吉祥寺JazzSyndicate

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Gregory_Privat を含む記事

【Disc Review】“Ki Koté”(2011)Grégory Privat

“Ki Koté”(2011)Grégory Privat
Grégory Privat (Piano)
Rafael Paseiro (Bass) Sonny Troupé (Drums、Ka) 
Olivier Juste (Ka) Renaud Gensane (Trumpet) Faustine Cressot (Vocals) Nesrine Ghalmi (Speech)

Ki Kote
Gregory Privat
Gaya Label
2015-10-13


 カリブ、フランス領マルティニーク島出身のピアニストGrégory Privatのデビュー作。
 近年、北欧ジャズのドンLars Danielssonのバンドに抜擢された人。
 いかにもカリブの人らしく、フワフワとした浮遊感のある、かつ強烈に疾走する、ラテンな空気感も漂うコンテンポラリージャズ。
 ピアノトリオをベースにして、トランペットやスキャットボイスが乗ってくるいかにもラテンジャズな構成。
 が、陽気で派手なラテン系ではなく、少々の翳りと憂いを含んだクールでシャープな質感。
 クラシックの香りも漂う上品なピアノですが、翳りや憂いがあっても、ヨーロッパの人に比べると暗さや深刻さがなく、あくまでカリブ~南米系特有のサウダージ、あるいは郷愁感といったムードでしょう。
 全曲のオリジナル曲はいかにも現代的なクールネスが漂うメロディ揃い。
 冒頭からドラムではなくて“Ka”の軽快なビートに乗って突っ走るピアノ。
 リズム陣もカリブ系の人たちなのでしょう。
 ハードでハイテンション、エキサイティングな演奏が続きますが、全くうるさくありません。
 そんな中を、美しい音のシャープなピアノ、同じく似た質感のトランペットが、加速、減速を繰り返しながら疾走します。
 さらにカリブ~南米お得意の、ふわふわと漂うような女声のスキャットボイスが乗ってきます。
 のほほんと楽し気な感じではなく、そこはかとない翳りと憂いを含んだ絶妙のバランス。
 充分に明確でハードにも聞こえるこの手の音を幻想的とは言わないのだろうけども、どこか現実から離れた、懐かし気な感じもする、デリケートな音の流れ。
 ジャズのグルーヴと疾走感、カリブ~南米の浮遊感がフュージョンした素晴らしい音が続きます。
 大きくフィーチャーされるトランペットがこれまたカッコいい。
 バリバリと吹いているようで、あくまで端正でクール、スムース。
 フレージングもさることながら、リズムへの乗り方が抜群にいい感じで、音の流れ、さり気ない入り方、抜け方にもタダものではない凄みが滲み出ています。
 初めて見る名前ですが、カリブ~キューバにはとんでもないトランペッター、ピアニストがごろごろしているのでしょうねえ。
 デビュー作にしてすごい作品。
 次作は本作の空気感を保ちつつ、ギターその他を加えつつ、物語性を持たせたカリビアンコンテンポラリージャズ作品“Tales of Cyparis” (2013)へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】 “Tales of Cyparis” (2013) Grégory Privat

“Tales of Cyparis”  (2013) Grégory Privat
Grégory Privat (Piano, Fender Rhodes, Wurlitzer)
Manu Codjia (Guitar) Jiri Slavik (Double Bass) Arnaud Dolmen (Ka) Sonny Troupé (Drums, Ka) Adriano Tenorio (Percussions)

Tales of Cyparis
Privat
Plus Loin Music
2013-09-24





 フランス領マルティニーク出身の若手ピアニストの爽やかなコンテンポラリージャズ。
 何やらBill Evansっぽいpianoのイントロから始まるこのアルバム。
 DrumではなくCajón(箱型パーカッションですね)とBaseが加わり、なるほど、カリブっぽいムードが漂い始めます。
 編成はピアノトリオをベースに、ギターやボーカルなどが彩を添える今風なジャズ。
 アルバム出だしの質感はKeith Jarrettの“Treasure Island”から毒気を抜いて軽やかに、近代的にした感じかな?
 中にはStevie Wonder的なボーカル曲が何曲かあったり、少々ロックっぽいギターが入ったり。
 ジャズやらワールドやらソウルやら、もろもろのテイストが混ざった佳曲揃い。
 リーダーのピアノ、ヨーロッパの雰囲気が漂い上品かつしなやか、軽快でほどよい疾走感。
 要所で決まる早いパッセージがカッコいい。
 しかもヨーロッパ系にありがちな暗さ深刻さは皆無、明るい質感。
 少し前ならZsolt Kaltenecker、現代ならRobert Glasperあたりにも通じる感じでしょうか。
 純粋な4ビートはなく、またラテンっぽくも無いのですが、全編ジャズの香り、ときおりクラーベ(南米系特有のリズムパターン)が薄ーく鳴っているように感じられる(気のせい?)のも心地いい。
 全編のんびりしていて暖かそうだけど、ほどよく都会的、しかも気品あふれる音楽。
 カリブのマルティニークってこんな感じの所なのかな。だったら行ってみたいな。
 なお、ひとつ前のアルバム“Ki Koté”(2011)もベース、カフォンのトリオ+ボイスで同質、ものすごく心地よく、カッコいいです。



posted by H.A.
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