吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

BosaNova/Samba/Minas/MPB

【Disc Review】“Giro” (2019) Roberta Sá

“Giro” (2019) Roberta Sá

Roberta Sá (voice)
Gilberto Gil, Bem Gil (guitar) Alberto Continentino (bass) Domenico Lancellotti (drums, percussion)
Danilo Andrade (keyboards) Pedro Miranda (pandeiro, voice) Lsutrnco Vasconcellos (vibraphone) Mestrinho (accordion)
Marlon Sette (trombone) Diogo Gomes (tumpet) Raul Mascarenhas (tenor sax, flute) Zé Carlos “Bigorna” (alto sax, flute) Jorge Continentino (flute) Milton Guedes (flute, gaita) Diogo Gomes (flugelhorn) Joana Queiroz (clatinet, clarone) 
Nicolas Krassik, Pedro Mibielli, Glauco Fernandes (violin) Daniel Albuquergue (viola) Lura Ranevsky (cello)
Jorge Ben Jor, Alfredo Del-Penho, João Cavalcanti (voice) and others



 現代サンバの女王なのでしょう、Roberta Sáの最新作。
 MPB界現代最高の女性ボーカリスト・・・ってもそんな人がゴロゴロしているのが困ったものなのですが・・・らしい、豪華絢爛、かといって過剰にならないバランス、洗練の極みの一作。
 本作はGilberto Gilの楽曲を中心として、本人に加えてJorge Ben Jorといった大御所をゲストに迎え、サンバ、ボサノバを現代風に味付けした音。
 プロデューサーはGilberto Gilさんの息子さんのようです。
 柔らかでしなやかなグルーヴを作るギターとパーカションを中心としたコンボに、ホーンのアンサンブル、ストリングスカルテット、アコーディオン、その他諸々があの手この手の彩りを加える構成。
 オーソドックスなサウンドのようで、一曲ごとに編成とアレンジのテイストを変えた凝りまくった作り。
 ここまでの諸作のようなネイティブなサンバ色は薄目、現代的なMPBの王道ど真ん中、その見本市のような音。
 そんな音の中を泳ぐ、透明度の高の美しいシルキーヴォイス、完璧な歌。
 全部ひっくるめて、Maria Ritaさんの“Amor e Música” (2018) あたりと同じく、大物感たっぷり、余裕のサウンド。
 が、どことなく懐かしい感じがするのは、Gilberto Gilのメロディゆえなのでしょうかねえ。
 洗練されていて今風なようで、何となく古き良き時代のノスタルジーも醸し出す、そんな一作。




posted by H.A.



【追悼】Joao Gilberto





Chega de Saudade” (1959)
O amor, o sorriso e a flor” (1960)
Joao Gilberto” (1961)
(“The Warm World of João Gilberto” (1958-1961))
  “Getz/Gilberto” (18,19,Mar.1963)
  “Getz/Gilberto Vol. 2” (Oct.1964) 
  "Herbie Mann & João Gilberto with Antônio Carlos Jobim" (1965)
João Gilberto” (1972-1973)
  “The Best of Two Worlds”(May.1975) 
  “Getz/Gilberto'76” (May.1976)
Amoroso” (1976)
 "João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980) 
Brasil” (1981)
 “Live in Montreux” (1985)
João” (1991)
 "Eu Sei que Vou Te Amar" (1994)
João Voz e Violão” (2000)
 "Live at Umbria Jazz" (2002)
 “In Tokyo” (2003)
 “A Night in Brazil” (2008)

posted by H.A.

【Disc Review】“Luiza” (1964) Luiza

“Luiza” (1964) Luiza

Luiza (vocal) 
Moacir Santos (Arranged, Conductor) and others

ルイーザ
ルイーザ
BMG JAPAN
2002-05-22


 ブラジルの女性ボーカリストLuizaの唯一のアルバム。
 ジャズサンバコンボとときおりストリングスを従えたジャジーなMPB。
 ジャケットの女優然とした可憐な写真があるだけで、経歴、フルネームすらよくわからない謎の美人さん。
 が、このアルバムは最高。
 洗練されたジャズサンバコンボを背景にした、しっとりしているようなサラリとしているような、微妙なシルキーヴォイスのクールな歌。
 演奏はタイトでかっこいいし、声は最高、もちろん歌唱力もバッチリ。
 楽曲はあまり知られていないブラジル曲が中心ですが、どれもメロディアスでキャッチー。
 掘り出し物というか、ブラジルにはどれだけ素晴らしいボーカリストがいるのか、知らないところにどれだけ素晴らしい音源があるのか、はかり知れないというか・・・
 1960年代、隠れた?名作ブラジリアンポップス。
 

 

posted by H.A.


【Disc Review】“Alaide Costa” (1965) Alaide Costa

“Alaide Costa” (1965) Alaide Costa

Alaide Costa (vocal)
and others

アライジ・コスタ BOM1136
アライジ・コスタ
ボンバ・レコード
2014-09-06


 ブラジルの女性ボーカリストAlaide Costa、ジャジーな1960年代MPB。
 元気なジャズサンババンドに、ハスキーヴォイス。
 現代の音楽でも聞こえてきそうなホーン陣のオブリガードがカッコいい
 さらにストリングスも交えながらのちょっと派手に過ぎませんかねえ・・・なんて変幻自在なアレンジ。
 それが時代感があっていい感じ、っちゃあその通り。
 Chico Buarqueの魅惑なメロディから始まって、知る人ぞ知るのであろうブラジルのメロディたち。
 少しねっとりした感じで遅れ気味に置かれていく声。
 ボサノバやフォーク調もあるのですが、派手なアレンジと混ざり合って“夜”な感じ。
 サラリとしたMPBをついつい好んで聞いてしまうのですが、時にはこんなテイストもいい感じ。
 ちょっと濃いめの1960年代ブラジリアンポップス。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Mundo Melhor” (1976) Beth Carvalho

“Mundo Melhor” (1976) Beth Carvalho

Beth Carvalho (vocal) and others

すばらしき世界(期間生産限定盤)
ベッチ・カルヴァーリョ
SMJ
2016-07-06


 Beth Carvalhoの1976年作。
 “Canto Por Um Novo” (1973) , “Pandeiro E Viola” (1975), “Prá Seu Govêrno” (1975)に続くアコースティックサンバ。
 このあたりのアルバム、区別がつきません。
 が、マンネリなんて言葉は微塵も思い浮かばない、どれもがキャッチ―な楽曲とカッコいい演奏が揃った完璧なアルバム。
 歓喜と哀愁、光と影、希望と失望が微妙に交錯するような、そしてそれら全てを包み込んでしまうようなメロディ、演奏、歌。
 カバキーニョとクィーカーが鳴り響き、大人数での合唱で盛り上がる、それでいて全くうるさくない洗練された音。
 とても前向きになっていけるような、そんな空気感。
 とてもカッコいい堂々たるジャケットのお写真、そのイメージ通りの音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Prá Seu Govêrno” (1975) Beth Carvalho

“Prá Seu Govêrno” (1975) Beth Carvalho

Beth Carvalho (vocal) and others

プラ・セウ・ゴヴェルノ(期間限定価格盤)
ベッチ・カルヴァーリョ
SOLID/TAPECAR
2018-06-06


 Beth Carvalhoの1975年作。
 同年の“Pandeiro E Viola” (1975)、“Canto Por Um Novo” (1973)、さらには“Mundo Melhor” (1976)と同様の伝統的サンバ。
 どこを切り取っても金太郎飴なカッコいいサンバ。
 こうなると曲の好みで選んでいくしかないのでしょうが、うーん?
 ま、どの作品を選んでも哀愁と前向きさが交錯するいい曲ばかりなので・・・
 パーカッションとギター、カバキーニョの素朴な響きと、大人数のコーラス。
 大人数でサビの合唱を繰り返すことで陶酔感を誘うあの音の流れ。
 さらに管楽器やマリンバなども交えつつのカラフルな音。
 電気な音が入らない中での洗練。
 とてもエレガント。




posted by H.A.


【Disc Review】“Pandeiro E Viola” (1975) Beth Carvalho

“Pandeiro E Viola” (1975) Beth Carvalho

Beth Carvalho (vocal) and others

パンデイロ・エ・ヴィオラ(期間限定価格盤)
ベッチ・カルヴァーリョ
SOLID/TAPECAR
2018-06-06


 Beth Carvalhoの1975年作。
 本作も“Canto Por Um Novo” (1973)と同様の伝統的サンバ。
 同時期のElis Reginaさんは、ジャズやソウルやロック、ポップス、さらにはクラシック的な色合いも混ざって、新しいサウンドを作ろうとしている感じが強かったり、アルバムごとに色合いが違ったりするのですが、この期おBethさんはお構いなしの王道サンバ。
 初リーダー作?“Andança” (1969)では時代の音が取り込まれていますが、“Canto Por Um Novo” (1973)以降はとにかくひたすらサンバが続きます。
 一部でエレキベースやストリングスが入り、モダンな雰囲気も醸し出しつつも、弦楽器とパーカッションが鳴り響くアコースティックなサンバ。
 低音でベースラインを出すギターに、チャキチャキと高音でカッティングされるカバキーニョ(バンドリン?)のアンサンブル、ウキキキキュキュキュってなクイーカの音の心地よさ。
 山奥な感じもするし、やはりリオ辺りの海岸な感じもするし。
 哀感たっぷりのメロディと、笑顔が見えてくるような堂々とした歌のいいパランス。
 これも最高です。




posted by H.A.


【Disc Review】“Canto Por Um Novo” (1973) Beth Carvalho

“Canto Por Um Novo” (1973) Beth Carvalho

Beth Carvalho (vocal) and others

カント・ポル・ウン・ノヴォ・ヂア(期間限定価格盤)
ベッチ・カルヴァーリョ
SOLID/TAPECAR
2018-06-06


 Beth Carvalhoの1973年作。
 伝統的なアコースティックサンバ。
 ギターとパーカッションの柔らかなビートを中心として、カバキーニョなどの弦楽器と柔らかな管楽器のアンサンブル、そしてコーラス、ときおりのストリングス。
 ジャズ度、ロック度、欧米ポップス度はありません。
 ピアノの出番さえも限られた、シンプルでナチュラル、うるさくない音。
 それがなぜかリッチな質感。
 ハスキーでな堂々たるヴォイスの力なのか、サンバ自体の持つ力なのか。
 哀愁たっぷりながらもなぜか前向きな感じがする、いかにもサンバなSaudadeたっぷりなメロディ。
 みんなでワイワイしながら合唱して、嫌な事や深刻な事は忘れてしまいましょう・・・ってなノリ。
 伝統的なサンバの演奏スタイルを踏襲しているのだと思いますが、今の耳で聞いても決して古くありません。
 このあたりの音が現在に至るまでの現代サンバの原型になっているのでしょうねえ。
 これまた心地よさ、最高。




posted by H.A.

【Disc Review】“Andança” (1969) Beth Carvalho

“Andança” (1969) Beth Carvalho

Beth Carvalho (vocal) 
Som Três: César Camargo Mariano (piano) Sabá (bass) Antonio Pinheiro (drums) Golden Boys, Milton Nascimento (voice) and others

Andanca
Beth Carvalho
EMI Brazil
2009-02-01


 サンバの女王Beth Carvalhoの1969年、堂々たるデビュー作。
 César Camargo Mariano 率いるピアノトリオSom Trêsを中心として、エレキギター、あるいはオーケストラ、コーラスを取り込んだモダンな音。
 洗練されたアレンジ、太くハスキーな声でゆったりと歌われる、新旧織り交ぜたブラジル曲たち。
 大排気量の車がゆっくりと走っているような余裕。
 元気いっぱいから沈痛まで多彩なイメージのElis Reginaさんとはまた違ったカッコよさ、余裕しゃくしゃく、どっしり構えた感じのBethさん。
 しっとりと湿っているようにも、やはりサラリとしているようにも感じるし、優しさ温かさとクールネスが同居しているようにも感じます。
 新しい時代のブラジリアンポップスのようにも聞こえるし、やはりサンバそのもののようにも聞こえます。
 そんな絶妙なバランスのカッコよさ。
 堂々としたブラジリアンポップス、心地よさ最高。
 本作はもちろん、この人のアルバムはどれも名作なのでしょう。




posted by H.A.


【Disc Review】”Muito Na Onda” (1967) Conjunto 3D

”Muito Na Onda” (1967) Conjunto 3D

Antonio Adolfo (Keyboards) Hélio Delmiro (Guitar) Gusmão (bass) Nelsinho (drums)
Rubens Bassini, Jorginho Arena (Percussion)
Eduardo Conde, Beth Carvalho (Vocal) and others

ムイント・ナ・オンダ
コンジュント3D
EMIミュージック・ジャパン
2002-08-28





 ブラジルのグループConjunto 3Dの唯一のアルバム、Sergio Mendes的ブラジリアンポップス。
 Elis Reginaバンドの名ピアニストAntonio Adolfoを中心としたピアノトリオにギター、パーカッションのジャズサンバなオーソドックな編成。
 半数ほどで前面に出るヴォーカルの中心は、後のサンバの女王Beth Carvalhoのハスキーヴォイス。
 メンツからして気合いを入れてシリアスな・・・ってな感じではなくて、のほほんとしたポップなサウンド。
 “When The Saints Go Marching In”から始まり, “Watermellon Man”, “男と女”, ”I've Got You Under My Skin~Night And Day”といった欧米のヒット曲をブラジル曲の間に織り込みつつ、ソフトな男女コーラスを配していく、この期の定番の構成。
 柔らかで温かな音がゆるゆると流れていきます。
 ピアノがコロコロと心地よく転がっていきますが、後のElis Reginaバンドのように叩きまくられる場面はありません。
 またBeth Carvalhoさんの作品からすれば、後の伝統的サンバな“Canto Por Um Novo” (1973)はもとより、モダンな“Andança” (1969)とも全く違った質感のポップス。 
 あの”Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66”の引力がそれほどまでも大きかったのか?・・・そのあたりは詳しい方にお任せするとして、ジャケットのポートレートのまんまの、緩やかで楽し気な音に浸るとしましょう。




posted by H.A.


Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ