiso”のような世界。

This Is the Day
Giovanni -Trio- Guidi
Ecm Records
2015-05-26



Volver” (1986) Enrico Rava, Dino Saluzzi
 イタリアの巨匠とアルゼンチンの巨匠の共演。
 ハイテンションなコンテンポラリージャズ。
 ダークさとスタイリッシュさと、サウダーヂが交錯するジャズ。

Volver
Enrico Rava
Ecm Import
2001-06-19


Tribe”(2011)Enrico Rava
 イタリアのスタイリストの近年作。
 何をやってもカッコいいのですが、本作はバラードを中心としたアルバム。
 それもルバートでのスローバラードがたっぷり。
 スタイリッシュ&ハードボイルド。

Tribe
Enrico Rava
Imports
2011-11-01



Antigas Cantigas” (1999) Renato Motha, Patricia Lobato
 ブラジリアン男女Duoのとても優しいMPB。
 透明度の高い天使のような女声に優しい男声。
 音数を抑えたシンプルでゆったりとした音の流れ。
 なぜかハワイ的な楽園ムード。
 全てが弛緩してしまいそうな優しい音。

Antigas Cantigas
Renato Motha & Patricia Lobato
Sonhos & Sons Brasil
1998-11-30


Rosa” (2006) Rosa Passos
 現代最高のボサノバシンガーの全編ギター弾き語り。
 優しくしっとりとした声に、少し遅れ気味に音が置かれていく柔らかなギター。
 哀しげで儚げだけども、前向きなサウダーヂ。
 静謐で穏やかな最高のボサノバ。

Rosa
Rosa Passos
Telarc
2006-04-25



De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari
 ワルツを中心とした優雅な浮遊感が全編に漂うブラジリアン・クラシカル・ジャズ&MPB。
 ボーカリストを交えた柔らかなジャズ~ポップスと、クラシック色が交錯する構成。
 全編、優雅で優しくて上品、少々の幻想と興奮を加えた絶妙のバランスの一作。



Dos ríos” (2008) Andrés Beeuwsaert
 アルゼンチンサウダーヂなコンテンポラリージャズ、あるいはジャズ寄りの現代フォルクローレ。
 ブラジル系とは少しニュアンスが違う、ゆったりとしたワルツなフォルクローレビートの浮遊感と、遠くを眺めているような郷愁感。
 幻想的なスキャットに柔らかな管楽器、そして儚げで美しいピアノの絡み合いはジワジワときます。



Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008) Carlos Aguirre Grupo
 ドラマチックなアルゼンチン・プログレッシブ・フォルクロレリック・コンテンポラリー・ジャズ。
 美しく哀し気なメロディと繊細なピアノ、必殺のギターのユニゾン、コーラス・・・
 そして強烈な高揚感、陶酔感。
 激しくハイテンションながら、ひたすら美しい。

Carlos Aguirre Grupo (Violeta)
Carlos Aguirre Grupo
Shagrada Medra
2018-01-28


Naissance” (2012) François Morin
 一時期のPat Metheny Groupのサウンドを現代の感覚でよみがえらせたような音。
 ヒタヒタと迫ってくるようなビートに、南米的サウダーヂの哀しげながら前向きな空気感、郷愁感。
 強い浮遊感の音の流れの中のときおりの強烈な疾走とグルーヴ。
 繊細ながら興奮、高揚の一作。

Naissance
Francois Morin
Tratore Music Brasil
2013-02-05



"Caravanserai" (Feb-May.1972) Santana
 とても妖しげな最高のジャズフュージョン。
 しっとりした質感とヒタヒタと迫ってくるようなビートは、他のロック作品とは全く異質。
 妖しさに加えて、強烈な疾走とラテンな高揚感、さらにドラマチック。

Caravanserai
Santana
Sony
2010-06-29


"There's One in Every Crowd" (1974,1975) Eric Clapton
 とてもレイドバック(懐かしい!)したロック。
 埃っぽくてゆるーいようで、実はものすごく洗練された音。
 気楽に聞けるし、スカスカなようで骨太な演奏と繊細な歌の最高のバランス。

安息の地を求めて(紙ジャケット仕様)
エリック・クラプトン
ユニバーサル ミュージック
2016-03-23


Chicken Skin Music” (1976) Ry Cooder
 これまたとてもとてもレイドバックしたアメリカンロック。
 スライド、ドブロなどなど、ルーズなギターが心地よさ最高。
 ゆるーくて、のほほんとしていて、郷愁感があって・・・
 テキサスとメキシコと南米、そしてハワイはつながっているんでしょうねえ・・・

Chicken Skin Music
Ry Cooder
Reprise / Wea
1994-10-19


Diamond Life” (1984) Sade
 大ヒットしたポップス・・・なんて括りは表面的。
 ポップながらダーク、オシャレなようで危険、チャラいようで深い・・・
 1980年代、スタイリッシュなブリティッシュソウルのカッコよさ、そして妖しさが凝縮された一作。

DIAMOND LIFE
SADE
EPIC
2000-11-13



posted by H.A.



【Disc Review】“De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari

“De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari
André Mehmari (Piano, Accordion, Bandolim, Bass, Bateria, Cello, Clarinet, Cravo, Fender Rhodes, Flute, Guitar, Mellotron, Organ, Palmas, Percussion, Synthesizer Bass, Viola, Violin, Vocals)
Teco Cardoso (Baritone Sax) Gabriele Mirabassi (Clarinet)
Mônica Salmaso, Sérgio Santos (Vocals)



 ブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmariの2008年作。
 南米系の音源は廃盤になるのが早く、その中にはとんでもない名作があるのですが、このアルバムはその最たる作品。
  現在も流通しているであろうオムニバスアルバム“Veredas” (2006-2008)にその一部、一番よさそうなところが収められてはいるのですが、アルバムとしての素晴らしさはまた別格。
 タイトルは「木?とワルツ?」。
 その通りに全編フワフワとした優雅なビートとナチュラルな音の流れ。
 サンバ、ボッサではない、フォルクローレな雰囲気。
 計算しつくされたと思われるアレンジと、オーバーダビングによる自身での演奏、効果的な彩りを加えるゲストの音。
 柔らかな管、弦のアンサンブルと、要所に配置される自身の声、最高のボーカリストMônica Salmaso, Sérgio Santosの声。
 シンプルな編成のピアノトリオ、あるいはソロピアノではなく、いろんな優し気な音が絡み合いながら流れていく時間。
 センチメンタルだけども、暗さや絶望感とはほど遠い優しいメロディ。
 全曲、名曲名演。
 全編を通じた浮遊感と穏やかな郷愁感。
 哀し気なようでとても前向きな、あるいは、前向きなようで悲し気な音の流れ。
 南米音楽共通の質感ですが、その繊細でデリケートな版。
 そんな空気の中を漂うような、零れ落ちてくるようなピアノ。
 スローでは十二分にタメを効かせ、時には突っ走り・・・
 少し前の“Lachrimae” (2003)の素晴らしさに多言は無用ですが、そちらは少々ジャズピアノトリオ寄り。
 この後の作品“Miramari” (2008)以降はクラシックの色合いがより強くなっているように感じます。
 その分水嶺的な作品かもしれません。
 ジャズとクラシックとフォルクローレの最高のバランスのフュージョンミュージック。
 もちろん一番強い成分はブラジル的南米的フォルクローレ。
 どこを取り出しても、とても優雅で美しい音。
 この人の音はいつもどこか遠くを眺めているような音。
 どこを切り出してもその真骨頂。
 これはもう最高でしょう。




posted by H.A.

【Disc Review】“Exotica” (1993) Kip Hanrahan

“Exotica” (1993) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer)
Don Pullen (piano, organ) Jack Bruce (bass, voice) Robby Ameen (drums)
Leo Nocentelli (guitar) Alfredo Triff (violin) 
Guest :
Andy Gonzalez, Anthony Carillo, David Sanchez, JT Lewis, Mario Riviera, Milton Cardona, Lucy Penabaz, Ralph Peterson Jr., Richie Flores

EXOTICA
KIP HANRAHAN
ewe
2010-07-21
キップ・ハンラハン

 Kip Hanrahanのファンクアルバム。
 本作のテーマがファンク、あるいはアップビートでシンプルにいこう、といった計画だったかどうかはわかりませんが、最初から最後まで、凄まじいグルーヴ、どカッコいいファンク、あるいは強烈で危ないダンスミュージック。
 前作“Tenderness” (1988-1990)の激しくカッコいい場面を抜き出して、ほんの少しだけマイルドにした感じでアルバム一枚作りました、ってな最高のバランス。
 冒頭からカッコいいビート。
 この曲ではパーカッションの参加は無く、オルガン、ベース、ドラム+ピアノのシンプルな編成での演奏ですが、とんでもないグルーヴ。
 ドスの効いたヘビーなエレキベースがブンブンうなりながら強烈な推進力。
 クレジットに詳細が無いのですが、このベースはJack Bruceなのでしょうか?
 縁のあるつわものたち、Bill Laswell, Jamaaladeen Tacuma, Steve Swallowも真っ青の凄まじいベースライン。
 さらに途中から加わるDon Pullenのとんでもないピアノ。
 こりゃスゲーや。
 オルガン含めて、最初から最後まで、これでもかこれでもかと弾き倒しまくり。
 生涯最高の名演・・・かどうかはさておき、前作“Tenderness” (1988-1990)と同様、情け容赦なし、ピアノが破壊されそうな凄まじい演奏。
 すっかりレギュラーに定着したRobby Ameenもドラムも、いいタイミングでスネアドラムが入り続けるKip Hanrahanのハードなサウンドに欠かせないカッコいいビート。
 基本的にはピアノトリオ+オルガン+パーカッションのシンプルな編成が中心なのだけども、そうとはとても思えないド迫力。
 さらに、いつものクラーヴェ、怒涛のパーカッションが鳴りはじめ、ホーンやバイオリンが乗ってくると、これはもう桃源郷・・・
 鳴り続けるパーカッションの連打、強烈な推進力とグルーヴ、シンプルなリフの繰り返しで引き起こされる陶酔感。
 クラクラしてくるような音の渦の裏で表で叩き回され、引っ搔き回されるピアノ・・・
 とても激しい音、強烈なグルーヴを背景にした囁くような激渋ボイスが何ともクール。
 もちろんメロディはいつものやるせない哀愁が漂うライン。
 いつものパターンではあるのですが、背景の激しさ、グルーヴが尋常ではないだけに、激渋ボイスがいつにも増してクールに妖しく響きます。
 激しくとも、どことなくオシャレ。
 やはりKip Hanrahanワールドです。
 この人の作品で、ここまでファンク、あるいはシンプルなアルバムはないと思いますが、これを最高傑作とするのは反則なのでしょうかね?
 Kip Hanrahanのファンクの大名作、いや、古今東西のジャズファンクの中での大名作。




 posted by H.A.

【Disc Review】“La Scala” (Feb.13.1995) Keith Jarrett

“La Scala” (Feb.13.1995) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano)
 
La Scala
Keith Jarrett
Ecm Records
キース ジャレット


 Keith Jarrett、“Vienna Concert” (Jul.1991)から四年後のソロコンサート。
 大傑作。
 スタンダーズでは “Keith Jarrett at the Blue Note” (Jun.1994)、“Tokyo '96” (Mar.1996)の間。
 本作ももちろん1970年代型ではなく、1980年代~の型のソロピアノ。
 現代音楽的な色合いも強い"Dark Intervals"(Apl.1987)を経て、”Paris Concert” (Oct.1988)、“Vienna Concert” (Jul.1991)あたりではメロディアスさも戻ってきましたが、時間を経るにつれ重厚に抽象的に、あるいはクラシック的になってきている感じがします。
 が、本作、それだけではなく、ここまでの作品とは何か違う凄み。
 “The Köln Concert”ではない、新しいピアノインプロビゼーションのスタイルがここにきて完成を見たようにも思います。
 “The Köln Concert”が大衆小説の大傑作だとすれば、本作は純文学の大傑作。
 人気、わかりやすさ、好みはさておき、本作がKeith Jarrettのソロピアノの最高傑作といっても過言ではないように思います。

 第一部、何かを慈しむような、懐かしむようなとても美しい旋律で幕を開け、静かで淡々とした優しい演奏が十数分続きます。
 が、次第に重苦しい音の流れに変わり、ビートを止めた片手のみでの演奏、さらにはヘビーなビート、スパニッシュなようなアラビアンなような音階・・・深刻な音の流れ、陰鬱で苦し気にも聞こえる演奏。
 それらを経て、冒頭から35分過ぎ、徐々に穏やか、前向きになり、再びリリカルなメロディに戻る展開。
 そこから10分弱、甘すぎることのない、漂うような音の流れの中で静かに幕。
 冒頭、終盤のあまりにも美しい整ったメロディとドラマチックな展開。
 本当にこれも即興なのでしょうか?
 疑いたくもなる素晴らしい演奏、構成。
 唖然としているのか、戸惑っているのか、演奏が終了したことを確認するような間を空けた後の拍手喝采・・・
 が、私見ながら、40分を優に超える長尺な第一部はあくまで予告編に過ぎません。
 それをしのぐ、とてつもない第二部に続きます。

 第二部はフリージャズ~現代音楽的な展開からスタート。
 激しい音の動き。
 おもちゃ箱をひっくり返したような飛び跳ねるような音、怒涛のような演奏の中から現れる日本的な雅な音の流れ。
 それが新たな、そして美しい怒涛に変わります。
 音量、テンポを落とした13分過ぎ辺りから、少し穏やかになった波間にゆったりとした切ないメロディが見え隠れするような、現れては消えていくような展開。
 そこからが10分間以上続くクライマックス。
 止まりそうで止まらないスローのルバート、曖昧なようなはっきりと見えるような何とも微妙な切ないメロディも合わせて、心臓が止まりそうになるような感動的な音。
 グラデーションをつけながら徐々に周囲の景色が変わっていくような音の流れ、次第にまとまり始め、どこか懐かし気なメロディ、インプロビゼーションに続きます。
 そして現れるのは準備されたとしか思えない、とてつもなく美しいメロディ。
 この上なくドラマチックな展開、映画の最後の場面のようなエンディング。
 この部分が、最もカッコいいと思うKeith Jarrettのひとつ。
 “The Köln Concert”前後の名演の連続の中にも、スタンダーズにもカルテットにも、ここまで激しくも繊細で、悲しく美しい音の流れはなかったように思います。
 何度聞いても胸に迫るとてつもなく感動的で素晴らしい演奏。
 ・・・と思っていたら、最後は短い混沌に遷移し、幕・・・
 そしてアンコールは、嵐の後、雨風の余韻が残る空にかかる虹のような、美しいことこの上ない”Over the Rainbow”。
 いやはやなんとも・・・

 全編通じてヘビーな長編映画を通して観たような感覚。
 かつてのソロピアノ演奏は静から動への流れ、明解な起承転結でしたが、この頃は静動が交錯する予測が難しい展開。
 そして最後にとてつもなく美しい旋律、感動的な場面が現れます。
 見方を変えれば、最後の美しい結びを見つけ出し、生み出すために格闘し、葛藤しているようにも聞こえます。
 もし、一部二部ともに終盤の旋律が準備されていたモノではなくて、途中の激しい演奏を経て降りてきたものだとすれば、凡人には想像できないような感性、創造力。
 “Vienna Concert” (Jul.1991)などの一連のコンサートでやろうとしてやり切れなかったことが、ここで結実したようにも思えます。
 新しいクリエイティブのスタイル、公式に残された記録では”Concerts:Bregenz” (May.1981)、”Concerts:Munchen”(Jun.1981)、"Dark Intervals"(Apl.1987)、”Paris Concert”(Oct.1988)、“Vienna Concert” (Jul.1991)を経て出来上がった、1990年代型Keith Jarrettソロピアノのスタイルなのかもしれません。
 そんなことは意識していなかったとしても、とにもかくにも素晴らしい演奏です。
 わかりやすい展開、美しいメロディが、長尺な演奏の終盤に収めれらているため、そこまでたどり着くのが大変なのですが、その構成に気付けば、とてつもない作品、アートが見えてくるように思います。

 ここから二年後、同じくイタリアでのステージ、2016年発表の”A Multitude of Angels” (Oct.23-30.1996)などを経て療養入り。
 こんなことばかりしていると疲れるのも当たり前でしょう。
 この後しばらく間を空けて、“The Melody At Night, With You” (1998)でまた新たな姿で復活を遂げます。
 本作の最後、あるいは”A Multitude Of Angels”の最終トラック、”Over the Rainbow”が、その冒頭曲“I Loves You, Porgy”の穏やかな演奏に繋がっているように聞こえるのは、きっと気のせいなのでしょう。

 


posted by H.A.


【Disc Review】"Caravanserai" (Feb-May.1972) Santana

"Caravanserai" (Feb-May.1972) Santana
Carlos Santana (lead guitar, guitar, vocals, percussion)
Gregg Rolie (organ, piano) Tom Coster (electric piano) Neal Schon (guitar) Tom Rutley (acoustic bass) Douglas Rauch (bass) Michael Shrieve (drums) Jose "Chepito" Areas (congas, timbales, bongos) Rico Reyes (vocals)
Douglas Rodrigues (guitar) Wendy Haas (piano) James Mingo Lewis (percussion, congas, bongos, vocals, acoustic piano) Armando Peraza (percussion, bongos) Hadley Caliman (saxophone , flute) Lenny White (castanets)
 
Caravanserai
Santana
Sony
サンタナ


 John Mclaughlinはよくわからないのでこの人が最後、かな?
 John Coltraneもさることながら、エレクトリックMilesと近いような、そうでもないような、微妙な位置関係にあるSantana。
 エレクトリックMiles、Weather Reportとメンバーが重なっていたり、John McLaughlinが近かったり、“On The Corner”(Jun.1972)の後のMiles Davisの作品、“Dark Magus”(Mar.1974)や“Get Up with It”にはSantanaからMilesへの影響もあるようにも聞こえます。
 ジャズファンからどう見えているのかはさておき、ちょっと普通のロックバンドとは違う空気感、特に本作を中心とした数作は、ジャズに慣れてしまった耳にも特別なカッコよさがあるように思います。
 
 そのジャズ的、ファンク的、フュージョン的ロック、大傑作アルバム。
 前作“Santana III” (1971) Santanaからの流れにあるのですが、雰囲気は異なります。
 ジャズ的というと違和感があるのかもしれませんが、普通のロックとは違うジャジーなムード。
 おそらくコンテンポラリージャズが好きで歪んだギターが許容な人にはフィットする音。
 終始響くオルガンとうるさくないドラム、パーカッション群が作るヒタヒタと迫ってくる系のグルーヴ。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisの影響があるのかどうかはわかりませんが、言葉で書いてしまうとそんな音。
 ジャジーなウッドベースとファンキーなエレキベースが交錯しするジャズファンクフュージョン、パーカッションの強烈なラテン風味。
 エレクトリックMiles閥のメンバーの合流はまだありませんが、ジャジーでファンキーでカッコいいビート揃いの演奏。
 ロックな場面は半分以下でしょう。
 あの”哀愁のヨーロッパ”のTom Costerが参画したことでの洗練、元からの中核メンバーGregg Rolieのアーシーなムードが混ざり合っていい感じでバランスがとれているようにも思います。
 抹香臭い・・・なんて意見もあるのかもしれませんが、それがしっとりとしたいい感じに繋がっているのでしょう。
 ギター小僧大喜びのエレキギターのカッコいいソロの連続。
 間々に挟まれる数曲ボーカル曲もキャッチーな楽曲揃い。
 さらに全編を通じたしっとりとしながらもシリアスなムード、緊張感含めて最高にカッコいい音作り。

 冒頭、妖しいウッドベースとエレピ、歪まないギターが絡み合う幻想的なムード数分から、凄まじいベースラインとハードなギター、激しいパーカッション陣の絡み合いからいきなり最高潮。
 決して長くはない演奏の中にこのアルバムの凄みが凝縮されているような演奏ですが、まだまだ序の口。
 続くファンクロックもボーカル曲も名演の連続。
 中盤の"Song of the Wind"なんて、穏やかなサンバビートを背景にして、最高のギターソロが延々と続く素晴らしい演奏。

 LPレコードB面は、”Weather Report” (Feb-Mar.1971)のぶっ飛んだ冒頭曲”Milky Way”を思わせる妖しげなエレピのコードチェンジからスタート。
 さらに激しいラテンパーカッションが絡む妖しくもカッコいい音。
 ウッドベースとオルガンが鳴り出し、ビートが入る瞬間のカッコいいこと。
 さらにはJobimナンバーのロックな演奏、クラーベ、パーカッションが鳴り響くラテンフュージョンときて、最後はオルガンと激しいギターが先導する、激烈な"Every Step of the Way"。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis的なような、Mahavishnu Orchestraなようなイントロダクションから、凄まじいパーカッション群が繰り広げるリズムの饗宴、強烈な疾走感、グルーヴ、叫びのような息継ぎを伴う凄まじいフルートから、締めはオーケストラを背景にした、ギターのソロ・・・

 最初から最後まで、全曲名曲、名演。
 これを聞いたMiles Davisもビックリ・・・したかどうかは知りませんが、“Get Up with It”に収められた"Calypso Frelimo"<Sep.1973>に通じそうな感じもあります。
 ジャズに慣れた耳で聞き直しても、やはり世紀の大名アルバムだと思います。
 次作はColtrane ナンバーを冠した“Welcome” (Jun.1973)。
 Coltrane的で重々しい・・・とは全く逆。
 ソフトで洗練された作品群、名作群へと続いていきます。

 


posted by H.A.  


【Disc Review】“Chicken Skin Music” (1976) Ry Cooder

“Chicken Skin Music” (1976) Ry Cooder
Ry Cooder (Bajo Sexto, mandola, bottleneck guitar, French accordion, electric guitar, slack-key guitar, tiple, Hawaiian guitar, vocals)
Red Callender (upright bass, tuba) Chris Ethridge, Henry Ojeda (bass) Atta Isaacs (slack-key, acoustic guitar) Gabby Pahinui (steel guitar, vocals) Hugo Gonzales (banjo) Russ Titelman (banjo, bass, vocals) Milt Holland (percussion, drums) Jim Keltner (drums) Flaco Jiménez (accordion) Oscar Brashear (cornet) Pat Rizzo (alto sax) Fred Jackson, Jr. (tenor sax) Benny Powell (trombone) Terry Evans, Cliff Givens, Laurence Fishburne, Herman E. Johnson, Bobby King (vocals)

Chicken Skin Music
Ry Cooder
Reprise / Wea
ライ・クーダー


 夏の終わりに似合いそうなこのアルバム。
 アメリカンロックのRy Cooder、テックス・メックス(テキサス系メキシコ系音楽?)とハワイ系音楽をフュージョンした作品・・・なのだと思います。
 私の想うパラダイスミュージックの代表選手。
 普段はジャズが南米系しか聞かないのですが、これ、あるいは“Jazz” (1978) Ry Cooderは、何年かに一度、思い出しては取り出して極楽気分に浸る・・・そんなアルバム。
 スラックキーギターにスライドギターにアコーディオン。
 メキシコなのか、アメリカ南部なのか、ハワイなのか、それらが交錯する不思議な質感。
 楽曲の出自には詳しくありませんが、どの曲もどの演奏もフワフワしていて心地よいこと、この上なし。
 ゆるゆるな音。
 聞いていると気持ちが弛緩して軽ーくなる、そんな感じ。
 脈略がなさそうな組み合わせが、なぜか最初から最後まで一貫した質感の音。
 あのソウルの名曲”Stand By Me”までがゆるくて、アコーディオンの響きが切なくて・・・
 ハワイ、あるいはアメリカ南部~メキシコあたりの人気が少ない田舎町ののほほんとした景色、ゆったりとした空気。
 全編、柔らかくて温い風が吹いてくるような音。
 とても穏やかで幸せ。
 ロック全盛期にこれをシレっとやってしまうRy Cooderのセンスに脱帽。

 この前後のRy Cooder作品はカッコいい作品ばかり。
 どれもアメリカ南部中心に、あちこちのエッセンスを加えてルーズなムード、ノスタルジックなムードがいい感じ。
 “Paradise And Lunch” (1974)、“Chicken Skin Music” (1976)、 “Jazz” (1978)、“Bop Till You Drop” (1979)・・・
 最後のアルバムが大ヒットして、その後はあまり聞かなくなったような記憶があります。
 ちょっと普通のポップス、ロック側に強く振れてきたからかな? なぜだかよく覚えていません。
 次にRyさんに再会するのは、おおよそ20年後、あの”Buena Vista Social Club”。
 とりあえず思い出したので全部聞いてみることにしましょう。
 どれもパラダイスだったような・・・




posted by H.A.

【Disc Review】"There's One in Every Crowd" (1974,1975) Eric Clapton

"There's One in Every Crowd" (1974,1975) Eric Clapton
Eric Clapton (vocals, guitars)
George Terry (guitars, vocals) Jamie Oldaker (drums, percussion) Dick Sims (organ, piano, electric piano) Carl Radle (bass, guitar) Yvonne Elliman (vocals) Marcy Levy (vocals)

安息の地を求めて
エリック・クラプトン
USMジャパン



 Eric Claptonで一番好きなアルバムを挙げるならこれ。
 少数派なのかもしれません。
 たぶん一番レイドバックしているように感じるから。
 ロックロックした曲が入っていないこと、渋いボーカルスタイルが確立した?こともあるのでしょうかね。
 そしてエンディングのこの上もないカッコよさ・・・

 冒頭の"We've Been Told"からゆるゆるな感じ炸裂。
 これまた、瑞々しいアコースティックギターのイントロが流れるとワクワクします。
 ドブロギターのルーズな響きと、コーラスのワイワイした中から出てくる力が抜けたボーカルのカッコいいこと。
 続く可愛げなレゲエ"Swing Low, Sweet Chariot"、ちょっとロックな"Little Rachel"も、あくまで沈んだ感じの渋いボーカル。
 またまたレゲエな"Don't Blame Me"ときて、スローブルース"The Sky Is Crying"。
 これまた声を大きくは出さないボーカルがなんとも渋いし、ワウとディストーション掛けたシンプルこの上ないスライドギターがカッコいい。
 "Singin' the Blues"はソウル~ソウルナンバー。
 Eric Claptonの渋いボーカルと華やかでソウルフルなコーラスの絡みは、この頃のこのバンドの典型的な音作り。
 続く"Better Make It Through Today"。
 これが一番好きなEric Claptonのポップス曲。
 “Wondeful Tonight”や”Tears in Heaven”が人気なのはわかるけど、渋いのはこちら。
 渋すぎるといえばその通りなのだけども、さりげないブレイク、コートチェンジにゾクッときます。
 さらにはやっと出ました泣きのギター。
 短いけど。短いからカッコいいのか・・・
 さらには、カリプソかと思っていたらいきなり10ccみたい?なコーラスが入る"Pretty Blue Eyes"もご愛嬌。

 さて、ここからがこのアルバムの凄いところ。
 締めに向かって"461 Ocean Boulevard" (1974) "Mainline Florida"にも似た前向きなロックナンバー"High"。
 インタールードのアーシーなオルガン、ちょっと長めのギターのソロ。
 不自然なフェイドアウトで、これで終わりかな?と思っていると、さりげなくアルペジオで始まる締めのバラード"Opposites"。
 これがとてつもなくカッコいい演奏。
 シンプルこの上ないメロディ、深い歌詞~思わせぶりな間奏~一瞬のLaylaのリフの断片~二コーラスが終わってからのエンディングが鳥肌モノ。
 徐々に音量を上げるオルガンとシンプルな8ビート。
 ドブロギターのシンプルなフレーズのこれでもかこれでもかのリフレイン。
 その周囲を取り巻くような、さまざまな楽器の絡み合い・・・
 ゴスペルチックとは違うのだけど、どことなく宗教的な昂揚感、陶酔感。
 穏やかなようでドカーンと盛り上がって、そのまま昇天するようにエンディング。
 "Layla"の後半~エンディングに近いムードはありますが、その何倍もドラマチック。
 あの“Dark Side Of The Moon” (1973) Pink Floydのエンディングに匹敵するような凄み。
 おっと、その発表の次の年の録音。
 まさか、意識はしていないよねえ・・・
 これもひさびさに聞きましたが、ホントに鳥肌が・・・




posted by H.A.

【Disc Review】 “Rosa” (2006) Rosa Passos

”Rosa" (2006) Rosa Passos
Rosa Passos(Vocal, Guitar)  

Rosa
Rosa Passos
Telarc
2006-04-25
ホーザ パッソス

 目下、私の知る限りのブラジル系のベストボーカリスト。
 かわいい系の声なのだけど実に深い。
 ボサノバ伝統のウイスパー系で、スカートをはいたJoao Gilbertoと呼ばれているらしいのだけど、わずかに強い押し。
 語尾に微妙なビブラートが掛かり、高い音では微妙に裏返り気味、鼻に抜け気味。
 湿っているような乾いているような、絶妙なバランスの発声。
 1曲目、そんな微妙な声で、いきなりアカペラが始まります。
 これにはドッキリ。
 さらに2曲目、Jobimの隠れた佳曲、ガットギター一本のバッキングで哀愁曲を囁きます。
 泣けてくるようなというような大げさな悲しみではなく、切ないもの悲しさが漂うメロディ。
 これが彼女の微妙な声と絶妙なバランス。
 そんな微妙で、絶妙、深い演奏が最後まで続きます。
 背景に何もない、無音の瞬間をたくさん感じられる、静謐で奥の深い音空間。
 有名曲やヒット曲が入っているわけではありませんが、どの曲も佳曲で彼女のために書かれたのでは、と思えるほどベストマッチな曲と声とギター。
 確かにJoao Gilberto的なのですが、女性だけにもっと優しく、同じぐらいに深い。
 最後まで同じ質感だけど、飽きてくる感じはしないのも不思議。
 じっくり聞いてしまうと何をしていても手が止まってしまいそう。
 気持ちが浄化されてくるような感覚も決して大げさではない。
 雰囲気は夕暮れ時。
 郷愁。

(※この投稿は2014/02/20から移動しました。)



posted by H.A.

【Disc Review】“Dos ríos” (2008) Andrés Beeuwsaert

“Dos ríos” (2008) Andrés Beeuwsaert
Andrés Beeuwsaert (piano, keyboards, vocal, guitar, glockenspiel, cymbals)
Fernando Silva (cello, bass) Loli Molina (vocal, guitar) Victor Carrión (soprano sax, flute) Juan Pablo di Leone (flute) Ezequiel Dutil (bass) Nico Cota (percussion) Dana Najlis (clarinet) Juan Quintero (guitar) Mariano Cantero (percussion) Lucio Balduini, Matías Zabaljauregui (electric guitar) Matías Mendez (bass) Hernán Segret (acoustic guitar) Facundo Guevara (percussion, escobillas) Martín Lambert (cymbals) Aline Gonçalves (flutes) Tatiana Parra, Silvia Perez Cruz (vocal)

Dos ríos
Limbo
アンドレス・ベエウサエルト


 アルゼンチンのピアニストAndrés Beeuwsaert。
 Aca Seca Trio、”Aqui” (2010) Tatiana Parra & Andras Beeuwsaertが人気、現代フォルクローレがメインの人なのでしょう。
 穏やかで淡い色合いの優しい音楽。
 メロディアスですが少し不思議系、意外な方向へ動く音作り。
 少し沈んだムード、幻想的な雰囲気もありますが、沈痛だったり、抽象的だったりはしません。
 ゆったりとした優雅なビート、透明度の高い美しい音のピアノの周囲をさまざまな楽器が漂うような音作り。
 インプロビゼーションスペースは小さく、あくまでアンサンブル中心の音作り。
 分厚い音ではなく、あくまで少人数で穏やかな音。
 主役のピアノを含めて、さまざまな楽器が入れ代わり立ち代わり穏やかな背景を作り、また、同じくさまざまな楽器が前面に出て優しいメロディを紡いでいく構成。
 要所で入る遠いところから聞こえるようなvoiceがとても幻想的。
 穏やかで淡い景色が、次々と変わっていくような流れ。
 懐かしい感じのメロディ。
 何かの回顧録のような、遠いところを眺めているような音。
 現代フォルクローレ、あるいはブラジル・ミナス音楽に共通するムード。
 南米の郷愁。
 これは名作でしょう。




posted by H.A.

【Disc review】“Tribe” (2011) Enrico Rava

“Tribe”(2011)Enrico Rava
Enrico Rava(Trumpet)
Gianluca Petrella (trombone) Giovanni Guidi (piano) Gabriele Evangelista (bass) Fabrizio Sferra (drums) Giacomo Ancillotto (guitar)
 
Tribe
Enrico Rava
Imports
2011-11-01
エンリコ・ラバ

 イタリアのベテラントランぺッターの2011年作。
 この人、1970年代からコンスタントにアルバムを発表しており、表情はさまざま。
 マイルスっぽかったり、ロックだったり、クラシックぽかったり、フリーぽかったり、映画のサントラぽかったり。
 それでもトランペットは一貫、マイルス的なクールさに加えて、いかにもイタリアンの粋な感じ。
 さらに時折の激情感がカッコよく、スタイリッシュ。
 どのアルバムもよいのですが、近年ではこれが一番お気に入り。
 編成はピアノトリオにトロンボーンを加えたクインテットが中心。
 イタリアの若手中心なのだと思いますが、トロンボーンのGianluca Petrella、ピアノのGiovanni Guidiなどは非凡なものを感じさせますし、リズムも変幻自在でグルーブ感もバッチリ、いいバンドです。
 特に数曲で聞かれるバラードでのルバート的な展開の飽きさせることのない自然な演奏は出色もの。
 冒頭は止まりそうになるくらいに、ゆったりした美しいバラード。
 いかにもRavaさんの演りそうなイタリア映画のサントラっぽい曲。
 シンプルで肩に力が入っていない演奏ですがドラマチック。
 フィルムルノアールか恋愛ものかは、聞く人の自由で想像するとして、ほの暗く切ないストーリーや映像が浮かんできます。
 さらに二曲目も同様の質感。
 三曲目でやっと強めのリズムが入りって来ますが、あくまでクール。
 エキサイティングなトランペットソロを展開しますが、これも熱いようであくまでクール。
 さらには、怪しい系のバラード曲が続き、ここまでRavaさんの面目躍如な展開。
 数曲アップテンポな曲も入りますが、あくまでメロディアスなバラードが中心。
 どこかで息切れする曲があるだろうと思いきや、このアルバムでは最後まで映画のサントラのような、ドラマチック、あるいはロマンチックな佳曲、演奏がこれでもかこれでもかと、てんこ盛り。
 ほの暗かったり、ミステリアスであったりするだけでなく、穏やかであったり、牧歌的であったり明るいイメージも含め、さまざまな表情の音楽。
 さまざまな情景を呼び起こしてくれます。
 とても素敵な映像的な音楽。

(※本投稿は2014/03/20から移動しました。)


posted by H.A.
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