吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

BosaNova/Samba/Minas/MPB

【Disc Review】“Urubu” (1975) Antônio Carlos Jobim

“Urubu” (1975) Antônio Carlos Jobim

Antônio Carlos Jobim (piano, electric piano, guitar, vocals)
Ron Carter (double bass) João Palma (drums)
Miucha (vocals) and Orchestra

URUBU
JOBIM, ANTONIO CARLO
WEA
2016-09-16


 1975年の神様。
 こちらも前作に当たるのであろう“Jobim” (1972)と同じく、半数ほどが歌入り、半数はオーケストラ、アレンジはClaus Ogerman。
 諸作同様、優雅な場面は多いのですが、攻めています。
 ボサノバっぽい感じは抑制され、ビリンボウ?と密林なムードから始まり、エレピが妖しく響く場面がしばしば。
 普通なボサノバ、あるいはジャズ、フュージョンってな感じはなく、全体の印象は少々深刻、重々しいムード。
 ここまでくると、前半はラヴロマンス、後半はスぺクタル映画のサントラのような面持ち。
 そんな中、優雅なオーケストラに包み込まれた名曲“Ligia”も創造者御自らのお声。
 ありがたい。



posted by H.A.



【Disc Review】“Jobim” (1972) Antônio Carlos Jobim

“Jobim” (1972) Antônio Carlos Jobim

Antônio Carlos Jobim (guitar, piano, vocals)
Richard Davis, Ron Carter (bass) Airto Moreira, George Devens, João Palma (percussion)
Urbie Green (trombone) Ray Beckenstein, Phil Bodner, Jerry Dodgion, Don Hammond, Romeo Penque (woodwinds) Harry Lookofsky (tenor violin) and Orchestra


Jobim
Jobim, Antonio Carlos
Polygram Records
2000-03-21


 1972年の神様。
 再び“Wave” (1967)と同じくClaus Ogermanのアレンジ、優雅なストリングスと柔らかな管楽器の音。

 半数ほどがボサノバコンボとボーカルを中心としてオーケストラ、ストリングスが絡む編成、他がオーケストラ中心。

 軽快なボサノバな感じから外れてきた感じもある、ちょっと重いオーケストラ、深刻なムードもちらほら。

 名曲"Águas de Março"で始まり、"Waters of March”で締める構成。

 本人のポルトガル語、英語のボーカル入り。

 名演“João Gilberto” (1972-1973)、“Elis & Tom” (1974) Elis Reginaと同時期。

 どれがいいとか何とかは野暮の極み。

 優雅なメロディたちと朴訥とした声、優雅なオーケストラ。

 ありがたいのではないでしょうか。




posted by H.A.



【Disc Review】“Tide” (1970) Antônio Carlos Jobim

“Tide” (1970) Antônio Carlos Jobim

Antônio Carlos Jobim (piano, electric piano, guitar)
Deodato (piano) Ron Carter (double bass) João Palma (drums) Everaldo Ferreira, Airto Moreira (percussion)
Jerry Dodgion (alto sax) Marvin Stamm, Burt Collins (trumpet) Hubert Laws, Romeo Penque, Hermeto Pascoal (flute) Joe Farrell (flute, soprano sax) Joseph DeAngelis, Ray Alonge (French horn) Garnett Brown, Urbie Green (trombone)
and Strings


Tide
Jobim, Antonio Carlos
Polygram Records
2000-04-04


 神様の1970年代初頭のアルバム。
 “Wave” (1967)に近い編成、アレンジは”Stone Flower” (1970)と同じEumir Deodato。
 といったことで、それらの中間、“Wave”寄り。
 当然ながらノーブル&エレガント。

 ちょっとレトロな感じの甘酸っぱい空気感。
 “Wave”とこれを一日中流していると生活、性格が変わるかもしれません。
 とても仕事なんかできなくなったりして。
 ごちそうさまな”イパネマ・・・”はさておき、“Caribe”なんてメロディ、ストリングスと柔らかな管が織りなす綾は、この世のものとは思えない優美さ。
 パラダイスミュージック、極めつけ。




posted by H.A.



【Disc Review】”Stone Flower” (1970) Antônio Carlos Jobim

”Stone Flower” (1970) Antônio Carlos Jobim

Antônio Carlos Jobim (piano, electric piano, guitar, vocals)
Eumir Deodato (guitar) Ron Carter (double bass) João Palma (drums) Airto Moreira, Everaldo Ferreira (percussion)
Harry Lookofsky (violin) Joe Farrell (soprano saxophone) Urbie Green (trombone) Hubert Laws (flute) Strings(?)


Stone Flower [12 inch Analog]
Jobim, Antonio Carlos
Speakers Corner
2015-02-10


 1970年の神様。
 ホーンやストリングスの彩りは控えめ、コンボ編成での演奏を中心とした構成。
 “Wave” (1967)と違うテイスト、エレピも多用されて近代仕様というか時代感がありますが、それがまたノーブル&エレガント。
 パラダイス度は“Wave” (1967)や“Tide” (1970) が上かもしれませんが、シンプルな編成ゆえに、ジャズの耳からすればこちらの方が馴染むのかもしれません。
 朴訥なピアノや優雅なトロンボーンがはっきりと聞こえてくるのはこちら。
 もちろん言わずもがなの名曲揃い
 数曲で聞かれるこれまた輪をかけて朴訥なご本人のボーカルはどうでしょう。
 よろしいのではないでしょうか。




posted by H.A.



【Disc Review】“Wave” (1967) Antônio Carlos Jobim

“Wave” (1967) Antônio Carlos Jobim

Antônio Carlos Jobim (piano, guitar, harpsichord, vocals)
Ron Carter (double bass) Dom Um Romão, Bobby Rosengarden, Claudio Slon (drums)
Urbie Green, Jimmy Cleveland (trombone) Raymond Beckenstein, Romeo Penque, Jerome Richardson (flute, piccolo) Joseph Singer (French horn)
and Strings

WAVE

JOBIM, ANTONIO CARLOS
A&M
1995-06-24


 神様の一番有名なアルバムなのでしょう。
 いわゆるイージーリスニングな作品。
 ノーブル&エレガント。

 洗練の極み。
 代わる代わるフロントに立つ柔らかな音の木管楽器たち、別の次元から聞こえてくるような優雅なストリングス。
 アレンジはVerve~CTI、その他諸々、この種の音の代名詞、Claus Ogerman。

 ちょっと聞きではアメリカ色に染まったありがちなポップス・オーケストラのように聞こえますが、ベースはあくまで骨太なピアノトリオ+ギター。
 朴訥なピアノとオーソドックスなボサノバギター。
 カッコいい。
 カフェやバーから、スーパー、交通情報のBGMまで、世の中に流れている音はこんな感じがいいなあ。
 パラダイスなブラジリアンミュージック。





posted by H.A.



【Disc Review】“Dunas :Live in Copenhagen 1” (2001) Rosa Passos

“Dunas :Live in Copenhagen 1” (2001) Rosa Passos

Rosa Passos (voice, guitar)
Fabio Torres (piano) Paulo Paulelli (Bass) Celso de Almeida (Drums)


Live in Copenhagen
Various Artists
Storyville Records
2021-05-21


 現代最高のボサノバシンガーRosa Passos、2001年、コペンハーゲンでのライブ録音、2021年発表。
 なぜこの期に20年前のライブ録音が発表されたのかはわかりません。
 ともあれ、もちろん中身は最高のボサノバ~MPB。
 サポートはピアノトリオ、ときおり自身のギター。
 Djavanから始まり、Dorival Caymmiをたっぷり、そしてJobimのブラジリアンスタンダードに、オリジナル曲を何曲か。
 出だしは元気いっぱい、いかにもブラジリアンジャズなピアノトリオ。
 跳ね転がりまくるピアノに、弾むエレキなベース。
 ちょっと派手ですが、とてもしなやか。
 この人の諸作の中では強めでハイテンション、ジャズ度の高いバンドサウンドでしょう。
 音の仕上げも押し出しが強いきらびやか系。
 中盤からは少し音量とテンションを落とし、陰りのある音。
 ギターを弾きつつのしっとり系。
 この人の真骨頂。
 そして終盤に向けて再びテンションを上げ盛り上がっていくライブ仕様な構成。
 40分に満たないコンパクトな演奏集ですが、かえって最初から最後までスルッと心地よく聞けてしまいます。
 背景の色合いはさまざまあれど、フロントに立つのは例の泣いているような微笑んでいるような、微妙なSaudadeヴォイス。
 この声が聞こえれば何でも名演、名作、ってことでよろしいのでは。


 

Recriação” (1979)
“Amorosa” (1988)
Curare” (1991) 
Festa” (1993) 
Pano Pra Manga” (1996) 
Letra & Música - Ary Barroso” (1997) with Lula Galvao 
Canta Antonio Carlos Jobim” (1998) 
Morada do Samba” (1999) 
Rosa Passos Canta Caymmi” (2000) 
Me and My Heart”  (2001) 
Dunas Live in Copenhagen 1” (2001) 
Azul” (2002) 
Entre Amigos” (2003) 
Amorosa” (2004) 
Rosa” (2006) 
Romance” (2008) 
É Luxo Só” (2011) 
“Samba dobrado” (2013) 
ao vivo” (2014) 
Amanhã vai ser verão” (2018) 

posted by H.A.

【Disc Review】“Viva Eu” (2019) Barbara Casini & Toninho Horta

“Viva Eu” (2019) Barbara Casini & Toninho Horta

Barbara Casini (Vocals) Toninho Horta (Guitar, Vocals)
Giuseppe Fornaroli, Luiz Claudio Ramos (Guitar) Francis Hime (Piano)
Chico Buarque, Danilo Caymmi, Edu Lobo, Illesi (Vocals) Joyce Moreno, Nelson Angelo (Vocals, Guitar)

ヴィヴァ・エウ
BARBARA CASINI & TONINHO HORTA
Unimusic
2021-01-20


 イタリア在住ブラジリアン女性ボーカリストBarbara Casini、Toninho Hortaの双頭リーダー作。
 ブラジリアンアーティストNovelliの作品集。
 Toninho さんの近作“Shinkansen” (2020)は日本からでしたが、本作はイタリアから。
 明るく元気なそちらとは全く違うテイスト、抑制されたクールなブラジリアンポップス。
 たくさんの名前が並んでいますが、ベースなし、パーカッションなし、ピアノも少々のみ、ギターとヴォイスのデュオを中心として、楽曲によってゲストが加わる編成、静かな音。
 Toninhoさんもガットギターに徹してサポート中心、ときおりスキャット、ってなイメージ。
 シンプルで静かな音を背景にしたシャキッとしたヴォイス。
 バラード中心、いかにもブラジリアン、穏やかな哀愁をまとったSaudadeなメロディたち。
 あの丸い音の楽園エレキギターの登場場面はありませんが、当然ながらガットギターでの歌伴も名人芸。
 緩急自在、十分に華やかで過剰でない、絶妙なバランス。
 そして名前だけでごちそうさまな超々豪華なゲスト陣。
 気が付いていませんでしたがBarbaraさん、Joyce御大にそっくりの歌い方。
 二人で歌うと区別がつきません。
 その他含めて、ギターとヴォイスのみを中心としたシンプルなサウンドながら変幻自在。
 全編を通じた少し沈んだムード、ハイテンションに行き過ぎない抑制されたムードがとてもクールでエレガント。
 そんな中、締めは”Durango Kid” (1993)を思い起こすストロークと哀愁のメロディ、どこか遠くを眺めるような空気感、静かにかつドラマチックに幕。
 派手ではなく、浮かれるでもなく、かといって落ち込むでもなく、ジワジワくる系、沁みてくる系。
 そんなMPB。


 


(1979) "Terra dos Pássaros
(1980) ”Toninho Horta” 
(1988) ”Diamond Land” 
(1989) “Moonstone” 
(1992) ”Once I Loved” 
(1992) “Sambao” Kenny Barron 
(1993) ”Durango Kid” 
(1994) “Live in Moskow” 
(1994) ”Foot on the Road” 
(1994) “Toninho Horta & Carlos Fernando” 
(1995) ”Durango Kid 2” 
(1995) “Cem Boce” with Joyce 
(1997) “From Belo to Seoul” with Jack Lee 
(1997) “Serenade” 
(1998) ”To Jobim with Love” (From Ton to Tom) 
(1999) “Duets” with Nicola Stilo 
(2000) “Quadros Modernos” with Juarez Moreira and Chiquito Braga 
(2003) “Vira Vida” with Nicola Stilo 
(2004) ”Com o pé no forró” 
(2007) “Solo ao Vivo” 
(2007) “Toninho in Vienna” 
(2007) “Cape Horn” with Arismar do Espírito Santo 
(2008) “Tonight” with Tom Lellis 
(2010) ”Harmonia & Vozes” 
(2010) “From Napoli to Belo Horizonte” with Antonio Onorato 
(2012) ”Minas Tokyo” 
(2014) “No Horizonte de Napoli” with Stefano Silvestri 
(2015) "Alegria é Guardada em Cofres, Catedrais" with Alaíde Costa
(2013-2018) “Belo Horizonte” 
(2020) "Shinkansen"
(2020) “Viva Eu” with Barbara Casini

posted by H.A.


【Disc Review】“Agora” (2020) Bebel Gilberto

“Agora” (2020) Bebel Gilberto

Bebel Gilberto (Vocals)
Thomas Bartlett (Keyboads, Percussion, Piano, Programming)
Magrus Borges (Drums, Percussion) Mart'nália (Vocals)

AGORA
BEBEL GILBERTO
[PIAS] RECORDINGS
2020-08-26


 Bebel Gilberto、2020年作。
 御父上はお隠れになられてしまいましたが、娘さんの久々のアルバム。
 大ヒットしたのでしょう“Tanto Tempo” (2000)に近いテイスト、電子音混じりの現代~未来感漂うブラジリアンポップス。
 ボッサやフォークなアコースティックな感じはなく、全編通じて先端クリエーターが作ったのであろう、静かで妖しい今の音・・・
 ・・・だと思うのですが、なぜか漂うノスタルジー。
 遠くから聞こえてくるようなビートと周囲を包み込むような電子音、コーラス、その少し前に立つウイスパーなヴォイス。
 フワフワとした時間。
 テンポが上がっても、打楽器が強い音を出しても、妖しげな電子音が聞こえても、あくまでゆったりとした優雅で静かな音。
 一番明確に響いてくるのは、リバーヴに包まれたウイスパーヴォイス。
 哀愁漂う、でも暗くはないポップでキャッチ―なメロディたちも、そんな音に溶け込んで淡い乳濁色の靄の中。
 ノスタルジックな空気感の源泉は、そのメロディなのか、声と歌なのか、先端とエスニックが交錯する抑制されたサウンドなのか、何なのか、わかりません。
 これぞ21世紀型Saudade・・・かどうかもわかりません。
 とにもかくにも御父上、御母上はやらないであろう現代の音。
 が、同じく静かで優しくて、最高に心地よい音。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“A Night in Brazil” (2008) Joao Gilberto

“A Night in Brazil” (2008) Joao Gilberto

Joao Gilberto (Guitar, Voice)

A Night In Brazil
Joao Gilberto
Hi Hat
2020-05-31


 Joao Gilberto、未発表ライブ音源、2020年発表。
 “In Tokyo” (2003)の5年後。
 幽玄で異様なまでの静けさと緊張感に覆われたそちらに対して、地元ブラジルゆえか、曲間の観客の熱狂の印象ゆえか、楽し気な印象。
 キリッとした印象もある"Live at Umbria Jazz" (2002)よりも、同じくブラジルでのステージ“Eu Sei que Vou Te Amar" (1994)をもっとリラックスした感じにして、柔らかく力が抜けたイメージでしょうか。
 定番のボサノバスタンダードがズラリと並ぶ、たっぷり29曲。
 MCなども含めて、ステージを丸まま収めた?のであろう一時間半。
 雑音やら何やらが乗っていますが、まあよしとしましょう。
 柔らかなギターと、紗が入った感じもする声。
 会場の空気感ゆえか、録音の具合なのか、心なしかマイクと口の距離がいつもよりも遠いような感じがして、朗々と・・・なんて聞こえる場面もちらほら。
 それら含めて、静謐な空間の中をひたすら静かな音が流れていく“In Tokyo” (2003)、あるいは最も近いスタジオ録音“João Voz e Violão” (2000)とはまた違った印象。
 そして最後に納められた、意外にも録音が少ない”Girl From Ipanema”。
 “Getz / Gilberto” (1963)は半世紀以上も昔、古今東西あまたのカバーあれど、この声で流れていくメロディが正調かつベスト。
 “Wave”, ”Corcovado”, ” Desafinado”, ” Estate”・・・その他諸々、また然り・・・と書いてしまうと神様Jobimさんから怒られるのでしょうかね。
 そんな感じのもう一人の神様の記録。

※別のステージから。




Chega de Saudade” (1959)
O amor, o sorriso e a flor” (1960)
Joao Gilberto” (1961)
(“The Warm World of João Gilberto” (1958-1961))
  “Getz/Gilberto” (18,19,Mar.1963)
  “Getz/Gilberto Vol. 2” (Oct.1964) 
  "Herbie Mann & João Gilberto with Antônio Carlos Jobim" (1965)
João Gilberto” (1972-1973)
  “The Best of Two Worlds”(May.1975) 
  “Getz/Gilberto'76” (May.1976)
Amoroso” (1976)
 "João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980) 
Brasil” (1981)
 “Live in Montreux” (1985)
João” (1991)
 "Eu Sei que Vou Te Amar" (1994)
João Voz e Violão” (2000)
 "Live at Umbria Jazz" (2002)
 “In Tokyo” (2003)
 “A Night in Brazil” (2008)

posted by H.A.


【Disc Review】“Storytellers” (2017) Luciana Souza

“Storytellers” (2017) Luciana Souza

Luciana Souza (voice)
WDR Big Band Köln:
Vince Mendoza (produce, arrange, conduct)
Johan Hörlen, Karolina Strassmayer, Olivier Peters, Paul Heller, Jens Neufang, Stefan Karl Schmid (saxophone) Wim Both, Rob Bruynen, Andy Haderer, Ruud Breuls, John Marshall, Bastian Stein (trumpet) Ludwig Nuss, Shannon Barnett, Andy Hunter (trombone) Mattis Cederberg (tuba)
Paul Shigihara (guitar) Rainer Böhm (piano) John Goldsby (bass) Hans Dekker (drums) Marcio Doctor (percussion)

Storytellers
Souza, Luciana and the Wd
Delta
2020-03-27


 ブラジルのボーカリストLuciana Souza、ドイツのビッグバンドWDR Big Band Kölnとの共演。
 ジャジーでゴージャス、少々幻想的なMPB。
 Jobim、Djavan、GuigaからChico Pinheiroまで、新旧のブラジリアンの作品からの渋い選曲。
 柔らかなビート感のブラジル曲、奇をてらわないオーソドックスなビッグバンドアレンジと、楽曲ごとに律儀にソリストを変え、いずれも手練れた各人のソロ。
 それらに彩られたスモーキーとシルキーを行き来するミステリアスヴォイス。
 主役は歌なのかもしれませんが、オーケストラのアンサンブル、ソロのスペースがたっぷりとられているので、コンテンポラリーなビッグバンドジャズとして聞いてもいい感じ。
 パキーンとしたバンドサウンドと幻想的なメロディ、スキャットの対比。
 決して大音量ではありませんが、とてもリッチな音。
 ソリストたちの音にもタダモノではない感が漂います。
 放送局曲系を中心としたドイツのビッグバンドモノには、ブラジル系を含めてよく出くわすのですが、いずれもゲストの色合いと喧嘩しない徹底的に洗練されたサウンド。
 王道サウンドっちゃあその通りなのですが、どれもがありそうでなかなかない極めて上質なジャズ、あるいはジャズフュージョン。
 本作も然り。
 ドイツのビッグバンドモノにハズレなし。
 Luciana Souzaにもハズレなし。




posted by H.A.



Profile

jazzsyndicate

【吉祥寺JazzSyndicate】
吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。
コンテンポラリー ジャズを中心に、音楽、映画、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

記事検索
タグ絞り込み検索
最新記事
  • ライブドアブログ